JP3171722B2 - 防滑突起、防滑シート及びその製造方法 - Google Patents

防滑突起、防滑シート及びその製造方法

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JP3171722B2 JP09394993A JP9394993A JP3171722B2 JP 3171722 B2 JP3171722 B2 JP 3171722B2 JP 09394993 A JP09394993 A JP 09394993A JP 9394993 A JP9394993 A JP 9394993A JP 3171722 B2 JP3171722 B2 JP 3171722B2
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幹育 中西
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、氷上や凍結面等におけ
る滑り止めを必要とする靴底や自動車用タイヤ等の接地
面に用いられる防滑突起、防滑シート及びその製造方法
の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、降雪地域や冬期の夜間等におい
ては、路面等が凍結し、歩行者等が足元を滑らせて転倒
し負傷することがある。また、降雨時においても、溝や
段差に嵌められた鋼板上等において、靴底が滑り、歩行
者が転倒する危険性がある。このような危険性を除去す
るため、従来から、滑り止め効果を目的とする多数の防
滑突起及びこのような防滑突起を多数有する防滑シート
を用いた防滑靴底が提供されている。また、特に降雪、
降雨時におけるスリップ事故等を防止するために、滑り
止め効果を必要とする自動車用タイヤ等においても、近
年、粉塵公害等を考慮して、チェーンやスパイクタイヤ
ではなく、タイヤの接地面に用いられる防滑突起等の滑
り止め構造につき、様々な技術が提供されている。
【0003】このような防滑突起や防滑シートについて
は、従来、いずれの分野においても、その突起を、金属
短繊維等の硬質繊維や、また、金属フレーク等のフィラ
ー等を混入した樹脂から形成し、このように混入された
硬質繊維等を接地面に対して垂直的に配向することによ
り、この硬質繊維等をエッジとして、滑り止めを図って
いた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、この従来技術
のように、硬質繊維等を樹脂に混入すると、硬質繊維等
が接地面に対して、必ずしも垂直に配向されるとは限ら
ず、このため、この従来技術では、必ずしも充分な滑り
止め効果を発揮することができない欠点があった。
【0005】また、特に、混入した硬質繊維等を接地面
に対して垂直的に配向することはできるとしても、その
ためには、比較的高度な技術と設備を要する等非常に面
倒で、またコストもかかる欠点があった。
【0006】本発明の目的は、上記の欠点を回避し、簡
易かつ迅速に低コストで製造することができると共に、
充分な滑り止め効果を発揮することができる防滑突起、
またこのような防滑突起を多数有する防滑シート及びそ
の製造方法を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の課題を
解決するための第一の手段として、例えば金属長繊維の
如き多数の防滑材を集積して成る薄層体に形成された立
ち上がり部と、この薄層体の立ち上がり部により形成さ
れた凹状陥部内に充填されて薄層体の立ち上がり部によ
って密接して囲まれる樹脂とから成り、薄層体の立ち上
がり部を形成する防滑材は接地面に対して垂直またはほ
ぼ垂直に指向されていることを特徴とする防滑突起を提
供するものである。
【0008】また、本発明は、上記の課題を解決する第
二の手段として、多数の防滑突起を有する防滑シートに
おいて、この多数の防滑突起は、例えば金属長繊維の如
き多数の防滑材を集積して成る薄層体に形成された立ち
上がり部と、この薄層体の立ち上がり部により形成され
た凹状陥部内に充填されて薄層体の立ち上がり部によっ
て密接して囲まれる樹脂から成り、薄層体の立ち上がり
部を形成する防滑材は接地面に対して垂直またはほぼ垂
直に指向されていることを特徴とする防滑シートを提供
するものである。
【0009】更に、本発明は、上記の課題を解決するた
