JP3897345B2 - 抄紙用合成繊維処理剤、抄紙の製造方法及び抄紙 - Google Patents

抄紙用合成繊維処理剤、抄紙の製造方法及び抄紙 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、抄紙用合成繊維処理剤、抄紙の製造方法及び抄紙に関する。湿式法により合成繊維束から抄紙を製造する場合、その抄紙工程で該合成繊維束を抄紙浴中に速やかに単繊維に均一分散し、且つその均一分散状態を安定維持することが要求される。特に、抄紙の高品質化に伴い合成繊維束を構成する単繊維としてその繊度のより小さいものが使用されるようになってきている近年においては、かかる要求が一層強い。本発明は、合成繊維束を構成する単繊維として繊度が著しく小さいものを使用する場合であっても、前記の要求に応え、高品質の抄紙を製造できる抄紙用合成繊維処理剤及び抄紙の製造方法、並びにそのような抄紙に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、湿式法により合成繊維束から抄紙を製造する場合、その抄紙工程で該合成繊維束を抄紙浴に投入するに先立ち、該合成繊維束に抄紙用合成繊維処理剤を付着させて、該合成繊維束が抄紙浴中に分散し易くなるようにすることが行なわれている。かかる抄紙用合成繊維処理剤としては、末端を炭化水素基で封鎖したポリエーテル(例えば特許文献1参照)、ポリアルキレングリコール基を有するポリエーテルエステル(例えば特許文献2参照)、スルホン酸基を有する親水性ポリエステル(例えば特許文献3参照)、ポリオキシプロピレン炭化水素エーテルと非イオン界面活性剤との混合物(例えば特許文献4参照)、特定のポリエーテルエステルアミドと含窒素化合物との混合物(例えば特許文献5参照)、グラフト化ポリエーテルエステルアミドと含窒素化合物との混合物(例えば特許文献6参照)、特定の脂肪酸アミド基含有ポリエーテル化合物(例えば特許文献7参照)、特定のポリエーテルエステル(例えば特許文献8参照)、特定のポリエーテルエステルアミド(例えば特許文献9参照)等が知られている。また従来、湿式法により合成繊維束から抄紙を製造する場合、その抄紙工程の抄紙浴中に抄紙用合成繊維処理剤を加え、合成繊維束が該抄紙浴中に分散し易くなるようにすることも行なわれている。かかる抄紙用合成繊維処理剤としては、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルと脂肪酸アルカリ金属塩との混合物(例えば特許文献10参照)、ジイソシアネートと、エステル結合を少なくとも一個含むジオールとから得られるポリウレタン系化合物(例えば特許文献11参照)等が知られている。ところが、かかる従来の抄紙用合成繊維処理剤には、抄紙工程の抄紙浴中において、合成繊維束の単繊維への均一分散が不充分であったり、また均一分散状態の安定維持が不充分であって、所望通りの高品質の抄紙を製造できないという問題がある。かかる問題は特に、合成繊維束として極細の単繊維、例えば繊度0.1デシテックス以下の単繊維で構成されたものを用いる場合において大きい。
【0003】
【特許文献1】
特開昭56−169814号公報
【特許文献2】
特開昭58−208500号公報
【特許文献3】
特開平3−180587号公報
【特許文献4】
特開平3−193997号公報
【特許文献5】
特開平5−148768号公報
【特許文献6】
特開平5−230769号公報
【特許文献7】
特開平10−331072号公報
【特許文献8】
特開平11−61683号公報
【特許文献9】
特開平11−81142号公報
【特許文献10】
特開平3−227493号公報
【特許文献11】
特開平10−212672号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、湿式法により合成繊維束から抄紙を製造する際に、その抄紙工程において、該合成繊維束の抄紙浴中における均一分散及び均一分散状態の安定維持が充分に行なわれ、高品質の抄紙を製造できる抄紙用合成繊維処理剤及び抄紙の製造方法、並びにそのような抄紙を提供する処にある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
しかして本発明者らは、前記の課題を解決するべく研究した結果、抄紙用合成繊維処理剤として、特定のヒドロキシ化合物を所定割合で含有して成るものを用いるのが正しく好適であることを見出した。
【0006】
すなわち本発明は、下記の式1で示されるヒドロキシ化合物を40〜90重量%含有して成ることを特徴とする抄紙用合成繊維処理剤に係る。
【0007】
【式1】
R−O−X−O−Y−OH
【0008】
式1において、
R:炭素数8〜22の1価の2級アルコールから水酸基を除いた残基
X:オキシエチレン単位の繰り返し数3〜15のポリオキシエチレングリコールから全ての水酸基を除いた残基
Y:オキシプロピレン単位の繰り返し数1〜15の(ポリ)オキシプロピレングリコールから全ての水酸基を除いた残基
【0009】
また本発明は、湿式法により合成繊維束から抄紙を製造する方法において、前記のような本発明に係る抄紙用合成繊維処理剤を0.1〜20重量%の水性液となし、該水性液を抄紙工程に供する合成繊維束に対し該抄紙用合成繊維処理剤として0.03〜3重量%となるよう付着させることを特徴とする抄紙の製造方法に係る。
【0010】
更に本発明は、湿式法により合成繊維束から抄紙を製造する方法において、前記のような本発明に係る抄紙用合成繊維処理剤を抄紙工程の抄紙浴中に0.0002〜0.1重量%となるよう含有させることを特徴とする抄紙の製造方法に係る。
【0011】
更にまた本発明は、前記のような本発明に係る抄紙の製造方法によって得られる抄紙に係る。
【0012】
本発明に係る抄紙用合成繊維処理剤(以下、単に本発明の処理剤という)に用いる式1で示されるヒドロキシ化合物において、式1中のRは炭素数8〜22の1価の2級アルコールから水酸基を除いた残基であり、かかるRとしては、4−オクタノール、4−デカノール、2−ドデカノール、4−ドデカノール、5−トリデカノール、7−トリデカノール、2−テトラデカノール、3−テトラデカノール、3−ヘキサデカノール、9−オクタデカノール、6−エチル−6−ヘキサデカノール等の炭素数8〜22の1価の2級アルコールから水酸基を除いた残基が挙げられるが、なかでも2−ドデカノール、4−ドデカノール、5−トリデカノール、7−トリデカノール、2−テトラデカノール、3−テトラデカノール、3−ヘキサデカノール等の炭素数10〜16の1価の2級アルコールから水酸基を除いた残基が好ましい。
【0013】
また式1中のXはオキシエチレン単位の繰り返し数3〜15のポリオキシエチレングリコールから全ての水酸基を除いた残基であるが、かかるXとしては、オキシエチレン単位の繰り返し数5〜12のポリオキシエチレングリコールから全ての水酸基を除いた残基が好ましい。
【0014】
更に式1中のYはオキシプロピレン単位の繰り返し数1〜15の(ポリ)オキシプロピレングリコールから全ての水酸基を除いた残基であるが、かかるYとしては、オキシプロピレン単位の繰り返し数3〜12のポリオキシプロピレングリコールから全ての水酸基を除いた残基が好ましい。
【0015】
以上説明した式1で示されるヒドロキシ化合物は公知の合成法により合成できる。これには例えば、2級アルコールにエチレンオキシドを、三フッ化ホウ素、四フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体、五塩化アンチモン等のルイス酸触媒の存在下で逐次付加反応した後、更にプロピレンオキシドを逐次付加反応させる方法が挙げられる。
