JP3962267B2 - 帯電防止性樹脂フィルム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱可塑性樹脂多層フィルムに関し、さらに詳しくは、包装材料、床材用等に有用な熱可塑性樹脂多層フィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリオレフィンのブロックと、親水性ポリマーのブロックが繰り返し交互に 結合した構造を有する直鎖状のブロックポリマーを、ポリオレフィン等の熱可塑性樹脂に配合して、帯電防止性を付与したフィルムを成形する方法が提案されている(国際公開WO00/47652号明細書)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記方法では帯電防止性を上げるためにブロックポリマーの量を増やすとフィルムの強度が低下する傾向にあり、帯電防止性とフィルム強度の両立が難しいという問題点がある。
本発明は、帯電防止性および強度に優れるフィルムを提供しようとするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、ポリオレフィンと親水性ポリマーとのブロックポリマーおよびポリオレフィン樹脂からなる帯電防止性樹脂組成物の層を熱可塑性樹脂フィルムの表面に積層することで上記課題を解決できることを見出し、本発明に到達した。
【0005】
すなわち本発明は、ポリオレフィン(a)のブロックと、体積固有抵抗値が1×105〜1×1011Ω・cmの親水性ポリマー(b)のブロックとが、繰り返し交互に結合した構造を有するブロックポリマー(A)およびポリオレフィン樹脂(B)を必須成分とする帯電防止性樹脂組成物からなる厚みが0.1〜50μmの層(X)と、熱可塑性樹脂からなる基層(Y)とからなり、(X)および(Y)の少なくとも一層が一軸または多軸に延伸されてなり、未延伸のフィルムでは(A)の数平均分散粒子径が0.05〜1μmであり、一軸方向に延伸したフィルムではその延伸方向に垂直な断面での(A)の数平均分散粒子径が0.01〜1μmであり、多軸方向に延伸したフィルムでは(A)の層の厚みの数平均値が0.005〜0.5μmであることを特徴とする多層フィルムである。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明の多層フィルムは、基層(Y)の片面または両面に帯電防止性樹脂組成物からなる層(X)を積層したものであり、両面に積層した層(X)の樹脂の種類はそれぞれ同じでも異なっていてもよく、基層(Y)および層(X)それぞれにおいて、種類の異なる樹脂を多層(2〜6層またはそれ以上)に積層していてもよい。
また、層(X)および基層(Y)のいずれかまたは両方が発泡層または発泡層と非発泡層からなる多層であってもよい。
さらに、層(X)および基層(Y)の少なくとも一層が一軸または多軸に延伸されていてもよい。
【0007】
多層フィルムの具体例としては、例えば下記(1)〜(4)が挙げられる。
(1)基層(Y)の片面に帯電防止性樹脂組成物からなる層(X)を積層したもの、例えば(X)/(Y)が (X;即ち(B)/(A);ポリプロピレン/ブロックポリマー)/(Y;ポリプロピレン)。
(2)(Y)の両面に(X)を積層したもの、例えば(X)/(Y)/(X)が(X;即ち(B)/(A);ポリエチレン/ブロックポリマー)/(Y;ポリプロピレン)/(X;即ち(B)/(A);ポリエチレン/ブロックポリマー)。
(3)異なる種類の(Y)を多層に積層したフィルムの片面に(X)を積層したもの、例えば(X)/(Y)/(Y’)が(X;即ち(B)/(A);ポリプロピレン/ブロックポリマー)/(Y;ナイロン6)/(Y’;ポリエチレン)。
(4)異なる種類の(Y)を多層に積層したフィルムの両面に(X)を積層したもの、例えば(X)/(Y)/(Y’)/(X’)が(X;即ち(B)/(A);ポリプロピレン/ブロックポリマー)/(Y;ポリプロピレン)/(Y’;ナイロン)/(X’;即ち(B)/(A);ポリエチレン/ブロックポリマー)。
【0008】
層(X)の厚みは、通常0.1〜50μm、好ましくは0.5〜45μm、さらに好ましくは1〜40μmである。0.1μm未満の場合多層フィルムの帯電防止性が劣り、50μmを越えると(B)中における(A)の分散状態が悪くなり帯電防止性および透明性が悪くなる。
【0009】
基層(Y)の厚みに関しては特に制限はないが、好ましくは8〜100μm、さらに好ましくは10〜80μmである。
また、基層(Y)に帯電防止性樹脂層を積層した最終の多層フィルムの厚みに関しても特に制限はないが、8.5〜145μmが好ましく、さらに好ましくは11〜120μmである。
【0010】
本発明におけるブロックポリマー(A)としては、WO00/47652明細書に記載されているブロックポリマーが使用できる。
(A)を構成するポリオレフィン(a)、親水性ポリマー(b)、それらの結合構造および製造方法の具体例および好ましい範囲等は上記明細書に記載されているので、以下(A)については簡単に記載する。
本発明においてポリオレフィン(a)のブロックと、親水性ポリマー(b)のブロックが繰り返し交互に結合した構造を有するブロックポリマー(A)は、(a)のブロックと、(b)のブロックとが、エステル結合、アミド結合、エーテル結合、ウレタン結合およびイミド結合から選ばれる少なくとも1種の結合を介して繰り返し交互に結合した構造を有する。
【0011】
(a)としては、カルボニル基を含有する基(好ましくは、カルボキシル基、以下同じ。)をポリマーの両末端に有するポリオレフィン(a1)、水酸基をポリマーの両末端に有するポリオレフィン(a2)、アミノ基をポリマーの両末端に有するポリオレフィン(a3)が使用できる。
さらに、カルボニル基を含有する基をポリマーの片末端に有するポリオレフィン(a4)、水酸基をポリマーの片末端に有するポリオレフィン(a5)、アミノ基をポリマーの片末端に有するポリオレフィン(a6)が使用できる。
これらのうち、変性のし易さからカルボニル基を含有する基を有するポリオレフィン(a1)および(a4)が好ましい。
【0012】
(a1)としては、両末端が変性可能なポリオレフィンを主成分(含量50%以上、好ましくは75%以上)とするポリオレフィン(a0)の両末端にカルボニル基を含有する基を導入したものが用いられる。
上記および以下において含量の表記に用いる%は重量%を示す。
(a2)としては、(a0)の両末端に水酸基を導入したものが用いられる。
(a3)としては、(a0)の両末端にアミノ基を導入したものが用いられる。
【0013】
(a0)としては、炭素数2〜30のオレフィンの1種または2種以上の混合物(好ましくは炭素数2〜12のオレフィン、特に好ましくはプロピレンおよび/またはエチレン)の重合によって得られるポリオレフィンおよび高分子量のポリオレフィン(Mn50,000以上;炭素数2〜30のオレフィン、好ましくは炭素数2〜12のオレフィンの重合によって得られるポリオレフィン、特に好ましくはポリプロピレンおよび/またはポリエチレン)の熱減成法によって得られる低分子量ポリオレフィンが挙げられる。
上記および以下においてMnはゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による数平均分子量を示す。
