JP3957750B2 - 電子顕微鏡法のためのイオンビーム準備装置 - Google Patents

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Description

この発明の対象は、特にアルゴンイオンなどの希ガスイオンビームによる、試験片ホルダ内の試験片衝撃のための少なくとも1つのイオン源と、真空チャンバとを備えた、電子顕微鏡法の試験片を加工するためのイオンビーム準備装置である。
試験片の電子顕微鏡による観察のために、後者はたとえばイオンビームエッチングなどによって適切に準備されなければならない。(D. G. Howit,, Ion Milling of Materials Science Specimens for Electron Microscopy: A Review, Journal of Electron Microscopy Technique 1: 405-414(1984); A. Garulli, A. Armigliato, M. Vanzi, Preparation of Silicon Specimens for Transmission Electron Microscopy, J. Microsc. Spectrosc. Electron. Vol. 10, No. 2, 1985, 135-144)
走査型電子顕微鏡法(SEM)および透過型電子顕微鏡法(TEM)に用いられる試験片を準備するためのイオンエッチングは、主に、従来の化学的および電気化学的なプロセスではうまくいかないか、または不十分な準備結果しかもたらさない場合に用いられる方法である。このことは特に、強く選択的なエッチングの特性を有する材料および層の組合せと、化学的耐性材料とのTEM断面準備にあてはまる。これらの場合、イオンエッチングは通常実施される方法となってきている。
最初の頃は、断面試験片は透過型電子顕微鏡によって100kVの加速電圧で検査されていたが、現在は300kVの、電界放射源を備えた中圧装置が好まれている。この装置は断面試験片の均一な伝達率を確保し、nm範囲内でビームプローブを形成することが可能である。このことは、緻密な詳細つまりナノ構造における構造検査および材料分析(EELS、EDX)のための技術上の前提条件を確立する。
ナノ技術の発達、つまり、サブミクロメータおよびナノメータの範囲の構造および寸法を創造および利用すること(たとえば半導体構成要素構造)は、準備技術に非常に厳しい要求を強いるようになっている。非常に小さい寸法の構造を所望の厚さにまでエッチングする必要があるので、エッチングの過程において試験片を非常によく観察して、それによって試験片の準備のその時々の段階を正確に判定できなければならない。
バル−テク(BAL-TEC)のRES010、ガタン(Gatan)のPIPSモデル691(PIPS model 691)およびデュアルイオンミル(Dual Ion Mill)、ならびにテクノオーダ・リンダ(Technoorg LINDA)のイオンビーム薄膜化ユニット(Ion Beam Thinning Unit)などの、現在公知の従来のイオンビームエッチングシステムは、最大倍率が100である光学顕微鏡法を用いて試験片を観察する。これは簡単な多層システムの断面準備においても、既に大抵の場合、不十分である。なぜなら、エッチングプロセスを終了する瞬間を正確に定めることができないためである。選択した構造の試験片を所望の厚さにまでエッチングする場合において、対象である構造が、薄くされた試験片領域内に位置するかどうかのその場での評価は全く不可能である。このことは既に、μm範囲内の構造(断続的な構造を有する試料を含む)についてさえいえる。この結果、試験片が、エッチングシステムと透過型電子顕微鏡または対応する試験片ホルダとの間を繰返し移し替えられなければならないといった、入念な「試行錯誤」プロセスが必要となる。この結果、試験片が破壊されてしまうことが多い。
公知のイオンビームエッチングシステムの別の欠点は、エッチングプロセスの最終段階での制御性に乏しいことである。公知のイオンビームエッチングシステムによって知られる光学的な可観測性も自動カットアウトも、エッチングプロセスの正確な終了を決定することができない。これらの装置に用いられる光学的および電子的カットオフの感度は、エッチングプロセスを時間どおりに切るには不十分なのである。このことは特に、断面試験片のイオンビームによる準備についていえる。ある程度の改善は、すべての帯電した粒子を検出するためのビルトインファラデーカップ(built-in Faraday cup)を備えた特殊な試験片ホルダを用いたバル−テクのRES010によって達成されている。しかしながら、この配置は試験片ホルダの可能性を著しく制限する。なぜなら、試験片はその裏側から薄くしたり観察したりすることができないからである。
