JP3961633B2 - 空気入りタイヤのトレッド細溝形成方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は空気入りタイヤのトレッド細溝形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ウエット性能や氷上性能を向上させるため、トレッドには溝幅の狭い、いわゆるサイプと呼ばれる細溝が適用されている。上記サイプは、ブレードと呼ばれる金属板を加硫金型に植え付けることにより、タイヤの加硫成型時にトレッド部に形成される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記性能に合致させるためにサイプ間隔を変更する場合には、加硫金型を作りかえるか、新設する必要があり、コストと時間がかかるという問題がある。
【0004】
また、従来技術では、加硫金型にブレードを植え付けているため、ブレードの植え込み間隔を狭くする、また、ブレードの埋め込み密度を大きくすることによって更なる上記性能の向上を狙ってもゴム流れが悪くなり、ブロックの中央付近でベアが発生したり、ブロック剛性の低下によりタイヤがモールドから抜け出る際にブロックの一部又は全てが脱落してしまう不具合(ブロック欠け)により、ブレードの間隔を狭めたり、密度を多くするにも自ずと制限があった。
【0005】
本発明は上記事実を考慮し、製造上に問題を生じることなくトレッドに細溝を形成することのできる空気入りタイヤのトレッド細溝形成方法を提供することが目的である。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、一対のビードコア間にトロイド状をなして跨がるカーカスのクラウン部外周に補強層とトレッドを順次配置した空気入りタイヤの前記トレッドに細溝を形成する空気入りタイヤのトレッド細溝形成方法であって、前記トレッドの少なくとも接地部分の一部を、ゴム層と、前記ゴム層よりも厚みが薄く且つ前記ゴム層のゴムよりも強度の低い材質からなる繊維層と、が互いに隣り合うように積層された積層体とし、前記積層体を変形させ、前記繊維層を剥離させる及び又は繊維層自体を破壊することで前記ゴム層とゴム層との間に周方向溝よりも溝幅が狭い細溝を形成することを特徴としている。
【0007】
請求項1に記載の空気入りタイヤのトレッド細溝形成方法では、ゴム層と繊維層とが互いに隣り合うように積層された積層体を変形させると、繊維層がゴム層から剥離したり、
繊維層自身が破壊されたりしてゴム層とゴム層との間に細溝が形成される。
また、繊維層は、無数の繊維から構成されており、繰り返し変形によって剥離や破壊が起きやすい。
【0008】
本発明によれば、所望の間隔で繊維層を積層することができるので、同一の加硫金型で細溝間隔の異なる空気入りタイヤを製造することができ、加硫金型を作りかえたり新設する必要がない。また、ベア、ブロックの脱落等により、ブレードを用いた従来技術では不可能であった狭い間隔の細溝を持つ空気入りタイヤをも製造することができる。
【0009】
ところで、ブレードは、加工の問題及び曲がりや損傷の抑制のため、例えばトラックバス用のタイヤで0.6mm、乗用車用のタイヤで0.4mm以上の厚さに設定されているが、本発明では加硫金型にブレードを必要とせず、繊維層の厚さで細溝の幅を設定できるため、ブレードよりも薄い繊維層を用いることができる。したがって、タイヤ製造上に問題を生じさせずに従来よりも幅狭の細溝を簡単に形成することができる。
【0010】
なお、ゴム層と繊維層とが互いに積層された積層体はトレッドの少なくとも接地部分の一部にあれば良く、必ずしもトレッド全体に無くても良い。例えば、トレッドがキャップ・ベース構造である場合には、キャップ部のみをこのような積層体とすれば良い。
【0011】
トレッドは、ブロックパターン、リブパターン、ラグパターン等の何れのパターンであっても良く、パターン無し(溝無し)であっても良い。
【0012】
なお、積層体を変形させる方法としては、例えば、表面を適度に荒らした回転ドラムに押し当ててタイヤを回転させる方法、タイヤを車両に装着して走行させる方法、タイヤを振動する物体(バイブレーター等)に押し当てる方法等があるが、積層体に外力を付与して繊維層が剥離又は破壊されれば他の方法で行っても良い。
【0013】
【0014】
【0015】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の空気入りタイヤのトレッド細溝形成方法において、前記繊維層が不織布からなることを特徴としている。
