JP2002270039A - 銅被覆金属線及びその製造方法 - Google Patents
銅被覆金属線及びその製造方法Info
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- JP2002270039A JP2002270039A JP2001062707A JP2001062707A JP2002270039A JP 2002270039 A JP2002270039 A JP 2002270039A JP 2001062707 A JP2001062707 A JP 2001062707A JP 2001062707 A JP2001062707 A JP 2001062707A JP 2002270039 A JP2002270039 A JP 2002270039A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 芯線と銅層との接合性が良好で、芯線として
高強度鋼線を使用でき、製造設備を簡略化できる銅被覆
金属線及びその製造方法を提供する。 【解決手段】 芯材として亜鉛めっき鋼線を使用し、コ
ンフォーム法により亜鉛めっき鋼線の周囲に銅層18を
被覆し、鋼線17と銅層18との間に銅−亜鉛合金層1
9を形成する。銅−亜鉛合金層19の厚さは100μm
以下とし、銅−亜鉛合金層19における亜鉛濃度は95
質量%未満とし、銅−亜鉛合金層19における亜鉛濃度
は、鋼線17との界面から銅層18との界面に向かって
連続的に低下させる。
高強度鋼線を使用でき、製造設備を簡略化できる銅被覆
金属線及びその製造方法を提供する。 【解決手段】 芯材として亜鉛めっき鋼線を使用し、コ
ンフォーム法により亜鉛めっき鋼線の周囲に銅層18を
被覆し、鋼線17と銅層18との間に銅−亜鉛合金層1
9を形成する。銅−亜鉛合金層19の厚さは100μm
以下とし、銅−亜鉛合金層19における亜鉛濃度は95
質量%未満とし、銅−亜鉛合金層19における亜鉛濃度
は、鋼線17との界面から銅層18との界面に向かって
連続的に低下させる。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金属又は合金から
なる芯線の周囲を銅層で被覆した銅被覆金属線及びその
製造方法に関し、特に、芯線として高強度鋼線を使用可
能で芯線と銅層との接合性が良好な銅被覆鋼線及びその
製造方法に関する。
なる芯線の周囲を銅層で被覆した銅被覆金属線及びその
製造方法に関し、特に、芯線として高強度鋼線を使用可
能で芯線と銅層との接合性が良好な銅被覆鋼線及びその
製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】鉄道用トロリ線には、通常、銅線が使用
されている。しかしながら、近時、電車の高速運行の要
請が強く、このためトロリ線の強度を高めることが要求
されている。
されている。しかしながら、近時、電車の高速運行の要
請が強く、このためトロリ線の強度を高めることが要求
されている。
【0003】このような状況において、近時、特公平2
−11460号公報に開示されているように、鋼線を芯
材とし、芯材の周囲を銅により被覆した銅被覆鋼線を使
用した銅被覆鋼トロリ線が提案され、新幹線を代表とす
る高速運行電車用のトロリ線として使用されている。
−11460号公報に開示されているように、鋼線を芯
材とし、芯材の周囲を銅により被覆した銅被覆鋼線を使
用した銅被覆鋼トロリ線が提案され、新幹線を代表とす
る高速運行電車用のトロリ線として使用されている。
【0004】この従来の銅被覆鋼トロリ線は、鋼線を銅
の溶湯中に連続的に浸漬させ、鋼線の周囲に銅を凝固さ
せて付着させた後、一定の温度範囲において熱間圧延す
ることにより銅被覆鋼線である素線を作製し、その後、
伸線加工することにより製造されている。
の溶湯中に連続的に浸漬させ、鋼線の周囲に銅を凝固さ
せて付着させた後、一定の温度範囲において熱間圧延す
ることにより銅被覆鋼線である素線を作製し、その後、
伸線加工することにより製造されている。
【0005】しかしながら、この従来の銅被覆鋼トロリ
線の製造方法においては、鋼線表面に銅を付着し凝固さ
せるため、鋼線表面は銅の濡れ性を良くするために極め
て平滑且つ活性な状態になくてはならず、従って、鋼線
表面の前処理は極めて厳密な管理が必要とされている。
線の製造方法においては、鋼線表面に銅を付着し凝固さ
せるため、鋼線表面は銅の濡れ性を良くするために極め
て平滑且つ活性な状態になくてはならず、従って、鋼線
表面の前処理は極めて厳密な管理が必要とされている。
【0006】このため、一般に前処理として実施される
酸洗い、ショットブラスト及びブラシ研磨等の処理で
は、鋼線表面の汚れ及び酸化皮膜等は除去できるものの
鋼線表面の平滑性を低下させてしまい、その結果、鋼線
表面に銅層を均一に付着させることができず、銅層と鋼
線との界面に空隙及び接合不良部が発生し、鋼線と銅層
との間の接合性が低下してしまう。
酸洗い、ショットブラスト及びブラシ研磨等の処理で
は、鋼線表面の汚れ及び酸化皮膜等は除去できるものの
鋼線表面の平滑性を低下させてしまい、その結果、鋼線
表面に銅層を均一に付着させることができず、銅層と鋼
線との界面に空隙及び接合不良部が発生し、鋼線と銅層
との間の接合性が低下してしまう。
【0007】従って、現在は鋼線表層を剥離するための
特殊な加工を施した工具(以下、皮剥ダイスという)に
より、鋼線表層を連続的に皮剥しつつ、皮剥された鋼線
を真空排気されたハウジング内に導入し、そのまま銅の
浴湯中に浸漬する方法により銅被覆鋼トロリ線を製造し
ている。
特殊な加工を施した工具(以下、皮剥ダイスという)に
より、鋼線表層を連続的に皮剥しつつ、皮剥された鋼線
を真空排気されたハウジング内に導入し、そのまま銅の
浴湯中に浸漬する方法により銅被覆鋼トロリ線を製造し
