JP3887956B2 - 光学材料及び光学素子 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、外部刺激に応じて可逆的に光透過率、光散乱性及び光の吸収量等を制御できる光学材料及びそれを用いた光学素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、pH変化、イオン濃度変化、化学物質の吸脱着、溶媒組成変化、又は熱、光若しくは電気刺激等の付与によって可逆的に体積が変化(膨潤又は収縮)する高分子ゲルを利用して、光の透過量や光散乱性を制御する光学材料が知られている。
【0003】
例えば、特開昭61-151621 号公報、特開昭62-925号公報及び特開平4-134325号公報は、温度変化又は電気刺激によって液体を吸収又は放出し体積が変化する高分子ゲルを利用して、高分子ゲルの密度を変化させることにより屈折率を変化させて画像を表示又は消去する素子を開示する。また、特開平5-188354号公報は、電場刺激により液体を吸収又は放出し体積が変化する高分子ゲル粒子を利用して、高分子ゲル粒子の粒径を光の波長より大きく又は小さくし、屈折率を変化させることにより白濁又は透明になる光学素子を開示する。
【0004】
しかし、これらの公報に開示された光学素子では、使用できる高分子ゲルの材料に制限があるので高分子ゲルの屈折率と液体の屈折率との差を大きくすることができず、その結果背景(白濁部)と画像(透明部)のコントラスト( 表示コントラスト) が低い。
【0005】
また、特開昭61-149926号公報及び特公平7-95172号公報は、電場の作用によ
り液体を吸収又は放出し体積が変化する高分子ゲルと、色素によって着色された着色液体を含む組成物とで構成された光学素子を開示する。この光学素子では、高分子ゲルの形状変化によって着色液体が移動し、光吸収量が変化して画像が表示又は消去される。
【0006】
しかし、これらの公報に開示された光学素子では、高分子ゲルの膨潤及び収縮を繰り返すことによって、着色液体が高分子ゲルに混入して高分子ゲルを汚染し、その結果表示コントラストが低下する恐れがある。
【0007】
また、特開昭61-151625号公報及び特開昭62-927号公報は、熱によって膨潤又は収縮する着色した高分子ゲルを用いた素子を開示する。この素子は、高分子ゲルが膨潤したとき、即ち、高分子ゲルの体積が増加したときに、色素濃度が減少して光学濃度が低下し、高分子ゲルが収縮したときに色素濃度が増加して光学濃度が上がることを利用する。
【0008】
しかし、これらの公報に開示された光学素子では、高分子ゲルの体積が小さい時に発色するので、十分な表示コントラストが得られない。
【0009】
さらに、特開平4-274480号公報は、染料が共有結合され、かつ電場によって膨潤又は収縮する高分子ゲルを用いた光学素子を開示する。この光学素子は、高分子ゲルが膨潤したとき、即ち、高分子ゲルの体積が増加したときに高分子ゲル粒子の光の吸収が可能な面積が拡大することによって光学濃度が増加し、高分子ゲルが収縮したとき、即ち、高分子ゲルの体積が減少したときに、前記面積が縮小することによって光学濃度が低下することを利用する。
【0010】
しかし、この公報に提案された光学素子では、高分子ゲルに含まれる色素の濃度が低いために十分な表示コントラストが得られない。
【0011】
また、特開平9-160081号公報は、着色微粒子と、この着色微粒子に吸着させた高分子ゲルとを用いた光学素子を開示する。この光学素子では、電場の作用により高分子ゲルが膨潤又は収縮し、着色微粒子の表面の高分子ゲルで覆われてる割合が変化することによって光学濃度が変化する。
【0012】
しかし、この公報に記載された光学素子では、着色微粒子の量に対する高分子ゲルの使用量を増やすと、高分子ゲルが収縮したときでも光学濃度があまり上がらず、表示コントラストが低下する。逆に使用量を減らすと、高分子ゲルが膨潤したときでも光学濃度があまり下がらず、表示コントラストが低下する。
【0013】
また、本発明者らは特願平9-345541において新規な光学材料を提案している。この出願に記載された光学材料は、刺激の付与により液体を吸収又は放出して膨潤又は収縮する高分子ゲル中に飽和吸収濃度以上の顔料を含有する。この光学材料では、高分子ゲルが収縮したときには、顔料が局所的に凝集して光吸収効率及び光学濃度が低下し、消色する。一方、高分子ゲルが膨潤したときには、顔料が光学材料全体に拡散することで光吸収効率が向上し、光学濃度が上がり発色する。
【0014】
しかし、この出願に開示された光学材料では、高分子ゲルが収縮したときでも高分子ゲル中に含有された凝集した高濃度の顔料が光を吸収するために、完全に消色できない。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はかかる従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、表示コントラストが高い新規な光学材料及び光学素子を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記の目的は、以下の本発明により達成される。即ち、本発明は、外部刺激に応じて液体を吸収又は放出することによって可逆的に体積が変化する高分子ゲルと、該高分子ゲルの表面の少なくとも一部を被覆する光散乱部材とから構成され、該光散乱部材は該高分子ゲルが膨潤する条件下で収縮し、該高分子ゲルが収縮する条件下で膨潤する第2の高分子ゲルと、該第2の高分子ゲルに分散された該液体の屈折率と異なる屈折率を有する光散乱性材料とで形成されたことを特徴とする光学材料を提供する。
【0017】
また、本発明は、この光学材料、及びこの光学材料から放出され又はこの光学材料に吸収される液体を一対の基板間に保持するセルを有する光学素子を提供する。
【0018】
これらの光学材料及び光学素子において、高分子ゲルが収縮したときの平均粒子径が0.01μm〜5mmの粒子であるが好ましく、光散乱部材が高分子材料を含む場合には、光散乱部材は平均粒子径が0.01μm〜1mmの粒子であることが好ましい。また、光散乱性材料は平均粒子径が0.001μm〜10μmの粒子であることが好ましい。さらに、高分子ゲルには色素が含有されてもよい。この場合、高分子ゲルが収縮したときの色素の濃度が飽和吸収濃度以上であることが好ましい。また、高分子ゲルが膨潤したときの色素の光吸収効率は高分子ゲルが収縮したときのそれより高いことが好ましい。さらに、高分子ゲルが収縮し色素が凝集した又は濃縮されたときにこの凝集又は濃縮部分で局所的に飽和吸収濃度以上の色素濃度が得られるように色素が高分子ゲル中に含まれてもよく、これにより全体としての色素濃度が飽和吸収濃度未満であっても、十分な表示コントラストが得られる。外部刺激としては、pH変化、イオン濃度変化、化学物質の吸着脱、溶液組成変化、並びに熱、光、電気及び磁界によるエネルギー付与等が挙げられる。
【0019】
また、本発明の光学素子は該セルに外部刺激を付与する刺激付与手段をさらに有してもよい。
【0020】
図1(a)と図1(b)は、それぞれ本発明の光学材料10の高分子ゲル12が収縮したときと膨潤したときを示す
光散乱部材14は高分子ゲル12の表面の特定位置に固定され、高分子ゲル12が収縮したときの光散乱部材14同士の間隔は高分子ゲル12が膨潤したときのそれより狭く、高分子ゲル12表面の露出部分が少ない。このため光学材料10に照射された光16の多くは光散乱部材14により反射(散乱)され、高分子ゲル12を透過する光16が少なく、光学材料10は不透明になる。
【0021】
一方、高分子ゲル12が膨潤したときの光散乱部材14同士の間隔は高分子ゲル12が収縮したときのそれより広く、高分子ゲル12表面の露出部分が多い。このため高分子ゲル12を透過する光16が多く、光学材料10は透明になる。
【0022】
このように、本発明の光学材料10は、高分子ゲル12を膨潤又は収縮させ、高分子ゲル12内部に入射する光16及び高分子ゲル12外部に出る光16の量を制御することによって、光の透過量及び光の散乱性を著しく変えることができる。
【0023】
また、光学材料10が色素18を含む場合には、図2(a)に示されるように、高分子ゲル12が収縮したときには、光学材料10に照射された光16の多くが光散乱部材14で反射され、光の吸収に寄与しない色素18が増えるだけでなく、色素18が凝集又は濃縮されているために、色素18同士が重なりあい、色素全体の光を吸収する面積が小さくなり、色素18一粒子(又は一分子)あたりの光吸収能力が低下し、光学材料10の光吸収効率が低下する。このように、高分子ゲル12が収縮したときには、ほとんど光16が高分子ゲル内に入射せず、また、入射しても色素18の吸収面積が小さいため、消色する。
【0024】
また、図2(b)に示されるように、高分子ゲル12が膨潤したときには、高分子ゲル12内部に入射する光16が多いだけでなく、色素18が拡散又は希釈されているために、色素18同士が重なることがなく、色素全体の光を吸収する面積が大きくなり、光学材料10の光吸収効率が上がる。このように、高分子ゲル12が膨潤したときには、多くの光16が高分子ゲル内部の吸収面積の大きい色素18に入射し、発色する。