公知のイオンビーム準備装置では、試験片は通常、浸食の均一性を改善するためにエッチングプロセスの間、回転される。試験片が回転されるだけではなく、イオンビームの入射角もランダム機能に基づいてエッチングプロセスの間、変えるべきであることが米国第4,128,765号によって公知である。これは、イオン源を強固に配置し、プローブを含む試験片ホルダをイオンビームに対して特定の角度で往復運動をさせることによって達せられる。エッチングプロセスの後、電子顕微鏡による観察のための試験片の準備が整う。
上述の従来のエッチング技術に加えて、はじめはマイクロ電子回路の故障解析のためのものとして開発された別の技術がある。精密に集束した(直径nm範囲内の)走査イオンビームのおかげで、試験片を所望の厚さにエッチングすることができ、イオン顕微鏡法を通して観察もできる。この集束イオンビーム技術(FIB)は現在、走査型電子顕微鏡法(SEM)および透過型電子顕微鏡法のための試験片の準備にも用いられている。この目的のために、対象である試験片領域は、最大10A/cm2の非常に高いイオン密度を有するGa液体金属イオン源によるエッチングによって、片側(SEM検査のための傾斜)または両側(TEM検査のためのリブ)のいずれかを部分的に切削される。エッチングプロセスのその場での観察は、イオンビーム(たとえば日立FB2000、FEI FIB200、600および800)によって脱離した二次粒子によって行なわれ、後にまた、付加的な走査型電子顕微鏡(FEIデュアルビーム(Dual Beam)FIB/SEMワークステーション)によって行なわれる。精密に集束したイオンビームと、試験片およびイオンビームを正確に位置づけする能力とで、試験片を所望の厚さにする正確なエッチングが可能になる。しかしながら、イオンビームエッチングは静止した試験片に対してしか実施できないため、このことはエッチングスロープに強い好みのある構造を生じる。これは特に、強く選択的なエッチング特性を有する多層システムにおいては不利である。必然的にイオン電流密度が高くなるため、結果としてエッチングスロープにおける強いバックコーティングを生じ、試験片は強く加熱されることになる。TEM試験片は約100nmの厚さのリブとしてしか製造できず、このことは、選択した試験片領域における高解像度TEM(HRTEM)検査を不可能にする。リブは残りの試験片材料によって定位置に保たれなければならないため、陰影ができる影響のため、TEMにおいて正確に試験片を配向するために試験片をごく狭い範囲内で傾けることしかできない。TEM試験片を製造するためには、試験片表面を被覆しなければならない。
このFIB(集束イオンビーム)技術は、たとえば、米国特許第5,525,806号に対応する日本特許出願第6231720号によって公知となっている。強く集束したイオンビームは、加工すべき基板にわたって90°の角度で走査され、そこで立方体領域が基板から削り取られ、細いリブを残し、これが後のTEM検査のための対象となる領域を形成する。走査イオンビームを備えた装置は、エッチングプロセスを観察するため、同時にSIM、つまりイオン顕微鏡として操作される。対象となるリブ形状の領域の両側に十分なエッチングが行なわれた後、対象となる領域は図6に示されるように露出するので、イオン源のスイッチを切ることができる。試験片はその後SEMによって検査されてもよい。
エッチングプロセス中の試験片の同時観察は、SEMモードのデュアルビーム(Dual Beam)FEIを用いてのみ可能である。他のいずれの装置の場合も、試験片を観察位置に動かさなければならず、イオン顕微鏡によってしか観察できない。低いイオン電流密度および加速電圧を用いたとしても、観察中、材料は対象となる試験片領域から取除かれるか、または衝撃イオンが注入されて、いずれにせよ元の試験片材料を変えてしまうという欠点がある。
この発明を特徴づける多様な新規の特徴は、この開示に添付されかつその一部をなす請求の範囲に詳細に挙げられており、優先権の主張の基礎となる1995年4月29日出願のドイツ出願第295 07 225.3号に全体的に基づく。