(a0)のMnは、通常800〜20,000、好ましくは1,000〜10,000、特に1,200〜6,000である。
(a0)は炭素数1000当たり、1〜40個、好ましくは1〜30個、特に好ましくは4〜20個の二重結合を有する。
変性のしやすさの点で、熱減成法による低分子量ポリオレフィン(特にMnが1,2000〜6,000のポリエチレンおよびポリプロピレン)が好ましい。
【0014】
(a4)としては、片末端が変性可能なポリオレフィンを主成分(含量50%以上、好ましくは75%以上)とするポリオレフィン(a00)の片末端にカルボニル基を含有する基を導入したものが用いられる。
(a5)としては、(a00)の片末端に水酸基を導入したものが用いられる。
(a6)としては、(a00)の片末端にアミノ基を導入したものが用いられる。
【0015】
(a00)は(a0)と同様にして得ることができ、(a00)のMnは通常2,000〜50,000、好ましくは2,500〜30,000、特に3,000〜20,000である。
(a00)は炭素数1000当たり、0.3〜20個、好ましくは0.5〜15個、特に好ましくは0.7〜10個の二重結合を有する。
変性のしやすさの点で、熱減成法による低分子量ポリオレフィン(特にMnが2,000〜20,000のポリエチレンおよびポリプロピレン)が好ましい。
なお、(a0)および(a00)は、通常これらの混合物として得られるが、これらの混合物をそのまま使用しても、精製分離してから使用しても構わない。
【0016】
(a1)としては、(a0)の末端をα、β不飽和カルボン酸および/またはその無水物[(メタ)アクリル酸、(無水)マレイン酸およびフマル酸等]で変性したポリオレフィン(a1−1)、(a1−1)をラクタム(カプロラクタム等)またはアミノカルボン酸(12アミノドデカン酸等)で二次変性したポリオレフィン(a1−2)、(a0)を酸素および/またはオゾンによる酸化により変性したポリオレフィン(a1−3)、(a1−3)をラクタムまたはアミノカルボン酸で二次変性したポリオレフィン(a1−4)およびこれらの2種以上の混合物が使用できる。
(a1)の酸価は、後述する親水性ポリマー(b)との反応性の観点から、通常4〜280、好ましくは4〜100、特に5〜50である。
【0017】
(a2)としては、(a1)を炭素数2〜10ヒドロキシルアミン(2−アミノエタノール等)で変性したヒドロキシル基を有するポリオレフィンおよびこれらの2種以上の混合物が使用できる。
(a2)の水酸基価は、後述する親水性ポリマー(b)との反応性の観点から、通常4〜280、好ましくは4〜100、特に5〜50である。
(a3)としては、(a1)をジアミン(エチレンジアミン等)で変性したアミノ基を有するポリオレフィンおよびこれらの2種以上の混合物が使用できる。
(a3)のアミン価は、後述する親水性ポリマー(b)との反応性の観点から、通常4〜280、好ましくは4〜100、特に好ましくは5〜50である。
【0018】
(a4)としては、(a00)の末端をα、β不飽和カルボン酸および/またはその無水物[(メタ)アクリル酸、(無水)マレイン酸およびフマル酸等]で変性したポリオレフィン(a4−1)、(a4−1)をラクタム(カプロラクタム等)またはアミノカルボン酸(12アミノドデカン酸等)で二次変性したポリオレフィン(a4−2)、(a0)を酸素および/またはオゾンによる酸化により変性したポリオレフィン(a4−3)、(a4−3)をラクタムまたはアミノカルボン酸で二次変性したポリオレフィン(a4−4)およびこれらの2種以上の混合物が使用できる。
(a4)の酸価は、後述する親水性ポリマー(b)との反応性の観点から、好ましくは1〜70、特に好ましくは2〜50である。
ましい。
【0019】
(a5)としては、(a4)を炭素数2〜10ヒドロキシルアミン(2−アミノエタノール等)で変性したヒドロキシル基を有するポリオレフィンおよびこれらの2種以上の混合物が使用できる。
(a5)の水酸基価は、後述する親水性ポリマー(b)との反応性の観点から、好ましくは1〜70、特に2〜50である。
(a6)としては、(a4)をジアミン(エチレンジアミン等)で変性したアミノ基を有するポリオレフィンおよびこれらの2種以上の混合物が使用できる。
(a6)のアミン価は、後述する親水性ポリマー(b)との反応性の観点から、好ましくは1〜70、特に好ましくは2〜50である。
【0020】
なお、(a1)と(a4)は、通常これらの混合物として得られるが、これらの混合物をそのまま使用してもよく、精製分離してから使用しても構わない。製造コスト等の観点から、混合物として使用するのが好ましい。
また、(a2)と(a5)および(a3)と(a6)も同様に精製分離してから使用してもよいが、製造コスト等の観点から、混合物として使用するのが好ましい。
耐熱性および後述する親水性ポリマー(b)との反応性の観点から、(a1)、(a2)および(a3)のMnは、通常800〜25,000、好ましくは1,000〜20,000、特に2,500〜10,000であり、(a4)、(a5)および(a6)のMnは、通常800〜50,000、好ましくは1,000〜30,000、特に2,000〜20,000である。
【0021】
親水性ポリマー(b)としては、ポリエーテル(b1)、ポリエーテル含有親水性ポリマー(b2)、カチオン性ポリマー(b3)およびアニオン性ポリマー(b4)が使用できる。
(b1)としては、ポリエーテルジオール(b1−1)、ポリエーテルジアミン(b1−2)およびこれらの変性物(b1−3)が使用できる。
【0022】
(b1−1)は、ジオール(b0)にアルキレンオキサイド(以下AOと略記)を付加反応させることにより得られる。
(b0)としては、二価アルコール(例えば炭素数2〜12の脂肪族、脂環式または芳香族二価アルコール)、炭素数6〜18の二価フェノールおよび三級アミノ基含有ジオールが挙げられる。
AOとしては、炭素数2〜4のAO[エチレンオキサイド(以下EOと略記)、プロピレンオキサイド(以下POと略記)、1,2−、1,4−、2,3−または1,3−ブチレンオキサイドおよびこれらの2種以上の併用系]が用いられるが、必要により他のAOまたは置換AO、例えば炭素数5〜12のα−オレフィン、スチレンオキサイドおよびエピハロヒドリン(エピクロルヒドリン等)(以下、これらも含めてAOと総称する。)を少しの割合(例えば、全AOの重量に基づいて30%以下)で併用することもできる。
AOとして好ましいものは、EO単独およびEOと他のAOとの併用(ブロックおよび/またはラダム付加)である。
【0023】
(b1−1)中の炭素数2〜4のオキシアルキレン単位の含量は、好ましくは8〜99.6%、特に10〜98%である。
ポリオキシアルキレン鎖中のオキシエチレン単位の含量は、好ましくは10〜100%、さらに好ましくは50〜100%、特に60〜100%である。
【0024】
ポリエーテルジアミン(b1−2)は、(b1−1)の水酸基を公知の方法によりアミノ基に変えることにより得ることができ、例えば、(b1−1)の水酸基をシアノアルキル化しして得られる末端を還元してアミノ基としたものが使用できる。
【0025】
