JP3933746B2 - 半導体装置の素子分離方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体装置及びその製造方法に係り、特にシリコンスペーサと酸化防止用薄膜を用いてバーズビークの発生を抑制した半導体装置及び該半導体装置を製造するための素子分離方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体素子の集積度を高めるためには、個々の素子の大きさを縮小する必要があり、これと共に隣接した素子等を電気的に分離する素子分離領域の幅と面積を小さくすることも非常に重要である。さらに、素子分離領域の形成工程は、半導体装置の製造における初期工程であり、活性領域の大きさ及び後工程の工程マージンを左右するので、素子分離絶縁膜を平坦化し得る技術が要求されている。従って、集積回路(IC)の登場から現在に至るまで様々な素子分離方法等が提案されて来た。
【0003】
半導体素子の製造における素子間分離を成す方法は、選択的酸化による素子分離方法(LOCal Oxidation of Silicon、以下LOCOSという)とトレンチを用いる方法とに大別される。
【0004】
一般的に半導体素子の製造に広く用いられるLOCOS法は、工程が簡単であるという利点はあるが、256MのDRAM級以上のように高集積化された素子においては、素子分離領域の幅が減少に伴って、酸化時に発生するバーズビークによるパンチスルーや素子分離膜の厚さの減少による影響が顕著となって、多くの研究にも拘らずその限界点に至っている。
【0005】
上記のLOCOS法の問題点を解決するために提案されたトレンチを用いた素子分離方法は、素子分離酸化膜の形成においてLOCOS法のように熱酸化工程を採用しないため、熱酸化工程に起因して誘発される問題点等をある程度減らし得る。また、半導体基板にトレンチを形成してその内部を酸化膜等の絶縁物質で充填することにより、同一の素子分離幅であっても効果的な素子分離深さを有するため、LOCOS法よりも小さい素子分離領域を形成し得る。しかし、製造工程が複雑で製造コストが高いという問題がある。
【0006】
一方、 LOCOS法を使用しながらバーズビークの発生を抑制しうる方法が、1994年のIDEM pp.679-682において、“A Highly Practical Modified LOCOS Isolarion Technology for the 256Mbit DRAM”として開示された。この方法を図1A乃至図1Dに基づき詳しく説明する。
【0007】
図1Aに示す工程では、半導体基板10上にストレス緩衝用のパッド酸化膜15と酸化防止用の窒化膜20を順に形成した後に、写真蝕刻工程により非活性領域に形成された窒化膜20を除去することにより、該非活性領域のパッド酸化膜15を露出させる。
【0008】
図1Bに示す工程では、先ず、露出したパッド酸化膜15を除去して半導体基板10を所定深さに蝕刻してリセスさせた後に、熱酸化工程により、素子分離膜が形成される領域の半導体基板10上に薄い熱酸化膜25を形成する。次いで、結果物の全面にポリシリコンを蒸着した後に、これを異方性蝕刻して窒化膜20の側壁にポリシリコンスペーサ30を形成する。
【0009】
図1Cに示す工程では、スペーサ30の形成された結果物に対して高温熱酸化工程を行って半導体基板10の非活性領域にフィールド酸化膜35を形成する。
【0010】
図1Dに示す工程では、窒化膜20及びパッド酸化膜15を除去し、犠牲酸化膜(図示せず)を成長させた後に、フィールド酸化膜35を平坦化することにより最終的な素子分離膜35’を形成する。
【0011】
上記のスペーサ30を形成する物質としてポリシリコン以外に窒化膜を使用し得るが、ポリシリコンを使用すれば活性領域と素子分離領域間の段差を緩和することでき、窒化膜を使用する場合に比べて漏れ電流を減少させ得る利点がある。
【0012】
しかし、従来の方法は、ポリシリコンスペーサの厚さに応じてバーズビークの大きさが敏感に変わる問題点がある。また、半導体素子の高集積化により素子間分離領域の幅が狭くなり、これに伴ってスペーサの厚さも薄くする必要があるが、スペーサの厚さが薄くなるほどバーズビークが大きく成長するという問題点がある。
