JP4005821B2 - 車両用リアシートのセンターヒンジ構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両用リアシートのセンターヒンジ構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、車両の安全性を向上させるために、リアシートに対して、後部荷室の荷物移動により受ける際の耐荷重が規格化されている。
【0003】
この規格として、縦・横・高さが300mm、重量18Kgの規格荷物を荷室からシートバックの背面に衝突させる自動車規則 ECE No.17が知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、分割されたシートバックの各外側部がシートクッションのクッションフレームのヒンジにそれぞれ連結されるとともに、このシートバックの各内側部が上記クッションフレームのセンターヒンジブラケットにそれぞれ連結された車両用リアシートにおいては、センターヒンジブラケットの変形が大きいことから、上記のような自動車規則 ECE No.17を充分に満足する構造が要望されている。
【0005】
本発明は、上記要望に応えるためになされたもので、センターヒンジブラケットを適度に変形させながら剛性をアップさせるように工夫した車両用リアシートのセンターヒンジ構造を提供することを課題とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明は、分割されたシートバックの各外側部がシートクッションのクッションフレームのヒンジにそれぞれ連結されるとともに、このシートバックの各内側部が上記クッションフレームのセンターヒンジブラケットにそれぞれ連結された車両用リアシートにおいて、上記クッションフレームに、センターヒンジブラケットの基部の上方位置に差し込み可能なU字状開口部が形成されたメンバーが固定され、このメンバーのU字状開口の内周部に上記センターヒンジブラケットの外周部が固定されていることを特徴とする車両用リアシートのセンターヒンジ構造を提供するものである。
【0007】
本発明によれば、クッションフレームに固定されたメンバーのU字状開口部をセンターヒンジブラケットの基部の上方位置に差し込んで2重構造としたうえで、このU字状開口の内周部にセンターヒンジブラケットの外周部を固定することにより、センターヒンジブラケットの剛性がアップするとともに、ADACテストでは、センターヒンジブラケットが適度に変形されるので、ADACテストを充分に満足できるようになる。
【0008】
請求項2のように、上記メンバーは、クッションフレームのセンターメンバーであると、別部材のメンバーを設けることなく、センターメンバーを合理的に利用することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照しながら本発明の好ましい実施の一形態について詳述する。図1は本発明の実施形態に係るセンターヒンジ構造10を採用した車両用リアシート20の構成を示す斜視図であり、図2は、図1の車両用リアシート20のクッションフレーム23の要部の構成を示す斜視図である。また、図3は本発明の実施形態に係るセンターヒンジ構造10の構成を示す分解斜視図であり、図4は本発明の実施形態に係るセンターヒンジ構造10の構成を示す組立斜視図である。
【0010】
図1、図2を参照して、本発明の実施形態に係るセンターヒンジ構造10は、分割されたシートバック21の各外側部がシートクッション22のクッションフレーム23のヒンジ24にそれぞれ連結されるとともに、このシートバック21の各内側部が上記クッションフレーム23のセンターヒンジブラケット11にそれぞれ連結されている車両用リアシート20に採用されるものである。
【0011】
そして、図4を参照して、この本発明の実施形態に係るセンターヒンジ構造10は、上記クッションフレーム23に、センターヒンジブラケット11の基部の上方位置に差し込み可能なU字状開口部12aが形成されたセンターメンバー12が固定され、このセンターメンバー12のU字状開口部12aの内周部に上記センターヒンジブラケット11の外周部が固定された構成となっている。
【0012】