変性物(b1−3)としては、例えば、(b1−1)または(b1−2)のアミノカルボン酸変性物(末端アミノ基)、同イソシアネート変性物(末端イソシアネート基)および同エポキシ変性物(末端エポキシ基)が挙げられる。
アミノカルボン酸変性物は、(b1−1)または(b1−2)と、アミノカルボン酸またはラクタムとを反応させることにより得ることができる。
イソシアネート変性物は、(b1−1)または(b1−2)と、有機ジイソシアネートとを反応させるか、(b1−2)とホスゲンとを反応させることにより得ることができる。
【0026】
有機ジイソシアネートとしては、炭素数(NCO基中の炭素を除く、以下同様)6〜20の芳香族ジイソシアネート、炭素数2〜18の脂肪族ジイソシアネート、炭素数4〜15の脂環式ジイソシアネート、炭素数8〜15の芳香脂肪族ジイソシアネート、これらのジイソシアネートの変性体およびこれらの2種以上の混合物が使用できる。
エポキシ変性物は、(b1−1)または(b1−2)と、ジエポキシド(ジグリシジルエーテル、ジグリシジルエステル、脂環式ジエポキシド等のエポキシ樹脂:エポキシ当量85〜600)とを反応させるか、(b1−1)とエピハロヒドリン(エピクロルヒドリン等)とを反応させることにより得ることができる。
【0027】
(b1)のMnは、通常150〜20,000であり、耐熱性および(a)との反応性の観点から、好ましくは300〜20,000、さらに好ましくは1,000〜15,000、特に1,200〜8,000である。
【0028】
(b2)としては、ポリエーテルセグメント形成成分としてポリエーテルジオール(b1−1)のセグメントを有するポリエーテルエステルアミド(b2−1)、同じく(b1−1)のセグメントを有するポリエーテルアミドイミド(b2−2)、同じく(b1−1)のセグメントを有するポリエーテルエステル(b2−3)、同じく(b1−2)のセグメントを有するポリエーテルアミド(b2−4)および同じく(b1−1)または(b1−2)のセグメントを有するポリエーテルウレタン(b2−5)が使用できる。
【0029】
(b2−1)は、末端にカルボキシル基を有するポリアミド(Q1)と(b1−1)とから構成される。
(Q1)としては、炭素数6〜12のラクタム(Q1−1)の開環重合体;炭素数6〜12のアミノカルボン酸(Q1−2)の重縮合体;ジアミン(Q1−3)(炭素数2〜20の脂肪族ジアミン、炭素数6〜15の脂環式ジアミン、炭素数8〜15の芳香脂肪族ジアミンおよび炭素数6〜15の芳香族ジアミン等)と炭素数4〜20のジカルボン酸(Q1−4)[脂肪族ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸およびこれらのエステル形成性誘導体{低級アルキル(炭素数1〜6)エステル、無水物等}等]とのアミド(Q1−5);およびこれらの混合物が挙げられる。
【0030】
(Q1)として好ましいものは、カプロラクタムの開環重合体、12−アミノドデカン酸の重縮合体およびアジピン酸とヘキサメチレンジアミンとのアミドであり、特に好ましいものはカプロラクタムの開環重合体である。
(b2−2)は、少なくとも1個のイミド環を有するポリアミドイミド(Q2)と(b1−1)とから構成される。
(Q2)としては、(Q1−1)と少なくとも1個のイミド環を形成しうる三価または四価の芳香族ポリカルボン酸(Q2−1)とからなる重合体;(Q1−2)と(Q2−1)とからなる重合体;(Q1−5)と(Q2−1)とからなる重合体;およびこれらの混合物が用いられる。
【0031】
ポリエーテルエステル(b2−3)は、ポリエステル(Q3)と(b1−1)とから構成される。
(Q3)としては、(Q1−4)と(b0)とのポリエステル;炭素数6〜12のラクトン若しくは炭素数6〜12のオキシカルボン酸のポリエステル;およびこれらの混合物が用いられる。
ポリエーテルアミド(b2−4)は、ポリアミド(Q1)とポリエーテルジアミン(b1−2)とから構成される。
ポリエーテルウレタン(b2−5)は、前記有機ジイソシアネートと、(b1−1)または(b1−2)および必要により鎖伸長剤[前記(b0)における二価アルコールおよびジアミン(Q3−1)等]とから構成される。
【0032】
また(b2)中のポリエーテル(b1)セグメントの含量は、成形性の点から、(b2)の重量に基づいて30〜80%、特に40〜70%が好ましい。
(b2)中のオキシエチレン基の含量は、帯電防止性および成形性の点から、(b2)の重量に基づいて30〜80%、特に40〜70%が好ましい。
(b2)のMnは、耐熱性の点から、800以上、特に1,000以上が好ましく、(a)との反応性の点から、50,000以下、特に30,000以下が好ましい。
【0033】
(b3)としては、非イオン性分子鎖(c1)で隔てられた2〜80個、好ましくは3〜60個のカチオン性基(c2)を分子内に有するカチオン性ポリマーが使用できる。
(c1)としては、二価の炭化水素基;エーテル結合、チオエーテル結合、カルボニル結合、エステル結合、イミノ結合、アミド結合、イミド結合、ウレタン結合、ウレア結合、カーボネート結合および/またはシロキシ結合を有する炭化水素基ならびに窒素原子または酸素原子を含む複素環構造を有する炭化水素基からなる群より選ばれる少なくとも1種の二価の炭化水素基等の二価の有機基;およびこれらの2種以上の併用が挙げられる。
【0034】
二価の炭化水素基としては、炭素数1〜18(好ましくは2〜8)の直鎖または分岐の脂肪族炭化水素基(アルキレン基およびアルケニレン基等)、炭素数6〜20の芳香族炭化水素基および炭素数4〜15の脂環式炭化水素基等が挙げられる。
エーテル結合、チオエーテル結合、カルボニル結合、エステル結合、イミノ結合、アミド結合、イミド結合、ウレタン結合、ウレア結合、カーボネート結合および/またはシロキシ結合を有する二価の炭化水素基としては、(ポリ)オキシアルキレン基、例えば前記ポリエーテルジオール(b1−1)の残基およびモノエーテルジオールの残基;上記に相当する(酸素原子がイオウ原子に置き換った)ポリチオエーテルの残基;ポリエステルおよび/またはポリアミドの残基;ポリウレタンおよび/またはポリウレアの残基;ポリカーボネート[前記ジオール(b0)とホスゲンとから誘導される]の残基;ポリオルガノシロキサンの残基等が挙げられる。
【0035】
これらの(c1)のうち好ましいのは、二価の炭化水素基およびエーテル結合を有する二価の炭化水素基、さらに好ましくは炭素数1〜8のアルキレン基(ヘキサメチレン基等)、フェニレン基および(ポリ)オキシアルキレン基、特に(ポリ)オキシエチレン基、(ポリ)オキシプロピレン基である。
(c1)のMnは、通常28〜10,000、好ましくは300〜5,000である。
【0036】
カチオン性基(c2)としては、四級アンモニウム塩またはホスホニウム塩を有する基が挙げられる。四級アンモニウム塩を有する基としては二価の四級アンモニウム塩含有複素環基が好ましい。
二価の四級アンモニウム塩基含有複素環基としては、二価の三級アミノ基含有複素環基[例えば二価のイミダゾール環基(1,4−イミダゾレン基および2−フェニル−1,4−イミダゾレン基等)、二価のピペリジン環基(2,3−、3,4−または2,6−ピペリジレン基等)および二価の芳香複素環基(2,3−、2,4−、2,5−、2,6−、3,4−または3,5−ピリジレン基、2,5−ピリミジニレン基、3,6−ピリダジニレン基および2,5−ピラジニレン基等)]が四級化された構造の基が挙げられる。
