JP3631355B2 - 銅又は銅合金被覆鋼トロリ線の製造方法 - Google Patents

銅又は銅合金被覆鋼トロリ線の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は鋼線からなる芯材の周囲に銅又は銅合金素材が被覆され鉄道の架線等に使用される銅又は銅合金被覆鋼トロリ線の製造方法に関し、特に、鋼線と銅又は銅合金素材との接合性が高い銅又は銅合金被覆鋼トロリ線の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、鉄道用のトロリ線には銅又は銅合金(以下、銅及び銅合金を総称して銅という)線が使用されているが、電車の高速運行のためには十分な強度が得られない。このため、高い強度を有するトロリ線が要望されており、このような高い強度を有するトロリ線として、鋼線からなる芯材に銅素材が被覆された銅被覆鋼トロリ線が提案され(特公平2−11460号公報)、新幹線等の高速運行電車用として使用されている。この従来の銅被覆鋼トロリ線の製造方法は以下のとおりである。先ず、鋼線を銅の溶湯中に連続的に浸漬し、鋼線の周囲に銅素材を凝固させて付着する。次に、一定の温度で熱間圧延することにより銅被覆鋼線素線を作製する。そして、伸線加工することにより銅被覆鋼トロリ線を製造する。
【0003】
この従来の製造方法においては、鋼線を銅の溶湯中に浸漬し、鋼線の表面に銅溶湯を付着する際に、鋼線の表面は銅溶湯との濡れ性を良くするために極めて平滑な活性状態である必要がある。このため、極めて厳密な管理の下で、鋼線表面の前処理を行う必要がある。
【0004】
前処理方法としては、例えば、酸洗い、ショットブラスト及びブラシ研磨等があり、鋼線表面に存在する酸化皮膜等の汚れ等を除去することができる。しかし、鋼線表面の平滑性が低く、表面に均一に銅素材を付着し凝固させることができない。このため、芯材である鋼線と銅素材との界面に空隙又は接合不良部が残留してしまう。
【0005】
そこで、実際には、特殊な加工が施された工具ダイス(以下、皮剥ダイスという)により前処理として鋼線表面を連続的に皮剥しながら、真空排気されたハウジング内に鋼線を導入し、真空状態を保ったまま銅の溶湯中に浸漬する方法が行われている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述の皮剥ダイスを使用する製造方法では、炭素含有量が0.35重量%以下の低強度の鋼線しか使用できないという重大な欠点があった。これは、芯材として炭素含有量が0.35重量%を超えるような所謂硬鋼線を使用した場合には、製造中に皮剥ダイスの刃先が極めて欠けやすく寿命が短くなり、均一な皮剥が行われなくなる。このため、鋼線表面に銅素材が均一に付着されず、芯材である鋼線と銅素材との接合性不良が生じたり、伸線加工時に鋼線が断線する等、製造が安定しないためである。従って、この製造方法では炭素含有量が0.35重量%以下の低強度の鋼線のみしか使用することができない。この鋼線から製造される銅被覆鋼トロリ線の強度は日本国内で標準的に使用されている長手方向と直交する方向の断面積が110mmサイズのもので67kgf/mm、170mmサイズのもので66kgf/mm程度が最高値であり、今後の更なる電車の高速化に対応するための高い強度を得ることはできないという問題点がある。
【0007】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、芯材である鋼線とこれに被覆される銅又は銅合金素材との接合性を高くすることができ、好ましくは安定して製造することができ、高強度及び高硬度のトロリ線を製造することができる銅又は銅合金被覆鋼トロリ線の製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る銅又は銅合金被覆鋼トロリ線の製造方法は、鋼線の表面を500℃以上に加熱する工程と、直ちにこの鋼線の周囲に600乃至800℃の銅又は銅合金素材をコンフォームにより押出して被覆する工程とを有することを特徴とする。
【0009】
本発明においては、鋼線の表面とそれに被覆される銅又は銅合金素材の温度が適切な温度に加熱されているので、鋼線と銅又は銅合金素材との間の拡散が起こりやすく、十分な接合性が得られる。また、前処理として皮剥が不要であるので、芯材として、硬質で高強度の硬鋼線を問題なく使用することができる。
