JP3914155B2 - 多指ハンド装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数の指機構を有する多指ハンド装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
人の手と同様の構造を有する多指ハンド装置は、腕体の先端部に取り付けた手嘗部から複数の指機構が延設され、その各指機構は、複数の節間部材(リンク部材)を複数の指関節を介して順次連接した構成とされている。
【0003】
この種の多指ハンド装置では、各指機構毎に、各指機構の指関節を駆動するためのアクチュエータを指機構から離間した箇所(例えば手嘗部や腕体等)に設けると共に、このアクチュエータをワイヤ部材やこれを巻き掛けたプーリ部材を介して各指機構に接続し、該ワイヤ部材を該アクチュエータにより引っ張ることで各指機構の屈伸動作を行うようにしたものが従来より知られている(例えば特開昭60−207795号公報、特開平6−8178号公報等を参照)。
【0004】
しかしながら、これらの従来の多指ハンド装置では、各指機構毎にアクチュエータを備えるため、各指機構の屈伸動作をそれぞれ独立的に制御することができるものの、多数のアクチュエータを搭載するための大きなスペースが必要となる。さらに、各指機構とそれに対応するアクチュエータとを接続するワイヤ部材が各指機構毎に各別に必要となるため、それらの多数のワイヤ部材を取り回すスペースも要すると共に、該ワイヤ部材の取り回しも複雑なものとなる。
【0005】
このような不都合を解消するためには、例えば各指機構をその伸ばし側、あるいは曲げ側にバネ等により付勢しておくと共に、各指機構から延設したワイヤ部材を相互に結合しておき、それらの結合したワイヤ部材を単一のアクチュエータにより引っ張ることで、各指機構の曲げ動作や伸ばし動作を一括的に行うことが考えられる。
【0006】
しかしながら、このようにした場合には、例えば物体を把持するために、各指機構の曲げ動作を行った場合に、いずれか一つの指機構が物体に当接したり、他の障害物に当接したりして、それ以上、曲げ動作を行うことができなくなると、他の指機構も曲げ動作を行うことができなくなり、物体を適正に把持することができなくなることがある。また、各指機構を曲げた状態から伸ばす場合にも、一つの指機構が障害物等に当接して、それ以上、伸ばし動作を行うことができなくなると、他の指機構も伸ばし動作を行うことができなくなってしまう。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はかかる背景に鑑みてなされたものであり、複数の指機構をワイヤ部材を介して屈伸させる多指ハンド装置において、指機構の屈伸動作の駆動源としてのアクチュエータの個数を少ないものとしつつ、物体の把持作業等の際の指機構の円滑な屈伸動作を行うことができる多指ハンド装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の多指ハンド装置は、前記の目的を達成するために、その基本的態様として第1及び第2の態様があり、その第1の態様は、腕体の先端部に取り付けられた手嘗部と、該手嘗部から延設され、それぞれ複数の節間部材を指関節を介して順次連接してなる複数の指機構と、各指機構をその伸ばし側及び曲げ側のいずれか一方側に付勢する付勢手段と、各指機構から手嘗部側に延設されたワイヤ部材と、各指機構から延設されたワイヤ部材を前記付勢手段の付勢力に抗して引っ張ることにより、該指機構の曲げ動作又は伸ばし動作を行わしめる駆動手段とを備えた多指ハンド装置であって、前記複数の指機構のうちの少なくとも2個の指機構からそれぞれ延設された2本のワイヤ部材は、その手嘗部側の端部が一体に連結されており、前記駆動手段は、一体に連結した前記2本のワイヤ部材を巻き掛けたプーリ部材と、該プーリ部材を回転自在に保持すると共に前記2本のワイヤ部材の引っ張り方向に前記プーリ部材と共に移動可能に前記手嘗部に設けられたプーリ保持部材とを具備し、前記2個の指機構の曲げ動作又は伸ばし動作を行うとき、前記プーリ保持部材を移動させることにより、該2個の指機構から延設されたワイヤ部材を引っ張り、前記指機構は少なくとも3個以上備えられ、前記駆動手段は、前記2個の指機構以外の他の1個の指機構から延設されたワイヤ部材が巻き掛けられて前記プーリ保持部材に回転自在に保持された補助プーリ部材を具備し、前記2個の指機構と前記他の1個の指機構との曲げ動作又は伸ばし動作を行うとき、前記他の1個の指機構から延設されたワイヤ部材を、前記補助プーリ部材が前記プーリ保持部材と共に前記2個の指機構から延設されたワイヤ部材の引っ張り方向に移動する方向に引っ張ることを特徴とするものである。
【0009】
かかる本発明の第1の態様について、以下に説明する。尚、この場合、本発明の第1の態様の理解の便宜のために適宜、図1の参照符号を付して該第1の態様を説明する。
【0010】
すなわち、第1態様の本発明によれば、前記2個の指機構(例えば2b,2c)については、前記駆動手段は、基本的には前記プーリ保持部材(43)を移動させる(図1の後方側に移動させる)ことで、該2個の指機構(2b,2c)から延設されたワイヤ部材(30)を前記付勢手段の付勢力に抗して引っ張ることができ、それにより、該2個の指機構(2b,2c)の曲げ動作又は伸ばし動作(以下、単に屈伸動作という)を行うことができる。従って、少なくとも該2個の指機構(2b,2c)ついては、各別にアクチュエータを備えずとも、単一のアクチュエータを用いてその屈伸動作を行うことができる。さらに、このとき、該2個の指機構(2b,2c)のいずれか一方が物体等に当接して動かなくなっても、前記プーリ部材(33)の動滑車状の作用によって、該プーリ部材(33)が回転しつつプーリ保持部材(43)と共に移動することができ、それにより、他方の指機構の屈伸動作を行うことができる。
【0011】
従って、本発明の第1態様によれば、指機構の屈伸動作の駆動源としてのアクチュエータの個数を少ないものとしつつ、物体の把持作業等の際の指機構の円滑な屈伸動作を行うことができる。尚、この場合、前記2個の指機構以外の指機構については、それぞれ各別のアクチュエータを用いて各指機構から延設されたワイヤ部材を引っ張って該指機構の屈伸動作を行うようにしてもよいが、後述する本発明の他の構成によって、互いに共通のアクチュエータを用いて屈伸動作を行うようにすることも可能である。
【0012】
また、基本的には、前記他の1個の指機構(2a)から延設されたワイヤ部材(31)を引っ張ることで、当該他の1個の指機構(2a)の屈伸動作が行われると同時に、前記補助プーリ部材(36)が前記プーリ保持部材(43)及びこれに保持された前記プーリ部材(33)と共に移動して前記2個の指機構(2b,2c)から延設されたワイヤ部材(30)が引っ張られ、該2個の指機構(2b,2c)の屈伸動作が行われる。そして、このとき、例えば前記他の1個の指機構(2a)については、それが物体に当接する等して動くことができない状態とならない限り、当該他の1個の指機構(2a)をこれから延設されたワイヤ部材(31)を介して引っ張ることができるため、当該他の1個の指機構(2a)の屈伸動作を行うことができる。また、前記2個の指機構(2b,2c)については、そのうちのいずれか一方(2b又は2c)が物体に当接する等して動かなくなっても、前記プーリ部材(33)が補助プーリ部材(36)と共に移動することができるため、他方の指機構構の屈伸動作を行うことができる。
【0013】