【0037】
(c2)の対アニオンとしては、超強酸アニオンおよびその他のアニオンが挙げられる。
超強酸アニオンとしては、プロトン酸とルイス酸との組み合わせから誘導される超強酸(四フッ化ホウ酸、六フッ化リン酸等)のアニオンおよびトリフルオロメタンスルホン酸等の超強酸のアニオンが挙げられる。
その他のアニオンとして、例えばハロゲンイオン(F-、Cl-、Br-、I-等)、OH-、PO4-、CH3OSO4-、C2H5OSO4-およびClO4-が挙げられる。
【0038】
(b3)の末端構造は、(a)との反応性の観点からカルボニル基を含有する基、水酸基またはアミノ基であることが望ましい。
(b3)のMnは、帯電防止性および(a)との反応性の観点から、好ましくは500〜20,000、さらに好ましくは1,000〜15,000、特に1,200〜8,000である。
【0039】
(b4)としては、スルホニル基を有するジカルボン酸と、ジオール(b0)またはポリエーテル(b1)とを必須構成単位とし、かつ分子内に2〜80個、好ましくは3〜60個のスルホニル基を有するアニオン性ポリマーが使用できる。
スルホニル基を有するジカルボン酸としては、スルホニル基を有する芳香族ジカルボン酸、スルホニル基を有する脂肪族ジカルボン酸およびこれらのスルホニル基のみが塩となったものが使用できる。
【0040】
スルホニル基を有する芳香族ジカルボン酸としては、例えば5−スルホイソフタル酸、2−スルホイソフタル酸、4−スルホイソフタル酸、4−スルホ−2,6−ナフタレンジカルボン酸およびこれらのエステル形成性誘導体[低級アルキル(炭素数1〜4)エステル(メチルエステル、エチルエステル等)、酸無水物等]が挙げられる。
スルホニル基を有する脂肪族ジカルボン酸としては、例えばスルホコハク酸およびそのエステル形成性誘導体が挙げられる。
これらのスルホニル基のみが塩となったものとしては、アルカリ金属の塩、アルカリ土類金属の塩、アンモニウム塩、ヒドロキシアルキル(炭素数2〜4)基を有するモノ、ジまたはトリアミン等のアミン塩、これらアミンの四級アンモニウム塩およびこれらの2種以上の併用が挙げられる。
これらのうち好ましいものは、スルホニル基を有する芳香族ジカルボン酸である。
【0041】
(b4)を構成する(b0)または(b1)のうち好ましいものは、炭素数2〜10のアルカンジオール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール(重合度2〜20)、ビスフェノール(ビスフェノールA等)のEO付加物(付加モル数2〜60)およびこれらの2種以上の混合物である。
(b4)のMnは、帯電防止性および(a)との反応性の点から、好ましくは500〜20,000、さらに好ましくは1,000〜15,000、特に1,200〜8,000である。
【0042】
親水性ポリマー(b)の体積固有抵抗値(後述の方法で、23℃,50%RHの雰囲気下で測定される値)は1×105〜1×1011Ω・cm、好ましくは1×106〜1×109Ω・cmである。体積固有抵抗値が1×1011Ω・cmを超えると樹脂組成物の帯電防止性が低下する。
【0043】
ブロックポリマー(A)のMnは、帯電防止性の観点から、2,000〜60,000が好ましく、さらに好ましくは5,000〜40,000、特に8,000〜30,000である。
(A)を構成する(b)の量は、(a)と(b)との合計重量に基づいて、20〜90%が好ましく、特に30〜70%である。(b)の量がこの範囲であると帯電防止性の点でより好ましい。
【0044】
ポリオレフィン樹脂(B)には、オレフィンの1種以上の(共)重合体およびオレフィンの1種以上と他のビニルモノマーの1種以上との共重合体が含まれる。
オレフィンとしては、炭素数2〜30またはそれ以上のアルケン[例えばエチレン、プロピレンおよび炭素数4〜30のα−オレフィン(1−ブテンおよび1−ペンテン等)]および炭素数4〜30の単環〜4環またはそれ以上の(ポリ)シクロアルケン[例えばシクロペンテン、テトラシクロドデセンおよびこれらの誘導体{アルキル(炭素数1〜10)置換体等}]等が挙げられる。
共重合体にはランダム共重合体、ブロック共重合体およびグラフト共重合体が含まれる。
【0045】
他のビニルモノマーとしては、オレフィン以外の脂肪族炭化水素ビニルモノマー、芳香族ビニルモノマー、アクリルモノマー、その他の不飽和カルボン酸およびその誘導体、不飽和アルコールおよびその誘導体、ハロゲン含有ビニルモノマーならびにこれらを2種以上組み合わせたモノマー等が挙げられる。
オレフィン以外の脂肪族炭化水素ビニルモノマーとしては、炭素数4〜30のジエン類、例えばアルカジエン(ブタジエン,イソプレン等)、ハロアルカジエン(クロロプレン等)およびシクロアルカジエン(シクロペンタジエン、ジシクロペンタジエン等)が挙げられる。
【0046】
芳香族ビニルモノマーとしては、スチレンおよびその同族体、例えばo−,m−,p−アルキル(炭素数1〜10)スチレン(ビニルトルエン等)、α−アルキル(炭素数1〜10)スチレン(α−メチルスチレン等)およびハロゲン化スチレン(クロロスチレン等)が挙げられる。
【0047】
アクリルモノマーには、(メタ)アクリル酸およびその誘導体が含まれる。その誘導体としては、(メタ)アクリル酸エステル[例えばアルキル(炭素数1〜20)(メタ)アクリレート{メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート等}、アミノアルキル(炭素数2〜4)(メタ)アクリレート{アミノエチル(メタ)アクリレート等}、モノまたはジアルキル(炭素数1〜4)アミノアルキル(炭素数2〜4)(メタ)アクリレート{ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等}およびヒドロキシアルキル(炭素数1〜4)(メタ)アクリレート{ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等}]、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミドおよびその置換体[例えばN−メチロール(メタ)アクリルアミド]ならびに上記アミノアルキルまたはモノもしくはジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートに相当するアミノ基含有メタアクリルアミド(COOがCONHに置換されたもの)等が挙げられる。
【0048】
その他の不飽和カルボン酸には、モノおよびジカルボン酸が含まれ、例えばクロトン酸、マレイン酸、フマール酸、イタコン酸等が挙げられる。その誘導体としては、例えば上記不飽和カルボン酸のモノまたはジアルキル(炭素数1〜20)エステル、酸無水物(無水マレイン酸等)およびイミド[マレイン酸イミド、N−アルキル(炭素数1〜8)またはフェニルマレイミド等]が挙げられる。
【0049】
