JP5954943B2 - 積層フィルム - Google Patents
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Description
前記高分子帯電防止剤(A)がポリオレフィン(a1)およびポリウレタン(a4)の群から選ばれた少なくとも1種のポリマーブロック(a)と親水性ポリマーブロック(b)とを有するブロックポリマー(A1)であり、
プロピレン系重合体(B)がプロピレン単独重合体の場合には前記高分子帯電防止剤(A)の配合比が15〜35質量%(高分子帯電防止剤(A)とプロピレン系重合体(B)の合計で100質量%とする)、
プロピレン系重合体(B)がランダム共重合体の場合には前記高分子帯電防止剤(A)の配合比が7〜35質量%(高分子帯電防止剤(A)とプロピレン系重合体(B)の合計で100質量%とする)であり、
二軸延伸フィルム層(I)が、当該積層フィルムの最表面に位置していないことを特徴とする積層フィルムに関する。
また、本発明の積層ポリプロピレンフィルムにおいては、フィルム層(II)が、少なくとも一方向に延伸されていることが好適であり、中でも二軸延伸されていることがさらに好適である。
本発明に用いられる高分子帯電防止剤(A)としては、帯電防止性を有するポリマーを広く利用することができる。例えば、ポリエーテルエステルアミドなどのポリアミド系コポリマー、カリウムアイオノマーなどのカルボン酸塩基含有ポリマー、ポリアクリル酸エステル系4級アンモニウム塩、ポリスチレン系4級アンモニウム塩などの第4級アンモニウム塩基含有コポリマーなどが挙げられる。
本発明においては、高分子帯電防止剤(A)として、ポリオレフィン(a1)、ポリアミド(a2)、ポリエステル(a3)及びポリウレタン(a4)の群から選ばれた少なくとも1種のポリマーブロック(a)と親水性ポリマーブロック(b)とを有するブロックポリマー(A1)が好適である。また、これらの中でもポリマーブロック(a)がポリオレフィン(a1)であることが好適である。
本発明に用いるプロピレン系重合体(B)には、プロピレンの単独重合体の他にプロピレンを主成分とし、これとプロピレン以外の炭素数2〜20のα―オレフィンとの共重合体がある。中でも、プロピレンとエチレンの共重合体、プロピレンとエチレン、炭素数4から8のα−オレフィンとの共重合体等のプロピレンの含有量が80質量%以上、より好ましくは85質量%以上の重合体であり、これらはランダム共重合体でも、ブロック共重合体であってもよく、本発明ではこれらから選ばれる少なくとも1種類以上の重合体であり、そのメルトフローレート(MFR、ASTM D−1238 荷重2.160g、温度230℃)は0.5から20g/10分、特に1〜10g/10分の範囲であるものが好適である。
本発明に用いるプロピレン系重合体(C)には、プロピレン系共重合体(C−1)及びプロピレン単独重合体(C−2)から選ばれる少なくとも1種以上のプロピレン系重合体(C)がある。そのメルトフローレート(MFR、ASTM D−1238 荷重2.160g、温度230℃)は0.5から20g/10分、特に1〜10g/10分の範囲が好適である。
本発明に用いるプロピレン系共重合体(C−1)には、上記のプロピレン系重合体(B)として用いることができるポリマーのうち、プロピレンを主成分とし、これとプロピレン以外の炭素数2〜20のα―オレフィンとの共重合体がある。このようなプロピレン系共重合体(C−1)の中でも共重合成分としてエチレン、1−ブテン、1−ヘキセンから選ばれる1種以上の共重合成分が好適であり、ランダム共重合体、ブロック共重合体等があり、これらの1種あるいは、2種以上の重合体が用いられる。これらプロピレン系共重合体(C−1)の融点は、一般に125〜145℃、中でも130〜143℃であるものが好適である。このような融点範囲にあるプロピレン系共重合体を用いることにより、ヒートシール可能な二軸延伸フィルムを得ることができる。