この発明の目的は先行技術の欠点をなくすことであり、特に、不合格品が少ない経済的なやり方で試験片を正確な制御の下にエッチングすることである。
この発明によれば、この課題は請求項1に説明される装置によって解決される。従属請求項は付加的な有利な設計バージョンを規定する。
請求項1による透過型および走査型電子顕微鏡法の試験片を準備するための装置は、SEMおよび透過走査型電子顕微鏡法(TSEM)モードにおけるエッチングプロセスの間、走査型電子顕微鏡による試験片の観察を可能にする。また、その結果、その時々のエッチング状態を継続して評価し、エッチングプロセスの終了を正確に光学的に決定し、かつ試験片の薄膜化を自動的にカットアウトすることを可能にする。これは電子検出器(TE検出器)によって記録される透過電子によって、装置の準備能力を制限することなく、なされる。
請求項1による装置は、ポンプシステムを備えた真空チャンバと、試験片ホルダ内の試料に対する、好ましくはアルゴンイオンの、希ガスイオン衝撃のための少なくとも1つのイオン源とからなる。また、2つ以上の、好ましくは2つのイオン源を、エッチング速度をより速くし、その結果、準備時間を短くするために用いてもよい。試験片ホルダのおかげで試験片を回転したり傾けたりできる。試験片を回転させることよって、イオンエッチングプロセスの間、試験片表面の均質な浸食が達成され、試験片を傾けることができるので、たとえば入射角などの準備パラメータの変動幅を改善することになる。
真空チャンバ上に、走査型電子顕微鏡の支柱が装着され、この支柱の縦軸は試験片に向けられる。少なくとも、たとえばシンチレータ、ファイバオプティック、および二次電子(SE検出器)を記録するための光電子増倍管を含む第1の電子検出器は、SEM支柱の縦軸に対して、ある程度傾けて配置され、試験片ホルダおよび検出器が、試験片ホルダの傾斜角が異なっていても、常にSE検出器内で十分な電子信号を得るのに好ましい位置にあるようにする。先行技術と異なり、試験片はこのようにしてnm範囲での解像度で観察することができ、準備プロセスの段階を正確に評価することを可能にする。このことは、超微細構造の組織的な(systematic)準備(所望の厚さにエッチングすること)には根本的に重要である。
好ましくは透過電子を記録するための半導体検出器(TE検出器)である、第2の電子検出器は、試験片の後ろにSEM支柱の軸方向に配置され、薄くされるべき試験片の電子透過領域の透過走査型電子顕微鏡(TSEM)による結像を可能にする。このように、試験片がどの程度よく電子を透過するか、また所望の厚さに試験片をエッチングする場合、対象となる構造が試験片の電子透過領域内に位置するかどうか、エッチングプロセスが続行されるべきか、または終了されるべきかどうかについてnm範囲内の解像度でのその場での決定がなされ得る。構造はその場で測定することができ、その結果、走査型電子顕微鏡のソフトウェア制御の下で線幅測定によって識別される。直接イオンビームエッチング装置内で、準備結果およびエッチングプロセスの終了時点をその場で評価できるということは、先行技術を超える別の重要な利点である。
この目的のため、TE検出器は制御装置を備えており、制御装置はイオン源の電源に結合され、前もって設定された検出器電流が記録されるとイオン源のスイッチを切ることができる。この自動カットアウトは、公知の自動カットアウトに比べて非常に敏感であり、たとえば試験片に穴ができる前にエッチングプロセスを中断する。
顕微鏡および電子検出器は好ましくは、試験片のエッチングの間、ロック可能なシャッタによって汚染から保護される。敏感な電子検出器構成要素および走査型電子顕微鏡を保護することは、試験片の観察の再現性と、クリーニングとクリーニングとの間の運用寿命とを大幅に高める。
試験片ホルダは、x軸、y軸、およびz軸について移動可能であるため、顕微鏡の軸方向に対して中心に位置づけることができ、顕微鏡と試験片ホルダとの作動距離は調節することができる。このことは、試験片を準備位置から顕微鏡の最適作動距離まで動かし、その後、前もって設定された作動位置へ戻すことができるのを意味する。
この装置に用いられるイオン源は、100mA/cm2より低い、好ましくは30mA/cm2より低いイオン電流密度の固定した集束希ガスイオンビームを供給し、短いエッチング時間と試験片に優しい準備とを達成する。