【0016】
不織布は、例えば、緯糸と経糸とからなる織物と比較して薄く形成することができ、これによって幅狭の細溝を形成することが可能となる。さらに、不織布は、製造方法によって繊維の方向を一方向に揃えたり、ランダムにすることができ、ゴムとの剥離性及び破壊性を高めることができる。
【0017】
不織布の製法としては、カーディング法、抄紙法、エアレイ法、メルトブロー、スパンボンド法などがあり、これらの製法によってウェブを作製する。メルトブロー、スパンボンド法以外のウェブでの繊維の結合方法として、熱融着、バインダによる方法、水流または針の力で繊維を交絡させる水流絡合法、ニードルパンチ法を好適に利用することができる。とりわけ、水流または針で繊維を交絡させる水流絡合法、ニードルパンチ法およびメルトブロー、スパンボンド法により得られた不織布が好適である。
【0018】
請求項3に記載の発明は、一対のビードコア間にトロイド状をなして跨がるカーカスのクラウン部外周に補強層とトレッドを順次配置した空気入りタイヤの前記トレッドに細溝を形成する空気入りタイヤのトレッド細溝形成方法であって、前記トレッドの少なくとも接地部分の一部を、ゴム層と、液体によって溶解する溶解層とが互いに隣り合うように積層された積層体とし、前記溶解層に液体を付与して溶解層を溶解させることで前記ゴム層とゴム層との間に周方向溝よりも溝幅が狭い細溝を形成することを特徴としている。
【0019】
溶解層に液体を付与すると、付与された液体によって溶解層が溶解し、ゴム層とゴム層との間に細溝が形成される。なお、本発明によれば溶解層を完全に除去することができる。
【0020】
なお、溶解層を水によって溶解する材質で形成すると、路面の水によって溶解層が溶けるので、ウエット路面や氷路面を走行したときに水によって細溝を形成することができる。
【0021】
液体は、溶解層を溶かすことのできるものであれば水以外であっても良く、溶解層も水以外の液体で溶けるような材質であっても良い。
【0022】
なお、溶解層を、水溶性の繊維からなる繊維層としても良い。溶解層を水溶性の繊維からなる繊維層とすると、水分を吸収し易く、素早く溶ける。
【0023】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の空気入りタイヤのトレッド細溝形成方法において、前記積層体は、積層方向がタイヤ幅方向であることを特徴としている。
【0024】
請求項4に記載の空気入りタイヤのトレッド細溝形成方法では、積層体の積層方向がタイヤ幅方向であるので、形成される細溝の方向はタイヤ周方向となる。
【0025】
タイヤ周方向に延びる細溝は、接地面内の水をタイヤ周方向に排出するので、特に氷上ブレーキ性能が向上する。
【0026】
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の空気入りタイヤのトレッド細溝形成方法において、前記積層体は、積層方向がタイヤ周方向であることを特徴としている。
【0027】
請求項5に記載の空気入りタイヤのトレッド細溝形成方法では、積層体の積層方向がタイヤ周方向であるので、形成される細溝の方向はタイヤ幅方向となる。
【0028】
タイヤ幅方向に延びる細溝のエッジ効果により、特に氷上トラクション性能が向上する。
【0029】
【発明の実施の形態】
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態を図1乃至図3にしたがって説明する。
【0030】
本実施形態で説明する空気入りタイヤは、一対のビードコア間にトロイド状をなして跨がるカーカスのクラウン部外周に補強層としてのベルトとトレッドとを順次配置したラジアル構造の空気入りタイヤである。なお、トレッド以外の内部構造は、一般のラジアルタイヤの構造と変わりないので説明は省略する。
【0031】
図1に示すように、空気入りタイヤ10のトレッド12には、複数本の周方向溝14及びこの周方向溝14と交差する複数本の横溝16とによって複数のブロック18が形成されている。
【0032】
トレッド12は、直接路面に接地する上層のキャップ部12Aと、このキャップ部12Aのタイヤ内方に隣接して配置される下層のベース部12Bとから構成されており、いわゆるキャップ・ベース構造とされている。
【0033】
図2に示すように、キャップ部12Aはゴム層20と繊維層22とがタイヤ幅方向(矢印W方向)に交互に積層された構造である。
