JP3925964B2 - 表示装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規な表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術およびその課題】
現在、CRT、液晶表示装置、プラズマディスプレイ等種々の表示装置が実用化されている。この中で特に液晶表示装置は、薄型化、低消費電力化に適しており、ワードプロセッサ、パーソナルコンピュータのディスプレイとして広く普及している。
【0003】
一方、表示装置には、携帯端末のディスプレイとしてさらなる薄型化、低消費電力化が求められている。バックライトを必要とするタイプの液晶表示装置や、自ら発光するプラズマディスプレイでは、低消費電力化を実現することができない。したがって、外部からの光を反射して表示する反射型の表示装置の研究開発が急がれている。
【0004】
反射型の表示装置として、反射型液晶表示装置が研究されているが、液晶は基本的に視野に依存する特性を有しており、見る角度によってコントラストが変化したり、白黒表示が逆転する色反転等が生じてしまう欠点がある。また、反射型表示装置では、紙に近い白表示(ペーパーホワイト)を実現するために、高い反射率および光利用効率を達成することが求められているが、液晶表示装置では、液晶自身の反射率が小さいことや、配向膜の光透過率が小さいことのために、反射率や光利用効率が低い。したがって、液晶表示装置では、明暗のコントラストが小さく、非常に見にくくなる等の構造的な問題点が多い。
【0005】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、視野角に依存せず、コントラストが高くとれ、高い反射率・光利用効率を達成し、携帯用表示装置に適した新規な表示装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、一対の基板と、前記一対の基板間に配置された調光層とを具備し、前記調光層は、前記一対の基板間に設けられた電極間に印加された電界により変形する機能性ゲルを含み、前記機能性ゲルの変形により前記調光層に入射する光が調節されて、前記一対の基板の一方の上には着色層が形成され、前記機能性ゲルが粒状であり、前記電極間に印加される電界の有無により前記機能性ゲルが膨張又は収縮して基板面を隠す状態または現す状態で前記調光層のスイッチングを行うことを特徴とする表示装置を提供する。
また、本発明は、一対の基板と、前記一対の基板間に配置された調光層とを具備し、前記調光層は、前記一対の基板間に設けられた電極間に印加された電界により凝集又は分散する機能性ゲル粒子を含み、前記粒子の凝集又は分散により前記調光層に入射する光が調節されて、前記一対の基板の一方の上には着色層が形成され、前記粒子の凝集により前記調光層は透明となり入射光は前記調光層を透過し、前記着色層の色を呈し、前記粒子の分散により入射光は散乱して前記調光層は白濁することにより表示を行うことを特徴とする表示装置を提供する。
【0007】
また、本発明は、一対の基板と、前記一対の基板間に配置された調光層とを具備し、前記調光層は、画素領域を区画する部材と、前記部材に取り付けられており前記一対の基板間に設けられた電極間に印加された電界により変形する機能性ゲルとを有し、前記機能性ゲルの変形により前記調光層に入射する光が調節されて、前記一対の基板の一方の上には着色層が形成され、前記機能性ゲルが粒状であり、前記電極間に印加される電界の有無により前記機能性ゲルが膨張又は収縮して基板面を隠す状態または現す状態で前記調光層のスイッチングを行うことを特徴とする表示装置を提供する。
また、本発明は、一対の基板と、前記一対の基板間に配置された調光層とを具備し、前記調光層は、画素領域を区画する部材と、前記部材に取り付けられており前記一対の基板間に設けられた電極間に印加された電界により変形する機能性ゲルとを有し、前記機能性ゲルの変形により前記調光層に入射する光が調節されて、前記部材はシリンダーを構成し、前記機能性ゲルが着色され、かつ前記シリンダー内に配置されており、前記電極間に印加される電界の有無により前記機能性ゲルが膨張又は収縮して前記シリンダーを満たす状態または満たさない状態で前記調光層のスイッチングを行うことを特徴とする表示装置を提供する。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して具体的に説明する。
【0009】
本発明の表示装置は、電極を有する一対の基板間の調光層が、電極間に印加された電界により変形する機能性ゲルを含み、機能性ゲルの変形により調光層に入射する光を調節することを特徴としている。ここで、機能性ゲルの変形とは、屈伸、収縮・膨張(体積変化)、または凝集・分散等を意味する。
【0010】
また、本発明の表示装置は、電極を有する一対の基板間の調光層が、電極間に印加された電界により凝集・分散する粒子を含み、粒子の凝集・分散により調光層に入射する光を調節することを特徴としている。
【0011】
本発明の表示装置の第1の態様としては、一対の基板間に挟持された調光層が懸濁液あるいは乳濁液と、この懸濁液あるいは乳濁液中に配置されたフィルム状機能性ゲルとを含み、さらにこのフィルム状機能性ゲルを挟む位置に少なくとも2つの電極を設けてなる構造を有する。この場合、2つの電極間に電界を印加することにより、機能性ゲルが一対の基板のうち一方の基板面に接触する状態あるいは接触しない状態をとり、これにより画像を表示する。
【0012】
本発明の表示装置の第2の態様としては、電極を有する一対の基板間に挟持された調光層は一端が固定され、屈曲可能なフィルム状機能性ゲルを含む構造を有する。この場合、2つの電極間に電界を印加することにより、フィルム状機能性ゲルが屈伸して基板の表面が見え隠れし、これにより画像を表示する。
【0013】
本発明の表示装置の第3の態様としては、電極を有する一対の基板間に挟持された調光層が収縮・膨張可能な粒状機能性ゲルを含む構造を有する。この場合、2つの電極間に電界を印加することにより、粒状機能性ゲルが収縮・膨張して基板の表面が見え隠れし、これにより画像を表示する。
【0014】
第3の態様においては、粒状機能性ゲルの収縮時の粒径が0.3μm以上であることが好ましい。これにより、可視光散乱することができる。また、粒状機能性ゲルが、液体またはゲル中に分散されていることが好ましい。これにより、機能性ゲルが被膜状にならず、個々に分散することができる。
【0015】
本発明の表示装置の第4の態様としては、電極を有する一対の基板間に挟持された調光層が収縮・膨張可能な織布状の繊維状機能性ゲルを含む構造を有する。この場合、2つの電極間に電界を印加することにより、織布状の繊維状機能性ゲルが収縮・膨張して基板の表面が見え隠れし、これにより画像を表示する。
【0016】
本発明の表示装置の第5の態様としては、電極を有する一対の基板間に挟持された調光層が凝集・分散可能な粒子を含む構造を有している。この場合、2つの電極間に電界を印加することにより、凝集・分散可能な粒子が凝集・分散して基板の表面が見え隠れし、これにより画像を表示する。
【0017】
第5の態様において、凝集・分散可能な粒子の粒径が0.3μm以下であることが好ましい。これにより、可視光の散乱を抑制することができる。
【0018】
また、第1〜第5の態様においては、電極が基板上に形成された画素を区画する隔壁に配置されることが好ましい。これにより、電極材料を自由に選択することができる。
【0019】
本発明の第6の態様としては、電極を有する一対の基板間に挟持された調光層が顔料微粒子または着色微粒子と、この微粒子の表面の少なくとも一部に存在する機能性ゲルとを含む構造を有している。この場合、2つの電極間に電界を印加することにより、機能性ゲルが体積変化して基板の表面が見え隠れし、これにより画像を表示する。
【0020】
本発明における屈伸変形の機能性ゲルを用いた表示装置は、あらかじめ所定の色に着色した各画素ごとに配置された微小な表示板あるいは薄膜を直視するものであり、この表示板あるいは薄膜の位置を機能性ゲルである屈曲性刺激応答性高分子ゲル(屈曲応答性ゲルと省略する)の屈曲運動によって制御するものである。
【0021】
屈伸変形の機能性ゲルを用いる態様においては、表示板を移動可能とし、その表示板の一部を屈曲応答性ゲルに固定し、屈曲応答性ゲルの運動により、基板に対して垂直な方向に表示板を開閉するように制御しても良い。この場合、移動可能な表示板を白色とすることにより、ゲルの形状が直線状の場合に白表示が得られ、電気刺激により屈曲応答性ゲルが屈曲した場合に黒表示が得られる。また、表示板を着色することにより色表示することもできる。
【0022】
また、屈伸変形の機能性ゲルを用いる態様においては、移動可能な表示板の一部を屈曲応答性ゲルに固定し、隣接する画素の下部に収納するように構成しても良い。このような構成を有する表示装置においては、例えば基板を黒色に着色し、光散乱性の白色の表示板を用いることにより、コントラストが大きい白黒表示が可能となる。すなわち、屈曲応答性ゲルの形状が直線状の場合は白色表示となり、屈曲応答性ゲルが屈曲して表示板が隣接する画素の下部に収納された場合は基板の黒色が表示される。また、基板表面に反射板を配置し、表示板を黒色とすることにより白黒表示を行うこともできる。
【0023】
上記屈曲応答性ゲルの材料としては、ポリビニルアルコール−ポリアクリル酸複合体等を用いることができる。また、屈曲応答性ゲルとしては、電解質溶液の漏れを抑制するため、棒状ゲルをゲル膜で覆ったいわゆる微小な人工筋肉を用いることもできる。
【0024】
なお、移動可能な表示板の移動速度を増加させるために磁力、静電力等のゲル以外の駆動力を併用しても良い。
【0025】
また、例えばイエロー、シアン、マゼンタに着色した光透過性の表示板を配置することにより、色表示が可能となる。この方式による色表示においては、光透過性の着色された表示板を用いることにより、一つの画素でイエロー、シアン、マゼンタ、レッド、グリーン、ブルー、ブラック、ホワイトを表示することができるため、明るく鮮明な表示が可能である。また、異なる色に着色した光散乱性の表示板を並置配列することにより色表示を行うことも可能である。
【0026】
また、屈伸変形の機能性ゲルを用いる態様においては、薄膜を備えた棒状屈曲応答性ゲルの対向する端部を画素の外周部に固定し、屈曲応答性ゲルの屈曲運動によって薄膜の形状を制御しても良い。すなわち、屈曲応答性ゲルの形状が直線状である場合に薄膜が画素を覆い、屈曲応答性ゲルが屈曲した場合に薄膜が画素周辺部に移動して基板を直視することができるようになる。この薄膜を白色、基板を黒色に着色するか、または基板表面に反射板を設け、薄膜を黒色に着色することによって、コントラストが大きい白黒表示を実現することができる。また、異なる色相に着色した薄膜を積層するかまたは並置することにより、色表示を行うこともできる。さらに、イエロー、シアン、マゼンタに着色した光透過性の薄膜を積層した場合は、一つの画素でイエロー、シアン、マゼンタ、レッド、グリーン、ブルー、ブラック、ホワイトを表示することができるため、明るく鮮明な表示が可能となる。
【0027】
さらに、屈伸変形の機能性ゲルを用いる態様においては、薄膜を備えた棒状屈曲応答性ゲルの一端部を画素の外周部に固定し、対向する端部が画素中央に位置するように設置しても良い。すなわち、屈曲応答性ゲルの形状が直線状である場合に薄膜が画素を覆い、屈曲応答性ゲルが屈曲した場合に薄膜が画素周辺部に移動して基板を直視することができるようになる。この薄膜を白色、基板を黒色に着色するか、または基板表面に反射板を設け、薄膜を黒色に着色することによって、コントラストが大きい白黒表示を実現することができる。また、異なる色相に着色した薄膜を積層するかまたは並置することにより、色表示を行うこともできる。この場合においても、イエロー、シアン、マゼンタに着色した光透過性の薄膜を積層したときに、一つの画素でイエロー、シアン、マゼンタ、レッド、グリーン、ブルー、ブラック、ホワイトを表示することができ、明るく鮮明な表示が可能となる。
