JP2004322972A - アウトリガ装置 - Google Patents

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Takashi Nakayama
高志 中山
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Abstract

【課題】アウトリガ装置の構成部材が車体フレームの上方に突出せず、且つ、構造が簡単なアウトリガ装置を提供する。
【解決手段】車体フレームに固定されるアウトリガボックス2と、このアウトリガボックス2に入れ子式に組み合わされ車体フレームの車幅方向外方に伸縮自在に配設されたアウトリガビーム3と、アウトリガビーム3の前部に枢結されて車幅方向に延びる垂直面内で回動可能なジャッキポスト5とを備えたアウトリガ装置1において、アウトリガボックス2に第1当接部材7と第2当接部材9を配設し、ジャッキポスト5にカム8を配設することにより、アウトリガビーム3の張り出し・格納動作により、ジャッキポスト5の回動を可能とする。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、作業用車両等に搭載され、車両を安定支持するアウトリガ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、高所作業車や通信衛星追跡車、放送車等の車両は、作業中において安定した作業姿勢を維持するためにアウトリガ装置を備えているものがある。特に高所作業車においては、その車体フレーム上に配設された高所作業装置を高所に展開して作業を行うため、重心位置が高くなるので車両を安定支持するためにこのアウトリガ装置は非常に重要である。
【0003】
アウトリガ装置は、車両を構成する車体フレームの前後の左右両側部に取り付けられており、例えば図7(B)に示すように、車体フレームに取り付けられるアウトリガボックス41と、このアウトリガボックス41に入れ子式に組み合わされたアウトリガビーム42と、アウトリガビーム42の先端に上下方向に延びるように取り付けられ伸縮自在に構成されたジャッキポスト43とから構成され、作業時には、アウトリガビーム42を車体フレームの車幅方向外方に張り出すともに、ジャッキポスト43を下方に伸長してパットベース44を地面に押しつけて車体フレームを持上げ支持する。
【0004】
一方、車両を走行させる場合には、アウトリガ装置40が走行の妨げとならないように、地面から十分な距離を保ってこのアウトリガ装置40を格納する必要があるため、格納位置のジャッキポスト43の下端が地面から十分な距離があるように、ジャッキポスト43の上端が車体フレーム上面よりも上方に突出するように配設されている。このようにジャッキポスト43が車体フレーム上面よりも上方に突出すると、車体フレーム上のスペースの有効活用を妨げるという問題や、このようなアウトリガ装置が搭載された高所作業車の場合、高所作業装置とアウトリガ装置が干渉するという問題があった(以下、図7(B)に示す構造のアウトリガ装置をその形状から「H型アウトリガ装置」と呼ぶ)。
【0005】
このため、アウトリガ装置の構成部材が車体フレームの上方に突出しないようにするために、アウトリガ装置の格納時に、ジャッキポストを車体側に略水平になるように折り曲げて格納する方法が知られている(例えば、特許文献1または特許文献2参照。)。
【0006】
【特許文献1】
特開平4−2553号公報(第1図)
【特許文献2】
特開平5−278575号公報(第1図)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、アウトリガ装置の格納時にジャッキポストを略水平になるように折り曲げて格納する場合、ジャッキポストを略水平状態に引き上げるためのシリンダやその他補助部材等が必要となり、アウトリガ装置の構造が複雑となるため、製造時のコストが高くなることや保守の手間がかかるという課題があった。
【0008】