ている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
技術には以下に示す問題点がある。前述の浸漬による製
造方法においては、溶解炉及び保持炉等の極めて大掛か
りな設備が必要となり、これらの設備の維持費及びエネ
ルギー費が高いため銅被覆鋼トロリ線の製造コストが高
くなるという問題点がある。また、前述のように従来の
技術においては皮剥ダイスが必要となるが、この皮剥ダ
イスの寿命が短いという問題点がある。
技術には以下に示す問題点がある。前述の浸漬による製
造方法においては、溶解炉及び保持炉等の極めて大掛か
りな設備が必要となり、これらの設備の維持費及びエネ
ルギー費が高いため銅被覆鋼トロリ線の製造コストが高
くなるという問題点がある。また、前述のように従来の
技術においては皮剥ダイスが必要となるが、この皮剥ダ
イスの寿命が短いという問題点がある。
【0009】更に、従来の製造方法においては、芯材と
して炭素含有量が0.35質量%以下の強度が低い鋼線
しか使用できないという重大な問題点がある。これは、
鋼線の炭素含有量が0.35質量%を超えるようないわ
ゆる硬鋼線を使用した場合、製造中に皮剥ダイスの刃先
が欠けやすくなり、均一な皮剥ができなくなるためであ
る。鋼線の表層を均一に皮剥できなくなると、鋼線表面
に銅を均一に付着させることができなくなり、鋼線と銅
層との間の接合不良及び伸線加工時における断線等の種
々のトラブルの原因になる。また、皮剥ダイスの寿命が
極めて短くなるため、予定された長さの製品が生産でき
なくなってしまう。
して炭素含有量が0.35質量%以下の強度が低い鋼線
しか使用できないという重大な問題点がある。これは、
鋼線の炭素含有量が0.35質量%を超えるようないわ
ゆる硬鋼線を使用した場合、製造中に皮剥ダイスの刃先
が欠けやすくなり、均一な皮剥ができなくなるためであ
る。鋼線の表層を均一に皮剥できなくなると、鋼線表面
に銅を均一に付着させることができなくなり、鋼線と銅
層との間の接合不良及び伸線加工時における断線等の種
々のトラブルの原因になる。また、皮剥ダイスの寿命が
極めて短くなるため、予定された長さの製品が生産でき
なくなってしまう。
【0010】このため従来の製造方法においては、芯材
となる鋼線の炭素含有量を0.35質量%以下に制限せ
ざるを得ず、従って、得られる銅被覆鋼トロリ線の強度
も、国内で標準的に使用されている軸方向に垂直な断面
(以下、横断面という)の面積が110mm2のトロリ
線材で約657MPa、横断面の面積が170mm2の
トロリ線材で約647MPaが最高となる。このため、
今後、より一層の電車の高速化を実現するためのより強
度が高い銅被覆鋼線を製造できない状況にある。
となる鋼線の炭素含有量を0.35質量%以下に制限せ
ざるを得ず、従って、得られる銅被覆鋼トロリ線の強度
も、国内で標準的に使用されている軸方向に垂直な断面
(以下、横断面という)の面積が110mm2のトロリ
線材で約657MPa、横断面の面積が170mm2の
トロリ線材で約647MPaが最高となる。このため、
今後、より一層の電車の高速化を実現するためのより強
度が高い銅被覆鋼線を製造できない状況にある。
【0011】本発明はかかる問題点に鑑みてなされたも
のであって、芯線と銅層との間の接合性が良好で、芯線
として高強度鋼線を使用可能であり、製造設備を簡略化
できる銅被覆金属線及びその製造方法を提供することを
目的とする。
のであって、芯線と銅層との間の接合性が良好で、芯線
として高強度鋼線を使用可能であり、製造設備を簡略化
できる銅被覆金属線及びその製造方法を提供することを
目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明に係る銅被覆金属
線は、金属又は合金からなる芯線と、この芯線の周囲に
被覆された銅層とからなる銅被覆金属線において、前記
芯線と前記銅層との間に銅−亜鉛合金層を有し、この銅
−亜鉛合金層の厚さは100μm以下であり、前記銅−
亜鉛合金層における亜鉛濃度は95質量%未満であるこ
とを特徴とする。
線は、金属又は合金からなる芯線と、この芯線の周囲に
被覆された銅層とからなる銅被覆金属線において、前記
芯線と前記銅層との間に銅−亜鉛合金層を有し、この銅
−亜鉛合金層の厚さは100μm以下であり、前記銅−
亜鉛合金層における亜鉛濃度は95質量%未満であるこ
とを特徴とする。
【0013】本発明においては、芯線と銅層との間に銅
−亜鉛合金層を設けることにより、銅被覆金属線におけ
る芯線と銅層との接合性を向上させることができる。ま
た、前記銅−亜鉛合金層の厚さは100μm以下とし、
前記銅−亜鉛合金層における亜鉛濃度を95質量%未満
とすることにより、芯線と銅層との接合性をより向上さ
せることができる。
−亜鉛合金層を設けることにより、銅被覆金属線におけ
る芯線と銅層との接合性を向上させることができる。ま
た、前記銅−亜鉛合金層の厚さは100μm以下とし、
前記銅−亜鉛合金層における亜鉛濃度を95質量%未満
とすることにより、芯線と銅層との接合性をより向上さ
せることができる。
【0014】本発明に係る他の銅被覆金属線は、金属又
は合金からなる芯線と、この芯線の周囲に被覆された銅
層とからなる銅被覆金属線において、前記芯線と前記銅
層との間に銅−亜鉛合金層を有し、この銅−亜鉛合金層
の厚さは100μm以下であり、前記銅−亜鉛合金層の
亜鉛濃度は、前記芯線との界面から前記銅層との界面に
向かって連続的に低下することを特徴とする
は合金からなる芯線と、この芯線の周囲に被覆された銅
層とからなる銅被覆金属線において、前記芯線と前記銅
層との間に銅−亜鉛合金層を有し、この銅−亜鉛合金層
の厚さは100μm以下であり、前記銅−亜鉛合金層の
亜鉛濃度は、前記芯線との界面から前記銅層との界面に
向かって連続的に低下することを特徴とする
【0015】本発明においては、芯線と銅層との間に銅