【0013】
【発明が解決しょうとする課題】
本発明は、例えば二重のスペーサを用いてバーズビークの発生を効果的に抑制することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る半導体装置の素子分離方法は、(a)半導体基板にパッド酸化膜を形成する段階と、(b)前記パッド酸化膜上に非活性領域のパッド酸化膜を露出させる酸化防止膜パターンを形成する段階と、(c)前記酸化防止膜パターンの側壁にシリコン膜よりなるスペーサを形成する段階と、(d)前記スペーサが形成された結果物の全面に酸化防止用薄膜を形成する段階と、(e)前記酸化防止用薄膜が形成された結果物を酸化させ素子分離膜を形成する段階と、(f)前記酸化防止膜パターン及びパッド酸化膜を除去する段階とを含むことを特徴とする。
【0015】
前記(b)段階と(c)段階との間に、(g)前記露出されたパッド酸化膜を除去して半導体基板を露出させる段階と、(h)前記露出された半導体基板の表面に酸化膜を形成する段階とを追加することが望ましい。そして、前記(g)段階と(h)段階との間に、前記パッド酸化膜の側面を一部蝕刻してアンダーカットを形成する段階を追加することが望ましい。
【0016】
前記スペーサは、単結晶シリコン、ポリシリコン及び非晶質シリコンよりなるグループから選ばれた何れか1つで形成することが望ましい。
【0017】
前記スペーサ上に蒸着される酸化防止用薄膜の厚さを前記パッド酸化膜上に蒸着される薄膜より厚く形成することが望ましい。そして、前記酸化防止用薄膜は窒化膜として、ロードロックシステムを備えた装置を使用して形成することが望ましい。
【0018】
本発明に係る他の半導体装置の素子分離方法は、半導体基板に第1パッド酸化膜を形成する段階と、前記第1パッド酸化膜上に非活性領域の第1パッド酸化膜を露出させる酸化防止膜パターンを形成する段階と、前記露出された第1パッド酸化膜を除去して非活性領域の半導体基板を露出させる段階と、露出された前記半導体基板を所定深さに蝕刻してリセスさせる段階と、半導体基板のリセスされた領域に第2パッド酸化膜を形成する段階と、前記酸化防止膜パターン及び第1パッド酸化膜の側壁にシリコン膜よりなるスペーサを形成する段階と、前記スペーサが形成された結果物の全面に酸化防止用薄膜を形成する段階と、前記酸化防止用薄膜が形成された結果物を酸化させフィールド酸化膜を形成する段階と、前記第1パッド酸化膜及び酸化防止膜パターンを除去する段階とを含むことを特徴とする。
【0019】
前記露出された半導体基板を蝕刻してリセスさせる段階の前後に、前記第1パッド酸化膜の側面を所定量蝕刻してアンダーカットを形成する段階を追加することが望ましい。
【0020】
前記スペーサは、単結晶シリコン、ポリシリコン及び非晶質シリコンよりなるグループから選ばれた何れか1つで形成することが望ましい。
【0021】
前記酸化防止用薄膜は前記スペーサ上には厚く形成し、露出された第2パッド酸化膜上には薄く蒸着することが望ましい。そして、前記酸化防止用薄膜は窒化膜で形成し、ロードロックシステムを備えた装置を使用して形成することが望ましい。
【0022】
本発明に係る半導体装置は、半導体基板上に素子を形成した半導体装置であって、半導体基板上に開口部を有する酸化防止膜パターンを形成して、該開口部の形状により非活性領域を限定し、該酸化防止膜パターンの側壁にシリコン膜よりなるスペーサを形成し、その結果物の全面に酸化防止用薄膜を形成し、その結果物を酸化させて得られる酸化膜の下部の断面構造と実質的に同一の下部の断面構造を有する素子分離膜を含むことを特徴とする。なお、本発明に係る半導体装置における素子分離膜の断面構造は、製造方法により特定されているが、本発明に係る半導体装置の技術的範囲には、他の製造方法により得られる実質的に同一の断面構造を有する半導体装置が含まれる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、添付された図面に基づき本発明の好適な実施の形態を詳しく説明する。
【0024】
図2A乃至図2Eは、本発明の第1実施例を説明するための断面図である。