【0025】
以上のように、本発明の色素を含む光学材料では、高分子ゲルを膨潤又は収縮させ、高分子ゲル内部に入射する光の量、色素の吸収面積及び光吸収効率を制御することによって、その発色濃度を著しく変えることができる。
【0026】
また、本発明の光学材料では、それ自身で光の透過量及び光散乱性並びに発色濃度が変化する。従って、この光学素子では液晶表示で必要不可欠な複雑な構成が不要であり、また視認性が見る角度に依存しない。
【0027】
【発明の実施の形態】
本発明の光学材料は、外部刺激に応じて液体を吸収又は放出することによって可逆的に体積が変化する高分子ゲルと、該高分子ゲルの表面の少なくとも一部を被覆する光散乱部材とから構成される。
【0028】
本発明の光学材料に使用可能な高分子ゲルには、pH変化、イオン濃度変化、化学物質の吸着脱、溶液組成変化、並びに熱、光、電気及び磁界によるエネルギー付与等の外部刺激によって液体を吸収し、放出し、可逆的に体積が変化(膨潤及び収縮)する(刺激に応答する)高分子ゲルを使用する。
【0029】
pH変化によって体積が変化する高分子ゲルとしては、電解質系高分子ゲルが好ましく、ポリ(メタ)アクリル酸の架橋物及びその金属塩;(メタ)アクリル酸と、(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート及び/又は(メタ)アクリル酸アルキルエステル等との共重合体の架橋物及びその金属塩;ポリマレイン酸の架橋物及びその金属塩;マレイン酸と、(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート及び/又は(メタ)アクリル酸アルキルエステル等との共重合体の架橋物及びその金属塩;ポリビニルスルホン酸の架橋物;ビニルスルホン酸と、(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート及び/又は(メタ)アクリル酸アルキルエステル等との共重合体の架橋物;ポリビニルベンゼンスルホン酸の架橋物及びその金属塩;ビニルベンゼンスルホン酸と、(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート及び/又は(メタ)アクリル酸アルキルエステル等との共重合体の架橋物及びその金属塩;ポリアクリルアミドアルキルスルホン酸の架橋物及びその金属塩;アクリルアミドアルキルスルホン酸と、(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート及び/又は(メタ)アクリル酸アルキルエステル等との共重合体の架橋物及びその金属塩;ポリジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドの架橋物及びその塩酸塩;ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドと、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート及び/又は(メタ)アクリル酸アルキルエステル等との共重合体の架橋物並びにその金属塩及び塩酸塩;ポリジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドとポリビニルアルコールとの複合体の架橋物及びその塩酸塩;ポリビニルアルコールとポリ(メタ)アクリル酸との複合体の架橋物及びその金属塩;カルボキシアルキルセルロース金属塩の架橋物;並びにポリ(メタ)アクリロニトリルの架橋物の部分加水分解物及びその金属塩等が挙げられる。
【0030】
イオン濃度変化によって体積が変化する高分子ゲルとしても、前記電解質系高分子ゲル等が挙げられる。
【0031】
電界による界面活性剤等の化学物質の吸脱着によって体積が変化する高分子ゲルとしては、強イオン性高分子ゲルが好ましく、ポリビニルスルホン酸の架橋物;ビニルスルホン酸と、(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート及び/又は(メタ)アクリル酸アルキルエステル等との共重合体の架橋物;ポリビニルベンゼンスルホン酸の架橋物;ビニルベンゼンスルホン酸と、(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート及び/又は(メタ)アクリル酸アルキルエステル等との共重合体の架橋物;ポリアクリルアミドアルキルスルホン酸の架橋物;アクリルアミドアルキルスルホン酸と、(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート及び/又は(メタ)アクリル酸アルキルエステル等との共重合体の架橋物等が挙げられ、これらは、n−ドデシルピリジニウムクロライド等のアルキルピリジン塩、アルキルアンモニウム塩、フェニルアンモニウム塩、テトラフェニルホスフォニウムクロライド等のホスホニウム塩等のカチオン性界面活性剤との組み合わせで使用される。
【0032】
熱の付与によって体積が変化する高分子ゲル(熱応答性高分子ゲル)としては、LCST(下限臨界溶解温度)やHCST(上限臨界溶解温度)を持つ高分子の架橋物が好ましく、ポリN−イソプロピルアクリルアミド等のポリアルキル置換(メタ)アクリルアミドの架橋物;アルキル置換(メタ)アクリルアミドと、(メタ)アクリル酸及びその金属塩、(メタ)アクリルアミド、並びに(メタ)アクリル酸アルキルエステル等の少なくとも1種との共重合体の架橋物;ポリビニルメチルエーテルの架橋物;ポリ(メタ)アクリルアミドとポリ(メタ)アクリル酸とのIPN(Interpenetrating Polymer Networks )架橋物;メチルセルロース、エチルセルロース及びヒドロキシプロピルセルロース等のアルキル置換セルロース誘導体の架橋物等が挙げられる。
【0033】
光の付与によって体積が変化する高分子ゲル(光応答性高分子ゲル)としては、光によってイオン解離する基を有する、トリアリールメタン誘導体及びスピロベンゾピラン誘導体等の親水性高分子化合物の架橋物が好ましく、ビニル置換トリアリールメタンロイコ誘導体とアクリルアミドとの共重合体の架橋物等が挙げられる。
【0034】
電気による酸化又は還元によって体積が変化する高分子ゲルとしては、カチオン性高分子ゲルが挙げられ、これを電子受容性化合物と組み合わせたCT錯体(電荷移動錯体)として好ましく使用される。例えば、カチオン性高分子ゲルとしては、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド等のアミノ置換(メタ)アクリルアミドの架橋物;ジメチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート及びジメチルアミノプロピルアクリレート等の(メタ)アクリル酸アミノ置換アルキルエステルの架橋物;ポリスチレンの架橋物;ポリビニルピリジンの架橋物;ポリビニルカルバゾールの架橋物;ポリジメチルアミノスチレンの架橋物等が挙げられる。また、電子受容性化合物としては、ベンゾキノン、7,7,8,8-テトラシアノキノジメタン(TCNQ)、過塩素酸テトラブチルアンモニウム、テトラシアノエチレン、クロラニル、トリニトロベンゼン、無水マレイン酸及びヨウ素等が挙げられる。
【0035】
磁場の付与によって体積が変化する高分子ゲルとしては、強磁性体粒子又は磁性流体等を含有するポリビニルアルコールの架橋物等が挙げられる。
【0036】
溶液組成変化によって体積が変化する高分子ゲルとしては、前記の全ての高分子ゲル等が挙げられる。
【0037】
上記以外の高分子ゲルも外部刺激により体積が変化するものである限り使用することができる。
【0038】
高分子ゲルの体積変化量は大きいことが好ましく、膨潤したときの高分子ゲルの体積と収縮したときのそれとの比が5以上であることが好ましく、より好ましくは10以上である。体積比が5未満であると、表示コントラストが不十分になる。
【0039】
高分子ゲルの形状には特に制限はなく、粒子状、ブロック状、フィルム状、不定形状、繊維状等の種々のものが使用できる。前記外部刺激に対する体積変化の速度(応答性)が速く、応用範囲が広いことから、高分子ゲルは粒子であることが好ましい。高分子ゲルが粒子である場合、その形状としては、特に限定はなく、球体、楕円体、多面体、多孔質体、星状、針状、中空状等が挙げられる。また、高分子ゲルが粒子である場合、高分子ゲルが収縮したときの平均粒子径が0.01μm〜5mmであることが好ましく、0.1μm〜1mmであることがより好ましい。
【0040】
また、これらの粒子は、高分子ゲルを物理的粉砕方法によって粉砕する方法、架橋前の高分子ゲルを化学的粉砕方法によって粉砕した後にこれを架橋する方法、乳化重合法、懸濁重合法及び分散重合法等の一般的な方法によって作製することができる。
【0041】
さらに、高分子ゲルの外部刺激による体積変化の速度をより高速にするために、多孔質の高分子ゲルを使用して液体の出入りをより容易にすることも好ましい。多孔質の高分子ゲルは、一般に、膨潤した高分子ゲルを凍結乾燥させることにより得られる。
【0042】