【0028】
本発明における膨張・収縮変形の機能性ゲルを用いた表示装置は、各画素ごとに機能性ゲルである膨張・収縮性刺激応答性ゲル(膨張・収縮性ゲルと省略する)を画素周辺に配置し、電気刺激により画素中央に向けて膨張運動させるものである。この場合、膨張・収縮性ゲルを白色に、基板を黒色に着色するか、または膨張・収縮性ゲルを黒色に着色し、基板を白色に着色することにより、白黒表示を行うことができる。この方式は、膨張・収縮性ゲルまたは基板を直視する方式であるため、高いコントラストが得られる。また、この方式においては、イエロー、シアン、マゼンタに着色した光透過性の膨張・収縮性ゲルを含むセルを3層積層することにより、色表示を行うことができる。この方式においては、一つの画素でイエロー、シアン、マゼンタ、レッド、グリーン、ブルー、ブラック、ホワイトを表示することができるため、コントラストが大きく、かつ鮮明な色表示を行うことができる。また、この方式においては、レッド、グリーン、ブルーに着色した光散乱性の膨張・収縮性ゲルを含むセルを3層積層して色表示を行うこともできる。さらに、この方式においては、光透過性のイエロー、シアン、マゼンタのフィルタ上に光散乱性の膨張・収縮性ゲルを配置するか、または光吸収性のイエロー、シアン、マゼンタのフィルタ上に光散乱性または光吸収性の膨張・収縮性ゲルを配置して、これらの膨張・収縮性ゲルをフィルタ上に備えられたシャッターとして用いることもできる。
【0029】
また、膨張・収縮変形の機能性ゲルを用いる態様においては、各画素ごとに配置されたシリンダー状の容器の底部に膨張・収縮性ゲルを配置しても良い。例えば、シリンダー状の容器の表面を黒色に着色し、白色の膨張・収縮性ゲルを用いると、ゲルが収縮状態のときは黒表示となり、ゲルが膨潤状態の場合は白表示となる。また、この方式において、膨張・収縮性ゲルを所定の色に着色することにより、色表示を行うことができる。また、この方式においては、シリンダーの形状を変えることにより、コントラストを増大させることができる。
【0030】
また、膨張・収縮変形の機能性ゲルを用いる態様においては、図52に示すように、色表示に用いる顔料微粒子または着色微粒子61の表面に膨張・収縮性ゲル微粒子62を吸着させ、膨張・収縮性ゲルの膨張・収縮により顔料微粒子または着色微粒子が見え隠れすることによって表示を行っても良い。例えば、膨張・収縮性ゲルとして白色微粒子を用いた場合、ゲルが膨張(膨潤)して顔料微粒子や着色微粒子の表面を覆えば白色表示となり、ゲルが収縮した場合には顔料微粒子や着色微粒子の色が表示される。また、膨張・収縮性ゲル微粒子を顔料微粒子や着色微粒子と異なる色相に着色し、膨張・収縮性ゲル微粒子の体積変化によって連続的に色相を変化させることもできる。さらに、膨張・収縮性ゲル微粒子を黒色に着色した場合は、ゲル収縮時に顔料微粒子や着色微粒子の色表示を行い、ゲル膨張時に黒表示を行うことができる。
【0031】
また、この方式においては、図53(a)、図53(b)および図54に示すように、顔料微粒子や着色微粒子を単数または複数の孔または亀裂を有する膨張・収縮性ゲル薄膜63で覆ったものを用いることができる。この場合、例えばゲル薄膜が白色である場合、ゲル薄膜が収縮すると孔の面積が増大して顔料微粒子や着色微粒子の色が表示され、膨張すると白表示となる。また、この方式において、ゲル薄膜を顔料微粒子や着色微粒子と異なる色相に着色し、ゲル薄膜上にある孔または亀裂の面積を調整することにより、連続的に色相を変化させることもできる。また、この方式において、ゲル薄膜を黒色に着色した場合、ゲル薄膜が収縮した時に顔料微粒子や着色微粒子の色を表示することができ、ゲル薄膜が膨張した時に黒表示を行うことができる。
【0032】
また、この方式においては、図55に示すように、表面に膨張・収縮性ゲル微粒子を有する顔料微粒子や着色微粒子を一画素に一つづつ配置した構造にしても良い。なお、図中64は基板を示す。この場合、白色の膨張・収縮性ゲルを用いた場合、ゲル微粒子が膨張して顔料微粒子や着色微粒子の表面を覆えば白色を表示することができ、ゲル微粒子が収縮した場合には顔料微粒子や着色微粒子の色を表示することができる。また、ゲル微粒子を顔料微粒子や着色微粒子と異なる色相に着色し、ゲル微粒子の体積変化により連続的に色相を変化させることもできる。さらに、ゲル微粒子を黒色に着色した場合は、ゲル微粒子が収縮した時に顔料微粒子や着色微粒子の色を表示することができ、ゲル微粒子が膨潤した時は黒表示を行うことができる。
【0033】
さらに、図56(a)および図56(b)に示すように、単数または複数の孔を有する膨張・収縮性ゲル薄膜で覆った顔料微粒子や着色微粒子61を一画素に一つづつ配置した構造にしても良い。なお、単一の孔または亀裂を有するゲル薄膜63で顔料微粒子または着色微粒子61を覆った場合、孔または亀裂の中心は表示装置の前面を向いていることが望ましい。
【0034】
本発明で用いる、表面の少なくとも一部に膨張・収縮性ゲルが存在する顔料微粒子または着色微粒子は、顔料微粒子または着色微粒子を核としたコーティング造粒法あるいはコアセルベーション法等を用いて得ることができる。
【0035】
上記膨張・収縮性ゲルの材料としては、デンプン系高吸水性ポリマー、セルロース系高吸水性ポリマー、ヒアルロン酸系高吸水性ポリマー、ポリビニルアルコール系高吸水性ポリマー、アクリル酸塩系高吸水性ポリマー、アクリルアミド系高吸水性ポリマー、ポリオキシエチレン系高吸水性ポリマー、ポリスチレンスルホン酸、アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸共重合体等の架橋体、ポリウレタン樹脂または種々のオルガノゲル等を用いることができる。
【0036】
本発明において機能性ゲル微粒子を用いた表示装置は、黒色吸収体または色フィルター上に粒状機能性ゲルである刺激応答性ゲル微粒子(ゲル微粒子と省略する)を分散させた領域を設けたものである。この方式は、ゲル微粒子の粒径変化によって可視光の透過−散乱状態を制御するものである。例えば、粒径が可視光の波長より大きいゲル微粒子を分散させた場合、定常状態で光透過状態であり、ゲル微粒子が刺激により収縮したときに粒径が可視光の波長域内に入り光散乱状態となり、これにより光の透過・散乱を制御することができる。また、粒径が可視光の波長域内のゲル微粒子を分散させた場合、定常状態で散乱状態であり、ゲル微粒子が刺激により収縮したときに粒径が可視光の波長域より小さくなり光透過状態となり、これにより光の透過・散乱を制御することができる。この方式においては、光散乱能を向上させるために、粒径が可視光の波長域以下のポリマー、あるいは無機物の微粒子をゲル微粒子と混在させることにより、コントラストを増大させることができる。また、この方式においては、刺激応答の特性の異なるレッド、グリーン、ブルーの色素を含有するゲル微粒子を同一画素内に混在させ、加える刺激の強さや大きさを制御して選択的に特定の種類のゲル微粒子の体積変化させることにより色相を変化させることができる。
【0037】
本発明において凝集・分散性粒子を用いた表示装置の凝集・分散性粒子としては、無機ポリマーゲル等の粒子を用いることができ、その粒径は、光散乱等を考慮すると、0.3〜2.0μmであることが好ましい。
【0038】
本発明の表示装置によれば、一画素ごとに機能性ゲルをフィルム状あるいは繊維状に形成し、この機能性ゲルに電界を印加・無印加にする、または極性が異なる電圧の電気信号を与えることによって、機能性ゲルに屈伸、膨張・収縮等の変化を起こさせる。この機能性ゲルの変化を光のシャッターとして用いることにより、所望の画像を得ることができる。
【0039】
また、一画素ごとに多数の粒子を配置し、この粒子に電界を印加・無印加にする、または極性が異なる電圧の電気信号を与えることによって、粒子の凝集・分散を生じさせる。この粒子の凝集・分散で光の透過を調整することにより画像を得ることができる。
【0040】
本発明の表示装置において、特に、機能性ゲルを挟持するように電極を配置することにより、機能性ゲルに効率よく電界や電気信号を与えることができ、良好に機能性ゲルの変化を起こすことができ、コントラストの向上を図ることができる。この場合、一対の基板にそれぞれ透明電極を形成し、その透明電極が対向するように配置した基板間に機能性ゲルを配置しても良く、一対の基板間に基板と連接する壁を形成し、壁の上方および下方に電極を形成し、その基板間に機能性ゲルを配置しても良い。
【0041】
本発明の表示装置においては、従来のゲスト−ホスト型液晶表示装置で問題となる二色性色素や液晶等の物性パラメータに左右されることがなく、理想的な表示状態を実現することができる。このため、従来は不可能であった明るく鮮明な色表示が可能であり、コントラストも高い。また、構造が単純であるため、低コストでの生産が可能であり、量産に適する。
【0042】
なお、本発明の表示装置において、基板材料、電極材料、素子材料等については、表示装置に通常使用されるものを用いることができる。
【0043】
以下、本発明の実施例について図面を参照して具体的に説明する。なお、本発明は、これらの実施例に限定するものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
【0044】
(実施例1)
本実施例は、対向する一対の基板間に、染色したフィルム状の機能性ゲルを配置し、基板間に懸濁液あるいは乳濁液を満たし、機能性ゲルを挟むように形成した電極間の極性あるいは電圧を変化させる等の電気信号により機能性ゲルの屈伸を繰り返させ、上部基板の基板面(透過面)に接触あるいは非接触を繰り返させることにより表示するものである。
【0045】
このとき、上部基板はガラス基板等の透明基板とし、フィルム状機能性ゲルがこの透明基板に接触した場合、上部からは染色されたゲルの色が観測され、透明基板に非接触の場合、懸濁液あるいは乳濁液の色が観測される。
【0046】
図1〜図3を用いて本実施例における表示装置の構成を説明する。下部基板1上には、図1に示すように、各画素ごと四方を囲むように、側面の上下にそれぞれ電極を付けた樹脂等からなる側壁2が形成されている。この側壁2に囲まれた部分には、フィルム状の機能性ゲル3aが印刷等により形成されている。このとき、各フィルム状機能性ゲル3の四方は機能性ゲルである繊維状ゲル3bでネットワーク状に接続されている。また、上部基板4は、図2に示すように、印刷等で形成された接着剤5によって下部基板1との間にギャップを有して対向配置されている。
【0047】
フィルム状機能性ゲル3に電気信号を与える電極は、フィルム状機能性ゲル3を挟むように、前記側壁2に下部基板1側に下部電極6、上部基板4側に上部電極7として形成されている。下部基板1および上部基板4間のギャップ中には、懸濁液あるいは乳濁液8が注入されている。本実施例では、フィルム状機能性ゲル3を構成する樹脂が、懸濁液あるいは乳濁液の注入で膨潤することによりゲル状となる。この樹脂は膨潤してゲル化することで体積(表面積)が大きくなるため、フィルム状機能性ゲル3は上部基板4と下部基板1との間にバラバラな状態で位置する。ここで、樹脂が膨潤し終わる前に下部基板1側に接触するように、電圧を印加すると、樹脂がゲル化するときにゲルは下部基板1に接触するように変形する。
【0048】
本実施例による表示装置は、電圧ON状態で、機能性ゲル3が歪み、上部基板4側に撓んだ状態となり、図3に示すように、ガラス基板等の上部基板4に接触する。このとき、上方から(上部基板4側から)観察すると、画素はフィルム状機能性ゲル3の色を呈する。
【0049】
一方、電圧OFF状態で、機能性ゲルは下部基板1側に歪み、上方から観察すると、画素には懸濁液あるいは乳濁液の色が観察される。例えば、懸濁液あるいは乳濁液として、白色のエマルジョンを分散させた場合、紙の色に近い白(ペーパーホワイト)を呈する。このように、電圧のON、OFFを繰り返すことにより、白黒表示が可能となる。