【0025】
図2Aは、活性領域を限定するパターンを形成する段階を示す。
【0026】
この段階は、半導体基板40上に薄い熱酸化膜を成長させパッド酸化膜45を形成する工程と、パッド酸化膜45上に窒化膜50を形成する工程と、窒化膜50上に非活性領域の窒化膜を露出させるフォトレジストパターン(図示せず)を形成する工程と、該フォトレジストパターンをマスクとして使用して窒化膜50を乾式蝕刻することにより非活性領域のパッド酸化膜45を露出させる工程とを含む。
【0027】
パッド酸化膜45は、フィールド酸化膜の形成のための熱酸化工程時において、基板40に加えられるストレスを緩和するよう機能し、窒化膜50は、フィールド酸化膜の形成のための熱酸化工程時において、活性領域の基板50が酸化されることを防止するための酸化防止膜として機能する。
【0028】
図2Bは、スペーサ55を形成する段階を示す。
【0029】
この段階は、非活性領域のパッド酸化膜45が露出した結果物上にシリコン膜、例えばポリシリコンを蒸着する工程と、該シリコン膜を乾式蝕刻して窒化膜50の側壁にスペーサ55を形成する工程とを含む。
【0030】
スペーサ55は、ポリシリコンの他、例えば、単結晶シリコン、非晶質シリコン等により形成しても良い。なお、以下の説明においては、ポリシリコンによりスペーサ55を形成した場合について説明する。
【0031】
ポリシリコンを乾式蝕刻する際には、過度に蝕刻を行ってスペーサ55の高さを低くする。スペーサが高すぎると最終的な素子分離膜のエッジ部分が突出し、ゲート膜上のストリンガ及びゲートオキサイド特性の劣化が生じる。
【0032】
スペーサ55を形成する前に、図1Bに示すように、非活性領域のパッド酸化膜を除去した後に、半導体基板を一定深さにリセスさせてから熱酸化膜を形成することもできる。
【0033】
図2Cは、酸化防止用薄膜60を蒸着する段階を示すものであって、ポリシリコンスペーサ55が形成された結果物の全面上に例えば10nm以下の薄い窒化膜を蒸着して酸化防止用薄膜60を形成する。この際、活性領域に形成された窒化膜50及びポリシリコンスペーサ55上に蒸着される酸化防止用薄膜60の厚さが、パッド酸化膜45上に蒸着される酸化防止用薄膜60より厚く蒸着されるが、その理由は後述する。
【0034】
酸化防止用薄膜60を蒸着する装置としては、ロードロックシステムを備えた装置が望ましい。その理由は、ロードロックシステムのない装置を使用する場合は、基板をローディングし蒸着装置の温度を高める間にスペーサ55上に自然酸化膜が成長するため、スペーサ上に選択的に厚めの酸化防止用薄膜を蒸着することができないからである。
【0035】
図2Dは、フィールド酸化膜を形成する段階を示したものであって、酸化防止用薄膜60が蒸着された結果物に対して熱酸化を行ってフィールド酸化膜65を形成する。この際、パッド酸化膜45上に形成された酸化防止用薄膜60が完全に酸化された後に、基板面の一部が酸化され所望の厚さのフィールド酸化膜が形成されるように酸化時間と工程条件を適切に調節する。
【0036】
ポリシリコンスペーサ55の上部にはパッド酸化膜45の上部より窒化膜が厚く蒸着されているので、ポリシリコンスペーサ55は、酸化が始まってから一定時間は酸化されないで、そのまま残ることになる。そして、ポリシリコンスペーサ55上に蒸着されていた酸化防止用薄膜60が完全に酸化された後に、スペーサ55と基板40の双方が酸化される。しかし、パッド酸化膜45の上部には、ポリシリコンスペーサ55の上部よりも酸化防止用薄膜60が薄く蒸着されているために半導体基板40の酸化が先に始まる。即ち、ポリシリコンスペーサ55上に蒸着された酸化防止用薄膜60の厚さとパッド酸化膜45上に蒸着された酸化防止用薄膜60の厚さとの差の分だけ、ポリシリコンスペーサ55が酸化されることを遅延させることができる。
【0037】
