JP4039880B2 - 外層被覆ポリオレフィン管 - Google Patents

外層被覆ポリオレフィン管 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
この発明は外層被覆ポリオレフィン管に関し、特にたとえば、ポリオレフィン系合成樹脂からなる内層およびこの内層の外周面を被覆する外層を有する、外層被覆ポリオレフィン管に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリオレフィン系合成樹脂からなるポリオレフィン管(ポリエチレン管,ポリブテン管等)の接合には、管ないし継手の接合面を加熱溶融して接着させる熱融着接合または電気融着接合方法が一般的に用いられる。この接合方法では、融着面にゴミが付着していたり、管表面の材料が酸化されていたりすると、完全には接合し難く、接合不良を生じる。つまり、良好な接合のためには新しい清浄な融着面が必要となる。
【0003】
従来、このような新しい面を得るために、接合前に管表面を切削(スクレープ)する方法が主に用いられていた。しかしながら、このスクレープ作業には、手動型または電動型の専用切削工具(スクレーパ)等を用いる必要があり、作業が煩雑であり時間がかかるという問題があった。
【0004】
そこで、たとえば、平成7年1月6日付けで出願公開された特開平7−1542号公報[B29C47/02,47/20,65/02,65/78,B32B1/08]、または平成7年6月27日付けで出願公開された特開平7−164554号公報[B29D23/00,F16L9/12]等に記載されているように、管の外周面に予め外層を設けておき、接合前に外層を除去することによって新しい面を得るようにした技術が提案されている。すなわち、特開平7−1542号公報では、2層パイプ押出用ダイを用いた共押出により内外層を同時に押出した管が開示される。この外層はたとえば白亜またはタルク等の充填剤によって適度に堅くされており、外層を除去する際には、たとえば叩くことによって破壊するとともに内層から剥離させたり、もしくは、専用の工具を使って外層を剥離したりしていた。また、特開平7−164554号公報では、熱収縮性のチューブ状薄膜を収縮させて外周面に密着させた管が開示される。このように除去のための何らの手掛りもなく内層に密着している薄膜(外層)を除去するのは困難であり、たとえば分岐管取付けの際に所望の部分のみを剥がしたり、調整管として使用する短管(切管)の薄膜を剥がしたりすること等も困難となるが、この公報では外層の所望の位置にナイフを当てて切断することによって外層を剥がすようにしていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述の従来技術では、外層を叩き割ったり、または薄膜を切断したりする必要があるので、特別な工具が必要でしかも作業に時間がかかる等、作業性が悪かった。さらに、内管(内層)の外周面に傷が付く等の悪影響を与えるおそれがあった。
【0006】
それゆえに、この発明の主たる目的は、簡単に外層を剥がすことができ、しかも内層を傷付けることもない、外層被覆ポリオレフィン管を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
第1の発明は、ポリオレフィン系合成樹脂からなる内層および前記内層の外周面を被覆する外層を有する外層被覆ポリオレフィン管において、外層を剥ぎ取るためのガイドとして、外側に突出しかつ粗面加工を施した立ち上がり部を設けたことを特徴とする、外層被覆ポリオレフィン管である。
【0008】
第2の発明は、ポリオレフィン系合成樹脂からなる内層および内層の外周面を被覆する外層を有する外層被覆ポリオレフィン管において、外層は熱収縮シートであり、熱収縮シートの全面に粗面加工を施したことを特徴とする、外層被覆ポリオレフィン管である
【0009】
【作用】
第1の発明では、外層を剥ぎ取るためのガイドが形成される。ガイドは、たとえば外側に突出しかつ粗面加工を施した立ち上がり部であってよい。このガイドを手掛りとして、たとえば、外層をガイドから切断したりすることができる。また、外層は、たとえば先に押出された内層に対して共押出され、または熱収縮シートを収縮させて内層に密着させること等によって設けられる。この外層は内層と一体化されていないので、容易に除去できる。したがって、簡単に外層を剥ぎ取ることができる。しかも、粗面加工によって、立ち上がり部の引き裂き性を向上できる。
【0010】