【0050】
このように、本実施例の表示装置では、電圧のON、OFFの電気信号を与えることにより、染色させたゲルが透明基板面に押しつけられるモード(図3)および初期状態に戻るモード(図2)に切り替わり、押しつけられるモード(図3)のときにフィルム状機能性ゲル3の色を呈し、戻るモード(図2)のときに上部基板と下部基板との間に配された懸濁液あるいは乳濁液の色を呈し、これにより、表示を行う。なお、上記と反対の極性の電圧を印加することにより、機能性ゲルを上部基板4に接触させる状態、下部基板1側に引き離す状態でモード切り替えを行うこともできる。
【0051】
なお、機能性ゲルを構成する樹脂は、部分的に架橋しなければ、懸濁液あるいは乳濁液に溶解してしまうことがあるが、架橋度を調整することにより、ゲルの膨潤量を制御し、これにより樹脂の懸濁液あるいは乳濁液への溶解を防止することができる。樹脂の架橋の調整方法としては、イオン架橋あるいは樹脂合成の際、架橋剤を添加し合成する方法、樹脂を合成した後に加水分解して架橋する方法等が挙げられる。イオン架橋により調整する場合、例えば膨潤液(懸濁液あるいは乳濁液)中のイオン濃度と樹脂中のカルボン酸、スルホン酸、アミン量等のイオン成分濃度とを調整することにより行う。架橋剤を添加する場合は、イオン架橋の調整によりその量を決める。
【0052】
また、本実施例の表示装置において、カラー表示を行う場合は、フィルム状機能性ゲルをレッド、グリーン、ブルーや、シアン、マゼンタ、イエロー等の色の3原色に染めて用いれば良い。
【0053】
次に、本実施例による表示装置の作製方法について説明する。
【0054】
まず、図4および図5に示すように、下部基板1に裏面から表面に(図中下から上に)貫通するように一対の電極9,10を形成する。下部基板1の表面に蒸着またはスパッタリングにより電極層11を形成する。下部基板1の裏面には、電極9,10間に電圧を印加するための駆動用配線(図示せず)が形成されている。電極9,10の材料としては、銅、ニッケル等が挙げられ、電極層11の材料としては、銅、ニッケル、金等が挙げられる。また、下部基板1の基板材料としては、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、フェノール樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリエーテル樹脂、シリコーン樹脂、ガラス等が挙げられる。この場合、下部基板1としてはエポキシ樹脂基板を用いている。
【0055】
次いで、図6および図7に示すように、電極9には接続せず、電極10に接続するように電極層11をエッチングによりパターニングして下部薄膜電極12を形成する。
【0056】
次いで、図8および図9に示すように、下部薄膜電極12上に側壁2となる絶縁層13,14を印刷法等で形成する。このとき、電極10上に絶縁層13が形成されないように絶縁層13に孔15を設ける。絶縁層13,14の材料としては、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂等が挙げられる。具体的には、チクソ性を持つフィラーを添加した白色エポキシ樹脂を用い、絶縁層13の寸法を幅0.2mm×0.4mm、長辺側の間隔0.3mm、短辺側の間隔0.2mm、厚さ0.3mmのとし、絶縁層14の寸法を幅0.1mm×0.3mm、長辺側の間隔0.6mm、短辺側の間隔0.3mm、厚さ0.3mmとして印刷し、硬化させた。
【0057】
次いで、図10に示すように、絶縁層13,14が形成された下部基板1の表面に、蒸着またはスパッタリング等により薄膜導体16を形成する。この薄膜導体16の材料としては、銅、ニッケル等が挙げられる。次いで、図11および図12に示すように、この薄膜導体16をエッチングして上部薄膜電極17を形成する。
【0058】
次いで、図13および図14に示すように、上部薄膜電極17を設けた側壁13上に絶縁層18を印刷等で形成する。このときの絶縁層18の材料としては、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリウレタン樹脂等が挙げられる。具体的には、絶縁層18は、白色エポキシ樹脂を厚さ5μmで塗布し硬化することにより形成する。その後、余剰の上下部薄膜電極12,17をエッチングにより除去し、図13に示すように、下部薄膜電極12、上部薄膜電極17に端面19を設ける。
【0059】
次いで、図15および図16に示すように、上記基板に電気メッキ処理を施すことにより、下部薄膜電極12、上部薄膜電極17の端面19に耐食性に優れたニッケル、金、白金等の金属を成長させ、それぞれ上部電極20および下部電極21を形成する。このようにして本実施例の表示装置の下部基板を作製する。ここで、絶縁層13,14を短冊形にしたのは、上部基板と下部基板を貼り合わせた後、液の注入を容易にすると共に、隅に気泡が残存しないようにするためである。
【0060】
次に、上記のようにして作製した下部基板に、図1に示すようなフィルム状の機能性ゲルを装着する方法について説明する。まず、上部基板として厚さ0.5mmのガラス基板表面に、図1に示すように、赤色に染色したポリアクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸アクリル系樹脂を溶解した溶液を厚さ1μmで印刷して乾燥することにより、フィルム状機能性ゲル3aおよび繊維状ゲル3bを形成する。
【0061】
次いで、機能性ゲル3a,3bが形成された上部基板4と、前述したように電極が形成された下部基板1とを貼り合わせる。すなわち、上部基板4と側壁である絶縁層13,14とを接着するために、接着部に対応する上部基板4の位置に接着剤として白色エポキシ樹脂を厚さ2μmで印刷し、さらに、上部基板4および下部基板1の周縁部にシール剤として白色エポキシ樹脂を印刷し、上部基板4および下部基板1を位置合わせして重ね合わせ、ネットワーク処理を施すか、紫外線を照射することにより、エポキシ樹脂を硬化させて上部基板4および下部基板1を接着する。このようにしてセルを作製する。
【0062】
次いで、上記のように作製したセルの端面から、懸濁液あるいは乳濁液として、ピリジニウム系界面活性剤を含むポリエステルエマルジョンを注入する。注入に際して、注入口が形成されている端面の反対側の端面に口を設け、この口から僅かにセル内部を減圧させることによって、エマルジョンの注入をスムーズに行うことができる。エマルジョンを注入した後、両端の口を樹脂で封止する。この状態で1日放置し、機能性ゲルの樹脂を膨潤させゲル化させて、フィルム状機能性ゲル3a,繊維状ゲル3bを形成して本実施例の表示装置を得る。
【0063】
このようにして作製した表示装置の上部電極・下部電極の極性を替えながらON/OFFを繰り返し、赤色のゲルが白色のエマルジョン中に沈み、全面が白色になるように調整した。すなわち、電圧をONすると、フィルム状機能性ゲルが透明基板に接触して赤色が表示され、電圧をOFFにすると赤色が消えた。また、電圧OFFの場合には、紙に近い白色を表示できた。さらに、この場合、コントラストも充分にとれた。
【0064】
また、本実施例では、電圧の極性を反転させることにより、フィルム状機能性ゲルが上部基板側に接触するように屈曲する場合と、下部基板側に接触するように屈曲する場合に制御できる。これは、機能性ゲルに加えられる界面活性剤の方向により決定される。
【0065】
本実施例においては、機能性ゲルを挟む電極を側壁に設けたが、上部基板および下部基板の表面に電極を設け、一方の電極を透明電極とした場合でも同様に動作させることができる。
【0066】
(実施例2)
本実施例では、基板上に側壁を形成し、フィルム状機能性ゲルの一端を側壁に固定し、電圧の極性を反転させることで、機能性ゲルを屈伸させる表示装置を提供する。この場合、機能性ゲルはその一端が固定されているので、機能性ゲルが屈曲するとき上方からは染色されたセル底(下部基板の表面)が観測され、機能性ゲルが伸びてセル底を隠すときは染色されたゲルが観測される。
【0067】
図17〜図19を用いて本実施例における表示装置の構成を説明する。なお、図1〜図3と同一部分には同一符号を付してその詳しい説明は省略する。
【0068】
下部基板1上には、各画素ごとに四方を囲むように側壁2が形成されている。この側壁2に囲まれた部分には、フィルム状の機能性ゲル3が形成されている。このとき、各フィルム状機能性ゲル3の一端は、一つの側壁2に固定されている。上部基板4は、接着剤5によって下部基板1に対してギャップを有して対向して配置されている。
【0069】
フィルム状機能性ゲル3に電気信号を与える電極は、フィルム状機能性ゲル3を挟むように、前記側壁2の下部基板1側に下部電極6、上部基板4側に上部電極7として形成されている。また、下部基板1の表面には、所望の色に染色された染色膜22が形成されている。
【0070】
本実施例による表示装置においては、下部電極6にプラス、上部電極7にマイナスの電圧を印加すると、機能性ゲル3が歪み、図18に示すように、上部基板4側に伸びる。このとき、上方から観察すると、画素はフィルム状機能性ゲル3の色を呈する。また、下部電極6にマイナス、上部電極7にプラスの電圧を印加すると、機能性ゲル3は、図19に示すように、固定されている側壁2側に屈曲する。このとき、上方から観察すると、画素は下部基板1の表面上に形成された染色膜22の色を呈する。
【0071】
このように、本実施例の表示装置では、電極の極性を変化させる等の電気的信号を与えることにより、染色したゲルが下部基板に形成された染色膜を覆い隠すモード(図18)と、覆い隠さないモード(図19)に切り替えることが可能となり、覆い隠すモード(図18)のときにフィルム状機能性ゲル3の色を呈し、覆い隠さないモード(図19)のときに下部基板上に形成された染色膜の色を呈し、これにより表示を行う。なお、機能性ゲルの膨潤量を調整する方法は実施例1と同様である。
【0072】
次に、本実施例による表示装置の作製方法について説明する。
【0073】
本実施例に用いる下部基板は、あらかじめ印刷法等により染色膜22が形成された基板を用い、実施例1と同様の方法により作製する。染色膜22としては、染料あるいは顔料を樹脂に分散させた塗料を印刷する方法等により形成する。ここでは、カーボンブラックが分散されたエポキシ樹脂を用いて黒色膜を形成した。また、側壁となる絶縁層の厚さを0.4mmにした。
【0074】
次いで、上部基板4の画素に対応する部分に、図17に示すように、ポリアクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸アクリル系樹脂を厚さ1μmでパターン印刷した。次いで、下部基板1に形成された側壁2に対応する上部基板4の位置に白色エポキシ接着剤5を印刷する。
【0075】
次いで、フィルム状機能性ゲル用の樹脂3が形成された上部基板と、電極が形成された下部基板とを貼り合わせる。すなわち、上部基板4および下部基板1の周縁部にシール材として白色エポキシ樹脂を印刷し、上部基板4および下部基板1を位置合わせして重ね合わせ、熱処理あるいは紫外線照射によりエポキシ樹脂を硬化させ接着する。このようにしてセルを作製する。
【0076】
次いで、上記のように作製したセルの端面から、界面活性剤を含む水を注入する。注入に際して、注入口が形成されている端面の反対面に口を設け、この口から僅かにセル内部を減圧することによって、水の注入をスムーズに行うことができる。水を注入した後、両端の口を封着する。この状態で1時間放置し、前記樹脂を膨潤させゲル化させて、一端が固定されたフィルム状機能性ゲル3を形成して本実施例の表示装置を得る。
【0077】