−亜鉛合金層を設けることにより、銅被覆金属線におけ
る芯線と銅層との接合性を向上させることができる。ま
た、前記銅−亜鉛合金層の厚さは100μm以下とし、
この銅−亜鉛合金層の亜鉛濃度を、前記芯線との界面か
ら前記銅層との界面に向かって連続的に低下させること
により、芯線と銅層との接合性をより向上させることが
できる。更に、前記芯線は鋼により形成することができ
る。
−亜鉛合金層を設けることにより、銅被覆金属線におけ
る芯線と銅層との接合性を向上させることができる。ま
た、前記銅−亜鉛合金層の厚さは100μm以下とし、
この銅−亜鉛合金層の亜鉛濃度を、前記芯線との界面か
ら前記銅層との界面に向かって連続的に低下させること
により、芯線と銅層との接合性をより向上させることが
できる。更に、前記芯線は鋼により形成することができ
る。
【0016】本発明に係る銅被覆金属線の製造方法は、
金属又は合金からなる芯線に亜鉛めっきを施した亜鉛め
っき金属線を芯材とし、コンフォーム法により前記芯材
の周囲に銅を押し出し被覆することを特徴とする。
金属又は合金からなる芯線に亜鉛めっきを施した亜鉛め
っき金属線を芯材とし、コンフォーム法により前記芯材
の周囲に銅を押し出し被覆することを特徴とする。
【0017】本発明においては、芯材として亜鉛めっき
金属線を使用し、この亜鉛めっき金属線にコンフォーム
法により銅を被覆して銅被覆金属線を製造することによ
り、芯線と銅層との間に銅−亜鉛合金層を形成すること
ができ、芯線と銅層との接合性が良好な銅被覆金属線を
製造することができる。これにより、皮剥ダイスによる
前処理を行う必要がなくなるため、例えば、芯線として
高強度鋼線を使用できるようになり、銅被覆金属線の強
度が向上する。また、銅被覆金属線をコンフォーム法に
より製造するため、大掛かりな設備が不要になる。
金属線を使用し、この亜鉛めっき金属線にコンフォーム
法により銅を被覆して銅被覆金属線を製造することによ
り、芯線と銅層との間に銅−亜鉛合金層を形成すること
ができ、芯線と銅層との接合性が良好な銅被覆金属線を
製造することができる。これにより、皮剥ダイスによる
前処理を行う必要がなくなるため、例えば、芯線として
高強度鋼線を使用できるようになり、銅被覆金属線の強
度が向上する。また、銅被覆金属線をコンフォーム法に
より製造するため、大掛かりな設備が不要になる。
【0018】
【発明の実施の形態】本発明者等は前記課題を解決する
ために鋭意実験研究を重ねた結果、従来の銅溶湯浸漬に
よる製造方法に代わり、コンフォームにより金属線の周
囲に銅を押出し被覆する方法により、金属線と銅層との
接合性を向上させ、金属線として例えば炭素含有量が
0.35質量%を超えるような硬鋼線材を使用すること
ができ、これにより、トロリ線用高強度銅被覆鋼線を安
定して製造できることを見出した。
ために鋭意実験研究を重ねた結果、従来の銅溶湯浸漬に
よる製造方法に代わり、コンフォームにより金属線の周
囲に銅を押出し被覆する方法により、金属線と銅層との
接合性を向上させ、金属線として例えば炭素含有量が
0.35質量%を超えるような硬鋼線材を使用すること
ができ、これにより、トロリ線用高強度銅被覆鋼線を安
定して製造できることを見出した。
【0019】本発明に係る銅被覆金属線においては、金
属又は合金からなる芯線が設けられ、この芯線の周囲に
銅−亜鉛合金層が設けられ、この銅−亜鉛合金層の周囲
に銅層が被覆されている。前記芯線は例えば鋼からなる
ことができる。また、前記銅−亜鉛合金層の厚さは10
0μm以下であり、この銅−亜鉛合金層における亜鉛濃
度は95質量%未満である。また、この銅−亜鉛合金層
の亜鉛濃度は、前記芯線との界面から前記銅層との界面
に向かって連続的に低下していることが好ましい。以
下、本発明の各構成要件の数値限定理由について説明す
る。
属又は合金からなる芯線が設けられ、この芯線の周囲に
銅−亜鉛合金層が設けられ、この銅−亜鉛合金層の周囲
に銅層が被覆されている。前記芯線は例えば鋼からなる
ことができる。また、前記銅−亜鉛合金層の厚さは10
0μm以下であり、この銅−亜鉛合金層における亜鉛濃
度は95質量%未満である。また、この銅−亜鉛合金層
の亜鉛濃度は、前記芯線との界面から前記銅層との界面
に向かって連続的に低下していることが好ましい。以
下、本発明の各構成要件の数値限定理由について説明す
る。
【0020】銅−亜鉛合金層の厚さ:100μm以下 銅−亜鉛合金層の厚さが100μmを超えると、銅被覆
金属線の導電率が低下すると共に、コンフォームにより
亜鉛めっき金属線の周囲に銅層を形成した後の冷間加工
において、銅−亜鉛合金層内でクラックが生じやすくな
るため金属線と銅層との間の接合性が低下し、銅被覆金
属線の加工性の低下を招いてしまう。従って、銅−亜鉛
合金層の厚さは100μm以下とする。
金属線の導電率が低下すると共に、コンフォームにより
亜鉛めっき金属線の周囲に銅層を形成した後の冷間加工
において、銅−亜鉛合金層内でクラックが生じやすくな
るため金属線と銅層との間の接合性が低下し、銅被覆金
属線の加工性の低下を招いてしまう。従って、銅−亜鉛
合金層の厚さは100μm以下とする。
【0021】銅−亜鉛合金層における亜鉛濃度:95質
量%未満 銅−亜鉛合金層の形成が不完全で、金属線と銅層との間
に亜鉛濃度が95質量%以上の亜鉛の高濃度層が残った
場合は、この亜鉛の高濃度層においてクラックが生じや
すくなり、金属線と銅層との間の接合性が低下し加工性
の低下を招いてしまう。このため、銅−亜鉛合金層にお
ける亜鉛濃度は95質量%未満とする。
量%未満 銅−亜鉛合金層の形成が不完全で、金属線と銅層との間
に亜鉛濃度が95質量%以上の亜鉛の高濃度層が残った
場合は、この亜鉛の高濃度層においてクラックが生じや
すくなり、金属線と銅層との間の接合性が低下し加工性
の低下を招いてしまう。このため、銅−亜鉛合金層にお
ける亜鉛濃度は95質量%未満とする。