第2の発明では、熱収縮シートを収縮させることによって、外層が設けられる。この熱収縮シートは、その全面にわたって微細な傷等を付けるような粗面加工を施したものである。外層を簡単に手で引き裂いて剥ぎ取ることができる。
【0011】
【発明の効果】
この発明によれば、容易に外層を剥がすことができるので、作業性を向上できる。また、外層を叩き割ったり内層に密着する薄膜外層をナイフで切断したりすることもなく、外層を剥ぎ取ればよいので、内層の外周面に傷が付くおそれもない。
【0012】
この発明の上述の目的,その他の目的,特徴および利点は、図面を参照して行う以下の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【0013】
【実施例】
図1に示すこの実施例の外層被覆ポリオレフィン管(以下単に「被覆管」という。)10は、ポリオレフィン系合成樹脂(ポリエチレン,ポリブテン,ポロプロピレン等)からなる内層12およびこの内層12の外周面を被覆する外層14を含む。被覆管10は、予め設けておいた外層14を、融着接合前に内層12から剥ぎ取ることで、良好な接合のための新しい清浄な融着面を得ることができるものである。
【0014】
被覆管10は、所定長さ(たとえば5m等)の定尺管であり、その内層12は所定の口径および厚みに設定される。外層14は、内層12の外周面全体にわたって設けられてこれを被覆している。外層14は、たとえばポリオレフィン系(低密度ポリエチレン等),塩化ビニル,ポリアミド系(ナイロン)またはエチレンビニルアルコール等からなる。そして、外層14を内層12から剥ぎ取るためのガイドとして、この実施例では、薄肉部16が、外層14の外周面において軸方向に直線状に一端から他端へ延びて形成される。薄肉部16は、たとえばV字またはU字状等の溝であり、その深さは望ましくは外層14の厚みとほぼ同じかやや小さい程度に設定される。
【0015】
この被覆管10は、たとえば、先に単独で押出された内層ないし内管12に対して、さらに外層14を共押出して内管12の外周面を被覆することによって製造される。具体的には、図2に示すような外層14の形成のための第2押出機18および第2金型20が、押出成形の製造ライン中において、たとえばサイジングされて一旦ある程度冷却されている、すなわち、単独で押出成形された状態の内管12に対して外層14を形成できるような位置に介設される。たとえば、内層12を押出すための第1押出機および第1金型,サイジングおよび冷却のための第1から第3の真空水槽,印字機,引取機,アニーリング装置,冷却水槽および切断機等を順に備えるような周知の押出成形製造装置(図示せず)においては、たとえばアニーリング装置と冷却水槽との間に、この第2押出機18および第2金型20を介設すればよい。
【0016】
第2金型20はクロスヘッドダイ(オフセットダイ)であり、マンドレル(内ダイ)20aは内管12を挿通可能なように中空に形成されている。また、外ダイ20bの先端開口における所定位置には、図3から分かるように、V字状またはU字状等の突起22が形成されており、この突起22によって、開口から押出される溶融樹脂すなわち外層14の外周面の所定位置に、溝すなわち薄肉部16が形成される。また、開口から押出された外層14は内層12に密着される。密着は、たとえば縮径テーパ状のスリーブ等を開口の先方に設けたり、次の冷却水槽の入口等に外径を規定するスリーブ等を設けたり、第2金型20の先方において内層12と外層14との間を減圧下に置いたり、または第2金型20の先端部で樹脂流路を縮径テーパ状に形成すること等により行われ得る。このようにして、内層12と外層14とは密着されるが、外層被覆時に内層12は溶融状態にないので、内層12と外層14とは、場合によって弱く接着されることがあり得るが、完全に融着するようなことはなく、両者が完全に一体化されることはない。
【0017】
この被覆管10を使用する際には、外層14で内層12が被覆されたままで施工現場に運搬される。そして、管どうしを融着接合するときに接合部分に相当する部分の外層14が除去される。すなわち、融着接合する際には、まず、薄肉部16で外層14を切断し、または薄肉部16から外層14を切り開く。たとえば、まず、図4(A)に示すように、管端部から薄肉部16に沿って軸方向に所定長さ引き裂くようにし、図4(B)に示すように、周方向の両方向または一方向にも切り開くようにする。上述のように内層12と外層14とは一体化していないので、外層14を簡単に内層12から剥がすことができる。この実施例では、薄肉部16が軸方向に直線状に形成されているので、管端から必要な長さを引き裂くことができたかを容易に判断できる。なお、このとき、必要に応じてナイフ等を用いて、引き裂きの開始のために管端部における薄肉部16に切込みを入れたり、また、周方向への引き裂きのために外層14の切り開かれた部分に切込みを入れたりしてもよい。この場合にも、内層12にはナイフ等が当たることがないので傷が付くおそれはない。