上記高分子ゲルには色素を添加することできる。添加する色素には、多くの公知の顔料及び染料を使用することできる。顔料の好適な具体例としては、酸化チタン等の金属酸化物、ブロンズ粉、カーボンブラック、アントラキノン系、アゾ系、フタロシアニン系、キナクリドン系、ペリレン系、インジゴ系等が挙げられ、光吸収係数が高いものが望ましい。また、顔料の一次粒子の平均粒径は0.001μm〜1μmであることが好ましく、0.01μm〜0.5μmであることより好ましい。平均粒子径が0.001μm未満では高分子ゲルから色素が流出し易く、1μmを超えると発色濃度が低下する恐れがある。
【0043】
また、これらの顔料には、分子内にカルボキシル基やスルホン酸基等の酸基、水酸基、アミノ基、チオール基、ハロゲン、ニトロ基、カルボニル基等のような極性基を持ち、顔料濃度が高い場合に高分子ゲル内で凝集体を形成し易いものが好ましい。
【0044】
顔料は高分子ゲル中に含有され、高分子ゲルから流出しないことが好ましい。顔料の流出を防止するためには、使用する高分子ゲルの網目よりも大きな粒子径の顔料を用いること、高分子ゲルとの電気的、イオン的、その他物理的な相互作用が高い顔料を用いること、表面を化学修飾した顔料を用いることが好ましい。表面を化学修飾した顔料としては、例えば、表面に高分子ゲルと化学結合する基を導入したものや、高分子材料をグラフトした顔料等が挙げられる。
【0045】
染料の好適な具体例としては、例えば、アゾ染料、アントラキノン染料、インジゴイド染料、フタロシアニン染料、カルボニウム染料、キノンイミン染料、メチン染料、キノリン染料、ニトロ染料、ベンゾキノン染料、ナフトキノン染料、ナフタルイミド染料、ベリノン染料等が挙げられ、光吸収係数が高いものが望ましい。また、染料は高分子ゲル中に含有され、高分子ゲルから流出しないことが好ましいので、高分子ゲルと化学結合する基が導入されている反応染料等が特に好ましく使用される。
【0046】
高分子ゲル中に色素を含有させる場合、色素の濃度は高分子ゲルが収縮したときに飽和吸収濃度以上になることが望ましい。飽和吸収濃度とは、色素濃度が十分に濃い状態において、単位色素あたりの光吸収効率が低下する濃度である。これを達成するためには、色素の吸光係数にも依存するが、色素濃度は4重量%以上であることが必要がある。従って、高分子ゲルが収縮したときの色素濃度は4重量%〜95重量%であることが好ましく、10重量%〜95重量%であることがより好ましい。色素の濃度が4重量%未満であると、飽和吸収濃度は得られず、高分子ゲルの体積変化による色濃度変化が現れにくくなり、十分なコントラストを得るためには発色層の厚みを厚くする必要がある。また、色素の濃度が95重量%を超える場合、高分子ゲルが膨潤又は収縮しにくくなり、高分子ゲルの刺激に対する応答性や体積変化量が低下してしまう恐れがある。
【0047】
しかし、高分子ゲル全体としての色素濃度は飽和吸収濃度未満であるが、高分子ゲルが収縮し顔料が凝集したときにこの凝集部分で局所的に飽和吸収濃度以上の色素濃度が得られるように顔料を高分子ゲルに含有させてもよい。同様に、高分子ゲル全体としての色素濃度は飽和吸収濃度未満であるが、高分子ゲルが収縮し染料が濃縮されたときに濃縮部分で局所的に飽和吸収濃度以上の色素濃度が得られるように染料を高分子ゲルに含有させてもよい。
【0048】
高分子ゲルに色素を添加する場合、高分子ゲルが膨潤したときの光吸収効率が高分子ゲルが収縮したときの光吸収効率より高くなることが好ましい。そのためには、高分子ゲルが液体を吸収して膨潤したときと、高分子ゲルが液体を放出して収縮したときのそれぞれ光吸収効率の差が所望の値になるように高分子ゲル中に含有される色素の量を選定する必要がある。
【0049】
色素を含有する高分子ゲルは、架橋前の高分子に色素を均一に分散させた後にこの高分子を架橋する方法や、色素が添加されたモノマー組成物を重合する方法によって製造することができる。色素が添加されたモノマー組成物を重合する場合には、前述のように重合性基を持つ顔料や染料を使用し、高分子と色素とを化学結合することが好ましい。
【0050】
また、色素は高分子ゲル中に均一に分散されていることが好ましい。そのために、機械的混練法、攪拌法、又は分散剤等を利用することが好ましい。
【0051】
光散乱部材には、光散乱性材料又はこの光散乱性材料を高分子材料中に分散させたものを使用することができる。光散乱性材料は、高分子ゲルの体積変化に用いられる液体の屈折率と異なる屈折率を有することが好ましく、各種の無機材料及び有機材料が適用できる。
【0052】
好適な無機材料の具体例としては、塩基性炭酸鉛;塩基性硫酸鉛;硫酸鉛;リトボン;硫化亜鉛;炭酸カルシウム;石膏;塩基性炭酸マグネシウム;白雲母、マイカナイト、マイカレックス、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化アンモチモン、酸化ジルコニウム、アルミナ、石英、クレー、シリカ、ケイ酸、珪藻土、タルク、アルミナホワイト、グロスホワイト、サチン白等の無機酸化物;亜鉛、アルメル、アンチモン、アルミニウム、アルミニウム合金、イリジウム、インジウム、オスミウム、クロム、クロメル、コバルト、ジルコニウム、ステンレス鋼、金、銀、洋銀、銅、青銅、すず、タングステン、タングステン鋼、鉄、鉛、ニッケル、ニッケル合金、ニッケリン、白金、白金ロジウム、タンタル、ジュラルミン、ニクロム、チタン、クルップ・オーステナイト鋼、コンスタンタン、真鍮、白金イリジウム、パラジウム、パラジウム合金、モリブデン、モリブデン鋼、マンガン、マンガン合金、ロジウム、ロジウム金等の金属材料;ITO(インジウムスズ酸化物)等の無機導電性材料等が挙げられる。
【0053】
また、好適な有機材料の具体例としては、フェノール樹脂、フラン樹脂、キシレン/ホルムアルデヒド樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、アニリン樹脂、アルキド樹脂、不飽和ポリエステル、エポキシ樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ-p-キシリレン、ポリ酢酸ビニル、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、フッ素系プラスチック、ポリアクリロニトリル、ポリビニルエーテル、ポリビニルケトン、ポリエーテル、ポリカーボネート、熱可塑性ポリエステル、ポリアミド、ジエン系プラスチック、ポリウレタン系プラスチック、ポリフェニレン、ポリフェニレンオキシド、ポリスルホン、芳香族ヘテロ環ポリマー、シリコーン、天然ゴム系プラスチック、セルロース系プラスチック等、及びこれら2種類以上の高分子材料の混合材料(ポリマーブレンド)等の高分子材料が挙げられる。
【0054】
また、この光散乱性材料の形状は特に制限がなく、粒子状、ブロック状、フィルム状、不定形状、繊維状等とすることができる。光散乱性が高く、応用範囲が広いことから、光散乱性材料は粒子状であることが好ましい。光散乱性材料が粒子である場合、その形状は特に制限はないが、球体、楕円体、多面体、多孔質体、星状、針状、中空状等が使用できる。また、光散乱性材料が粒子の場合、平均粒子径は0.001 μm 〜10μm であることが好ましく、0.01μm〜1μmであるこ
とがより好ましい。平均粒子径が0.001 μm 未満又は10μm を超えると、光散乱性材料に求められる光散乱効果が低下する。光散乱性材料の粒子は、一般的な物理的粉砕方法や化学的粉砕方法によって製造することができる。
【0055】
また、光散乱部材がこれらの光散乱性材料を高分子材料に分散させたものである場合、その高分子材料としては特に制限がなく、各種の高分子樹脂及び高分子ゲルを使用することができる。
【0056】
好ましい高分子樹脂の具体例としては、光散乱性材料が有機材料である場合に列記された具体例が挙げられる。また、好ましく用いられる高分子ゲル(以後、光散乱部材用高分子ゲルと呼ぶ)としては、前記の高分子ゲルを使用することができる。光散乱部材用高分子ゲルの外部刺激に対する体積変化の性質は、光散乱部材と共に本発明の光学材料を構成する高分子ゲル(以後、光学材料用高分子ゲルと呼ぶ)のそれと反対であることが好ましい。即ち、光学材料用高分子ゲルが膨潤するときには光散乱部材用高分子ゲルが収縮し、光学材料用高分子ゲルが収縮するときには光散乱部材用高分子ゲルが膨潤することが好ましい。このような挙動を示す高分子ゲルの組み合わせとしては、金属塩を形成する電解質高分子ゲルと塩酸塩を形成する電解質高分子ゲルの組み合わせ等が挙げられる。これらの体積はpH変化により変化する。どちらの電解質高分子ゲルを光学材料用高分子ゲルとして使用してもよい。また、これら以外の、外部刺激に対して光学材料用高分子ゲルの体積変化と逆の体積変化をする高分子ゲルも光散乱部材用高分子ゲルとして使用できる。また、体積が変化しない高分子ゲルを光散乱部材用高分子ゲルとして使用してもよい。
【0057】
光散乱性材料が分散された高分子材料を製造するには、溶媒に高分子材料を溶解した溶液に光散乱性材料を投入し均一に分散させ、得られた混合物を加熱する方法、加熱によって溶融した高分子材料に光散乱性材料を投入し、均一に分散させる方法、高分子材料の前駆体モノマーに光散乱性材料を均一に分散させた後、このモノマーを重合する方法、及び架橋前の高分子に光散乱性材料を均一に分散させた後にこの高分子を架橋する方法等が使用できるが、光散乱性材料が高分子材料中に略均一に分散できる方法であればこれら以外の方法を使用してもよい。