このようにして作製した表示装置の下部電極6にプラス、上部電極7にマイナスの電圧を印加すると、図19に示すように、機能性ゲル3は屈曲し、上部から見ると下部基板1上に形成された染色膜22の黒色が見え、下部電極6にマイナス、上部電極8にプラスの電圧を印加すると、図18に示すように、機能性ゲル3は上部基板側へ伸び、染色膜22を覆い隠すようになる。この減少を利用して、電極間に1/30秒で極性を反転する電気信号を与えたところ、機能性ゲル3は屈伸を繰り返し、これにより画像を表示することができた。
【0078】
また、本実施例の表示装置によれば、紙に近い白表示が得られ、コントラストも充分であった。また、駆動電圧は2〜10Vであった。
【0079】
本実施例では、機能性ゲルを挟む電極を側壁に設けているが、上部基板および下部基板の表面に電極を設け、一方を透明電極とした場合も同様に動作させることができる。
【0080】
(実施例3)
本実施例では、対向して配置された一対の基板間に形成された電極間に、染色した繊維状の機能性ゲルを編むあるいは織って布状(メッシュ状)にして、下部基板を覆うように配置し、電極間の極性あるいは電圧を変化させる等の電気信号により、繊維状機能性ゲルの膨張・収縮によってその太さを変化させ、繊維が太くなったときに下部基板表面を覆い隠し、繊維が細くなったときに下部基板を見えるようにした表示装置を提供する。この場合、繊維状機能性ゲルで作製した布を、光の透過性を考慮して複数積層しても良い。
【0081】
図20〜図22を用いて本実施例における表示装置の構成を説明する。なお、図1〜図3と同一部分には同一符号を付してその詳しい説明は省略する。
【0082】
下部基板1上には、各画素ごとに四方を囲むように側壁2が形成されている。この側壁2に囲まれた部分には、繊維状の機能性ゲル3を編み込んで形成した布が配置されており、この布の4端は側壁2に固定されている。上部基板4は、印刷等で形成された接着剤5によって下部基板1に対してギャップを有して対向して配置されている。
【0083】
繊維状機能性ゲル3に電気信号を与える電極は、繊維状機能性ゲル3を挟むように、前記側壁2の下部基板1側に下部電極6、上部基板4側に上部電極7として形成されている。また、下部基板1の表面は所望の色に染色されている。また、下部基板1および上部基板4間のギャップには、機能性ゲルの安定化のために電解液が注入されている。
【0084】
本実施例による表示装置においては、下部電極6および上部電極7間に電圧を印加しない場合に機能性ゲル3が膨張し、図21に示すように、布のメッシュの孔が縮む。このとき、上方から観察すると、画素は繊維状機能性ゲル3の色を呈する。また、下部電極6および上部電極7間に電圧を印加すると、繊維状機能性ゲル3は、図22に示すように、収縮して細くなる。このとき、上方から観察すると、繊維状機能性ゲルは細くなるので、布のメッシュの孔が大きくなり、画素は下部基板1の表面の色を呈する。
【0085】
このように、本実施例の表示装置では、電極への電圧の印加の有無により、染色した繊維状機能性ゲルが下部基板に形成された染色膜を覆い隠すモード(図21)と、覆い隠さないモード(図22)に切り替えることが可能となり、覆い隠すモード(図21)のとき繊維状機能性ゲル3の色を呈し、覆い隠さないモード(図22)のとき下部基板の表面の色を呈し、これにより表示を行う。
【0086】
次に、本実施例による表示装置の作製方法について説明する。
【0087】
本実施例に用いる下部基板には、あらかじめ表面を染色した基板を用い、実施例1と同様の方法により作製する。ここでは、表面を黒く染色した基板を用いた。また、側壁となる絶縁層の厚さを0.2mmにした。
【0088】
次いで、ポリビニルアルコール−ポリアクリルアミドを繊維状にし、これを平織りで布に作製する。このメッシュ状の布を染料あるいは顔料により赤く染色する。次いで、布を形成された下部基板1と、ガラス基板等からなる上部基板4との間に配置する。このとき、布のメッシュ孔部分に、側壁2が位置するようにして接着剤により固定する。接着剤としては白色エポキシ樹脂を用い、これを厚さ0.1mmで上部基板上に印刷する。また、上部基板4および下部基板1の周縁部にも、シール材として白色エポキシ樹脂を印刷する。その後、上部基板4および下部基板1を位置合わせして重ね合わせ、熱処理あるいは紫外線照射によりエポキシ樹脂を硬化させ接着する。このようにしてセルを作製する。
【0089】
次いで、上記のように作製したセルの端面から食塩水を注入する。注入に際して、注入口が形成されている端面の反対面に口を設け、この口から僅かにセル内部を減圧することによって、食塩水の注入をスムーズに行うことができる。食塩水を注入した後、両端の口を封着する。メッシュ状に織られた樹脂が食塩水中に晒されることにより、膨潤化し機能性ゲルとなる。
【0090】
このようにして作製した表示装置の上部電極7および下部電極6の間に5Vの電場を印加すると、繊維状機能性ゲルは収縮してメッシュの孔が開き、電場の印加を停止すると、繊維状機能性ゲルは膨張してメッシュの孔が閉じる。したがって、メッシュの孔が閉じたときには、繊維状機能性ゲルの色を呈し、メッシュの孔が開いたときには、下部基板1の色を呈する。
【0091】
また、本実施例の表示装置によれば、紙に近い白表示が得られ、コントラストも充分であった。
【0092】
本実施例では、機能性ゲルを挟む電極を側壁に設けているが、上部基板および下部基板の表面に電極を設け、一方を透明電極とした場合も同様に動作させることができる。
【0093】
(実施例4)
本実施例では、対向して配置された一対の基板間に形成された電極間に、液体および粒状機能性ゲルを、この液体と同じあるいはほとんど同じ屈折率を有するゲル中に分散させ、電圧を変化させる等の電気信号を与えることにより、粒状機能性ゲルが膨張・収縮する表示装置を提供する。この場合、粒状機能性ゲルが膨張すると、機能性ゲルの屈折率と液体の屈折率がほぼ一致するので、光が透過して下部基板表面が現れる。一方、粒状機能性ゲルが収縮すると、液体の屈折率と機能性ゲルの屈折率が異なり、光が散乱して下部基板表面が隠れる。ここで、粒状機能性ゲルが膨張したときの平均粒径は、可視光を散乱させる効果が大きくなるので、0.3μm以上であることが好ましい。
【0094】
図23および図24を用いて本実施例における表示装置の構成を説明する。なお、図17〜図19と同一部分には同一符号を付してその詳しい説明は省略する。
【0095】
下部基板1上には、各画素ごとに四方を囲むように側壁2が形成されている。この側壁2に囲まれた部分には、屈折率が比較的大きい粒状機能性ゲルが分散された液体あるいは多量に液体を吸収できるゲルが配置されている。上部基板4は、印刷等で形成された接着剤5によって下部基板1に対してギャップを有して対向して配置されている。
【0096】
粒状機能性ゲル3に電気信号を与える電極は、粒状機能性ゲル3を挟むように、前記側壁2の下部基板1側に下部電極6、上部基板4側に上部電極7として形成されている。また、下部基板1の表面には、所望の色に染色された染色膜22が形成されている。
【0097】
本実施例による表示装置においては、下部電極6および上部電極7の間に電圧を印加すると、粒状機能性ゲル3が収縮して、図24に示すように、粒径が小さくなる。このとき、粒状機能性ゲルの屈折率と媒質の屈曲率の違いによって、セルは散乱により白濁する。また、下部電極6および上部電極7の間の電圧の印加を停止すると、粒状機能性ゲル3は、図23に示すように、膨張して粒径が大きくなる。このとき、上方から観察すると、粒状機能性ゲルは大きくなるので、粒状機能性ゲルの屈折率と液体の屈折率がほぼ一致し、画素は下部基板1の表面に形成された染色膜22の色を呈する。
【0098】
本実施例による表示装置においては、電極の極性を変化させる等の電気的信号を与えることにより、粒状機能性ゲルが小さくなり、粒状機能性ゲルと液体の屈折率の差によって光を散乱するモード(図24)と、粒状機能性ゲルが大きくなり、粒状機能性ゲルと液体の屈折率がほぼ一致して光を透過するモード(図23)に切り替えることが可能となり、光散乱モード(図23)のときに白濁し、透過モード(図24)のときに下部基板の表面に形成された染色膜22の色を呈し、これにより表示を行う。なお、透過モードの場合、粒状機能性ゲルの量を多くすることにより、ゲルの収縮時にゲル容量が高くなり、屈折率が大きくなって散乱も大きくなる。また、本実施例においては、白色等に染色した粒状機能性ゲルを用い、ゲルが膨張した場合にゲルの色を観測し、ゲルが収縮した場合にセル底の色を観測する表示装置に構成することもできる。
【0099】
次に、本実施例による表示装置の作製方法について説明する。
【0100】
本実施例に用いる下部基板は、実施例2と同様の方法により作製する。次いで、この下部基板と、ガラス基板等からなる上部基板とを貼り合わせる。すなわち、接着剤として白色エポキシ樹脂を用い、これを厚さ2μmで側壁上に印刷し、上部基板4と下部基板1の周縁部にシール材として白色エポキシ樹脂を印刷し、上部基板4および下部基板1を位置合わせして重ね合わせ、熱処理あるいは紫外線照射によりエポキシ樹脂を硬化させ接着する。このようにしてセルを作製する。
【0101】
次いで、媒質として水に透明ゲルを分散させる。このとき、透明ゲルと一緒に粒状機能性ゲルとなる少量の樹脂を添加して混合液を得る。この少量の樹脂は、ゲル化した後に屈折率が透明ゲルとほぼ一致するものを選ぶ。具体的には、この混合液は、ゲル化した後に粒径が1〜3μmの20倍に体積膨張したポリアクリルアミドゲルと、50℃の5%寒天溶液(透明ゲル)とを混合して作製する。
【0102】
次いで、この混合液をセル中に注入する。この混合液が冷えることにより、樹脂はゲル化して機能性ゲルとなり、ゲル化によって流動性が小さくなる。この場合、加熱することにより、流動性を付与することが好ましい。その後、10℃以下の温度に冷却し1日放置することにより、機能性ゲルがセル内に均一に分散して固定される。このようにして、本実施例の表示装置を作製する。
【0103】
このようにして作製した表示装置においては、粒状機能性ゲルの膨張時には、粒状機能性ゲルの屈折率と透明ゲルとの屈折率がほぼ一致するので、粒状機能性ゲルの膨張時にセル内は透明となり、セル底に形成された染色膜22の色を呈することになる。一方、上部電極7および下部電極6の間に、極性あるいは電圧を変化させる等の電気信号を与えることにより、粒状機能性ゲルは収縮し、樹脂密度が増大する。これにより、粒状機能性ゲルの屈折率が透明ゲルの屈折率より大きくなり、光が散乱してセル内は白濁する。具体的に、本実施例の表示装置において、セル内が透明な状態で電極に5Vの電圧をかけると白濁して染色膜22の黒色が見えなくなり、電圧の印加を停止すると、セル内が透明となり黒色が見えるようになった。
【0104】
本実施例の表示装置によれば、紙に近い白色表示が実現され、コントラストも充分に高いものであった。
【0105】
本実施例では、機能性ゲルを挟む電極を側壁に設けているが、上部基板および下部基板の表面に電極を設け、一方を透明電極とした場合も同様に動作させることができる。
【0106】
(実施例5)
本実施例は、対向して配置された一対の基板間に形成された電極間に粒子を分散させた液体を供給し、電極間に印加する電圧を変化させることにより、粒子が凝集・分散する表示装置を提供する。液体中に粒子が分散した状態において、粒子が充分に細かいと、可視域の光の散乱が起きない。一方、粒子が凝集し、ゲル状粒子が生じると、見かけ上の粒径が大きくなり、光が散乱して白濁する。このときの粒子を分散させた液体としては、平均粒径が0.3μm以下の見かけ上透明なアイオノマーエマルジョンを用いることができる。
【0107】
図25および図26を用いて本実施例における表示装置の構成を説明する。なお、図17〜図19と同一部分には同一符号を付してその詳しい説明は省略する。
【0108】