【0018】
このようにして、図4(C)に示すように、被覆管10の管端部に新しい清浄な融着面24を得ることができる。なお、外層14は、接合に必要な大きさの融着面が得られるように必要な部分のみを剥ぎ取ればよい。そして、図4(D)に示すように、この融着面24と継手26の受口28の内周面28aとをヒータ等で加熱溶融して、受口28に被覆管10の管端を差し込んで融着する。融着面24は、直前まで外層14に被覆されていた清浄な面であるため、良好な接合をすることができる。なお、接合される継手26は電気融着継手等であってもよい。
【0019】
なお、外層14およびガイドを内層12の全外面にわたって形成しているので、管端部分だけでなく所望の部分の外層14を剥がすことができる。たとえば分岐管を接続するためのサドル等を設ける場合等にも、同様にして、分岐部を形成する部分の外層14を剥ぎ取ることで対応できる。また、定尺の被覆管10を所定長さに切断して調整管として使用する場合にも対応できる。
【0020】
この実施例によれば、外層14を剥ぎ取るためのガイドとしての薄肉部16を外層14に設けるようにしたので、この薄肉部16を手掛りとして、薄肉部16から外層14を切断し、また薄肉部16に沿って切り開くことができる。また、内層12と外層14とは密着されるが、一体化はされていない。したがって、特別な工具なしに、容易に外層14を剥がすことができ、作業性を向上できる。さらに、外層14を叩いて破壊する等の必要もないので、内層12の外周面に傷が付くおそれがない。
【0021】
なお、上述の実施例では、薄肉部16は軸方向に直線状に形成されたが、薄肉部16の形態は任意であり、たとえば図5に示すように一端から他端へ連続して螺旋状に形成されてもよい。この場合、外層14は、同様にこの薄肉部16に沿って引き裂いて、螺旋状に剥ぎ取るようにすればよい。引き裂きを軸方向および周方向の2段階に分けずに一度に行えるので簡便である。この螺旋状の薄肉部16を形成するには、たとえば、第2金型20の外ダイ20bの突起22が形成された部分を含む先端環状部分を軸周りに回転可能に設けて、これを回転させながら外層14を押出すようにすればよい。
【0022】
また、上述の各実施例では、連続する1本の薄肉部16を形成しているが、薄肉部16は、たとえば間隔を隔てて複数本形成されてもよい。この場合には、複数の位置から外層14を引き剥がすことができ、さらに作業性を向上できる。
【0023】
また、上述の各実施例では、外層14を剥ぎ取るためのガイドとして、薄肉部16を形成するようにしているが、ガイドは外層14を剥ぐための手掛や外層14を引き裂く方向の誘導等になればよいのであって、たとえば図6に示す他の実施例の被覆管10のように、ガイドは外層14に形成されたミシン目30であってもよい。
【0024】
図6実施例では、ミシン目30は被覆管10の一端から他端へ軸方向に直線状に延びて形成される。ミシン目30を構成する凹み30aの深さは外層14の厚みとほぼ同じかやや小さく設定される。このようなミシン目30を形成するには、たとえば、図7に示すように、第2金型20の先方において、ミシン目形成手段として、周方向に延びる複数の刃ないし歯32aが外周面に形成された円盤状等のローラ32を設けて、押出される外層14の外周面に歯32aを食い込ませるようにすればよい。この実施例でも、ミシン目30から外層14を切断し、またミシン目30に沿って切り開くことができるので、簡単に外層14を剥ぎ取ることができる。したがって、作業性を向上できるとともに、内層12の融着面に傷が付くおそれもない。
【0025】
なお、この実施例でも、ガイドとしてのミシン目30の形態は任意であってよく、たとえば図9に示すように、一端から他端へ連続して螺旋状に形成されてもよい。また、複数本のミシン目30が形成されてもよい。
【0026】
また、上述の各実施例では、外層14は内層12に対して共押出することによって形成されるものであったが、外層14は、たとえば熱収縮シートないしフィルムを加熱収縮させることによって設けられてもよい。
【0027】
すなわち、図9および図10に示す他の実施例の被覆管10では、外層14は熱収縮シートからなり、加熱収縮されることによって内層12の外周面に密着される。熱収縮シートは、たとえばポリエチレン,ポリプロピレン,塩化ビニル等を素材として、Tダイ押出法,インフレーション法,チューブ法または流延法等によって製膜され、延伸工程で一軸延伸または二軸延伸して、熱固定ないし冷却固化をすることによって、その後の加熱による収縮性を付与されたものである。また、複数層を共押出することにより、あるいは種々のラミネーション法によっても製造され得る。