従って、かかる本発明によれば、前記2個の指機構と前記他の1個の指機構との3個の指機構のうちのいずれの指機構が物体に当接する等して動かなくなっても、残りの指機構は屈伸動作を行うことができる。そして、当該3個の指機構の屈伸動作は、単一のアクチュエータを用いて、前記他の1個の指機構から延設されたワイヤ部材を引っ張ることで行うことができる。
【0014】
また、本発明の第2の態様の多指ハンド装置は、腕体の先端部に取り付けられた手嘗部と、該手嘗部から延設され、それぞれ複数の節間部材を指関節を介して順次連接してなる少なくとも4個以上の複数の指機構と、各指機構をその伸ばし側及び曲げ側のいずれか一方側に付勢する付勢手段と、各指機構から手嘗部側に延設されたワイヤ部材と、各指機構から延設されたワイヤ部材を前記付勢手段の付勢力に抗して引っ張ることにより、該指機構の曲げ動作又は伸ばし動作を行わしめる駆動手段とを備えた多指ハンド装置であって、前記複数の指機構のうちの少なくとも4個の指機構は、2個ずつの2対に分類されて、各対の2個の指機構からそれぞれ延設された2本のワイヤ部材の手嘗部側の端部が一体に連結されており、前記駆動手段は、各対の指機構毎の一体に連結した2本のワイヤ部材をそれぞれ巻き掛けた一対のプーリ部材と、該一対のプーリ部材を間隔を存して回転自在に保持し、前記4個の指機構からそれぞれ延設されたワイヤ部材の引っ張り方向に前記一対のプーリ部材と共に移動可能で且つ前記一対のプーリ部材の間の中間部に設けた支点の回りに揺動可能に前記手嘗部に設けられたプーリ保持部材とを具備し、前記4個の指機構の曲げ動作又は伸ばし動作を行うとき、前記プーリ保持部材を移動させることにより、該4個の指機構から延設されたワイヤ部材を引っ張ることを特徴とするものである。
【0015】
かかる本発明の第2の態様について、以下に説明する。尚、この場合、前記第1の態様の場合と同様、本発明の第2の態様の理解の便宜のために、適宜、図1の参照符号を付して該第2の態様を説明する。すなわち、本発明の第2の態様によれば、前記4個の指機構(2b,2c,2d,2e)については、前記駆動手段は、基本的には前記プーリ保持部材(43)を移動させる(図1の後方側に移動させる)ことで、該4個の指機構(2b〜2e)から延設されたワイヤ部材(29,30)を前記付勢手段の付勢力に抗して引っ張ることができ、それにより、該4個の指機構(2b〜2e)の屈伸動作を行うことができる。従って、少なくとも該4個の指機構(2b〜2e)については、各別にアクチュエータを備えずとも、単一のアクチュエータを用いてその屈伸動作を行うことができる。さらに、このとき、該4個の指機構(2b〜2e)のいずれか一つが物体等に当接して動かなくなっても、その動かなくなった指機構(例えば2e)と該指機構(2e)と対になる指機構(2d)とから延設されたワイヤ部材(29)が巻き掛けられたプーリ部材(32)が回転しつつ、プーリ保持部材(43)と共に移動することができる。また、動かなくなった指機構(2e)が属する対とは別の対の2個の指機構(2b,2c)に対応するプーリ部材(33)もプーリ保持部材(43)と共に支障なく移動できる。これにより、動かなくなった指機構(2e)以外の3個の指機構(2b〜2d)の屈伸動作を行うことができる。このことは、4個の指機構(2b〜2e)の二つの対の一方に属する一つの指機構(例えば2e)と、他方の対に属する一つの指機構(例えば2b)とが動かなくなった場合でも同様である。この場合には、両プーリ部材(32,33)が回転しつつ、プーリ保持部材(43)と共に移動することができ、それにより、動かなくなった指機構(2e,2b)以外の二つの指機構(2c,2d)の屈伸動作を行うことができる。
【0016】
また、前記4個の指機構(2b〜2e)の二つの対の一方に属する二つの指機構(例えば2d,2e)が動かなくなった場合には、その対の指機構(2d,2e)に対応するプーリ部材(32)はプーリ保持部材(43)と共に移動することはできなくなるが、該プーリ保持部材(43)がその中間部の支点(42)の回りに揺動することで、他方の対の指機構(2b,2c)に対応するプーリ部材(33)は、移動することができる。このため、該他方の対の指機構(2b,2c)の屈伸動作を行うことができる。同様に、前記4個の指機構(2b〜2e)のうちの3個の指機構(例えば2c,2d,2e)が動かなくなった場合には、可動である一つの指機構(2b)に対応するプーリ部材(33)が回転しつつ、前記プーリ保持部材(43)が揺動することで該プーリ部材(33)が移動することができる。それにより、可動である一つの指機構(2b)の屈伸動作を行うことができる。
【0017】
このように、本発明の第2の態様によれば、4個の指機構のうちのいずれの指機構が物体に当接する等して動かなくなっても、残りの指機構は屈伸動作を行うことができる。そして、4個の指機構の屈伸動作は、単一のアクチュエータを用いてプーリ保持部材を移動させることで行うことができる。
【0018】
従って、本発明の第2態様によれば、前記第1実施形態の場合と同様、指機構の屈伸動作の駆動源としてのアクチュエータの個数を少ないものとしつつ、物体の把持作業等の際の指機構の円滑な屈伸動作を行うことができる。尚、該第2の態様は、前記各対の2個の指機構に関しては、前記第1の態様の場合の作動と基本的作動は同様となる。
【0019】
上記の場合と同様にして、前述の本発明の第2の態様では、前記指機構が、少なくとも5個以上備えられている場合には、前記駆動手段は、前記4個の指機構(2b〜2e)以外の他の1個の指機構(2a)から延設されたワイヤ部材(31)が巻き掛けられて前記一対のプーリ部材(32,33)の間で前記プーリ保持部材(43)に回転自在に保持された補助プーリ部材(36)を具備し、前記4個の指機構(2b〜2e)と前記他の1個の指機構(2a)との曲げ動作又は伸ばし動作を行うとき、前記他の1個の指機構(2a)から延設されたワイヤ部材(31)を、前記補助プーリ部材(36)が前記プーリ保持部材(43)と共に前記4個の指機構(2b〜2e)から延設されたワイヤ部材(29,30)の引っ張り方向に移動する方向に引っ張ることが好ましい。
【0020】
これによれば、基本的には、前記他の1個の指機構(2a)から延設されたワイヤ部材(31)を引っ張ることで、当該他の1個の指機構(2a)の屈伸動作が行われると同時に、前記補助プーリ部材(36)が前記プーリ保持部材(43)及びこれに保持された前記プーリ部材(32,33)と共に移動して前記4個の指機構(2b〜2e)から延設されたワイヤ部材(29,30)が引っ張られ、該4個の指機構(2b〜2e)の屈伸動作が行われる。そして、このとき、例えば前記他の1個の指機構(2a)については、それが物体に当接する等して動くことができない状態とならない限り、当該他の1個の指機構(2a)をこれから延設されたワイヤ部材(31)を介して引っ張ることができるため、当該他の1個の指機構(2a)の屈伸動作を行うことができる。また、前記4個の指機構(2b〜2e)については、そのうちのいずれかが物体に当接する等して動かなくなっても、その動かなくなった指機構以外の残りの指機構に対応する前記プーリ部材が補助プーリ部材(36)と共に移動することができるため、当該残りの指機構構の屈伸動作を行うことができる。
【0021】
従って、かかる本発明によれば、前記4個の指機構と前記他の1個の指機構との5個の指機構のうちのいずれの指機構が物体に当接する等して動かなくなっても、残りの指機構は屈伸動作を行うことができる。そして、当該5個の指機構の屈伸動作は、単一のアクチュエータを用いて、前記他の1個の指機構から延設されたワイヤ部材を引っ張ることで行うことができる。
【0022】