本発明はこのような課題に鑑みなされたものであり、アウトリガ装置の構成部材が車体フレームの上面より上方に突出せず、且つ、構造が簡単なアウトリガ装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、本発明に係るアウトリガ装置は、車両に搭載されてこの車両を持上げ支持するものであって、車両の車体フレームに車幅方向に延びて配設されたアウトリガボックスと、アウトリガボックスに車幅方向外方に伸縮自在に取り付けられたアウトリガビームと、アウトリガビームの先端に軸支されて車幅方向に延びる垂直面内で回動可能なジャッキポストとを有し、アウトリガビームがアウトリガボックスに対して車幅方向外方に張り出されるとともにジャッキポストが回動されて略垂直下方に延びる張り出し位置において車体を持上げ支持し、アウトリガビームがアウトリガボックスに対して車幅方向内方に引き込まれるとともにジャッキポストが車幅方向内方に回動されてアウトリガボックスに沿って略平行に延びる格納位置において格納されるように構成される。そして、本発明に係るアウトリガ装置が、アウトリガボックスに配設される第1当接部材と、ジャッキポストに配設されるカムと、アウトリガボックスに配設される第2当接部材とを有し、アウトリガビーム及びジャッキポストが格納位置付近において、第1当接部材がカムに当接してジャッキポストが自重で下方に回動するのを規制するとともに、アウトリガボックスからのアウトリガビームの伸縮作動に伴い第1当接部材とカムとの当接位置が変ってジャッキポストが回動するように第1当接部材とカムとが配設される。また、ジャッキポストが張り出し位置付近において、第2当接部材がジャッキポストの上端部(例えば、実施形態における上部5c)に当接してジャッキポストがそれ以上の車幅方向外方への回動を規制するとともに、アウトリガボックスからのアウトリガビームの伸縮作動に伴い第2当接部材とジャッキポスト上端部との当接位置が変ってジャッキポストが回動するように第2当接部材を配設する。
【0010】
このような構成によれば、アウトリガ装置を構成するジャッキポストをアウトリガボックスに対して略平行に格納することができるため、車体フレームの上部に突出する部分が無くなる。このため、車体フレーム上部のスペースを有効に利用することができるため、荷台や機器搭載位置のレイアウトが容易となる。また、高所作業車に適用された場合は、車体フレームの上部に搭載される高所作業装置を操作してもアウトリガ装置と干渉しないため、高所作業装置の操作性及び安全性が向上する。さらに、アウトリガボックスに対して略平行に格納されたジャッキポストを下方に回動することにより張り出しているため、張り出し位置のジャッキポストの下端が低い位置となる。そのため、短いジャッキストロークでも十分な地切り量を確保でき、デパーチャアングルを大きく取ることができるため、リヤオーバハング周辺の機器レイアウトが容易となる。
【0011】
また、アウトリガビームのアウトリガボックスからの張り出し・格納動作によってジャッキポストの回動が可能となり、ジャッキポストを回動するためのシリンダ等が必要でないため構造が簡単となり、製造時のコストが安く、保守も容易となる。
【0012】
なお、本発明に係るアウトリガ装置が、アウトリガビームに配設されジャッキポストが車幅方向外方に所定角度以上に回動するのを規制するストッパを有し、ジャッキポストが張り出し位置において、ジャッキポストの上端部とストッパが当接してジャッキポストが略垂直下方に延びるように構成されることが好ましい。
【0013】
このような構成によれば、ジャッキポストが回動するときに、所定角度以上に回動するのをストッパが規制するため安全性が向上するとともに、ジャッキポストが張り出し位置にあるときに、ジャッキポストの上端部とストッパが当接してジャッキポストを安定して支持することができる。
【0014】
また、本発明に係るアウトリガ装置は、ジャッキポストが格納位置において、ジャッキポストの車体フレームの車幅方向外方に突出する部分(例えば、実施形態における上部5c)と、第2当接部材とが、車体フレームの上部に搭乗するためのステップとなるように構成することが好ましい。
【0015】
このような構成によれば、専用のステップを配置するスペースを荷台や装置に利用することが可能であり、また、車両の使い勝手も向上する。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照して説明する。まず、図2を用いて、車体に高所作業装置を有する高所作業車を例に本発明に係るアウトリガ装置の搭載構成及び使用方法について述べる。高所作業車20は、シャシフレーム21の前後に車輪22,22を有して走行可能であり、前部に運転キャビン23を有したトラック車両をベースに構成されている。シャシフレーム21上の運転キャビン23の後部にはサブフレーム24を取り付けて車体フレームを構成しており、サブフレーム24の前後の左右両側部には車体フレームを持上げ支持するアウトリガ装置1,1が配設されている。