めの第三の手段として、多数の防滑突起を有する防滑シ
ートを製造する方法において、例えば金属長繊維の如き
多数の防滑材を集積して薄層体を形成する工程と、この
薄層体に立ち上がり部を形成してこの立ち上がり部を形
成する多数の防滑材を接地面に対して垂直またはほぼ垂
直に指向させる工程と、この立ち上がり部に密接して囲
まれる樹脂を形成するように立ち上がり部により薄層体
に形成された凹状陥部内に樹脂原液を充填して硬化する
工程とから成ることを特徴とする防滑シートの製造方法
を提供するものである。この第三の手段において、凹状
陥部の底面部分を除去する工程を更に有してもよいし、
また、樹脂原液を充填した後に、この樹脂に別体のベー
スシートを重着する工程を更に有していてもよい。
【0010】
【作用】このように、金属長繊維の如き防滑材を接地面
に対して垂直またはほぼ垂直に指向し、しかもこの防滑
材を集積して成る薄層体を樹脂に密接してその周囲に設
けると、例えば、この防滑突起等を靴底として用いた場
合、着地または蹴地の際に、立ち上がり部の防滑材が最
初に地面と接触しまた最後に地面から離れていくため、
最初から最後まで氷結・凍結面に食い込み、防滑材のエ
ッジ作用が充分に発揮され、また、防滑材を集積して成
る薄層体が樹脂の変形に充分追従することができるた
め、そのエッジ作用を粘り強く発揮することができる。
【0011】また、防滑材を集積して成る薄層体に立ち
上がり部を形成するという簡単な方法で、当初はほぼ平
坦に配置されていた防滑材を確実に接地面に対して垂直
またはほぼ垂直的に指向することができるため、簡易か
つ迅速に低コストで、充分な滑り止め効果を有する防滑
突起及び防滑シートを製造することができる。
【0012】
【実施例】本発明の実施例を図面を参照して詳細に述べ
ると、図1では本発明の防滑突起10を多数有する防滑
シート12が、運動靴14の靴底16として用いられて
いるのが示されている。この実施例では、防滑突起10
を有する防滑シート12は、靴底16を構成するアウタ
ーソール18として用いられている。
【0013】このアウターソール18として用いられる
本発明の防滑シート12の多数の防滑突起10は、図2
に示すように、多数の防滑材20を集積して成る薄層体
24に形成された立ち上がり部26と、この薄層体24
の立ち上がり部26により形成された凹状陥部28内に
充填されて薄層体24の立ち上がり部26によって密接
して囲まれる樹脂30とから成っている。
【0014】多数の防滑材20としては、様々なものが
考えられるが、その材料としては、エッジ作用を有する
ように硬質材料を用いる必要があり、後に述べるように
種々のものが考えられる。典型的な材料としては、比較
的安価に得ることができる点を考慮すると、金属を用い
ることが望ましい。この金属としては、例えば、鋼、ス
テンレス、銅合金、アルミ合金等の如き、被削性のよい
金属を用いることができる。また、防滑材20の好まし
い形状としては、図3に示すように、金属を細長く加工
して得られる金属長繊維32とすることが望ましい。こ
のように長繊維とすると、防滑材20を薄層体24とし
て集積することが容易である上に、この薄層体24内に
おいて集積された各繊維が容易にばらけることがないの
で、好ましい。
【0015】薄層体24は、図3に示すように、防滑材
20である金属長繊維32を集積してマット状とし、こ
のマット状に形成された金属長繊維32に上下から塩化
ビニルやウレタンから成る合成樹脂フィルム34を重着
して、この合成樹脂フィルム34間にマット状の金属長
繊維32をサンドイッチ状に担持することにより形成さ
れる。このように、金属長繊維32を薄層体24とする
ことにより、立ち上がり部26を形成して金属長繊維3
2を接地面に対して垂直またはほぼ垂直に指向すること
が容易に可能となる。特に、図3の実施例に示すよう
に、合成樹脂フィルム34により金属長繊維32をサン
ドイッチ化して薄層体24を形成すると、薄層体24を
熱成形する際の賦形性がよく、また、樹脂30の原液を
流し込み硬化する際、この薄層体24をケースとして用
いることができる。この場合、樹脂30との接着性を考
慮することが必要である。なお、この薄層体24は、後
に述べるように、樹脂30の周囲に密接して設けられる
立ち上がり部26となるので、その厚みが厚すぎると、
防滑突起10の着地時または蹴地時に樹脂30の変形に
