JP3894378B2 - 細径樹脂被覆管の被覆構造の成形方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は一般に自動車或いは各種の機械、装置等に給油、給気の供給路として配設される管径20m/m以下の比較的細径からなる樹脂被覆管の被覆構造の成形方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の端末構造およびその成形方法としては、金属細径管の外周面に外部からの衝撃に対する破損防止と腐食防止とに関連して、銅鍍金或いは/及び亜鉛鍍金膜を施した該膜上に、ポリプロピレン樹脂、塩化ビニール樹脂、ナイロン或いは弗素樹脂等による比較的厚肉状の樹脂チューブをその全長に亘って被着し、しかる後に加温処理して熱収縮せしめた厚肉被覆層のままの状態をもって形成するか、或いは被覆層を熱可塑性樹脂による押出し成形によりその全長に亘って薄肉となして成形するかしていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記被覆層は熱収縮性チューブを使用して形成するか、或いは熱可塑性樹脂を押出し成形して形成していた。
しかしながら熱収縮性チューブは、ダブルフレアーなどの端末加工を施した管材の端末附近や、インシュレータ取付部やクランプ取付部などには一般的に設けられていなかったため飛石などの衝撃に弱く耐食性に関して一層の改善が求められていた。
また、熱可塑性樹脂による被覆では端末部や、クランプやインシュレータ取付部は切削バイトなどを使用してその被覆層を剥離する必要があるため、剥離切削時に鍍金膜に傷を付け易くまた、一旦傷が付くとまた耐食性が劣化する問題があった。
【0004】
本発明は従来技術の有する前記問題に鑑みてなされたものであって、特に管材の樹脂層の被覆された端末附近及び/又は中間部を成形チヤックにより挾圧保持した状態をもって、該チヤックもしくは管材の樹脂層のもつガラス転移温度以上で溶融温度以下に加熱せしめ、該チャックの挾圧保持部での予め施した厚肉状の被覆層の一部を溶出、除去して層膜0.1m/m乃至0.2m/mの薄膜となすことにより、管材全体での破損防止および腐食防止を損うことのない細径樹脂被覆管の被覆構造の成形方法を提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の第1の実施態様は、予め外周面に施した鍍金膜上に樹脂層を被覆してなる管材を、該管材側の樹脂層のもつガラス転移温度以上で溶融温度以下に加熱した後、該管材の端末附近或いは中間部のうち少なくとも一方を、割り型からなる一対の成形チヤックに挾圧保持せしめると共に、該チヤックに隣接位置して樹脂層の外径と略同一径を有する別体の押さえチヤックの溝部に保持せしめて、前記チャックの挾圧保持部での樹脂層の一部を溶出、除去して層厚0.1m/m乃至0.2m/mの薄膜となし、固化せしめてなる細径樹脂被覆管の被覆構造の成形方法を要旨とするものである。
【0006】
また本発明の第2の実施態様は、予め外周面に施した鍍金膜上に樹脂層を被覆してなる管材の端末附近或いは中間部のうち少なくとも一方を、割り型からなり前記管材側の樹脂層のもつガラス転移温度以上で溶融温度以下に加熱せしめた一対の成形チヤックに挾圧保持せしめると共に、該チヤックに隣接位置して樹脂層の外径と略同一径を有する別体の押さえチヤックの溝部に保持せしめて、前記チャックの挾圧保持部での樹脂層の一部を溶出、除去して層厚0.1m/m乃至0.2m/mの薄膜となし、固化せしめてなることを特徴とする細径樹脂被覆管の被覆構造の成形方法を要旨とするものである。
【0007】
また本発明の第3の実施態様は、予め外周面に施した鍍金膜上に樹脂層を被覆してなる管材の端末附近或いは中間部のうち少なくとも一方を、割り型からなる一対の成形チヤックに挾圧保持せしめると共に、該チヤックに隣接位置して樹脂層の外径と略同一径を有する別体の押さえチヤックの溝部に保持せしめ、次いで前記成形チヤックを管材側の樹脂層のもつガラス転移温度以上で溶融温度以下に加熱せしめることにより、前記チャックの挾圧保持部での樹脂層の一部を溶出、除去して層厚0.1m/m乃至0.2m/mの薄膜となし、固化せしめてなることを特徴とする細径樹脂被覆管の被覆構造の成形方法を要旨とするものである。
【0008】
さらに本発明の第4の実施態様は、上記溝部の端部にテーパー面または弯曲面を有するチャックを使用することを特徴とする上記記載の細径樹脂被覆管の被覆構造の成形方法を要旨とするものである。
【0009】