上記シートバック21は、図1、図2を参照して、上記車両用リアシート20において、乗員の背もたれのために設けられたものであり、図略のバックフレームの前面にパッドを配置して、その上からトリム21cで表面を被っている。そして、このシートバック21は、ヒンジ24とセンターヒンジブラケット11とを介して、前方に倒すことにより、後方に設けられた図略の後部荷物室30のスペースをシートクッション22の上方にまで拡大することができるようになっているが、特に、後部荷物室30のスペースを部分的に拡大することができるようにするために、左右2つの部分21a、22bに分割され、それぞれの部分21a、22bが、独立して前方に倒れるようになっている。このシートバック21はまた、特に限定しないが、それぞれ乗員の頭部を支持するためのヘッドレスト21dと、外側部の肩部を支持するためのショルダーレスト21eとを有している。
【0013】
上記シートクッション22は、クッションフレーム23の上部にシートバック21と同様のパッドを配置して、その上からトリム22aで表面を被ったものであり、図示しない車体のシート取り付け用フロアパネルにクッションフレーム23が取り付けられている。
【0014】
クッションフレーム23の左右後端部の上側にはシートバック21の各々がヒンジ24を介して前倒し姿勢と少し後ろ側に傾いた起立姿勢とに変位可能に取り付けられている。ヒンジ24は、クッションフレーム23の左右後端部の上側に設けた固定側ブラケット24aと、シートバック21の左右両側に取り付けられた可動側ブラケット24bと、両ブラケット24a、24bを回動可能に連結するピン状部材24cとを有する。また、ヒンジ24の近傍には、シートバック21を起立姿勢に固定させるための固定手段(図示せず)が設けられている。
【0015】
上記センターヒンジブラケット11は、鋼製板材を角錐台形の箱状に曲成するとともに上部にヒンジ機構の中心ピン11a(図1)を挿通させるための一対の軸孔11bを設けて構成された部材であり、このセンターヒンジブラケット11の軸孔11bに取り付けられる中心ピン11aが、分割されたシートバック21の内側部に固定されたブラケット11c(図1)に連結されることにより、各シートバック21の内側部が、シートクッション22に対して前後回動自在に連結されている。
【0016】
図3、図4を参照して、センターヒンジブラケット11の下部には、左右に水平に延設される脚部11dが設けられ、この脚部11dがクッションフレーム23の中央上面に溶接aされることにより、センターヒンジブラケット11全体がクッションフレーム23に固定される。
【0017】
上記センターメンバー12は、クッションフレーム23の骨組み構造を補強するためにクッションフレーム23の中央に長手方向が車両の前後方向になるように、一体に設けられた概ね断面矩形の型鋼からなる部材であり、前端はクッションフレーム23の前部中央に突き当て溶接c等で連結されている。また、後端には、センターヒンジブラケット11の基部の上方位置に差し込み可能なU字状開口部12aが形成されており、このセンターメンバー12のU字状開口部12aの内周部にセンターヒンジブラケット11の外周部を溶接b等により固定することにより、クッションフレーム23後部の中央上面部分にセンターメンバー12が連結される。
【0018】
次に図5を参照して本実施形態の作用について説明する。図5は本発明の実施形態に係るセンターヒンジ構造10の要部を示す断面図である。
【0019】
図5を参照して、センターヒンジブラケット11は、一方では、センターヒンジブラケット11の脚部11dにおいてクッションフレーム23の中央上面に溶接a等で固定されている。また、他方では、センターヒンジブラケット11の基部の上方位置に、クッションフレーム23に固定されたセンターメンバー12のU字状開口部12aが差し込まれ、このU字状開口部12aの内周部にセンターヒンジブラケット11の外周部が溶接b等で固定されることにより、間接的にクッションフレーム23に固定されている。このため、センターヒンジブラケット11が、クッションフレーム23に対して2重に連結された構造を形成している結果、センターヒンジブラケット11の剛性が大幅に改善される。
【0020】
また、このようにセンターヒンジブラケット11が、クッションフレーム23に対して2重に連結された構造を形成しているので、車両用リアシート20が、後部荷物室30の荷物移動により荷重を受ける際には、応力がセンターヒンジブラケット11の脚部11dと、センターメンバー12のU字状開口部12aが差し込まれた位置との2箇所に分散される。その結果、荷重によるセンターヒンジブラケット11の変形が緩和される。
【0021】
以上説明したように、本実施形態によれば、クッションフレーム23に固定されたセンターメンバー12のU字状開口部12aをセンターヒンジブラケット11の基部の上方位置に差し込んで2重構造としたうえで、このU字状開口部12aの内周部にセンターヒンジブラケット11の外周部を固定することにより、センターヒンジブラケット11の剛性がアップするとともに、ADACテストでは、センターヒンジブラケット11が適度に変形されるので、ADACテストを充分に満足できるようになる。