【0017】
サブフレーム24の後側中央部には旋回モータ(図示せず)により駆動されて旋回動可能に構成された旋回台25が配設されており、旋回台25の上部にはブーム26の基端部が上下方向に揺動自在に枢結されている。このブーム26は起伏シリンダ27により起伏動するように構成され、基端ブーム26a、中間ブーム26b及び先端ブーム26cを入れ子式に組み合わせて内蔵の伸縮シリンダ(図示せず)等により伸縮動可能に構成されている。なお、ここではブーム26を三段伸縮ブーム構成としているが、これを伸縮しない一段ブーム構成や、二段若しくは四段以上のブームで構成される多段伸縮ブーム構成としても良い。
【0018】
先端ブーム26cの先端には、ブーム26の起伏作動面と同一面内(垂直面内)に揺動可能に垂直ポスト28が枢結されており、垂直ポスト28は垂直ポストレベリングシリンダ29によりブーム26の起伏動に関わりなく、常に垂直状態に維持されている。そして、垂直ポスト28の上端部には有底箱型状の作業台31が作業台ブラケット30を介して図示しない旋回モータにより水平面内で旋回動自在に取り付けられている。よって、作業台31は、ブーム26の起伏角度に関わりなく、その床面が常に水平状態に保たれている。作業台31には、旋回台25、ブーム26及び作業台31(以下、これらをまとめて「高所作業装置33」と呼ぶ。)を作動させて、作業台31を任意の高所に移動させるための操作装置32が配設されており、作業台31に搭乗した搭乗者が操作可能である。
【0019】
このような高所作業装置33を有した高所作業車20では、高所作業装置33を操作して、作業台31を高所に移動させると、重心位置が高くなるため、作業時には、アウトリガ装置1,1を張り出して車体を持上げ支持することにより、安定させている。
【0020】
次に、本発明に係るアウトリガ装置1について、図1を参照して説明する。なお、ここでは、矢印Fの方向を前方とする前後方向とし、図面に垂直な方向を左右方向とし、図面の上下方向を上下方向として説明する。
【0021】
アウトリガ装置1は、サブフレーム24(図1においては図示せず)に固定されたアウトリガボックス2と、このアウトリガボックス2に入れ子式に組み合わされたアウトリガビーム3と、アウトリガビーム3の前端に軸支されて、前後方向の垂直面内で回動自在に配設されたジャッキポスト5とから構成されている。アウトリガボックス2とアウトリガビーム3の内部にはアウトリガ伸縮シリンダ4が配設されており、このアウトリガ伸縮シリンダ4により、アウトリガボックス2に対してアウトリガビーム3が前後方向に伸縮自在である。なお、アウトリガビーム3の前端は略垂直下方に延出して先端部3aを形成している。
【0022】
ジャッキポスト5は、基端ポスト5aと先端ポスト5bが入れ子式に組み合わされて内蔵のシリンダ(図示せず)により伸縮動自在に構成されており、先端ポスト5bの下端に前後左右に揺動可能なパットベース10が軸支されている。このジャッキポスト5を構成する基端ポスト5aの上部5cは、左右方向側面がアウトリガビーム3の先端部3aに挟まれて配設され、先端部3aと上部5cを枢結ピン6が貫通してジャッキポスト5がアウトリガビーム3に枢結されている。
【0023】
アウトリガ装置1は、車体フレームに対してアウトリガビーム3の前端が車幅方向外方に延びるように配設されており、作業時には、このアウトリガビーム3を車幅方向外方に張り出すとともに、ジャッキポスト5を略鉛直下方に延びるように回動させて張り出し、さらに、ジャッキポスト5を下方に伸長して、パットベース10で地面を押すことにより、車体フレームを持上げ支持する。
【0024】
なお、本発明に係るアウトリガ装置1には、アウトリガボックス2の前端部の下部から前方に突出する第2当接部材9が配設されており、この第2当接部材9の略中央部から下方に延びる第1当接部材7が配設されている。さらに、ジャッキポスト5の基端ポスト5aにおける上部5cの枢結ピン6よりも上部から後方に延びる左右一対のカム8が配設されている。なお、カム8は、扇形の形状をしており円弧の部分が上方を向くように配設されている。また、第2当接部材9の先端部は下方に延びて突出部9aが形成されている。また、アウトリガビーム3において、先端部3aの上部における左右両側面の内側にはストッパ11が形成されている。このような第1及び第2当接部材7,9と、カム8と、ストッパ11は、後述するように本発明に係るアウトリガ装置1を張り出しまたは格納する場合にジャッキポスト5を回動させるために配設されているものである。