本発明に用いるプロピレン単独重合体(C−2)は、その融点(示差走査型熱量計(DSC)を用い、昇温速度10(℃/分)での条件で測定した吸熱曲線から求めた融点)が159℃以上である重合体であり、ここでプロピレン単独重合体(C)とは、プロピレンのみの重合体、あるいはプロピレンと共にプロピレン以外のエチレン、1−ブテン等のα−オレフィンの割合が5質量%以下、中でも1質量%以下である重合体である。
本発明に係る帯電防止樹脂組成物は、ブロックポリマー(A1)などの高分子帯電防止剤(A)とプロピレン系重合体(B)からなり、これらを混合したもので、好ましくは押出機で溶融混合したのちに、フィルムに成形されて、基材となるフィルム層(I)となる。高分子帯電防止剤(A)とプロピレン系重合体(B)との好ましい配合比の範囲は後述するようにプロピレン系重合体(B)の種類によって異なる。
本発明に用いる粘着付与剤(D)は、一般に粘着付与剤として製造・販売されている樹脂状物質で、具体的には、クマロン・インデン樹脂等のクマロン樹脂、フェノール・ホルムアルデヒド樹脂、テルペン・フェノール樹脂、ポリテルペン樹脂及びキシレン・ホルムアルデヒド樹脂等のフェノール,テルペン樹脂、合成ポリテルペン樹脂、芳香族系炭化水素樹脂、脂肪族系炭化水素樹脂、脂肪族系環状炭化水素樹脂、脂肪族・脂環族系石油樹脂、脂肪族・芳香族系石油樹脂、不飽和炭化水素重合体、水素添加炭化水素樹脂及び炭化水素系粘着化樹脂等の石油系炭化水素樹脂、ロジンのペンタエリスリトール・エステル、ロジンのグリセロール・エステル、水素添加ロジン、水素添加ロジン・エステル、特殊ロジン・エステル及びロジン系粘着付与剤等のロジン誘導体及びテルペン系粘着付与剤等を例示できる。
本発明の積層フィルム、中でも二軸延伸積層ポリプロピレンフィルムは、上記の帯電防止樹脂組成物からなる基材となるフィルム層(I)及びプロピレン系重合体(C)からなるフィルム層(II)を有する二軸延伸積層フィルムであって、フィルム層(I)が、当該積層フィルムの最表面に位置していないことを特徴とするものである。
すなわち、実際の積層フィルム使用時において、高分子帯電防止剤(A)が他のフィルム層に拡散したり、ブリードアウトすることも予想されるが、仮にそのような現象により、他のフィルム層に移行する高分子帯電防止剤(A)が存在しても、それが微少量であれば、本発明で得られる透明性に優れ、かつ帯電防止効果の持続性に優れてた性能を実質的に損なうものではない。
この場合、フィルム層(III)は、ヒートシール層としての機能を発揮することができる。
本発明の積層フィルムは、例えば以下の方法によって製造することができる。
すなわち、上記の帯電防止樹脂組成物から二軸延伸フィルムを成形した後、それを基材となるフィルム層(I)とし、さらにその一方の面にプロピレン系重合体(C)からなる層(II)を積層し、もう一方の面に必要に応じて他のフィルム、紙、金属箔層、蒸着層等を積層して本発明の積層フィルムを製造する方法がある。
次に実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を越えない限りこれらの実施例に制約されるものではない。
(イ)融点
示差走査熱量計(DSC)(セイコーインスツルメンツ DSC220)を用い、昇温速度10℃/分の条件で測定した吸熱曲線で各樹脂の融点を測定した。
得られたサンプルから45mm×45mmの試験片を切り出し、温度23℃、湿度20%RHに24時間保管後、摩擦帯電圧測定器(大栄化学精器製作所製 RS−101D)を用いて摩擦帯電圧を測定した。摩擦布には綿布を用い、指示値が1kV以下となるものを帯電防止性が「良好」とした。