【0028】
そして、外層14には、外層14を剥ぎ取るためのガイドとして、一端から他端へ軸方向に直線状に延びるミシン目34が形成されている。なお、ミシン目34を構成する1つ1つの凹みは、シール性確保および内層12保護等の観点から、貫通しない孔であることが望ましい。また、凹みとして貫通孔を形成する場合には、多層フィルムで構成した熱収縮シート42の基材となる層にこれを形成し、シート全体については貫通しないようにするのが望ましい。
【0029】
また、外層14は、図10(A)から分かるように、たとえば管端面をも被覆して保護するように、その軸方向の両端部が内面側に折れ曲がって設けられ、その両端縁がシールされている。なお、図10では、分かり易くするために外層14の厚みは誇張して示されている。また、外層14の両端部は後述のようにシールされなくてもよい。
【0030】
この被覆管10は、たとえば図11に示すような製造装置36を用いて、予め単層で押出成形された内層ないし内管12を熱収縮シートで包装し、その後収縮させることによって製造され得る。製造装置36は、周知のいわゆる長尺ピロー三方シール方式の包装装置38とシュリンクトンネル40とを組み合わせたものである。この製造装置36では、一枚の熱収縮シート42がフォーマ44によって筒状にされたところに内管12が定ピッチ送りで供給される。なお、熱収縮シート42には、軸方向(送り方向)に延びるミシン目34が予め形成されている。熱収縮シート42は、トップシーラ46によって連続的にその端部どうしが重ねられて、たとえば熱溶着によるヒートシールされる。なお、シールされる層には、たとえばヒートシール性を有する材料を用いるのが望ましく、たとえば低密度ポリエチレン,ポリプロピレン,アイオノマー,エチレン酢酸ビニル共重合体等が用いられ得る。
【0031】
このようにして、内管12を熱収縮シート42で包装しつつ、送りコンベア48によって前方へ送る。そして、熱収縮シート42を挟んで対向する一対のクロスシールバー50aおよび50bを備えるクロスシーラ50によって、そこを通過した内管12の後端側で熱収縮シート42を挟み込んで溶断シールする。
【0032】
なお、この実施例では両端部をシールしているが、軸方向端部はたとえばシールせずに切断のみを行い、または部分的なシールを行うこと等によって、熱収縮時に収縮シート42内部の空気を逃がす空気口を両端部に設けるようにしてもよい。また、たとえば、包装後、熱収縮シート42の両端部(内管12の外面の範囲外の部分)に空気抜き用の小孔を複数穿設するようにしてもよいし、あるいは熱収縮シート42の全面にわたってまたは部分的に予め空気抜き用の小孔を多数穿設しておくようにしてもよい。
【0033】
このようにして、熱収縮シート42によって包装された内管12は、たとえばラインの延長上に設けられたシュリンクトンネル40内にコンベア52によって送られる。シュリンクトンネル40は周知のものであり、内部を通過するとき、内管12を包む熱収縮シート42にはヒータ等で加熱された熱風が吹き付けられ、したがって、熱収縮シート42はトンネル内を通過しながら加熱されて収縮する。なお、熱収縮シート42内部の空気は、上述した空気口または空気抜き孔等から逃がされる。このようにして、内管12の外周面に熱収縮シート42が密着されて外層14を形成し、被覆管10が製造される。外層14は内層12の外面に密着されるが一体化はされない。
【0034】
なお、外層14の装着方法は、上述のようなピロー三方シール方式に限定されず適宜変更されるのは言うまでもなく、たとえば四方シール方式や三方シール方式等であってよい。
【0035】
この実施例では、外層14は熱収縮シート42すなわち薄膜であり、ミシン目34を手掛りとしてミシン目34に沿って手で簡単に引き裂くことができる。このようにして、簡単に外層14を剥ぎ取ることができ、作業性を向上できる。しかも、特別な工具を用いることなく手で剥ぎ取ることができるので、内層12の融着面に傷が付くおそれもない。
【0036】
なお、熱収縮シート42の引き裂き方向に異方性があって、つまり、たとえば外層14の軸方向が熱収縮シート42の延伸方向となるように配置され、その直角方向である周方向に手で引き裂くのが困難な場合等は、必要に応じてナイフ等を用いて外層14をその引き裂き困難な方向へ引き裂くようにすればよい。この場合でも、密着状態でなく内層12から剥がれた状態の外層14にナイフ等を当てることができるので、内層12の外周面を傷付けるようなことはない。