【0034】
本実施形態では、繊維層22に不織布が用いられている。
不織布は、引張、圧縮、剪断等に対して異方性が小さいことが好ましい。
【0035】
不織布を構成するフィラメント繊維の材質としては、綿、レーヨン、セルロースなどの天然高分子繊維、脂肪族ポリアミド、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリイミド、芳香族ポリアミドなどの合成高分子繊維、及びカーボン繊維、ガラス繊維、スチールワイヤのうちから選択した一種又は複数種の繊維を混合することが出来るが他の材質の繊維であっても良い。
【0036】
不織布に適用する繊維の直径又は最大径は、0.1〜100μmの範囲が好ましく、断面形状は円状のもの、又は円と異なる断面形状のもの、中空部を有するものを用いることが出来る。さらに、異なる材質を内層と外層に配置した芯鞘構造、或いは米字形、花弁形、層状形等の複合繊維も用いることができる。
【0037】
また、不織布に使用する繊維の長さは、8mm以上が好ましい。
不織布の厚さは0.05〜2.0mmの範囲が好ましく、(不織布の厚さは20g/cm2の加圧下で測定した)、目付(1m2 当たりの重量)は、10〜300gの範囲にあるのが好ましい。
【0038】
また、繊維自身は、内層、外層を異なる素材とする2層構造の繊維も不織布の材料として使用することができる。
【0039】
本実施形態の繊維層22は、ポリエステル(PET)繊維からなる不織布であり、目付40g/m2 、厚さ0.2mm、繊維径25μm、繊維長さ50mm、繊維の配向方向がタイヤ周方向である。
【0040】
次にブロック18に細溝を形成する手順の一例を説明する。
空気入りタイヤ10のトレッド12を、例えば、表面を適度に荒らした回転ドラムに押し当てて回転させ、ブロック18を繰り返し変形させる。ブロック18が繰り返し変形すると、図3に示すように、繊維層22の不織布が踏面側から剥離し始め(また、剥離した部分から繊維が脱落して行く)、ゴム層20とゴム層20との間に細溝24がトレッド内側へと形成されて行く。なお、繊維層22を構成する繊維は一部残っていても良い。
【0041】
これらの細溝24はタイヤ周方向に沿って延びており、接地面内の水をタイヤ周方向へ排水するので、ウエット性能及び氷上ブレーキ性能が向上する。
【0042】
なお、繊維層22は少なくとも無数の繊維によって層状となっており、入力によって細溝24が形成されるものであればその形態は問わない。
【0043】
【0044】
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態を説明する。
【0045】
上記第1の実施形態では、繊維層22に非水溶性のポリエステル繊維からなる不織布を用いたが、第2の実施形態では、水溶性繊維からなる不織布(本発明の溶解層)が用いられている。
【0046】
水溶性繊維としては、ビニルアルコールユニットが50モル%以上、平均重合度が100〜3000のケン化度80%未満のポリビニルアルコール系ポリマーを原料とし、紡出後の繊維に対してホルマール化・アセタール化等の耐水性を付与する処理を行っていない繊維を用いることができる。
【0047】
ビニルアルコールユニット及び酢酸ビニルユニット以外のユニットとしては、エチレン、アリルアルコール、イタコン酸、アクリル酸、無水マレイン酸等のポリビニルアルコールの結晶性を阻害するユニットが好ましい。
【0048】
次に、水溶性繊維の製造方法を簡単に説明する。
先ず、ビニルアルコールユニットが75モル%、酢酸ビニルユニットが25モル%からなる平均重合度が500のケン化度75モル%のポリビニルアルコール系ポリマーとジメチルスルフォキド(DMSO)を混合し、窒素置換後減圧下にて十分に脱泡を行い、45%のジメチルスルフォキド(DMSO)溶液を作製する。
【0049】
次に、この紡糸原液を孔径φ0.15mmの単孔ノズルより、2°Cのアセトン/DMSO(重量比:85/15)の混合溶液に湿式紡糸する。
【0050】
その後、アセトン/DMSO(重量比:95/5)の混合溶液中で4.5倍の延伸を行った後、アセトン中で十分にDMSOを除去し、80°Cで乾燥を行うことでポリビニルアルコール系繊維が得られる。なお、このポリビニルアルコール系繊維は、10°Cの水で溶解するものである。
【0051】
次にブロック18に細溝を形成する手順の一例を説明する。
空気入りタイヤ10のトレッド12にスプレー等により水を付与すると、水溶性繊維が除々に溶けて行き、ゴム層20とゴム層20との間に細溝24がトレッド内側へと形成されて行く。
