JPH09202116A - タイヤ - Google Patents

タイヤ

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JPH09202116A
JPH09202116A JP8307812A JP30781296A JPH09202116A JP H09202116 A JPH09202116 A JP H09202116A JP 8307812 A JP8307812 A JP 8307812A JP 30781296 A JP30781296 A JP 30781296A JP H09202116 A JPH09202116 A JP H09202116A
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JP
Japan
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fiber layer
tire
layer chip
tread
water
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JP8307812A
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Tomoyuki Hirabayashi
友幸 平林
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Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】 表面に水膜が発生しているアイスバーン等、
滑りやすい路面を走行する場合であっても、優れたグリ
ップ力を発揮できるタイヤを提供する。 【解決手段】 タイヤ10に存する溝26に、水膨潤性
を有する繊維層チップ22を入れて固定したことを特徴
とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、トレッドに存する
溝に、水膨潤性を有する繊維層チップを入れて固定した
タイヤに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、積雪路面、圧雪路面またはアイス
バーンを走行する際には、スパイクタイヤを使用するこ
とによってスリップを防いでいた。しかし、スパイクタ
イヤは、タイヤのトレッドに埋め込まれた金属製のスパ
イクピンが路面を削り取ってしまい、削り取られた粉塵
が人体に悪影響を及ぼしたり、さらに、削り取られた路
面の補修等にも莫大な費用がかかっていたため大きな社
会問題となっていた。このため、スパイクタイヤは19
91年から使用禁止となり、その後はスタッドレスタイ
ヤが出現している。
【0003】スタッドレスタイヤは、通常のタイヤと比
較してトレッドの柔軟性を高めると共に、サイプを設け
ることによってグリップ力を増したタイヤである。以下
にスタッドレスタイヤのグリップ力の発生について説明
する。まず、路面と接するトレッドパターンの溝が雪を
かき集めつつ雪をつかむ。さらに、荷重によりトレッド
パターンの溝が縮もうとする収縮運動、および荷重がか
かるために起こるトレッドのたわみで、トレッドパター
ンの溝がつかんだ雪を固めて、トレッドパターンと路面
との間に雪柱を形成する。そして、この雪柱を、タイヤ
が微細なスリップを繰り返すことで積雪路面または圧雪
路面から引き裂いて離すことによって起こる、剪断によ
る摩擦力がタイヤと路面との間に発生する。また、路面
の雪の凹凸に対して追従性が良く、柔軟性のあるトレッ
ド、ブロックの角、またはサイプの角が、路面上の雪に
食い込み、さらに、食い込んだブロックの角やサイプの
角が、微細なスリップを繰り返して雪を後方へ排出する
ことによって起こる、掘り起こしによる摩擦力がタイヤ
と路面との間に発生する。また、トレッドにこのような
剪断による摩擦力と掘り起こしによる摩擦力がかかる
と、これらの摩擦力にかかる方向にトレッドが引き伸ば