【0010】
なお、前記鋼線の表面を加熱する工程は、800℃以下に加熱する工程であることが好ましい。鋼線表面を加熱する温度を800℃以下とすることにより、銅又は銅合金素材を押出す際に鋼線に十分な強度を保持させ、安定して銅被覆鋼トロリ線を製造することができる。
【0011】
また、前記鋼線にはその長手方向の双方向に、表面が加熱された温度における前記鋼線の降伏荷重の80%以下の張力が負荷されていることが好ましい。鋼線の長手方向に負荷される張力を適切なものにすることにより、銅又は銅合金素材を押出す際に鋼線に十分な強度を保持させ、安定して銅被覆鋼トロリ線を製造することができる。
【0012】
更にまた、前記鋼線は硬鋼線又は合金鋼線からなることが好ましい。鋼線として硬鋼線又は合金鋼線を使用することにより、銅被覆鋼トロリ線の強度を高めることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例方法ついて、添付の図面を参照して具体的に説明する。図1は本発明の実施例方法に使用される押出加工装置を示す模式的断面図である。本実施例方法に使用される押出加工装置には芯材である鋼線の表面に付着した酸化皮膜及び油分等を除去する前処理装置8が配設されている。前処理装置8としては、酸洗い、ショットブラスト若しくはブラシ研磨又はこれらの組み合わせを行う装置が使用され、複数台配設されてもよい。前処理装置8の次工程側には誘導加熱装置9が配設されている。この誘導加熱装置9には供給管18が接続されており、供給管18の誘導加熱装置9に対して逆側の端部にはダイチャンバ6が接続されている。
【0014】
ダイチャンバ6には鋼線に被覆される銅素材を押出すコンフォーム17が接続されている。このコンフォーム17は回転駆動するホイール2と、その外側に設けられ固定されたシューブロック3と、ホイール2とシューブロック3との間に形成された導入路4と、ホイール2の外周に沿って形成された導入路4の方向を変えるアバットメント5とから構成されている。そして、導入路4の端部はダイチャンバ6に接続されている。また、ダイチャンバ6はシューブロック3の内部に設けられている。
【0015】
図2はダイチャンバを示す模式的断面図である。ダイチャンバ6は鋼線に銅素材を被覆するためのチャンバ11を形成するダイ19と、チャンバ11と供給管18とを接続するニップル10と、鋼線に銅素材が被覆されて形成される銅被覆鋼トロリ線の形状を調節するダイス13とにより構成されている。
【0016】
そして、ダイチャンバ6の次工程側には、銅被覆鋼トロリ線を冷却する冷却槽が配設されており、その次工程側には、押出時に鋼線7に負荷される次工程側への張力を調節する引き取り機15が配設されている。更に、その次工程側には、銅被覆鋼トロリ線を巻き取る巻き取り機16が配設されている。
【0017】
次に、前述の押出加工装置を使用した本発明の実施例方法について説明する。図1に示すように、先ず、銅素材1をその表面に付着した酸化皮膜及び油分等の汚れが完全に除去された状態で導入路4に導入する。そして、ホイール2を矢印方向に回転させ、銅素材1を導入路4の中にホイール2の外周に沿って連続的に供給すると共に、銅素材1をシューブロック3とホイール2との間の摩擦熱及び圧力により600乃至800℃に加熱して可塑流動的な状態とする。そして、アバットメント5において、銅素材1の移動する方向を変え、可塑流動的な状態でダイチャンバ6内のチャンバ11に押出す。
【0018】
このとき、銅素材1の温度を600℃未満とすると、可塑流動化させる際の銅素材1の変形抵抗が極めて大きくなるので、ホイール2にかかる負荷が極めて大きくなり、その寿命が短くなる。また、鋼線に被覆される際に、鋼線との間の拡散が不十分となり、接合性が低下する。更に、銅素材1の押出圧力により鋼線が変形してしまう。
【0019】
一方、銅素材1の温度が800℃を超えると、導入路4、アバットメント5及びダイチャンバ6等の銅素材1と接触する工具が熱に耐えられず、摩耗及び損傷が激しくなるため、これら工具の寿命が短くなる。従って、銅素材の押出温度は600乃至800℃とする。
【0020】