得られた二軸延伸フィルムから10×10cmの試験片を切り出し、温度23℃、湿度50%RH及び20%RHに24時間保管後、アドバンテスト社製デジタル超高抵抗/微量電流計(8340A)とレジスチビティチェンバ(R12704)を用いて表面固有抵抗率を測定した。表面固有抵抗率が1×1013Ω/□以下で帯電防止性を良好とした。
ヘイズはJIS K−7136に準拠し、デジタル濁度計日本電色社製「HAZE METER NDH2000」にてフィルム1枚の全ヘイズの測定を行った。全ヘイズが3%/枚以下を透明性が良好とした。
(1)ブロックポリマー(A−1)
無水マレイン酸変性ポリプロピレンブロック・ポリ(エチレングリコール)ブロック共重合体樹脂:
〔三洋化成工業(株)製、商品名 ペレスタットVH230〕:密度1.0g/cm3、融点163℃、体積固有抵抗値:3×107Ω・cm。MFR:7(190℃)。
プロピレンの単独重合体
〔(株)プライムポリマー製、商品名 F113G〕:密度0.91g/cm3、融点159℃、表面固有抵抗値:3×1016Ω/□。MFR:3(230℃)。
プロピレンの単独重合体
〔(株)プライムポリマー製、商品名 F113BG〕:密度0.91g/cm3、融点159℃、表面固有抵抗値:3×1016Ω/□。MFR:3(230℃)。
プロピレンの単独重合体
〔(株)プライムポリマー製、商品名 F109V〕:密度0.91g/cm3、融点162℃、表面固有抵抗値:3×1016Ω/□。MFR:30(230℃)。
〔プライムポリマー製、商品名 F327〕:密度0.91g/cm3、融点139℃、表面固有抵抗値:3×1016Ω/□。MFR: 7(230℃)。
二軸延伸ポリプロピレンフィルムからなる基材となるフィルム層(I)の原料に前記ブロックポリマー(A−1)とプロピレン系重合体(B−1)を20:80の質量比でドライブレンドした帯電防止性樹脂組成物層を用い、その表層及び裏層の原料にプロピレン系重合体(B−2)にAB剤としてポリメチルメタクリリレートを800ppm添加した樹脂を用い、それぞれ別の押出機に供給し、Tダイ法により多層シートを押出した。次いで、多層シートを縦延伸機で5倍に延伸し、テンター横延伸機で更に10倍延伸後、表層面にコロナ放電処理を施して20μmの二軸延伸積層多層フィルムを得た。各層の厚みは表層/フィルム層(I)/裏層=1.5/17/1.5ミクロンメータ(μm)であった。
得られた二軸延伸積層ポリプロピレンフィルムをサンプルとして、上記の方法で物性評価した。評価結果を表1に示す。
実施例1で用いた各層の厚みを、表層/フィルム層(I)/裏層=4.0/17/4.0(μm)に変更する以外は、実施例1と同様に行い、二軸延伸積層ポリプロピレンフィルムを得た。
評価結果を表1に示す。
実施例1で用いた帯電防止樹脂組成物に替えて、ブロックポリマー(A−1)とプロピレン系重合体(B−1)との質量比を10:90にした帯電防止樹脂組成物を用いる以外は実施例1と同様に行い、二軸延伸積層ポリプロピレンフィルムを得た。
評価結果を表1に示す。
二軸延伸積層ポリプロピレンフィルムの基材層にMFRが3.0g/10分のプロピレン系重合体(B−1)を用い、その表層の原料に前記ブロックポリマー(A−1)とMFRが3.0g/10分のプロピレン・エチレンランダム共重合体(1)を10:90にドライブレンドし、AB剤としてポリメチルメタクリリレートを800ppm添加した帯電防止性樹脂組成物層を、裏層の原料にプロピレン系重合体(B−2)にAB剤としてポリメチルメタクリレートを800ppm添加した樹脂を用い、それぞれ別の押出機に供給し、Tダイ法により多層シートを押出した。次いで、多層シートを縦延伸機で5倍に延伸した後、縦延伸フィルムの表層に、プロピレン・エチレンランダム共重合体(1)を単層ダイスで押出しラミネートした。次いで、テンター横延伸機で更に10倍延伸後、表層面にコロナ放電処理を施して二軸延伸積層多層フィルムを得た。各層の厚みはラミネート層/表層/基材層/裏層=1.5/1.5/17/1.5ミクロンメータ(μm)であった。