不飽和アルコールとしては、炭素数2〜20のアルケノール、例えばビニルアルコールおよび(メタ)アリルアルコールが挙げられる。その誘導体としては、例えばそのカルボン酸(炭素数2〜20)エステル(酢酸ビニル等)、そのエーテル[例えば、アルキル(炭素数1〜20)エーテル(ビニルオクチルエーテルおよびアリルヘキシルエーテル等)、ヒドロキシアルキル(炭素数2〜4)エーテルおよびポリオキシアルキレン(アルキレン基の炭素数2〜5)エーテル]およびそのアセタール(ホルマールおよびアセトアセタールブチラール等]が挙げられる。
【0050】
ハロゲン含有ビニルモノマーとしては、塩素含有モノマー、例えば塩化ビニル、塩化ビニリデンおよびアリルクロライドが挙げられる。
オレフィンと他のビニルモノマーの重量比は、5/95〜95/5が好ましく、さらに好ましくは50/50〜90/10、特に70/30〜90/10である。
【0051】
(B)の好ましい具体例としては、アルケンの(共)重合体、例えばポリプロピレン、ポリエチレン、プロピレンとエチレンの共重合体、プロピレンおよび/またはエチレンと炭素数4〜12のα−オレフィンの1種以上との共重合体(ランダムまたはブロック、重量比9:1〜1:9)が挙げられる。
(B)の他の具体例としては、アルケンと他のビニルモノマーとの共重合体[エチレン/酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)およびエチレン/エチルアクリレート共重合樹脂(EEA)等]ならびに(ポリ)シクロアルケン(テトラシクロドデセン等)およびその誘導体(ジメチルテトラシクロドデセン等)の共重合体が挙げられる。
【0052】
(B)のメルトフローレート(MFR)は0.5〜150が好ましく、さらに好ましくは1〜100である。メルトフローレートは、JIS K6758−1981(ポリプロピレン系樹脂の場合;温度230℃、荷重2.16kgf、ポリエチレン系樹脂の場合;温度190℃、荷重2.16kgf)に準じて測定することができる。
(B)のMnは、通常20,000〜500,000である。
(B)の溶融温度(JIS K7121−1989)は85〜165℃が好ましく、さらに好ましくは100〜165℃である。
(B)の体積固有抵抗値は1×1015〜1×1016Ω・cmが好ましい。
【0053】
本発明の多層フィルムにおいて、層(X)を構成する帯電防止性樹脂組成物中の(A)の含有量は要求される性能に応じて種々変えることができるが、十分な帯電防止性および機械強度を付与する観点から、(A)と(B)の合計重量に基づいて0.5〜40%が好ましく、さらに好ましくは1〜30%である。
【0054】
基層(Y)を構成する熱可塑性樹脂としては、例えば、ビニル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、熱可塑性ポリウレタン樹脂およびこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
【0055】
ビニル樹脂を構成するビニルモノマーには、オレフィン、その他の脂肪族炭化水素ビニルモノマー、芳香族ビニルモノマー、アクリルモノマー、その他の不飽和カルボン酸およびその誘導体、不飽和アルコールおよびその誘導体およびハロゲン含有ビニルモノマーならびにこれらの2種以上の組み合わせが含まれる。これらの具体例としては、前述の(B)を構成するモノマーと同様のものが挙げられ、Bと同一でも異なっていてもよい。
ビニル樹脂にはポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、ゴム状(共)重合体、ハロゲン含有ビニル樹脂およびその他のビニル樹脂が含まれる。
【0056】
ポリオレフィン樹脂としては、前述の(B)と同様のものが挙げられ、(B)と同一でも異なっていてもよい。
ポリスチレン樹脂としては、芳香族ビニルモノマーの1種以上の(共)重合体およびこれらのモノマーの1種以上と他のビニルモノマーの1種以上(重量比20/80〜100/0が好ましく、さらに好ましくは50/50〜90/10)との共重合体が含まれる。
具体的には、例えばポリスチレン、ポリビニルトルエン、ならびにスチレンとメタクリル酸メチル、アクリロニトリルおよびブタジエンからなる群より選ばれる1種または2種以上の単量体との共重合体[例えばスチレン/アクリロニトリル共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合体(ABS樹脂)、スチレン/メタクリル酸メチル/アクリロニトリル共重合体、メタクリル酸メチル/ブタジエン/スチレン共重合体(MBS樹脂)およびスチレン/ブタジエン共重合体]が挙げられる。
【0057】
アクリル樹脂としては、アクリルモノマーの1種以上の(共)重合体およびこれらのモノマーの1種以上と他のビニルモノマーの1種以上(重量比20/80〜100/0が好ましく、さらに好ましくは50/50〜90/10)との共重合体が含まれる。具体的には、例えばポリメタクリル酸メチルおよびポリアクリル酸ブチルが挙げられる。
【0058】
ゴム状(共)重合体にはジエンの(共)重合体およびジエンと他のモノマー(オレフィン、芳香族ビニルモノマーおよび/またはアクリロニトリル等)との共重合体(重量比20/80〜100/0が好ましく、さらに好ましくは50/50〜90/10)が含まれ、例えばポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリクロロプレン、エチレン/プロピレン/ブタジエン共重合体およびアクリロニトリル/ブタジエン共重合体が挙げられる。
【0059】
ハロゲン含有ビニル樹脂としては、例えばポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンおよび塩素化ポリエチレンが挙げられる。
その他のビニル樹脂としては、不飽和アルコール[ビニルアルコールおよび(メタ)アリルアルコール等]およびその誘導体[カルボン酸(炭素数2〜4)エステル(酢酸ビニル等)、アルキル(炭素数1〜20)エーテルおよびアセタール等]の1種以上の(共)重合体、例えばポリビニルアルコール、ポリビニルブチラールおよびポリ酢酸ビニルが挙げられる。
【0060】
ポリアミド樹脂としては、炭素数6〜12またはそれ以上のアミド形成成分[アミノカルボン酸(Q1−2)、ラクタム(Q1−1)ならびにジアミン(Q1−3)およびジカルボン酸(Q1−4)のうち炭素数が6〜12のもの等]から構成されるポリアミド、例えばナイロン66、ナイロン69、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン6、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン46、ナイロン6/66およびナイロン6/12が挙げられる。
【0061】
ポリエステル樹脂としては、縮合ポリエステル、例えば炭素数2〜40のジカルボン酸(Q1−4)および/またはこれらのエステル形成性誘導体(炭素数1〜4のアルキルエステルおよび無水物等)とジオール[前記(b0)における二価アルコール等]との縮合物ならびにポリラクトン[例えば炭素数6〜12のラクトン(カプロラクトン等)]の開環重合物が挙げられる。
