JPH0734737Y2 - タイヤ滑止め具 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、ゴム、合成樹脂等から
なるいわゆる非金属製のタイヤ滑止め具の改良に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】従来この種のタイヤ滑止め具には、例え
ば実開昭60-38801号公報記載の様に、ネット状に形成し
たゴム性の滑止め具本体の各交差部に、帯状鋼板からな
るスパイク金具を巻回して突出状に固着したものがあ
り、ネット状の本体が積雪路面での滑止めを図ると共
に、その本体外面上に突出してるスパイク金具を凍結路
面に喰い込ませ、該凍結路面をひっかくことにより凍結
路面での滑止めを図っていた。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】しかし、上記従来のタ
イヤ滑止め具は、スパイク金具が突出状で摩耗が早く、
かつスパイク金具による凍結路面への喰い込みが悪く、
ひっかかり効果が不十分であったため改良が望まれてい
たものである。

【０００４】本考案は、従来技術の有するこのような問
題点に鑑みなされたものであり、その目的とするところ
は、耐久性の向上を図ると共に凍結路面へのひっかかり
効果を高め、凍結路面における滑止めを十分に図らしめ
ることである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本考案がなした技術的手段は、非金属製の滑止め具本
体の表面全域あるいは表面所望箇所に滑止めチップを埋
設すると共に、そのチップ表面を前記滑止め具本体の表
面と面一以上となるように露出し、前記滑止めチップは
所望形状とした非金属製のチップ本体と、該チップ本体
内に埋設すると共にその上面をチップ本体の表面に露出
する金属材とからなることである。

【０００６】

【作用】上記せる技術的手段により、チップ本体内に埋
設された金属材が滑止め具本体およびチップ本体と同時
に摩耗する。また、路面に押圧された時に金属材の囲り
のチップ本体が圧縮され凹みとなり路面（氷雪面）の凹
凸をとらえると共に、エッヂ効果（ひっかかり効果）が
高まる。

【０００７】

【実施例】以下、本考案の一実施例を図面に基づいて説
明すると、図中１はタイヤ滑止め具を示し、該滑止め具
１は、滑止め具本体２と滑止めチップ４…とから構成さ
れている。

【０００８】滑止め具本体２は、ワイヤー、天然繊維、
合成繊維、グラスファイバー等からなる所望形状の芯材
を内設し、全体ネット状に天然ゴム、合成ゴムあるいは
合成樹脂（塩化ビニル樹脂、ポリウレタン等）などで形
成した従来周知のもので、図示例にあっては両端２′、
２′同士を突合わせて連結するものを示す（図１）。

【０００９】滑止めチップ４は、非金属製、即ち天然ゴ
ム、合成ゴムあるいは合成樹脂（塩化ビニル樹脂、ポリ
ウレタン等）などからなる所望形状のチップ本体５と該
チップ本体５内に配される金属材６とから構成する。

【００１０】金属材６は、例えば台板6aの上面に所望間
隔をおいて立上げ片6b…を複数並設せしめた凹凸状に形
成し、鉄よりも熱伝導に優れた銅、アルミなどからなる
もので、チップ本体５内に内設すると共に、前記立上げ
片6b…の各上端面８…の全域を表面5aに露出（表面5aと
面一以上）せしめるものとする。

【００１１】そして、上記滑止め具本体２に滑止めチッ
プ４…を設けるには、まず未加硫状態の滑止め具本体２
の表面３の略全域、即ち直線部分3a…、交差部分3b…お
よび突合わせ片部分3c…の表面に所望なガイド溝（図示
省略）を刻設する。

【００１２】そして、その各溝に滑止めチップ４…を押
込んで埋め込み、全ての滑止めチップ４…の埋め込み完
了後、滑止め具本体２の全体をプレス加硫することによ
り、滑止め具本体２と一緒に加硫成形せしめて滑止めチ
ップ４…を一体的に埋設する。

【００１３】また、その各滑止めチップ４…の表面4a…
は滑止め具本体２の表面３と面一以上となるように露出
せしめるものとする。

【００１４】従って、上記せるタイヤ滑止め具１をタイ
ヤ７に装着して走行すると、滑止めチップ４…が滑止め
具本体２と共に凍結路面に接して押圧されると、表面5a
に露出している鉄よりも熱伝導に優れた金属材６の各上
端面８…が凍結路面を素早く凹状に溶かすと共に、その
溶かした部位に前記上端面８…が引掛かり、エッヂ効果
（ひっかかり効果）によって大きな駆動力、制動力を発
揮する。また、押圧されチップ本体５の表面に露出して
いる金属材６と隣り合う金属材６との間で生じた空間に
氷雪面上の水膜が吸い上げられて取除かれグリップ性能
が向上する。