【0016】
本発明の処理剤は、式1で示されるヒドロキシ化合物を40〜90重量%含有するものであるが、45〜80重量%含有するものが好ましい。
【0017】
本発明の処理剤としては、前記した式1で示されるヒドロキシ化合物の他に、更に下記の式2で示されるポリエーテル化合物を含有して成るものが好ましい。
【0018】
【式2】
(A−B)
【0019】
式2において、
A:炭素数1〜20の1価の炭化水素基、炭素数1〜22のアシル基又は水素原子
B:3〜50個のオキシエチレン単位及び3〜35個のオキシプロピレン単位で構成されたポリオキシアルキレン基を有するポリオキシアルキレングリコールから全ての水酸基の水素原子を除いた残基
T:炭素数1〜22の1〜4価の炭化水素基、炭素数2〜22のアシル基又は水素原子
m:Tが炭素数1〜22の1〜4価の炭化水素基である場合は1〜4の整数、Tが炭素数2〜22のアシル基又は水素原子である場合は1
【0020】
式2で示されるポリエーテル化合物には、1)式2中のAの全てが水素原子である場合のポリエーテル化合物(以下、ポリエーテル化合物aという)、2)式2中のAの一部が水素原子であり、残部が1価の炭化水素基である場合のポリエーテル化合物(以下、ポリエーテル化合物bという)、3)式2中のAの全てが1価の炭化水素基である場合のポリエーテル化合物(以下、ポリエーテル化合物cという)、4)式2中のAの一部が水素原子であり、残部がアシル基である場合のポリエーテル化合物(以下、ポリエーテル化合物dという)、5)式2中のAの全てがアシル基である場合のポリエーテル化合物(以下、ポリエーテル化合物eという)、6)式2中のAの一部が水素原子であり、他の一部が1価の炭化水素基であって、残部がアシル基である場合のポリエーテル化合物(以下、ポリエーテル化合物fという)、7)式2中のAの一部が1価の炭化水素基であり、残部がアシル基である場合のポリエーテル化合物(以下、ポリエーテル化合物gという)、8)ポリエーテル化合物a〜gのうちでいずれか二つ以上の任意の混合物が含まれる。
【0021】
ポリエーテル化合物a〜gは、いずれも公知の方法で合成できる。例えば、ポリエーテル化合物aは、式2中のTに相当する炭化水素基を有する1〜4価のヒドロキシ化合物又は1価のカルボン酸に炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを逐次付加反応させることにより合成できる。またポリエーテル化合物b及びcは、ポリエーテル化合物aの末端水酸基の一部又は全部をエーテル化反応によって式2中のAに相当する炭化水素基で封鎖することにより合成できる。更にポリエーテル化合物d及びeは、ポリエーテル化合物aの末端水酸基の一部又は全部をアシル化反応によって式2中のAに相当するアシル基で封鎖することにより合成できる。更にまたポリエーテル化合物f及びgは、ポリエーテル化合物aの末端水酸基の一部又は全部をエーテル化反応によって式2中のAに相当する炭化水素基で封鎖すると共にアシル化反応によって式2中のAに相当するアシル基で封鎖することにより合成できる。
【0022】
ポリエーテル化合物aの合成に供する1〜4価のヒドロキシ化合物としては、1)メチルアルコール、ブチルアルコール、オクチルアルコール、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソブチルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール、イソドデシルアルコール、イソヘキサデシルアルコール、イソステアリルアルコール、イソテトラコサニルアルコール、2−プロピルアルコール、12−エイコシルアルコール、ビニルアルコール、ブテニルアルコール、ヘキサデセニルアルコール、オレイルアルコール、エイコセニルアルコール、2−メチル−2−プロピレン−1−オール、6−エチル−2−ウンデセン−1−オール、2−オクテン−5−オール、15−ヘキサデセン−2−オール等の炭素数1〜22の1価の脂肪族ヒドロキシ化合物、2)フェノール、プロピルフェノール、オクチルフェノール、トリデシルフェノール等の芳香環を有する1価のヒドロキシ化合物、3)エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリット等の2〜4価の脂肪族ヒドロキシ化合物が挙げられるが、なかでも炭素数3〜20の1価の脂肪族ヒドロキシ化合物が好ましく、プロピルアルコール、ブチルアルコール、オクチルアルコール、テトラデシルアルコール、ステアリルアルコールがより好ましい。
【0023】
またポリエーテル化合物aの合成に供する1価のカルボン酸としては、酢酸、酪酸、プロピオン酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、2−エチルヘキサン酸、イソステアリン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、リノール酸、エルカ酸等の炭素数2〜22の脂肪酸が挙げられるが、なかでも酢酸、カプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、ミリスチン酸等の炭素数2〜14の脂肪酸が好ましい。
【0024】
更にポリエーテル化合物aの合成に供するアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイドが挙げられる。これらのアルキレンオキサイドは単独で又は混合で使用できる。混合で用いる場合、1〜4価のヒドロキシ化合物又は1価のカルボン酸へのアルキレンオキサイドの付加形態としては、ランダム付加、ブロック付加、ランダム・ブロック付加が挙げられる。
【0025】
ポリエーテル化合物b及びcにおいて、式2中のAに相当する1価の炭化水素基としては、1)メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、オクチル基、ビニル基、ブテニル基、ヘキサデセニル基等の炭素数1〜8の1価の脂肪族炭化水素基、3)フェニル基、プロピルフェニル基、オクチルフェニル基、ベンジル基等の芳香環を有する1価の炭化水素基等が挙げられるが、なかでもメチル基が好ましい。
【0026】
ポリエーテル化合物d及びeにおいて、式2中のAに相当するアシル基としては、1)アセチル基、プロパノイル基、ブタノイル基、ヘキサノイル基、ヘプタノイル基、オクタノイル基、ノナノイル基、デカノイル基、ヘキサデカノイル基、オクタデカノイル基、ヘキサデセノイル基、エイコセノイル基、オクタデセノイル基等の炭素数2〜22の脂肪族アシル基、3)ベンゾイル基、トルオイル基、ナフトイル基等の芳香環を有するアシル基等が挙げられるが、なかでもアセチル基、プロパノイル基、ブタノイル基等の炭素数2〜4のアシル基が好ましい。
【0027】
ポリエーテル化合物f及びgにおいて、式2中のAに相当する炭化水素基は、ポリエーテル化合物b及びcにおいて前記したことと同様であり、また式2中のAに相当するアシル基は、ポリエーテル化合物d及びeにおいて前記したことと同様である。
【0028】
以上説明した式2で示されるポリエーテル化合物は、いずれも数平均分子量700〜6000のものとするが、800〜5000のものとするのが好ましく、なかでも式2中のAが水素原子、Bが10〜40個のオキシエチレン単位及び5〜20個のオキシプロピレン単位で構成されたポリオキシアルキレン基を有するポリオキシアルキレングリコールから全ての水酸基の水素原子を除いた残基、Tが炭素数8〜22の1価の炭化水素基、mが1である場合の式2で示されるポリエーテル化合物が特に好ましい。