追従できず、脆く剥離等するおそれがあるため、樹脂3
0の材質及び弾力性を考慮して適宜な厚さとすることを
要する。
【0016】立ち上がり部26は、図4に示すように、
この薄層体24をホットプレスすることにより形成され
る。この場合、上記のように、薄層体24は、合成樹脂
フィルム34を重着して形成されているため賦形性がよ
く、立ち上がり部26を容易に成型することができる。
このように、ホットプレスにより薄層体24に立ち上が
り部26を形成すると、当初は図3に示すようにほぼ平
坦状であった金属長繊維32が、図4に示すように必然
的かつ確実に接地面に対して垂直またはほぼ垂直に指向
される。このため、防滑材20である金属長繊維32
は、地面に対してせん断的に接触し、エッジとして作用
する。なお、本発明において、接地面に対して垂直また
はほぼ垂直に指向するとは、立ち上がり部26を構成す
る防滑材20を様々な方向からその側面を投影した場合
に、金属長繊維32が地面に対して直交しているように
投射される面があるという意味である。
【0017】また、このように薄層体24に立ち上がり
部26を形成するという比較的簡単な方法によるだけ
で、防滑材20である金属長繊維32を接地面に対し垂
直またはほぼ垂直に指向することができるため、簡易か
つ迅速に、しかも低コストで充分な滑り止め効果を有す
る防滑突起10及び防滑シート12を製造することがで
きる。なお、このように、薄層体24に立ち上がり部2
6を形成すると、図4に示すように、同時に凹状陥部2
8が形成される。
【0018】樹脂30は、図5に示すように、この薄層
体24の立ち上がり部26により形成された凹状陥部2
8内に樹脂原液30Aを流し込み、その後この樹脂原液
30Aを硬化させることにより凹状陥部28内に充填さ
れて形成される。この場合、薄層体24は、金属長繊維
32が合成樹脂フィルム34によりサンドイッチ化され
たものを用いているため、薄層体24自体が樹脂原液3
0Aの受け型としての役割を果たすので、金型を用いる
ことなく、図4に示すように、ホルダー36により薄層
体24を保持して、その凹状陥部28内に樹脂原液30
Aを流し込めばよい。この場合、薄層体24は合成樹脂
フィルム34が重着されているため、この合成樹脂フィ
ルム34と樹脂30との接着性を考慮して、樹脂30と
合成樹脂フィルム34の材料として同系のものを使用し
たり、また、樹脂原液30Aの流し込みにあたり合成樹
脂フィルム34の表面に接着剤やプライマーを塗布した
り、合成樹脂フィルム34の表面粗度を荒らしておく
と、樹脂30と薄層体24の合成樹脂フィルム34との
接着を強固とすることができるため、望ましい。
【0019】このように凹状陥部28内に樹脂30を充
填すると、薄層体24の立ち上がり部26は、樹脂30
に密接してその周囲に設けられることになる。従って、
着地または蹴地の際に、立ち上がり部26を構成する金
属長繊維32が最初に地面と接触しまた最後に地面から
離れていくため、最初から最後まで氷結・凍結面に食い
込み、金属長繊維32のエッジ作用が充分に発揮され、
また、金属長繊維32を集積して成る薄層体24が樹脂
30の変形に充分追従することができるため、そのエッ
ジとしての作用を粘り強く発揮することができる。
【0020】なお、樹脂30としては、具体的には、日
本合成化学株式会社製の即硬性を有する無溶剤ウレタン
樹脂を用いることが望ましい。その他に、従来から靴底
16の材料として用いられてきた種々の材料、例えば、
ポリウレタンを初め、他の天然ゴム、イソプレンゴム、
ブタジエンゴム、シチレンブタジエンゴム、エチレンビ
ニルアセテート、また、ポリエチエレン、ポリプロピレ
ン、ボリブタチエン等の炭化水素系樹脂、ポリ塩化ビニ
ル、ポリ塩化ビリニデン等のビニル系樹脂、ボリアミ
ド、ボリガービネード、ボリイミド等の線状構造樹脂、
酢酸セルロース等のセルロース系樹脂、フェノール樹
脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、フラン樹脂、シリコーン
樹脂、エボキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アクリ
ル樹脂等の熱可塑性及び熱硬化性を有する樹脂またはそ
れらを変形、複合したエラトラマー状乃至スポンジ状の
樹脂、更には、光硬化性樹脂をも用いることができる。