【0052】
したがって、図4に示すように、ゴム層20とゴム層20との間に、繊維の無い細溝24を形成することが可能である。
【0053】
なお、細溝24が形成された空気入りタイヤ10としての作用効果は第1実施形態と同様である。
【0054】
また、前記第1の実施形態で説明した様に、空気入りタイヤ10を回転ドラムに押し当てて回転させ、水溶性繊維からなる繊維層22をある程度剥離させたり破壊した後に水を付与しても良く、回転させながら水を付与しても良い。
【0055】
また、細溝24を形成する方法としては、空気入りタイヤ10を実際に車両に装着し、水分のある路面を走行させても良い。
【0056】
なお、上記実施形態では、繊維層22がタイヤ周方向に沿って真っ直ぐに延びていたが、波状やジグザグ状に延びていても良く、タイヤ周方向に対して傾斜して延びていても良く、タイヤ幅方向に延びていても良い。
【0057】
また、キャップ部12Aをタイヤ径方向に複数層とし、上層側と下層側とで繊維層22の積層数を変えても良い。一般的に、摩耗中期〜摩耗末期にかけてウエット性能等が除々に低下するが、下層側の積層数を大きくすることで、摩耗中期〜摩耗末期に細溝24による排水作用を増大させ、ウエット性能等の低下を抑えることも可能である。
【0058】
本実施形態では、溶解層として水溶性繊維からなる繊維層22を用いたが、溶解層は水溶性繊維以外であっても良い。
【0059】
水で溶ける溶解層の具体的な材質としては、前記水溶性繊維の材質をフィルム状に形成したもの、オブラート等を上げることができるが、これら以外であっても良い。
【0060】
また、繊維層を溶かす液体は、可能な限りゴムを侵さないものが好ましく、その条件を満たす繊維層の材質と液体の組み合わせは、
PET →P−クロロフェノール
6Nylon,66Nylon →ギ酸
PE →デカリン
などがある。
【0061】
前記の水は雨天時の路面の水を利用できるが、水以外の前記液体は加硫成型後でかつ出荷前に使用して、事前に繊維層を溶かしておくことが好ましい。
【0062】
また、前記実施形態では、繊維層22とゴム層20とがタイヤ幅方向に積層されていたが、繊維層22とゴム層20とはタイヤ周方向に積層しても良い。繊維層22とゴム層20とはタイヤ周方向に積層すると、タイヤ幅方向に沿って延びる細溝24が形成され、細溝24のエッジ効果により、特に氷上トラクション性能が向上する。
(試験例)
本発明の適用された実施例のタイヤ5種、比較例のタイヤ2種を用い、ウエット性能、氷上ブレーキ性能及び偏摩耗性の比較を行った。
【0063】
氷上ブレーキ性能の試験方法:試験タイヤを実車に装着して氷上テストコースを走行させ、時速20km/hの時点でブレーキを踏んでタイヤをロックさせ、停止するまでの制動距離を測定した。結果は、制動距離の逆数を比較例1のタイヤを100として指数表示した。なお、数値が大きいほど氷上ブレーキ性能が良いことを示す。
【0064】
ウエット性能の試験方法:試験タイヤを実車に装着してウエット路面(テストコース)を走行させ、テストドライバーによるフィーリング評価を行った。結果は、比較例1のタイヤを100として指数表示した。なお、数値が大きいほどウエットフィーリングが良いことを示す。
【0065】
なお、氷上ブレーキ性能及びウエット性能は、テストコース(舗装路)を1000Km走行後のタイヤを用いて試験をおこなった。
【0066】
ウエット性能の試験方法:試験タイヤを実車に装着してウエット路面(テストコース)を走行させ、テストドライバーによるフィーリング評価を行った。結果は、比較例1のタイヤを100として指数表示した。なお、数値が大きいほどウエットフィーリングが良いことを示す。
【0067】
偏摩耗の試験方法:テストタイヤを実車に装着して2万km走行させ、ブロックの段差量を測定し、その逆数を比較例1のタイヤを100として指数表示した。なお、数値が大きいほど偏摩耗性が良いことを示す。
【0068】
次に供試タイヤの説明をする。
各供試タイヤ共に、タイヤ周方向長さ30mm、タイヤ幅方向長さ30mmのブロック(なお、周方向溝の溝深さ20mm、横溝の溝深さ15mm)を多数有したブロックパターンのタイヤであり(図1参照)、タイヤサイズはTBR11R22.5である。
【0069】
比較例1及び比較例2のタイヤは、従来通りブレードを用いてブロックにサイプを形成したタイヤである。
【0070】