【0029】
本発明の処理剤は、それが式2で示されるポリエーテル化合物を含有するものである場合、該ポリエーテル化合物を10〜40重量%含有するものとするが、15〜35重量%含有するものとするのが好ましい。
【0030】
本発明の処理剤としては、それが前記した式2で示されるポリエーテル化合物を含有するものである場合、更にアニオン界面活性剤を含有して成るものが好ましい。本発明の処理剤に用いるアニオン界面活性剤としては、適宜に選択し得るが、炭素数8〜22の有機スルホン酸のアルカリ金属塩及び炭素数8〜22の脂肪酸のアルカリ金属塩から選ばれる一つ又は二つ以上が好ましい。かかる炭素数8〜22の有機スルホン酸のアルカリ金属塩としては、デシルスルホン酸アルカリ金属塩、ドデシルスルホン酸アルカリ金属塩、イソトリドデシルスルホン酸アルカリ金属塩、テトラデシルスルホン酸アルカリ金属塩、ヘキサデシルスルホン酸アルカリ金属塩、ジオクチルスルホコハク酸エステルアルカリ金属塩、ジブチルスルホコハク酸エステルアルカリ金属塩、ドデシルスルホ酢酸エステルアルカリ金属塩等が挙げられる。また炭素数8〜22の脂肪酸のアルカリ金属塩としては、カプリル酸アルカリ金属塩、カプリン酸アルカリ金属塩、ラウリン酸アルカリ金属塩、ミリスチン酸アルカリ金属塩、パルミチン酸アルカリ金属塩、ステアリン酸アルカリ金属塩、イソステアリン酸アルカリ金属塩、ベヘニン酸アルカリ金属塩、オレイン酸アルカリ金属塩、エルシン酸アルカリ金属塩、リノール酸アルカリ金属塩、ドデセニルコハク酸アルカリ金属塩等が挙げられる。
【0031】
本発明の処理剤は、それがアニオン界面活性剤を含有するものである場合、該アニオン界面活性剤を0.5〜15重量%含有するものとするが、1〜10重量%含有するものとするのが好ましい。
【0032】
本発明の処理剤は、それが式1で示されるヒドロキシ化合物と式2で示されるポリエーテル化合物とアニオン界面活性剤とを含有するものである場合、これらを合計で70重量%以上、好ましくは80重量%以上含有し、且つ式1で示されるヒドロキシ化合物を45〜80重量%、式2で示されるポリエーテル化合物を15〜35重量%及びアニオン界面活性剤を1〜10重量%含有するものが好ましい。
【0033】
本発明の処理剤は、以上説明した式1で示されるヒドロキシ化合物と式2で示されるポリエーテル化合物とアニオン界面活性剤以外の成分として、合目的的に乳化剤、消泡剤、防腐剤、着色剤、粘度調整剤等を含有することができるが、かかる成分の含有割合は可及的に少量とする。
【0034】
本発明に係る抄紙の製造方法(以下、単に本発明の製造方法という)としては、湿式法により合成繊維束から抄紙を製造する方法において、1)本発明の処理剤を所定濃度の水性液となし、該水性液を抄紙工程に供する合成繊維束に本発明の処理剤として所定量付着させる方法(以下、単に本発明の製造方法Aという)、2)本発明の処理剤を抄紙工程の抄紙浴中に所定濃度となるよう含有させる方法(以下、単に本発明の製造方法Bという)が挙げられる。
【0035】
本発明の製造方法Aは、本発明の処理剤を0.1〜20重量%の水性液となし、該水性液を抄紙工程に供する合成繊維束に本発明の処理剤として0.03〜3重量%、好ましくは0.1〜2重量%となるよう付着させる方法である。付着工程としては紡糸・延伸工程後で抄紙工程前が好ましく、また付着方法としてはローラータッチ法、スプレー法、シャワー法、浸漬法等が挙げられる。
【0036】
本発明の製造方法Bは、本発明の処理剤を抄紙工程の抄紙浴中に0.0002〜0.1重量%、好ましくは0.001〜0.02重量%となるよう含有させる方法である。本発明の処理剤を含有させる抄紙浴としては、離解槽、混合槽、貯蔵槽等のワイヤーパート前の抄紙浴が挙げられるが、なかでも混合槽が好ましい。
【0037】
本発明の処理剤を適用する合成繊維束としては、ポリエステル系繊維束、ポリアミド系繊維束、ポリアクリロニトリル系繊維束、ポリオレフィン系繊維束、これらのポリマーの2種以上を用いた複合合成繊維束等が挙げられるが、なかでもポリオレフィン系繊維束に適用する場合に効果の発現が高く、単繊維の繊度が0.1デシテックス以下、より具体的には0.1〜0.05デシテックスのポリオレフィン系繊維束に適用する場合に特に効果の発現が高い。
【0038】
本発明に係る抄紙(以下、単に本発明の抄紙という)は、以上説明した本発明の製造方法によって得られる抄紙である。本発明の抄紙は、周知の様々な分野に利用される。特にワイパー、エアーフィルター、液体フィルター、電池セパレーター、人工皮革用基布として好適である。
【0039】
【発明の実施の形態】
本発明の処理剤の実施形態としては、次の1)〜24)が挙げられる。
1)下記のヒドロキシ化合物(A−1)を79重量%、下記のポリエーテル化合物(B−1)を19重量%、下記のアニオン界面活性剤(C−1)を1重量%、下記のその他の成分(D−1)を1重量%(合計100重量%)含有して成る処理剤。
ヒドロキシ化合物(A−1):式1中のRが2−ドデカノールから水酸基を除いた残基、Xがオキシエチレン単位の繰り返し数7のポリオキシエチレングリコールから全ての水酸基を除いた残基、Yがオキシプロピレン単位の繰り返し数5のポリオキシプロピレングリコールから全ての水酸基を除いた残基である場合の式1で示されるヒドロキシ化合物。
ポリエーテル化合物(B−1):式2中のAが水素原子、Bが15個のオキシエチレン単位及び10個のオキシプロピレン単位で構成されたポリオキシアルキレン基を有するポリオキシアルキレングリコールから全ての水酸基の水素原子を除いた残基、Tがn−オクチルアルコールの有する炭化水素基、mが1である場合の式2で示される数平均分子量1360のポリエーテル化合物。
アニオン界面活性剤(C−1):ドデシルスルホン酸ナトリウム。
その他の成分(D−1):ポリオキシエチレン(6モル)ヒマシ油。
【0040】
2)下記のヒドロキシ化合物(A−2)を73重量%、下記のポリエーテル化合物(B−2)を24重量%、下記のアニオン界面活性剤(C−2)を2重量%、前記のその他の成分(D−1)を1重量%(合計100重量%)含有して成る処理剤。
ヒドロキシ化合物(A−2):式1中のRが4−ドデカノールから水酸基を除いた残基、Xがオキシエチレン単位の繰り返し数9のポリオキシエチレングリコールから全ての水酸基を除いた残基、Yがオキシプロピレン単位の繰り返し数10のポリオキシプロピレングリコールから全ての水酸基を除いた残基である場合の式1で示されるヒドロキシ化合物。
ポリエーテル化合物(B−2):式2中のAが水素原子、Bが20個のオキシエチレン単位及び8個のオキシプロピレン単位で構成されたポリオキシアルキレン基を有するポリオキシアルキレングリコールから全ての水酸基の水素原子を除いた残基、Tがn−ラウリルアルコールの有する炭化水素基、mが1である場合の式2で示される数平均分子量1520のポリエーテル化合物。
アニオン界面活性剤(C−2):ジオクチルスルホコハク酸エステルナトリウム。
【0041】
3)下記のヒドロキシ化合物(A−3)を65重量%、下記のポリエーテル化合物(B−3)を28重量%、下記のアニオン界面活性剤(C−3)を5重量%、下記のその他の成分(D−2)を2重量%(合計100重量%)含有して成る処理剤。
ヒドロキシ化合物(A−3):式1中のRが5−トリドデカノールから水酸基を除いた残基、Xがオキシエチレン単位の繰り返し数10のポリオキシエチレングリコールから全ての水酸基を除いた残基、Yがオキシプロピレン単位の繰り返し数8のポリオキシプロピレングリコールから全ての水酸基を除いた残基である場合の式1で示されるヒドロキシ化合物。