【0022】また、銅−亜鉛合金層において、亜鉛濃度
が不連続に変化する界面が存在すると、この界面におい
てクラックが生じる可能性があるため、銅−亜鉛合金層
における亜鉛濃度は連続的に変化していることが好まし
い。
が不連続に変化する界面が存在すると、この界面におい
てクラックが生じる可能性があるため、銅−亜鉛合金層
における亜鉛濃度は連続的に変化していることが好まし
い。
【0023】以下、本発明の実施例に係る銅被覆金属線
の製造方法について添付の図面を参照して具体的に説明
する。図1は、本発明の実施例における銅被覆鋼線の製
造方法を示す断面図であり、図2は図1に示すダイチャ
ンバ内を示す一部断面図である。本実施例においては、
金属線として鋼線を使用する場合について説明する。
の製造方法について添付の図面を参照して具体的に説明
する。図1は、本発明の実施例における銅被覆鋼線の製
造方法を示す断面図であり、図2は図1に示すダイチャ
ンバ内を示す一部断面図である。本実施例においては、
金属線として鋼線を使用する場合について説明する。
【0024】先ず、コンフォーム法により金属線に銅層
を被覆する被覆装置の構成について説明する。図1に示
すように、本被覆装置においては、芯材である亜鉛めっ
き鋼線7の表面を洗浄する鋼線前処理装置8が設けられ
ている。鋼線前処理装置8の後方には、内部が無酸化雰
囲気に保たれ亜鉛めっき鋼線7が挿入される保護管9が
設けられ、保護管9の後方にはダイチャンバ6が保護管
9に連結するように設けられている。一方、本被覆装置
においては、溝を備え回転するホイール2が設けられ、
ホイール2の近傍には固定されたシューブロック3が設
けられ、ホイール2とシューブロック3との間には導入
路4が形成されている。ホイール2は銅線1を導入路4
に供給し、シューブロック3と共に鋼線1を加圧及び加
熱し、鋼線1を可塑流動的な銅の流動体11(図2参
照)に変えるものである。導入路4はダイチャンバ6に
連結している。また、ホイール2、シューブロック3、
導入路4及びダイチャンバ6により、コンフォームが構
成されている。
を被覆する被覆装置の構成について説明する。図1に示
すように、本被覆装置においては、芯材である亜鉛めっ
き鋼線7の表面を洗浄する鋼線前処理装置8が設けられ
ている。鋼線前処理装置8の後方には、内部が無酸化雰
囲気に保たれ亜鉛めっき鋼線7が挿入される保護管9が
設けられ、保護管9の後方にはダイチャンバ6が保護管
9に連結するように設けられている。一方、本被覆装置
においては、溝を備え回転するホイール2が設けられ、
ホイール2の近傍には固定されたシューブロック3が設
けられ、ホイール2とシューブロック3との間には導入
路4が形成されている。ホイール2は銅線1を導入路4
に供給し、シューブロック3と共に鋼線1を加圧及び加
熱し、鋼線1を可塑流動的な銅の流動体11(図2参
照)に変えるものである。導入路4はダイチャンバ6に
連結している。また、ホイール2、シューブロック3、
導入路4及びダイチャンバ6により、コンフォームが構
成されている。
【0025】図2に示すように、ダイチャンバ6におい
ては、保護管9がダイチャンバ6内に嵌入するように連
結され、ダイチャンバ6内における保護管9の管端部に
は保護管9をダイチャンバ6に固定するニップル10が
設けられている。ニップル10の保護管9が連結してい
る側の反対側にはダイチャンバ6内の室6aが設けら
れ、室6aを挟んでニップル10に対向するように環状
のダイス13が設けられている。また、導入路4(図1
参照)は室6aに連結されており、ダイチャンバ6にお
ける導入路4が連結されている部分には、銅の流動体1
1の方向を変えるアバットメント5が設けられている。
なお、本実施例においては、ホイール2、シューブロッ
ク3、アバットメント5、ダイチャンバ6、保護管9、
ニップル10及びダイス13は全てNi基耐熱合金によ
り構成されている。
ては、保護管9がダイチャンバ6内に嵌入するように連
結され、ダイチャンバ6内における保護管9の管端部に
は保護管9をダイチャンバ6に固定するニップル10が
設けられている。ニップル10の保護管9が連結してい
る側の反対側にはダイチャンバ6内の室6aが設けら
れ、室6aを挟んでニップル10に対向するように環状
のダイス13が設けられている。また、導入路4(図1
参照)は室6aに連結されており、ダイチャンバ6にお
ける導入路4が連結されている部分には、銅の流動体1
1の方向を変えるアバットメント5が設けられている。
なお、本実施例においては、ホイール2、シューブロッ
ク3、アバットメント5、ダイチャンバ6、保護管9、
ニップル10及びダイス13は全てNi基耐熱合金によ
り構成されている。
【0026】また、図1に示すように、ダイチャンバ6
の後方にはダイチャンバ6により形成された銅被覆鋼線
12を冷却する冷却槽14、引き取り機15及び銅被覆
鋼線12を巻き取る巻き取り機16が設けられている。
の後方にはダイチャンバ6により形成された銅被覆鋼線
12を冷却する冷却槽14、引き取り機15及び銅被覆
鋼線12を巻き取る巻き取り機16が設けられている。
【0027】次に、本実施例における銅被覆鋼線の製造
方法について説明する。先ず、図1及び図2に示すよう
に、亜鉛めっき鋼線7の周囲に押し出し被覆される銅層
の素材となる銅線1が、表面の酸化皮膜及び油分等の汚
れが除去された状態で、回転するホイール2と固定され
たシューブロック3との間に形成された導入路4に連続
的に引き込まれる。導入路4に引き込まれた鋼線1は、
ホイール2とシューブロック3との間で発生する摩擦熱
及び高圧力により可塑流動的な銅の流動体11となる。
銅の流動体11はアバットメント5に突き当たり方向を
変えた後、ダイチャンバ6の室6a内に供給される。
方法について説明する。先ず、図1及び図2に示すよう
に、亜鉛めっき鋼線7の周囲に押し出し被覆される銅層
の素材となる銅線1が、表面の酸化皮膜及び油分等の汚