以上説明した本発明(第1及び第2の態様の両者を含む)では、各指機構から延設するワイヤ部材は、例えば各指機構の先端部から延設しておくようにしてもよいが、好ましくは、前記複数の指機構のうちの少なくとも一つの指機構は、最も手嘗部寄りの指関節に連なる節間部材の該指関節回りの回転動作に連動させて他の指関節回りの回転動作を行わしめるべく該指機構の複数の節間部材に連結されたリンク機構を具備する。そして、該指機構から延設されている前記ワイヤ部材を、最も手嘗部寄りの節間部材から延設する。
【0023】
これによれば、前記リンク機構を具備する各指機構については、その最も手嘗部よりの節間部材から延設されたワイヤ部材を引っ張って、該手嘗部寄りの節間部材を最も手嘗部寄りの指関節の回りに回転させることで、これに連動して他の関節の屈伸が行われ、該指機構の屈伸動作が行われる。このため、該ワイヤ部材は、手嘗部からこれに最も近い節間部材まで延在しておればよく、その長さが短くて済む。これにより、該ワイヤ部材の長さを節約して、コスト低減を図ることができる。
【0024】
また、前記複数の指機構のうちの、2個以上の指機構のそれぞれの2個以上の節間部材は、同一構成であることが好ましい。
【0025】
これによれば、当該2個以上の指機構については、前記節間部材を共用することができるため、多指ハンド装置の必要部品の種類を少なくすることができ、その部品管理やメンテナンス等も容易となる。
【0026】
また、本発明では、前記手嘗部が、前記腕体の略長手方向に延在する軸心回りに回転可能に設けられている場合にあっては、前記駆動手段は、前記手嘗部から前記腕体の内部に延設された少なくとも一つの駆動ワイヤ部材と、各駆動ワイヤ部材を該腕体の内部側に引っ張る駆動力を該ワイヤ部材に付与するアクチュエータとを具備して、各指機構から延設されたワイヤ部材を引っ張る力を前記アクチュエータから該駆動ワイヤ部材を介して手嘗部側に伝達する手段であり、前記駆動ワイヤ部材は、前記手嘗部の回転軸心に沿って前記腕体内に配置されていることが好ましい。
【0027】
これによれば、前記駆動ワイヤ部材が、前記手嘗部の回転軸心に沿って腕体内に配置されているため、該手嘗部を腕体に対して回転させても、駆動ワイヤ部材が引っ張られることがない。従って、手嘗部から延設された指機構の屈伸状態を維持したまま、手嘗部を腕体に対して回転させることができる。また、アクチュエータを腕体内に配置することで、手嘗部の構成の小型化を図ることができる。
【0028】
尚、多指ハンド装置が例えば5個の指機構を備えた場合において、前記第2の態様の発明のように、一対のプーリ部材と、補助プーリ部材とを備えた場合にあっては、前記駆動ワイヤ部材は、前記他の1個の指機構から延設されたワイヤ部材と一体であるか、もしくは、該ワイヤ部材に結合した1本のワイヤ部材だけで済む。
【0029】
上記のように、手嘗部が腕体に対して回転する本発明の多指ハンド装置では、前記腕体と前記手嘗部との間は電気的に絶縁されていると共に、前記駆動ワイヤ部材は絶縁材により形成されていることが好ましい。
【0030】
これによれば、手嘗部及び指機構を水中に浸漬させても、腕体内等の電装系から手嘗部側に漏電等が生じることがない。このため、水中の物体を把持する等の作業を多指ハンド装置により支障なく行うことができる。
【0031】
尚、以上説明した本発明において、多指ハンド装置により物体を把持する場合の力は、前記付勢手段により指機構を伸ばし側に付勢した場合には、各指機構から延設されたワイヤ部材を引っ張る力を制御することで調整することができ、また、各指機構を付勢手段により曲げ側に付勢した場合には、その付勢手段の付勢力を調整しておくことによって、物体を把持する場合の力を調整することができる。
【0032】
また、以上説明した本発明においては、「ワイヤ部材」は、通常的な意味でのワイヤの他、チェーンやベルト等の部材も含むものであり、「プーリ部材」は、通常的な意味でのプーリの他、ギヤやスプロケット等も含むものである。
【0033】
【発明の実施の形態】
本発明の多指ハンド装置の一実施形態を図1〜図7を参照して説明する。図1は本実施形態における多指ハンド装置の斜視図、図2は該多指ハンド装置の要部構成を示す平面図、図3は図2のIII−III線断面図、図4は該多指ハンド装置1を取り付けた腕体の内部構造を示す断面図、図5は図4のIV−IV線断面図、図6及び図7は該多指ハンド装置の作動説明図である。尚、本実施形態は、本発明の第1の態様及び第2の態様の両態様に対応する実施形態である。
【0034】
図1を参照して、本実施形態の多指ハンド装置1は、人の手と同様に5個の指機構2a〜2eを手嘗部3から延設した構造のものであり、手嘗部3の手首基部4を介して人型ロボット等のロボット本体(図示しない)の腕体5に取付けられている。指機構2a〜2eは、それぞれ、人の手の親指、人差し指、中指、薬指、小指に相当するものである。
【0035】
ここで、前記手嘗部3は、手甲側の表面部を形成する手甲形成部材3aと、前記手首基部4と、手平側の外面部を形成する手平形成部材(図示省略)とを組付けて構成されているのであるが、図1を含む本実施形態の図面では、手嘗部3の内部構造を図示するために、手平形成部材の図示を省略している。該手平形成部材は、手甲形成部材3aに組みつけられた内部部品を覆うようにして手甲形成部材3aに取り付けられるものである。図1では、手嘗部3の下部が手甲形成部材3aとなっており、この手甲形成部材3aの上側に手平形成部材が組み付けられる。また、手首基部4は、大略筒状のものであり、その外周部の下半部が手甲形成部材3aに腕体5側の端部に組付けられ、上半部が手平形成部材の腕体5側の端部に組み付けられる。
【0036】
前記指機構2a〜2eのうち、親指に相当する指機構2a以外の4個の指機構2b〜2eは、いずれもその基本構造は同一である。まず、これらの4個の指機構2b〜2eに係わる構造を以下に説明する。
【0037】
これらの4個の指機構2b〜2eは、それぞれ、手嘗部3の手甲形成部材3aの端部(腕体5側と反対側の端部)に固設された固定部材6から、第1〜第3の3個の節間部材7,8,9を、第1〜第3の3個の関節10〜12を順に介して連接した構造となっている。尚、指機構2b〜2eの基本構造は上記のように同一であることから、本実施形態の各図面では、指機構2b〜2eのうちのいくつかの指機構についてのみ、代表的にその構成要素(節間部材、関節等)の参照符号を記載し、他の指機構については参照符号を省略する。
【0038】
各指機構2b〜2eの各関節10〜12は、それが連結する部材間の1軸回りの相対的回転動作を行わせる関節であり、それぞれ関節軸10a〜12aを有している。これらの関節軸10a〜12aは、手嘗部3の概ね幅方向(指機構2b〜2eが概ね並列する方向)で互いに平行に延在している。そして、第1関節10は、第1節間部材7が固定部材6に対して関節軸10aの軸心回りに回転可能なように両部材6,7を関節軸10aを介して連結し、第2関節11は、第2節間部材8が第1節間部材7に対して関節軸11aの軸心回りに回転可能なように両部材7,8を関節軸11aを介して連結し、第3関節12は、第3節間部材9が第2節間部材8に対して関節軸12aの軸心回りに回転可能なように両部材8,9を関節軸12aを介して連結している。このような各関節10〜12における各節間部材7〜9の相対的な回転動作によって、各指機構2b〜2eの屈伸動作が可能となる。
【0039】
また、各指機構2b〜2eには、最も手嘗部3寄りの節間部材である第1節間部材7を固定部材6に対して回転させたときに、それに連動させて、第2節間部材8及び第3節間部材9を回転させるリンク機構13が設けられている。
【0040】