ポリエーテル化合物(B−3):式2中のAが水素原子、Bが30個のオキシエチレン単位及び15個のオキシプロピレン単位で構成されたポリオキシアルキレン基を有するポリオキシアルキレングリコールから全ての水酸基の水素原子を除いた残基、Tがn−ステアリルアルコールの有する炭化水素基、mが1である場合の式2で示される数平均分子量2450のポリエーテル化合物。
アニオン界面活性剤(C−3):オレイン酸カリウム。
その他の成分(D−2):ポリオキシエチレン(2モル)オレイルエーテル(50重量部)とポリオキシエチレン(8モル)硬化ヒマシ油(50重量部)との混合物。
【0042】
4)前記のヒドロキシ化合物(A−1)を25重量%、前記のヒドロキシ化合物(A−2)を25重量%、前記のポリエーテル化合物(B−1)を30重量%、下記のアニオン界面活性剤(C−4)を9重量%、前記のその他の成分(D−1)を11重量%(合計100重量%)含有して成る処理剤。
アニオン界面活性剤(C−4):イソステアリン酸ナトリウム。
【0043】
5)前記のヒドロキシ化合物(A−1)を30重量%、前記のヒドロキシ化合物(A−3)を30重量%、前記のポリエーテル化合物(B−1)を15重量%、前記のポリエーテル化合物(B−3)を15重量%、前記のアニオン界面活性剤(C−1)を3重量%、前記のその他の成分(D−2)を7重量%(合計100重量%)含有して成る処理剤。
【0044】
6)前記のヒドロキシ化合物(A−2)を30重量%、前記のヒドロキシ化合物(A−3)を25重量%、前記のポリエーテル化合物(B−2)を20重量%、前記のポリエーテル化合物(B−3)を10重量%、前記のアニオン界面活性剤(C−3)を8重量%、前記のその他の成分(D−1)を7重量%(合計100重量%)含有して成る処理剤。
【0045】
7)下記のヒドロキシ化合物(A−4)を50重量%、下記のポリエーテル化合物(B−4)を30重量%、前記のアニオン界面活性剤(C−1)を2重量%、前記のその他の成分(D−2)を18重量%(合計100重量%)含有して成る処理剤。
ヒドロキシ化合物(A−4):式1中のRが7−トリドデカノールから水酸基を除いた残基、Xがオキシエチレン単位の繰り返し数12のポリオキシエチレングリコールから全ての水酸基を除いた残基、Yがオキシプロピレン単位の繰り返し数12のポリオキシプロピレングリコールから全ての水酸基を除いた残基である場合の式1で示されるヒドロキシ化合物。
ポリエーテル化合物(B−4):式2中の合計二つのAのうちで一つが水素原子、他の一つがメチル基、Bが40個のオキシエチレン単位及び20個のオキシプロピレン単位で構成されたポリオキシアルキレン基を有するポリオキシアルキレングリコールから全ての水酸基の水素原子を除いた残基、Tがヘキサンジオールの有する炭化水素基、mが2である場合の式2で示される数平均分子量3030のポリエーテル化合物。
【0046】
8)下記のヒドロキシ化合物(A−5)を60重量%、下記のポリエーテル化合物(B−5)を20重量%、前記のアニオン界面活性剤(C−2)を4重量%、前記のその他の成分(D−1)を16重量%(合計100重量%)含有して成る処理剤。
ヒドロキシ化合物(A−5):式1中のRが2−テトラデカノールから水酸基を除いた残基、Xがオキシエチレン単位の繰り返し数6のポリオキシエチレングリコールから全ての水酸基を除いた残基、Yがオキシプロピレン単位の繰り返し数3のポリオキシプロピレングリコールから全ての水酸基を除いた残基である場合の式1で示されるヒドロキシ化合物。
ポリエーテル化合物(B−5):式2中の合計三つのAの全てがメチル基、Bが30個のオキシエチレン単位及び18個のオキシプロピレン単位で構成されたポリオキシアルキレン基を有するポリオキシアルキレングリコールから全ての水酸基の水素原子を除いた残基、Tがグリセリンの有する炭化水素基、mが3である場合の式2で示される数平均分子量2510のポリエーテル化合物。
【0047】
9)下記のヒドロキシ化合物(A−6)を70重量%、下記のポリエーテル化合物(B−6)を20重量%、前記のアニオン界面活性剤(C−3)を2重量%、前記のその他の成分(D−2)を8重量%(合計100重量%)含有して成る処理剤。
ヒドロキシ化合物(A−6):式1中のRが3−テトラデカノールから水酸基を除いた残基、Xがオキシエチレン単位の繰り返し数8のポリオキシエチレングリコールから全ての水酸基を除いた残基、Yがオキシプロピレン単位の繰り返し数6のポリオキシプロピレングリコールから全ての水酸基を除いた残基である場合の式1で示されるヒドロキシ化合物。
ポリエーテル化合物(B−6):式2中の合計三つのAのうちで二つが水素原子、他の一つがアセチル基、Bが12個のオキシエチレン単位及び6個のオキシプロピレン単位で構成されたポリオキシアルキレン基を有するポリオキシアルキレングリコールから全ての水酸基の水素原子を除いた残基、Tがグリセリンの有する炭化水素基、mが3である場合の式2で示される数平均分子量970のポリエーテル化合物。
【0048】
10)下記のヒドロキシ化合物(A−7)を75重量%、下記のポリエーテル化合物(B−7)を20重量%、前記のアニオン界面活性剤(C−1)を4重量%、前記のその他の成分(D−1)を1重量%(合計100重量%)含有して成る処理剤。
ヒドロキシ化合物(A−7):式1中のRが3−ヘキサデカノールから水酸基を除いた残基、Xがオキシエチレン単位の繰り返し数11のポリオキシエチレングリコールから全ての水酸基を除いた残基、Yがオキシプロピレン単位の繰り返し数11のポリオキシプロピレングリコールから全ての水酸基を除いた残基である場合の式1で示されるヒドロキシ化合物。
ポリエーテル化合物(B−7):式2中の合計三つのAの全てがアセチル基、Bが36個のオキシエチレン単位及び6個のオキシプロピレン単位で構成されたポリオキシアルキレン基を有するポリオキシアルキレングリコールから全ての水酸基の水素原子を除いた残基、Tがトリメチロールプロパンの有する炭化水素基、mが3である場合の式2で示される数平均分子量2420のポリエーテル化合物。
【0049】
11)下記のヒドロキシ化合物(A−8)を42重量%、下記のポリエーテル化合物(B−8)を36重量%、前記のアニオン界面活性剤(C−2)を12重量%、前記のその他の成分(D−2)を10重量%(合計100重量%)含有して成る処理剤。
ヒドロキシ化合物(A−8):式1中のRが4−オクタノールから水酸基を除いた残基、Xがオキシエチレン単位の繰り返し数3のポリオキシエチレングリコールから全ての水酸基を除いた残基、Yがオキシプロピレン単位の繰り返し数1のポリオキシプロピレングリコールから全ての水酸基を除いた残基である場合の式1で示されるヒドロキシ化合物。
ポリエーテル化合物(B−8):式2中の合計四つのAのうちで二つが水素原子、他の一つがメチル基、更に他の一つがプロパノイル基、Bが45個のオキシエチレン単位及び25個のオキシプロピレン単位で構成されたポリオキシアルキレン基を有するポリオキシアルキレングリコールから全ての水酸基の水素原子を除いた残基、Tがペンタエリトリットの有する炭化水素基、mが4である場合の式2で示される数平均分子量3580のポリエーテル化合物。
【0050】
12)下記のヒドロキシ化合物(A−9)を85重量%、下記のポリエーテル化合物(B−9)を12重量%、前記のアニオン界面活性剤(C−3)を0.8重量%、前記のその他の成分(D−1)を2.2重量%(合計100重量%)含有して成る処理剤。