れが除去された状態で、回転するホイール2と固定され
たシューブロック3との間に形成された導入路4に連続
的に引き込まれる。導入路4に引き込まれた鋼線1は、
ホイール2とシューブロック3との間で発生する摩擦熱
及び高圧力により可塑流動的な銅の流動体11となる。
銅の流動体11はアバットメント5に突き当たり方向を
変えた後、ダイチャンバ6の室6a内に供給される。
【0028】一方、芯材となる亜鉛めっき鋼線7は鋼線
前処理装置8によって表面に油分等の汚れがないように
清浄化された後、無酸化雰囲気に保たれた保護管9を通
り、ニップル10を介してダイチャンバ6の室6a内に
供給される。なお、亜鉛めっき鋼線7は鋼線の周囲に純
亜鉛層が被覆されたものである。
前処理装置8によって表面に油分等の汚れがないように
清浄化された後、無酸化雰囲気に保たれた保護管9を通
り、ニップル10を介してダイチャンバ6の室6a内に
供給される。なお、亜鉛めっき鋼線7は鋼線の周囲に純
亜鉛層が被覆されたものである。
【0029】室6a内に供給された亜鉛めっき鋼線7
は、前述の別方向から室6a内に供給された可塑流動的
な銅の流動体11に包まれ、銅の流動体11が亜鉛めっ
き鋼線7に圧着され、ダイス13により外形が整えられ
て銅被覆鋼線12が形成される。このとき、室6a内に
おいて、銅の流動体11は極めて高温、高圧となって亜
鉛めっき鋼線7を包み込むため、銅の流動体11と亜鉛
めっき鋼線7との界面において亜鉛と銅との間で拡散が
生じ、銅−亜鉛合金層が形成される。
は、前述の別方向から室6a内に供給された可塑流動的
な銅の流動体11に包まれ、銅の流動体11が亜鉛めっ
き鋼線7に圧着され、ダイス13により外形が整えられ
て銅被覆鋼線12が形成される。このとき、室6a内に
おいて、銅の流動体11は極めて高温、高圧となって亜
鉛めっき鋼線7を包み込むため、銅の流動体11と亜鉛
めっき鋼線7との界面において亜鉛と銅との間で拡散が
生じ、銅−亜鉛合金層が形成される。
【0030】その後、形成された銅被覆鋼線12はダイ
チャンバ6より押し出され、冷却槽14により冷却さ
れ、引き取り機15を通って巻き取り機16により連続
して巻き取られる。
チャンバ6より押し出され、冷却槽14により冷却さ
れ、引き取り機15を通って巻き取り機16により連続
して巻き取られる。
【0031】図3は銅被覆鋼線12の構成を示す軸方向
と直交する断面図である。図3に示すように、銅被覆鋼
線12においては、中心に鋼線17が設けられ、鋼線1
7の周囲に銅−亜鉛合金層19が形成され、銅−亜鉛合
金層19の周囲に銅層18が設けられている。銅−亜鉛
合金層19は、厚さが100μm以下、亜鉛濃度が95
質量%未満であり、芯材である鋼線17及び被覆材であ
る銅層18の双方と強固に接合している。
と直交する断面図である。図3に示すように、銅被覆鋼
線12においては、中心に鋼線17が設けられ、鋼線1
7の周囲に銅−亜鉛合金層19が形成され、銅−亜鉛合
金層19の周囲に銅層18が設けられている。銅−亜鉛
合金層19は、厚さが100μm以下、亜鉛濃度が95
質量%未満であり、芯材である鋼線17及び被覆材であ
る銅層18の双方と強固に接合している。
【0032】図4は本実施例の銅被覆鋼線12におい
て、銅−亜鉛合金層19中の亜鉛の濃度勾配の1例を示
すグラフ図である。横軸は銅−亜鉛合金層19における
鋼線17からの距離を示し、縦軸は亜鉛濃度を示してい
る。図4に示すように、銅−亜鉛合金層19において
は、鋼線17からの距離が0の位置、即ち、鋼線17と
銅−亜鉛合金層19との界面における亜鉛濃度は約90
質量%であり、鋼線17からの距離が増加するに従って
亜鉛濃度は連続的に低下し、鋼線17から約90μmの
位置において亜鉛濃度はほぼ0となっている。従って、
図4に示す銅被覆鋼線12においては、銅−亜鉛合金層
19の厚さは約90μmである。
て、銅−亜鉛合金層19中の亜鉛の濃度勾配の1例を示
すグラフ図である。横軸は銅−亜鉛合金層19における
鋼線17からの距離を示し、縦軸は亜鉛濃度を示してい
る。図4に示すように、銅−亜鉛合金層19において
は、鋼線17からの距離が0の位置、即ち、鋼線17と
銅−亜鉛合金層19との界面における亜鉛濃度は約90
質量%であり、鋼線17からの距離が増加するに従って
亜鉛濃度は連続的に低下し、鋼線17から約90μmの
位置において亜鉛濃度はほぼ0となっている。従って、
図4に示す銅被覆鋼線12においては、銅−亜鉛合金層
19の厚さは約90μmである。
【0033】上述のように、コンフォーム法により銅被
覆鋼線を製造する場合には、亜鉛めっき鋼線の周囲に銅
層を高温且つ高圧で圧接し圧着させて押し出し被覆する
ことにより、銅層と鋼線との間に銅−亜鉛合金層が形成
される。この銅−亜鉛合金層は芯材である鋼線及び被覆
材である銅層の双方と強固に接合しているため、製造さ
れた銅被覆鋼線における鋼線と銅層との界面は、実使用
に耐える十分な接合強度を持つことができる。
覆鋼線を製造する場合には、亜鉛めっき鋼線の周囲に銅
層を高温且つ高圧で圧接し圧着させて押し出し被覆する
ことにより、銅層と鋼線との間に銅−亜鉛合金層が形成
される。この銅−亜鉛合金層は芯材である鋼線及び被覆
材である銅層の双方と強固に接合しているため、製造さ
れた銅被覆鋼線における鋼線と銅層との界面は、実使用
に耐える十分な接合強度を持つことができる。
【0034】また、銅被覆鋼線をコンフォーム法により
製造する場合には、鋼線の前処理は油分等の汚れの簡単
な除去で十分となり、従来の皮剥ダイスによる前処理は
不必要となる。従って、皮剥ダイスの寿命を考慮して芯
線となる鋼線を炭素量が少ない鋼種に限定する必要はな
くなり、芯線として炭素含有量が0.35質量%を超え
るような硬鋼線材を使用して、従来にない高強度銅被覆
鋼線及び高強度銅被覆鋼トロリ線を製造することができ
る。
製造する場合には、鋼線の前処理は油分等の汚れの簡単