【0021】これらの樹脂30を凹状陥部28に充填し
た後は、図6に示すように、必要に応じて、樹脂30に
別体のベースシート38を重着することができる。この
ベースシート38としては、例えば、ポリウレタン樹脂
皮膜を有する不織布シートを用いることができ、この不
織布シートは、樹脂原液30Aを充填した後、この樹脂
30上に不織布シートのポリウレタン樹脂皮膜を重ね
て、樹脂原液30が加熱硬化して樹脂30に一体的に結
合する。これにより、靴全体の軽量化と突起18の地面
に対する把持力の向上、また、突起18の脱落の防止を
達成することができる。
【0022】なお、薄層体24に形成された凹状陥部2
8内に樹脂30を充填すると、図5及び図6に示すよう
に、防滑突起10を構成する樹脂30の接地部40にも
隣接して薄層体24が存することになるが、図7に示す
ように、この接地部40に隣接している凹状陥部28の
底面部分28Aを、グラインダー42により削り取り、
防滑突起10を形成する樹脂30及び立ち上がり部26
を構成する金属長繊維32を露出させることが望まし
い。これにより、金属長繊維32の切り口である端面
が、いわば毛羽立ち状で露出するため、地面に鋭く接触
し、そのエッジ作用を高めることができる。特に、この
立ち上がり部26を構成する金属長繊維32は、すでに
述べたように接地面に対して垂直またはほぼ垂直に指向
されているため、使用しているうちに防滑突起10が磨
り減っても、常に新しい切り口としての端面が露出する
ため、金属長繊維32の鋭いエッジ作用を継続的に維持
することができる。
【0023】本発明において、防滑材20とは、エッジ
として作用し得る硬質材料から成り、集積して薄層体2
4を構成することができる繊維状、フィラー状のものを
総称する。従って、防滑材20の材料としては、上記の
金属以外にガラス、カーボンを用いることができ、ま
た、その形状としては、長繊維の他、短繊維、また、各
種樹脂製品の性質改善のために樹脂原料に添加されるこ
とがあるフィラーの内、偏平状フィラーや、長辺、短辺
を有する異形状のフィラー、具体的には図12に示すよ
うな金属の鱗片状フィーラー44の形をとることができ
る。なお、防滑材20がフィラーである場合には、薄層
体24に立ち上がり部26を形成してフィラーの板面が
接地面に対して垂直またはほぼ垂直になるように指向す
る。また、これらの短繊維、フィラーも、後に述べるよ
うに長繊維と同様の方法で薄層体24とすることができ
る。
【0024】薄層体24の他の実施例について述べる
と、金属または他の材料から形成された長繊維が大柄で
あれば、長繊維をマット状に形成した後、上記実施例の
ように合成樹脂フィルム34でサンドイッチ化すること
なく、ニードルパンチで抜き刺しすることにより不織布
化して形成してもよい。また、防滑材20として、短繊
維を用いる場合には、抄造することにより薄層体24を
形成することも可能である。更に、防滑材20として、
フィラーを用いる場合にも、長繊維の場合と同様、合成
樹脂フィルム34により防滑材20をサンドイッチ化す
る手段を用いることができる。防滑材20として、フィ
ラーを用いる場合には、その他、熱可塑性の樹脂から形
成されたフィルムの上にこのフィラーを散布し、このフ
ィルムを重着してホットプレスすることにより薄層体2
4を形成してもよい。更には、樹脂原液にフィラーを添
加して製膜し、フィラーが混入されたフィルムを薄層体
24として用いてもよい。この場合には、このフィルム
を延伸等することにより、フィラーがフィルムの長手方
向を指向するようにし、後に立ち上がり部26を形成す
る際に、フィラーの板面が接地面に対し垂直またはほぼ
垂直に指向することができるようにする。
【0025】立ち上がり部26は、薄層体24として防
滑材20にフィルムを重着したものを用いる場合には、
上記のホットプレスの他、真空成形法または圧縮空気加
圧法により形成することもできる。一方、薄層体24と
して、上記ニードルパンチを用いて防滑材20を不織布
化してものを用いる場合には、薄層体24が多孔性、通
気性を有しているため、別途にフィルムを一時的に重着
してシール性を持たせ、ホットプレス、真空成形法、圧
縮空気加圧法を用いるか、または、プレスにより賦形し
て立ち上がり部26を形成してもよい。また、金属短繊
維を抄造して薄層体24を形成した場合も、薄層体24