以上のように構成されているため、本発明では前記加熱により端末附近及び/又は中間部での樹脂層の一部を溶出、除去せしめて薄膜となすことにより、簡易な溶出、除去処理とによって管材全体での耐食性の向上と破損防止と、および飛石に伴う腐食防止等を損うことなく、細径樹脂被覆管の被覆構造を得ることができることとなる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明すれば、図1は本発明の細径樹脂被覆管の被覆構造の一部切欠きによる断面図、図2はその成形方法に関連して細径樹脂被覆管の端末附近における成形チヤックと押さえチヤックとのセット状態での断面図、図3は図2A−A線の断面図、図4は図2B−B線の断面図、図5は細径樹脂被覆管の中間部における成形チヤックと押さえチヤックとのセット状態での半截断面図、図6は成形チヤックの他の実施例を示す部分拡大断面図であって、(1)は管径20m/m以下の比較的細径からなる金属管材であり、予め外周面に外部からの衝撃に対する破損防止と腐食防止とに関連して施した銅鍍金或いは/及びクロメート処理した亜鉛、亜鉛/ニッケル、ニッケルと亜鉛/ニッケル等の鍍金膜上に、ポリプロピレン樹脂、塩化ビニール樹脂、ナイロン或いは弗素樹脂等による層厚0.5m/m乃至1.2m/m程度の樹脂チューブをもってその全長に亘って被着せしめ、しかる後に炉中通過等による加温処理により熱収縮せしめるか、或いは押出成形により樹脂層(2)を被覆してなるものである。
【0011】
そしてかかる状態をもって該管材の端末附近(1′)を、図2乃至図4に示すように対向面の把持溝部に近傍して少なくともその一方に溜り溝(4)を設けた割り型からなる一対の成形チヤック(C1)により該把持溝部をもって挾圧保持せしめると共に、その後部に隣接位置して備えた樹脂層(2)の外径と略同一径を有する同様の割り型による別体の押さえチヤック(C2)の溝部に保持せしめる。
【0012】
次に、管材(1)の端末附近(1′)の前記樹脂層を、0.1m/m乃至0.2m/mの薄膜(2′)に成形する方法を説明する。
【0013】
この成形方法としては下記する3つの方法を採用できる。
即ち、a.)ヒーターもしくは高周波誘導加熱等の発熱体による外部からの熱源、或いは超音波により前記管材(1)を、該管材側の樹脂層(2)のもつガラス転移温度以上で溶融温度以下に加熱した後、該管材の端末附近(1′)を、前記一対の成形チヤック(C1)により挾圧保持せしめると共に、前記押さえチヤック(C2)の溝部に保持せしめて、前記チャックの挾圧保持部での樹脂層の一部を溶出、除去して層厚0.1m/m乃至0.2m/mの薄膜となし、冷却等して固化せしめる方法。
b.)前記管材(1)の端末附近(1′)を、前記成形チヤック(C1)に内装したヒーターもしくは高周波誘導加熱等の発熱体(3)による外部からの熱源、或いは超音波により前記管材側の樹脂層のもつガラス転移温度以上で溶融温度以下に加熱せしめた一対の成形チヤック(C1)によって挾圧保持せしめると共に、押さえチヤック(C2)の溝部に保持せしめて、前記チャックの挾圧保持部での樹脂層の一部を溶出、除去して層厚0.1m/m乃至0.2m/mの薄膜(2′)となし、冷却等して固化せしめる方法。
c.)前記樹脂層(2)を備えた管材(1)を押さえチヤック(C2)の溝部に保持せしめた後に成形チヤック(C1)に内装したヒーターもしくは高周波誘導加熱等の発熱体(3)による外部からの熱源、或いは超音波による樹脂層(2)への直接加熱または管材(1)側の端末附近(1′)での同様の熱源の供給により、樹脂層(2)のもつガラス転移温度以上で溶融温度以下に加熱せしめることによって端末附近(1′)での樹脂層(2)の一部を前記溜り溝(4)部に溶出、除去せしめて層厚0.1m/m乃至0.2m/mの薄膜(2′)となし、その後に冷却等して固化してなる方法。
である。
【0014】
上記のようにして成形された端末附近(1′)を、その後に別途チヤッキングして保持せしめて、管材(1)端部に軸方向への押圧による所望のフレアー、バルヂ或いはスプール等による接続端部加工を行うものである。
【0015】
また本発明では上記した端末附近(1′)に薄膜(2′)を成形するのみならず、図5のように樹脂層(2)を有する金属管材(1)の中間部(1″)にもインシュレータやクランプでの固定のための薄膜(2′)を成形することができる。すなわち、成形チャック(C1)の両側に押さえチャック(C2)を設け上記同様にして薄膜を成形できる。
【0016】