【0025】
次に、本発明に係るアウトリガ装置1の張り出し動作及び格納動作について、図3〜5を用いて説明する。なお、図3〜5における前後方向等の定義は、図1の場合と同様である。まず、アウトリガ装置1の張り出し動作について順に説明する。図3は、本発明に係るアウトリガ装置1が格納位置にある場合を示している。アウトリガ装置1は、格納位置において、アウトリガビーム3の先端部3aが前方に突出するようにアウトリガボックス2に収納されており、さらに、第1当接部材7がカム8に当接してジャッキポスト5が下方に回動するのを規制しているため、ジャッキポスト5は、アウトリガボックス2の下方でこのアウトリガボックス2に対して略平行で後方に延びるように格納されている。なお、格納位置において、ジャッキポスト5の先端ポスト5bは基端ポスト5aに収納されている。
【0026】
図4は、アウトリガ装置1を張り出している途中の状態を示しており、アウトリガボックス2からアウトリガビーム3を前方に伸長させる(張り出す)と、ジャッキポスト5は、枢結ピン6を中心にして自重で下方に回動する。このとき、図4(A)に示すように、第1当接部材7とカム8が当接して、ジャッキポスト5が下方に回動するのを規制しているが、アウトリガビーム3の前方への移動量(張り出し量若しくは伸長量)に比例して第1当接部材7とカム8の当接位置が変わるためジャッキポスト5は下方に回動する。さらに、アウトリガビーム3を前方に伸長すると、第1当接部材7とカム8は離れるが、図4(B)に示すように、第2当接部材9の突出部9aとジャッキポスト5の上部5cの後側面が当接する。このため、ジャッキポスト5は自重で下方に回動しようとするが、第2当接部材9の突出部9aがそれ以上の車幅方向外側へ回動するのを規制する。そして、さらにアウトリガビーム3を前方に伸長すると、このアウトリガビーム3の前方への移動量に比例して第2当接部材9の突出部9aとジャッキポスト5の上部5cとの当接位置が変わるためジャッキポスト5は下方に回動する。
【0027】
さらにアウトリガボックス2に沿ってアウトリガビーム3を前方に伸長させると、第2当接部材9の突出部9aとジャッキポスト5の上部5cは離れ、図5に示すように、アウトリガビーム3が張り出された位置では、ジャッキポスト5は略鉛直下方に延びる状態となる。このとき、図1に示すように、アウトリガビーム3の前部内側の左右側面(ジャッキポスト5の上端部の上方)にストッパ11が形成されているため、ジャッキポスト5は一定角度以上に前方に回動しようとしても、ジャッキポスト5の上部5cの上端がストッパ11と当接するため、それ以上回動することができない。なお、図6に示すように、ジャッキポスト5に対してパットベース10の取付け角度を車幅方向内側に向かって上方に延びるようにすることにより、アウトリガ装置1を張り出したときに、パットベース10が車幅方向外側に地面上を滑って左右のパットベース10の間隔が広がるため、ジャッキポスト5がストッパ11と当接して支持されることになり、より、安定した状態にすることができる。
【0028】
図5の状態から、ジャッキポスト5を伸長して(基端ポスト5aから先端ポスト5cを下方に張り出す)、パットベース10を地面に接地すると、図1の状態となり、アウトリガ装置1を張り出して、車体フレームを持上げ支持することができる。
【0029】
次に、アウトリガ装置1の格納動作について説明する。なお、ジャッキポスト5は先端ポスト5bを基端ポスト5a内に格納した縮小状態(図5の状態)から説明を始める。図5の状態で、アウトリガビーム3をアウトリガボックス2に格納するように後方に引き込んでいく(つまり、縮小させる)と、図4(B)に示すように、ジャッキポスト5の上部5cにおける後側面と第2当接部材9の突出部9aが当接して、この上部5cを第2当接部材9の突出部9aがアウトリガビーム3の移動量(引き込み量若しくは縮小量)に合わせて前方に押し出すことになる。すると、アウトリガビーム3の移動量に比例して、ジャッキポスト5の下端が枢結ピン6を中心に後方(車幅方向内側)に回動するため、ジャッキポスト5の下端が上方に引き上げられる。
【0030】
さらにアウトリガビーム3をアウトリガボックス2に格納するように引き込んで行くと、図4(A)に示すように、第1当接部材7とカム8が当接し、第1当接部材7がカム8を前方に押し出すため、アウトリガビーム3の移動量に比例して、ジャッキポスト5の下端がさらに上方に引き上げられる。