下部基板1上には、各画素ごとに四方を囲むように側壁2が形成されている。この側壁2に囲まれた部分には、屈折率が比較的大きい粒状機能性ゲルが分散された液体が注入されている。上部基板4は、印刷等で配置された接着剤5によって下部基板1に対してギャップを有して対向して配置されている。
【0109】
粒状機能性ゲル3に電気信号を与える電極は、粒状機能性ゲル3を挟むように、前記側壁2の下部基板1側に下部電極6、上部基板4側に上部電極7として形成されている。また、下部基板1の表面には、所望の色に染色された染色膜22が形成されている。
【0110】
本実施例による表示装置においては、下部電極6および上部電極7の間に電圧を印加すると、粒子3が凝集し、図25に示すように、凝集した粒子の塊(ゲル状)が粒径の大きいゲル状粒子となる。このとき、ゲル状粒子の屈折率と媒質との屈折率の違いによって、セル内は白濁する。また、下部電極6および上部電極7の間の電圧の印加を停止すると、ゲル状粒子が分解され、粒子3は、図26に示すように、溶媒中に均一に分散する。このとき、上方から観察すると、画素は下部基板1の表面に形成された染色膜22の色を呈する。
【0111】
このように、本実施例の表示装置では、電極の極性を変化させる等の電気的信号を与えることにより、粒子が凝集してゲル状粒子となり、溶媒の屈折率とゲル状粒子の屈折率の差によって光を散乱するモード(図25)と、粒子が分散して溶媒の屈折率とゲル状粒子の屈折率がほぼ一致して光を透過するモード(図26)に切り替えることが可能となり、光散乱モード(図25)のとき白濁し、透過モード(図26)のとき下部基板の表面に形成された染色膜22の色を呈し、これにより表示を行うことができる。
【0112】
次に本実施例による表示装置の作製方法について説明する。本実施例に用いる下部基板は、実施例2と同様の方法により作製する。次いで、この下部基板と、ガラス基板等からなる上部基板とを貼り合わせる。すなわち、接着剤として白色エポキシ樹脂を用い、これを厚さ2μmで側壁上に印刷し、上部基板4と下部基板1の周縁部にシール材として白色エポキシ樹脂を印刷し、上部基板4および下部基板1を位置合わせして重ね合わせ、熱処理あるいは紫外線照射によりエポキシ樹脂を硬化させ接着する。このようにしてセルを作製する。
【0113】
次いで、媒質として水に、平均粒径0.3μm以下の樹脂粒子を分散させて混合液を得る。このとき、溶媒あるいは樹脂粒子の種類を選ぶことにより、樹脂粒子が溶媒中に均一に分散して存在する状態と、樹脂粒子が相互に凝集してゲル状の粒子が分散して存在する状態を実現できる。具体的には、溶媒として水を用い、粒子の粒径が0.05〜0.2μmであるアイオノマー樹脂材料を分散させる。次いで、この混合液をセル中に注入する。このようにして、本実施例の表示装置を作製する。
【0114】
このようにして作製した表示装置は、上部電極7および下部電極6に、極性あるいは電圧を変化させる等の電気信号を送ることにより、樹脂粒子が凝集してゲル状の塊が溶媒中に分散する。このとき、セルに入射した光はセル内で乱反射して光入射方向から見ると白色になる。電界の印加を停止すると、樹脂粒子は溶媒に均一に分散する。このとき、セルに入射する光はセルを透過するので、下部基板表面に形成された染色膜22の色を呈する。具体的に、本実施例の表示装置では、セル内が白濁した状態で電極に5Vの電圧を印加すると、セル内の白濁は消えて透明となり、染色膜22の黒色が見え、電圧の印加を停止すると、セル内は白濁して黒色は見えなくなった。
【0115】
本実施例の表示装置によれば、紙に近い白色表示が実現され、コントラストも充分に高いものであった。
【0116】
本実施例では、機能性ゲルを挟む電極を側壁に設けているが、上部基板および下部基板の表面に電極を設け、一方を透明電極とした場合も同様に動作させることができる。
【0117】
(実施例6)
本実施例では、各画素周辺に機能性ゲルを配置し、電気信号に対応して、機能性ゲルを画素中央部に向けて膨張させることによって表示する表示装置を提供する。より具体的には、機能性ゲルが画素周辺に存在するときに、表示部はセル底の色を示し、機能性ゲルが膨潤して画素中央部まで膨張したときに、ゲルの色を示すものである。
【0118】
まず、図27を用いて本実施例における表示装置の構成を説明する。
【0119】
側壁32に囲まれた画素31内の周辺部には、機能性ゲル33が配置されている。この画素は、下部基板34、上部基板35および側壁32で区画されたセルにより構成されている。下部基板34の表面には、画素電極とこれに接続されたスイッチング素子(図示せず)が形成され、上部基板には、共通電極として透明電極が形成されている。
【0120】
本実施例の表示装置では、機能性ゲルを白色に着色し、下部基板の表面を黒色に着色することにより、または機能性ゲルを黒色に着色し、下部基板の表面を白色に着色することにより白黒表示装置を構成することができる。また、下部基板にカラーフィルターを設け、画素ごとの機能性ゲル(光散乱性あるいは吸収性の機能性ゲル)をシャッターとして用いることにより、または機能性ゲルをレッド、グリーン、ブルーや、イエロー、シアン、マゼンタに着色し、セル底を黒色あるいは白色に着色することにより、色表示を実現することができる。
【0121】
次に、本実施例による表示装置の作製方法について説明する。
【0122】
まず、下部基板にスイッチング素子および透明電極を作り込む。透明電極は、例えば材料としてITO(Indium-Tin Oxide)を用い、スパッタリングにより形成する。側壁32は印刷法等により形成する。次いで、機能性ゲル33を染料で染色するか、あるいは機能性ゲルに顔料を分散させることにより、所定の色に着色する。この機能性ゲル33を側壁32に接続するようにして設ける。
【0123】
ここで、本実施例において使用する機能性ゲルの材料は、親油性、親水性のいずれの材料でも良い。親水性ゲルとしては、橋かけポリアクリル酸系、イソブチレン/マレイン酸塩系、デンプン/ポリアクリル酸塩系、PVA/ポリアクリル酸塩系、アクリル繊維の加水分解物系、橋かけPVA系、アクリル酸カリウム系重合体、アクリル酸ソーダ系重合体、デンプン−アクリル酸グラフト共重合体、エチレンオキサイド系重合体、カルボキシメチルセルロース系重合体、デンプン−アクリロニトリルグラフト重合体、アクリル酸塩−アクリルアミド共重合体等を挙げることができる。また、親油性ゲルとしては、ポリスチレン等を挙げることができる。
【0124】
次いで、このようにして得られた下部基板と、ITOを用いて透明電極を形成した上部基板とを貼り合わせてセルを作製する。上部基板と下部基板の貼り合わせは上記実施例と同様に行う。次いで、セル内に電解質溶液等を注入する。
【0125】
本実施例における表示装置においては、機能性ゲルを黒色に着色し、下部基板の表面を白色に着色した場合、電圧を印加したときに、機能性ゲルば膨張して白色を表示し、電圧の印加を停止したときに、機能性ゲルは元に戻り(収縮)黒色を表示した。このとき、応答速度が30msであり、コントラストが10:1であった。コントラストは、機能性ゲルに含有させる黒色色素の濃度に依存し、濃度が大きいほど大きくなるが、あまり濃度が大きくなると機能性ゲルの動きが抑制されて応答速度に影響する。また、電圧を印加する時間(書き込み時間)を充分にとることにより、コントラストを大きくすることができる(100msの時コントラスト18:1)。
【0126】
本実施例の表示装置において、機能性ゲルの面積変化量と電圧印加時間との関係は、電圧印加時間が長いほど、機能性ゲルの面積変化量は増加する。したがって、応答速度とコントラストの関係は、応答速度を速くする(書き込み時間を短くする)とコントラストが低下し、応答速度を遅くする(書き込み時間を長くする)とコントラストが向上する。このため、必要に応じて応答速度とコントラストを調整する必要がある。
【0127】
(実施例7)
本実施例では、実施例6で用いたセルを3つ作製し、それぞれのセルにイエロー、シアン、マゼンタに着色した光透過性の機能性ゲルを配置し、3つのセルを積層してなるカラー表示装置を提供する。本実施例における表示装置の作製方法や材料等は実施例6と基本的に同様である。本実施例のカラー表示装置は、基本的には、図28に示すように、実施例6のセルを3層積層させた構造で実現することができる。
【0128】
まず、図28を用いて本実施例における表示装置の構成を説明する。なお、図27と同一部分には同一符号を付して、その詳しい説明は省略する。
【0129】
下部基板34上に第1層、第2層、第3層のセルが積層されている。それぞれのセルは、内部基板36によって分離されている。機能性ゲルは、画素31の周辺部に配置され、すなわち、画素を区画する側壁32に接続するように配置する。第1層にはイエロー、第2層にはシアン、第3層にはマゼンタに着色した光透過性の機能性ゲルを配置した。
【0130】
本実施例における表示装置においては、機能性ゲルが各色に着色されており、電圧を印加したときに、機能性ゲルば膨張して着色された色を表示し、電圧の印加を停止したときに、機能性ゲルは元に戻り(収縮)無色となる。これにより、良好な色表示を行うことができた。すなわち、一つの画素でイエロー、シアン、マゼンタ、レッド、グリーン、ブルー、ブラック、ホワイトを表示することができるため、コントラストが大きくかつ鮮明な色表示をすることができた。ここで、機能性ゲルに着色するのはイエロー、シアン、マゼンタの3色であるが、イエローとマゼンタの減法混色でレッドを、イエローとシアンの減法混色でグリーンを、マゼンタとシアンの減法混色でブルーを、イエロー、シアン、マゼンタの減法混色でブラックを表示することができ、3層とも機能性ゲルを収縮させた状態でホワイトを表示することができる。また、光散乱性の機能性ゲルに着色する色をイエロー、シアン、マゼンタにする代わりに、光散乱性の機能性ゲルをレッド、グリーン、ブルーに着色しても良い。
【0131】
(実施例8)
本実施例は、各画素をシリンダー状に形成し、この中に機能性ゲルを充填し、ゲル収縮時にシリンダー底にゲルが移動し、ゲル膨張時にシリンダー開口部にゲルが出現することによって表示を行う表示装置を提供する。より具体的には、この表示装置では、機能性ゲルが収縮してシリンダー内に隠れる場合、開口部の色(この場合、黒っぽく見える)を表示し、機能性ゲルが膨張して開口部に出現すると機能性ゲルの色を表示する。
【0132】
まず、図29を用いて本実施例における表示装置の構成を説明する。なお、図27と同一部分には同一符号を付し、その詳しい説明は省略する。
【0133】
下部基板34および上部基板35の間には、シリンダー状の画素31が形成されている。このシリンダー状の画素31内には、それぞれ着色された機能性ゲル33が充填されている。なお、下部基板34には、画素ごとにそれぞれ画素電極およびこれに接続されたスイッチング素子(図示せず)が形成されており、上部基板35には、全面に共通電極である透明電極(図示せず)が形成されている。
【0134】
本実施例の表示装置では、シリンダー開口面を黒色に着色し、機能性ゲルを白色に着色することにより、白黒表示を行った。すなわち、電極間に電圧を印加することにより、機能性ゲルは膨潤してシリンダー開口部まで膨張し、これにより画素は白色を示し、電圧の印加を停止すると、機能性ゲルは収縮して画素は黒を表示した。
【0135】
次に、本実施例における表示装置の作製方法を説明する。
【0136】
下部基板34は実施例6と同様に作製し、機能性ゲルを各画素に一つずつ印刷法により下部基板上に形成する。側壁は、実施例6の材料を用いて、各画素の機能性ゲルを囲むようにして印刷法により格子状に形成する。次いで、このようにして得られた下部基板34と透明電極を形成した上部基板35を貼り合わせ、各画素に電解質溶液等を注入する。このようにして得られた本実施例の表示装置では、応答速度は10msであり、コントラストは10:1であった。
【0137】