このリンク機構13の構造は、指機構2b〜2eのいずれについても同一であり、その構造を例えば指機構2cについて図3を参照して説明する。該リンク機構13は、固定部材6及び第2節間部材8を連結するリンクアーム14と、第1節間部材7及び第3節間部材9を連結するリンクアーム15とを具備している。リンクアーム14は、その一端部が、第1関節10の関節軸10aよりも指機構2cの背側の面部(図3の下面部)寄りの位置で固定部材6に支軸14aを介して回転可能に軸支されると共に、他端部が、第2関節11の関節軸11aよりも指機構2cの腹側の面部(図3の上面部)寄りの位置で第2節間部材8に支軸14bを介して回転可能に軸支されている。
【0041】
また、リンクアーム15は、その一端部が、第2関節11の関節軸11aよりも指機構2cの背側の面部寄りの位置で第1節間部材7に支軸15aを介して回転可能に軸支されると共に、他端部が、第3関節12の関節軸12aよりも指機構2cの腹側の面部寄りの位置で第3節間部材9に支軸15bを介して回転可能に軸支されている。
【0042】
このような構成のリンク機構13を備えた指機構2cにあっては、該指機構2cを図3の実線示のように伸ばした状態から、第1節間部材7を固定部材6に対して時計回り方向(第1節間部材7の腹側面部が手嘗部3の手平側の面部に接近する方向)に回転させると、これに連動して、同図に仮想線で示すように、第2節間部材8が、第1節間部材7に対して時計回り方向に回転すると共に、第3節間部材9が、第2節間部材8に対して時計回り方向に回転する。これにより、指機構2cは、各関節10〜12で屈曲する。また、上記と逆に、同図仮想線示のように指機構2cを曲げた状態から、第1節間部材7を固定部材6に対して反時計回り方向に回転させて同図実線示の位置に戻せば、それに連動して、第2節間部材8及び第3節間部材9がそれぞれ第1節間部材7、第2節間部材8に対して反時計回り方向に回転して、指機構2cが伸びることとなる。このように、指機構2cの屈伸は、第1節間部材7を固定部材6に対して回転させることで行われる。
【0043】
このようなリンク機構13の構造、及びそれに伴う指機構の屈伸動作は、指機構2b,2d,2eについても全く同様である。
【0044】
尚、本実施形態では、指機構2b〜2eの、第2関節11から指先側の部分(第2節間部材8、第3節間部材9、第3関節12及びリンクアーム15から構成される部分)は、その基本構造が互いに同一であるだけではなく、その各部品の形状、サイズも全く同一とされている。
【0045】
図1及び図2を参照して、上述のような構造の各指機構2b〜2eをその伸ばし側に付勢する付勢手段としてのスプリング16が各指機構2b〜2e毎に手嘗部3内に配設されている。
【0046】
各スプリング16は、手嘗部3の手首基部4寄りの箇所で対応する各指機構2b〜2eと大略同心に配設され、その一端部が手甲形成部材3aに一体に設けられたスプリング係止部材17に係止され、他端部が付勢用ワイヤ部材18を介して、対応する各指機構2b〜2eの第1節間部材7に係止されている。この場合、各指機構2b〜2eの第1関節10の側面寄りの箇所には、その関節軸10aの回りに回転自在なガイドプーリ19が該関節軸10と同心に設けられており、前記付勢用ワイヤ部材18は、このガイドプーリ19の下側(各指機構2b〜2eの背側)の外周を経て第1節間部材7の側面部に固定されている。尚、付勢用ワイヤ部材18の第1節間部材7に対する固定部は、上下方向でガイドプーリ19の下端よりも上側の高さに存している。
【0047】
この構成により、各指機構2b〜2eは、それに対応するスプリング16の付勢力によって、該指機構2b〜2eが伸びた状態に付勢されている。
【0048】
尚、以下の説明では、説明の便宜上、伸ばした状態の指機構2b〜2eの延在方向を大略的に多指ハンド装置1の前後方向とし、指機構2b〜2eの先端側を多指ハンド装置1の前側とする。
【0049】
図1及び図2を参照して、親指に相当する指機構2aは、指機構2bの固定部材6の後方で手嘗部3の手甲形成部材3aに固設された固定部材20から、第1及び第2の2個の節間部材21,22を、第1及び第2の2個の関節23,24を順に介して連接した構造となっている。尚、図2では、指機構2aの内部構造を図示するために、第1節間部材21を仮想線で表すと共に、第2節間部材22を破断して示している。また、同図2では前記手首基部4を省略している。
【0050】
指機構2aの各関節23,24は、それが連結する部材間の1軸回りの相対的回転運動を行わせる関節であり、それぞれ関節軸23a,24aを有している。第1関節23の関節軸23aは、多指ハンド装置1の前後方向に対して多少傾斜した方向に向けられ、第2関節24の関節軸24aは、第1関節23の関節23aと概ね直行する方向に向けられている。そして、第1関節23は、第1節間部材21が固定部材20に対して関節軸23aの軸心回りに回転可能なように両部材20,21を関節軸23aを介して連結し、第2関節24は、第2節間部材22が第1節間部材21に対して関節軸24aの軸心回りに回転可能なように両部材21,22を関節軸24aを介して連結している。このような各関節23,24における各節間部材21,22の相対的な回転運動によって、指機構2aの屈伸動作が可能となる。
【0051】
この場合、図1及び図2に示すように指機構2aを伸ばした状態からの曲げ動作は次のように行われる。すなわち、図6を参照して、指機構2aを伸ばした状態(図6の仮想線の状態)から、指機構2aを曲げるときには、第1節間部材21が手嘗部3側に近づくように第1関節23の関節軸23aの軸心回りに第1節間部材21を固定部材20に対して回転させる(図1の矢印y1の向きに第1節間部材21を回転させる)と共に、第2節間部材22の先端部が他の指機構2b〜2eに近づくように第2関節24の関節軸24aの軸心回りに第2節間部材22を第1節間部材21に対して回転させる(図2の矢印y2の向きに第2節間部材22を回転させる)。これにより、指機構2aは、図6に実線で示すように曲げられる。尚、図6では、便宜上、指機構2b〜2eに係わる付勢手段としての前記スプリング16や、ワイヤ18は省略している。
【0052】
この指機構2aをその伸ばし側に付勢する付勢手段として、図1に示すスプリング25と図2に示すスプリング26とが備えられている。
【0053】
図1に示すスプリング25は、詳細な図示は省略するが、その一端部が手嘗部3の手甲形成部材3aに係止され、他端部が第1関節23の関節軸23aよりも手嘗部3の周縁寄り側(図2で言えば関節軸23aの右側)で第1節間部材21に係止されている。これにより、第1節間部材21がスプリング25の付勢力によって、指機構2aの伸ばし側(図1の矢印y1と逆向き側)に付勢されている。また、図2に示すスプリング26は、その一端部(図示せず)が第1節間部材21に係止されていると共に、他端部が第2関節24の関節軸24aよりも指機構2aの背側(図2では関節軸24aのほぼ右側)で第2節間部材22に係止されている。これにより、第2節間部材22がスプリング26の付勢力によって、指機構2aの伸ばし側(図1の矢印y2と逆向き側)に付勢されている。
【0054】
図1、図2及び図6を参照して、手嘗部3には、上述のように構成された指機構2a〜2eの屈伸動作を行わせるための駆動機構27が内蔵されている。この駆動機構27は、後述するモータ56(アクチュエータ)と併せて本発明における駆動手段28を構成するものである。
【0055】
この駆動機構27は、複数(本実施形態では3本)のワイヤ29,30,31(ワイヤ部材)と、複数(本実施形態では7個)のプーリ32〜38(プーリ部材)とを具備している。
【0056】
ワイヤ29は、その各端部が、互いに隣合う指機構2d,2eのそれぞれの第1節間部材7の前記ガイドプーリ19側の側面部に固定され、これらの指機構2d,2eから、手嘗部3側に延設されている。別の言い方をすれば、ワイヤ29は、指機構2dの第1節間部材7の側面部から手嘗部3側に延びる部分と、指機構2eの第1節間部材7の側面部から手嘗部3側に伸びる部分とを一体に連結した構成となっている。