が紙状に形成されるため、シール性を有する時は、真空
成形法、圧縮空気加圧法を適用することができる。
【0026】樹脂30を薄層体24の凹状陥部28に充
填する工程は、薄層体24として長繊維をニードルパン
チにより不織布化したものを用いる場合には、薄層体2
4が多孔性、通気性を有するため、図4に示すホルダー
36ではなく、図8に示すように、凹状陥部28を型4
6にはめ込むことにより行う。なお、図3乃至図7の実
施例では、凹状陥部28内に樹脂30を充填した後、別
体のベースシート38を重着したが、図9に示すよう
に、凹状陥部28以外の部分にも樹脂原液30Aを流し
込んで硬化し、防滑突起10とベースシート38とを一
体に形成してもよい。
【0027】更に、凹状陥部28の底面部分28Aを除
去する工程は、図7に示すようにグラインダー42によ
り削り取る外に、図10に示すように、立ち上がり部2
6を形成した段階で予め、パンチング等により穿孔して
行うこともできる。また、この底面部分28Aは、切除
により、あるいは化学的に除去してもよい。もっとも、
この凹状陥部28の底面部分28Aは、必ずしも製造段
階において除去することは必要ではなく、例えば、外観
上の美感を特に考慮する必要がない場合や、直ちに滑り
止め効果を必要としない靴等に用いる場合には、使用し
ているうちに、底面部分28Aが磨り減って消滅するよ
うにしてもよい。なお、本発明の製造方法によると、図
5及び図7に示すように、ベースシート38にも薄層体
24が隣接するが、必要に応じて、この立ち上がり部2
6以外の薄層体24も除去してもよい。特に、様々な色
彩を用いて外観上の美感を考慮する近年の運動靴14に
用いる場合には、この立ち上がり部26以外の部分に密
接する薄層体24を除去することにより、斬新なデザイ
ンとすることができる。
【0028】なお、樹脂30の原液を流し込んで硬化す
る際、図11に示すように、樹脂30に中空部48を形
成しておくと、この中空部48内に別の樹脂パーツを嵌
め込んで多様性を付与することができる。
【0029】最後に、本発明において防滑突起10と
は、滑り止め効果を期待して形成される突起を指し、ま
た防滑シート12とは、このような多数の防滑突起10
から成るエンボス面を有する物体を示す。従って、図示
した運動靴14の靴底16以外に、ビジネスシューズ等
の一般シューズの靴底や、自動車、バイク、自転車用の
タイヤ等、氷結・凍結面における滑り止めを必要とする
ものであれば、適宜用いることができる。これにより、
例えば、従来は専ら各競技種目の特性を考慮してエンボ
ス面のトレッドパターンを工夫することに主眼が置かれ
ていた運動靴において、滑り止めを働かせ、走力伝達等
に無駄が生じるのをより一層防止することができる。ま
た、今までは、専らグリップ力向上のためにそのトレッ
ドパターンを工夫していた自動車等のタイヤに用いれ
ば、一時的な降雪時等におけるスリップ事故等を防止す
ることができる。
【0030】
【発明の効果】本発明によれば、上記のように、防滑材
を接地面に対して垂直またはほぼ垂直に指向し、しかも
この防滑材を集積して成る薄層体を樹脂に隣接してその
周囲に設けるているため、着地または蹴地の際に、立ち
上がり部の防滑材が最初に地面と接触しまた最後に地面
から離れていくので、最初から最後まで氷結・凍結面に
食い込み、防滑材のエッジ作用が充分に発揮され、ま
た、防滑材を集積して成る薄層体が樹脂の変形に充分追
従することができるため、そのエッジとしての作用を粘
り強く発揮することができ、充分な滑り止め効果を発揮
することができる実益がある。
【0031】また、防滑材を集積して成る薄層体に立ち
上がり部を形成する簡単な方法で、当初はほぼ平坦に配
置されていた防滑材を確実に接地面に対して垂直または
ほぼ垂直的に指向することができるため、簡易かつ迅速
に低コストで、充分な滑り止め効果を有する防滑突起及
び防滑シートを製造することができる実益がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の防滑突起を有する防滑シートを備えた
運動靴の斜視図である。
【図2】図2(A)は本発明の防滑突起の縦断面図、図
2(B)は本発明の防滑突起の横断面図である。
【図3】図3(A)は本発明に用いられる薄層体の縦断
面図、図3(B)は薄層体の横断面図である。
