JP3954390B2 - 誘電体キャパシタ - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
この発明は誘電体キャパシタに関するものであり、特にその強誘電性の向上に関するものである。
【0002】
従来の強誘電体キャパシタを、図13に示す。シリコン基板2の上に、酸化シリコン層4が形成されている。その上に、白金からなる下部電極6が設けられている。下部電極6の上には、強誘電体層であるPZT(PbZrXTi1-XO3)膜8が設けられ、さらにその上には、白金からなる上部電極10が設けられている。このようにして、下部電極6、PZT膜8、上部電極10により、強誘電体キャパシタが形成される。
【0003】
なお、ここで、下部電極6として白金を用いているのは、次のような理由によるものである。PZT膜8は、配向膜の上に形成しなければならない。アモルファス膜の上に形成すると、配向しないため強誘電性が損なわれてしまうからである。一方、下部電極6は、シリコン基板2から絶縁した状態で形成しなければならない。このため、シリコン基板2上に酸化シリコン層4を形成している。この酸化シリコン層4はアモルファスである。一般に、アモルファスの上に形成した膜は無配向膜となるが、白金はアモルファスの上においても、配向膜となる性質を有している。このような理由から、下部電極として白金が用いられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような従来の強誘電体キャパシタには、次のような問題点があった。
【0005】
第一に、強誘電体の種類や組成によって、下部電極である白金との格子定数のミスマッチが大きくなり、強誘電性が劣化するおそれがあった。
【0006】
第二に、白金は酸素を透過しやすいため、強誘電体(PZT)内の酸素の抜け出し、経年変化および分極反転の繰り返しによって強誘電性が低下するという問題があった。つまり、図14に示すように、白金の柱状結晶の間から、強誘電体中の酸素が抜け出すおそれがあった。
【0007】
また、このような問題は高誘電率を有する誘電体を用いたキャパシタにおいても同様に生じていた。
【0008】
この発明は、上記の問題点を解決して、優れた強誘電性、高誘電性を示すとともに、経年劣化および分極反転の繰り返しによる劣化の少ない強誘電体キャパシタまたは高誘電率を有する誘電体キャパシタを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の誘電体キャパシタは、基板と、前記基板上に形成された酸化シリコン膜と、前記酸化シリコン膜上に形成された柱状多結晶からなるイリジウム層と前記柱状多結晶からなるイリジウム層の結晶間に形成された酸化イリジウムを有する下部電極と、前記下部電極上に形成された酸化物誘電体層と、前記酸化物誘電体層上に形成された上部電極と、を備えたことを特徴とする。
なお、この発明において、「キャパシタ」とは絶縁体の両側に電極が設けられた構造を指すものであり、電気の蓄積に用いられると否とにかかわらず、この構造を有するものを含む概念である。
【0010】
なお、その他の態様として以下のようなものも考えられる。
すなわち、第1の強誘電体キャパシタおよび第11の高誘電率を有する誘電体キャパシタは、白金とイリジウムとの合金層を有する下部電極、下部電極の上に、下部電極の前記合金層に接するように形成された誘電体層、誘電体層の上に形成された上部電極、を備えている。
【0011】
第2の強誘電体キャパシタおよび第12の高誘電率を有する誘電体キャパシタは、イリジウム層を有する下部電極、下部電極の上に、下部電極の前記イリジウム層に接するように形成された誘電体層、誘電体層の上に形成された上部電極、を備えている。
【0012】
第3の強誘電体キャパシタおよび第13の高誘電率を有する誘電体キャパシタは、前記下部電極は、基板の上に形成された酸化シリコン層の上に形成されており、前記下部電極は、前記酸化シリコン層に接する接合層を、前記合金層またはイリジウム層の下に有していることを特徴としている。
【0013】
第4の強誘電体キャパシタは、前記強誘電体層としてPbZrTiO3を用い、強誘電体層に接する下部電極の層としてPtYIr1-Yを用い、Yを0〜0.5の間としたことを特徴としている。
【0014】
第5の強誘電体キャパシタは、第4において前記Yを0.2〜0.3の間としたことを特徴としている。
