JP3925761B2 - 建設機械のa型フレーム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば油圧クレーン、杭打ち機等の車両に好適に用いられる建設機械のA型フレームに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、例えば油圧クレーン、杭打ち機等の建設機械には、上部旋回体の旋回フレームに設けられたブーム等のフロントを後方から支持するため、先端側がフロントと連結されたA型フレームが設けられている。
【0003】
この種の従来技術による建設機械のA型フレームは、基台となる旋回フレームに前,後方向に回動可能に設けられた前側脚部と、該前側脚部の先端後部側と旋回フレームとの間に伸縮可能に設けられた後側脚部等とから構成されている(例えば、特開平7−291586号公報等)。
【0004】
ここで、油圧クレーンを例に挙げて述べると、A型フレームは、旋回フレームの後端側に設けられたカウンタウェイトの前側に配置されている。そして、例えばブームによる作業中には、A型フレームが旋回フレーム上で起立位置に保持され、この状態でA型フレームは支持ロープ等を用いてブームを後方から支持している。この場合、A型フレームは後側脚部が伸長することによって前側脚部が旋回フレーム上に立設された状態となっている。
【0005】
また、例えばトレーラ等を用いて油圧クレーンの車両を搬送するときには、ブームを前方へと水平に傾けることによって車両を低い姿勢に保持することがある。そして、このときA型フレームは、後側脚部が縮小しつつ後方へと回動することにより、前側脚部が後方へと倒れるようにほぼ水平位置まで回動され、これによってA型フレームは格納位置に移る。
【0006】
このため、カウンタウェイトには、例えば後側脚部の動作範囲等に対応して前,後方向および上,下方向に延びる凹窪状の大きな隙間が設けられている。そして、A型フレームの後側脚部は、このカウンタウェイトの隙間を介して旋回フレームに取付けられ、A型フレームを格納した状態では、後側脚部の大部分がカウンタウェイトの隙間内に配置される構成となっている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した従来技術では、A型フレームの後側脚部が伸縮しつつ前,後方向に回動することにより、前側脚部が起立位置と格納位置との間で回動する構成となっている。この結果、前側脚部が回動するときには、その動作範囲に対応して後側脚部が大きく回動することになり易いため、前側脚部の後方には後側脚部の回動動作に対応して広い空間が必要となる。
【0008】
このため、カウンタウェイトには、例えば後側脚部との干渉を避ける大きな隙間等を形成しなければならず、カウンタウェイトの外形寸法が重量に比較して大きくなり易いため、カウンタウェイトを含めて建設機械の後部側を小型化するのが難しくなるという問題がある。
【0009】
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、本発明の目的は、前,後の脚部をコンパクトに格納でき、その格納時に必要な空間を小さく抑えることができると共に、建設機械に設けられるカウンタウェイト等を小型化できるようにした建設機械のA型フレームを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決するために請求項1の発明は、建設機械の車体構造体となる基台に前,後方向に回動可能に設けられた前側脚部と、該前側脚部の後方で前記基台に前,後方向に回動可能に設けられ、上端側にスライド部材が取付けられた後下側脚部と、上端側が前記前側脚部の先端側に回動可能に設けられると共に下端側に該後下側脚部のスライド部材をスライド可能かつ回動可能に支持する長穴が長さ方向に設けられた後上側脚部と、前記基台と前側脚部との間に伸縮可能に設けられ前記前側脚部を起立位置と格納位置との間で前記後上側脚部、後下側脚部と共に回動させる起伏用シリンダと、前記後下側脚部のスライド部材を後上側脚部の長穴の下端側に向けて付勢する付勢手段とを備え、前記基台には、前記後下側脚部が格納位置へと回動されたときに前記後下側脚部が当接するストッパを設け、前記起伏用シリンダにより前側脚部を前記格納位置に向けて回動させ前記後下側脚部をストッパに当接した状態とし、その状態からさらに前記起伏用シリンダにより前記後上側脚部を前記長孔に沿ってスライドさせ、前記後上側脚部と前記前側脚部とを水平に倒れた状態となる前記格納位置まで回動してなる構成を採用している。