【0037】
また、熱収縮シート42は、その延伸方向が外層14の軸方向となるようにして配置されなくてもよく、被覆管10の製造方法に応じて、たとえばその配置方向は内管12の周方向に平行であってよいし、軸方向に対して傾斜したもの等であってもよい。これらの場合には、たとえば周方向またはその傾斜方向等が外層14の易引き裂き方向となる。そして、同様にして、ミシン目34から外層14を引き裂くことができ、そのミシン目34に沿った裂け目からさらに易引き裂き方向へと引き裂きを続けることができる。なお、引き裂き困難な方向に対しては、同様に必要に応じてナイフ等を用いればよい。
【0038】
また、この熱収縮シート42を用いた実施例でも、ミシン目34の形態は任意であってよく、たとえば図12に示すように、螺旋状に形成するようにしてもよい。この場合には、包装・収縮後にこのような螺旋状となるように、熱収縮シート42には、予めたとえば軸方向に対して傾斜した複数のミシン目34を所定間隔で形成しておく。
【0039】
また、上述の各実施例では、ミシン目34の列を構成する1つ1つの凹みは、ミシン目34の延びる方向に平行に配列されているが、その配列方向は適宜変更され、たとえばその延びる方向に対して傾斜等して配列されてもよい。また、凹みの形状は、図示のような棒線状に限定されず、たとえば「V」字状または「ハ」字状等であってもよい。つまり、このようなミシン目34は、線状または帯状等に連続的に形成される多数の傷であってよい。
【0040】
さらにまた、ミシン目34は、たとえば複数本が間隔を隔てて形成されてもよい。また、ミシン目34は、複数列が近接して形成されてもよく、この場合には、たとえば引き裂き時の裂け目がその列から逸れようとしても近接する列でそれを吸収して引き裂きを続行することが可能となる。
【0041】
また、図13に示す他の実施例の被覆管10は、ガイドとしてのテープ54を含む。テープ54は合成樹脂等からなり、このテープ54は熱収縮シートからなる外層14と内層12との間において管軸方向にわたって設けられる。テープ54は、たとえば上述の製造装置36(図11)において、フォーマ44で筒状にされる熱収縮シート42の内面側へ連続的に供給されることによって、内管12とともに熱収縮シート42内に包装される。なお、予めテープ54が装着された熱収縮シート42を供給するようにしてもよい。そして、外層14の端縁に位置するテープ54の端部がつまみタブとなり、このテープ54の端部を持ってこれを外面側へ引っ張り上げることによって、テープ54を手掛として外層14を端縁から引き裂き、さらにテープ54を引っ張ることで引き裂きを誘導させる。したがって、簡単に外層14を剥ぎ取ることができて作業性を向上できるとともに、内層12の外周面を傷つけるおそれもない。なお、外層14の端部におけるテープ54と重なる部分にはノッチ(切れ目ないし切込み)を入れることによって、引き裂きの開始をより簡単に行えるようにしてもよい。
【0042】
また、図14に示す他の実施例の被覆管10は、ガイドとして、外面側に突出する立ち上がり部56を含み、立ちあがり部56は軸方向に直線状に延びて形成される。この立ち上がり部56は、たとえば上述の製造装置36(図11)において、熱収縮シート42の端部どうしを所定長さ立ち上がるような状態に重ね合わせてトップシーラ46でシールすることによって形成される。そして、引き裂きを開始させるために、立ち上がり部56の端縁に、たとえば施工現場でナイフ等を用いて、1つまたは複数のノッチ(図示せず)を入れる。なお、予め製造時等にこのような1つもしくは複数のノッチまたは軸方向に連続するノッチ等を立ち上がり部56の端縁に形成するようにしてもよい。この実施例では、この立ち上がり部56を手掛りとして、所望の位置のノッチから立ち上がり部56を引き裂くことによって、外層14を簡単に引き裂いて剥ぎ取ることができる。また、この立ち上がり部56も、被覆管10の全長にわたって形成されているので、所望の部分の外層14を剥ぎ取ることができる。
【0043】
なお、たとえばノッチを入れるためにナイフ等を用いる場合でも、内層12の外面から突出して離れている立ち上がり部56の先端に刃を当てればよいので、内層12の外周面に傷が付くようなおそれはない。
【0044】