ヒドロキシ化合物(A−9):式1中のRが9−オクタデカノールから水酸基を除いた残基、Xがオキシエチレン単位の繰り返し数15のポリオキシエチレングリコールから全ての水酸基を除いた残基、Yがオキシプロピレン単位の繰り返し数13のポリオキシプロピレングリコールから全ての水酸基を除いた残基である場合の式1で示されるヒドロキシ化合物。
ポリエーテル化合物(B−9):式2中の合計四つのAのうちで二つが水素原子、他の一つがメチル基、更に他の一つがプロパノイル基、Bが5個のオキシエチレン単位及び5個のオキシプロピレン単位で構成されたポリオキシアルキレン基を有するポリオキシアルキレングリコールから全ての水酸基の水素原子を除いた残基、Tがペンタエリトリットの有する炭化水素基、mが4である場合の式2で示される数平均分子量660のポリエーテル化合物。
【0051】
13)前記のヒドロキシ化合物(A−1)を65重量%、前記のポリエーテル化合物(B−1)を33重量%、前記のその他の成分(D−1)を2重量%(合計100重量%)含有して成る処理剤。
【0052】
14)前記のヒドロキシ化合物(A−2)を70重量%、前記のポリエーテル化合物(B−2)を28重量%、前記のその他の成分(D−1)を2重量%(合計100重量%)含有して成る処理剤。
【0053】
15)前記のヒドロキシ化合物(A−3)を75重量%、前記のポリエーテル化合物(B−3)を21重量%、前記のその他の成分(D−2)を4重量%(合計100重量%)含有して成る処理剤。
【0054】
16)前記のヒドロキシ化合物(A−1)を75重量%、前記のその他の成分(D−1)を25重量%(合計100重量%)含有して成る処理剤。
【0055】
17)前記のヒドロキシ化合物(A−2)を70重量%、前記のその他の成分(D−2)を30重量%(合計100重量%)含有して成る処理剤。
【0056】
18)前記のヒドロキシ化合物(A−3)を60重量%、前記のその他の成分(D−1)を40重量%(合計100重量%)含有して成る処理剤。
【0057】
19)前記のヒドロキシ化合物(A−4)を75重量%、前記のその他の成分(D−2)を25重量%(合計100重量%)含有して成る処理剤。
【0058】
20)前記のヒドロキシ化合物(A−5)を70重量%、前記のその他の成分(D−1)を30重量%(合計100重量%)含有して成る処理剤。
【0059】
21)前記のヒドロキシ化合物(A−6)を65重量%、前記のその他の成分(D−2)を35重量%(合計100重量%)含有して成る処理剤。
【0060】
22)前記のヒドロキシ化合物(A−7)を60重量%、前記のその他の成分(D−1)を40重量%(合計100重量%)含有して成る処理剤。
【0061】
23)前記のヒドロキシ化合物(A−8)を85重量%、前記のその他の成分(D−2)を15重量%(合計100重量%)含有して成る処理剤。
【0062】
24)前記のヒドロキシ化合物(A−9)を43重量%、前記のその他の成分(D−1)を57重量%(合計100重量%)含有して成る処理剤。
【0063】
また本発明の製造方法の実施形態としては、次の25)〜28)が挙げられる。
25)湿式法によりポリプロピレン系繊維束から抄紙を製造する方法において、前記1)〜24)のいずれか一つの処理剤を0.1〜20重量%の水性液となし、該水性液を抄紙工程に供するポリプロピレン系繊維束に該処理剤として0.1〜2重量%となるように付着させる方法。
【0064】
26)湿式法によりポリエステル系繊維束から抄紙を製造する方法において、前記1)〜24)のいずれか一つの処理剤を0.1〜20重量%の水性液となし、該水性液を抄紙工程に供するポリエステル系繊維束に該処理剤として0.1〜2重量%となるように付着させる方法。
【0065】
27)湿式法によりポリプロピレン系繊維束から抄紙を製造する方法において、前記1)〜24)のいずれか一つの処理剤を抄紙工程の抄紙浴中に0.001〜0.02重量%となるよう含有させる方法。
【0066】
28)湿式法によりポリエステル系繊維束から抄紙を製造する方法において、前記1)〜24)のいずれか一つの処理剤を抄紙工程の抄紙浴中に0.001〜0.02重量%となるよう含有させる方法。
【0067】
更に本発明の抄紙の実施形態としては、次の29)が挙げられる。
29)前記25)〜28)のいずれか一つの方法により得られる抄紙。
【0068】
以下、本発明の構成及び効果をより具体的にするため、実施例等を挙げるが、本発明が該実施例に限定されるというものではない。尚、以下の実施例及び比較例において、部は重量部を、また%は重量%を意味する。
【0069】
【実施例】
試験区分1(本発明の処理剤の水性液の調製)
・本発明の処理剤(実施例1)の水性液(P−1)の調製
下記のヒドロキシ化合物(A−1)39.5部、ポリエーテル化合物(B−1)9.5部、アニオン界面活性剤(C−1)0.5部及びその他の成分(D−1)0.5部に、水450部を加え、30℃に加温して激しく撹拌した後、ホモミキサーに供して、本発明の処理剤(実施例1)を10%含有する水性液(P−1)を調製した。
ヒドロキシ化合物(A−1):式1中のRが2−ドデカノールから水酸基を除いた残基、Xがオキシエチレン単位の繰り返し数7のポリオキシエチレングリコールから全ての水酸基を除いた残基、Yがオキシプロピレン単位の繰り返し数5のポリオキシプロピレングリコールから全ての水酸基を除いた残基である場合の式1で示されるヒドロキシ化合物。
ポリエーテル化合物(B−1):式2中のAが水素原子、Bが15個のオキシエチレン単位及び10個のオキシプロピレン単位で構成されたポリオキシアルキレン基を有するポリオキシアルキレングリコールから全ての水酸基の水素原子を除いた残基、Tがn−オクチルアルコールの有する炭化水素基、mが1である場合の式2で示されるポリエーテル化合物。
アニオン界面活性剤(C−1):ドデシルスルホン酸ナトリウム。
その他の成分(D−1):ポリオキシエチレン(6モル)ヒマシ油。
【0070】
・本発明の処理剤等(実施例2〜24及び比較例1〜3)の水性液(P−2〜P−24及びR−1〜R−3)の調製
本発明の処理剤(実施例1)の水性液(P−1)と同様にして、本発明の処理剤等(実施例2〜24及び比較例1〜3)の水性液(P−2〜P−24及びR−1〜R−3)を調製した。以上で調製した各水性液中における各処理剤の内容を表1にまとめて示した。
【0071】
【表1】
Figure 0003897345
【0072】
表1において、
割合:部
A−1:式1中のRが2−ドデカノールから水酸基を除いた残基、Xがオキシエチレン単位の繰り返し数7のポリオキシエチレングリコールから全ての水酸基を除いた残基、Yがオキシプロピレン単位の繰り返し数5のポリオキシプロピレングリコールから全ての水酸基を除いた残基である場合の式1で示されるヒドロキシ化合物。
A−2:式1中のRが4−ドデカノールから水酸基を除いた残基、Xがオキシエチレン単位の繰り返し数9のポリオキシエチレングリコールから全ての水酸基を除いた残基、Yがオキシプロピレン単位の繰り返し数10のポリオキシプロピレングリコールから全ての水酸基を除いた残基である場合の式1で示されるヒドロキシ化合物。
A−3:式1中のRが5−トリドデカノールから水酸基を除いた残基、Xがオキシエチレン単位の繰り返し数10のポリオキシエチレングリコールから全ての水酸基を除いた残基、Yがオキシプロピレン単位の繰り返し数8のポリオキシプロピレングリコールから全ての水酸基を除いた残基である場合の式1で示されるヒドロキシ化合物。