また、シリンダー状の画素を、図30に示すように、開口部を大きく、シリンダー底を小さくするように形成しても良い。この構造においては、ゲル収縮時の黒表示では、機能性ゲルの反射光はほとんどシリンダー構造体の外に漏れることはなく、ゲル膨張時には、より広い面積の機能性ゲルで構成された反射面ができることになる。この効果により、コントラストを向上させることが可能となり、この場合、コントラストは30:1であった。
【0138】
(実施例9)
本実施例の表示装置は、実施例8の変形例である。
【0139】
まず、図31を用いて本実施例における表示装置の構成を説明をする。図29と同一部分には同一符号を付してその詳しい説明は省略する。
【0140】
下部基板34上には、シリンダー状の画素31が形成されている。このシリンダー上画素31内には、それぞれ機能性ゲル33が充填されている。実施例8と違うところは、この機能性ゲルの先端部に白色あるいは所定の色に着色されたマイクロフィルム51が形成されているところである。なお、下部基板34には、画素ごとにそれぞれ画素電極およびこれに接続されたスイッチング素子(図示せず)が形成されている。
【0141】
この表示装置において、電極間に電圧を印加すると、機能性ゲルが膨張してマイクロフィルム51がシリンダー開口部に位置するところのマイクロフィルムの色を表示し、電圧の印加を停止すると、機能性ゲルが収縮してマイクロフィルムがシリンダー内に格納され、反射率が低下して黒表示となる。
【0142】
本実施例における表示装置は、白色あるいは所定の色に着色されたマイクロフィルム51を機能性ゲルの先端にフィルム表面にゲルをグラフトさせる等の方法により形成すること以外は実施例8と同様にして作製することができる。グラフトは、マイクロフィルム51に所定の処理を施し、その後にゲル前駆体を用いてグラフト重合させることにより行う。
【0143】
(実施例10)
本実施例は、黒色吸収体あるいはカラーフィルター上に、機能性ゲルの微粒子を分散させ、この微粒子の粒径を変化させることによって表示させる表示装置を提供する。具体的には、ゲル微粒子の粒径が可視光の波長より大きい場合に光を透過させ、ゲル微粒子の粒径が可視光の波長域である場合に光を散乱させる。この光の透過・散乱を利用して表示するものである。
【0144】
まず、図32(a)および(b)を用いて本実施例における表示装置の構成を説明する。なお、図27と同一部分には同一符号を付して、その詳しい説明は省略する。
【0145】
下部基板34上に形成された側壁32で囲まれた画素31中には、機能性ゲルの微粒子が配置されている。この機能性ゲルは、電圧無印加の状態で可視光領域の波長程度の粒径に設定してある。このとき、光は散乱されて白表示する。下部基板34上に形成された電極36に電圧を印加することにより、ゲル微粒子は膨潤して粒径が可視光領域の波長よりも充分に大きくなり、光はゲル微粒子を透過し、下部基板34の表面に形成された色を表示するようになる。なお、ゲル微粒子自体を着色しても表示することが可能である。また、散乱時の散乱能を向上させるために、平均粒径が可視光領域の波長程度あるいはそれ以下であるポリマーや、無機物の微粒子をゲル微粒子と混合して用いても良い。
【0146】
本実施例における表示装置の作製方法においては、下部基板および各材料は実施例6と同様のものを用いる。また、実施例6と同様にして、側壁を印刷により形成し、下部基板と上部基板を貼り合わせてセルを作製し、そのセル内に電解質溶液等を注入する。なお、ゲル微粒子は印刷法あるいは適当な溶媒に分散させてスピンコートする方法によって基板上に塗布する。
【0147】
本実施例の表示装置においては、応答速度は20msであり、コントラストは12:1であった。また、ゲル微粒子にあらかじめ平均粒径が0.2μm以下のポリマー微粒子をゲル微粒子の重量に対して10重量%で混合したところ、白表示の散乱能が大幅に増加して、コントラストが25:1となった。
【0148】
(実施例11)
本実施例では、画素に対応した寸法、例えば200μm×200μm程度の寸法のマイクロフィルムの一部に機能性ゲルを固定したものを、複数個基板上にマトリクス状に配置し、電気信号により機能性ゲルを屈曲させてマイクロフィルムでがそ領域を開閉する、すなわち、機能性ゲルを屈曲させてマイクロフィルムの表面を基板面に対して平行/垂直にさせる表示装置を提供する。具体的には、マイクロフィルムを白色とした場合、機能性ゲルが伸びているときには、このマイクロフィルムの表面が基板面に対してほぼ平行になり、白表示することができる。一方、機能性ゲルが屈曲したときには、マイクロフィルムの表面が基板面に対してほぼ垂直になり、基板の色(この場合は黒色)を呈する。機能性ゲルの駆動(屈伸)は、機能性ゲルに電解質溶液を介して電圧等の電気信号を与えることにより行う。
【0149】
図33を用いて本実施例における表示装置の構成を説明する。
【0150】
上記実施例と同様にして下部基板上に側壁43が形成されている。この側壁43により画素領域が区画される。この側壁43の一辺上に棒状の機能性ゲル42の一端が取り付けられている。また、機能性ゲル42の他端には、画素領域に対応した大きさのマイクロフィルム41が取り付けられている。この場合、棒状の機能性ゲル42が直線状であるときに、マイクロフィルム41が画素領域を覆うように設定されている。ここで、棒状の機能性ゲルとしては、棒状ゲルをゲル膜で覆った、いわゆる微小な人工筋肉等を用いることができる。この機能性ゲルは、電解質溶液の漏れを抑制するために、電解質を内包したものであり、電気信号を与えることによって屈曲運動を行う。
【0151】
本実施例の表示装置において、例えば、マイクロフィルム41を白色に着色し、下部基板の表面を黒色に着色した場合、機能性ゲルに電気信号を加えることにより、棒状の機能性ゲル42が屈曲し、マイクロフィルム41は基板面に対してほぼ垂直に立ち上がり、これにより基板表面の黒色を表示する。また、棒状の機能性ゲル42に電気信号を加えない状態、すなわち伸びた状態では、マイクロフィルム41は基板面に対してほぼ平行になり、マイクロフィルム41が画素領域を覆うようになり、白色を表示する。
【0152】
また、本実施例の表示装置においては、基板表面上に反射層を形成し、マイクロフィルム41を黒色に着色して白黒表示を行うこともできる。また、マイクロフィルム41の移動速度を増加させために磁力、静電力等の駆動力を併用しても良い。
【0153】
本実施例における表示装置において、棒状の機能性ゲル42、例えば微小な人工筋肉は、炭酸ナトリウムを含むポリビニルアルコールゲル膜で棒状のポリビニルアルコール−ポリアクリル酸複合ゲルを覆うことにより作製する。また、機能性ゲルに電気信号を送る場合は、ポリビニルアルコールゲル膜に埋め込んだ電極に電圧を印加することにより行う。なお、その他の材料や作製方法は実施例6と同様である。本実施例の表示装置は、応答速度は30msであり、白表示時の反射率は90%以上であった。
【0154】
(実施例12)
本実施例では、実施例11と同様にマイクロフィルムの一部に機能性ゲルを固定し、機能性ゲルの屈曲運動を利用して表示する表示装置を提供する。なお、本実施例の表示装置では、ある画素領域を覆うマイクロフィルムは隣接する画素領域下に格納されるようになっている。
【0155】
図34(a)および(b)を用いて本実施例における表示装置の構成を説明する。なお、図33と同一部分には同一符号を付して、その詳しい説明は省略する。
【0156】
上記実施例と同様にして下部基板上に側壁43が形成されている。この側壁43により画素領域が区画される。画素領域は、図34(a)および(b)に示すように、断面において、階段状に形成されており、各画素領域の下方には、隣接する画素領域を覆うマイクロフィルム41を格納する空間が設けられている。前記構成を有するので、画素領域の配置は、平面において、図34(a)および(b)に示す配置となる。
【0157】
この側壁43には、棒状の機能性ゲル42の一端が取り付けられている。また、機能性ゲル42の他端には、画素領域に対応した大きさのマイクロフィルム41が取り付けられている。この場合、棒状の機能性ゲル42が直線状であるときに、マイクロフィルム41が画素領域を覆うように設定されている。機能性ゲル42としては、実施例11と同様のものを用いることができる。
【0158】
本実施例の表示装置において、例えば、マイクロフィルム41を白色に着色し、下部基板の表面を黒色に着色した場合、機能性ゲル42に電気信号を加えることにより、棒状の機能性ゲル42が屈曲し、マイクロフィルム41は隣接する画素領域の下に格納され、これにより基板表面の黒色を表示する。また、棒状の機能性ゲル42に電気信号を加えない状態、すなわち伸びた状態では、マイクロフィルム41は画素領域を覆うようになり、白色を表示する。
【0159】
また、本実施例の表示装置においては、基板表面上に反射層を形成し、マイクロフィルム41を黒色に着色して白黒表示を行うこともできる。また、マイクロフィルム41の移動速度を増加させために磁力、静電力等の駆動力を併用しても良い。
【0160】
さらに、本実施例の表示装置は、図35に示すように、イエロー、シアン、マゼンタのような異なる色に着色した複数枚(ここでは3枚)のマイクロフィルム41a〜41cをそれぞれ機能性ゲルで側壁42に接続し、それぞれのマイクロフィルム41a〜41cを個々に駆動させることにより、フルカラー表示を行うこともできる。これにより、一つの画素でイエロー、シアン、マゼンタ、レッド、グリーン、ブルー、ブラック、ホワイトを表示することができるため、明るく鮮明な表示が可能となる。
【0161】
本実施例における表示装置の作製方法については、下部基板において画素領域下にマイクロフィルム41を格納する空間を設けること、および機能性ゲル42の屈曲方向を基板に対して水平方向に設定すること以外は実施例11と同じである。
【0162】
(実施例13)
本実施例では、伸縮自在の膜またはカーテン状の膜を画素周辺部に固定し、機能性ゲルを用いて、この膜を移動させて画素を開閉可能にした表示装置を提供する。
【0163】
図36を用いて本実施例における表示装置の構成を説明する。なお、図33と同一部分には同一符号を付して、その詳しい説明は省略する。
【0164】
上記実施例と同様にして下部基板上に側壁43が形成されている。この側壁43により画素領域が区画される。画素領域には、区画された形状に沿って略三角形状の伸縮自在あるいはカーテン状の膜44が固定されている。また、画素領域の対角線に沿って屈曲可能な機能性ゲル42が固定されている。このような構造の表示装置において、機能性ゲルが電気信号により屈曲した場合、膜44が押し広げられて画素領域が開口し、セル底の色が表示される。一方、機能性ゲルが伸びた場合、膜44は初期の状態となり、膜44の色が表示される。機能性ゲル42としては、実施例11と同様のものを用いることができる。
【0165】
本実施例の表示装置において、例えば膜44を白色に着色し、下部基板の表面を黒色に着色した場合、機能性ゲルに電気信号を加えることにより、棒状の機能性ゲル42が屈曲し、膜44は画素領域を区画する側壁43に向って押し広げられ、これにより基板表面の黒色を表示する。また、棒状の機能性ゲル42に電気信号を加えない状態、すなわち伸びた状態では、膜44は広がった初期状態になり、膜44が画素領域を覆うようになり、白色を表示する。
【0166】
また、本実施例の表示装置においては、基板表面上に反射層を形成し、膜44を黒色に着色して白黒表示を行うこともできる。この場合、コントラストが大きい白黒表示を実現することができる。また、マイクロフィルム41の移動速度を増加させために磁力、静電力等の駆動力を併用しても良い。
【0167】
さらに、本実施例の表示装置において、それぞれに機能性ゲルを接続した着色された複数枚の膜を積層することにより膜44を構成するか、画素領域ごとに異なる色相の膜を用いることにより、色表示を行うことができる。例えば、一つの画素領域において、イエロー、シアン、マゼンタにそれぞれ着色した膜を積層して膜44を構成することにより、反射型の色表示を行うことができる。あるいは、基板表面を画素領域ごとに異なる色相に着色し、膜44を白色あるいは黒色にすることにより、色表示を行うことができる。この場合において、膜44を前記のようにイエロー、シアン、マゼンタに着色しても良い。