【0015】
第6の強誘電体キャパシタは、強誘電体層としてBi4Ti3O12を用い、強誘電体層に接する下部電極の層としてPtYIr1-Yを用い、Yを0.8の間としたことを特徴としている。
【0016】
第7の強誘電体キャパシタおよび第14の高誘電率を有する誘電体キャパシタは、格子定数の異なる2以上の導電体の合金層を有する下部電極、下部電極の上に、下部電極の合金層に接するように形成された強誘電体層、強誘電体層の上に形成された上部電極、を備えている。
【0017】
第8の強誘電体キャパシタおよび第15の高誘電率を有する誘電体キャパシタは、前記合金層は、少なくともイリジウムを含む合金層であることを特徴としている。
【0018】
第9の強誘電体キャパシタおよび第16の高誘電率を有する誘電体キャパシタは、下部電極、下部電極の上に形成された強誘電体層、強誘電体層の上に形成され、白金とイリジウムの合金層を有する上部電極、を備えている。
【0019】
第10の強誘電体キャパシタおよび第17の高誘電率を有する誘電体キャパシタは、下部電極、下部電極の上に形成された強誘電体層、強誘電体層の上に形成され、イリジウム層を有する上部電極、を備えている。
【0020】
第18の強誘電体キャパシタの製造方法および第23の高誘電率を有する誘電体キャパシタの製造方法は、基板上に、スパッタリングによって、白金とイリジウムとの合金層またはイリジウム層を下部電極として形成するステップ、前記合金層の上に接するように誘電体層を形成するステップ、誘電体層の上に上部電極を形成するステップ、を備えている。
【0021】
第19の強誘電体キャパシタの製造方法および第24の高誘電率を有する誘電体キャパシタの製造方法は、基板上に、酸化シリコン層を形成するステップ、前記酸化シリコン層の上に、接合層を形成するステップ、前記チタン層の上に、白金とイリジウムとの合金層またはイリジウム層を形成し、下部電極を形成するステップ、前記下部電極の上に誘電体層を形成するステップ、誘電体層の上に上部電極を形成するステップ、を備えている。
【0022】
第20の強誘電体キャパシタの製造方法および第25の高誘電率を有する誘電体キャパシタの製造方法は、下部電極を摂氏400度以上で熱処理するステップを備えたことを特徴としている。
【0023】
第21の強誘電体キャパシタの製造方法および第26の高誘電率を有する誘電体キャパシタの製造方法は、熱処理ステップは、誘電体層形成のための熱処理を兼ねるものであることを特徴としている。
【0024】
第22の強誘電体キャパシタの製造方法および第27の高誘電率を有する誘電体キャパシタの製造方法は、下部電極を格子定数の異なる2以上の種類の金属の合金とし、合金の構成比率を変えることにより、合金の格子定数を変えて、誘電体層の格子定数と合致させるようにしたことを特徴としている。
【0025】
第1の強誘電体キャパシタおよび第11の高誘電率を有する誘電体キャパシタは、白金とイリジウムとの合金層を有する下部電極を用いたことを特徴としている。したがって、強誘電体や高誘電率を有する誘電体の種類や組成に応じて、白金とイリジウムの混合比を変えて、格子定数をマッチングさせることができる。また、合金中に含まれるイリジウムは白金よりも酸化しやすく、酸化したイリジウムによって、強誘電体中の酸素のぬけ出しが防止できる。
【0026】
第2の強誘電体キャパシタおよび第12の高誘電率を有する誘電体キャパシタは、イリジウム層を有する下部電極を用いたことを特徴としている。したがって、酸化したイリジウムによって、強誘電体中の酸素の抜け出しを防止できる。
【0027】
第3の強誘電体キャパシタおよび第13の高誘電率を有する誘電体キャパシタは、酸化シリコン層に接する接合層を下部電極の下に有していることを特徴としている。したがって、強誘電体層および高誘電率を有する誘電体層の接着性を向上させることができる。
【0028】
第4の強誘電体キャパシタは、強誘電体層としてPbZrTiO3を用い、強誘電体層に接する下部電極の層としてPtYIr1-Yを用い、Yを0〜0.5の間としている。したがって、両者の格子定数がマッチングして、優れた強誘電性を得ることができる。
【0029】
第5の強誘電体キャパシタは、Yを0.2〜0.3の間としている。したがって、両者の格子定数がさらによくマッチングして、さらに優れた強誘電性を得ることができる。
【0030】