な除去で十分となり、従来の皮剥ダイスによる前処理は
不必要となる。従って、皮剥ダイスの寿命を考慮して芯
線となる鋼線を炭素量が少ない鋼種に限定する必要はな
くなり、芯線として炭素含有量が0.35質量%を超え
るような硬鋼線材を使用して、従来にない高強度銅被覆
鋼線及び高強度銅被覆鋼トロリ線を製造することができ
る。
【0035】なお、コンフォーム法により高強度銅被覆
鋼トロリ線を製造する場合は、従来と同様に断面形状が
円形の銅被覆鋼線を押し出した後、伸線加工を行ってト
ロリ線形状に仕上げることも可能であるが、銅被覆鋼線
をその断面形状がトロリ線形状に近い形状で押し出し、
伸線工程を簡略化することも可能である。芯材の横断面
形状、即ち、長手方向に垂直な断面の形状は、例えば
円、楕円又は矩形とすることができる。
鋼トロリ線を製造する場合は、従来と同様に断面形状が
円形の銅被覆鋼線を押し出した後、伸線加工を行ってト
ロリ線形状に仕上げることも可能であるが、銅被覆鋼線
をその断面形状がトロリ線形状に近い形状で押し出し、
伸線工程を簡略化することも可能である。芯材の横断面
形状、即ち、長手方向に垂直な断面の形状は、例えば
円、楕円又は矩形とすることができる。
【0036】また、本実施例においては、芯材として安
価で強度が高い純亜鉛めっき鋼線を使用しているが、本
発明においては、銅−亜鉛合金層の形成に悪影響を及ぼ
さない範囲で、亜鉛めっき層にアルミニウム等の添加元
素を含有させることができる。
価で強度が高い純亜鉛めっき鋼線を使用しているが、本
発明においては、銅−亜鉛合金層の形成に悪影響を及ぼ
さない範囲で、亜鉛めっき層にアルミニウム等の添加元
素を含有させることができる。
【0037】更に、より一層の高強度化を図るために、
芯材としてステンレス鋼等の合金鋼を使用することもで
きる。また、軽量化を目的として、芯材として鋼線の代
わりにチタン、チタン合金又は炭素繊維等の繊維を含む
繊維強化金属を使用することもできる。
芯材としてステンレス鋼等の合金鋼を使用することもで
きる。また、軽量化を目的として、芯材として鋼線の代
わりにチタン、チタン合金又は炭素繊維等の繊維を含む
繊維強化金属を使用することもできる。
【0038】
【実施例】以下、本発明の実施例の効果について、その
特許請求の範囲から外れる比較例と比較して具体的に説
明する。先ず、本発明の実施例及び比較例の銅被覆鋼線
の製造方法について説明する。
特許請求の範囲から外れる比較例と比較して具体的に説
明する。先ず、本発明の実施例及び比較例の銅被覆鋼線
の製造方法について説明する。
【0039】銅被覆鋼線の材料として、被覆材料となる
銅素材にはJISC1020に記載されている無酸素銅
により構成された外径12mmの銅線を使用し、芯材と
なる亜鉛めっき鋼線には、外径14mm、強度1764
MPaの純亜鉛めっき鋼線を使用した。また、銅被覆鋼
線の製造装置は、図1及び図2に示す装置を使用した。
銅素材にはJISC1020に記載されている無酸素銅
により構成された外径12mmの銅線を使用し、芯材と
なる亜鉛めっき鋼線には、外径14mm、強度1764
MPaの純亜鉛めっき鋼線を使用した。また、銅被覆鋼
線の製造装置は、図1及び図2に示す装置を使用した。
【0040】先ず、銅線の表面から酸化皮膜及び油分等
の汚れを除去した後、この銅線を回転するホイールと固
定されたシューブロックとの間に形成された導入路に連
続的に挿入しダイチャンバに供給した。一方、芯材とな
る亜鉛めっき鋼線は、脱脂装置により油分等の汚れを除
去した後、ダイチャンバに供給した。
の汚れを除去した後、この銅線を回転するホイールと固
定されたシューブロックとの間に形成された導入路に連
続的に挿入しダイチャンバに供給した。一方、芯材とな
る亜鉛めっき鋼線は、脱脂装置により油分等の汚れを除
去した後、ダイチャンバに供給した。
【0041】次に、ダイチャンバの室内において、供給
された亜鉛めっき鋼線の周囲に銅を被覆して、ダイスに
より外径22mmの銅被覆鋼線に成形し、ダイチャンバ
より押し出した。次に、この銅被覆鋼線を巻き取り機に
より巻き取った。
された亜鉛めっき鋼線の周囲に銅を被覆して、ダイスに
より外径22mmの銅被覆鋼線に成形し、ダイチャンバ
より押し出した。次に、この銅被覆鋼線を巻き取り機に
より巻き取った。
【0042】このようにして製造された銅被覆鋼線につ
いて、鋼線と銅層との間に形成された銅−亜鉛合金層の
状態及び鋼線と銅層との接合性について評価を行った。
銅−亜鉛合金層の状態については、横断面の組織観察を
行い、銅−亜鉛合金層の厚さ及び銅−亜鉛合金層中の各
位置の亜鉛の濃度を測定した。これらの評価結果を表1
に示す。表1においては、鋼線と銅層との間に亜鉛濃度
が95質量%以上の亜鉛の高濃度層が残留していない場
合を「亜鉛高濃度層:○」とし、残留していた場合を
「亜鉛高濃度層:×」とした。
いて、鋼線と銅層との間に形成された銅−亜鉛合金層の
状態及び鋼線と銅層との接合性について評価を行った。
銅−亜鉛合金層の状態については、横断面の組織観察を
行い、銅−亜鉛合金層の厚さ及び銅−亜鉛合金層中の各
位置の亜鉛の濃度を測定した。これらの評価結果を表1
に示す。表1においては、鋼線と銅層との間に亜鉛濃度
が95質量%以上の亜鉛の高濃度層が残留していない場
合を「亜鉛高濃度層:○」とし、残留していた場合を
「亜鉛高濃度層:×」とした。
【0043】また、鋼線と銅層との接合性については、
銅被覆鋼線をカッターで切断し、切断面を10倍の拡大
鏡で観察して鋼線と銅層との間のクラックの有無を観察
することにより評価すると共に、銅被覆鋼線に対して引
張試験を行い、形成された引張破面について10倍の拡
大鏡で観察して鋼線と銅層との間のクラックの有無を観
察することにより評価した。これらの評価結果を表1に
示す。表1において、鋼線と銅層との間にクラックが認
められなかった場合を「○」(良好)とし、クラックが