【0058】
溶媒に高分子材料を溶解した溶液を用いる場合、溶媒としては、高分子材料を溶かすことができ、かつ沸点の比較的低い、具体的には沸点が150℃以下、好ましくは100℃以下のものが好ましい。この条件を満足する溶媒であればいかなるものでも使用でき、例えば、アセトン等のケトン類、エタノール及びメタノール等のアルコール類、酢酸エチル等のカルボン酸エステル類、トルエン及びキシレン等の芳香族炭化水素類、塩化メチレン等のハロゲン化炭化水素類、ジエチルエーテル等のエーテル類、ヘキサン及びシクロヘキサン等の炭化水素類、並びにこれらの混合物等が使用できる。
【0059】
また、各材料を混合、分散するのに使用する装置には、特に限定されず、通常の分散装置を用いることができる。例えば、ディスパーサ、ロールミル、ボールミル、アトライター、サンドグラインダー、ホモジナイザー、ヘンシェルミキサー等が挙げられる。
【0060】
加熱装置には、熱風加熱機、赤外線加熱機、高周波加熱機、及びヒートローラー等の接触式加熱機等を用いることができるが、これらに限定されない。また、加熱温度はおよそ50℃〜120℃の間である。
【0061】
光散乱部材が高分子材料中に光散乱性材料を分散させたものである場合、高分子材料中の光散乱性材料の濃度は0.1重量%〜95重量%であることが好ましく、10重量%〜70重量%であることがより好ましい。光散乱性材料の濃度が0.1 重量%未満であると、光散乱部材の単位体積あたりの光散乱性材料の量が少ないために、光散乱性が低くなる。また、光散乱性材料の濃度が95重量%を超えると、光散乱性材料1粒子あたりの光散乱効率が下がり光散乱性が低下する。
【0062】
また、光散乱性材料を含有した高分子材料から構成される該光散乱部材の形状としては、光散乱性材料の形状として列挙したものが挙げられ、作製が簡易で、応用範囲が広いことから、光散乱部材は粒子状であることが好ましい。粒子の形状としては前記のものを挙げることができる。光散乱部材の大きさが、高分子ゲルに入射する光量を十分に制御できるように、収縮したときの高分子ゲルの大きさより小さいことが望まれる。また、光散乱部材の大きさが光散乱性材料の大きさより十分大きいことが望ましい。例えば、光散乱部材が粒子状の場合の平均粒子径は0.01μm〜1mmであることが好ましく、0.1μm〜100μmであることが
より好ましい。
【0063】
また、光散乱性材料を含有する高分子材料を粒子化するには、前記方法により作製された光散乱性材料を含有する塊状の高分子材料を、物理的粉砕方法によって粉砕する方法が使用できる。また、高分子材料の前駆体モノマーや架橋前の高分子を用いる製造方法においては、光散乱性材料を含有する高分子材料の前駆体モノマー溶液又は架橋前の高分子溶液を、予め化学的粉砕方法により粒子化した後に、それぞれを重合又は架橋する方法、具体的には、乳化重合法、懸濁重合法、分散重合法等の一般的な重合法を使用できる。
【0064】
上記のように製造された光散乱部材を高分子ゲルと混合することにより、高分子ゲル表面を光散乱部材で被覆する。光散乱部材は、光学材料用高分子ゲルの体積変化の繰り返しによって、高分子ゲルの表面から剥がれ落ちることが無いように、高分子ゲル表面に固定されることが望ましい。
【0065】
光散乱部材を高分子ゲル表面へ固定するには、接着等を利用する物理的固定方法や化学結合等を利用する化学的固定方法等が使用できる。光散乱部材を高分子ゲル表面に物理的に固定するのに使用される接着剤としては、有機溶剤揮散型接着剤(クロロプレンゴム系、ウレタン系等)、熱硬化反応型接着剤(エポキシ系、レゾール系等)、湿気硬化反応型接着剤(2-シアノアクリル酸エステル系、シリコ−ン系等)、紫外線硬化反応型接着剤(アクリル系オリゴマー等)、縮合反応型接着剤(ユリア樹脂系)、付加反応型接着剤(エポキシ系、イソシアネート系等)、熱溶融型接着剤(ポリエステル等)等が挙げられる。
【0066】
使用する接着剤の量は、通常、高分子ゲル100重量部に対して0.1 〜50重量部であることが好ましく、1 〜30重量部がより好ましい。接着剤の量が50重量部を超えると光散乱部材との固着性は向上するものの、高分子ゲルの接着剤との接触割合が高くなり、接着剤が高分子ゲルの体積変化を阻害するおそれがある。また、接着剤の量が0.1 重量部未満では、光散乱部材を高分子ゲルの表面に強固に固定することができない。
【0067】
なお、この接着剤は微粒子又は接着剤溶液の形で使用することができる。
【0068】
接着剤微粒子を用いる場合には、加熱した高分子ゲル又は光散乱部材を適量の接着剤微粒子と混合し、表面に接着微粒子が熱固着した高分子ゲル又は光散乱部材を調整する。その後、調整した高分子ゲルを光散乱部材に、又は調整した光散乱部材を高分子ゲルと混合し、混合物を加熱して、表面に光散乱部材が固定した高分子ゲルを製造する。これ以外の接着剤微粒子を用いる方法を使用してもよい。
【0069】
また、接着剤溶液を用いる場合には、この接着剤溶液を高分子ゲルや光散部材に散布、塗布又は含浸し、表面に適量に接着剤溶液の付着した高分子ゲルや光散乱部材を調整する。その後、調整した高分子ゲルを光散乱部材に、又は調整した光散乱部材を高分子ゲルと混合し混合物を加熱して、表面に光散乱部材が固定した高分子ゲルを製造する。なお、これ以外の接着剤溶液を使用する方法を用いてもよい。
【0070】
また、上記の方法において散布や混合に使用する装置は、特に限定されず、通常の攪拌装置、例えば、パンコーティング装置、転道コーティング装置、流動コーティング装置等のコーティング造粒装置、ポニーミキサー、フロージェットミキサー、ヘンシェルミキサー、スピードミキサー、ダイノーミキサー、コニカルブレンダー、ナウターミキサー、V型ブレンダー、タービュライザー等を用いることができる。
【0071】
また、上記方法の加熱に使用する装置は特に限定されないが、前記の加熱装置が使用できる。また、加熱温度は接着剤の溶融温度より高く、およそ50℃〜120 ℃である。
【0072】
また、接着剤溶液を用いる場合に使用する溶媒は、接着剤が可溶なもので、沸点が比較的低いもの、具体的には、沸点が150℃以下、好ましくは100℃以下の
ものが好ましい。さらに、この溶媒を吸収し膨潤したときの高分子ゲルの体積が収縮したときの高分子ゲルの体積の100倍、好ましくは10倍以下となるように溶媒を選定することが好ましい。この溶媒による膨潤時の体積が収縮時の体積の100倍を超えると、高分子ゲル内部に接着剤が入り込み、接着剤が高分子ゲルの体積変化を阻害する可能性がある。また、光散乱部材を高分子ゲルに固定するときに光散乱部材が高分子ゲル内部に入り込んで高分子ゲル表面での光散乱効果が低下する可能性がある。上記の条件を満足する溶媒であれば特に限定されず、具体的には、高分子材料を溶解した溶液に用いられる溶媒として列挙したもの等が使用できる。
【0073】
光散乱部材を高分子ゲルに化学的に固定する場合の化学結合としては、イオン結合、水素結合、共有結合等が挙げられる。強固な固定が得られることから共有結合が最も好ましい。光散乱部材と高分子ゲルとを共有結合するには、触媒(反応開始剤)や各種固定化剤を使用する。
【0074】
触媒は、表面に高分子ゲル表面と共有結合する反応基が導入された光散乱部材を用いる場合等に使用される。例えば、表面にカルボキシル基を持つ高分子ゲルと表面に水酸基を持つ光散乱部材とを脱水反応により共有結合する場合には、触媒として硫酸や塩酸等を用いる。
【0075】
また、固定化剤は、高分子ゲル又は光散乱部材の表面に付与され化学反応することにより、高分子ゲルの表面と光散乱部材の表面とを接合する。固定化剤を高分子ゲル又は光散乱部材の表面へ付与するには、散布、塗布又は含浸等が使用できる。固定化剤を高分子ゲル等に散布、塗布又は含浸させるときに、固定化剤は単独で又は各種溶媒との混合物の形で使用される。
【0076】
なお、固定化剤と共に使用される溶媒は固定化剤を溶かすことができ、沸点が比較的低い、具体的には沸点が150℃以下、好ましくは100℃以下のものが好ま
しい。また、高分子ゲルがこの溶媒に接触する可能性がある時は、この溶媒を吸収し膨潤したときの高分子ゲルの体積が収縮したときの高分子ゲルの体積の100倍以下、好ましくは10倍以下となるように溶媒を選定することが好ましい。この溶媒により膨潤したときの高分子ゲルの体積が収縮したときの高分子ゲルの体積の100倍を超えると、高分子ゲル内に固定化剤が入り込み、固定化剤が高分子ゲルの体積変化を阻害する可能性がある。また、光散乱部材を高分子ゲル表面に固定するときに光散乱部材が高分子ゲル内部に入り込んで、高分子ゲル表面での光散乱効果が低下する可能性がある。この条件を満足する溶媒であれば、特に限定されず、具体的には、高分子材料を溶解した溶液に用いられる溶媒として列挙したもの等が使用できる。
【0077】
固定化剤を使用する場合には、固定化剤を高分子ゲル及び光散乱部材に添加した後に、固定化剤に固有の反応温度に混合物を加熱して化学結合を形成し、高分子ゲルの表面に光散乱部材を固定する方法が使用できる。また、高分子ゲル又は光散乱部材の表面を固定化剤で処理した後、処理された高分子ゲル又は光散乱部材を光散乱部材又は高分子ゲルに添加して、処理された高分子ゲル又は光散乱部材の表面に形成された反応基によってこれらを固定するという段階的な固定方法も使用できる。