走査型電子顕微鏡の出口開口の真下には、たとえば、第3の電子検出器、好ましくは後方散乱電子を記録するための半導体検出器(BSE(RE)検出器)を設置し、質量対比または形状対比のいずれかで、付加的にかつ選択的に試験片を結像させることも可能である。
少なくとも1つのイオン源、好ましくは2つのイオン源を試験片ホルダに対して傾斜可能に配置することができ、このことで試験片の衝撃角、片面および両面の同時の試験片エッチングといった準備条件の大きな変動幅が可能になる。
この発明は、装置内の準備条件に関係なく、かつ準備プロセスを中断することなく、試験片のイオンビームによる準備がいつでもその場で観察できるような態様でSEM支柱、電子検出器、イオン源および試験片ホルダが配置されるという利点をもたらす。
真空チャンバに接続された光学顕微鏡は、試験片に対するイオンビームの調節を観察するために用いられる。精度が要求されるため、この調整は光学顕微鏡によってしか行なうことができない。
イオンビーム加工中の分離する試験片のSEM観察において、衝撃イオンはSEMの電子ビームによって生じる試験片の負電荷を補償する。分離する試験片のイオンビーム加工においては、SEMの電子ビームによって生じる正電荷を補償することは有利である。なぜなら、このやり方では、影響を受けずに試験片の準備ができ、同時に干渉されることなく試験片の結像が可能であるからである。
イオン源のスイッチを切った状態で、分離する試験片をSEMの最適作動距離において検査すると、試験片の負電荷は300eVから1500eV、好ましくは400eVから1000eVのエネルギ範囲の電子によって作動し、試験片に照射される電子源によって補償することができる。このエネルギ範囲内の電子は、1より大きい二次電子収量を有し、そのため試験片における電子欠乏を起こし、これはその負電荷を補償することにつながる。
この発明は、設計例に基づき図面を参照して、より詳細に以下に説明される。図面の示すものは以下のとおりである。
図1 SEM観察の可能性を有する、電子顕微鏡法に用いられる試験片のイオンビームによる準備のための装置の概略的な設計図である。
図2 SEM支柱、水平位置の試験片ホルダ、SE検出器、RE(BSE)検出器、TE検出器、およびシャッタの概略的な配置を示す。
a 試験片の第1の面を準備する間、試験片はSE検出器およびRE(BSE)検出器によって観察することができる。
b 高解像度の観察のためには、試験片はSEMの最適作動距離内に位置づけられる。
c 試験片の第2の面を試験片が電子を透過するようになるまで準備する間、試験片はSE検出器、BSE(RE)検出器、およびTE検出器によって観察することができる。最終的な薄膜化制御をTE検出器によって行なう場合、シャッタがSEM支柱およびSE検出器の前に位置づけられ、これらの構成要素をイオンビームエッチングによる汚染から保護する。
走査型電子顕微鏡による観察の可能性を有する、電子顕微鏡法に用いられる試験片のイオンビームによる準備のための、この発明による装置の設計例が図1に概略的に示される。
SEM3の支柱は真空チャンバ10の上に垂直に装着され、真空チャンバ10はポンプシステム17によって10-6Torrの到達圧力にまで圧力を下げることができる。SEM支柱3は真空チャンバの中へ90mm突出し、その縦軸14は試験片ホルダ6に位置する試験片4と整列される。
試験片ホルダ6はSEM支柱3の下側から50mmの距離に、好ましくは、以下の移動を可能にする5軸試験片ステージ上に装着される。
−試験片4の回転および振動動作(oscillating movement)
−試験片ホルダの縦軸について0°から360°傾斜
−X移動±15mm
−Y移動±15mm
−z移動±40mm(移動方向 試験片ホルダ6/SEM支柱3)
2つの対向するイオン源1および2、たとえばサドルフィールドイオン源は、1−10kVの加速電圧で、最大20mA/cm2のイオン電流密度において、約0.5mmのビーム直径で作動し、そのビームは試験片4に照射される。2つの対向するイオン源1および2は、試験片ホルダ6に対して可動であり、試験片ホルダ6とイオン源1、2とは、回転の中心軸15のまわりに装着され、互いに旋回する。2つのイオン源を利用することは、準備時間を短縮し、準備条件を変更する可能性を高めるため有利である。イオン源1、2は、共同に、または個別に中心軸15のまわりを旋回させることができ、付加的な回転軸のまわりを個別に旋回させることができる。
光学顕微鏡5はSEM支柱3の縦軸に対して45°の角度で傾けられて配置される。これは主に試験片4に対してイオンビームアライメントを観察するために用いられる。