【0057】
この場合、ワイヤ29の各端部は、各指機構2d,2eのガイドプーリの上側(各指機構2d,2eの腹側)の外周を経て各指機構2d,2eの第1節間部材7の側面部に固定されている。そして、ワイヤ29の第1節間部材7に対する固定部は、上下方向でガイドプーリ19の上端よりも下側である。このため、ワイヤ29を全体的に手首基部4側に引っ張ることにより、各指機構2d,2eの第1節間部材7の腹側面部が手嘗部3側に近づくように該第1節間部材7が第1関節10の関節軸10aの軸心回りに回転し、これにより、前述の如く、指機構2d,2eの曲げ動作が行われる。
【0058】
前記ワイヤ30は、その各端部が、互いに隣合う指機構2b,2cのそれぞれの第1節間部材7のガイドプーリ19側の側面部に固定され、各指機構2b,2cのガイドプーリ19の上側の外周を経て手嘗部3側に延設されている。従って、ワイヤ30を全体的に手首基部4側に引っ張ることにより、各指機構2b,2cの第1節間部材7の腹側面部が手嘗部3側に近づくように該第1節間部材7が第1関節10の関節軸10aの軸心回りに回転し、これにより、前記指機構2d,2eの場合と同様に、指機構2b,2cの曲げ動作が行われる。
【0059】
尚、指機構2d,2eのそれぞれの固定部材6には、ワイヤ29の各指機構2d,2eから手嘗部3側に延びる部分を大略的に各指機構2d,2eの延在方向に案内するためのガイドロッド39が突設されている。同様に、指機構2b,2cのそれぞれの固定部材6にもガイドロッド39が突設されている。
【0060】
上記ワイヤ29,30は、それぞれ手嘗部3内に配置された前記プーリ32,33に巻き掛けられている。これらのプーリ32,33は、次のようにして手嘗部3内に保持されている。
【0061】
すなわち、手嘗部3の手甲形成部材3aの手首基部4寄りの箇所には、手嘗部3の幅方向に延びる橋桁状のブラケット40が固設されており、このブラケット40から、指機構2c,2dの間に向かって補助部材41が延設されている。この補助部材41の中心線上には、前後方向に延在する切溝41aが形成されており、この切溝41aに、上下方向の軸心を有する支軸42が係合されている。該支軸42は、切溝41aに沿って前後方向に移動自在とされている。さらに、該支軸42に、手嘗部3の幅方向に延在する方形板状のプーリ保持部材43が装着されている。該プーリ保持部材43は、支軸42の回りに揺動可能とされていると共に、支軸42と共に、切溝41aに沿って前後方向に移動可能とされている。そして、このプーリ保持部材43の両端部に、前記ワイヤ29,30をそれぞれ巻き掛けたプーリ32,33が手嘗部3の幅方向に間隔を存して回転自在に保持されている。
【0062】
この構成によりプーリ32,33は、プーリ保持部材43と共に前後方向に移動可能で、且つ、これらのプーリ32,33の間の支軸42の回りに揺動可能とされている。
【0063】
前記ワイヤ31は、その一端部が図2に示すように、指機構2aの内部で、該指機構2aの第2節間部材22の先端部に固定され、該先端部から、第2関節24の関節軸24aの、指機構2aの腹側の外周(図2の関節軸24aの左側の外周)と、指機構2aの内部で第1関節23の関節軸23aの回りに回転自在に該関節軸23aに装着されたガイドプーリ44の外周とを経由して、固定部材20から手嘗部3内に引き出されている。この場合、第1節間部材21の内部には、ワイヤ31を第2節間部材22の先端部からガイドプーリ44まで所要の方向に向きを変えつつ案内するための2個のガイドプーリ45,46が回転自在に軸支されており、ワイヤ31の前記関節軸24aとガイドプーリ44の間の部分は、ガイドプーリ45,46にも巻き掛けられている。そして、ガイドプーリ45は、ワイヤ31の固定部材20から引き出された部分を引っ張ったときに、第1節間部材21に指機構2aの曲げ方向の力が第1関節23の関節軸23aの軸心回りに作用するような位置に設けられている。同様に、ガイドプーリ46は、ワイヤ31の固定部材20から引き出された部分を引っ張ったときに、第2節間部材22に指機構2aの曲げ方向の力が第2関節24の関節軸24aの軸心回りに作用するような位置に設けられている。
【0064】
また、指機構2aの固定部材20から引き出されたワイヤ31は、前記プーリ33の後方で且つ固定部材20寄りの位置で前記ブラケット40に所要の姿勢でで回転自在に軸支された前記プーリ34,35の外周を順に経由した後、前記支軸42と同心に前記プーリ保持部材43に回転自在に軸支された前記プーリ36の前部側の外周に巻き掛けられている。該プーリ36は、本発明における補助プーリ部材に相当するものである。
【0065】
さらに、該ワイヤ31は、プーリ36から後方に引き出された後、該プーリ36の後方で前記ブラケット40に所要の姿勢で回転自在に軸支された前記プーリ37,38の外周を経由し、図1に示すように手首基部4の内部を貫通して、腕体5の内部に導入されている。
【0066】
尚、プーリ34,35,37,38は、ワイヤ31の向きや配線位置を規制するためのものであり、ワイヤ31との摩擦が比較的小さいものであれば、これらのプーリ34,35,37,38の代わりに単なるロッド状のものをブラケット40に固定して設け、このロッド状のものの外周にワイヤ31を巻き掛けるようにしてもよい。このことは、指機構2aに備えた前記ガイドプーリ44〜46についても同様であり、さらに、前記ワイヤ29,30や前記付勢手段に係わるワイヤ18を巻き掛けた指機構2b〜2eのガイドプーリ19についても同様である。
【0067】
次に、手嘗部3側から引き出された前記ワイヤ31が導入される腕体5の要部構成を図4及び図5を参照して説明する。
【0068】
図4に示すように、腕体5は、その外周面部を形成する腕体ハウジング50内の先端部に、アクチュエータ等を取り付ける機枠51が設けられている。そして、この機枠51には、前記手嘗部3の手首基部4を連結する連結軸52がその軸心を腕体5の長手方向に向けて一対のベアリング53,54を介して回転自在に支承されていると共に、この連結軸52の後方側で、手嘗部3を腕体5に対して回転させるための駆動モータ55(以下、手嘗回転用モータ55という)と、前記ワイヤ31を引っ張るための駆動モータ56(以下、手指駆動用モータ56という)とが取付けられている。
【0069】
前記連結軸52は、その前端部が腕体ハウジング50内から突出され、その突出部分に手嘗部3の手首基部4がネジ57を介して連結軸52と同心に連結されている。これにより、手嘗部3は、連結軸52と一体にその軸心回りに回転可能とされている。また、該連結軸52の軸心部には、貫通穴52aが穿設されており、前記手嘗部3側から引き出されたワイヤ31は、この貫通穴52aを通って、該連結軸52の後方に導出されている。
【0070】
また、連結軸52の後方には、連結軸52の軸心と直行する方向に延在する巻取り軸58が設けられ、この巻取り軸58は、その両端部が前記機枠51に回転自在に支承されている。そして、この巻取り軸58に連結軸52の貫通穴52aから導出されたワイヤ31が係止され、該巻取り軸58を所定方向に回転させることで、該ワイヤ31が巻取り軸58に巻き取られて引っ張られるようになっている。
【0071】
前記手指駆動用モータ56は、巻取り軸58と平行に並んで機枠51に取付けられており、該手指駆動用モータ56の回転駆動軸56aに装着された駆動ギヤ59が巻取り軸58に装着された被動プーリ60にベルト部材61を介して接続されている。従って、この手指駆動用モータ56の正転作動や逆転作動によって、巻取り軸58が回転駆動され、該巻取り軸58にワイヤ31が巻き取られたり、その巻取りが解除される。