され、エネルギーが貯えられる。このトレッドの変形が
戻る時に内部で分子−分子間の摩擦により熱としていく
らかのエネルギーが消費されることによって、弾性ヒス
テリシスロスによる摩擦力が発生する。スタッドレスタ
イヤのグリップ力は、前記3つの摩擦力の総和になるの
で、積雪路面、圧雪路面、またはアイスバーンにおいて
優れたグリップ力が発生する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、スタッドレス
タイヤは、微細なスリップを繰り返し、路面との間で摩
擦を起こすことによってグリップ力を生じているため
に、通常の走行速度時速40km〜50kmで走行し
て、微細なスリップの繰り返しが激しくなると、トレッ
ドパターンの接地面と路面との間の摩擦が大きくなり、
圧雪路面またはアイスバーン上に水膜を発生させる。特
に、スタッドレスタイヤによる摩擦で、アイスバーン上
に水膜が発生して、アイスバーン上の凹凸がなくなるほ
ど磨かれた路面がミラーバーンであり、気温が高く、ア
イスバーンの表面が溶けた路面がウェットオンアイスで
ある。このような、ミラーバーンやウェットオンアイス
等の滑りやすい路面をスタッドレスタイヤで走行する
と、路面上の水膜が邪魔をして、トレッド、ブロックの
角、またはサイプの角が、水膜の下のアイスバーンに食
い込むことができないので、グリップ力が皆無となって
しまう。このようにグリップ力がなくなると、駆動輪が
唐突に滑ったり、車体が流れてスピンをしてしまった
り、コーナリングをするとそのまま横に滑っていってし
まい抑えが利かなかったり、ブレーキングをすると瞬時
にロックをしてステアリングを切っても車の向きは変わ
らないといったコントロール不可能な状態に陥いる。上
述したようなミラーバーンやウェットオンアイス等の滑
りやすい路面に対して、従来の対処方法としては、水膜
をグリップの大敵として捉え、この連続して瞬間的に発
生する水膜あるいは表面が溶けて発生している水膜をト
レッドパターン、サイプ、およびコンパウンドに気泡を
混入させる等の改良、または撥水ゴムの採用により除
水、吸水、または弾き飛ばすという方法で取り除き、ト
レッドを路面に密着させることにあった。しかし、ゴ
ム、油、およびカーボンが主成分であるコンパウンド
と、水膜の下のアイスバーンとはなじむことができない
ので、トレッドが、水膜を取り除くと同時に接地した瞬
間に、トレッドと接触したアイスバーンの表面がまた溶
け出して、水膜が発生してしまうという悪循環が生じて
いた。
【0005】このような理由により、水膜をグリップの
大敵としてとらえ対処し、アイスバーンになじむことの
できないコンパウンド自体に新テクノロジーを投入する
という従来の発想の基に研究、技術開発をしてきたスタ
ッドレスタイヤでは、スパイクタイヤを上回るグリップ
力を発揮することはできなかった。また、スタッドレス
タイヤがグリップ力を発揮できる、タイヤと路面との間
の摩擦係数の限界は0.15である。しかし、タイヤと
ミラーバーンとの間の摩擦係数は0.03〜0.08し
かないので、スタッドレスタイヤがミラーバーン上でグ
リップ力を発揮することは従来の発想では無理であっ
た。
【0006】上述してきたように、発明者は、グリップ
力を発揮させない水膜を大敵としてとらえ水膜の下のア
イスバーンになじむことのできないコンパウンド自体に
新テクノロジーを投入して対処していく方法によって、
スタッドレスタイヤのグリップ力を得ようとする発想に
は無理があり、不合理であることに気づいた。そこで、
トレッドと繊維層チップとの構成によって、逆に水膜を
強力な味方とすることによって、グリップ力を得るとい
う発想に切り変えた。そこで、無理なく合理的に、格段
にすぐれたグリップを得ることができる、トレッドの溝
に水膨潤性を有する繊維層チップを固定したタイヤに想
到した。したがって、本発明は上記課題を解決すべくな
され、その目的とするところは、表面に水膜が発生して
滑りやすい路面を走行する場合であっても、優れたグリ