第6の強誘電体キャパシタは、強誘電体層としてBi4Ti3O12を用い、強誘電体層に接する下部電極の層としてPtYIr1-Yを用い、Yを0.8の間としている。したがって、両者の格子定数がマッチングして、優れた強誘電性を得ることができる。
【0031】
第7の強誘電体キャパシタおよび第14の高誘電率を有する誘電体キャパシタは、格子定数の異なる2以上の導電体の合金層を下部電極に有している。したがって、合金の比率を変えることにより、誘電体層との格子定数のマッチングをとることが容易である。
【0032】
第8の強誘電体キャパシタおよび第15の高誘電率を有する誘電体キャパシタは、さらに、前記合金層にイリジウムを含んでいる。したがって、酸化したイリジウムによって、誘電体層からの酸素の抜け出しを防止できる。
【0033】
第9、10の強誘電体キャパシタおよび第16、17の高誘電率を有する誘電体キャパシタは、上部電極に白金とイリジウムの合金層またはイリジウム層を備えている。したがって、酸化したイリジウムによって、強誘電体中の酸素が上部電極を解して抜け出すのを防止できる。
【0034】
第18の強誘電体キャパシタの製造方法および第23の高誘電率を有する誘電体キャパシタの製造方法は、酸化シリコン層に接する接合層を下部電極の下に形成するステップを有している。したがって、強誘電体層、高誘電率を有する誘電体層の接着性を向上させることができる。
【0035】
第19の強誘電体キャパシタの製造方法および第24の高誘電率を有する誘電体キャパシタの製造方法は、白金とイリジウムとの合金層またはイリジウム層を下部電極として形成し、摂氏700以上で熱処理するステップを備えている。したがって、イリジウム層または合金層中のイリジウムが酸化され、酸素の抜け出しを防止することができる。
【0036】
第20の強誘電体キャパシタの製造方法および第25の高誘電率を有する誘電体キャパシタの製造方法は、誘電体層形成のための熱処理によって、下部電極の熱処理をあわせて行うことを特徴としている。したがって、工程の簡素化を図って、効率良く製造を行うことができる。
【0037】
すなわち、強誘電性、高誘電性の良好な誘電体キャパシタを提供することができる。
【0038】
【実施例】
図1に、この発明の一実施例による強誘電体キャパシタの構造を示す。シリコン基板2の上に、酸化シリコン層4、下部電極12、強誘電体層8、上部電極10が設けられている。下部電極12は、白金とイリジウムの合金層によって形成されている。
【0039】
図2に、白金とイリジウムの物性を比較して掲げる。この表からも明らかなように、イリジウムの物性は白金の物性とほぼ等しい。イリジウムの抵抗率は、白金よりも小さく、電極として好ましい材料である。また、白金の格子定数が3.923オングストロームであるのに対し、イリジウムの格子定数は3.839オングストロームである。したがって、混合比を変えることにより、白金とイリジウムの合金の格子定数を、3.923オングストローム〜3.839オングストロームの間に設定することができる。つまり、強誘電体の種類や組成に応じて、適切な格子定数とすることができる。
【0040】
たとえば、強誘電体層8としてチタン酸ビスマスBi4Ti3O12(以下BITという)を用いる場合について説明する。BITの格子定数は、a=5.45、b=5.41、c=32.815である。一方、下部電極12である白金やイリジウムは、図3に示すように(111)方向に配向する。したがって、BITのc軸配向膜を得るためには、下部電極12の(111)面の原子間距離Lを、a=5.45、もしくはb=5.41と等しくする必要がある。この実施例では、白金とイリジウムの合金の組成比を、PtXIr1-Xにおいてx=0.8とすることにより、(111)面の原子間距離Lを5.43とすることができる。つまり、BITの格子定数とマッチングをとって、強誘電性の高いBIT膜を形成することができる。
【0041】
また、イリジウムは白金に比べると酸化しやすい。図2の表に示すように、白金が酸素と反応しにくいのに対し、イリジウムは高温下で酸化する。この白金とイリジウムの合金を熱処理すれば、イリジウムがわずかに酸化する。この酸化イリジウム20が白金の柱状結晶の間に形成され、強誘電体8中の酸素の抜け出す通路を塞ぐので、酸素の欠乏を防止することができる(図4参照)。
【0042】
上記のような強誘電体キャパシタは、たとえば、図5に示すように、トランジスタ24と組み合わせて、不揮発性メモリとして用いることができる。
【0043】