【0011】
このように構成することにより、起伏用シリンダを用いて前側脚部を起立位置と格納位置との間で後上側脚部、後下側脚部と共に前,後方向に回動させることができる。そして、前側脚部が起立位置から格納位置へと後方に回動するときには、付勢手段を用いて後下側脚部のスライド部材を後上側脚部の長穴の下端側に付勢することにより、後下側脚部と後上側脚部とを長穴の下端側を中心として回動させることができ、これらの脚部を前側脚部と基台との間で折畳むことができる。そして、この折畳み動作の途中からは、スライド部材が長穴内で相対的に移動することにより、後上側脚部を後下側脚部に対してスライドさせつつ、これらの脚部を格納位置まで折畳むことができる。また、後下側脚部と後上側脚部とを格納位置へと折畳むときには、まず後下側脚部が折畳み動作の途中で格納位置に達すると、この後下側脚部を格納位置でストッパと当接させることができる。この結果、折畳み動作の途中からは、後下側脚部をストッパによって格納位置に保持でき、この状態で後上側脚部を後下側脚部に対してスライドさせつつ水平に倒れた状態となる格納位置へと折畳むことができる。
【0012】
また、請求項2の発明では、前記後下側脚部と後上側脚部との間には、後下側脚部と後上側脚部とを起立位置に固定する固定部材を着脱可能に設けている。
【0013】
これにより、後下側脚部と後上側脚部とが折畳まれた状態から延びて起立位置となったときには、これらの脚部を固定部材により延びた状態で固定でき、該各脚部によって前側脚部を起立位置に保持することができる。
【0014】
さらに、請求項3の発明のように、前記前側脚部と基台との間には、前記前側脚部を格納位置に固定する他の固定部材を着脱可能に設けることにより、前側脚部が格納位置となったときには、固定部材によって前側脚部を基台に固定でき、後下側脚部と後上側脚部とを折畳み状態に保持することができる。
【0017】
さらに、請求項の発明では、前記付勢手段は、前記後下側脚部と基台との間に設けられ後下側脚部の上部側を前方に付勢する付勢ばねにより構成している。
【0018】
これにより、後下側脚部と後上側脚部とを折畳むときには、付勢ばねを用いて後下側脚部を前方に回動させることができ、この折畳み動作の途中まで後下側脚部のスライド部材を後上側脚部の長穴の下端側に保持した状態で、これらの脚部を前方に突出したV字状に折畳むことができる。
【0019】
また、請求項の発明のように、前記付勢手段は前記後下側脚部の上部前側に設けたウェイトにより構成しても、後下側脚部と後上側脚部の折畳み動作中には、ウェイトにより生じるモーメントを用いて後下側脚部を前方に回動させることができる。
【0020】
さらに、請求項の発明のように、前記付勢手段は前記前側脚部と後上側脚部との間に設けられた引張ばねにより構成しても、後下側脚部と後上側脚部とを折畳むときには、後上側脚部を引張ばねにより前側脚部に向けて引張ることができ、後下側脚部と後上側脚部とを前方に突出したV字状に折畳むことができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態による建設機械のA型フレームを、油圧クレーンに適用した場合を例に挙げ、図1ないし図7を参照しつつ詳細に説明する。ここで、図1ないし図5は本発明による第1の実施の形態を示している。
【0022】
1は油圧クレーンの下部走行体、2は該下部走行体1上に旋回可能に搭載された上部旋回体で、該上部旋回体2は油圧クレーンの車体構造体となる基台としての旋回フレーム3を有し、該旋回フレーム3上には、キャブ4と、内部に原動機を収容する建屋カバー5と、該建屋カバー5の後側に位置してカウンタウェイト6等とが設けられている。
【0023】
ここで、旋回フレーム3の後端側には、図2に示す如くカウンタウェイト6の上部側を取付ける取付部3Aが設けられている。また、建屋カバー5は、後述のA型フレーム11、起伏ドラム17等を取囲んで配置されている。さらに、カウンタウェイト6の上部側には、A型フレーム11の格納位置に対応して前,後方向に延びる浅底の凹部6Aが設けられている。
【0024】