従来のポリシリコンスペーサを用いた素子分離方法の場合では、ポリシリコンの早期酸化に起因してバーズビークの発生を充分に抑制できなかったが、この実施例によれば、パッド酸化膜45とポリシリコンスペーサ55上に各々形成された酸化防止用薄膜60の厚さの差の分だけポリシリコンスペーサ55の酸化を遅延させ得るため、従来の問題点を解決することができる。また、所望の厚さのフィールド酸化膜を形成するために作用するパラメータが、従来はポリシリコンスペーサの厚さであったが、この実施例ではパッド酸化膜上に形成される酸化防止用薄膜の厚さであるので、ポリシリコンスペーサの厚さを自在に調節することができる。
【0038】
図2Eは、最終的なフィールド酸化膜を形成する段階を示したものであって、活性領域上に積層された窒化膜50及びパッド酸化膜45を順に除去することにより、最終的なフィールド酸化膜65’が得られる。
【0039】
図3及び図4は、シリコン膜と酸化膜上に夫々窒化膜を蒸着した場合に、両者において窒化膜の成長度がことなることを示すグラフである。
【0040】
図3は、酸化膜とシリコン膜上に各々窒化膜を蒸着した後に、エリプソメータ(Ellipsometer)を使用して、蒸着された窒化膜の厚さを計測した結果を示したグラフであって、酸化膜上に蒸着される窒化膜の厚さ(b)よりもシリコン膜上に蒸着される窒化膜の厚さ(a)の方が厚いことを示す。
【0041】
図4は、ベアウェハ、酸化膜及びシリコン膜上に蒸着された窒化膜の厚さとフィールド酸化膜の成長度との関係を示すグラフである。具体的には、このグラフは、6nm厚の酸化膜(c)、 500nm厚のポリシリコン膜(d)、ベアウェハ(e)上に窒化膜を厚さ3nmから6nmまで0.5nm刻みで増加させて蒸着した後にフィールド酸化膜を成長させた際のその成長度を比較したものである。
【0042】
このグラフに示すように、ベアウェハ(e)またはポリシリコン膜(d)上に窒化膜を蒸着した場合は、フィールド酸化膜の成長が相対的に遅いことがわかる。
【0043】
図3及び図4に示す結果から、酸化膜上に蒸着される窒化膜の厚さよりもベアウェハ又はポリシリコン膜上に蒸着される窒化膜の厚さが厚くなり、結果として、酸化膜上に形成されるフィールド酸化膜は、ベアウェハ又はポリシリコン膜上に形成されるフィールド酸化膜よりも厚さが薄いことがわかる。すなわち、図2Cに示す段階において、ポリシリコンスペーサ55上に蒸着される酸化防止用薄膜(窒化膜)60の厚さが、パッド酸化膜45上に蒸着される酸化防止用薄膜60よりも厚くなる。
【0044】
図5A乃至図5Fは、本発明の第2実施例を説明するための断面図である。
【0045】
図5Aは、活性領域を限定するパターンを形成する段階を示す。この段階は、半導体基板40上に薄い熱酸化膜を成長させて第1パッド酸化膜45を形成する工程と、第1パッド酸化膜45上に窒化膜50を形成する工程と、窒化膜50上に非活性領域上の窒化膜を露出させるフォトレジストパターン(図示せず)を形成する工程と、該フォトレジストパターンをマスクとして使用して窒化膜50を乾式蝕刻することにより非活性領域の第1パッド酸化膜45を露出させる工程とを含む。
【0046】
図5Bは、トレンチ及びアンダカット70を形成する段階を示す。この段階は、前記フォトレジストパターンを除去する工程と、窒化膜50をマスクとして使用して非活性領域の第1パッド酸化膜45を除去して半導体基板40の表面を露出させる工程と、露出された半導体基板40を所定深さに蝕刻してリセスさせる工程と、第1パッド酸化膜45の側面を蝕刻してアンダーカット70を形成する工程とを含む。
【0047】
ここで、半導体基板40は、100nm以下の深さに蝕刻することが望ましい。このように一定深さに半導体基板をリセスさせるのは素子分離長さ(isolation length)を延ばすためのものであるが、半導体基板をリセスさせずに、そのままパッド酸化膜45の側面を蝕刻してアンダーカット70を形成することもできる。図6は、半導体基板40をリセスさせずに、そのままアンダーカット70を形成した状態を示す断面図である。
【0048】
アンダーカット70は、第1パッド酸化膜45の露出された側面を等方性蝕刻することにより形成することができる。
【0049】
また、半導体基板をリセスさせるための蝕刻工程時において、蝕刻マスクとしてフォトレジストを使用することもできる。一般的に、窒化膜とシリコン膜との間の蝕刻選択比は低いため、窒化膜をマスクとして使用して半導体基板をリセスさせると窒化膜の消耗も相当に発生し得る。従って、活性領域を限定する工程の後に、露出された第1パッド酸化膜を蝕刻して半導体基板を一定量だけリセスさせてからフォトレジストパターンを除去することにより、窒化膜の消耗を防止することも有効である。