実施例1乃至実施例3は、繊維層にポリエステル繊維からなる不織布を用いたタイヤであり、実施例4は繊維層にポリエチレン繊維からなる不織布を用いたタイヤであり、実施例5は繊維層に水溶性繊維(PVA:ポリビニルアルコール系繊維)からなる不織布を用いたタイヤである。
【0071】
なお、その他の諸元(寸法等)及び試験結果は以下の表1及び表2に示す通りである。
【0072】
【表1】
【0073】
【表2】
【0074】
ここで、比較例2のタイヤは、モールドにブロックが密着して脱落するため、所望のサイプ間隔のタイヤが製造出来なかった。
【0075】
試験の結果、表1及び2に示すように、実施例1〜5のタイヤはウエット性能、氷上ブレーキ性能及び偏摩耗性能が比較例1のタイヤに比較して向上していることが分かる。
【0076】
また、繊維層に水溶性繊維からなる不織布を用いた実施例5のタイヤは、繊維層に非水溶性繊維からなる不織布を用いたタイヤに対して細溝の深さが深くなり、ウエット性能及び氷上ブレーキ性能を一層向上できた。
【0077】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に記載の空気入りタイヤのトレッド細溝形成方法では、製造上に問題を生じることなくトレッドに細溝を形成することができる、という優れた効果を有する。また、細溝を形成し易い、という優れた効果を有する。
【0078】
【0079】
請求項2に記載の空気入りタイヤのトレッド細溝形成方法では、従来よりも幅狭の細溝を形成することができる、という優れた効果を有する。
【0080】
請求項3に記載の空気入りタイヤのトレッド細溝形成方法では、内部に不要なものの介在しない細溝を形成することができる、という優れた効果を有する。
【0081】
請求項4に記載の空気入りタイヤのトレッド細溝形成方法では、特に氷上ブレーキ性能を向上させることができる、という優れた効果を有する。
【0082】
請求項5に記載の空気入りタイヤのトレッド細溝形成方法では、特に氷上トラクション性能を向上させることができる、という優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施形態に係る空気入りタイヤのトレッドのタイヤ幅方向に沿った断面図である。
【図2】 ブロック(新品時)の拡大断面図である。
【図3】 摩耗したブロックの拡大断面図である。
【図4】 水溶性繊維からなる繊維層が溶解して除去されたトレッドの拡大断面図である。
【符号の説明】
10 空気入りタイヤ
20 ゴム層
22 繊維層(溶解層)
Claims (5)
- 一対のビードコア間にトロイド状をなして跨がるカーカスのクラウン部外周に補強層とトレッドを順次配置した空気入りタイヤの前記トレッドに細溝を形成する空気入りタイヤのトレッド細溝形成方法であって、
前記トレッドの少なくとも接地部分の一部を、ゴム層と、前記ゴム層よりも厚みが薄く且つ前記ゴム層よりも強度の低い繊維層と、が互いに隣り合うように積層された積層体とし、
前記積層体を変形させ、前記繊維層を剥離させる及び又は繊維層自体を破壊することで前記ゴム層とゴム層との間に周方向溝よりも溝幅が狭い細溝を形成することを特徴とする空気入りタイヤのトレッド細溝形成方法。 - 前記繊維層が不織布からなることを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤのトレッド細溝形成方法。
- 一対のビードコア間にトロイド状をなして跨がるカーカスのクラウン部外周に補強層とトレッドを順次配置した空気入りタイヤの前記トレッドに細溝を形成する空気入りタイヤのトレッド細溝形成方法であって、
前記トレッドの少なくとも接地部分の一部を、ゴム層と、液体によって溶解する溶解層とが互いに隣り合うように積層された積層体とし、
前記溶解層に液体を付与して溶解層を溶解させることで前記ゴム層とゴム層との間に周方向溝よりも溝幅が狭い細溝を形成することを特徴とする空気入りタイヤのトレッド細溝形成方法。 - 前記積層体は、積層方向がタイヤ幅方向であることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の空気入りタイヤのトレッド細溝形成方法。
- 前記積層体は、積層方向がタイヤ周方向であることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の空気入りタイヤのトレッド細溝形成方法。
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