認められた場合を「×」(不良)とした。
銅被覆鋼線をカッターで切断し、切断面を10倍の拡大
鏡で観察して鋼線と銅層との間のクラックの有無を観察
することにより評価すると共に、銅被覆鋼線に対して引
張試験を行い、形成された引張破面について10倍の拡
大鏡で観察して鋼線と銅層との間のクラックの有無を観
察することにより評価した。これらの評価結果を表1に
示す。表1において、鋼線と銅層との間にクラックが認
められなかった場合を「○」(良好)とし、クラックが
認められた場合を「×」(不良)とした。
【0044】また、表1において、カッターによる切断
面及び引張試験による引張破面のいすれにおいてもクラ
ックが認められなかった場合を「判定:○」(良好)と
し、切断面及び引張破面のどちらか一方又は両方におい
てクラックが認められた場合を「判定:×」(不良)と
した。
面及び引張試験による引張破面のいすれにおいてもクラ
ックが認められなかった場合を「判定:○」(良好)と
し、切断面及び引張破面のどちらか一方又は両方におい
てクラックが認められた場合を「判定:×」(不良)と
した。
【0045】
【表1】
【0046】表1におけるNo.1乃至3は本発明の実
施例である。実施例No.1乃至3は、芯線と銅層との
間に銅−亜鉛合金層を有し、この銅−亜鉛合金層の厚さ
が100μm以下であり、前記銅−亜鉛合金層における
亜鉛濃度が95質量%未満であるため、芯線と銅層との
接合性が良好であった。
施例である。実施例No.1乃至3は、芯線と銅層との
間に銅−亜鉛合金層を有し、この銅−亜鉛合金層の厚さ
が100μm以下であり、前記銅−亜鉛合金層における
亜鉛濃度が95質量%未満であるため、芯線と銅層との
接合性が良好であった。
【0047】これに対して、表1に示すNo.4乃至7
は比較例である。比較例No.4は銅−亜鉛合金層の厚
さが120μmと厚かったため、この銅−亜鉛合金層内
で破壊が発生し、接合性が劣っていた。比較例No.5
も銅−亜鉛合金層の厚さが200μmと厚かったため、
比較例No.4と同様にこの銅−亜鉛合金層内で破壊が
発生し、接合性が劣っていた。比較例No.6は鋼線と
銅層との間に亜鉛濃度が95質量%以上の亜鉛の高濃度
層が残留していたため、接合性が劣っていた。比較例N
o.7も鋼線と銅層との間にこの亜鉛の高濃度層が残留
していたため、接合性が劣っていた。
は比較例である。比較例No.4は銅−亜鉛合金層の厚
さが120μmと厚かったため、この銅−亜鉛合金層内
で破壊が発生し、接合性が劣っていた。比較例No.5
も銅−亜鉛合金層の厚さが200μmと厚かったため、
比較例No.4と同様にこの銅−亜鉛合金層内で破壊が
発生し、接合性が劣っていた。比較例No.6は鋼線と
銅層との間に亜鉛濃度が95質量%以上の亜鉛の高濃度
層が残留していたため、接合性が劣っていた。比較例N
o.7も鋼線と銅層との間にこの亜鉛の高濃度層が残留
していたため、接合性が劣っていた。
【0048】また、本発明の実施例に係る銅被覆鋼線に
ついて、トロリ線形状まで伸線加工を行い、製造したト
ロリ線について引張強さを測定した。その結果、横断面
積が110mm2のトロリ線においては1078MP
a、横断面積が170mm2のトロリ線においては10
58MPaの強度が得られ、従来の製造方法で製造され
た銅被覆鋼トロリ線と比較して、強度が70%近く上昇
した。
ついて、トロリ線形状まで伸線加工を行い、製造したト
ロリ線について引張強さを測定した。その結果、横断面
積が110mm2のトロリ線においては1078MP
a、横断面積が170mm2のトロリ線においては10
58MPaの強度が得られ、従来の製造方法で製造され
た銅被覆鋼トロリ線と比較して、強度が70%近く上昇
した。
【0049】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
コンフォームによって芯線の周囲に銅を高圧力で押し出
し被覆するため、芯線と銅層との間の接合性が良好な銅
被覆金属線を得ることができる。これにより、芯線とし
て高強度鋼線を使用することが可能となり、高強度銅被
覆鋼線を製造することができる。また、この銅被覆金属
線を簡略な設備により製造することができる。
コンフォームによって芯線の周囲に銅を高圧力で押し出
し被覆するため、芯線と銅層との間の接合性が良好な銅
被覆金属線を得ることができる。これにより、芯線とし
て高強度鋼線を使用することが可能となり、高強度銅被
覆鋼線を製造することができる。また、この銅被覆金属
線を簡略な設備により製造することができる。
【図1】本発明の実施例における銅被覆鋼線の製造方法
を示す断面図である。
を示す断面図である。
【図2】図1に示すダイチャンバ内を示す一部断面図で
ある
ある
【図3】本実施例に係る銅被覆鋼線の構成を示す軸方向
と直交する断面図である。
と直交する断面図である。
【図4】本実施例の銅被覆鋼線において、銅−亜鉛合金
層中の亜鉛の濃度勾配の1例を示すグラフ図である。
層中の亜鉛の濃度勾配の1例を示すグラフ図である。
1;銅線 2;ホイール 3;シューブロック 4;導入路 5;アバットメント 6;ダイチャンバ 6a;室 7;亜鉛めっき鋼線(芯材) 8;鋼線前処理装置 9;保護管 10;ニップル 11;銅の流動体 12;銅被覆鋼線 13;ダイス 14;冷却槽 15;引き取り機 16;巻き取り機 17;鋼線 18;銅層 19;銅−亜鉛合金層
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // H01B 13/00 501 H01B 13/00 501F
Claims (5)
- 【請求項1】 金属又は合金からなる芯線と、この芯線
の周囲に被覆された銅層とからなる銅被覆金属線におい
て、前記芯線と前記銅層との間に銅−亜鉛合金層を有
し、この銅−亜鉛合金層の厚さは100μm以下であ
り、前記銅−亜鉛合金層における亜鉛濃度は95質量%