【0050】
図5Cはスペーサ55を形成する段階を示す。この段階は、半導体基板の露出された領域に薄い熱酸化膜を成長させて第2パッド酸化膜75を形成する工程と、その結果物上にポリシリコン膜を蒸着する工程と、ポリシリコン膜をエッチングバックして窒化膜50及び第1パッド酸化膜45の側壁にスペーサ55を形成する工程とを含む。
【0051】
ここで、後続工程で平坦化を容易にするためには、ポリシリコン膜をエッチングバックする際に適当量のオーバーエッチングを行ってスペーサ55の高さを低めることが望ましい。また、スペーサ55は、ポリシリコンの他、例えば、単結晶シリコン、非晶質シリコン等により形成しても良い。
【0052】
図5Dは、酸化防止用薄膜60を蒸着する段階を示す。この段階では、ポリシリコンスペーサ55が形成された結果物の全面に例えば10nm以下の薄い窒化膜を蒸着して酸化防止用薄膜60を形成する。この際、活性領域の半導体基板上に形成された窒化膜50及びポリシリコンスペーサ55上に蒸着される酸化防止用薄膜60の厚さが、第2パッド酸化膜75上に蒸着される酸化防止用薄膜60の厚さより厚く蒸着されるが、その理由は前述の通りである(図3及び図4並びにその説明を参照)。
【0053】
図5Eは、フィールド酸化膜65を形成する段階を示す。この段階では、酸化防止用薄膜60が蒸着された結果物に対して熱酸化を行ってフィールド酸化膜65を形成する。この際、第2パッド酸化膜75上に形成された酸化防止用薄膜が完全に酸化された後に基板が酸化されて所望の厚さのフィールド酸化膜が形成されるように酸化時間と工程条件を適切に調節する。
【0054】
ポリシリコンスペーサ55の上部には第2パッド酸化膜75の上部より酸化防止用薄膜が厚く蒸着されている。従って、ポリシリコンスペーサ55は、酸化が始まってから一定時間は酸化されないで、そのまま残ることになる。そして、ポリシリコンスペーサ55上に蒸着されていた酸化防止用薄膜60が完全に酸化された後に、ポリシリコンスペーサ55と基板40の双方が酸化される。従って、ポリシリコンスペーサ55の厚さを薄く形成してもポリシリコンスペーサ55と第2パッド酸化膜75に蒸着される酸化防止用薄膜60の厚さの差の分だけ、ポリシリコンスペーサ55が酸化されることを遅延させることができ、結果として、バーズビークを効果的に制御しうる。
【0055】
図5Fは、最終的なフィールド酸化膜を形成する段階を示す。この段階では、活性領域に積層された窒化膜50及び第1パッド酸化膜45を順に除去することにより、最終的なフィールド酸化膜65’を形成する。
【0056】
図7Aは、本発明を適用してフィールド酸化膜を形成する際に、フィールド酸化膜が120nmほど形成された状態を観測した走査形電子顕微鏡(SEM)写真である。この写真より、絶縁膜が形成される非活性領域にはフィールド酸化膜が正常に成長したが、ポリシリコンスペーサは酸化されずにそのまま残っていることがわかる。これはポリシリコンスペーサ上には酸化防止用薄膜がパッド酸化膜上より厚く蒸着されていて一定時間酸化が抑制されるからである。
【0057】
図7Bは、フィールド酸化膜が200nmほど形成された状態を観測したSEM写真である。この写真より、ポリシリコンスペーサの酸化が始まり、活性領域に形成された窒化膜の側面にのみポリシリコンが一部残っていることがわかる。
【0058】
図8A及び図8Bは、50nm厚のポリシリコンでスペーサを形成した後に、フィールド酸化膜が300nmほど形成された状態のSEM写真であって、図8A は、ポリシリコンスペーサのみを形成した結果であり、図8Bは、ポリシリコンスペーサの形成後に一定厚の窒化膜を蒸着してから酸化を行った結果である。窒化膜を蒸着した方が、バーズビーク発生の抑制能力に優れていることがわかる。フィールド酸化膜が形成される非活性領域には窒化膜がほとんど蒸着されないため、非活性領域においては酸化工程の初期から酸化が進行する。
【0059】