また成形チャック(C1)の端部を図6のようにテーパー面または弯曲面(5)とすると、樹脂層(2)と薄膜(2′)との境界の肉厚が徐々に変化するため肉厚の急激な変化に伴う応力集中がなくなるのでクラックの発生を防止でき、耐食性が一層向上する。
【0017】
尚前記押さえチヤック(C2)は、加熱に伴う端末附近(1′)のなす境界附近での樹脂層(2)側の軟化変形を防止するものであり、また前記端末附近(1′)及び/又は中間部(1″)の層厚の範囲については、0.1m/m未満では薄膜(2′)部での破損防止と腐食防止作用の信頼性に乏しく、一方0.2m/mを超えるとフレアー部等の端末加工部ではナット締付けに伴う薄膜(2′)部を介する押付け時に緩みを生じやすく、また中間部(1″)ではインシュレータが大型化したりクランプが緩みを生ずる問題がある。
【0018】
【発明の効果】
以上説明したように本発明による細径樹脂被覆管の被覆構造の成形方法は、特に管材(1)の端末附近(1′)及び/又は中間部(1″)のなす樹脂層(2)の被覆を成形チヤック(C1)によって挾圧保持して、前記成形チヤック(C1)もしくは管材(1)を該樹脂層のガラス転移温度以上で溶融温度以下に加熱せしめて層厚0.1m/m乃至0.2m/mの薄膜(2′)となすため、該端末附近(1′)での薄膜により管材(1)全体での耐食性の向上と破損防止および中間部(1″)飛石に伴う腐食防止を損うことがなく、且つ中間部(1″)においてはインシュレータやクランプでの固定が可能となると共に、小型のインシュレータを使用でき部品の共通化が可能で、さらに管材間の間隔や高さを減少できる等、極めて有用な細径樹脂被覆管の被覆構造の成形方法である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例に係る細径樹脂被覆管の被覆構造の一部切欠きによる断面図である。
【図2】 細径樹脂被覆管の被覆構造の成形方法に関連して細径樹脂被覆管の端末附近における成形チヤックと押さえチヤックとのセット状態での断面図である。
【図3】 図2A−A線の断面図である。
【図4】 図2B−B線の断面図である。
【図5】 細径樹脂被覆管の中間部における成形チヤックと押さえチヤックとのセット状態での半截断面図である。
【図6】 成形チヤックの他の実施例を示す部分拡大断面図である。
【符号の説明】
1 管材
1′ 端末附近
1″ 中間部
2 樹脂層
2′ 薄膜
5 テーパー面または弯曲面
Claims (4)
- 予め外周面に施した鍍金膜上に樹脂層を被覆してなる管材を、該管材側の樹脂層のもつガラス転移温度以上で溶融温度以下に加熱した後、該管材の端末附近或いは中間部のうち少なくとも一方を、割り型からなる一対の成形チヤックに挾圧保持せしめると共に、該チヤックに隣接位置して樹脂層の外径と略同一径を有する別体の押さえチヤックの溝部に保持せしめて、前記チャックの挾圧保持部での樹脂層の一部を溶出、除去して層厚0.1m/m乃至0.2m/mの薄膜となし、固化せしめてなることを特徴とする細径樹脂被覆管の被覆構造の成形方法。
- 予め外周面に施した鍍金膜上に樹脂層を被覆してなる管材の端末附近或いは中間部のうち少なくとも一方を、割り型からなり前記管材側の樹脂層のもつガラス転移温度以上で溶融温度以下に加熱せしめた一対の成形チヤックに挾圧保持せしめると共に、該チヤックに隣接位置して樹脂層の外径と略同一径を有する別体の押さえチヤックの溝部に保持せしめて、前記チャックの挾圧保持部での樹脂層の一部を溶出、除去して層厚0.1m/m乃至0.2m/mの薄膜となし、固化せしめてなることを特徴とする細径樹脂被覆管の被覆構造の成形方法。
- 予め外周面に施した鍍金膜上に樹脂層を被覆してなる管材の端末附近或いは中間部のうち少なくとも一方を、割り型からなる一対の成形チヤックに挾圧保持せしめると共に、該チヤックに隣接位置して樹脂層の外径と略同一径を有する別体の押さえチヤックの溝部に保持せしめ、次いで前記成形チヤックを管材側の樹脂層のもつガラス転移温度以上で溶融温度以下に加熱せしめることにより、前記チャックの挾圧保持部での樹脂層の一部を溶出、除去して層厚0.1m/m乃至0.2m/mの薄膜となし、固化せしめてなることを特徴とする細径樹脂被覆管の被覆構造の成形方法。
- 前記溝部の端部にテーパー面または弯曲面を有するチャックを使用することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の細径樹脂被覆管の被覆構造の成形方法。
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