一方、鋼線7は前処理装置8に供給されて、その表面に酸化皮膜又は油分等の汚れが残留しないように清浄化される。そして、誘導加熱装置9に供給される。ここで、鋼線7はその表面を500乃至800℃に加熱され、直ちに供給管18及びニップル10を介してチャンバ11に供給される。
【0021】
鋼線7表面の加熱温度が500℃未満であると、銅素材が被覆される際に、600乃至800℃に加熱されている銅素材の温度との差が極めて大きいため、銅素材との間の拡散が不十分となり、接合性が低下する。従って、鋼線表面の加熱温度は500℃以上とする。
【0022】
一方、鋼線7表面の加熱温度が800℃を超えると、銅素材が被覆される際の強度が低くなり、銅素材の押出圧力により鋼線7の外径が所望のものより細くなったり、断線することがある。このため、所望の銅被覆率を得にくくなると共に、銅被覆鋼トロリ線を安定して製造することが困難となる。従って、鋼線表面の加熱温度は800℃以下であることが好ましい。
【0023】
そして、チャンバ11に供給された鋼線7はそこに押出された可塑流動的な状態の銅素材1をその表面に被覆され、銅被覆鋼トロリ線12が形成される。次いで、ダイス13により所望の形状を有するように銅被覆鋼トロリ線12が押出され、冷却槽14で冷却される。その後、銅被覆鋼トロリ線12は引き取り機15によって張力を調節されながら、巻き取り機16により巻き取られる。
【0024】
鋼線7に銅素材1を被覆して銅被覆鋼トロリ線12を製造する工程中に、鋼線7にはその長手方向の双方向に張力が負荷されている(以下、前工程方向にかかる張力を後方張力、次工程方向にかかる張力を前方張力という)。この張力は鋼線7の表面が加熱された温度における降伏荷重の80%以下であることが好ましい。張力が降伏荷重の80%を超えると、製造ラインの途中で鋼線7の外径が局部的又は全体的に所望のものより細くなったり、断線することがある。このため、所望の銅被覆率を得にくくなると共に、銅被覆鋼トロリ線を安定して製造することが困難となる。従って、鋼線に負荷される張力は表面が加熱された温度における降伏荷重の80%以下であることが好ましい。
【0025】
なお、鋼線の材料は特に限定されるものではない。安価で強度が高い硬鋼線の他、軽量化及び高強度化に好適なステンレス鋼等の合金鋼を使用することもできる。つまり、鋼線の靱性又は伸線性に悪影響を及ぼさない程度に、例えば、C、N、S、Si、Ni、Zr、Cr、Co、Ti、Mg、Mo、Mn、Sn又はAl等を1種又は組み合わせて含有する鋼線を使用してもよい。
【0026】
また、鋼線の長手方向と直交する方向の断面形状は特に限定されるものではない。例えば、円、楕円、矩形又は四角形とすることができる。
【0027】
更にまた、ダイスにより押出加工する銅被覆鋼トロリ線の長手方向と直交する方向の断面形状も特に限定されるものではない。従来のように、断面を円として押出加工して、その後、伸線加工によりトロリ線の形状に仕上げてもよく、予めトロリ線の形状に近い形状に押出加工して、伸線加工を簡略化してもよい。
【0028】
本実施例によれば、鋼線に銅素材を被覆する工程の前処理として従来使用されている皮剥を行わず、酸洗い、ショットブラスト若しくはブラシ研磨又はこれらの組み合わせを行っても、良好な鋼線と銅素材との接合性を得ることができる。
【0029】
また、鋼線として炭素含有量が0.35重量%以上の硬鋼線材を使用した場合には、特に強度が高い高強度銅被覆鋼トロリ線を製造することができる。
【0030】
【実施例】
以下、本発明の実施例について、その特許請求の範囲から外れる比較例と比較して具体的に説明する。
【0031】
第1実施例
先ず、直径が12mmであるJIS C 1020無酸素銅線の表面に付着した酸化物及び油分等の汚れを除去した後、この銅線を回転可能なホイールと固定されたシューブロックとにより形成された導入路に連続的に供給した。このとき、ホイールとシューブロックとの間の摩擦熱及び圧力により、銅線を下記表1及び2に示す各実施例及び比較例の温度に加熱し可塑流動的な状態な銅素材とした。
【0032】