図6に、この発明の一実施例による強誘電体キャパシタの製造工程を示す。シリコン基板2の表面を熱酸化し、酸化シリコン層4を形成する(図6A)。ここでは、酸化シリコン層4の厚さを600nmとした。次に、白金とイリジウムをターゲットとして用いて、白金とイリジウムの合金を、酸化シリコン層4の上に形成する(図6B)。これを下部電極12とする。ここでは、200nmの厚さに形成した。
【0044】
次に、この下部電極12の上に、ゾルゲル法によって、強誘電体層8としてPZT膜を形成する(図6C)。出発原料として、Pb(CH3COO)2・3H2O,Zr(tーOC4H9)4、Ti(i-OC3H7)4の混合溶液を用いた。この混合溶液をスピンコートした後、150度(摂氏、以下同じ)で乾燥させ、ドライエアー雰囲気において400度で30秒の仮焼成を行った。これを5回繰り返した後、O2雰囲気中で、700度以上の熱処理を施した。このようにして、250nmの強誘電体層8を形成した。なお、ここでは、PbZrXTi1-XO3において、xを0.52として(以下PZT(52・48)と表わす)、PZT膜を形成している。
【0045】
さらに、強誘電体層8の上に、スパッタリングにより白金によって上部電極10を形成する(図6D)。このようにして、強誘電体キャパシタを得ることができる。
【0046】
なお、上記実施例では。強誘電体層8を形成するための熱処理によって(700度以上)によって、下部電極12をあわせて熱処理し、イリジウムを酸化させるようにしている。しかし、下部電極12の形成時にこの熱処理を行ってもよい。後述の高誘電性の特性向上は、400度以上の熱処理を行うことにより顕著にあらわれることが判明した。もちろん、それ以下の温度であっても所定の効果は得られる。また、特別な熱処理を行わなくとも、経年変化によって、徐々にイリジウムの酸化が進行して効果が得えられる。
【0047】
図7に、強誘電体層8としてPZT(52/48)を用い、下部電極12としてPtXIr1-Xを用いて、白金とイリジウムの組成比xを変化させた場合の、残留分極Prと抗電界Ecの変化をグラフで示す。この図からも明らかなように、下部電極12として、白金のみを用いた場合(x=1.0の場合)に比べて、イリジウムとの合金を用いた場合の方が、残留分極Prが高い値を示すことが明らかである。すなわち、強誘電性が向上しているといえる。白金0%〜50%の範囲において顕著な特性の改善が得られており、特に白金25%程度をピークとして、20%〜30%の混合比において、極めて優れた特性が得られている。
【0048】
図8に、下部電極12として白金のみを用いた場合の、強誘電体キャパシタのヒステリシス特性を示す。また、図8Bに、下部電極12として白金25%、イリジウム75%の合金を用いた場合の、強誘電体キャパシタのヒステリシス特性を示す。なお、ここでは、酸化シリコン層を600nm、下部電極12を200nm、PZTを250nmとした。両グラフを比較すれば明らかなように、合金を用いた場合の方(図8Bの方)が、残留分極Prに優れた特性を示している。
【0049】
さらに、図9に、下部電極12としてイリジウムのみを用いた場合の、強誘電体キャパシタのヒステリシス特性を示す。このように、イリジウムのみを用いた場合であっても、残留分極Pr、抗電界Ecが改善されている。これは、イリジウムも白金と同じく柱状結晶であるが、その表面もしくは結晶間が酸化して、柱状結晶でない酸化イリジウムに変化するためであると思われる。
【0050】
なお、下部電極、上部電極に白金とイリジウムとの合金やイリジウムを用いると、誘電体の特性が向上する理由は必ずしも明らかではないが、上記で述べた理由等が複合的に影響していると思われる。
【0051】
図10に、この発明の他の実施例による強誘電体キャパシタの構造を示す。この実施例では、下部電極12と酸化シリコン層4との間に、チタン層を接合層30として設けている。イリジウムと酸化シリコン層4との密着性はあまり良くない。このため、部分的に合金層がはがれ、強誘電特性を劣化させるおそれがある。特に、合金中のイリジウムの比率が高くなるほど、このことが顕著となる。そこで、この実施例では、酸化シリコン層4と密着性のよいチタン層を接合層30として設けている。これにより、強誘電特性を改善している。なお、チタン層は、スパッタリングによって形成すればよい。
【0052】