以上のように、本発明の好適な実施例に係る素子分離方法によれば、同一工程でシリコン膜及び酸化膜上に蒸着される窒化膜の厚さが異なることを用いて、ポリシリコンスペーサの上部に比べて非活性領域に選択的に窒化膜を薄く形成する。従って、ポリシリコンスペーサ上に蒸着される窒化膜の厚さとパッド酸化膜上に蒸着される窒化膜の厚さの差の分だけポリシリコンスペーサが酸化されることを遅延させることができる。
【0060】
従来、ポリシリコンスペーサを用いた素子分離方法においては、ポリシリコンの早期酸化に起因してバーズビークの発生を十分に抑制できなかったが、本発明の好適な実施例によれば、バーズビークの発生を効果的に抑制することができる。
【0061】
また、所望の厚さのフィールド酸化膜を形成するために作用するパラメータが、従来はポリシリコンスペーサの厚さであったが、上記の実施例ではパッド酸化膜上に形成される窒化膜の厚さであるので、ポリシリコンスペーサの厚さを自在に調節することができる。
【0062】
また、ポリシリコンスペーサの厚さを薄く形成することができるため、フィールド酸化膜の形成工程において、開口した非活性領域が大きくなり、フィールド酸化膜の厚さの減少が抑えられ、電気的に優れた特性を有する素子を形成することができる。
【0063】
本発明は、上記の実施例に限定されず、本発明の技術的思想の範囲内において様々な変形が可能である。
【0064】
【発明の効果】
本発明に拠れば、バーズビークの発生を効果的に抑制することができる。
【0065】
【図面の簡単な説明】
【図1A】従来のポリシリコンスペーサを用いた素子分離方法を説明するための断面図である。
【図1B】従来のポリシリコンスペーサを用いた素子分離方法を説明するための断面図である。
【図1C】従来のポリシリコンスペーサを用いた素子分離方法を説明するための断面図である。
【図1D】従来のポリシリコンスペーサを用いた素子分離方法を説明するための断面図である。
【図2A】本発明の第1実施例に係る半導体装置の素子分離方法を説明するための断面図である。
【図2B】本発明の第1実施例に係る半導体装置の素子分離方法を説明するための断面図である。
【図2C】本発明の第1実施例に係る半導体装置の素子分離方法を説明するための断面図である。
【図2D】本発明の第1実施例に係る半導体装置の素子分離方法を説明するための断面図である。
【図2E】本発明の第1実施例に係る半導体装置の素子分離方法を説明するための断面図である。
【図3】酸化膜とシリコン膜上に各々蒸着された窒化膜の厚さをエリプソメータを使用して測定した結果を示すグラフである。
【図4】ベアウェーハ、酸化膜及びポリシリコン膜上での窒化膜の酸化抑制力(耐酸化性)を観察した結果を示すグラフである。
【図5A】本発明の第2実施例に係る半導体装置の素子分離方法を説明するための断面図である。
【図5B】本発明の第2実施例に係る半導体装置の素子分離方法を説明するための断面図である。
【図5C】本発明の第2実施例に係る半導体装置の素子分離方法を説明するための断面図である。
【図5D】本発明の第2実施例に係る半導体装置の素子分離方法を説明するための断面図である。
【図5E】本発明の第2実施例に係る半導体装置の素子分離方法を説明するための断面図である。
【図5F】本発明の第2実施例に係る半導体装置の素子分離方法を説明するための断面図である。
【図6】本発明の第3実施例を示す断面図である。
【図7A】本発明の実施例の効果を説明するためのSEM写真である。
【図7B】本発明の実施例の効果を説明するためのSEM写真である。
【図8A】本発明の実施例の効果を説明するためのSEM写真である。
【図8B】本発明の実施例の効果を説明するためのSEM写真である。
【符号の説明】
10 半導体基板
15 パッド酸化膜
20 窒化膜
25 熱酸化膜
30 スペーサ
35 フィールド酸化膜
35’ 素子分離膜
40 半導体基板
45 パッド酸化膜
50 窒化膜
55 スペーサ
60 酸化防止用薄膜
65,65’ フィールド酸化膜
70 アンダカット
75 第2パッド酸化膜
Claims (12)
- (a)半導体基板にパッド酸化膜を形成する段階と、
(b)前記パッド酸化膜上に非活性領域のパッド酸化膜が露出した酸化防止膜パターンを形成する段階と、