7は旋回フレーム3の前部側に俯仰動可能に設けられたブームで、該ブーム7の先端側には、図1に示す如く主巻ドラム(図示せず)から延びる主巻ロープ7A等により昇降される吊荷フック7Bが設けられている。
【0025】
11は旋回フレーム3上に折畳み可能に設けられたA型フレームで、該A型フレーム11は、図2に示す如く、上部旋回体2の左,右両側に間隔をもって配置された一対のフレーム組立体11A,11A(右側のみ図示)と、これらのフレーム組立体11A,11Aを連結する横フレーム(図示せず)とからなり、これらのフレーム組立体11Aは、後述の前側脚部13、後下側脚部20、後上側脚部23、起伏用シリンダ26、付勢ばね27等によって構成されている。そして、A型フレーム11は、起伏用シリンダ26を伸長させた状態から縮小することにより、図2に示す起立位置から図5に示す格納位置へと折畳まれる。
【0026】
12は旋回フレーム3上に突設された前側取付ブラケットで、該前側取付ブラケット12は三角形状をなして旋回フレーム3に取付けられている。
【0027】
13はフレーム組立体11AのV字状支柱の前側部分を構成する前側脚部で、該前側脚部13の下端側は前側取付ブラケット12の上端側に連結ピン14を用いて前,後方向に回動可能に連結されている。また、前側脚部13の長さ方向中間部には、後述の固定ピン29を挿嵌する止め穴13Aが設けられている。さらに、前側脚部13の上端側には、左,右のフレーム組立体11Aを連結して左,右方向に延びる回転軸15が設けられている。そして、回転軸15にはガイドシーブ16が回転可能に取付けられ、該ガイドシーブ16には、旋回フレーム3に設けられた起伏ドラム17からブーム7の先端側に向けて延びるブーム支持ロープ18(図1参照)が巻装されている。
【0028】
19は旋回フレーム3の一部を構成する後側取付ブラケットで、該後側取付ブラケット19は、図2および図3に示す如く、前側取付ブラケット12から後方に離れた位置で旋回フレーム3上に突設された長尺な金属板等からなり、その下端側には、後下側脚部20が格納位置で当接するストッパ19Aが側方に突出して設けられている。また、後側取付ブラケット19の上端側には、後下側脚部20が起立位置で当接するストッパ19Bが側方に屈曲して設けられると共に、固定ピン29用の止め穴19C(図4参照)が設けられている。
【0029】
20は下端側が連結ピン21により後側取付ブラケット19に対して前,後方向に回動可能に取付けられた後下側脚部で、該後下側脚部20は後側取付ブラケット19を挟んで左,右方向で対向する長尺な金属片20A,20B等からなり、これらの金属片20A,20Bの上端側には、後述の固定ピン28を挿嵌する止め穴20Cが設けられている。
【0030】
ここで、後下側脚部20の上端側には、後述の長穴25内に摺動可能に挿嵌されるスライド部材としてのスライドピン22が金属片20A,20B間を連結して設けられている。
【0031】
23はフレーム組立体11AのV字状支柱の後側部分を構成する後上側脚部で、該後上側脚部23は、図2および図3に示す如く、上端側が連結ピン24を用いて前側脚部13の先端側に回動可能に連結されている。また、後上側脚部23の下端側には、スライドピン22をスライド可能に、かつ回動可能に支持する長穴25が長さ方向に延設されている。そして、後上側脚部23は、下端側が後下側脚部20の金属片20A,20B間に配置され、長穴25とスライドピン22とを介して後下側脚部20の上端側と連結されている。また、後上側脚部23の下端側には固定ピン28用の止め穴23Aが設けられている。
【0032】
そして、A型フレーム11が起立位置から格納されるときには、図2および図5に示す如く、前側脚部13が斜め上向きに立設した状態から後方へとほぼ水平に倒れるように回動し、後下側脚部20と後上側脚部23とは、ほぼ直線状に延びた状態から前方に突出するV字状に折畳まれる。
【0033】
また、このとき後下側脚部20と後上側脚部23とは、後述の如く折畳み動作の開始から途中まで付勢ばね27のばね力により長穴25の下端側に保持されたスライドピン22を中心として回動する。さらに、折畳み動作の途中からは、スライドピン22が長穴25の上端側へと相対的に摺動することにより、これらの脚部20,23はスライドピン22と長穴25とを介してスライドしつつ回動し、前側脚部13と旋回フレーム3との間に折畳まれる構成となっている。