具体的には、芳香族ポリエステル(例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートおよびポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート)および脂肪族ポリエステル(例えばポリブチレンアジペート、ポリエチレンアジペートおよびポリ−ε−カプロラクトン)等が挙げられる。
【0062】
ポリアセタール樹脂としては、ホルムアルデヒドまたはトリオキサンのホモポリマー(例えばポリオキシメチレンホモポリマー)およびホルムアルデヒドまたはトリオキサンと環状エーテル(炭素数2〜4のAO例えばEO、POおよびジオキソラン)との共重合体[例えばポリオキシメチレン/ポリオキシエチレンコポリマー(ポリオキシメチレン/ポリオキシエチレン重量比90/10〜99/1ブロック共重合体)]等が挙げられる。
ポリカーボネート樹脂としては、ビスフェノール骨格を有するポリカーボネート(例えばビスフェノールAとホスゲンとの縮合物)およびビスフェノールAと炭酸ジエステルとの縮合物等が挙げられる。
【0063】
熱可塑性ポリウレタン樹脂としては、有機ジイソシアネート、高分子ジオール、鎖伸長剤および必要により反応停止剤をワンショット法またはプレポリマー法により、反応させて得られるポリウレタン等が挙げられる。
有機ジイソシアネートとしては、前記有機ジイソシアネートが挙げられる。
高分子ジオールとしては、Mn500〜5000またはそれ以上のジオール、例えばポリエーテルジオール、ポリエステルジオールおよびこれらのジオール中で前記ビニルモノマー(アクリロニトリルおよび/またはスチレン等)を重合させて得られるポリマーポリオールが挙げられる。
【0064】
ポリエーテルジオールとしては、前記ポリエーテルジオール(b1−1)のうちMnが500〜5000のものが使用でき、例えばポリプロピレングリコールおよびポリテトラメチレングリコールが挙げられる。
ポリエステルジオールには、前記(b0)における二価アルコールおよび/または(b1−1)のうちMnが1000以下のものと(Q1−4)とを反応させて得られる縮合ポリエステルジオール、炭素数6〜12のラクトン(カプロラクトン等)の開環重合により得られるポリラクトンジオール、前記(b0)における二価アルコールと低級アルコール(メタノール等)の炭酸ジエステルまたはアルキレンカーボネートとを反応させて得られるポリカーボネートジオール等が含まれる。
【0065】
これらのポリエステルジオールの具体例としては、ポリエチレンアジペートジオール、ポリヘキサメチレンアジペートジオール、ポリカプロラクトンジオールおよびポリヘキサメチレンカーボネートジオール等が挙げられる。
鎖伸長剤としては、ジオール[前記(b0)における二価アルコール等]およびジアミン(Q1−3)等が挙げられる。
反応停止剤としては、一価アルコール(n−ブチルアルコール等)、一級もしくは二級モノアミン(モノまたはジ−n−ブチルアミン等)およびモノもしくはジアルカノールアミン(モノまたはジエタノールアミン等)が挙げられる。
【0066】
基層(Y)を構成する熱可塑性樹脂としては、上述した(B)と同様のポリオレフィン樹脂が好ましい。
熱可塑性樹脂のMnは、通常20,000〜500,000である。
【0067】
透明性を示す指標である多層フィルムのへーズは、0.1〜10%が好ましく、さらに好ましくは0.1〜6%、特に0.1〜4%である。
ヘーズはJIS K7105−1981の方法により測定することができる。
【0068】
本発明の多層フィルムの層(X)においては、(B)中に(A)が粒状、棒状または層状微分散体として分散しているのが好ましい。
未延伸のフィルムでは(A)は微粒子として存在するが、これを一軸延伸すると(A)が延伸方向に引き伸ばされて棒状となり、さらに多軸延伸するとそれぞれの延伸方向に引き伸ばされて層状(微小なフィルム状)となる。
【0069】
未延伸のフィルムでは、帯電防止性の観点から(A)の数平均分散粒子径は0.05〜1μm、特に0.05〜0.8μmが好ましい。
一軸方向に延伸してフィルムを作成した場合は、帯電防止性の観点からその延伸方向に垂直な断面での(A)の数平均分散粒子径は、0.01〜1μm、特に0.05〜0.8μmが好ましい。一軸方向に延伸した場合は、未延伸の場合に対して(A)の数平均分散粒子径は1/3〜1/50となるのが好ましい。
【0070】
多軸方向に延伸してフィルムを作成した場合は、その延伸方向に垂直な断面での(A)の層の厚みの数平均値は、帯電防止性の観点から、0.005〜0.5μm、特に0.005〜0.3μmが好ましい。多軸方向に延伸した場合の(A)の層の厚みの数平均値は、未延伸の場合の(A)の数平均分散粒子径に対して1/10〜1/100となるのが好ましい。
【0071】
未延伸、または一軸方向に延伸した場合の(A)の数平均分散粒子径は以下の様にして測定する。
フィルムを液体窒素中で延伸方向に垂直になるように(未延伸の場合は特に方向は定めない)破断し、その破断面を一般的な手法により、走査型電子顕微鏡または透過型電子顕微鏡で観察することによって実施される。分散粒子径は撮影した写真について目視または画像解析装置によって求められる。適当な範囲(例えば10μm×10μm)の中でN個の粒子についてその分散粒子径dNを求めたとき、その数平均分散粒子径Dは
D=ΣdN/N
により算出される。
【0072】
多軸方向に延伸した場合、(A)の層の厚みの数平均値は、以下の様にして測定する。
フィルムを液体窒素中で延伸方向を含む面に対し垂直になるよう破断し、その破断面の写真を上記と同じようにして撮影する。適当な範囲(例えば10μm×10μm)の中でN個の層についてその厚みtNを求めたとき、(A)の層の厚みの数平均値Tは
T=ΣtN/N
により算出される。
【0073】
本発明における帯電防止性樹脂組成物は、ポリオキシアルキレン基、水酸基、アミノ基、エポキシ基、カルボキシル基およびメルカプト基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基を有する有機変性シリコーンオイル(C)を含有することで、成型時の離型性が向上し、かつ帯電防止性も向上するという効果を有する。
【0074】
(C)としては、ポリオキシアルキレン基、水酸基、アミノ基、エポキシ基、カルボキシル基およびメルカプト基からなる群より選ばれる少なくとも1種の変性基を、分子末端および/または側鎖に1〜5個またはそれ以上有する有機変性シリコーンオイルが挙げられる。
具体的には、ポリオキシアルキレン(オキシアルキレンの炭素数2〜4、重合度5〜100)変性シリコーンオイル、アルコール変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、カルボキシ変性シリコーンオイル、オレフィン変性シリコーンオイル、アクリル変性シリコーンオイル、フルオロアルキル変性シリコーンオイルおよびメルカプト変性シリコーンオイル等の変性シリコーンオイルが挙げられる。
【0075】
(C)のMnは800〜10,000が好ましく、さらに好ましくは1,000〜8,000である。
なお、変性基を有しない通常のジメチルポリシロキサン等のストレートシリコーンオイルを使用した場合には、樹脂組成物からのブリードアウトがはげしく、離型効果が向上したとしても帯電防止性が低下したり、フィルム表面がべとついて著しく外観を損ねる。