【0078】
なお、固定化剤としては、重合性不飽和基及び/又は反応性官能基等を2個以上有する化合物を挙げることができる。重合性不飽和基を2個以上有する化合物としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチロールプロパン、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリンポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリグリセリン等のポリオール類のジ又はトリ(メタ)アクリル酸エステル類;前記ポリオール類と、マレイン酸及びフマル酸等のような不飽和酸類とを反応させて得られる不飽和ポリエステル類;N,N’−メチレンビス(メタ)アクリルアミド等のビス(メタ)アクリルアミド類;トリレンジイソシアネート及びヘキサメチレンジイソシアネート等のポリイソシアネートと、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチルとを反応させて得られるジ(メタ)アクリル酸カルバミン酸エステル類;アリル化澱粉、アリル化セルロース、ジアリルフタレート、テトラアリロキシエタン、ペンタンエリスリトールトリアリルエーテル、トリメチロールプロパントリアリルエーテル、ジエチレングリコールジアリルエーテル及びトリアリルトリメチルエーテル等の多価アリル系を挙げることができる。これらの中でも本発明には、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、N,N’−メチレンビス(メタ)アクリルアミド等が好ましく使用される。
【0079】
また、反応性官能基を2個以上有する化合物としては、ジグリシジルエーテル化合物、ハロエポキシ化合物、並びにジ及びトリイソシアネート化合物等を挙げることができる。ジグリシジルエーテル化合物の具体例としては、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、及びポリグリセリンジグリシジルエーテル等を挙げることができる。ハロエポキシ化合物の具体例としては、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン、及びβ−メチルエピクロロヒドリン等を挙げることができる。また、ジイソシアネート化合物の具体例としては、2,4−トリレンジイソシアネート、及びヘキサメチレンジイソシアネート等を挙げることができる。これらの中でも本発明には、エチレングリコールジグリシジルエーテル、及びヘキサメチレンジイソシアネート等が好ましく使用される。
【0080】
上記の固定化剤の使用量は、通常、高分子ゲルの乾燥重量100重量部に対して、0.001〜50重量部であることが好ましく、0.01〜30重量部であることがより好ましい。固定化剤の使用量が0.001重量部未満であると、十分に高分子ゲルの表面に光散乱部材を固定できない。また、固定化剤の使用量が50重量部を超えると、高分子ゲル表面に付着した固定化剤が体積変化を阻害するおそれがある。
【0081】
高分子ゲルの体積変化が繰り返されても高分子ゲル表面での光散乱部材の分散及び固定が自然に維持されるならば、物理的又は化学的な固定化処理を行わなくてもよい。
【0082】
本発明では、高分子ゲルが収縮したときに光散乱部材が高分子ゲル表面のほぼ全体を覆い隠すことが好ましい。例えば、粒子状の高分子ゲルの収縮したときの粒子径が10μmであり、比重が1.2であり、かつ光散乱部材が比重2.0の粒子径0.2μmの粒子である場合、収縮したときの高分子ゲル100重量部に対して12重量部の光散乱部材を添加することによりこれを達成することができる。また、光散乱部材が平均比重1.5の粒子径1μmの粒子である場合、収縮
したときの前記粒子状の高分子ゲル100重量部に対して光散乱部材を49重量部添加することによりこれを達成することができる。
【0083】
ただし、高分子ゲルの量に対する光散乱部材の実際の量は、高分子ゲルが収縮したときの光散乱部材の反射率によって決定され、高分子ゲルが膨潤又は収縮したときの体積変化により十分な光学濃度の変化が得られるならば、上記の量に限定されるものではない。
【0084】
本発明の光学素子では、二枚の基板間に上記の光学材料及び液体が保持される。この構成の素子においては、光、熱、電気又は磁場等の刺激を付与し、これらの刺激に対して光学材料が応答することにより反射率変化や光学濃度変化等の光学的な変調を行うことができる。
【0085】
基板としては、ポリエステル、ポリイミド、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ナイロン及びポリ塩化ビニル等のフィルム、板状基板、ガラス基板、金属、並びにセラミックス等が使用できる。基板の少なくとも一方は透明な材料で形成されることが好ましい。
高分子ゲルの体積変化に用いられる液体としては、前記した高分子ゲルが吸収可能な液体、即ち、高分子ゲルを構成する高分子と親和性が良い液体が好ましい。例えば、水、電解質水溶液、アルコール、ケトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホオキシド、アセトニトリル、プロピレンカーボネート及びこれらの混合物等が使用できる。また、液体には高分子ゲルに吸脱する界面活性剤、液体のpH変化を促進するためのビオロゲン誘導体、酸、アルカリ及び塩、並びに分散安定剤、酸化防止剤、及び紫外線等に対する安定剤等を添加してもよい。また、カチオン性高分子ゲルと共にCT錯体を形成させるために、前記した電子受容性化合物を添加してもよい。
【0086】
本発明の光学素子は、さらに、このセルに外部刺激を付与する刺激付与手段を有することができるが、外部刺激として自然光や熱等のように自然界に存在する刺激を利用し、この光学素子を調光ガラス等の調光素子やセンサーに使用する場合にはこの刺激付与手段を設けなくてもよい。
【0087】
この光学素子の好ましい構成を図3に示す。図3の光学素子20では、前記光学材料22と液体24が、内側に刺激付与手段26を設けた一対の基板28及びスペーサ30により形成される密閉空間に封入されている。
【0088】
刺激付与手段としては、電気的刺激、熱、又は、レーザ光等の光を付与する手段等が好ましい。電気的刺激を付与する場合には、刺激付与手段としては、金属膜、導電性高分子、又は高分子と金属粒子とで形成された電極等が好ましい。加熱手段としては、前記電極と、Ni−Cr化合物等に代表される金属、金属酸化物、カーボン等の発熱抵抗体との組み合わせが好ましい。刺激付与手段は、セルの内側に設けられても、セルの外側に設けられてもよい。
【0089】
電気的刺激を光学材料に付与する場合には、pH変化、界面活性剤等の化学物質の吸脱着、又は酸化若しくは還元によって体積が変化する高分子ゲルが光学材料に好ましく使用される。また、光学材料に熱を加える場合には、前記の熱応答性高分子ゲルが好ましく使用される。さらに、外部から光を照射する場合は、前記の光応答性高分子ゲルが好ましく使用される。
【0090】
本発明の光学素子における光学材料22の層の厚みは1μm〜500μmであることが好ましく、2μm〜200μmであることがより好ましい。この層の厚みが1μmよりも薄いと、発色濃度や光散乱性が低くなり所望のコントラストを得ることができず、500μmを超えると応答特性が低下する恐れがある。
【0091】
また、色変化を伴う光学素子では、1種類の光学材料を用いてもよいし、色の異なる複数の光学材料を用いてもよい。色の異なる複数の光学材料を用いる場合は、光学素子の平面上にセグメントを設け、各セグメントに異なる色の顔料を含有した着色高分子ゲルを適宜に配置することでフルカラーの発色や表示を行うことができる。
【0092】
本発明の光学素子は、光の反射量を調整する調光素子やフィルタ、及び画像を表示する白黒又はカラー表示素子等に応用することができる。また、溶媒や化学物質の添加等に応答する高分子ゲルと密閉されていないセルを用いることにより、溶媒や化学物質を含む液体がセル内の光学材料に接触したときに光散乱変化及び/又は色の濃度変化でこれを検知するセンサ等に本発明の光学素子を使用することができる。
【0093】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。
【0094】
(実施例1)
光学材料用高分子ゲルの前駆体としてカルボキシメチルセルロースのナトリウム塩(第一工業製薬社製、商品名:BS−H)100重量部と、水酸化ナトリウム12重量部とを、1000重量部の蒸留水中に入れ、十分に攪拌し均一な溶液を調製した。次にこの溶液と架橋剤としてのエピクロロヒドリン14重量部とを混合し、混合物を60℃で6時間加熱し塊状の高分子ゲルを作製した。作製した高分子ゲルの塊を、容易にろ過できる約0.1cm3程度のブロックに粗粉砕した後、得られたブロックを大量の蒸留水で洗浄した。洗浄後、蒸留水で十分に膨潤したブロック状の高分子ゲルを、ホモジナイザー(日本精機社製:AM−6)により7000rpmで30分間攪拌し粉砕した。その後、得られた膨潤した高分子ゲル粒子2000重量部に対して、十分に攪拌しながら8000重量部のアセトンを少しづつ加えて高分子ゲルの粒子を収縮させた。その後、吸引ろ過により高分子ゲル粒子を回収し乾燥させた。得られた高分子ゲル粒子の乾燥時(収縮時)の平均粒子径は約10μmであった。また、その吸水量は約300g/gであった。