ップ力を有するタイヤを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
の本発明は、タイヤのトレッドに存する溝に、水膨潤性
を有する繊維層チップを入れて固定したことを特徴とし
ている。この構成を採用することによって、繊維層チッ
プは、アイスバーン上に水膜が発生している路面であっ
ても、水膜を吸収すると、突出して水膜の下のアイスバ
ーンになじむことができる繊維層の先端が、アイスバー
ンに瞬間的にもぐり込み、びっしりとはりついて無数の
繊維が層になっている網の目の中にぎっしりと氷柱を形
成することによって、グリップ力を発揮することができ
る。また、前記トレッドの接地によって溝が変形し、水
を吸収した前記繊維層チップが、該トレッドの接地面か
ら突出するようにしたので、乾燥した路面では優れた操
縦性と、省燃費とを図ることができ、水膜が発生した路
面を走行中においては、水を吸収して膨潤した繊維層チ
ップが、溝の変形によって、側面を圧縮されて押し延ば
されトレッドのたわみ分だけトレッドの接地面よりも突
出して水膜の下のアイスバーンに食い込み、グリップ力
を得ることができる。また、前記繊維層チップは、前記
タイヤの幅方向に沿って設けられている溝に装着される
ので、水を吸収して膨潤した繊維層チップが、溝の変形
によって突出し、水膜の下のアイスバーンに食い込む
と、タイヤが路面上の氷を後方へ排出する際に発生する
掘り起こし摩擦力が大きくなり、優れたグリップ力を得
ることができる。また、前記繊維層チップは、前記タイ
ヤの周方向に沿って設けられている溝に装着することに
よっても、水を吸収して膨潤した繊維層チップが、溝の
変形によって突出し、水膜の下のアイスバーンに食い込
み、優れたグリップ力を得ることができる。また、前記
繊維層チップを、革とすることによって、水膨潤性、弾
力性、および強度とを有する繊維層チップとなる。ま
た、前記繊維層チップを、革と吸水性高分子とを化学結
合させたものとすることによって、革よりも吸水性と保
水性が良くなるので、水膜がない路面と水膜を有する路
面とを交互に走行する場合でも、水膜を有する路面上に
来た時には短時間でトレッドの接地面から突出できる。
また、前記繊維層チップは、革、合成皮革、織布もしく
は不織布と、吸水性高分子を配合した親水性ゴムとを交
互に重ね合わせ、加硫したものとすることによって、水
の吸水性がよくなり、短時間でトレッドの接地面から突
出できる。また、前記繊維層チップは、前記溝内の奥部
側部分で前記溝内に固定されているので、繊維層チップ
がトレッドの接地面から突出することを妨げない。ま
た、前記繊維層チップは、前記溝内の奥部側部分に、側
方に突出する突起部が形成され、該突起部により溝内に
抜け止めされて配置されているので、走行中に繊維層チ
ップが抜け落ちることを防ぐことができる。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な実施例につ
いて添付図面と共に詳述する。図1に、繊維層チップを
装着したタイヤの断面図を示す。図1において、繊維層
チップを装着したタイヤ10は、スタッドレスタイヤ2
0に繊維層チップ22を装着したものである。この繊維
層チップ22は、両サイドに存する各ブロック24に複
数本形成されているサイプ26を押し広げて、サイプ2
6内部に装着される。このとき、繊維層チップ22とサ
イプ26の奥部とは接着剤によって接着され、繊維層チ
ップ22はトレッド面と同一の高さになっている。この
ような繊維層チップ22は、タイヤ1本につき140本
程度装着しておけば、ミラーバーン等の走行時に充分グ
リップ力を発揮できる。なお、両サイドに存するブロッ
クだけではなく、中央部に存するブロックにも繊維層チ
ップ22を装着してもよい。また、かかる繊維層チップ
22は、乾燥した路面に接地している部分では、タイヤ
にかかる荷重によってトレッドと共に圧縮されている。
しかし、一旦路面から離れると、図2に示すように、繊
維層チップ22はすぐには元の高さに戻れず、トレッド
の接地面から、1.2mm〜1.5mm程度凹んだ状態