実施例3で用いたラミネート層樹脂に替えて、プロピレン系重合体(B−2)を用いる以外は実施例3と同様に行い、二軸延伸積層ポリプロピレンフィルムを得た。
実施例3で用いた帯電防止樹脂組成物に替えて、ブロックポリマー(A−1)とプロピレン・エチレンランダム共重合体(1)との質量比を20:80にした帯電防止樹脂組成物を用いる以外は実施例3と同様に行い、二軸延伸積層ポリプロピレンフィルムを得た。
実施例3で用いたラミネート層樹脂に替えて、プロピレン系重合体(B−3)を用い、さらに各層の厚みをラミネート層/表層/基材層/裏層=3.0/1.5/17/1.5ミクロンメータ(μm)に変更する以外は実施例3と同様に行い、二軸延伸積層ポリプロピレンフィルムを得た。
実施例6で用いた各層の厚みをラミネート層/表層/基材層/裏層=5.0/1.5/17/1.5ミクロンメータ(μm)に変更する以外は実施例3と同様に行い、二軸延伸積層ポリプロピレンフィルムを得た。
実施例6で用いた各層の厚みをラミネート層/表層/基材層/裏層=8.0/1.5/17/1.5ミクロンメータ(μm)に変更する以外は実施例3と同様に行い、二軸延伸積層ポリプロピレンフィルムを得た。
実施例3で用いた帯電防止樹脂組成物に替えて、表層をプロピレン・エチレンランダム共重合体(1)にした帯電防止樹脂組成物を用いる以外は実施例3と同様に行い、二軸延伸積層ポリプロピレンフィルムを得た。
実施例3で用いた帯電防止樹脂組成物に替えて、ブロックポリマー(A−1)とプロピレン系重合体(B−2)との質量比を10:90にした帯電防止樹脂組成物を用いる以外は実施例3と同様に行い、二軸延伸積層ポリプロピレンフィルムを得た。
Claims (3)
- 高分子帯電防止剤(A)とプロピレン系重合体(B)を含む帯電防止樹脂組成物からなる二軸延伸フィルム層(I)及びプロピレン系重合体(C)からなるフィルム層(II)を有する積層フィルムであって、
前記高分子帯電防止剤(A)がポリオレフィン(a1)およびポリウレタン(a4)の群から選ばれた少なくとも1種のポリマーブロック(a)と親水性ポリマーブロック(b)とを有するブロックポリマー(A1)であり、
プロピレン系重合体(B)がプロピレン単独重合体の場合には前記高分子帯電防止剤(A)の配合比が15〜35質量%(高分子帯電防止剤(A)とプロピレン系重合体(B)の合計で100質量%とする)、
プロピレン系重合体(B)がランダム共重合体の場合には前記高分子帯電防止剤(A)の配合比が7〜35質量%(高分子帯電防止剤(A)とプロピレン系重合体(B)の合計で100質量%とする)であり、
二軸延伸フィルム層(I)が、当該積層フィルムの最表面に位置していないことを特徴とする積層フィルム。 - 前記高分子帯電防止剤(A)を含む二軸延伸フィルム層(I)の両面側にプロピレン系重合体(C)からなるフィルム層(II)が設けられた少なくとも3層の積層フィルムであることを特徴とする請求項1に記載の積層フィルム。
- フィルム層(I)及びフィルム層(II)を含む少なくとも4層の二軸延伸積層フィルムであり、最外層に内側から接するフィルム層(I)が前記高分子帯電防止剤(A)を含むことを特徴とする請求項1に記載の積層フィルム。
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