【0034】
26は旋回フレーム3と前側脚部13との間に伸縮可能に設けられた起伏用シリンダで、該起伏用シリンダ26は前側脚部13を起立位置と格納位置との間で回動(起伏)させるものである。
【0035】
27は後下側脚部20の上端前側と旋回フレーム3との間に設けられた付勢手段としての付勢ばねで、該付勢ばね27はコイルスプリング等からなり、後下側脚部20の上端側を前方へと回動させるように引張ることにより、スライドピン22を長穴25の下端側に向けて付勢している。これにより、付勢ばね27は、前側脚部13が後方へと回動するときに、後下側脚部20と後上側脚部23とを前方に突出したV字状に折畳み、この折畳み動作の開始から途中までの間に亘ってスライドピン22を長穴25の下端側に保持する。
【0036】
28はA型フレーム11を起立位置に保持する固定部材としての固定ピンで、該固定ピン28は、図2に示す如く後下側脚部20と後上側脚部23の止め穴20C,23Aに着脱可能に挿嵌され、これらの脚部20,23を起立位置で延びた状態に固定するものである。また、29はA型フレーム11を格納位置に固定する他の固定部材としての固定ピンで、該固定ピン29は、図5に示す如く前側脚部13と後側取付ブラケット19の止め穴13A,19Cに着脱可能に挿嵌されるものであり、固定ピン28と共用可能な構成となっている。
【0037】
本実施の形態による油圧クレーンのA型フレーム11は上述の如き構成を有するもので、次にその作動について説明する。
【0038】
まず、例えば油圧クレーンの運転中には、図2に示す如く、起伏用シリンダ26が伸長した状態を保持することにより、A型フレーム11は、後下側脚部20が後側取付ブラケット19のストッパ19Bと当接する起立位置となり、この状態でA型フレーム11は、ブーム支持ロープ18等を介してブーム7を後方から支持している。この場合、後下側脚部20と後上側脚部23の止め穴20C,23Aには固定ピン28が挿嵌され、これによってA型フレーム11は起立位置に固定されている。
【0039】
そして、例えば車両の搬送等を行うためにA型フレーム11を起立位置から格納するときには、これらの脚部20,23から固定ピン28を引抜き、起伏用シリンダ26を縮小させると、前側脚部13が後上側脚部23と共に図4中の矢示A方向へと回動し、このとき後下側脚部20は付勢ばね27に引張られて矢示B方向に回動する。
【0040】
これにより、後下側脚部20と後上側脚部23とは、付勢ばね27のばね力によってスライドピン22が長穴25の一端側に保持された状態で徐々に折畳まれる。そして、この折畳み動作中には、まず後下側脚部20が格納位置に達して後側取付ブラケット19のストッパ19Aに当接し、これによって後下側脚部20は格納位置に保持される。
【0041】
この結果、後下側脚部20と後上側脚部23の折畳み動作の途中からは、後上側脚部23が長穴25に沿ってスライドピン22の周囲で矢示C方向にスライドしつつ、図5に示す如く前側脚部13と共にほぼ水平に倒れた格納位置まで回動され、この格納位置では、前側脚部13と後上側脚部23の一部がカウンタウェイト6の凹部6A内に配置される。そして、A型フレーム11の格納後には、前側脚部13と後側取付ブラケット19の止め穴13A,19Cに固定ピン29を挿嵌し、これらを一体に固定する。
【0042】
かくして、本実施の形態によれば、A型フレーム11を、前側脚部13、後下側脚部20、後上側脚部23、起伏用シリンダ26、付勢ばね27等によって構成したので、A型フレーム11を起立位置から格納するときには、起伏用シリンダ26を用いて前側脚部13を後方に回動させつつ、付勢ばね27のばね力によって後下側脚部20と後上側脚部23とを前方に突出したV字状に折畳むことができ、これらの脚部20,23を前側脚部13と旋回フレーム3との間に折畳んだ状態でコンパクトに格納することができる。
【0043】
これにより、後下側脚部20と後上側脚部23とを格納する空間を小さく抑えることができる。即ち、従来技術のようにカウンタウェイトに対してA型フレームの後側脚部を配置する大きな隙間を設ける必要がなくなり、例えばカウンタウェイト6の上部側に浅底の凹部6A等を設けるだけで、A型フレーム11を小さな空間に格納することができる。従って、カウンタウェイト6を重量に比較してコンパクトに形成でき、油圧クレーンの後部側を小型化することができる。