である。この、繊維層チップ22は水を吸収すると膨潤
し、トレッドの収縮運動によってトレッド面まで押し延
ばされる。そして路面と接地している部分では荷重によ
るトレッドのたわみ分だけトレッドの接地面より突出す
る。このように、乾燥した路面では繊維層チップはトレ
ッドの接地面から突出しないので、良好な乗り心地を実
現できる。
【0009】図3に、繊維層チップの好適な実施の一例
を示す。図3において、繊維層チップ30は2枚のなめ
し革の繊維層30bと繊維層30bとを接着剤を用いて
はりあわせたものである。かかるなめし革はクロムなめ
し法等の方法によって強度、復元力、柔軟性、耐水性、
弾力性、および良好な水吸収性を有するようになめされ
ているものを用いる。この繊維層30bは、細長い繊維
が無数に入り組んで層を成し、網の目を形成している繊
維の集合体である。このため、繊維層チップ30の繊維
が水膜を吸収すると、繊維層チップ30が突出して水膜
の下のアイスバーンになじむことができる繊維層の先端
が、アイスバーンに瞬間的にもぐり込み、びっしりとは
りついて無数の繊維が層になっている網の目の中にぎっ
しりと氷柱を形成することによって、グリップ力を発揮
することができる。また、図4に示すように、繊維層チ
ップ32の底面側側面に突起部32aを設けてもよい。
かかる突起部付の繊維層チップ32をトレッドに装着す
るには、まず、タイヤのトレッドに、突起部32aを収
納するための突起用溝33aが形成されている装着溝3
3を、設けておくことが必要である。このように、突起
部付の繊維層チップ32を、トレッドに設けた装着溝3
3に装着すると、突起部32aと、装着溝33の奥部に
存する突起部用溝33aとが嵌合するので、繊維層チッ
プ32がタイヤから抜けることを防ぐことができる。こ
のような突起付の繊維層チップは、図5に示すようなな
めし革を用いて製造するとよい。なめし革34は、中央
部34aが表皮、または表皮に似せて形成された部分の
みの構成になるように、繊維層が削り取られており、そ
の削り取られる幅は、中央部34aの両側に形成されて
いる繊維層34bの厚さdの2倍よりも若干長く形成さ
れる。ついで、このなめし革34の表面上に接着剤を塗
布して、繊維層34b同士を向かい合わせに接着する。
さらに、中央部34aを、向かい合わせに接着された繊
維層34b、34bの底面に接着する。このとき、中央
部34aは繊維層34bの厚さdよりも若干長く形成さ
れた分だけ幅方向に突出し、突起部となる。また、なめ
し革34の中央部34aに、金属板36をはりつけた際
の説明図を図6に示す。金属板36は突起部の芯として
はりつけられ、突起部が折れ曲がってタイヤから抜け落
ちることを防ぐことができる。
【0010】また、上述してきたようななめし革製の繊
維層チップ以外の実施の形態を以下に説明する。図7
に、不織布と親水性ゴムとを重ね合わせた繊維層チップ
を示す。繊維層チップ37は不織布38と親水性ゴム3
9とを交互に重ね合わせて加硫して、親水性ゴム39が
不織布38へ浸透したものを、所定のチップの形状に形
成したものである。この親水性ゴム39には吸水性高分
子が配合されており、路面上のわずかな水膜からでも、
瞬間的に水を吸収できるので、繊維層チップ37は容易
にトレッドの接地面から突出することができる。
【0011】ところで、繊維層チップはスタッドレスタ
イヤ以外のタイヤに装着してもよい。特に、以下に説明
するような省燃費・低騒音タイヤに繊維層チップを装着
すると好適である。省燃費・低騒音タイヤは、転がり抵
抗を小さくするために、タイヤを細くして接地面積を小
さくすると共に、トレッドを硬くしてタイヤの変形を抑
え、トレッドを硬くしてもグリップ力が高くなるように
改質されたスチレンブタジエンゴムをコンパウンドに用
い、材料使用量を減らして軽量化することによって燃費
を抑えている。また、低騒音を実現するために、省燃費
・低騒音タイヤは、タイヤを細くして接地面積を小さく
すると共にブロックを小さくし、各縦溝ごとにブロック