【0095】
得られた高分子ゲル粒子は、pH変化、イオン濃度変化、溶媒組成変化等によって、可逆的に膨潤及び収縮を繰り返すことができ、膨潤したときの粒子径は収縮したときのそれの約6倍であった。
【0096】
次に、接着剤として飽和熱可塑性高分子量ポリエステル樹脂(東洋紡績株式会社製、商品名:バイロン200)40重量部を、トルエン100重量部とメチルエチルケトン100重量部との混合溶媒に投入し、十分に溶かして接着剤溶液を得た。さらに、この溶液に、先に作製した乾燥した光学材料用高分子ゲル粒子100重量部を投入し、ホモジナイザー(日本精機社製:AM−6)で30分間攪拌した。トルエンとメチルエチルケトンの混合溶媒は高分子ゲルを膨潤させないので、接着剤が高分子ゲル内部に入ることなく、高分子ゲル粒子の表面のみに接着剤が付着した。その後、高分子ゲル粒子を接着剤溶液から取り出し、高分子ゲル粒子同士が結着しないように強く送風して高分子ゲル粒子を気中で乾燥させた。
【0097】
次に、光散乱部材が乾燥時(収縮時)の高分子ゲル粒子表面のほぼ全体を覆い隠すように、この高分子ゲル粒子100重量部を、光散乱性材料単独で構成された光散乱部材としての平均粒子径0.2μmの酸化チタン粒子(屈折率:2.7)500重量部に添加し、V型ブレンダーで攪拌した。その後90℃で24時間混合物を加熱し、光散乱部材を高分子ゲル粒子の表面に付着させた。次いで光散乱部材が表面に付着した高分子ゲル粒子を冷却し、光散乱部材で高分子ゲル粒子の表面が被覆された光学材料を得た。
【0098】
次に、この光学材料の機能を以下のように評価した。
【0099】
回収した光学材料3.3重量部を1000重量部のアセトンと混合して光学材料の分散溶液を調整した。この分散溶液を黒色フィルターで吸引ろ過して、黒色フィルター上に光学材料を均一に分散させ付着させた。光学材料を付着させる前のこの黒色フィルターの光学濃度は約1.6であった。光学材料が付着した黒色フィルターにpH9の水酸化ナトリウム水溶液〔高分子ゲルに吸収又は高分子ゲルから放出される液体:水(屈折率:1.33)〕を注ぐと、高分子ゲルが瞬時に膨潤して透明になり、光学濃度が約1.5になった。次に、pH3の塩酸を黒色フィルターに注ぐと、高分子ゲルが瞬時に収縮して不透明(光散乱状態)になり、光学濃度が約0.60になった。このようにpH変化によって光学材料の光の透過量、光散乱性が変化し光学濃度が大きく変化することが確認された。水酸化ナトリウム水溶液を黒色フィルター再び注いで光学材料をpH9の弱アルカリ性にしたところ、高分子ゲルが膨潤して再び透明となり、光学濃度が約1.5になった。これにより光学濃度が可逆的に変化することが確認された。
上記の評価の間、高分子ゲルの表面を被覆した光散乱部材の量はpHに関係なく一定であった。このため、高分子ゲル粒子の体積変化によって、光散乱部材同士の間隔が変化し、高分子ゲル粒子の露出面の面積が変化しその結果光散乱の効率が大きく変わり、光学濃度が大きく増減したと考えられる。以上より、本実施例の光学材料では、その体積変化によって透過率及び光学濃度が大きく変化し、かつこの変化が可逆的であることが明らかとなった。
【0100】
(実施例2)
光学材料用高分子ゲルを次のようにして作製した。主モノマーとしてアクリル酸100重量部をビーカーにとり、冷却して攪拌しつつこのアクリル酸に25重量%の水酸化ナトリウム水溶液165重量を滴下して約74モル%のアクリル酸を中和した。その後、この混合物に、過硫酸アンモニウム0.5重量部を10重量部の蒸留水に溶解した溶液と、架橋剤であるN,N’−メチレンビスアクリルアミド0.5重量部とを加え、十分に攪拌し均一な溶液を調整した。得られた溶液を、ビーカー中でシクロヘキサン500重量部に分散安定剤であるソルビトール系界面活性剤(第一工業製薬社製、商品名:ソルゲン50)5.0重量部を溶解して窒素置換した溶液に添加し、回転式攪拌羽根を用いて5000rpmで10分間高速攪拌して乳化させた。次に、乳液の温度を25℃に調整し、乳液を攪拌しながら乳液にN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミンの50重量%シクロヘキサン溶液を添加し、モノマーを重合させた。重合後、生成した高分子ゲルの粒子を回収し、蒸留水で繰り返し洗浄し、乾燥させた。得られた高分子ゲルの粒子の乾燥したときの平均粒子径は約10μmであった。また、この高分子ゲル粒子の蒸留水の吸水量は約250g/gであった。
【0101】
得られた高分子ゲル粒子は、pH変化、イオン濃度変化、溶媒組成変化等によって、可逆的に膨潤及び収縮を繰り返すことができ、膨潤したときの粒子径は収縮したときのそれの約5倍であった。
【0102】
次に、高分子材料(高分子樹脂)中に光散乱性材料が分散された光散乱部材を以下のように作製した。高分子樹脂として高分子量飽和ポリエステル樹脂(東洋紡績株式会社製、商品名:バイロン200)20重量部をトルエン65重量部とメチルエチルケトン5重量部の混合有機溶媒に溶解させて高分子溶液を得た。この高分子溶液に、光散乱性材料としての平均粒子径0.2μmのアルミニウム(屈折率:0.8)20重量部、及び架橋剤としてのビスフェノール型A系エポキシ樹脂(シェル化学社製、商品名:エピコート828)5重量部を添加して、ホモジナイザー(日本精機社製:AM−6)で30分間攪拌した。次にこの混合溶液115重量部を、蒸留水500重量部に分散安定剤であるポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル系界面活性剤(花王株式会社製、商品名:エマルゲン909)3重量部を溶解した溶液に添加し、回転式攪拌羽根を用いて5000rpmで10分間高速攪拌して懸濁させた。その後懸濁液を24時間120℃に加熱し、懸濁液中に含まれた混合有機溶媒を揮発させバイロン200を架橋させて粒子状の光散乱部材を得た。次いで、生成した光散乱部材の粒子を回収し乾燥させた。得られた光散乱部材の平均粒子径は約1μmであった。
次に、固定化剤としてエチレングリコールジグリシジルエーテル200重量部をトルエン1000重量部に加えて固定化剤溶液を用意した。この固定化剤溶液に、先に作製した高分子ゲル粒子100重量部を投入し、ホモジナイザー(日本精機社AM−6)で30分間攪拌した。トルエンは高分子ゲルを膨潤させないので、固定化剤は高分子ゲル内部に入ることなく、高分子ゲル粒子表面のみに付着した。その後、高分子ゲル粒子を固定化剤溶液から取り出し、高分子ゲル粒子同士が結着しないように低温(約5℃)で強く送風して高分子ゲルを気中で乾燥させた。
【0103】
次に、光散乱部材が乾燥時(収縮時)の高分子ゲル粒子表面のほぼ全体を覆い隠すように、この高分子ゲル粒子5重量部を先に作製した光散乱部材40重量部に添加し、V型ブレンダーで攪拌した。その後この混合物を90℃で24時間加熱して、光散乱部材を高分子ゲル粒子表面に固定した。次いで光散乱部材が表面に付着した高分子ゲル粒子を冷却し、光散乱部材で高分子ゲル粒子の表面が被覆された光学材料を得た。
【0104】
次に、この光学材料の機能を以下のように評価した。乾燥した光学材料3.3重量部を1000重量部のアセトンに分散させて光学材料の分散溶液を調整した。この分散溶液を黒色フィルターで吸引ろ過して、黒色フィルター上に光学材料を均一に分散させ付着させた。光学材料を付着させる前のこの黒色フィルターの光学濃度は約1.6であった。光学材料が付着した黒色フィルターに蒸留水(屈折率:1.33)を注ぐと、高分子ゲルが瞬時に膨潤して透明になり、光学濃度が約1.5になった。次に、黒色フィルターにアセトンを注ぐと、高分子ゲルが瞬時に収縮して不透明(光散乱状態)になり、光学濃度が約0.60になった。このように溶媒組成変化により、光学材料の光の透過量、光散乱性が変化し光学濃度が大きく変化することが確認された。黒色フィルターに再び蒸留水を注ぐと、高分子ゲルが膨潤して再び透明となり、光学濃度が約1.5になった。このことにより光学濃度が可逆的に変化することが確認された。
【0105】
上記の操作の間、高分子ゲル粒子の表面を被覆した光散乱部材の量は溶媒組成変化に関係なく一定であった。このため、高分子ゲル粒子の体積変化によって、光散乱部材同士の間隔が変化し、高分子ゲル粒子の露出面の面積が変化しその結果光散乱の効率が大きく変わり、光学濃度が大きく増減したと考えられる。
【0106】
以上のように本実施例の光学材料では、その体積変化によって透過率及び光学濃度が大きく変化し、かつこの変化が可逆的であることが明らかとなった。
【0107】
(実施例3)