【0044】
この場合、後下側脚部20に付勢ばね27とスライドピン22とを設け、このスライドピン22を後上側脚部23に設けた長穴25によってスライド可能に、かつ回動可能に支持するようにしたので、前側脚部13が起立位置から後方へと回動するときには、後下側脚部20と後上側脚部23の折畳み動作の途中まで付勢ばね27のばね力によりスライドピン22を長穴25の下端側に保持でき、これらの脚部20,23を一定の位置を中心として安定的に折畳むことができる。
【0045】
これにより、この折畳み動作中に長穴25内でスライドピン22にがたつきが生じたり、スライドピン22が長穴25の中間位置にとどまった状態から下端側に強く衝突したりするのを確実に防止でき、これらの脚部20,23の耐久性、格納時の安全性を高めることができる。
【0046】
そして、後側取付ブラケット19にストッパ19Aを設けることにより、後下側脚部20を折畳み動作の途中でストッパ19Aと当接させることができ、このストッパ19Aによって後下側脚部20を格納位置に保持することができる。
【0047】
この結果、脚部20,23の折畳み動作の途中からは、スライドピン22を長穴25内で上端側へと相対的にスライドさせることができ、これによって後上側脚部23を後下側脚部20に対してスライドさせつつ、前側脚部13と共にほぼ水平に倒れた位置まで円滑に格納することができる。
【0048】
また、後下側脚部20と後上側脚部23に設けた止め穴20C,23Aに起立位置で固定ピン28を着脱可能に挿嵌するようにしたので、これらの脚部20,23を延びた状態で固定ピン28によって一体に固定でき、A型フレーム11を起立位置に安定して保持することができる。
【0049】
さらに、前側脚部13と後側取付ブラケット19に設けた止め穴13A,19Cに格納位置で固定ピン29を着脱可能に挿嵌するようにしたので、固定ピン29によりA型フレーム11を格納位置に安定して保持でき、油圧クレーンの搬送中にA型フレーム11のがたつき等を防止することができる。また、この固定ピン29を固定ピン28と共用することも可能となり、部品点数を削減することもできる。
【0050】
また、旋回フレーム3上に突設した前側取付ブラケット12、後側取付ブラケット19にA型フレーム11を取付けたので、A型フレーム11が格納位置で起伏ドラム17等と干渉するのを避けることができ、レイアウト設計の自由度を高めることができる。
【0051】
次に、図6は本発明による第2の実施の形態を示し、本実施の形態では、前記第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0052】
31は本実施の形態による油圧クレーンのA型フレームで、該A型フレーム31は、第1の実施の形態とほぼ同様に、前側脚部13、後下側脚部20、後上側脚部23、起伏用シリンダ26等を有している。しかし、本実施の形態では、付勢ばね27に代えて付勢手段となるウェイト32が設けられている。
【0053】
ここで、ウェイト32は例えば金属材料等により四角形状の重量物として形成され、連結ピン21の前方で後下側脚部20の上端前側に設けられている。これにより、ウェイト32は後下側脚部20を矢示B方向に回動させるモーメントを発生し、前側脚部13が後方へと回動するときには、このモーメントによってスライドピン22を長穴25の下端側に向けて付勢すると共に、後下側脚部20と後上側脚部23とを前方に突出したV字状に折畳む構成となっている。
【0054】
かくして、このように構成される本実施の形態でも、前記第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。そして、特に本実施の形態では、付勢手段としてウェイト32を用いることにより、簡単な構造でスライドピン22を長穴25の下端側へと安定して付勢でき、A型フレーム31の耐久性の向上、省スペース化を図ることができる。
【0055】
次に、図7は本発明による第3の実施の形態を示し、本実施の形態では、前記第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0056】
41は本実施の形態による油圧クレーンのA型フレームで、該A型フレーム41は、第1の実施の形態とほぼ同様に、前側脚部13、後下側脚部20、後上側脚部23、起伏用シリンダ26等を有している。しかし、本実施の形態では、付勢ばね27に代えて付勢手段となる引張ばね42が設けられている。