A−4:式1中のRが7−トリドデカノールから水酸基を除いた残基、Xがオキシエチレン単位の繰り返し数12のポリオキシエチレングリコールから全ての水酸基を除いた残基、Yがオキシプロピレン単位の繰り返し数12のポリオキシプロピレングリコールから全ての水酸基を除いた残基である場合の式1で示されるヒドロキシ化合物。
A−5:式1中のRが2−テトラデカノールから水酸基を除いた残基、Xがオキシエチレン単位の繰り返し数6のポリオキシエチレングリコールから全ての水酸基を除いた残基、Yがオキシプロピレン単位の繰り返し数3のポリオキシプロピレングリコールから全ての水酸基を除いた残基である場合の式1で示されるヒドロキシ化合物。
A−6:式1中のRが3−テトラデカノールから水酸基を除いた残基、Xがオキシエチレン単位の繰り返し数8のポリオキシエチレングリコールから全ての水酸基を除いた残基、Yがオキシプロピレン単位の繰り返し数6のポリオキシプロピレングリコールから全ての水酸基を除いた残基である場合の式1で示されるヒドロキシ化合物。
A−7:式1中のRが3−ヘキサデカノールから水酸基を除いた残基、Xがオキシエチレン単位の繰り返し数11のポリオキシエチレングリコールから全ての水酸基を除いた残基、Yがオキシプロピレン単位の繰り返し数11のポリオキシプロピレングリコールから全ての水酸基を除いた残基である場合の式1で示されるヒドロキシ化合物。
A−8:式1中のRが4−オクタノールから水酸基を除いた残基、Xがオキシエチレン単位の繰り返し数3のポリオキシエチレングリコールから全ての水酸基を除いた残基、Yがオキシプロピレン単位の繰り返し数1のポリオキシプロピレングリコールから全ての水酸基を除いた残基である場合の式1で示されるヒドロキシ化合物。
A−9:式1中のRが9−オクタデカノールから水酸基を除いた残基、Xがオキシエチレン単位の繰り返し数15のポリオキシエチレングリコールから全ての水酸基を除いた残基、Yがオキシプロピレン単位の繰り返し数13のポリオキシプロピレングリコールから全ての水酸基を除いた残基である場合の式1で示されるヒドロキシ化合物。
a−1:式1中のRがn−オクタノールから水酸基を除いた残基、Xがオキシエチレン単位の繰り返し数4のポリオキシエチレングリコールから全ての水酸基を除いた残基、Yがオキシプロピレン単位の繰り返し数2のポリオキシプロピレングリコールから全ての水酸基を除いた残基である場合の式1で示されるヒドロキシ化合物。
【0073】
B−1:式2中のAが水素原子、Bが15個のオキシエチレン単位及び10個のオキシプロピレン単位で構成されたポリオキシアルキレン基を有するポリオキシアルキレングリコールから全ての水酸基の水素原子を除いた残基、Tがn−オクチルアルコールの有する炭化水素基、mが1である場合の式2で示される数平均分子量1360のポリエーテル化合物。
B−2:式2中のAが水素原子、Bが20個のオキシエチレン単位及び8個のオキシプロピレン単位で構成されたポリオキシアルキレン基を有するポリオキシアルキレングリコールから全ての水酸基の水素原子を除いた残基、Tがラウリルアルコールの有する炭化水素基、mが1である場合の式2で示される数平均分子量1520のポリエーテル化合物。
B−3:式2中のAが水素原子、Bが30個のオキシエチレン単位及び15個のオキシプロピレン単位で構成されたポリオキシアルキレン基を有するポリオキシアルキレングリコールから全ての水酸基の水素原子を除いた残基、Tがイソステアリルアルコールの有する炭化水素基、mが1である場合の式2で示される数平均分子量2450のポリエーテル化合物。
B−4:式2中の合計二つのAのうちで一つが水素原子、他の一つがメチル基、Bが40個のオキシエチレン単位及び20個のオキシプロピレン単位で構成されたポリオキシアルキレン基を有するポリオキシアルキレングリコールから全ての水酸基の水素原子を除いた残基、Tがヘキサンジオールの有する炭化水素基、mが2である場合の式2で示される数平均分子量3030のポリエーテル化合物。
B−5:式2中の合計三つのAの全てがメチル基、Bが30個のオキシエチレン単位及び18個のオキシプロピレン単位で構成されたポリオキシアルキレン基を有するポリオキシアルキレングリコールから全ての水酸基の水素原子を除いた残基、Tがグリセリンの有する炭化水素基、mが3である場合の式2で示される数平均分子量2510のポリエーテル化合物。
B−6:式2中の合計三つのAのうちで二つが水素原子、他の一つがアセチル基、Bが12個のオキシエチレン単位及び6個のオキシプロピレン単位で構成されたポリオキシアルキレン基を有するポリオキシアルキレングリコールから全ての水酸基の水素原子を除いた残基、Tがグリセリンの有する炭化水素基、mが3である場合の式2で示される数平均分子量970のポリエーテル化合物。
B−7:式2中の合計三つのAの全てがアセチル基、Bが36個のオキシエチレン単位及び6個のオキシプロピレン単位で構成されたポリオキシアルキレン基を有するポリオキシアルキレングリコールから全ての水酸基の水素原子を除いた残基、Tがトリメチロールプロパンの有する炭化水素基、mが3である場合の式2で示される数平均分子量2420のポリエーテル化合物。
B−8:式2中の合計四つのAのうちで二つが水素原子、他の一つがメチル基、更に他の一つがプロパノイル基で、Bが45個のオキシエチレン単位及び25個のオキシプロピレン単位で構成されたポリオキシアルキレン基を有するポリオキシアルキレングリコールから全ての水酸基の水素原子を除いた残基、Tがペンタエリトリットの有する炭化水素基、mが4である場合の式2で示される数平均分子量3580のポリエーテル化合物。
B−9:式2中の合計四つのAのうちで二つが水素原子、他の一つがメチル基であり、更に他の一つがプロパノイル基、Bが5個のオキシエチレン単位及び5個のオキシプロピレン単位で構成されたポリオキシアルキレン基を有するポリオキシアルキレングリコールから全ての水酸基の水素原子を除いた残基、Tがペンタエリトリットの有する炭化水素基、mが4である場合の式2で示される数平均分子量660のポリエーテル化合物。
【0074】
C−1:ドデシルスルホン酸ナトリウム。
C−2:ジオクチルスルホコハク酸エステルナトリウム。
C−3:オレイン酸カリウム。
C−4:イソステアリン酸ナトリウム。
【0075】
D−1:ポリオキシエチレン(6モル)ヒマシ油。
D−2:ポリオキシエチレン(2モル)オレイルエーテル(50重量部)とポリオキシエチレン(8モル)硬化ヒマシ油(50重量部)との混合物。
【0076】
試験区分2(ポリプロピレン繊維束への処理剤の付着とその評価)
・ポリプロプロピレン繊維束への処理剤の付着
MFRが16.0g/10分のポリプロピレン樹脂チップを紡糸速度500m/分の条件で溶融紡糸し、単糸繊度が1.4デシテックス、100フィラメントの未延伸ポリプロピレン繊維束とした。これを更に延伸倍率15倍の条件で延伸し、単糸繊度0.09デシテックス、100フィラメントの延伸ポリプロピレン繊維束とした。これに試験区分1等で調製した処理剤の水性液を更に水希釈して5%水性液としたものをローラータッチ法で目標付着量となるよう付着させ、次いで5mmの長さに切断して、処理済み延伸ポリプロピレン繊維束とした。実際の処理剤の付着量は、処理済み延伸ポリプロピレン繊維束をソックスレー抽出器を用いてメタノール/キシレン(50/50容量比)の混合溶剤で抽出する方法により測定した。処理済み延伸ポリプロピレン繊維束への処理剤の付着量を表2にまとめて示した。
【0077】
・抄紙特性の評価