(c)前記酸化防止膜パターンの側壁にシリコン膜よりなるスペーサを形成する段階と、
(d)前記スペーサが形成された結果物の全面に窒化膜よりなる酸化防止用薄膜を形成する段階と、
(e)全面に前記酸化防止用薄膜が形成されている結果物を酸化させて素子分離膜を形成する段階と、
(f)前記酸化防止膜パターン及びパッド酸化膜を除去する段階と、
を含み、前記素子分離膜を形成する段階では、前記酸化防止用薄膜が酸化された後に前記半導体基板の表面のうち前記酸化防止膜パターンが存在しない部分及び前記スペーサの酸化が始まることを特徴とする半導体装置の素子分離方法。 - 前記(b)段階と(c)段階との間に、
(g)露出した部分の前記パッド酸化膜を除去して前記半導体基板を露出させる段階と、
(h)露出した部分の前記半導体基板の表面に酸化膜を形成する段階と、
をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の素子分離方法。 - 前記(g)段階と(h)段階との間に、前記パッド酸化膜の側面の一部を蝕刻してアンダーカットを形成する段階をさらに含むことを特徴とする請求項2に記載の半導体装置の素子分離方法。
- 前記スペーサを、単結晶シリコン、ポリシリコン及び非晶質シリコンよりなるグループから選ばれた何れか1つで形成することを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の素子分離方法。
- 前記スペーサ上に蒸着される前記酸化防止用薄膜の厚さを前記パッド酸化膜上に蒸着される薄膜よりも厚く形成することを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の素子分離方法。
- 前記酸化防止用薄膜を、ロードロックシステムを備えた装置を使用して形成することを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の素子分離方法。
- 半導体基板に第1パッド酸化膜を形成する段階と、
前記第1パッド酸化膜上に、非活性領域の該第1パッド酸化膜を露出させる酸化防止膜パターンを形成する段階と、
露出した部分の前記第1パッド酸化膜を除去して非活性領域の前記半導体基板を露出させる段階と、
露出した部分の前記半導体基板を所定深さに蝕刻してリセスさせる段階と、
前記半導体基板のリセスされた領域に第2パッド酸化膜を形成する段階と、
前記酸化防止膜パターン及び第1パッド酸化膜の側壁にシリコン膜よりなるスペーサを形成する段階と、
前記スペーサが形成された結果物の全面に窒化膜よりなる酸化防止用薄膜を形成する段階と、
全面に前記酸化防止用薄膜が形成されている結果物を酸化させてフィールド酸化膜を形成する段階と、
前記第1パッド酸化膜及び酸化防止膜パターンを除去する段階と、
を含み、前記フィールド酸化膜を形成する段階では、前記酸化防止用薄膜が酸化された後に前記半導体基板の表面のうち前記酸化防止膜パターンが存在しない部分及び前記スペーサの酸化が始まることを特徴とする半導体装置の素子分離方法。 - 露出した前記半導体基板を蝕刻してリセスさせる段階の前に、前記第1パッド酸化膜の側面を所定量蝕刻してアンダーカットを形成する段階をさらに含むことを特徴とする請求項7に記載の半導体装置の素子分離方法。
- 露出した前記半導体基板を蝕刻してリセスさせる段階の後に、前記第1パッド酸化膜の側面を所定量蝕刻してアンダーカットを形成する段階をさらに含むことを特徴とする請求項7に記載の半導体装置の素子分離方法。
- 前記スペーサを、単結晶シリコン、ポリシリコン及び非晶質シリコンよりなるグループから選ばれた何れか1つで形成することを特徴とする請求項7に記載の半導体装置の素子分離方法。
- 前記スペーサ上に蒸着される前記酸化防止用薄膜の厚さを前記第2パッド酸化膜上に蒸着される薄膜よりも厚く形成することを特徴とする請求項7に記載の半導体装置の素子分離方法。
- 前記酸化防止用薄膜を、ロードロックシステムを備えた装置を使用して形成することを特徴とする請求項7に記載の半導体装置の素子分離方法。
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