図11に、イリジウムによる下部電極12の下に、チタン層を接合層30として設けた場合の、ヒステリシス特性を示す。ここでは、酸化シリコン層を6000オングストローム、接合層を5nm、下部電極12を200nm、PZTを250nmとした。図から明らかなように、図9の場合に比較して、残留分極Pr、抗電界Ecともに改善されている。
【0053】
なお、上記実施例では、接合層30としてチタン層を用いたが、接合性を改善する材料であれば、どのようなものでもよい。例えば、白金層を用いてもよい。白金層(100nm)を接合層として用いた場合の、ヒステリシス特性を図11Bに示す。この場合も、図9と比べれば明らかなように、残留分極Pr、抗電界Ecが改善さている。
【0054】
なお、上記の実施例では、白金とイリジウムの合金を用いることにより、格子定数のマッチングを図った。しかし、格子定数の異なる導電体を用いることにより、同様にして格子定数のマッチングを図ることができる。
【0055】
また、上記各実施例では、下部電極12を1層の合金等で形成したが、2層以上の層で形成してもよい。この場合、強誘電体層8に接する層に、白金とイリジウムの合金層やイリジウム層を用いれば、格子定数のマッチングを図って、良好な強誘電体層8を得ることができる。また、イリジウムが酸化することによって、強誘電体層8中の酸素の抜け出しを防ぐ効果については、いずれかの層が上記の合金層やイリジウム層であれば得られる。しかし、強誘電体層8に接するように合金層やイリジウム層を設けたほうが、高い効果を得ることができる。
【0056】
さらに、イリジウムの酸化による酸素の抜け出しを防ぐことによる効果は、上部電極10を上記合金層やイリジウム層にした場合も得られる。上下電極10、12ともに、合金層またはイリジウム層にすれば、さらに大きな効果を得ることができる。
【0057】
この発明の他の実施例によるキャパシタを図12に示す。この実施例では、強誘電体層8に代えて、高誘電率を有する誘電体層90を用いている。酸化シリコン層4の上に、白金とイリジウムの合金(上述のようにイリジウムのみでもよい)からなる下部電極12を設け、その上にSrTiO3,(Sr,Ba)TiO3のペロブスカイト構造を有する高誘電率薄膜を誘電体層90として形成した。この場合も、強誘電体の場合と同様、誘電性の改善が図られた。つまり、強誘電体層について述べたことが、高誘電率を有する誘電体層にも適用できることが明らかとなった。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例による強誘電体キャパシタの構図を示す図である。
【図2】白金とイリジウムの物性を表わす図である。
【図3】白金、イリジウムの結晶面を示す図である。
【図4】白金とイリジウムの合金において、酸化イリジウムが酸素の抜け出しを防止する構造を示す図である。
【図5】強誘電体キャパシタ22を用いた不揮発性メモリを示す図である。
【図6】強誘電体キャパシタの製造工程を示す図である。
【図7】下部電極12の白金とイリジウムの混合比を変えた場合の残留分極Prと抗電界Ecの変化を示す図である。
【図8】白金のみを下部電極として用いた場合と、白金とイリジウムの合金を下部電極として用いた場合のヒステリシス特性を比較する図である。
【図9】下部電極としてイリジウムのみを用いた場合のヒステリシス特性を示す図である。
【図10】下部電極12と酸化シリコン層4との間に、接合層30を設けた場合の実施例を示す図である。
【図11】接合層30としてイリジウム層、白金層を用いた場合のヒステリシス特性を示す図である。
【図12】高誘電率を有する誘電体キャパシタの実施例を示す図である。
【図13】従来の強誘電体キャパシタの構造を示す図である。
【図14】白金による下部電極6から酸素が抜け出す状態を示す図である。
【符号の説明】
2...シリコン基板
4...酸化シリコン層
8...強誘電体層
10...上部電極
12...下部電極
90...高誘電率を有する誘電体層
Claims (1)
- 基板と、
前記基板上に形成された酸化シリコン膜と、
前記酸化シリコン膜上に形成された柱状多結晶からなるイリジウム層と前記柱状多結晶からなるイリジウム層の結晶間に形成された酸化イリジウムを有する下部電極と、
前記下部電極上に形成された酸化物誘電体層と、
前記酸化物誘電体層上に形成された上部電極と、を備えた
誘電体キャパシタ。
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