光学材料用高分子ゲルを次のようにして作製した。高分子ゲルの前駆体としてカルボキシメチルセルロースのナトリウム塩(第一工業製薬社製、商品名:BS−H)100重量部と、水酸化ナトリウム12重量部と、色素として、フタロシアニン系青色顔料(平均粒子径0.2μm)100重量部とを1000重量部の蒸留水中に添加し、ホモジナイザー(日本精機社製:AM−6)で10分間攪拌し均一な分散溶液を調製した。次にこの分散溶液に架橋剤としてエピクロロヒドリン14重量部を添加し、混合物を60℃で6時間加熱して色素を含有した着色した塊状の高分子ゲル(色素濃度:50重量%)を作製した。作製した着色高分子ゲルの塊を、容易にろ過できる約0.1cm3程度のブロックに粗粉砕した後、得られたブロックを大量の蒸留水で洗浄した。洗浄後、蒸留水で十分に膨潤したブロック状の高分子ゲルを、ホモジナイザー(日本精機社製:AM−6)により5000rpmで30分間攪拌し粉砕した。その後、得られた膨潤した着色高分子ゲル粒子2000重量部に対して、十分に攪拌しながら8000重量部のアセトンを少しづつ加えて着色高分子ゲルの粒子を収縮させた。その後、吸引ろ過により着色高分子ゲル粒子を回収し乾燥させた。得られた着色高分子ゲル粒子の乾燥時(収縮時)の平均粒子径は約10μmであった。また、着色高分子ゲル粒子の蒸留水に対する吸水量は約250g/gであった。
【0108】
得られた着色高分子ゲル粒子は、pH変化、イオン濃度変化、溶媒組成変化等によって、可逆的に膨潤及び収縮を繰り返すことができ、膨潤したときの粒子径は収縮したときのそれの約5倍であった。
【0109】
次に、熱硬化反応型接着剤であるビスフェノール型A系エポキシ樹脂(シェル化学社製、商品名:エピコート828)70重量部と硬化剤であるジアミノジフェニルメタン10重量部をトルエン320重量部に加えて接着剤溶液を用意した。この接着剤溶液に着色高分子ゲル100重量部を投入し、ホモジナイザー(日本精機社製:AM−6)で30分間攪拌した。トルエンは着色高分子ゲルを膨潤させないので、接着剤は着色高分子ゲル内部に入ることなく、着色高分子ゲル粒子の表面のみに付着した。その後、着色高分子ゲルを接着剤溶液から取り出し、着色高分子ゲル粒子同士が結着しないように低温(約5℃)で強く送風して着色高分子ゲル粒子を気中で乾燥させた。
【0110】
次に、光散乱部材が乾燥時の着色高分子ゲル粒子表面のほぼ全体を覆い隠すように、この着色高分子ゲル100重量部を、光散乱性材料単独で構成された光散乱部材としての平均粒子径0.2μmのアルミナの粒子(屈折率:1.77)500重量部に投入し、V型ブレンダーで攪拌した。その後混合物を120℃で24時間加熱して、光散乱部材を着色高分子ゲル粒子表面に付着させた。その後光散乱部材が付着した着色高分子ゲル粒子を冷却し、光散乱部材で着色高分子ゲル粒子の表面が被覆された光学材料を得た。
【0111】
次に、この光学材料の機能を以下のように評価した。
【0112】
得られた光学材料3.3重量部を1000重量部のアセトンに分散させて光学材料の分散溶液を調整した。この分散溶液を白色フィルターで吸引ろ過して、白色フィルター上に光学材料を均一に分散させ付着させた。光学材料が付着する前のこのフィルターの光学濃度は約0.15であった。光学材料が付着したフィルターにpH9の水酸化ナトリウム水溶液〔高分子ゲルに吸収又は高分子ゲルから放出される液体:水(屈折率:1.33)〕を注ぐと、高分子ゲルが瞬時に膨潤して光学材料の色が青に変化し、波長600nmで測定した光学濃度は約1.0であった。次に、白色フィルターにpH3の塩酸を注ぐと、高分子ゲルが瞬時に収縮して光学材料が不透明(光散乱状態)になり、波長600nmで測定した光学濃度が約0.21になった。このようにpH変化によって、発色又は消色し、光学濃度が大きく変化することが確認された。白色フィルターに再び水酸化ナトリウム水溶液を注ぎ光学材料をpH9の弱アルカリ性にしたところ、高分子ゲルが膨潤して再び発色し、波長600nmで測定した光学濃度が約1.0になった。このことにより光学濃度が可逆的に変化することが確認された。
上記の操作の間、着色高分子ゲルの表面を被覆した光散乱部材の量はpHに関係なく一定であった。このため、着色高分子ゲル粒子の体積変化によって、光散乱部材同士の間隔が変化し、着色高分子ゲル粒子の露出面の面積が変化しその結果光散乱の効率が大きく変わり、光学濃度が大きく増減したと考えられる。
【0113】
以上より本実施例の光学材料では、その体積変化によって、発色又は消色し、光学濃度が大きく変化し、かつこの変化が可逆的であることが明らかとなった。
【0114】
(実施例4)
光学材料用高分子ゲルを次のようにして作製した。主モノマーとしてアクリル酸200重量部をビーカーにとり、冷却して攪拌しつつこのアクリル酸に25重量%の水酸化ナトリウム水溶液330重量部を滴下して、アクリル酸の約74モル%を中和した後、この混合物に過硫酸アンモニウム1.0重量部を20重量部の蒸留水に溶解した溶液と、色素としての平均粒子径0.1μmのカーボンブラック(商品名:ショウブラックN762、昭和キャボット株式会社製)100重量部と、架橋剤であるN,N’−メチレンビスアクリルアミド1.0重量部とを加え、ホモジナイザー(日本精機社AM−6)で10分間攪拌し均一な分散溶液を調整した。得られた分散溶液を、ビーカー中でシクロヘキサン1000重量部に分散剤であるソルビトール系界面活性剤(第一工業製薬製、商品名:ソルゲン50)10重量部を溶解して窒素置換した溶液に添加して乳化させた。
【0115】
次に、得られた乳液の温度を25℃に調整し、乳液を攪拌しながら、乳液にN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミンの50重量%シクロヘキサン溶液を添加し、モノマーを重合させた。重合後、生成した粒子状の着色高分子ゲル(色素濃度:29重量%)を回収し、蒸留水で繰り返し洗浄し、乾燥させた。得られた高分子ゲル粒子の乾燥時(収縮時)の平均粒子径は約10μmであった。 得られた着色高分子ゲル粒子は、pH変化、イオン濃度変化、溶媒組成変化等によって、可逆的に膨潤及び収縮を繰り返すことができ、膨潤したときの粒子径は収縮したときのそれの約6倍であった。
【0116】
次に、光散乱部材用高分子ゲルの主モノマーとして、メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩酸塩20.0重量部を蒸留水33重量部に加えた。得られた溶液に過硫酸アンモニウム0.1重量部を2重量部の蒸留水に溶解した溶液と、光散乱性材料としての平均粒子径0.2μmの酸化チタン(屈折率:2.7)10.0重量部と、架橋剤であるN,N’−メチレンビスアクリルアミド0.1重量を加え、十分に攪拌し均一な溶液を調整した。得られた溶液を、ビーカー中でシクロヘキサン100重量部に分散安定剤であるソルビトール系界面活性剤(第一工業製薬製、商品名:ソルゲン50)1.0重量部を溶解して窒素置換した溶液に添加し、回転式攪拌羽根を用いて10000回転で10分間高速攪拌して乳化させた。
【0117】
次に、乳液の温度を25℃に調節し、乳液を攪拌させながら乳液にN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミンの50重量%シクロヘキサン溶液を添加し、モノマーを重合させた。重合後、生成した高分子ゲルの粒子を回収し、蒸留水で繰り返し洗浄し、乾燥させて、高分子ゲルとこの高分子ゲルに分散された光散乱性材料とで構成された光散乱部材を得た。この光散乱部材の乾燥時の平均粒子径は約1μmであった。また、この光散乱部材の高分子ゲルは酸性で膨潤する性質を持っており、膨潤時の平均粒子径は約3μmであった。また、この光散乱部材の高分子ゲルはアルカリ性で収縮する性質をもち、収縮時の平均粒子径は約1.1μmであった。一方、先に作製した光学材料用着色高分子ゲルはアルカリ性で膨潤し、酸性で収縮し、光散乱部材の高分子ゲルは光学材料用着色高分子ゲルと全く正反対の体積変化をすることが確認された。
【0118】
次に、エチレングリコールジグリシジルエーテル200重量部をトルエン1000重量部に加えて固定化剤溶液を用意した。この固定化剤溶液に、着色高分子ゲル100重量部を投入し、ホモジナイザー(日本精機社製:AM−6)で30分間攪拌した。トルエンは着色高分子ゲルを膨潤させないので、固定化剤は着色高分子ゲル内部に入ることなく、着色高分子ゲル粒子の表面のみに付着した。その後、着色高分子ゲルを固定化剤溶液から取り出し、着色高分子ゲル粒子同士が結着しないように低温(約5℃)で強く送風して着色高分子ゲル粒子を気中で乾燥させた。次にこの着色高分子ゲル10重量部を、乾燥した光散乱部材30重量部に投入しV型ブレンダーで攪拌した。その後混合物を90℃で24時間加熱処理すると固定化剤が反応して、光散乱部材が着色高分子ゲル粒子の表面に固定された。次いで、光散乱部材が固定された着色高分子ゲル粒子を冷却し、回収し、着色高分子ゲル粒子が光散乱部材によって被覆された光学材料を得た。この光学材料をpH3の塩酸に投入すると光散乱部材の高分子ゲルが膨潤し、着色高分子ゲルの表面の全体を覆い隠した。
【0119】
次に、この光学材料の機能を以下のように評価した。
【0120】