また、立ち上がり部56には、粗面(傷痕)加工を施すようにしてもよい。つまり、立ち上がり部56の軸方向にわたって微細な貫通孔または貫通しない孔(凹み)等の傷を多数、たとえば帯状等に設けるようにしてもよい。このような立ち上がり部56は、たとえばヒートシールの際に周面に微細な粒子や研磨材等が設けられたローラ等を用いることによって、または予め熱収縮シート42の所定位置(幅方向の両端縁等)に粗面加工を施しておくこと等によって、形成され得る。この場合には、立ち上がり部56の引き裂き性を向上できる。また、立ち上がり部56の先端縁にまでこのような粗面加工を施した場合には、ノッチ等を設けなくても引き裂きを任意の位置から開始できる。
【0045】
また、内層12の素材であるポリオレフィン系合成樹脂には、ガソリン,灯油または有機溶剤等のような汚染物質は浸透するおそれがある。しかし、外層14を、汚染物質に対して耐浸透性を有する材料、たとえばナイロン,エチレンビニルアルコールまたは塩化ビニル等を素材として形成した場合、または、耐浸透性を有する材料を素材とする層を含んで構成された単層または多層構造の熱収縮シート42によって外層14を形成した場合等には、汚染物質が内層12内に浸透するのを防止できる。したがって、このような場合、被覆管10は、汚染物質によって土壌が汚染された地域またはそのおそれのある地域(たとえばガソリンスタンド,車両工場,化学工場等の周辺地域)において埋設される管(たとえば水道管等)に使用できる。
【0046】
また、上述の各実施例では、外層14を剥ぎ取るためのガイドを設けるようにしているが、外層14を、その任意の箇所で任意の方向に手で引き裂くことができるように構成した場合には、ガイドを特に設けなくてもよい。
【0047】
すなわち、たとえば、微細な多数の貫通しない孔(凹み)等の傷を穿設する粗面加工を、その全面にわたって施した熱収縮シート42を用いて、これを熱収縮させることによって外層14を形成するようにしてもよい。粗面を形成するためには、たとえば周面に微細な粒子や研磨材等が設けられたローラ等を圧着する方法、またはサンドブラスト加工を施す方法等が用いられ得る。なお、傷として貫通孔を含むものを施す場合には、シール性確保および内層12保護等の観点から、多層フィルムとして構成した熱収縮シート42の基材となる(外面にならない)フィルム層に対してそのような粗面加工を施し、シート全体を貫通しないようにするのが望ましい。
【0048】
これらの場合には、その全面にわたって粗面加工が施されているので、外層14の任意の個所から引き裂きを手で開始することができるとともに、熱収縮シート42の延伸方向の配置の如何に拘らず、任意の方向へ手で引き裂くことができる。このように、外層14が何らの手掛りなく内層12に密着されていても、簡単に外層14を剥ぎ取ることができる。したがって、作業性を著しく向上でき、しかも工具等を用いる必要が全くなく、内層12に傷が付くおそれがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例を示す斜視図である。
【図2】図1実施例の製造工程の一部を示す図解図である。
【図3】図2のIII−III矢視の図解図である。
【図4】図1実施例の使用方法を示す図解図である。
【図5】図1実施例の変形例を示す斜視図である。
【図6】この発明の他の実施例を示す斜視図である。
【図7】図6実施例の製造工程の一部を示す図解図である。
【図8】図6実施例の変形例を示す斜視図である。
【図9】この発明の他の実施例を示す斜視図である。
【図10】図9実施例を示す図解図であり、(A)は軸方向の断面図、(B)は軸方向に直交方向の断面図である。
【図11】図9実施例の製造工程の一部を示す図解図である。
【図12】図9実施例の変形例を示す斜視図である。
【図13】この発明の他の実施例を示す斜視図である。
【図14】この発明の他の実施例を示す斜視図である。
【符号の説明】
10 …外層被覆ポリオレフィン管
12 …内層
14 …外層
16 …薄肉部
30,34 …ミシン目
42 …熱収縮シート
54 …テープ
56 …立ち上がり部

Claims (2)

  1. ポリオレフィン系合成樹脂からなる内層および前記内層の外周面を被覆する外層を有する外層被覆ポリオレフィン管において、
    前記外層を剥ぎ取るためのガイドとして、外側に突出しかつ粗面加工を施した立ち上がり部を設けたことを特徴とする、外層被覆ポリオレフィン管。
  2. ポリオレフィン系合成樹脂からなる内層および前記内層の外周面を被覆する外層を有する外層被覆ポリオレフィン管において、
    前記外層は熱収縮シートであり、前記熱収縮シートの全面に粗面加工を施したことを特徴とする、外層被覆ポリオレフィン管。
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