【0057】
ここで、引張ばね42は前側脚部13と後上側脚部23との間に設けられ、後上側脚部23を前側脚部13に向けて引張るように付勢している。これにより、引張ばね42は後上側脚部23を矢示D方向に回動させるモーメントを発生し、このモーメントは後下側脚部20と後上側脚部23とを前方に突出したV字状に折畳むと共に、スライドピン22を長穴25の下端側に保持する。
【0058】
かくして、このように構成される本実施の形態でも、前記第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。そして、特に本実施の形態では、付勢手段として引張ばね42を用いることにより、後側取付ブラケット19、後下側脚部20の周囲等では、より省スペース化を図ることができる。
【0059】
なお、前記第1の実施の形態では、付勢手段としてコイルスプリング等からなる付勢ばね27を旋回フレーム3と後下側脚部20との間に設ける構成としたが、本発明はこれに限らず、例えば付勢手段となる渦巻きばね等を連結ピン21の外周側に装着した状態で後側取付ブラケット19と後下側脚部20との間に設ける構成としてもよい。
【0060】
また、前記各実施の形態では、建設機械として油圧クレーンを例に挙げて述べたが、本発明はこれに限らず、例えば杭打ち機等に適用してもよく、A型フレームを備えた各種の建設機械に適用し得るものである。
【0061】
【発明の効果】
以上詳述した通り、請求項1の発明によれば、A型フレームを、前側脚部、後下側脚部、後上側脚部、起伏用シリンダおよび付勢手段によって構成し、建設機械の車体構造体となる基台には、前記後下側脚部が格納位置へと回動されたときに前記後下側脚部が当接するストッパを設け、前記起伏用シリンダにより前側脚部を前記格納位置に向けて回動させ前記後下側脚部をストッパに当接した状態とし、その状態からさらに前記起伏用シリンダにより前記後上側脚部を前記長孔に沿ってスライドさせ、前記後上側脚部と前記前側脚部とを水平に倒れた状態となる前記格納位置まで回動する構成としたので、A型フレームを起立位置から格納するときには、付勢手段によって後下側脚部と後上側脚部とを前側脚部と基台との間に折畳んでコンパクトに格納することができる。これにより、これらの脚部を格納する空間を小さく抑制でき、従来技術のようにカウンタウェイトにA型フレームを配置する大きな隙間等を設ける必要がなくなり、カウンタウェイトを含めて建設機械の小型化を図ることができる。また、後下側脚部のスライド部材を後上側脚部の長穴によってスライド可能かつ回動可能に支持することにより、これらの脚部を相対的に回動させつつ途中からスライドさせて折畳むことができ、このとき長穴内でのスライド部材のがたつき等を付勢手段によって防止できると共に、後下側脚部と後上側脚部とを安定して格納することができる。しかも、前記基台には、後下側脚部が格納位置となったときに後下側脚部が当接するストッパを設ける構成としたので、後下側脚部と後上側脚部とを格納位置へと折畳むときには、この折畳み動作の途中で後下側脚部をストッパと当接させることができる。これにより、後下側脚部を折畳み動作の途中からストッパによって格納位置に保持でき、この状態で後上側脚部を後下側脚部に対してスライドさせつつ水平に倒れた状態となる格納位置へと円滑に折畳むことができる。
【0062】
また、請求項2の発明によれば、後下側脚部と後上側脚部との間には、これらの脚部を起立位置に固定する固定部材を着脱可能に設ける構成としたので、後下側脚部と後上側脚部とが折畳まれた状態から延びて起立位置となったときには、これらの脚部を延びた状態で固定部材によって一体に固定でき、A型フレームを起立位置に安定して保持することができる。
【0063】
さらに、請求項3の発明によれば、前側脚部と基台との間には、前側脚部を格納位置に固定する他の固定部材を着脱可能に設ける構成としたので、格納位置では固定部材によって前側脚部を基台に固定でき、A型フレームを格納位置に安定して保持できると共に、A型フレームのがたつき等を防止することができる。
【0065】
さらに、請求項の発明によれば、付勢手段を、後下側脚部と基台との間に設けられた付勢ばねによって構成したので、後下側脚部と後上側脚部とを折畳むときには、この折畳み動作の途中までスライド部材を付勢ばねによって長穴の下端側に保持でき、これらの脚部を一定の位置を中心として安定的に折畳むことができる。