の接地位置をずらし、さらにブロックを菱形となるよう
に横溝を斜めに切ることで、圧縮空気によるパターンエ
アポンピング音を小さくしている。しかし、その省燃費
・低騒音性能を高めれば高めるほどグリップ力を失って
しまっていた。このため、コンパウンドの改質だけでは
グリップ力が不足し、雨の日の濡れた舗装路面で滑りや
すかったり、ブレーキの利きが悪かったり、またコーナ
リング中の踏ん張り力が弱くなり横滑りを起こしたり、
といった危険な省燃費・低騒音タイヤであり、新しい原
材料による画期的な進歩、改良が求められていた。さら
に、上述した省燃費・低騒音タイヤで問題となるのは、
タイヤのグリップ性能はタイヤの表面温度で変化するの
で、雨でタイヤが冷やされるとトレッドが硬くなってグ
リップ力がますます低下してしまうことである。また、
省燃費・低騒音タイヤは、舗装路面の水を押し退けてト
レッドが接地する性能を高めるための接地面の排水路の
役割を果たす溝を浅くしてあるため、排水性能が低く、
耐ハイドロプレーニング性能が低下したタイヤでもあっ
た。
【0012】そこで、このような課題を解決するため
に、省燃費・低騒音タイヤのサイプまたは装着溝に繊維
層チップを装着すると、雨に濡れた舗装路面では、繊維
層チップは、路面上の水膜を吸収し、膨潤する。このと
き、荷重により溝の間隔が縮もうとする収縮運動、およ
び荷重がかかるために起こるたわみにより、繊維層チッ
プは押し延ばされてトレッドの接地面から突出する。ま
た、このとき、水を吸収して膨潤した繊維層チップの側
面が圧縮され、繊維層チップは吸収した水を吹き出し
て、サイプの側壁との間に水膜を形成する。この側壁と
繊維層チップとの間に形成された水膜が、繊維層チップ
がトレッド面から突出する際の潤滑剤としての働きをし
て、繊維層チップは良好にトレッド面から突出すること
ができる。このように、トレッドの接地面から突き出し
た繊維層チップは、舗装路面を覆った水膜を押し切っ
て、舗装路面に接地するために、格段に優れたグリップ
力を発揮する。このため、省燃費・低騒音タイヤは、雨
に濡れた舗装路面においても格段に安全性が高くなる。
また、繊維層チップは、乾燥した舗装路面では、タイヤ
のトレッド面よりも1.2mm〜1.5mm程度凹んだ
ままの状態で転動し、接地面では荷重により圧縮されて
たわんだトレッドと同一面で接地する。また、乾燥した
繊維層チップは、無視できるほど小さい転がり抵抗と、
騒音を吸収すると共にロードノイズを低下させる吸振効
果とを有し、さらに、非常に軽いので、乾燥した舗装路
面でも省燃費・低騒音タイヤの性能を低下させることは
ない。
【0013】また、上述してきたような繊維層チップ
を、タイヤに装着する部位、数、または形状は、ウイン
タータイヤ、省燃費・低騒音タイヤ、オールシーズンタ
イヤ、サマータイヤ、産業用タイヤ等のそれぞれのタイ
ヤの重視する性能と目的にあわせて様々に対応させるよ
うにするとよい。さらに、繊維層チップに様々な色彩を
付して、タイヤのサイズや種類の識別に利用すれば、見
分けにくいタイヤの判別を容易にすると共に華やかさを
演出することができる。
【0014】また、上述してきた繊維層チップの実施の
形態は、装着溝またはサイプを直線として捉えた形に装
着できる形状に作成したものであるから、このような形
状以外に例えば波形あるいは円弧状等の繊維層チップの
形状が考えられる。さらに、気温が0℃以下に下がって
も水を吸収した繊維層チップが凍結しないように、なめ
し革に予め凍結防止処理を施しておく場合と、サマータ
イヤや省燃費・低騒音タイヤに用いる場合のように凍結
防止処理を施さなくても良い場合とがある。
【0015】次に、本発明に係るタイヤに発生するグリ
ップ力について説明する。例として、ミラーバーンを走
行する場合を図示して説明する。上述したように、ミラ
ーバーンとは、スタッドレスタイヤによる摩擦で、アイ
スバーン上に水膜が発生して、アイスバーン上の凹凸が
なくなるほど磨かれた路面である。図8において、道路
40の表面は、スタッドレスタイヤによって凹凸がなく