【0022】
また、本実施形態において、センターヒンジブラケット11の基部の上方位置に差し込み可能なU字状開口部12aが形成されたメンバーは、クッションフレーム23のセンターメンバー12であるので、別部材のメンバーを設けることなく、センターメンバー12を合理的に利用することができる。
【0023】
上述した実施の形態は本発明の好ましい具体例を例示したものに過ぎず、本発明は上述した実施の形態に限定されない。
【0024】
例えば、車両用リアシート20は、必ずしも図示のように2つの部分に分割された形状、構成に限定されない。分割されたシートバック21の各外側部がシートクッション22のクッションフレーム23のヒンジ24にそれぞれ連結されるとともに、このシートバック21の各内側部がクッションフレーム23のセンターヒンジブラケット11にそれぞれ連結されている車両用リアシート20であれば、3つの部分に分割されたものでも採用可能である。
【0025】
次に、シートバック21と、シートクッション22とは、必ずしも、実施の形態の材質、形状に限定されない。また、ヘッドレスト21dと、外側部の肩部を支持するためのショルダーレスト21eも必須でない。
【0026】
また、シートクッション22に設けられたクッションフレーム23も必ずしも断面矩形の型鋼を溶接により組み立てることにより、概ね矩形の4辺を形成して構成された骨組み構造である必要はなく、他の骨組み構造であってもよい。
【0027】
また、ヒンジ24とセンターヒンジブラケット11の形状も必ずしも図示のような形状、構成に限定されないだけでなく、そのクッションフレーム23に対する連結方法も溶接に限らず、ボルトナットにより締結する方法など、他の連結方法を採用することが可能である。
【0028】
さらに、本実施形態においては、センターヒンジブラケット11の基部の上方位置に差し込み可能なU字状開口部12aが形成されたメンバーは、クッションフレーム23のセンターメンバー12であるが、必ずしもクッションフレーム23のセンターメンバー12である必要はなく、別部材のメンバーにより、センターヒンジブラケット11の基部の上方位置に差し込み可能なU字状開口部12aが形成されたメンバーを形成することも可能である。
【0029】
その他、本発明の特許請求の範囲内で種々の設計変更が可能であることはいうまでもない。
【0030】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、分割されたシートバックの各外側部がシートクッションのクッションフレームのヒンジにそれぞれ連結されるとともに、このシートバックの各内側部がクッションフレームのセンターヒンジブラケットにそれぞれ連結された車両用リアシートにおいて、センターヒンジブラケットを適度に変形させながら剛性をアップさせることができるという顕著な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態に係るセンターヒンジ構造を採用した車両用リアシートの構成を示す斜視図である。
【図2】 図1の車両用リアシートのクッションフレームの要部の構成を示す斜視図である。
【図3】 本発明の実施形態に係るセンターヒンジ構造の構成を示す分解斜視図である。
【図4】 本発明の実施形態に係るセンターヒンジ構造の構成を示す組立斜視図である。
【図5】 図5は本発明の実施形態に係るセンターヒンジ構造の要部を示す断面図である。
【符号の説明】
11 センターヒンジブラケット
12 センターメンバー(メンバー)
12a U字状開口部
20 車両用リアシート
21 シートバック
22 シートクッション
23 クッションフレーム
24 ヒンジ
Claims (2)
- 分割されたシートバックの各外側部がシートクッションのクッションフレームのヒンジにそれぞれ連結されるとともに、このシートバックの各内側部が上記クッションフレームのセンターヒンジブラケットにそれぞれ連結された車両用リアシートにおいて、
上記クッションフレームに、センターヒンジブラケットの基部の上方位置に差し込み可能なU字状開口部が形成されたメンバーが固定され、このメンバーのU字状開口の内周部に上記センターヒンジブラケットの外周部が固定されていることを特徴とする車両用リアシートのセンターヒンジ構造。 - 上記メンバーは、クッションフレームのセンターメンバーである請求項1記載の車両用リアシートのセンターヒンジ構造。
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