好ましくはエバーハート・ソーンリー(Everhart Thornley)型の二次電子検出器7は、光学顕微鏡5に対して45°のオフセットで、かつSEMの縦軸14に対して60°の角度において配置される。このようにして、装置で用いられる試験片ホルダ6の傾斜角とは関係なく、試験片4に対するSE検出器7の好ましい二次電子検出位置が可能となり、その結果、試験片表面の連続的な結像も可能である。
図2aに示されるように、エッチングプロセスの間いつでもその場で、走査型電子顕微鏡の高解像度において試験片4を観察できる。これは、装置の選択可能な準備条件にかかわらず、かつエッチングプロセスを中断することなく行なわれる。このため、z方向の試験片準備の状態と、x、y平面における試験片の所望の厚さまでのエッチングの精度とがいつでも評価できるという利点がある。
上述の配置においては、衝撃角は以下のように変化させることができる。
試験片ホルダ6が光学顕微鏡5に対して15°傾けられると、第1のイオン源1の衝撃角は−20°から40°まで変化させることができ、第2のイオン源2の衝撃角は−40°から15°まで変化させることができる。この場合、0°は試験片表面に対して平行なイオン入射に対応する。
第1のイオン源1のみが用いられた場合、試験片ホルダ6を水平位置から外して45°傾けることによって、試験片4に対するイオン入射角を0°から70°の間で変化させることができる。試験片4は常にSEMの好ましい観察位置にある。
高解像度での試験片表面の観察のために、試験片4は図2bに示されるように、走査型電子顕微鏡の準備位置から、40mmの距離の経路を介して、8から12mmの最適作動距離まで移動させることができる。検査後、イオン源の配置または試験片ホルダの傾斜角を変えることなく、試験片を前もって設定された最初の位置に正確に戻すことができる。
SEM支柱3にごく隣接して、試験片4に向けられた電子源11があり、これは400eVから1000eVのエネルギを有する電子を供給し、最適作動距離におけるSEM観察の間、分離する試験片を照射するために用いられる。
試験片の下には、x、y方向に移動できる第2の電子検出器8があり、これは好ましくは半導体検出器であって、透過電子を記録する。前記検出器は、図2に示されるように試験片の第2の面の最終的な薄膜化プロセスに用いられ、たとえばコンピュータ制御などの制御装置19を介してイオン源の電源18に結合される。試験片4が電子を透過するようになると、これは、TSEMモードでの明るい、または暗いフィールド結像のいずれかによって走査型電子顕微鏡のモニタで観察でき、そこで記録された検出器電流の助けを得て設定点に従ってイオン源のスイッチが切られる。公知の解決策と比べて、この自動カットアウトは非常に敏感であり、プローブに穴があくという望ましくない事態が起こらないようにする。
次に、高解像度TSEMモードを用いて、試験片4の電子透過領域内に対象である構造が位置するかどうか、および試験片4をさらに薄くする必要があるか、またはエッチングプロセスを終了するべきかどうかを評価する。構造はその場で測定され、すなわち走査型電子顕微鏡のソフトウェアを介して線幅測定によって識別される。
半導体カドラント検出器であるBSE(RE)検出器9は、走査型電子顕微鏡の出口開口16の真下に配置され、質量対比または形状対比において任意に試験片表面の結像を可能にする。
この結果、装置は常にエッチングプロセスの最適の制御を可能にし、このことは、イオンエッチングプロセスを正確な瞬間に終了できるようにするため、選択された構造の組織的な薄膜化(試験片を所望の厚さにするエッチング)においては特に重要である。
この発明のよる装置の別の利点は、衝撃角の変動幅が広く、試験片ホルダ6をさまざまに位置づけることが可能であるため、透過型電子顕微鏡法のため(横に薄くされた試験片および断面試験片)だけではなく、走査型電子顕微鏡法のため(たとえばエッチ傾斜切削)にも高い精密度で試験片を製造することができることである。
エッチングプロセス中、SEM支柱3および電子検出器7、8、9をシャッタ12、13によってスパッタされた試料材料による汚染から保護することができる。シャッタ12、13は経路内へ揺動可能であり、SEM支柱のためのシャッタ12は電子ビーム開口として機能し、薄膜化プロセスの最終段階をTE検出器8によって継続的に制御することができるようにする。以下には、前記装置によって準備された試験片の2つの例を紹介する。