なるほど磨かれたアイスバーン42であり、この、アイ
スバーン42の表面はタイヤの摩擦等により水膜44が
生じている。また、繊維層チップ22を装着したタイヤ
のブロックの断面の一部を符号24で示している。乾燥
した路面を走行中の繊維層チップ22は、上述してきた
ように先端部分がサイプ26の隙間内にあり、トレッド
の接地面から突出しない。しかし、繊維層チップ22
が、路面上の水膜44を吸収すると、繊維層チップ22
は膨潤する。また、これと同時に、図8の矢印方向にト
レッドのブロックが縮もうとする収縮運動、および荷重
によって図8の点線矢印方向にブロックが縮もうとする
たわみにより、膨潤した繊維層チップ22は押し延ばさ
れ、先端がトレッドの接地面から突出する。さらに、前
記収縮運動により繊維層チップ22の側面が圧縮される
と、繊維層チップ22は吸収した水を吹き出して、側壁
との間に水膜を形成する。この側壁と繊維層チップ22
との間に形成された水膜は、繊維層チップ22の先端部
分がトレッド面から突出する際の潤滑剤としての働きを
するので、繊維層チップ22の先端部分は良好にトレッ
ドの接地面から突出することができる。
【0016】トレッドの接地面から突出した繊維層チッ
プ22は、水膜44の発生によって柔らかくなったアイ
スバーン42内に食い込み、圧縮されて止まるまで突き
進む。このとき、繊維層チップ22の繊維が水膜44を
吸収すると、繊維層チップ22が突出して水膜44の下
のアイスバーンになじむことができる繊維層の先端が、
アイスバーン42に瞬間的にもぐり込み、びっしりとは
りついて無数の繊維が層になっている網の目の中にぎっ
しりと氷柱を形成することによって、グリップ力を発揮
することができる。そして、この氷柱がアイスバーン4
2上から剪断される時に生じる抵抗によって、前述した
雪柱の場合と同じような剪断による摩擦力がトレッドの
接地面とアイスバーン42との間に発生する。また、繊
維層チップ22の角が微細なスリップを繰り返し、トレ
ッドが接触し、溶かして柔らかくなった氷を、繊維層チ
ップ22が掘り起こして、タイヤの進行方向から後方へ
排出する時に生じる抵抗により、掘り起こしによる摩擦
力がトレッドの接地面とアイスバーン42との間に発生
する。さらに、ブロックに前記剪断による摩擦力と前記
掘り起こしによる摩擦力がかかると、これらの摩擦力が
かかる方向にブロックが引き伸ばされ、エネルギーが貯
えられる。このブロックの変形が戻る時に、内部で分子
−分子間の摩擦によりいくらかのエネルギーを失い、熱
として消費されることによって、弾性ヒステリシスロス
による摩擦力がトレッドの接地面とアイスバーン42と
の間に発生する。繊維層チップを装着したタイヤで発生
する摩擦力は、上述した剪断による摩擦力、掘り起こし
による摩擦力、および弾性ヒステリシスロスによる摩擦
力との総和になり、この摩擦力の総和が繊維層チップを
装着したタイヤのグリップ力となる。
【0017】このように、ミラーバーンを走行する際に
繊維層チップを装着したタイヤが生じるグリップ力は、
従来のスタッドレスタイヤがミラーバーンを走行する際
には発生することがなかった。このため、繊維層チップ
を装着したタイヤは、従来のスタッドレスタイヤでは滑
りやすかったミラーバーンにおいても、優れたグリップ
力を発揮し、スリップせずに走行することができる。
【0018】
【発明の効果】本発明に係るタイヤによれば、ミラーバ
ーンやウェットオンアイス等の滑りやすい路面を走行す
る場合であっても、繊維層チップが水を吸収することに
よって膨潤し、トレッドの収縮運動やたわみによってト
レッドの接地面から突出して水膜の下のアイスバーンに
食い込み、優れたグリップ力を発揮する。また、繊維層
チップは、トレッドと共に摩耗していくが、舗装路面を
削り取らないという特徴によって粉塵公害を引き起こさ
ず、無公害のウインタータイヤを供給できる。また、
(社)日本自動車タイヤ協会のテストデータによると、
従来のスタッドレスタイヤはミラーバーンでの制動距離
は、時速30kmで44.3m、時速40kmで78.