未満であることを特徴とする銅被覆金属線。 - 【請求項2】 金属又は合金からなる芯線と、この芯線
の周囲に被覆された銅層とからなる銅被覆金属線におい
て、前記芯線と前記銅層との間に銅−亜鉛合金層を有
し、この銅−亜鉛合金層の厚さは100μm以下であ
り、前記銅−亜鉛合金層の亜鉛濃度は、前記芯線との界
面から前記銅層との界面に向かって連続的に低下するこ
とを特徴とする銅被覆金属線。 - 【請求項3】 前記芯線が鋼からなることを特徴とする
請求項1又は2に記載の銅被覆金属線。 - 【請求項4】 金属又は合金からなる芯線に亜鉛めっき
を施した亜鉛めっき金属線を芯材とし、コンフォーム法
により前記芯材の周囲に銅を押し出し被覆することを特
徴とする銅被覆金属線の製造方法。 - 【請求項5】 前記芯線が鋼からなることを特徴とする
請求項4に記載の銅被覆金属線の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001062707A JP2002270039A (ja) | 2001-03-06 | 2001-03-06 | 銅被覆金属線及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001062707A JP2002270039A (ja) | 2001-03-06 | 2001-03-06 | 銅被覆金属線及びその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2002270039A true JP2002270039A (ja) | 2002-09-20 |
Family
ID=18921805
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2001062707A Pending JP2002270039A (ja) | 2001-03-06 | 2001-03-06 | 銅被覆金属線及びその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2002270039A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN107719188A (zh) * | 2017-11-06 | 2018-02-23 | 成都金和工贸有限公司 | 一种铜铝复合接触线及其制造方法 |
WO2020031268A1 (ja) * | 2018-08-07 | 2020-02-13 | 住友電気工業株式会社 | 銅被覆鋼線および撚線 |
DE112019007510T5 (de) | 2019-06-28 | 2022-03-10 | Sumitomo Electric Industries, Ltd. | Kupferbeschichteter Stahldraht, Litze, isolierter elektrischer Draht und Kabel |
DE112019007509T5 (de) | 2019-06-28 | 2022-03-10 | Sumitomo Electric Industries, Ltd. | Kupferbeschichteter Stahldraht, Feder, Litze, isolierter elektrischer Draht und Kabel |
-
2001
- 2001-03-06 JP JP2001062707A patent/JP2002270039A/ja active Pending
Cited By (9)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN107719188A (zh) * | 2017-11-06 | 2018-02-23 | 成都金和工贸有限公司 | 一种铜铝复合接触线及其制造方法 |
CN107719188B (zh) * | 2017-11-06 | 2023-07-07 | 成都金和工贸有限公司 | 一种铜铝复合接触线及其制造方法 |
WO2020031268A1 (ja) * | 2018-08-07 | 2020-02-13 | 住友電気工業株式会社 | 銅被覆鋼線および撚線 |
CN112534519A (zh) * | 2018-08-07 | 2021-03-19 | 住友电气工业株式会社 | 铜覆钢线以及绞合线 |
JPWO2020031268A1 (ja) * | 2018-08-07 | 2021-09-24 | 住友電気工業株式会社 | 銅被覆鋼線および撚線 |
US11505856B2 (en) | 2018-08-07 | 2022-11-22 | Sumitomo Electric Industries, Ltd. | Copper-coated steel wire and stranded wire |
CN112534519B (zh) * | 2018-08-07 | 2023-03-10 | 住友电气工业株式会社 | 铜覆钢线以及绞合线 |
DE112019007510T5 (de) | 2019-06-28 | 2022-03-10 | Sumitomo Electric Industries, Ltd. | Kupferbeschichteter Stahldraht, Litze, isolierter elektrischer Draht und Kabel |
DE112019007509T5 (de) | 2019-06-28 | 2022-03-10 | Sumitomo Electric Industries, Ltd. | Kupferbeschichteter Stahldraht, Feder, Litze, isolierter elektrischer Draht und Kabel |
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