【0076】
(C)の量は、(A)と(B)の合計重量に基づき、通常10%以下、好ましくは0.05〜10%、さらに好ましくは0.05〜1%である。
(C)の量が10%を超えると樹脂の機械的強度が低下することがある。(C)を0.05%以上用いることにより離型性が向上する。
【0077】
層(X)を構成する樹脂組成物は、(A)、(B)および必要により(C)を含有するが、その他種々の用途に応じ、該組成物の特性を阻害しない範囲でさらに他の樹脂用添加剤を任意に含有することができる。
他の樹脂用添加剤としては、充填材[無機充填剤(シリカ等)および有機充填剤(有機架橋微粒子等)等]、核剤(ジベンジリデンソルビトールおよび安息香酸ソーダ等)、滑剤(ステアリン酸カルシウム等)、可塑剤(アジピン酸エステル等)、酸化防止剤(リン系酸化防止剤等)、難燃剤(水酸化アルミニウム等)、紫外線吸収剤(ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤等)および抗菌剤(ゼオライト系抗菌剤等)等が挙げられる。
【0078】
本発明の多層フィルムは(1)(A)、(B)ならびに必要により(C)および/またはその他の樹脂用添加剤を混合する工程、(2)製膜工程、(3)ロール等で冷却する工程および必要に応じて(4)延伸工程を経て製造することができる。
【0079】
混合工程
本発明の樹脂組成物の混合方法は、特に限定されないが、例えば(1)(A)、(B)ならびに必要により(C)および/またはその他の樹脂用添加剤をタンブルミキサー、リボンブレンダーまたはヘンシェルミキサー等でドライブレンドして混合する方法、(2)各成分を上記の方法でドライブレンドした後、押出機で溶融混合してペレット化する方法、(3)(A)と(B)とのマスターバッチを予め作成しておき、該マスターバッチ、(B)ならびに必要により(C)および/またはその他の樹脂用添加剤を上記混合機でドライブレンドして混合する方法が挙げられる。本発明ではブロックポリマー(A)が(B)との相溶性に優れることから、(1)の方法でも良好なフィルムを得ることができる。
【0080】
製膜工程
製膜方法については、特に限定はなく、公知の各種の製膜方法(押出成形、インフレーション法およびチューブラー法等)を用いることができる。
製膜時に(X)および/または(Y)を構成する樹脂に発泡剤(塩化メチル、ブタン、炭酸ガスおよびアゾビスイソブチロニトリル等)を添加することにより発泡層を形成することができる。
いずれの方法においても、共押出が可能なダイスより樹脂を積層した状態で押出して製膜するか(Y)に(X)をラミネートするかまたは(X)と(Y)を接着剤もしくは接着層を用いて貼り合わせることで多層フィルムの製膜が可能になる。
【0081】
共押出では、例えば(X)を構成する樹脂の温度はその加熱流動温度85〜230℃、(Y)を構成する樹脂の温度はその加熱流動温度85℃〜280℃、ダイスの温度は180〜280℃で実施するのが好ましい。
ラミネートする方法では、例えば各層を積層した後に加熱圧着してもよいし、予め、それぞれの接合面を加熱装置によって加熱した後に接合して圧着してもよい。
貼り合わせる方法において使用される接着剤は、特に限定されないが、エチレン−酢酸ビニル共重合体およびメタアクリル酸メチル重合体エラストマー[タフプレン、タフテック:旭化成工業(株)]等の接着剤が好ましい。
【0082】
延伸工程
延伸方法としては、例えば予め無延伸のフィルムを製膜した後、別工程で延伸する方法(ロールの周速度の差を利用して延伸する方法およびテンター法等)と、フィルムの生産工程に延伸工程が含まれるような方法(インフレーション法およびチューブラー法)を挙げることができる。
【0083】
一軸延伸フィルムの場合では、例えば(1)共押出で多層フィルムを押出し、これを加熱ロール間で流れ方向に延伸する方法、(2)基層(Y)のみまたは積層した(Y)を押出し、これを加熱ロール間で流れ方向に延伸した後、層(X)を積層し、テンター型オーブンで流れ方向に延伸する方法が挙げられる。
二軸延伸フィルムの場合では、例えば(1)共押出で多層フィルムを押出し、これを加熱ロール間で流れ方向に延伸した後、テンター型オーブンで流れ方向と垂直な方向に延伸する方法、(2)(Y)のみまたは積層した(Y)を押出し、これを加熱ロール間で流れ方向に延伸した後、(X)を積層し、テンター型オーブンで流れ方向と垂直な方向に延伸する方法が挙げられる。
【0084】
延伸倍率は、いずれの製膜方法においても、一軸延伸の場合、好ましくは2〜20倍、二軸延伸の場合、好ましくはそれぞれの方向に2〜15倍である。本発明の帯電防止性樹脂フィルムは延伸工程を経ることで、さらに優れた帯電防止性を発現する。
【0085】
また、本発明の帯電防止性樹脂フィルムには、用途、目的に応じて、コロナ処理や火炎処理等の表面処理を行うこともできる。
この場合、帯電防止性樹脂層の面であっても、帯電防止性樹脂層が積層されていない(片側に積層の場合)裏面側であっても良い。
【0086】
本発明の多層フィルムに印刷する方法としては、一般的にプラスチックフィルムの印刷に用いられる印刷法であればいずれも用いることができ、例えば、グラビア印刷、スクリーン印刷およびオフセット印刷が挙げられる。印刷用インキとしてはプラスチックの印刷に通常用いられるものが使用できる。
【0087】
本発明の多層フィルムは、優れた帯電防止性および強度を有し、また透明性に優れることから、インスタント食品、マヨネーズ等の食品用包装袋、タバコの個包装、クリーニングの袋、紙にラミネートするプリントラミ等の包材用フィルム、床材用シート、農業用フィルム、テープ用材料およびプラスチック製ケース用シート等の帯電防止性を必要とする各種成型材料として極めて有用である。
また、本多層フィルムは、その優れた帯電防止性を利用して、防曇性を必要とする各種フィルムとしても極めて有用である。
【0088】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
なお、以下において部は重量部を示す。
【0089】
製造例1
熱減成法で得られたMn2,500、密度0.89の低分子量ポリプロピレン85部と無水マレイン酸15部とを、窒素ガス雰囲気下200℃で溶融し、20時間反応を行った。その後、未反応の無水マレイン酸を減圧下留去して酸変性ポリプロピレンを得た。このものの酸価は39.8、Mnは2,800であった。
【0090】
製造例2
製造例1で用いたのと同じ低分子量ポリプロピレン80部を160℃で溶融し、無水マレイン酸7部および12−アミノドデカン酸14部を加え窒素下1時間反応を行った。その後200℃で20時間反応を行い酸変性ポリプロピレンを得た。このものの酸価は32.1、Mnは2,800であった。
【0091】
製造例3
ステンレス製オートクレーブに、製造例1で得られた酸変性ポリプロピレン41部、Mn4,000のポリエチレングリコール59部、酸化防止剤(「イルガノックス1010」、チバガイギー社製。以下同様)0.3部および酢酸ジルコニル0.5部を加え、230℃、1mmHg以下の減圧下の条件で3時間重合し、粘稠なポリマーを得た。このポリマーをベルト上にストランド状で取り出し、ペレタイズすることによって、Mn22,000のポリエーテル変性ポリオレフィンブロックポリマー[A−1]を得た。