【0031】
そして、アウトリガビーム3をアウトリガボックス2に格納すると、図3(B)に示すように、カム8が第1当接部材7に支持されて、ジャッキポスト5をアウトリガボックス2に対して略平行に延びるように格納することができる。
【0032】
以上のような構成のアウトリガ装置1によれば、ジャッキポスト5をアウトリガボックス2の下方にこのアウトリガボックス2に略平行に延びるように格納するため、アウトリガボックス2よりも上方に突出する構成部材が無くなり、図2に示すような高所作業車20のサブフレーム24より上方にアウトリガ装置1が突出することがなくなる。そのため、サブフレーム24の上面に配設する荷台や装置等を自由にレイアウトすることができる。また、このような高所作業車20においては、高所作業装置33を操作して所望の位置に作業台31を移動させるが、サブフレーム24より上方にアウトリガ装置1が突出していないため、高所作業装置33とアウトリガ装置1が干渉せず、操作性、安全性を高めることができる。
【0033】
さらに、上述のように、本発明に係るアウトリガ装置1は、張り出しや格納のために特別なシリンダ等は必要とせず、第1及び第2当接部材7,9、カム8及びストッパ11を用いてアウトリガビーム3の張り出し、格納操作をするだけで、ジャッキポスト5の回動を可能としており、構造が簡単であるため、製造コストが安く、保守も容易である。このとき、上述の説明では第1当接部材7と第2当接部材9とを一体にして構成したが、別個の部材として構成することも可能である。
【0034】
なお、本発明に係るアウトリガ装置1によれば、図7に示すように、ジャッキポスト5が下方に回動して展開されるため、ジャッキポスト5を伸長してパットベース10で地面を押して車両を持上げ支持するための長さ(「ジャッキストローク」と呼ぶ。)L1が、従来のH型アウトリガ装置40のジャッキストロークL2に比べて短くても、同等の地切り量を確保することが可能である。そのため、デパーチャアングルを従来のH型アウトリガ装置40よりも大きく取ることができるので、リヤオーバハング周辺の機器のレイアウトが容易になる(各アウトリガ装置の地上からの高さの差を図7のDで示す。)。
【0035】
さらに、図8に示すように、アウトリガ装置1が格納位置にある場合においては、ジャッキポスト5の上部5cと第2当接部材9が上下に並んで配設され、且つ、ジャッキポスト5の上部5cが第2当接部材9より車幅方向外方に突出するため、このジャッキポスト5の上部5cと第2当接部材9を作業者がサブフレーム上に乗降するためのステップとして利用することができる。このため、サブフレーム上の専用のステップを配設するスペースに荷台や装置を配設することが可能となり、また、車両の使い勝手も向上する。
【0036】
なお、以上の説明では、車体フレームの上部に高所作業装置を備えた高所作業車を例に説明を行ったが、本発明がこれに限定されるものではなく、通信衛星追跡車や放送車等の車両に対して利用しても同様の効果を得ることができるのは言うまでもない。
【0037】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明に係るアウトリガ装置によれば、ジャッキポストをアウトリガボックスの下方でこのアウトリガボックスに対して略平行に延びるように格納しているため、アウトリガ装置を構成する部材が車体フレームの上部に突出しなくなり、車体フレーム上部のスペースを有効に利用することができる。また、本発明に係るアウトリガ装置を、高所作業装置を備える高所作業車に搭載した場合、高所作業装置とアウトリガ装置が干渉することが無くなり、操作性及び安全性が向上する。さらに、ジャッキポストを下方に回動して張り出すように構成しているため、張り出したときのジャッキポストの下端が下方に位置することになり、短いジャッキストロークでも十分な地切り量を確保でき、デパーチャアングルを大きく取ることができるため、リヤオーバハング周辺の機器レイアウトが容易となる。
【0038】
また、ジャッキポストを回動させるために第1〜第2当接部材及びカムを配設して、アウリガビームの張り出し・格納動作によってジャッキポストを回動可能なように構成しているため、ジャッキポストを回動するためのシリンダ等を必要とせず、構造が簡単となるため、製造コストが安く、保守も容易となる。
【0039】
さらに、ジャッキポストが車幅方向外方に所定角度以上に回動するのを規制するストッパをアウトリガビームに配設することにより、安全性が向上するとともに、張り出し位置においてジャッキポストの上端部とストッパが当接してジャッキポストを安定支持することができる。