例1は、半導体構成要素構造の横方向の準備に関する。試験片は基板側から35μmのイオンエッチング開始時の厚さにまで機械的に薄くされた。その後、試験片表面に対して6°の衝撃角の下、SEM制御下の9.8kVの加速電圧の2つのイオン源によってイオンエッチングが基板側に行なわれ、試験片の電子透過性が達成されるまで続けられた。
第2の例は、多層回路システムのコンタクトホール構造の断面準備に関する。機械的準備によって達せられた試験片の最初の厚さは35μmであった。試験片は、その後、4°の衝撃角の下、8kVの加速電圧のイオン源によって、SEM制御下で試験片を振動させる動作で、第1の側から予め規定された深さにまで薄くされた。試験片が電子を透過するようになるまでの試験片の第2の側のイオンビームによる準備も同様にして行なわれた。双方の試験片の薄膜化プロセスの最終段階はTE検出器の助けを得て首尾よく制御された。試験片が電子を透過するようになると直ちにSEMのモニタに、対象となる構造の映像が現われ、エッチングプロセスはタイミングよく終了された。

Claims (14)

  1. 電子顕微鏡法に用いられる試験片(4)を加工するためのイオンビーム準備装置であって、試験片をエッチングするための希ガスイオンを用いて試験片ホルダ(6)内の試験片(4)を衝撃するための少なくとも1つのイオン源(1、2)と、前記試験片を衝撃する角度を変化させるための手段と、前記試験片ホルダを所定のポジションへ、前記試験片ホルダの表面の法線周りに回転させ、かつ前記試験片ホルダの縦軸周りに傾斜させるための手段と、試験片(4)に向けられた軸(14)を持つSEM支柱(3)を有する真空チャンバ(10)と、試験片を衝撃するためのイオン源の操作中に試験片表面を結像するための手段を有する第1の走査型電子顕微鏡(SEM)検出器(7)と、試験片を衝撃するためのイオン源の操作中に、試験片を透過する電子を記録することによってTSEMモードで試験片を結像するための手段を有する第2のSEM検出器(8)とを備え、前記第1および第2検出器は希ガスイオンを用いたエッチング中に連続的に試験片を結像する、イオンビーム準備装置。
  2. 前記希ガスイオンはアルゴンイオンである、請求項1に記載の装置。
  3. 前記第2の検出器(8)は、電子顕微鏡(3)の軸(14)に沿って試験片(4)の後に配置される、請求項1または2に記載の装置。
  4. 前記第2の検出器(8)は、制御装置(19)に接続され、前記制御装置(19)は、前もって設定された検出器電流が得られるとイオン源(1、2)のスイッチが切られるような態様で前記イオン源(1、2)に結合される、請求項3に記載の装置。
  5. ロック可能なシャッタ(12)が、顕微鏡(3)の顕微鏡開口(16)の前、および少なくとも第1の検出器(7)の前に配置される、請求項1から4のいずれかに記載の装置。
  6. 試験片ホルダ(6)は、顕微鏡の軸に試験片(4)の中心を位置づけ、試験片(4)と顕微鏡(3)との間の作動距離が調節可能である、請求項1から5のいずれかに記載の装置。
  7. 前記試験片ホルダ(6)は5つの軸において可動である、請求項1から6のいずれかに記載の装置。
  8. 試験片(4)上のイオン電流密度が、100mA/cm2以下である、請求項1から7のいずれかに記載の装置。
  9. 試験片(4)上のイオン電流密度が、30mA/cm2以下である、請求項8に記載の装置。
  10. 第3の走査型電子顕微鏡(SEM)検出器(9)は、走査型電子顕微鏡の出口開口(16)のまわりに直接配置される後方散乱電子検出器として設けられている、請求項1から9のいずれかに記載の装置。
  11. 少なくとも1つのイオン源(1、2)を試験片(4)の周りで旋回させる手段を含む、請求項1から10のいずれかに記載の装置。
  12. 真空チャンバ(10)上に、光学顕微鏡(5)が配置され、試験片(4)に対してイオンビームアライメントの観察を可能にする、請求項1から11のいずれかに記載の装置。
  13. 前記装置は試験片(4)に向けられた電子源(11)を含み、前記電子源(11)は、300電子ボルトから1500電子ボルトの電子エネルギを作るための手段を含む、請求項1から12のいずれかに記載の装置。
  14. 前記電子エネルギを作るための手段は400電子ボルトから1000電子ボルトの電子エネルギを作る、請求項13に記載の装置。
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