【0072】
尚、ワイヤ31の腕体5内の部分は、本発明における駆動ワイヤに相当するものである。
【0073】
また、前記連結軸52の外周部には、該連結軸52と一体に回転自在に被動プーリ62が挿着されている。そして、前記手嘗回転用モータ55は、連結軸52と平行な姿勢で機枠51に取付けられており、図5に示すように、該手嘗回転用モータ55の回転駆動軸55aに装着されたギヤ63が、連結軸52の被動プーリ62にベルト部材64を介して接続されている。従って、手嘗回転用モータ55の正転作動や逆転作動によって、連結軸52が回転駆動され、これに伴い、該連結軸52に連結された手首基部4と共に手嘗部3が連結軸52の軸心回りに回転することとなる。
【0074】
尚、本実施形態では、前記連結軸52やワイヤ31は、樹脂材等の絶縁材により構成されている。また、腕体ハウジング50は、それが手首基部4に接触する部分50a(図4参照)を含めて樹脂材により構成されている。従って、腕体5と手嘗部3とは電気的に絶縁されている。
【0075】
また、図示は省略するが、腕体ハウジング50内には、前記手嘗回転用モータ55の回転位置(これは、手嘗部3の腕体5に対する回転位置に相当する)や、手指駆動用モータ56の回転位置(これは、ワイヤ31の巻取り軸58への巻取り量に相当する)を検出するためのエンコーダが備えられている。そして、手嘗回転用モータ55や手指駆動用モータ56の作動の制御は、該エンコーダの検出データ等に基づいて、図示しないコントローラにより行われる。
【0076】
次に、本実施形態の多指ハンド装置1の作動を説明する。
【0077】
まず、多指ハンド装置1の基本的な作動を説明する。前記指機構2a〜2eのうち、指機構2b〜2eは、通常時は、それぞれに対応するスプリング16の付勢力によって図1及び図2に示すように伸びている。同様に、指機構2aは、通常時は、前記スプリング25,26の付勢力によって、図1及び図2に示すように伸びている。
【0078】
この状態で、腕体5内の手指駆動用モータ56を作動させて、前記巻取り軸58を手嘗部3から腕体5内に延びるワイヤ31の巻取り方向に回転駆動すると、該ワイヤ31が、図1及び図2の矢印y3で示す方向に引っ張られる。このとき、指機構2aの曲げ側に該指機構2aの第2節間部材22の先端部がワイヤ31を介して引っ張られると共に、プーリ36が後方に引っ張られる。そして、基本的には、このプーリ36と共にプーリ保持部材43及びプーリ32,33が図2の状態から図6に示すように後方に移動し、その結果、ワイヤ29を介して指機構2d,2eの曲げ側に該指機構2d,2eの第1節間部材7,7が引っ張られると共に、ワイヤ30を介して指機構2b,2cの曲げ側に該指機構2b,2cの第1節間部材7,7が引っ張られる。これにより、図6に示すように、指機構2a〜2eの全てがこれらの間に図示しない物体を把持するようにして曲げられる。つまり、単一の指駆動用モータ56の駆動力により、ワイヤ31を手嘗部3側から腕体5側に引っ張って、巻取り軸58に巻き取ることによって、5本の指機構2a〜2eの曲げ動作が一括的に行われる。これにより、指機構2a〜2eにより物体を把持する等の作業を行うことができる。
【0079】
一方、本実施形態の多指ハンド装置1では、指機構2a〜2eの上述のような曲げ動作の際に、例えばいずれか一つの指機構が把持しようとする物体に当接してそれ以上曲がることができなくなっても、他の指機構の曲げ動作を行うことができる。すなわち、図6を参照して、指機構2a〜2eの曲げ動作中に例えば、指機構2eが図示しない物体に当接してそれ以上曲がらなくなっても、この指機構2eに連結されたワイヤ29が巻き掛けられたプーリ32は、指機構2eの隣の指機構2dがさらに曲がることができる限り、回転しながら後方側(手首基部4側)に移動することができる。また、指機構2b,2cから延設されたワイヤ30を巻き掛けたプーリ33は、指機構2b,2cの少なくともいずれか一方がさらに曲がることが可能である限り、後方側に移動することができる。また、指機構2aは、さらに曲がることが可能である限り、ワイヤ31を腕体5内の巻取り軸58に巻き取ることで、該ワイヤ31のプーリ34から指機構2aの先端部にかけての部分の長さが短くなって、該指機構2aの曲げ動作が行われる。
【0080】
従って、指機構2a〜2eの曲げ動作の際に、指機構2eがそれ以上曲がらなくなっても、ワイヤ31を前記巻取り軸58に巻取りつつ、前記プーリ32,33をプーリ保持部材43やプーリ36と共に腕体5側に移動させることができるため、他の指機構2a〜2eの曲げ動作をさらに行うことができる。
【0081】
このことは、指機構2b〜2dのいずれか一つの指機構が曲がらなくなった場合でも同様である。
【0082】
また、指機構2aがそれ以上曲がらなくなった場合には、ワイヤ31の、プーリ34から指機構2aの先端部にかけての部分の長さは変化しなくなるが、ワイヤ31を腕体5内の巻取り軸58に巻き取ることで、プーリ36がその両側のプーリ32,33と共に後方側に移動する。このため、指機構2b〜2eの曲げ動作を行うことができる。
【0083】
このように、指機構2a〜2eのいずれか一つがそれ以上曲がらなくなっても、他の指機構の曲げ動作をワイヤ31の巻取り軸58への巻取り(ワイヤ31の腕体5内への移動)により行うことができる。
【0084】
さらに、指機構2a〜2eの曲げ動作に際して、いずれか2本の指機構が把持しようとする物体に当接する等してそれ以上曲がらなくなった場合でも、他の指機構の曲げ動作を行うことができる。
【0085】
例えば、指機構2b〜2eのうち、指機構2c及び指機構2dが曲がらなくなった場合には、指機構2bに連結されたワイヤ30を巻き掛けたプーリ33は、指機構2cのみが曲がらなくなった場合と同様に、回転しながら後方に移動することができる。同様に、指機構2eに連結されたワイヤ29を巻き掛けたプーリ32も、回転しながら後方に移動できる。また、指機構2aについては、ワイヤ31の巻取り軸58への巻取りにより、該ワイヤ31のプーリ34から指機構2aの先端部にかけての部分の長さが短くなって、該指機構2aの曲げ動作が行われる。
【0086】
従って、指機構2c及び指機構2dが曲がらなくなっても、ワイヤ31を腕体5内の巻取り軸58に巻取りつつ、他の指機構2a,2b,2eの曲げ動作を行うことができる。このことは、指機構2b,2dの対、指機構2b,2eの対、あるいは、指機構2c,2eの対が曲がらなくなった場合でも同様である。
【0087】
また、指機構2aと、指機構2b〜2eのいずれか一つとが、曲がらなくなった場合でも、プーリ32,33は、プーリ36と共に後方に移動することができるため、他の指機構については、ワイヤ31の巻取り軸58への巻取りにより曲げ動作を行うことができる。
【0088】
さらに、指機構2b,2cの対、あるいは指機構2d,2eの対がそれ以上曲がらなくなった場合でも、他の指機構の曲げ動作を行うことができる。
【0089】
例えば、指機構2b,2cの対が曲がらなくなった場合において、これらの指機構2b,2cから延設されたワイヤ30を巻き掛けたプーリ33は、後方に移動できなくなる。しかるに、指機構2d,2eから延設されたワイヤ29を巻き掛けたプーリ32と、プーリ保持部材43の中間部のプーリ36とは、図7に示すように、プーリ保持部材43が仮想線で示す状態から同図実線示のように前記支軸42の回りに揺動することで、後方側(腕体5側)に移動できる。このため、指機構2b,2cの対が曲がらなくなっても、ワイヤ31を腕体5内の巻取り軸58に巻取りつつ、他の指機構2a,2d,2eの曲げ動作を行うことができる。このことは、指機構2d,2eの対が曲がらなくなった場合でも同様である。但し、この場合には、プーリ保持部材43は、図7の場合と逆向き(時計回り方向)に支軸42の回りに揺動する。