【００１５】また、上記せるように鉄よりも熱伝導に優
れた銅等の金属材とし従来の鉄製のスパイク金具よりも
軟らかいため、路面の損傷も少なくなり非金属製のタイ
ヤ滑止め具の実効が図れる。

【００１６】上記せるタイヤ滑止め具１は一例を示した
にすぎないものであり、金属材６は鉄より熱伝導に優れ
たものに限られるものではなく、また例えば図４、ある
いは図５に示すような滑止め具本体１′，１″、または
図示せしめないがいわゆるラダータイプの滑止め具本体
等であってもよく、その形状には何等限定されず非金属
製のタイヤ滑止め具の全てに該当し、また滑止めチップ
４…も滑止め具本体２の表面３の全域に限らず所定箇
所、例えば図４のように交差部分3b…のみであっても、
また図示しせめないが直線部分3a…のみであってもよく
任意である。

【００１７】更に、図６は別実施例とする滑止めチップ
４′を示し、台板6'a の上面に所望間隔をおいて立上げ
杵6'b …を複数並設せしめた凹凸状の金属材６′を、所
望形状のチップ本体５′内に内設する共に、各立上げ杵
6'b …の上端面８′…を表面5'a に露出（表面5'a と面
一以上）せしめたものである。また、図７の如く金属材
６…を埋設したゴム層９…並設タイプは、ゴム層９…内
に氷雪路面上の水分が吸上げられてグリップ性が向上す
る。

【００１８】上記せる各滑止めチップ４，４′は一例を
示すにすぎず、チップ本体５，５′、金属材６，６′の
形状厚さ等は任意であり、また金属材６，６′は台板6a
(6'a) を設けずに夫々単独に埋設してもよく何等限定さ
れず適宜変更自由である。

【００１９】尚、上記実施例では滑止め具本体２の表面
３にあらかじめ設けたガイド溝に滑止めチップ４
（４′）…を押込んだ後、滑止め具本体２全体をプレス
加硫しているが、これに何等限定されず、例えば滑止め
具本体２加硫時にガイド溝を設け、加硫後そのガイド溝
に滑止めチップ４…を挿入して固着してもよく、またガ
イド溝を設けずに直接押込んでもよく、また押込む時に
接着剤を添えてもよく、さらには加硫後の滑止め具本体
２の表面３にチップ挿入用の窪みを設け、その窪みに接
着剤を介して滑止めチップ４（４′）…を挿入して接着
固定した（加硫接着せず）ものであってもよい。

【００２０】

【考案の効果】本考案は、非金属製のチップ本体内に金
属材を埋設すると共に、その金属材の上端面を露出せし
めてなる所望形状の滑止めチップを、非金属製の滑止め
具本体の表面に埋設して構成したため金属材は滑止め具
本体およびチップ本体と同時に摩耗し、金属材の埋込み
長さまで効果が持続し耐久性に大変優れている。

【００２１】また、路面に押圧された時に金属材の囲り
のチップ本体が圧縮され凹みとなり路面（氷雪面）の凹
凸をとらえると共に、エッヂ効果（ひっかかり効果）が
十分に働くこととなり、凍結路面における滑止めが十分
に図れ大変安全性が高く有用である。

【図面の簡単な説明】

【図１】（Ａ）は本考案タイヤ滑止め具の一実施例を示
す全体平面図で（Ｂ）は一部切欠いて示す要部拡大図で
ある。

【図２】滑止めチップの一実施例を一部切欠いて示す斜
視図である。

【図３】本考案タイヤ滑止め具の装着状態を一部省略し
て示す側面図である。

【図４】別実施例を示す全体平面図である。

【図５】別実施例を示す全体平面図である。

【図６】滑止めチップの他の実施例を一部切欠いて示す
斜視図である。

【図７】滑止めチップの他の実施例を一部切欠いて示す
斜視図である。

【符号の説明】

１ タイヤ滑止め具 ２ 滑止め具本体 ３ 表面 ４ 滑止めチッ
プ 4a 滑止めチップ表面 ５ チップ本体 5a チップ本体表面 ６ 金属材 ８ 上端面

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 非金属製の滑止め具本体の表面全域ある
   いは表面所望箇所に滑止めチップを埋設すると共に、そ
   のチップ表面を前記滑止め具本体の表面と面一以上とな
   るように露出し、前記滑止めチップは所望形状とした非
   金属製のチップ本体と、所望間隔をおいて複数立ち上げ
   並設して該チップ本体内に埋設されると共にその上面を
   チップ本体の表面に面一状に独立して多数露出する金属
   材とからなることを特徴とするタイヤ滑止め具