水2000mlと前記で得た処理済み延伸ポリプロピレン繊維束2.0gとを3000mlのビーカー(直径15mm×高さ22cm)に入れ、直径5cmの4枚羽根のプロペラにより100rpmの速度で30秒間撹拌した後、縦275mm×横209mm×高さ60mmのバットに移しかえ、処理済み延伸ポリプロピレン繊維束への気泡の付着状態を目視し、以下の基準で評価した。更に、かくして気泡の付着状態を評価したものをNo.5Aの濾紙を用いてヌッチェ(直径15.5cm)で濾過し、脱水後に風乾して得た抄紙の地合を目視し、以下の基準で評価した。これらの評価は、湿式法により合成繊維束から抄紙を製造する際に、その抄紙工程において、該合成繊維束の抄紙浴中における均一分散の程度及び均一分散状態の安定維持の程度を知る指標となる。以上の評価を各々10回づつ行ない、その結果を表2にまとめて示した。
【0078】
・・気泡の付着状態の評価基準
◎:気泡の付着が全く認められない。
○:一部に気泡の付着が僅に認められる。
△:一部に気泡の付着が明らかに認められる。
×:繊維全体に気泡の付着が明らかに認められる。
【0079】
・・抄紙の地合の評価基準
◎:地合が良好で、貝柱状物等の繊維束が全く認められない。
○:地合は良好であるが、貝柱状物等の繊維束が一部に認められる。
△:地合が不良で、貝柱状物等の繊維束が多く認められる。
×:地合が不良で、貝柱状物等の繊維束が多く、ヌッチェから剥すこと自体が難しい。
【0080】
【表2】
Figure 0003897345
【0081】
表2において、
処理剤の付着量:処理剤を付着させる前の延伸ポリプロピレン繊維束に対する処理剤の付着量(%)
R−4:ノニルフェノールにエチレンオキサイド/プロピレンオキサイドを80/20(重量比)の割合で付加し、末端をメチル基で封鎖した分子量4000のポリエーテルの15%水性液(特許文献1に記載の化合物の水性液)。
R−5:テレフタル酸から形成された構成単位/イソフタル酸から形成された構成単位/平均分子量1000ポリエチレングリコールから形成された構成単位/エチレングリコールから形成された構成単位=2/2/1/3(モル比)の割合で有する平均分子量6000のポリエーテルエステルの15%水性液(特許文献2に記載の化合物の水性液)。
R−6:テルフタル酸から形成された構成単位/イソフタル酸から形成された構成単位/5−ナトリウムスルホイソフタル酸から形成された構成単位/平均分子量1500のポリエチレングリコールから形成された構成単位/エチレングリコールから形成された構成単位=6/3/1/6/4(モル比)の割合で有する平均分子量10000のポリエーテルポリエステル50重量%と、ラウリルアルコール1モルにエチレンオキサイド12モルを付加したエチレンオキサイド付加物50重量%との混合物の15%水性液(特許文献3に記載の化合物の水性液)。
R−7:ポリオキシエチレン(25モル)付加ひまし油エーテル90重量部と、ポリオキシプロピレン(5モル)付加セチルエーテル10重量部との混合物の15%水性液(特許文献4に記載の化合物の水性液)。
R−8:テレフタル酸ジメチル/イソフタル酸ジメチル/平均分子量3100のポリエチレングリコール/エチレングリコールから合成された平均分子量9500のポリエーテルエステル75重量部と、トリエチレンテトラミンジステアリルアミド酢酸塩25重量部との混合物の15%水性液(特許文献5に記載の混合物の水性液)。
R−9:テレフタル酸ジメチル/イソフタル酸ジメチル/平均分子量3100のポリエチレングリコール/エチレングリコールから合成された平均分子量9500のポリエーテルエステルをメチルメタクリレート及びメタクリル酸でグラフト化したグラフト化ポリエーテルエステル70重量部と、ジエチレントリアミンジステアリルアミドのエチレンオキサイド(5モル)付加物の酢酸塩30重量部との混合物の15%水性液(特許文献6に記載の混合物の水性液)。
R−10:ドデカン酸/ジエチレントリアミン=2/1(モル比)のものから得られるアミド化合物1モルにエチレンオキサイド35モルを付加した脂肪酸アミド基含有ポリエーテル化合物の15%水性液(特許文献7に記載の化合物の水性液)。
R−11:2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチルから形成された構成単位/アジピン酸ジメチルから形成された構成単位/N−ポリオキシエチレン(n=80)−N,N−ジメチルアミンから形成された構成単位/エチレングリコールから形成された構成単位を有し、且つ2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチルから形成された構成単位/アジピン酸ジメチルから形成された構成単位=60/40(モル比)の割合で有する平均分子量6000のポリエーテルポリエステルの15%水性液(特許文献8に記載の化合物の水性液)。
R−12:テレフタル酸ジメチルから形成された構成単位/ε−カプロラクタムから形成された構成単位/N−ポリオキシエチレン(n=70)−N,N−ジメチルアミンから形成された構成単位/エチレングリコールから形成された構成単位=6/4/1/19(モル比)の割合で有する平均分子量8000のポリエーテルエステルアミドの15%水性液(特許文献9に記載の化合物の水性液)。R−13:ポリオキシエチレン(6モル)ノニルフェニルエーテル70重量%と、パルミチン酸ナトリウム30重量%との混合物の25%水性液(特許文献10に記載の混合物の水性液)。
R−14:テレフタル酸1モルと平均分子量2000のポリエチレングリコール2モルをエステル化反応させた後、トリレンジイソシアネート0.9モルを加えて反応させたポリウレタン系化合物の25%水溶液(特許文献11に記載の化合物の水性液)。
これらは以下同じ。
【0082】
試験区分3(ポリエステル繊維束への処理剤の付着とその評価)
・ポリエステル繊維束への処理剤の付着
極限粘度が0.60のポリエステル繊維を1300m/分の引取速度で引取り、更に延伸して単糸繊度0.1デシテックス、100フィラメントの延伸ポリエステル繊維束とした。これに試験区分1等で調製した処理剤の水性液を更に水希釈して5%水性液としたものをローラータッチ法で目標付着量となるよう付着させ、次いで5mmの長さに切断して、処理済み延伸ポリエステル繊維束とした。実際の処理剤の付着量は、処理済み延伸ポリエステル繊維束をソックスレー抽出器を用いてメタノール/キシレン(50/50容量比)の混合溶剤で抽出する方法により測定した。処理済み延伸ポリエステル繊維束への処理剤の付着量を表3にまとめて示した。
【0083】
・抄紙特性の評価
水2000mlと前記で得た処理済み延伸ポリエステル繊維束2.0gとを3000mlのビーカー(直径15mm×高さ22cm)に入れ、直径5cmの4枚羽根のプロペラにより100rpmの速度で30秒間撹拌した後、縦275mm×横209mm×高さ60mmのバットに移しかえ、処理済み延伸ポリエステル繊維束への気泡の付着状態を目視し、以下の基準で評価した。更に、かくして気泡の付着状態を評価したものをNo.5Aの濾紙を用いてヌッチェ(直径15.5cm)で濾過し、脱水後に風乾して得た抄紙の地合を目視し、試験区分2と同様の基準で評価した。これらの評価は、湿式法により合成繊維束から抄紙を製造する際に、その抄紙工程において、該合成繊維束の抄紙浴中における均一分散の程度及び均一分散状態の安定維持の程度を知る指標となる。以上の評価を各々10回づつ行ない、その結果を表3にまとめて示した。
【0084】
【表3】
Figure 0003897345
【0085】
表3において、
処理剤の付着量:処理剤を付着させる前の延伸ポリエステル繊維束に対する処理剤の付着量(%)
【0086】