【0090】
このようにして、指機構2a〜2eのいずれの二つの指機構が曲がらなくなっても、他の指機構の曲げ動作をワイヤ31の巻取り軸58への巻取りにより行うことができる。
【0091】
以下、同様にして、指機構2a〜2eのいずれか3個の指機構がそれ以上曲がらなくなった場合にも、残りの2個の指機構の曲げ動作を行うことができる。この場合には、基本的には、前記図7の場合のように、プーリ保持部材43が揺動することで、残りの2個の指機構の曲げ動作を行うことができる。
【0092】
さらに、指機構2a〜2eのいずれか4個の指機構がそれ以上曲がらなくなった場合にも、残りの1個の指機構の曲げ動作を行うことができる。この場合、指機構2aと、指機構2b〜2eのいずれか3個の指機構が曲がらなくなった場合には、基本的には、前記図7の場合のように、プーリ保持部材43が揺動することで、残りの1個の指機構の曲げ動作を行うことができる。また、指機構2a以外の4個の指機構2b〜2eが曲がらなくなった場合には、プーリ保持部材43及びこれに軸支されたプーリ32,33,36は、後方に移動できなくなるが、ワイヤ31の巻取り軸58への巻取りにより、該ワイヤ31のプーリ34から指機構2aの先端部にかけての部分の長さが短くなって、該指機構2aの曲げ動作が行われる。
【0093】
以上のように、本実施形態の多指ハンド装置1では、単一の指駆動用モータ56の駆動力により、ワイヤ31を巻取り軸58に巻き取ることで、多指ハンド装置1の全ての指機構2a〜2eの曲げ動作を一括的に行うことができる。従って、各指機構2a〜2e毎にその作動用のアクチュエータを備えたりすることなく、少ないアクチュエータで、5個の指機構2a〜2eにより図示しない物体を把持する等の作業を行うことができる。そして、この場合、指機構2a〜2eのいずれかが物体に当接する等してそれ以上曲がらなくなっても、他の指機構の曲げ動作を行うことができるため、指機構2a〜2eによる物体の把持を確実に支障なく行うことができる。
【0094】
尚、上記の説明では、指機構2a〜2eの伸ばし状態からの曲げ動作に関して説明したが、指機構2a〜2eを曲げ状態から伸ばす場合についても同様の効果を奏することができる。すなわち、指機構2a〜2eを曲げた状態から、例えば指駆動用モータ56によるワイヤ31の引っ張り力(巻取り軸58への巻取り力)を解除すれば、基本的には、指機構2b〜2eは、それぞれに対応する前記スプリング16の付勢力によって伸び、また、指機構2aは、スプリング25,26の付勢力によって伸びる。そして、このとき、指機構2a〜2eのいずれかが障害物に当接する等してそれ以上伸びなくなっても、他の指機構2a〜2eは、プーリ32,33,36の前後方向での移動やこれらのプーリを保持するプーリ保持部材43の揺動によって、支障なく伸びることができる。
【0095】
また、本実施形態の多指ハンド装置1では、腕体5内の前記手嘗回転用モータ55を作動させることによって、前記連結軸52と共に手嘗部3が該連結軸52の軸心回りに回転する。このとき、手嘗部3側から腕体5内に延びるワイヤ31は、手嘗部3の回転軸心である連結軸52の軸心に沿って延在しているため、該ワイヤ31が引っ張られたりすることなく、手嘗部3が回転する。このため、指機構2a〜2eの屈伸状態に影響を及ぼすことなく、支障なく手嘗部3を腕体5に対して回転させることができる。
【0096】
さらに、本実施形態の多指ハンド装置1では、指機構2aを除く、指機構2b〜2eの第2関節11より先端側の部分(第2節間部材8、第3節間部材9、第3関節12及びリンクアーム15から構成される部分)は、その各部品の形状、サイズが全く同一であるので、相互に予備部品を共用することができると共に、多指ハンド装置1に必要な部品の種類数が少ないものとなって、その部品管理等が容易になる。
【0097】
また、本実施形態の多指ハンド装置1では、指機構2b〜2eについては、それぞれ前記リンク機構13によって、最も手嘗部3寄りの第1節間部材7を固定部材6に対して第1関節10の関節軸10aの軸心回りに回転させることで、これに連動して第2節間部材8及び第3節間部材9がそれぞれ第1節間部材7、第2節間部材8に対して回転して各指機構2b〜2eの屈伸が行われるようになっている。このため、前記ワイヤ部材29は、プーリ32から、指機構2d,2eに対する固定点までの長さが短くて済み、同様に、ワイヤ部材30は、プーリ33から、指機構2b,2cに対する固定点までの長さが短くて済む。従って、これらのワイヤ部材29,30の全体の必要長が短くなって、コスト的に有利なものとなる。
【0098】
また、本実施形態の多指ハンド装置1では、前述の如く、手嘗部3は、腕体5に対して電気的に絶縁されているため、手嘗部3を水の中に入れても、腕体5内のモータ55,56等の電装品に流れる電流が手嘗部3側に漏電したりすることがない。この結果、多指ハンド装置1により、水中の物体を把持する等の作業も支障なく行うことができる。
【0099】
尚、本発明は、前述の実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような変形態様も可能である。
【0100】
前記実施形態では、指機構2a〜2eを伸び側に付勢するようにしたが、曲げ側に付勢しておくようにしてもよい。この場合の実施形態は、例えば前述の実施形態の多指ハンド装置1に対して次のような変更を施すことで、構成することが可能である。すなわち、前記リンク機構13を具備した各指機構2b〜2eについては、スプリング16を第1節間部材7に接続する代わりに、例えば、その第1関節10に設けたゼンマイバネ等により、各指機構2b〜2eの曲げ側に付勢しておく。そして、各指機構2b〜2eの第1節間部材7から延設したワイヤ部材29,30をそれぞれ、対応する各指機構2b〜2eのガイドプーリ19の、下側の外周(各指機構2b〜2eの背側の面部寄りの外周)を経由させて手嘗部3側に延ばす。また、指機構2aについては、スプリング25,26により該指機構2aを伸ばし側に付勢する代わりに、例えば、その第1及び第2関節23,24にそれぞれ設けたゼンマイバネ等により、該指機構2aを曲げ側に付勢しておく。そして、指機構2aの先端部から延設したワイヤ31を引っ張ったときに、指機構2aが伸びるように、該ワイヤ31の指機構2a内における配線経路を調整しておく(例えば、該ワイヤ31を指機構2aの背側の面部に沿わせるように配線しておく)。
【0101】
上記以外の構造は、前述の実施形態の多指ハンド装置1と同一でよい。このように多指ハンド装置を構成したとき、ワイヤ31を腕体5内に引っ張ることにより、指機構2a〜2eの伸ばし動作が一括的に行われる。そして、このとき、指機構2a〜2eのいずれかが物体に当接する等して伸びなくなっても、前述の実施形態の場合と同様の作動によって、残りの指機構の伸ばし動作を行うことができる。
【0102】
また、前記実施形態では、指機構2aに連結したワイヤ31を腕体3内に導入して指駆動用モータ56により引っ張ることで、指機構2a〜2eの曲げ動作を行うようにしたが、該ワイヤ31の前記プーリ38から導出した端部を手嘗部3に固定しておき、該ワイヤ31の中間部を引っ張ることで指機構2a〜2eの曲げ動作を行うようにすることも可能である。この場合には、例えば前述の実施形態におけるプーリ37を前後方向に移動可能なプーリ保持部材に回転自在に保持しておき、このプーリ保持部材からワイヤ部材を腕体5内に引き出しておく。そして、このワイヤ部材を腕体5内に設けたアクチュエータにより引っ張るようにすれば、指機構2a〜2eの曲げ動作を行うことができる。