【0066】
また、請求項の発明によれば、付勢手段を後下側脚部の上部前側に設けたウェイトにより構成したので、後下側脚部と後上側脚部の折畳み動作中には、ウェイトにより生じるモーメントを用いて後下側脚部を前方へと回動させることができると共に、簡単な構造でスライド部材を長穴の下端側へと安定して付勢でき、A型フレームの耐久性の向上、省スペース化を図ることができる。
【0067】
さらに、請求項の発明によれば、付勢手段を前側脚部と後上側脚部との間に設けられた引張ばねにより構成したので、後下側脚部と後上側脚部とを折畳むときには、これらの脚部を引張ばねにより前方に突出したV字状に折畳むことができ、スライド部材を引張ばねによって長穴の下端側に保持できると共に、後下側脚部の周囲等では、より省スペース化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に適用される油圧クレーンを示す正面図である。
【図2】図1中の要部を拡大して示すA型フレームの正面図である。
【図3】図2中の矢示III − III方向からみたA型フレームの要部拡大断面図である。
【図4】A型フレームが起立位置から後方に折畳まれる状態を示す正面図である。
【図5】A型フレームが格納位置に折畳まれた状態を示す正面図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態による油圧クレーンのA型フレームを示す正面図である。
【図7】本発明の第3の実施の形態による油圧クレーンのA型フレームを示す正面図である。
【符号の説明】
3 旋回フレーム(基台)
11,31,41 A型フレーム
13 前側脚部
19 後側取付ブラケット(基台)
19A ストッパ
20 後下側脚部
22 スライドピン(スライド部材)
23 後上側脚部
25 長穴
26 起伏用シリンダ
27 付勢ばね(付勢手段)
28,29 固定ピン(固定部材)
32 ウェイト(付勢手段)
42 引張ばね(付勢手段)

Claims (6)

  1. 建設機械の車体構造体となる基台に前,後方向に回動可能に設けられた前側脚部と、該前側脚部の後方で前記基台に前,後方向に回動可能に設けられ、上端側にスライド部材が取付けられた後下側脚部と、上端側が前記前側脚部の先端側に回動可能に設けられると共に下端側に該後下側脚部のスライド部材をスライド可能かつ回動可能に支持する長穴が長さ方向に設けられた後上側脚部と、前記基台と前側脚部との間に伸縮可能に設けられ前記前側脚部を起立位置と格納位置との間で前記後上側脚部、後下側脚部と共に回動させる起伏用シリンダと、前記後下側脚部のスライド部材を後上側脚部の長穴の下端側に向けて付勢する付勢手段とを備え、
    前記基台には、前記後下側脚部が格納位置へと回動されたときに前記後下側脚部が当接するストッパを設け、
    前記起伏用シリンダにより前側脚部を前記格納位置に向けて回動させ前記後下側脚部をストッパに当接した状態とし、その状態からさらに前記起伏用シリンダにより前記後上側脚部を前記長孔に沿ってスライドさせ、前記後上側脚部と前記前側脚部とを水平に倒れた状態となる前記格納位置まで回動する構成してなる建設機械のA型フレーム。
  2. 前記後下側脚部と後上側脚部との間には、前記後下側脚部と後上側脚部とを起立位置に固定する固定部材を着脱可能に設けてなる請求項1に記載の建設機械のA型フレーム。
  3. 前記前側脚部と基台との間には、前記前側脚部を格納位置に固定する他の固定部材を着脱可能に設けてなる請求項1または2に記載の建設機械のA型フレーム。
  4. 前記付勢手段は、前記後下側脚部と基台との間に設けられ前記後下側脚部の上部側を前方に付勢する付勢ばねにより構成してなる請求項1,2または3に記載の建設機械のA型フレーム。
  5. 前記付勢手段は前記後下側脚部の上部前側に設けたウェイトによって構成してなる請求項1,2または3に記載の建設機械のA型フレーム。
  6. 前記付勢手段は前記前側脚部と後上側脚部との間に設けられた引張ばねにより構成してなる請求項1,2または3に記載の建設機械のA型フレーム。
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