【0092】
製造例4
ステンレス製オートクレーブに、製造例2で得られた酸変性ポリプロピレン64部、Mn2,000のポリエチレングリコール36部、酸化防止剤0.3部および酢酸ジルコニル0.5部を加え、230℃、1mmHg以下の減圧下の条件で4時間重合し、粘稠なポリマーを得た。このポリマーをベルト上にストランド状で取り出し、ペレタイズすることによって、Mn25,000のポリエーテル変性ポリオレフィンブロックポリマー[A−2]を得た。
【0093】
実施例1〜5
表1に示す配合組成でドライブレンドした帯電防止性樹脂組成物と、基層(Y)を構成する熱可塑性樹脂としてポリプロピレン(下記[B−1])を共押出が可能なT型ダイを備えた押出機(シリンダー温度220℃)により溶融押出し、20℃の冷却ロールで急冷することにより厚さ70μmの無延伸フィルムとした。この無延伸フィルムを145℃に加温したバッチ式延伸装置で延伸し、表面に2μmの帯電防止性樹脂層(X)を有する厚さ14μmの一軸延伸および二軸延伸フィルムとした。
比較例1および2
表1に示す配合組成で帯電防止性樹脂組成物をT型ダイを備えた押出機(シリンダー温度220℃)により溶融押出し、単層のフィルムとする以外は、上記実施例と同様の方法で、フィルムを作成した。
【0094】
表1における[B−1]、[B−2]、[C−1]および[C−2]は以下の通りである。
[B−1];ポリプロピレン[商品名「グランドポリプロ F103」、グランドポリマー(株)製]。
[B−2];ポリエチレン[商品名「ノバテックLL UJ960」、日本ポリケム(株)製]。
[C−1];両末端ポリオキシエチレン変性シリコーンオイル[商品名「SF8427」、東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製]、粘度320cSt.、水酸基当量1,200、ポリオキシエチレン含量50%。
[C−2];側鎖アミノ変性シリコーンオイル[商品名「SF8417」、東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製]、粘度1,200cSt.、アミノ基当量1,800。
【0095】
【表1】
Figure 0003962267
【0096】
性能試験
本発明の多層フィルムおよび比較のフィルムについて、押出成型時の冷却ロールにおけるロール離型性、フィルムの表面固有抵抗値、二軸延伸フィルムのヘーズ、一軸延伸フィルムのブロックポリマー(A)の分散粒子径および二軸延伸フィルムの引張強度を下記試験法により測定した。その結果を表2に示す。
(1)ロール離型性 :未延伸フィルム成形開始から2時間後の冷却ロール面を観察することによって評価する。
Figure 0003962267
(2)表面固有抵抗値:(a)水洗前;成形後のフィルムを、23℃、湿度50%RH雰囲気下に48時間放置した後、ASTM D257−78(Reapproved 1983)に準拠し測定する。
(b)水洗後;成形後、試験片を洗剤(ママレモン;ライオン(株)製)水溶液で洗浄処理し、次いでイオン交換水で充分洗ったのち、表面の水分を乾燥除去してから23℃、湿度50%RH雰囲気下に24時間放置した後、表面固有抵抗値を測定する。
(3)ヘーズ :JIS K7105−1981に準拠して、二軸延伸フィルム1枚のヘーズを測定する。
(4)分散粒子径 :一軸延伸フィルムについて、上述した方法(透過型電子顕微鏡法)で測定する。
(5)引張強度 :二軸延伸フィルムについて、JIS K7127−1989に準拠して測定する。
【0097】
【表2】
Figure 0003962267
【0098】
表2から明らかなように、本発明の多層フィルムは、比較例1に比べ帯電防止性に優れており、比較例2に比べフィルム強度に優れており、ロール離型性も良好である。以上のことから、本発明の多層フィルムは帯電防止性、離型性および強度が顕著に優れていることがわかる。
【0099】
【発明の効果】
本発明の多層フィルムは、従来技術では達し得なかった、優れた永久帯電防止性および強度を有し、しかも透明性および離型性(成形性)にも優れるという効果を有する。
上記効果を奏することから本発明の多層フィルムは、インスタント食品、マヨネーズ等の食品用包装袋、タバコの個包装、クリーニングの袋、紙にラミネートするプリントラミ等の包材用フィルム、床材用シート、農業用フィルム、テープ用材料およびプラスチック製ケース用シート等の帯電防止性を必要とする各種成型材料として極めて有用である。
また、本多層フィルムは、その優れた帯電防止性を利用して、防曇性を必要とする各種フィルムとしても極めて有用である。

Claims (8)

  1. ポリオレフィン(a)のブロックと、体積固有抵抗値が1×105〜1×1011Ω・cmの親水性ポリマー(b)のブロックとが、繰り返し交互に結合した構造を有するブロックポリマー(A)およびポリオレフィン樹脂(B)を必須成分とする帯電防止性樹脂組成物からなる厚みが0.1〜50μmの層(X)と、熱可塑性樹脂からなる基層(Y)とからなり、(X)および(Y)の少なくとも一層が一軸または多軸に延伸されてなり、未延伸のフィルムでは(A)の数平均分散粒子径が0.05〜1μmであり、一軸方向に延伸したフィルムではその延伸方向に垂直な断面での(A)の数平均分散粒子径が0.01〜1μmであり、多軸方向に延伸したフィルムでは(A)の層の厚みの数平均値が0.005〜0.5μmであることを特徴とする多層フィルム。
  2. (b)がポリエーテル基含有ポリマー、カチオン性基含有ポリマーおよびアニオン性基含有ポリマーからなる群より選ばれる少なくとも1種のポリマーである請求項1記載の多層フィルム。
  3. 熱可塑性樹脂がビニル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂および熱可塑性ポリウレタン樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の熱可塑性樹脂である請求項1または2記載の多層フィルム。
  4. 帯電防止性樹脂組成物が、ポリオキシアルキレン基、水酸基、アミノ基、エポキシ基、カルボキシル基およびメルカプト基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基を有する有機変性シリコーンオイル(C)を、(A)と(B)の合計重量に対して、0.05〜10重量%含有してなる請求項1〜3いずれか記載の多層フィルム。
  5. ヘーズが0.1〜10%である請求項1〜4いずれか記載の多層フィルム。
  6. (X)が、(B)中に(A)が粒状、棒状または層状微分散体として分散されてなる微分散構造を有する請求項1〜5いずれか記載の多層フィルム。
  7. 帯電防止性樹脂組成物と熱可塑性樹脂とを共押出し、一軸または多軸に延伸する請求項1〜6いずれか記載の多層フィルムの製造方法。
  8. 請求項1〜6いずれか記載の多層フィルムからなる食品包装袋、クリーニングの袋、包材用フィルム、床材用シートまたはテープ用材料。
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