【0040】
また、アウトリガ装置が格納状態時に、ジャッキポストの車体フレームの車幅方向外方に突出している部分と、第3の補助部材とを車体フレームの上部に搭乗するためのステップとして利用することにより、専用のステップを配置するスペースを荷台や装置に利用することが可能であり、また、車両の使い勝手を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るアウトリガ装置の側面図である。
【図2】本発明に係るアウトリガ装置を搭載した高所作業車の側面図である。
【図3】本発明に係るアウトリガ装置を格納した状態を示す図であり、(A)は上面図であり、(B)は側面図である。
【図4】本発明に係るアウトリガ装置を格納若しくは展開するときの動作を説明する図であり、(A)は第2当接部材とジャッキポストが当接した状態を示す図であり、(B)は第1当接部材とカムが当接した状態を示す図である。
【図5】本発明に係るアウトリガ装置を下方に展開した状態を示す図であり、(A)は上面図であり、(B)は側面図である。
【図6】パットベースの取付けを説明するための要部を示す図である。
【図7】本発明に係るアウトリガ装置と従来のアウトリガ装置を比較する図であり、(A)は本発明係るアウトリガ装置の要部を示す図であり、(B)は従来のアウトリガ装置の要部を示す図である。
【図8】本発明に係るアウトリガ装置をステップとして利用する場合の説明図である。
【符号の説明】
1 アウトリガ装置
2 アウトリガボックス
3 アウトリガビーム
5 ジャッキポスト
7 第1当接部材
8 カム
9 第2当接部材
11 ストッパ

Claims (3)

  1. 車両に搭載されて前記車両を持上げ支持するアウトリガ装置であって、
    前記車両の車体フレームに車幅方向に延びて配設されたアウトリガボックスと、前記アウトリガボックスに車幅方向外方に伸縮自在に取り付けられたアウトリガビームと、前記アウトリガビームの先端に軸支されて車幅方向に延びる垂直面内で回動可能なジャッキポストとを有し、
    前記アウトリガビームが前記アウトリガボックスに対して車幅方向外方に張り出されるとともに前記ジャッキポストが回動されて略垂直下方に延びる張り出し位置において前記車体を持上げ支持し、
    前記アウトリガビームが前記アウトリガボックスに対して車幅方向内方に引き込まれるとともに前記ジャッキポストが車幅方向内方に回動されて前記アウトリガボックスに沿って略平行に延びる格納位置において格納されるように構成されるアウトリガ装置において、
    前記アウトリガボックスに配設される第1当接部材と、前記ジャッキポストに配設されるカムと、前記アウトリガボックスに配設される第2当接部材とを有し、
    前記アウトリガビーム及び前記ジャッキポストが格納位置付近において、前記第1当接部材が前記カムに当接して前記ジャッキポストが自重で下方に回動するのを規制するとともに、前記アウトリガボックスからの前記アウトリガビームの伸縮作動に伴い前記第1当接部材と前記カムとの当接位置が変わって前記ジャッキポストが回動するように前記第1当接部材と前記カムとが配設され、
    前記ジャッキポストが張り出し位置付近において、前記第2当接部材が前記ジャッキポストの上端部に当接して前記ジャッキポストがそれ以上の車幅方向外方への回動を規制するとともに、前記アウトリガボックスからの前記アウトリガビームの伸縮作動に伴い前記第2当接部材と前記ジャッキポストの上端部との当接位置が変わって前記ジャッキポストが回動するように前記第2当接部材を配設したことを特徴とするアウトリガ装置。
  2. 前記アウトリガビームに配設され前記ジャッキポストが車幅方向外方に所定角度以上に回動するのを規制するストッパを有し、
    前記ジャッキポストが張り出し位置において、前記ジャッキポストの上端部と前記ストッパが当接して前記ジャッキポストが略垂直下方に延びるように構成したことを特徴とする請求項1に記載のアウトリガ装置。
  3. 前記ジャッキポストが格納位置において、前記ジャッキポストの前記車体フレームの外側方向に突出する部分と、前記第3の格納補助部材とが、前記車体フレームの上部に搭乗するためのステップとなることを特徴とする請求項1または2に記載のアウトリガ装置。
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