【0168】
本実施例における表示装置の作製方法については、画素領域の対角線に沿って棒状の機能性ゲル42を設けること、および下にマイクロフィルム41を格納する空間を設けること、および棒状の機能性ゲル42と側壁43に伸縮自在もしくはカーテン状の膜44を取り付けること以外は実施例11と同じである。
【0169】
この場合、密着した一対の棒状の機能性ゲル42、例えば人工筋肉を画素領域の対角線に沿って側壁43に接続する。次いで、膜44を基板全面に貼り付け、側壁43と人工筋肉とを熱圧着により接続する。次いで、密着した一対の棒状の人工筋肉間を人工筋肉に沿って切除する。
【0170】
(実施例14)
本実施例は、実施例13と同様に伸縮自在またはカーテン状の膜を画素周辺部に固定し、機能性ゲルを用いて、この膜を移動させて画素を開閉可能にした表示装置を提供する。
【0171】
図37を用いて本実施例における表示装置の構成を説明する。なお、図36と同一部分には同一符号を付してその詳しい説明は省略する。
【0172】
上記実施例と同様にして下部基板上に側壁43がマトリクス状に形成されている。この側壁43により画素領域が区画される。画素領域には、区画された形状に沿って略矩形形状の伸縮自在あるいはカーテン状の4枚の膜44が固定されている。また、4枚の膜44には、膜の一辺に沿ってそれぞれ屈曲可能な機能性ゲル42が固定されている。このような構造の表示装置において、機能性ゲルが電気信号により屈曲した場合、膜44が押し広げられて画素領域が開口し、セル底の色が表示される。一方、機能性ゲルが伸びた場合、膜44は初期の状態となり、膜44の色が表示される。機能性ゲル42としては、実施例11と同様のものを用いることができる。
【0173】
本実施例の表示装置において、例えば膜44を白色に着色し、下部基板の表面を黒色に着色した場合、機能性ゲルに電気信号を加えることにより、棒状の機能性ゲル42が屈曲し、膜44は画素領域を区画する側壁43に向って押し広げられ、これにより基板表面の黒色を表示する。また、棒状の機能性ゲル42に電気信号を加えない状態、すなわち伸びた状態では、膜44は広がった初期状態になり、膜44が画素領域を覆うようになり、白色を表示する。
【0174】
また、本実施例の表示装置においては、基板表面上に反射層を形成し、膜44を黒色に着色して白黒表示を行うこともできる。この場合、コントラストが大きい白黒表示を実現することができる。また、マイクロフィルム41の移動速度を増加させために磁力、静電力等の駆動力を併用しても良い。
【0175】
さらに、本実施例の表示装置において、それぞれに機能性ゲルを接続した着色された複数枚の膜を積層することにより膜44を構成するか、画素領域ごとに異なる色相の膜を用いることにより、色表示を行うことができる。例えば、一つの画素領域において、イエロー、シアン、マゼンタにそれぞれ着色した膜を積層して膜44を構成することにより、反射型の色表示を行うことができる。あるいは、基板表面を画素領域ごとに異なる色相に着色し、膜44を白色あるいは黒色にすることにより、色表示を行うことができる。この場合において、膜44を前記のようにイエロー、シアン、マゼンタに着色しても良い。
【0176】
なお、本実施例における表示装置の作製方法については、伸縮自在もしくはカーテン状の膜44および機能性ゲル42の配置以外は実施例13と同じである。
【0177】
(実施例15)
本実施例では、マイクロフィルムの一部に機能性ゲルを固定したものを、複数個基板上にマトリクス状に配置し、電気信号により機能性ゲルを膨張・収縮させてマイクロフィルムを隣接する画素領域の下に格納し、または画素領域の下から取り出して表示を行う表示装置を提供する。
【0178】
図38(a)および(b)を用いて本実施例における表示装置の構成を説明する。
【0179】
上記実施例と同様にして下部基板上に側壁54が形成されている。この側壁54により画素領域が区画される。画素領域は、図38(a)および(b)に示すように、断面において、階段状(瓦状)に形成されており、各画素領域の下方には、隣接する画素領域を覆うマイクロフィルム51を格納する空間が設けられている。
【0180】
この空間には、螺旋状の機能性ゲル53の一端が取り付けられている。また、機能性ゲル53の他端には、画素領域に対応した大きさのマイクロフィルム51が取り付けられている。この場合、螺旋状の機能性ゲル53が収縮状態で、マイクロフィルム51が隣接する画素領域の下に格納されるように設定されている。機能性ゲル53としては、体積変化の応答速度を大きくするため、1μm以下の微粒子の集合体からなることが望ましい。具体的に、機能性ゲル53としては、実施例11と同様に人工筋肉等を用いることができる。この場合、応答速度を大きくするため、できる限り微小な人工筋肉を用いることが好ましい。
【0181】
本実施例の表示装置において、例えば、マイクロフィルム51を白色に着色し、下部基板の表面を黒色に着色した場合、機能性ゲル53に電気信号を加えることにより、螺旋状の機能性ゲル53が膨張し、マイクロフィルム51は画素領域を覆い、白色を表示する。また、螺旋状の機能性ゲル53に電気信号を加えない状態では、機能性ゲル53は収縮し、マイクロフィルム51は隣接する画素領域の下に格納され、これにより基板表面の黒色を表示する。
【0182】
また、本実施例の表示装置においては、基板表面上に反射層を形成し、マイクロフィルム51を黒色に着色して白黒表示を行うこともできる。また、マイクロフィルム51の移動速度を増加させために磁力、静電力等の駆動力を併用しても良い。
【0183】
さらに、本実施例の表示装置は、図39に示すように、イエロー、シアン、マゼンタのような異なる色に着色した複数枚(ここでは3枚)の光透過性のマイクロフィルム51a〜51cをそれぞれ機能性ゲルで側壁54に接続し、それぞれのマイクロフィルム51a〜51cを個々に駆動させることにより、フルカラー表示を行うこともできる。また、図40に示すように、レッド、グリーン、ブルー等の複数の異なる色に着色したマイクロフィルタを並置配列することにより色表示を行うことができる。
【0184】
本実施例における表示装置においては、螺旋状の機能性ゲル53、例えば微小な人工筋肉は、炭酸ナトリウムを含むポリビニルアルコールゲル膜で螺旋状のポリビニルアルコール−ポリアクリル酸複合ゲルを覆うことにより作製する。この螺旋状の人工筋肉の一端をマイクロフィルム51を格納する空間を構成する壁にグラフトにより取り付け、人工筋肉の他端をマイクロフィルム51にグラフトにより取り付ける。
【0185】
(実施例16)
本実施例では、マイクロフィルムを揺動させるように側壁に接続し、マイクロフィルムの移動端を膨張・収縮する機能性ゲルに接続し、機能性ゲルの膨張・収縮に連動して基板面に対するマイクロフィルム表面の角度を変えることにより、入射光に対する反射率を変化させて表示を行う表示装置を提供する。
【0186】
図41を用いて本実施例における表示装置の構成を説明する。
【0187】
上記実施例と同様にして下部基板上に側壁54が形成されている。この側壁54により画素領域が区画される。側壁54は、マイクロフィルム51の揺動を許容する空間を形成するために充分な高さを有している。また、側壁54には、マイクロフィルム51を固定するために、フランジ部が形成されている。この一方のフランジ部には、マイクロフィルム51の揺動の支点(固定端)となるヒンジ部(接続部)55が形成されている。マイクロフィルム51の移動端には、膨張・収縮可能な機能性ゲル53の一端が取り付けられている。また、機能性ゲル53の他端は、他方のフランジ部に取り付けられている。なお、ヒンジ部(接続部)55は、グラフトすることにより形成することができる。また、機能性ゲル53をマイクロフィルム51および側壁54のフランジ部に取り付ける方法としては、グラフトする方法等を挙げることができる。
【0188】
本実施例の表示装置において、例えば、マイクロフィルム51を白色もしくは所定の色に着色した場合、機能性ゲル53に電気信号を加えることにより、機能性ゲル53が膨張すると、マイクロフィルム51が揺動してその表面は傾き、基板面に対して角度を有する。これにより、入射光に対するマイクロフィルム51の反射率が低下して黒色を表示する。また、機能性ゲル53に電気信号を加えない状態では、機能性ゲル53は収縮し、マイクロフィルム51が揺動してその表面は基板面とほぼ平行となる。これにより、マイクロフィルム51の色を表示する。
【0189】
なお、マイクロフィルム51の移動速度を増加させために磁力、静電力等の駆動力を併用しても良い。例えば、マイクロフィルム自体を強磁性体で構成したり、マイクロフィルム上に強磁性体を分散させて、基板表面に磁石を配置する。この場合、機能性ゲル53の膨張が磁力によって速やかに起こり、機能性ゲル53はある一定の負荷がある場合に最も応答速度が速くなる。また、機能性ゲル53の収縮時には、磁力による反発力が適度な負荷となって収縮速度も増加する。
【0190】
(実施例17)
本実施例の表示装置は、実施例16の変形例である。
【0191】
図42を用いて本実施例における表示装置の構成を説明する。なお、図41と同一部分には同一符号を付してその詳しい説明は省略する。
【0192】
側壁の一対のフランジ部には、2枚のマイクロフィルム51の揺動の支点(固定端)となるヒンジ部(接続部)55がそれぞれ形成されている。2枚のマイクロフィルム51の移動端には、膨張・収縮可能な機能性ゲル53が取り付けられており、2枚のマイクロフィルム51が連結されている。なお、ヒンジ部(接続部)55の形成方法や、機能性ゲル53をマイクロフィルム51および側壁54のフランジ部に取り付ける方法は、実施例16と同様である。
【0193】
本実施例の表示装置において、例えば、マイクロフィルム51を白色もしくは所定の色に着色した場合、機能性ゲル53に電気信号を加えることにより、機能性ゲル53が膨張すると、2枚のマイクロフィルム51間の距離が広がり、2枚のマイクロフィルムが揺動して、それらの表面は傾き、基板面に対して角度を有する。これにより、入射光に対するマイクロフィルム51の反射率が低下して黒色を表示する。また、機能性ゲル53に電気信号を加えない状態では、機能性ゲル53は収縮し、2枚のマイクロフィルム51間の距離が狭まり、2枚のマイクロフィルムが揺動してその表面は基板面とほぼ平行となる。これにより、マイクロフィルム51の色を表示する。
【0194】
(実施例18)
本実施例では、細孔を有する機能性ゲル薄膜を画素ごとに固定し、電気的信号によって細孔を開閉させることにより表示を行う表示装置を提供する。
【0195】
図43および図44を用いて本実施例における表示装置の構成を説明する。
【0196】
上記実施例と同様にして下部基板1上には、カラーフィルター59が形成されており、さらにその上に側壁2が形成されている。この側壁2により画素領域が区画される。この側壁2には、機能性ゲル薄膜57が画素領域を覆うようにして張り付けられている。機能性ゲル薄膜57の中央部には、孔58が設けられており、機能性ゲルの膨張・収縮により大きさが変化するようになっている。
【0197】
本実施例の表示装置において、例えば、機能性ゲル薄膜57を白色に着色した場合、機能性ゲル薄膜57に電圧を印加することにより、機能性ゲルが収縮して孔58が広がり、カラーフィルターの色を表示する。一方、機能性ゲル薄膜57への電圧の印加を停止すると、機能性ゲルが膨張して孔58は小さくなる。これにより、機能性ゲル薄膜57の白色を表示する。なお、あらかじめ機能性ゲル薄膜57の孔58の大きさを調整することにより、階調表示を行うことができる。すなわち、図45および図46に示すように、孔58は機能性ゲル薄膜57のほぼ中央部に設けられ、電圧の印加により機能性ゲルが収縮することにより、孔58が広がり、これによりカラーフィルター59の色を表示することができる。