試験区分4(ポリプロピレン繊維束の抄紙浴への処理剤の含有と評価)
・ポリプロピレン繊維束の抄紙浴への処理剤の含有と評価
MFRが16.0g/10分のポリプロピレン樹脂チップを紡糸速度500m/分の条件で溶融紡糸し、単糸繊度が1.4デシテックス、100フィラメントの未延伸ポリプロピレン繊維束とした。これを更に延伸倍率15倍の条件で延伸し、単糸繊度0.09デシテックス、100フィラメントの延伸ポリプロピレン繊維束とした。これを5mmの長さに切断した延伸ポリプロピレン繊維束2.0gと水2000mlとを3000mlのビーカー(直径15cm×高さ22cm)に入れ、これに試験区分1等で調製した処理剤の水性液を目標含有率となるよう含有させて抄紙液を調製した。これを直径5cmの4枚羽根のプロペラにより100rpmの速度で30秒間撹拌した後、縦275mm×横209mm×高さ60mmのバットに移しかえ、延伸ポリプロピレン繊維束への気泡の付着状態を目視し、試験区分2と同様の基準で評価した。更に、かくして気泡の付着状態を評価したものをNo.5Aの濾紙を用いてヌッチェ(直径15.5cm)で濾過し、脱水後に風乾して得た抄紙の地合を目視し、試験区分2と同様の基準で評価した。これらの評価は、湿式法により合成繊維束から抄紙を製造する際に、その抄紙工程において、該合成繊維束の抄紙浴中における均一分散の程度及び均一分散状態の安定維持の程度を知る指標となる。以上の評価を各々10回づつ行ない、その結果を表4にまとめて示した。
【0087】
【表4】
Figure 0003897345
【0088】
表4において、
処理剤の含有率:抄紙浴中における処理剤の含有率(%)。
以下同じ。
【0089】
試験区分5(ポリエステル繊維束の抄紙浴への処理剤の含有と評価)
・ポリエステル繊維束の抄紙浴への処理剤の含有と評価
極限粘度が0.60のポリエステル繊維を1300m/分の引取速度で引取り、更に延伸して単糸繊度0.1デシテックス、100フィラメントの延伸ポリエステル繊維束とした。これを5mmの長さに切断した延伸ポリエステル繊維束2.0gと水2000mlとを3000mlのビーカー(直径15cm×高さ22cm)に入れ、これに試験区分1等で調製した処理剤の水性液を目標含有率となるよう含有させて抄紙液を調製した。これを直径5cmの4枚羽根のプロペラにより100rpmの速度で30秒間撹拌した後、縦275mm×横209mm×高さ60mmのバットに移しかえ、延伸ポリエステル繊維束への気泡の付着状態を目視し、試験区分2と同様の基準で評価した。更に、かくして気泡の付着状態を評価したものをNo.5Aの濾紙を用いてヌッチェ(直径15.5cm)で濾過し、脱水後に風乾して得た抄紙の地合を目視し、試験区分2と同様の基準で評価した。これらの評価は、湿式法により合成繊維束から抄紙を製造する際に、その抄紙工程において、該合成繊維束の抄紙浴中における均一分散の程度及び均一分散状態の安定維持の程度を知る指標となる。以上の評価を各々10回づつ行ない、その結果を表5にまとめて示した。
【0090】
【表5】
Figure 0003897345
【0091】
【発明の効果】
既に明らかなように、以上説明した本発明には、湿式法により合成繊維束から抄紙を製造する際に、該合成繊維束が繊度0.1デシテックス以下の極細の単繊維から成るものであっても、その抄紙工程において、該合成繊維束の抄紙浴中における均一分散及び均一分散状態の安定維持が充分に行なわれ、高品質の抄紙を製造できるという効果がある。

Claims (12)

  1. 下記の式1で示されるヒドロキシ化合物を40〜90重量%含有して成ることを特徴とする抄紙用合成繊維処理剤。
    【式1】
    R−O−X−O−Y−OH
    (式1において、
    R:炭素数8〜22の1価の2級アルコールから水酸基を除いた残基
    X:オキシエチレン単位の繰り返し数3〜15のポリオキシエチレングリコールから全ての水酸基を除いた残基
    Y:オキシプロピレン単位の繰り返し数1〜15の(ポリ)オキシプロピレングリコールから全ての水酸基を除いた残基)
  2. 更に下記の式2で示される数平均分子量700〜6000のポリエーテル化合物を10〜40重量%含有する請求項1記載の抄紙用合成繊維処理剤。
    【式2】
    (A−B)
    (式2において、
    A:炭素数1〜20の1価の炭化水素基、炭素数1〜22のアシル基又は水素原子
    B:3〜50個のオキシエチレン単位及び3〜35個のオキシプロピレン単位で構成されたポリオキシアルキレン基を有するポリオキシアルキレングリコールから全ての水酸基の水素原子を除いた残基
    T:炭素数1〜22の1〜4価の炭化水素基、炭素数2〜22のアシル基又は水素原子
    m:Tが炭素数1〜22の1〜4価の炭化水素基である場合は1〜4の整数、Tが炭素数2〜22のアシル基又は水素原子である場合は1)
  3. 更にアニオン界面活性剤を0.5〜15重量%含有する請求項2記載の抄紙用合成繊維処理剤。
  4. 式1で示されるヒドロキシ化合物、式2で示されるポリエーテル化合物及びアニオン界面活性剤を合計で70重量%以上含有し、且つ式1で示されるヒドロキシ化合物を45〜80重量%、式2で示されるポリエーテル化合物を15〜35重量%及びアニオン界面活性剤を1〜10重量%含有する請求項3記載の抄紙用合成繊維処理剤。
  5. 式1で示されるヒドロキシ化合物が、式1中のRが炭素数10〜16の1価の2級アルコールから水酸基を除いた残基、Xがオキシエチレン単位の繰り返し数5〜12のポリオキシエチレングリコールから全ての水酸基を除いた残基、Yがオキシプロピレン単位の繰り返し数3〜12のポリオキシプロピレングリコールから全ての水酸基を除いた残基である場合のものである請求項1〜4のいずれか一つの項記載の抄紙用合成繊維処理剤。
  6. 式2で示されるポリエーテル化合物が、式2中のAが水素原子、Bが10〜40個のオキシエチレン単位及び5〜20個のオキシプロピレン単位で構成されたポリオキシアルキレン基を有するポリオキシアルキレングリコールから全ての水酸基の水素原子を除いた残基、Tが炭素数8〜22の1価の炭化水素基、mが1である場合の数平均分子量800〜5000のものである請求項2〜5のいずれか一つの項記載の抄紙用合成繊維処理剤。
  7. アニオン界面活性剤が炭素数8〜22の有機スルホン酸のアルカリ金属塩及び炭素数8〜22の脂肪酸のアルカリ金属塩から選ばれる一つ又は二つ以上である請求項3〜6のいずれか一つの項記載の抄紙用合成繊維処理剤。
  8. 湿式法により合成繊維束から抄紙を製造する方法において、請求項1〜7のいずれか一つの項記載の抄紙用合成繊維処理剤を0.1〜20重量%の水性液となし、該水性液を抄紙工程に供する合成繊維束に対し該抄紙用合成繊維処理剤として0.03〜3重量%となるよう付着させることを特徴とする抄紙の製造方法。
  9. 湿式法により合成繊維束から抄紙を製造する方法において、請求項1〜7のいずれか一つの項記載の抄紙用合成繊維処理剤を抄紙工程の抄紙浴中に0.0002〜0.1重量%となるよう含有させることを特徴とする抄紙の製造方法。
  10. 合成繊維束を構成する単繊維が繊度0.1〜0.05デシテックスのものである請求項8又は9記載の抄紙の製造方法。
  11. 合成繊維束がポリオレフィン系繊維束である請求項8〜10のいずれか一つの項記載の抄紙の製造方法。
  12. 請求項8〜11のいずれか一つの項記載の抄紙の製造方法によって得られる抄紙。
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