一方、直径が10mmでありJIS G 3506に示される炭素含有量が0.63重量%であるSWRH62A硬鋼線からなる鋼線を前処理としてその表面に付着した酸化物及び油分等の汚れを除去した後、誘導加熱装置を使用してその表面を下記表1及び2に示す各実施例及び比較例の温度に加熱した。直ちに、その状態を保ったまま鋼線をダイチャンバ内に誘導し、可塑流動的な状態の銅素材を鋼線の表面に押出して被覆した。そして、ダイスにより外径が22mmの銅被覆鋼トロリ線として押出した。なお、このときの前方張力及び後方張力は鋼線表面の各加熱温度における降伏荷重の80%以下とした。
【0033】
【表1】
Figure 0003631355
【0034】
【表2】
Figure 0003631355
【0035】
そして、押出に使用されたアバットメント及びダイチャンバ等の工具の摩耗、押出された銅被覆鋼トロリ線の芯材である鋼芯と被覆された銅素材との接合性並びに鋼芯の変形について評価した。
【0036】
なお、接合性については、カッタで切断した際の切断破面及び長手方向への引張試験を行った際の引張破面について、10倍の拡大鏡を使用して観察し、鋼芯と銅素材との間の剥離を評価した。このとき、剥離が生じていなかったものを○、僅かな剥離が生じていたものを△、大きな剥離が生じていたものを×とした。
【0037】
また、鋼芯の変形については、鋼芯の直径が全く変化しておらず、直径が10mmのままのものを○、直径が9.5以上10mm未満の範囲内に軽度に変形したものを△、直径が9.5mm未満にまで変形したものを×とした。これらの結果を下記表3及び4に示す。
【0038】
【表3】
Figure 0003631355
【0039】
【表4】
Figure 0003631355
【0040】
上記表3に示すように、実施例1乃至11においては、鋼線の表面が適切な温度に加熱され、適切な温度の銅素材が押出され被覆されているので、工具の摩耗が少なく、接合性が良好であった。特に、実施例1乃至9においては、鋼線表面の加熱温度が800℃以下であるので、鋼芯の変形がなく安定して銅被覆鋼トロリ線を押出すことができた。
【0041】
一方、上記表4に示すように、比較例34乃至37においては、鋼線表面の加熱温度が本発明範囲の下限未満であるので、鋼芯と銅素材との接合性が不十分であった。
【0042】
比較例34、38、40及び42においては、銅素材の押出温度が本発明範囲の下限未満であるので、銅線を可塑流動化させる際に変形抵抗が極めて大きく、ホイールにかかる負荷が極めて大きくなり、工具の摩耗が多かった。また、銅素材の押出圧力が極めて高くなり、鋼芯が変形した。
【0043】
比較例37、39、41及び43においては、銅素材の押出温度が本発明範囲の上限を超えているので、アバットメント及びダイチャンバ等の銅素材と接触する工具に激しい摩耗及び損傷があった。
【0044】
第2実施例
銅素材の押出温度を700℃、鋼線表面の加熱温度を下記表5に示す各実施例及び比較例の温度とし、後方張力を鋼線の各加熱温度における降伏荷重の80%以下とし、下記表5に示す前方張力を負荷しながら、第1実施例と同様にして銅被覆鋼トロリ線を押出した。なお、表5中の前方張力は鋼線表面の各加熱温度における降伏荷重に対する比で表されている。また、第3実施例において、比較例とは請求項3の範囲から外れる前方張力が負荷されたものをいう。
【0045】
【表5】
Figure 0003631355
【0046】
そして、押出された各実施例及び比較例の銅被覆鋼トロリ線における鋼芯の変形の有無について調査を行った。この結果を下記表6に示す。
【0047】
【表6】
Figure 0003631355
【0048】
上記表6に示すように、実施例12乃至20においては、負荷された前方張力が鋼線表面の加熱温度における降伏荷重に対して80%以下であるので、鋼芯の変形がなく、所望の銅被覆率を有する銅被覆鋼トロリ線が得られた。
【0049】
一方、比較例44乃至49においては、前方張力が請求項3に規定する範囲の上限を超えているので、鋼芯が変形するか、又は断線した。このため、安定して押出を行うことが困難であり、所望の銅被覆率を有する銅被覆鋼トロリ線は得にくかった。
【0050】
第3実施例
銅素材の押出温度を700℃、鋼線表面の加熱温度を下記表5に示す各実施例及び比較例の温度とし、前方張力を鋼線の各加熱温度における降伏荷重の80%以下とし、下記表7に示す後方張力を負荷しながら、第1実施例と同様にして銅被覆鋼トロリ線を押出した。なお、表7中の後方張力は鋼線表面の各加熱温度における降伏荷重に対する比で表されている。また、第3実施例において、比較例とは請求項3の範囲から外れる後方張力が負荷されたものをいう。