7mを必要とする。しかし、本発明に係るタイヤのミラ
ーバーンにおける制動距離は、時速40kmで約10
m、時速50kmで約16mなので従来のスタッドレス
タイヤとは比較にならないほどの格段に優れた制動力を
発揮する。
【図面な簡単な説明】
【図1】本発明に係るタイヤの斜視図である。
【図2】繊維層チップが圧縮された状態を示すブロック
の断面図である。
【図3】革製の繊維層チップの斜視図である。
【図4】突起部付繊維層チップをサイプに装着した際の
斜視図である。
【図5】突起部付繊維層チップを製造する際に好適なな
めし革の斜視図である。
【図6】突起部の芯にするために金属板をはりつけたな
めし革の斜視図である。
【図7】不織布と親水性ゴムとを重ね合わせた繊維層チ
ップの斜視図である。
【図8】本発明に係るタイヤのグリップ力を説明するた
めのタイヤおよび路面の断面図である。
【符号の説明】
d 繊維層の厚さ 10 繊維層チップを装着したタイヤ 20 スタッドレスタイヤ 22 繊維層チップ 24 ブロック 26 サイプ 30 革製の繊維層チップ 30b 繊維層 32 突起部付の繊維層チップ 32a 突起部 33 装着溝 33a 突起用溝 34 なめし革 34a 中央部 34b 繊維層 36 金属板 37 不織布と親水性ゴムとを重ね合わせた繊維層チッ
プ 38 不織布 39 親水性ゴム 40 道路 42 アイスバーン 44 水膜

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 タイヤのトレッドに存する溝に、 水膨潤性を有する繊維層チップを入れて固定したことを
    特徴とするタイヤ。
  2. 【請求項2】 前記トレッドの接地によって溝が変形
    し、水を吸収した前記繊維層チップが、該トレッドの接
    地面から突出することを特徴とする請求項1記載のタイ
    ヤ。
  3. 【請求項3】 前記繊維層チップは、前記タイヤの幅方
    向に沿って設けられている溝に装着されることを特徴と
    する請求項1または2記載のタイヤ。
  4. 【請求項4】 前記繊維層チップは、前記タイヤの周方
    向に沿って設けられている溝に装着されることを特徴と
    する請求項1または2記載のタイヤ。
  5. 【請求項5】 前記繊維層チップは、革であることを特
    徴とする請求項1、2、3または4記載のタイヤ。
  6. 【請求項6】 前記繊維層チップは、革と吸水性高分子
    とを化学結合させたものであることを特徴とする請求項
    1、2、3または4記載のタイヤ。
  7. 【請求項7】 前記繊維層チップは、革、合成皮革、織
    布もしくは不織布と、 吸水性高分子を配合した親水性ゴムとを交互に重ね合わ
    せ、加硫したものであることを特徴とする請求項1、
    2、3または4記載のタイヤ。
  8. 【請求項8】 前記繊維層チップは、前記溝内の奥部側
    部分で前記溝内に固定されていることを特徴とする請求
    項1、2、3、4、5、6または7記載のタイヤ。
  9. 【請求項9】 前記繊維層チップは、前記溝内の奥部側
    部分に、側方に突出する突起部が形成され、該突起部に
    より溝内に抜け止めされて配置されていることを特徴と
    する請求項1、2、3、4、5、6または7記載のタイ
    ヤ。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH1148715A (ja) * 1997-08-04 1999-02-23 Bridgestone Corp 空気入りタイヤのトレッド細溝形成方法
JP2009132229A (ja) * 2007-11-29 2009-06-18 Bridgestone Corp 空気入りタイヤ
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WO2017104780A1 (en) 2015-12-17 2017-06-22 Compagnie Generale Des Etablissements Michelin A tire comprising a tread
WO2017222005A1 (en) 2016-06-22 2017-12-28 Compagnie Generale Des Etablissements Michelin A tire comprising a tread

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