【0103】
また、前記実施形態では、指機構2b〜2eについては、リンク機構13を備えて、各指機構2b〜2eの第1節間部材7から延設したワイヤ29,30を引っ張って該第1節間部材7を第1関節10の関節軸10aの軸心回りに回転させることで、それに連動して第2節間部材8,9が回転して各指機構2b〜2eの屈伸動作が行われるようにしたが、例えば、各指機構2b〜2eの第2節間部材8から延設したワイヤ部材を引っ張って第2節間部材8を回転させることで、各指機構2b〜2eの屈伸動作を行うようにすることも可能である。この場合には、例えば前記実施形態におけるプーリ32に巻き掛けたワイヤ29の両端部をそれぞれ指機構2d,2eの第2節間部材8にその腹寄りの箇所で固定すると共に、プーリ33に巻き掛けたワイヤ30の両端部をそれぞれ指機構2b,2cの第2節間部材8にその腹寄りの箇所で固定しておき、プーリ32,33を後方側(腕体5側)に移動させてワイヤ28,30を引っ張ることで、各指機構2b〜2eの第2節間部材8及び第1節間部材7がそれぞれ第2関節11、第1関節12の関節軸の回りに回転するようにしておく。そして、前記実施形態におけるリンクアーム15により各指機構2b〜2eの第1節間部材7と第3節間部材9とを連結しておくことで、第2節間部材8の回転に連動して第3節間部材9が第3関節12の関節軸12aの軸心回りに回転するようにしておけばよい。
【0104】
また、前記実施形態では、5個の指機構2a〜2eを備えた多指ハンド装置1について説明したが、例えば、3個や4個の指機構を備えた多指ハンド装置についても本発明を適用することができることはもちろんである。
[産業上の利用可能性]
以上のように本発明は、人型ロボット等、手嘗部から延設された複数の指機構により種々の作業を行うロボットのハンド装置として有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態における多指ハンド装置の斜視図。
【図2】図1の多指ハンド装置の要部構成を示す平面図。
【図3】図2の III − III 線断面図。
【図4】図1の多指ハンド装置を取り付けた腕体の内部構造を示す断面図。
【図5】図4の IV − IV 線断面図。
【図6】図1の多指ハンド装置の作動説明図。
【図7】図1の多指ハンド装置の作動説明図。
Claims (7)
- 腕体の先端部に取り付けられた手嘗部と、該手嘗部から延設され、それぞれ複数の節間部材を指関節を介して順次連接してなる複数の指機構と、各指機構をその伸ばし側及び曲げ側のいずれか一方側に付勢する付勢手段と、各指機構から手嘗部側に延設されたワイヤ部材と、各指機構から延設されたワイヤ部材を前記付勢手段の付勢力に抗して引っ張ることにより、該指機構の曲げ動作又は伸ばし動作を行わしめる駆動手段とを備えた多指ハンド装置であって、
前記複数の指機構のうちの少なくとも2個の指機構からそれぞれ延設された2本のワイヤ部材は、その手嘗部側の端部が一体に連結されており、
前記駆動手段は、一体に連結した前記2本のワイヤ部材を巻き掛けたプーリ部材と、該プーリ部材を回転自在に保持すると共に前記2本のワイヤ部材の引っ張り方向に前記プーリ部材と共に移動可能に前記手嘗部に設けられたプーリ保持部材とを具備し、前記2個の指機構の曲げ動作又は伸ばし動作を行うとき、前記プーリ保持部材を移動させることにより、該2個の指機構から延設されたワイヤ部材を引っ張り、
前記指機構は少なくとも3個以上備えられ、
前記駆動手段は、前記2個の指機構以外の他の1個の指機構から延設されたワイヤ部材が巻き掛けられて前記プーリ保持部材に回転自在に保持された補助プーリ部材を具備し、前記2個の指機構と前記他の1個の指機構との曲げ動作又は伸ばし動作を行うとき、前記他の1個の指機構から延設されたワイヤ部材を、前記補助プーリ部材が前記プーリ保持部材と共に前記2個の指機構から延設されたワイヤ部材の引っ張り方向に移動する方向に引っ張ることを特徴とする多指ハンド装置。 - 腕体の先端部に取り付けられた手嘗部と、該手嘗部から延設され、それぞれ複数の節間部材を指関節を介して順次連接してなる少なくとも4個以上の複数の指機構と、各指機構をその伸ばし側及び曲げ側のいずれか一方側に付勢する付勢手段と、各指機構から手嘗部側に延設されたワイヤ部材と、各指機構から延設されたワイヤ部材を前記付勢手段の付勢力に抗して引っ張ることにより、該指機構の曲げ動作又は伸ばし動作を行わしめる駆動手段とを備えた多指ハンド装置であって、
前記複数の指機構のうちの少なくとも4個の指機構は、2個ずつの2対に分類されて、各対の2個の指機構からそれぞれ延設された2本のワイヤ部材の手嘗部側の端部が一体に連結されており、
前記駆動手段は、各対の指機構毎の一体に連結した2本のワイヤ部材をそれぞれ巻き掛けた一対のプーリ部材と、該一対のプーリ部材を間隔を存して回転自在に保持し、前記4個の指機構からそれぞれ延設されたワイヤ部材の引っ張り方向に前記一対のプーリ部材と共に移動可能で且つ前記一対のプーリ部材の間の中間部に設けた支点の回りに揺動可能に前記手嘗部に設けられたプーリ保持部材とを具備し、前記4個の指機構の曲げ動作又は伸ばし動作を行うとき、前記プーリ保持部材を移動させることにより、該4個の指機構から延設されたワイヤ部材を引っ張ることを特徴とする多指ハンド装置。 - 前記指機構は、少なくとも5個以上備えられ、
前記駆動手段は、前記4個の指機構以外の他の1個の指機構から延設されたワイヤ部材が巻き掛けられて前記一対のプーリ部材の間で前記プーリ保持部材に回転自在に保持された補助プーリ部材を具備し、前記4個の指機構と前記他の1個の指機構との曲げ動作又は伸ばし動作を行うとき、前記他の1個の指機構から延設されたワイヤ部材を、前記補助プーリ部材が前記プーリ保持部材と共に前記4個の指機構から延設されたワイヤ部材の引っ張り方向に移動する方向に引っ張ることを特徴とする請求項2記載の多指ハンド装置。 - 前記複数の指機構のうちの少なくとも一つの指機構は、最も手嘗部寄りの指関節に連なる節間部材の該指関節回りの回転動作に連動させて他の指関節回りの回転動作を行わしめるべく該指機構の複数の節間部材に連結されたリンク機構を具備しており、該指機構から延設されている前記ワイヤ部材は、最も手嘗部寄りの節間部材から延設されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の多指ハンド装置。
- 前記複数の指機構のうちの、2個以上の指機構のそれぞれの2個以上の節間部材は、同一構成であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の多指ハンド装置。
- 前記手嘗部は、前記腕体の略長手方向に延在する軸心回りに回転可能に設けられると共に、
前記駆動手段は、前記手嘗部から前記腕体の内部に延設された少なくとも一つの駆動ワイヤ部材と、各駆動ワイヤ部材を該腕体の内部側に引っ張る駆動力を該ワイヤ部材に付与するアクチュエータとを具備して、各指機構から延設されたワイヤ部材を引っ張る力を前記アクチュエータから該駆動ワイヤ部材を介して手嘗部側に伝達する手段であり、
前記駆動ワイヤ部材は、前記手嘗部の回転軸心に沿って前記腕体内に配置されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の多指ハンド装置。 - 前記腕体と前記手嘗部との間は電気的に絶縁されていると共に、前記駆動ワイヤ部材は絶縁材により形成されていることを特徴とする請求項6記載の多指ハンド装置。
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