【0051】
【表7】
Figure 0003631355
【0052】
そして、押出された各実施例及び比較例の銅被覆鋼トロリ線における鋼芯の変形の有無について調査を行った。この結果を下記表8に示す。
【0053】
【表8】
Figure 0003631355
【0054】
上記表8に示すように、実施例21乃至29においては、負荷された後方張力が鋼線表面の加熱温度における降伏荷重に対して80%以下であるので、鋼芯の変形がなく、所望の銅被覆率を有する銅被覆鋼トロリ線が得られた。
【0055】
一方、比較例50乃至55においては、後方張力が請求項3に規定する範囲の上限を超えているので、鋼芯が変形するか、又は断線した。このため、安定して押出を行うことが困難であり、所望の銅被覆率を有する銅被覆鋼トロリ線は得にくかった。
【0056】
第4実施例
先ず、外径が10mmであり下記表9に示す炭素含有量の鋼線を使用して、第1実施例と同様にして、銅被覆鋼トロリ線を押出した。次に、下記表9に示す断面積となるまで伸線加工した。なお、実施例30及び32に使用された鋼線はSWRH62A硬鋼線であり、実施例31及び33に使用された鋼線はSWRH82A硬鋼線である。また、第4実施例において、比較例とは請求項4の範囲から外れるものである。
【0057】
【表9】
Figure 0003631355
【0058】
そして、伸線加工された各実施例及び比較例の銅被覆鋼トロリ線の引張強度及び導電率を測定した。この結果を下記表10に示す。
【0059】
【表10】
Figure 0003631355
【0060】
上記表10に示すように、実施例30乃至33においては、適切な量の炭素を含有する硬鋼線を使用しているので鋼線自体の強度が高く、導電率を低下させることなく、高い強度を有する銅被覆鋼トロリ線を得ることができた。
【0061】
一方、比較例56及び57においては、炭素含有量が低い軟鋼線を芯材として使用したので、高い引張強度を得にくかった。
【0062】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、芯材である鋼線とこれに被覆される銅又は銅合金素材との接合性を高くすることができる。また、請求項2乃至4のように、硬鋼線を使用し、その表面の加熱温度を最適化すると共に、鋼線にかかる張力を適切なものとすることにより、銅被覆鋼トロリ線を安定して製造することができ、高強度及び高硬度のトロリ線を得ることができるができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例方法に使用される押出加工装置を示す模式的断面図である。
【図2】ダイチャンバを示す模式的断面図である。
【符号の説明】
1;銅素材
2;ホイール
3;シューブロック
4;導入路
5;アバットメント
6;ダイチャンバ
7;鋼線
8;前処理装置
9;誘導加熱装置
10;ニップル
11;チャンバ
12;銅被覆鋼トロリ線
13;ダイス
14;冷却槽
15;引き取り機
16;巻き取り機
17;コンフォーム
18;供給管
19;ダイ

Claims (4)

  1. 鋼線の表面を500℃以上に加熱する工程と、直ちにこの鋼線の周囲に600乃至800℃の銅又は銅合金素材をコンフォームにより押出して被覆する工程とを有することを特徴とする銅又は銅合金被覆鋼トロリ線の製造方法。
  2. 前記鋼線の表面を加熱する工程は、800℃以下に加熱する工程であることを特徴とする請求項1に記載の銅又は銅合金被覆鋼トロリ線の製造方法。
  3. 前記鋼線にはその長手方向の双方向に、表面が加熱された温度における前記鋼線の降伏荷重の80%以下の張力が負荷されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の銅又は銅合金被覆鋼トロリ線の製造方法。
  4. 前記鋼線は硬鋼線又は合金鋼線からなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の銅又は銅合金被覆鋼トロリ線の製造方法。
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