乾燥した光学材料3.3重量部を1000重量部のアセトンに分散させて光学材料の分散溶液を調整した。この分散溶液を白色フィルターで吸引ろ過して、白色フィルター上に光学材料を均一に分散させ付着させた。光学材料を付着させる前のこのフィルターの光学濃度は約0.15であった。光学材料が付着したフィルターにpH10の水酸化ナトリウム水溶液〔高分子ゲルに吸収又は高分子ゲルから放出される液体:水(屈折率:1.33)〕を注ぐと、着色高分子ゲルが瞬時に膨潤し、光散乱部材が収縮して発色し、波長600nmで測定された光学濃度が約1.8になった。次に、フィルターにpH1の塩酸を注ぐと、着色高分子ゲルが瞬時に収縮し、光散乱部材が膨潤して消色(白濁、光散乱状態)し、光学濃度が約0.16になった。このようにpH変化によって、発色又は消色し、光学濃度が大きく変化することが確認された。白色フィルターに再びpH10の水酸化ナトリウム水溶液を注ぐと、着色高分子ゲルが膨潤し、光散乱部材が収縮して、再び発色し、光学濃度が約1.8になった。このことにより光学濃度が可逆的に変化することが確認された。
【0121】
上記の操作の間、着色高分子ゲルの表面を被覆した光散乱部材の量はpHに関係なく一定であった。このため、着色高分子ゲル粒子と光散乱部材の体積変化によって、光散乱部材同士の間隔が変化し、高分子ゲル粒子の露出面の面積が変化しその結果光散乱の効率が大きく変わり、光学濃度が大きく増減したと考えられる。
【0122】
以上より本実施例の光学材料では、その体積変化によって、発色又は消色し、光学濃度が大きく変化し、かつこの変化が可逆的であることが明らかとなった。
【0123】
(比較例1、2)
表面を光散乱部材で被覆しないこと以外はそれぞれ実施例1又は実施例2と同様の方法で光学材料を作製した。乾燥時の光学材料は半透明であった。この光学材料の機能を実施例1と同様の方法で評価した。光学材料を付着させる前の黒色フィルターの光学濃度は約1.6であった。光学材料が付着した黒色フィルターにpH9の水酸化ナトリウム水溶液を注ぐと、高分子ゲルが膨潤して光学材料が半透明から透明に変化し、光学濃度は約1.5になった。次に、黒色フィルターにpH3の塩酸を注ぐと、高分子ゲルが収縮して透明から半透明に変化し、光学濃度は約1.3になった。このようにpHを変化させても、光学濃度はあまり変化しなかった。これは、光散乱部材で高分子ゲルの表面を被覆していないために、収縮時の光学材料の表面での光散乱効率が低いことが原因であると考えられる。
【0124】
(比較例3)
表面を光散乱部材で被覆しないこと以外は実施例3と同様の方法で光学材料を作製した。乾燥時の光学材料の色は青色であった。この光学材料の機能を実施例3と同様の方法で評価した。光学材料を付着させる前の白色フィルターの光学濃度は約0.15であった。このフィルターにpH9の水酸化ナトリウム水溶液を注ぐと、高分子ゲルが膨潤して、フィルターに青い斑点が分散された状態からフィルタ全体の色が青になった状態に変化し、波長600nmで測定した光学濃度が約1.0になった。次に、フィルターにpH3の塩酸を注ぐと、高分子ゲルが収縮して、フィルター全体の色が青であった状態からフィルターに青い斑点が分散された状態に変化し、波長600nmで測定した光学濃度が約0.60になった。このようにpHを変化させても、光学濃度の変化量は小さく、青い斑点を完全に消すことはできなかった。これは、光散乱部材で着色高分子ゲル表面を被覆していないために、収縮時の光学材料の表面での光散乱効率が低いことが原因であると考えられる。
【0125】
(比較例4)
表面を光散乱性材料で被覆しないこと以外は実施例4と同様の方法で光学材料を作製した。乾燥時の光学材料の色は黒色であった。この光学材料の機能を実施例4と同様の方法で評価した。光学材料を付着させる前の白色フィルターの光学濃度は約0.15であった。光学材料が付着したフィルターにpH9の水酸化ナトリウム水溶液を注ぐと、高分子ゲルが膨潤して、フィルターに黒い斑点が分散された状態からフィルタ全体の色が黒になった状態に変化し、波長600nmで測定した光学濃度が約1.8になった。次に、フィルターにpH3の塩酸を注ぐと、高分子ゲルが収縮して、フィルター全体の色が黒であった状態からフィルターに黒い斑点が分散された状態に変化し、波長600nmで測定した光学濃度が約0.70になった。このようにpHを変化させても、光学濃度の変化量は小さく、黒い斑点を完全に消すことはできなかった。これは、光散乱部材で着色高分子ゲルの表面を被覆していないために、収縮時の光学材料の表面での光散乱効率が低いことが原因であると考えられる。
【0126】
(実施例5)
実施例4で調製した光学材料0.3重量部を水酸化ナトリウム水溶液(1.0×10-3mol/リットル)90重量部に分散させた組成物を調製した。カーボンブラックを含有する着色高分子ゲルは、1g当たり約300gの水酸化ナトリウム水溶液を吸収してほぼ最大膨潤し、また光散乱部材は収縮し、光学材料の色は濃い黒になった。これを2枚のITO電極付きガラス板を厚さ200μmのスぺーサーで離間したセル間に注入して試料を作製した。
【0127】
この試料を白色フィルター上に水平に配置した。このフィルターの光学濃度は約0.15であった。試料に配線し、下側のITO電極がアノードになるように5Vの直流電圧を印加すると、光学材料は瞬時にほぼ白色に変化した。光学濃度測定装置で測定すると、光学濃度が0.17から1.8に変化していることが確認された。また、通電を止めると、又は逆極性の電圧をITO電極に印加すると、光学材料は再び黒色に変化し、光学濃度が可逆的に変化することがわかった。また、この操作を100回以上繰り返した後も変化量が変わらず安定であった。さらに、電圧の印加時間を制御することで光学濃度を0.17から1.8の間で多段階に変化させて濃度階調を行なうことができることが確認された。
【0128】
実施例1乃至実施例5、並びに比較例1乃至比較例4の評価結果を以下の表にまとめた。
【0129】
【表1】
【0130】
【発明の効果】
本発明の光学材料及び光学素子は、高分子ゲル表面での光散乱性を改善し、高分子ゲル内部に入射できる光量を制御する能力を向上させることによって、膨潤時の透明度や発色濃度を高め、収縮時の光散乱性を高めることができ、結果として高い表示コントラストと大きな反射率変化を実現する。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(a)は本発明の光学材料の高分子ゲルが収縮している状態を示し、図1(b)は本発明の光学材料の高分子ゲルが膨潤している状態を示す。
【図2】図2(a)は色素を含む本発明の光学材料の高分子ゲルが収縮している状態を示し、図2(b)は色素を含む本発明の光学材料の高分子ゲルが膨潤している状態を示す。
【図3】図3は本発明の光学素子の断面図である。
【符号の説明】
10 光学材料
12 高分子ゲル
14 光散乱部材
18 色素
20 光学素子
22 光学材料
24 液体
26 刺激付与手段
28 基板
30 スペーサ
Claims (12)
- 外部刺激に応じて液体を吸収又は放出することによって可逆的に体積が変化する高分子ゲルと、該高分子ゲルの表面の少なくとも一部を被覆する光散乱部材とから構成され、該光散乱部材は該高分子ゲルが膨潤する条件下で収縮し、該高分子ゲルが収縮する条件下で膨潤する第2の高分子ゲルと、該第2の高分子ゲルに分散された該液体の屈折率と異なる屈折率を有する光散乱性材料とで形成されたことを特徴とする光学材料。
- 該光散乱部材が平均粒子径が0.01μm〜1mmの粒子であることを特徴とする請求項1記載の光学材料。
- 該光散乱性材料が平均粒子径が0.001μm〜10μmの粒子であることを特徴とする請求項1記載の光学材料。
- 該高分子ゲルが、収縮したときの平均粒子径が0.01μm〜5mmの粒子であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の光学材料。
- 該高分子ゲルに色素が含有されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の光学材料。
- 該色素の濃度が飽和吸収濃度以上であることを特徴とする請求項5記載の光学材料。
- 該高分子ゲルが膨潤したときの該色素の光吸収効率が該高分子ゲルが収縮したときのそれより高いことを特徴とする請求項5記載の光学材料。
- 高分子ゲルが収縮し該色素が凝集した又は濃縮されたときにこの凝集又は濃縮部分で局所的に飽和吸収濃度以上の色素濃度が得られることを特徴とする請求項5記載の光学材料。
- 該外部刺激が、pH変化、イオン濃度変化、化学物質の吸着脱、溶液組成変化、並びに熱、光、電気及び磁界によるエネルギー付与のいずれかであることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の光学材料。
- 該高分子ゲルが膨潤したときの体積が該高分子ゲルが収縮したときの体積の5倍以上であることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の光学材料。
- 請求項1乃至10のいずれか1項に記載の光学材料、及び該光学材料から放出され又は該光学材料に吸収される液体が一対の基板間に保持されたセルを有することを特徴とする光学素子。
- 該セルに外部刺激を付与する刺激付与手段をさらに有することを特徴とする請求項11記載の光学素子。
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