【図4】本発明に用いられる薄層体に立ち上がり部を形
成する状態を示す断面図である。
【図5】本発明に用いられる薄層体に形成された凹状陥
部内に樹脂原液を流し込む状態を示す断面図である。
【図6】本発明に用いられる樹脂に別体のベースシート
を重着する状態を示す断面図である。
【図7】本発明に用いられる薄層体の凹状陥部の底面部
分を除去する状態を示す側面図である。
【図8】本発明の他の実施例において、凹状陥部内に樹
脂原液を流し込む状態を示す断面図である。
【図9】本発明の他の実施例において、防滑突起をベー
スシートと一体に形成する状態を示す断面図である。
【図10】本発明の他の実施例において、凹状陥部の底
面部分を除去する状態を示す側面図である。
【図11】本発明の他の実施例において、樹脂に中空部
を形成する状態を示す断面図である。
【図12】本発明の他の実施例に用いられる鱗片状フィ
ラーの斜視図である。
【符号の説明】
10 防滑突起 12 防滑シート 14 運動靴 16 靴底 18 アウターソール 20 防滑材 24 薄層体 26 立ち上がり部 28 凹状陥部 28A 凹状陥部の底面部分 30 樹脂 30A 樹脂原液 32 金属長繊維 34 合成樹脂フィルム 36 ホルダー 38 ベースシート 42 グラインダー 44 鱗片状フィラー 46 型 48 中空部

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 多数の防滑材を集積して成る薄層体に形
    成された立ち上がり部と、前記薄層体の立ち上がり部に
    より形成された凹状陥部内に充填されて前記薄層体の立
    ち上がり部によって密接して囲まれる樹脂とから成り、
    前記薄層体の立ち上がり部を形成する防滑材は接地面に
    対して垂直またはほぼ垂直に指向されていることを特徴
    とする防滑突起。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の防滑突起であって、前
    記多数の防滑材が金属長繊維であることを特徴とする防
    滑突起。
  3. 【請求項3】 多数の防滑突起を有する防滑シートにお
    いて、前記多数の防滑突起は、多数の防滑材を集積して
    成る薄層体に形成された立ち上がり部と、前記薄層体の
    立ち上がり部により形成された凹状陥部内に充填されて
    前記薄層体の立ち上がり部によって密接して囲まれる樹
    脂から成り、前記薄層体の立ち上がり部を形成する防滑
    材は接地面に対して垂直またはほぼ垂直に指向されてい
    ることを特徴とする防滑シート。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載の防滑シートであって、
    前記多数の防滑材が金属長繊維であることを特徴とする
    防滑シート。
  5. 【請求項5】 多数の防滑突起を有する防滑シートを製
    造する方法において、多数の防滑材を集積して薄層体を
    形成する工程と、前記薄層体に立ち上がり部を形成して
    前記立ち上がり部を形成する多数の防滑材を接地面に対
    して垂直またはほぼ垂直に指向させる工程と、前記立ち
    上がり部によって密接して囲まれる樹脂を形成するよう
    に前記立ち上がり部により前記薄層体に形成された凹状
    陥部内に樹脂原液を充填して硬化する工程とから成るこ
    とを特徴とする防滑シートの製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項5に記載の防滑シートの製造方法
    であって、前記多数の防滑材が金属長繊維であることを
    特徴とする防滑シートの製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項5に記載の防滑シートの製造方法
    であって、前記凹状陥部の底面部分を除去する工程を更
    に有することを特徴とする防滑シートの製造方法。
  8. 【請求項8】 請求項5に記載の防滑シートの製造方法
    であって、前記樹脂原液を充填した後に、前記樹脂に別
    体のベースシートを重着する工程を更に有することを特
    徴とする防滑シートの製造方法。
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