【0198】
また、本実施例の表示装置においては、図47に示すように、機能性ゲル薄膜として、ホワイト57A、イエロー57B、シアン57C、マゼンタ57Dに着色した光透過性または光散乱性のものを用いても良い。このような構成にすることにより、一画素で白、黒、レッド、グリーン、ブルー、イエロー、シアン、マゼンタのすべての色表示が可能となる。また、図48に示すように、さらに下部基板1上に黒のカラーフィルター60を設けても良い。この構成は、コントラスト向上の場合に効果がある。
【0199】
また、図49に示すように、機能性ゲル薄膜を2層構造とし、画素1にホワイト57A/レッド57E、画素2にホワイト57A/ブルー57F、画素3にホワイト57A/グリーン57Gという構成とし、下部基板1上に黒のカラーフィルター60を設けても良い。この構成は、コントラスト向上の場合に効果がある。
【0200】
また、図50に示すように、機能性ゲル薄膜を2層構造とし、画素1にブラック57H/レッド57E、画素2にブラック57H/ブルー57F、画素3にブラック57H/グリーン57Gという構成とし、下部基板1上には反射層(図示せず)を設けても良い。
【0201】
また、図51に示すように、黒色に着色した機能性ゲル薄膜57Hを用い、下部基板1上にそれぞれレッド59A、ブルー59B、グリーン59Cの領域を有するカラーフィルターを用いても良い。
【0202】
なお、いずれの場合でも、電極は機能性ゲル薄膜を挟む位置に設けられている。例えば、上部基板4および下部基板1の表面に透明電極を設ける。また、機能性ゲル薄膜の材料は、上述した親水性、親油性ゲルを用いることができる。
【0203】
次に、本実施例の表示装置の作製方法について説明する。
【0204】
まず、橋かけポリアクリル酸系の親水性ゲルを用いて、電気応答性ゲル(機能性ゲル)の薄膜を作製し、200μm×200μmの画素の外周に固定する。この薄膜の画素の中央に半径5μmの円形の孔を設け、また、機能性ゲルには印刷により白色に着色する。
【0205】
あらかじめ下部基板には、印刷により黒色に着色する。上部基板および下部基板には、対向する位置にあらかじめ電極を設ける。上部基板と下部基板を対向させてセルを組み立て、その基板間に電解質溶液を満たし、電解質溶液を機能性ゲル薄膜に浸透させて本実施例の表示装置を得る。
【0206】
得られた表示装置において、電極に10Vの電圧を印加すると、機能性ゲル薄膜は収縮し、孔の面積が増大して下部基板の色が表示された。一方、電圧印加を停止すると、機能性ゲル薄膜は膨張して元の大きさに戻り、機能性ゲル薄膜の白色を表示した。
【0207】
(実施例19)
図52に示すように、平均粒径が約10μmの顔料微粒子の表面にアクリルアミド系機能性ゲル微粒子を分散させて吸着させ、これを電解質溶液中に分散させた。顔料微粒子としては、レッド、グリーン、ブルーの3種類を用いた。
【0208】
次いで、常法により下部基板に電極を形成し、その上にレッド、グリーン、ブルーの3つの領域を並設するようにして形成した。さらに、常法により電極を有する上部電極を形成した。上部電極と下部電極を上記実施例と同様にして貼り合わせセルを作製した。このセルのそれぞれの領域に機能性ゲルを有するレッド、グリーン、ブルーの顔料微粒子を含む電解質溶液を注入して本実施例の表示装置を得た。
【0209】
この表示装置の電極間に電圧を印加して機能性ゲルを変形(膨潤・収縮)させることにより、良好に色表示することができた。この場合、白表示時の反射率は70%以上であり、黒表示時とのコントラストは約3であった。なお、各色の機能性ゲルの状態と表示色の関係を下記第1表に示す。
【0210】
【表1】
【0211】
(実施例20)
図53(a)および図53(b)に示すように、平均粒径が約10μmの顔料微粒子の表面にアクリルアミド系機能性ゲル微粒子を分散させて吸着させ、これを電解質溶液中に分散させた。顔料微粒子としてはレッド、グリーン、ブルーの3種類を用いた。
【0212】
次いで、この電解質溶液を用いて、実施例19と同様にして本実施例の表示装置を得た。この表示装置の電極間に電圧を印加して機能性ゲルを変形(膨潤・収縮)させることにより、良好に色表示することができた。この場合、白表示時の反射率は70%以上であり、黒表示時とのコントラストは約3であった。また、各色の機能性ゲルの状態と表示色の関係は第1表と同じである。
【0213】
(実施例21)
図54に示すように、平均粒径が約10μmの顔料微粒子の表面にアクリルアミド系機能性ゲル微粒子を分散させて吸着させ、これを電解質溶液中に分散させた。顔料微粒子としてはレッド、グリーン、ブルーの3種類を用いた。
【0214】
次いで、この電解質溶液を用いて、実施例19と同様にして本実施例の表示装置を得た。この表示装置の電極間に電圧を印加して機能性ゲルを変形(膨潤・収縮)させることにより、良好に色表示することができた。この場合、白表示時の反射率は70%以上であり、黒表示時とのコントラストは約2.5であった。また、各色の機能性ゲルの状態と表示色の関係は第1表と同じである。なお、実施例19、実施例20と比較してコントラストが劣るのは、機能性ゲル薄膜63の亀裂の位置が特定されていないため、ゲル収縮時に顔料微粒子による可視光の吸収が少なくなることによると考えられる。
【0215】
(実施例22)
図52に示すように、平均粒径が約10μmの顔料微粒子の表面に、黒色に着色したアクリルアミド系機能性ゲル微粒子を分散させて吸着させ、これを電解質溶液中に分散させた。顔料微粒子としては、レッド、グリーン、ブルーの3種類を用いた。
【0216】
次いで、常法により下部基板に電極を形成し、その上にアルミニウム等からなる反射層を形成し、さらにその上にレッド、グリーン、ブルーの3つの領域を並設するようにして形成した。さらに、常法により電極を有する上部電極を形成した。上部電極と下部電極を上記実施例と同様にして貼り合わせセルを作製した。このセルのそれぞれの領域に機能性ゲルを有するレッド、グリーン、ブルーの顔料微粒子を含む電解質溶液を注入して本実施例の反射型表示装置を得た。
【0217】
この表示装置の電極間に電圧を印加して機能性ゲルを変形(膨潤・収縮)させることにより、良好に色表示することができた。この場合、白表示時の反射率は約30%であり、黒表示時とのコントラストは約3であった。
【0218】
なお、色表示範囲は実施例19より広いことが分かった。したがって、周囲の照明が比較的明るい環境であり、より鮮明な色表示を行う場合には、本実施例の構成を用いることが望ましく、周囲の照明が比較的暗い環境であり、より明るい色表示を行う場合には、実施例19〜21の構成を用いることが望ましい。また、各色の機能性ゲルの状態と表示色の関係を下記第2表に示す。
【0219】
【表2】
【0220】
(実施例23)
ブルーの顔料微粒子表面にイエローに着色した光散乱性の機能性ゲル微粒子を吸着させたもの、グリーンの顔料微粒子表面にマゼンタに着色した光散乱性の機能性ゲル微粒子を吸着させたもの、レッドの顔料微粒子表面にシアンに着色した光散乱性の機能性ゲル微粒子を吸着させたものを作製した。
【0221】
次いで、常法により下部基板に電極を形成し、その上に画素1、画素2、画素3の3つの領域を並設するようにして形成した。さらに、常法により電極を有する上部電極を形成した。上部電極と下部電極を上記実施例と同様にして貼り合わせセルを作製した。このセルのそれぞれの領域に、着色した機能性ゲルを有する上記ブルー、グリーン、レッドの顔料微粒子を含む電解質溶液を注入して本実施例の表示装置を得た。
【0222】
この表示装置の電極間に電圧を印加して機能性ゲルを変形(膨潤・収縮)させることにより、良好に色表示することができた。すなわち、画素1では、ゲル膨潤時はイエローであるが、ゲルが収縮するにしたがって連続的に色相が変化し、ブルーに近付く。同様に画素2では、マゼンタからグリーンへ連続的に色相が変化し、画素3では、シアンからレッドへ連続的に色相が変化した。なお、この表示装置においては、白表示において、機能性ゲルがすべて膨潤状態となる。この場合、白表示時の反射率は約60%であり、実施例22の場合と比較して倍増していた。
【0223】
本発明は上記実施例に限定されず、種々変更して実施することができる。例えば、機能性ゲルの材料としては、上述したものの他に、多糖類、タンパク質の天然高分子ゲル;各種ビニルモノマー、ジビニル化合物;アクリル酸、メタアクリル酸、アクリルアミド、エチレングリコールジメタアクリレート、メチレンビスアクリルアミド等のアクリル化合物;水酸基を持つポリマー;アルデヒド;N−メチロール化合物;カルボン酸、ジカルボン酸;ポリビニルアルコール;ポリエーテル;2オキサゾリン酸;2−メチルプロパンスルホン酸、パーフルオロスルホン酸;これらを含む重合体、共重合体、オリゴマー等が挙げられる。
【0224】
また、架橋剤としては、上記化合物、アルカリ金属、アルカリ土類金属化合物、金属イオンを用いることができる。また、架橋方法としては、加熱重合、光重合、放射線重合、橋架け重合等の方法を挙げることができる。
【0225】
また、機能性ゲルの応答調整剤としては、各種界面活性剤、各種塩類等を用いることができる。界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸ソーダ等の有機スルホン酸化合物およびその塩類、高級脂肪酸の塩等のカルボン酸化合物およびその塩類、有機アミン、イミン、アミド、アンモニウム化合物およびその塩類等が挙げられ、各種塩類としては、アルカリ金属やアルカリ土類金属の水溶性の塩類、水溶性の塩化物、硫酸塩、カルボン酸塩等の金属塩類等が挙げられる。低消費電力で速い応答速度の表示装置のためには、上記のものを適宜選択し、組み合わせて用いることが好ましい。
【0226】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の表示装置は、機能性ゲルの変形を利用して調光層のスイッチングを行う、すなわち、機能性ゲルに電気的な信号を送り、屈伸、収縮・膨張、凝集・分散させることにより、機能性ゲルを光のシャッターとして用いる新規な表示装置である。これにより、特に、携帯端末に適した薄型で軽量であり、しかも消費電力が低い表示装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1にかかる表示装置を示す平面図。
【図2】本発明の実施例1にかかる表示装置を示す断面図。
【図3】本発明の実施例1にかかる表示装置を示す断面図。
【図4】本発明の実施例1にかかる表示装置の製造工程を説明するための断面図。
【図5】本発明の実施例1にかかる表示装置の製造工程を説明するための平面図。
【図6】本発明の実施例1にかかる表示装置の製造工程を説明するための断面図。
【図7】本発明の実施例1にかかる表示装置の製造工程を説明するための平面図。
【図8】本発明の実施例1にかかる表示装置の製造工程を説明するための断面図。
【図9】本発明の実施例1にかかる表示装置の製造工程を説明するための平面図。
【図10】本発明の実施例1にかかる表示装置の製造工程を説明するための断面図。
【図11】本発明の実施例1にかかる表示装置の製造工程を説明するための断面図。
【図12】本発明の実施例1にかかる表示装置の製造工程を説明するための平面図。
【図13】本発明の実施例1にかかる表示装置の製造工程を説明するための断面図。
【図14】本発明の実施例1にかかる表示装置の製造工程を説明するための平面図。
【図15】本発明の実施例1にかかる表示装置の製造工程を説明するための断面図。
【図16】本発明の実施例1にかかる表示装置の製造工程を説明するための平面図。
【図17】本発明の実施例2にかかる表示装置を示す平面図。
【図18】本発明の実施例2にかかる表示装置を示す断面図。
【図19】本発明の実施例2にかかる表示装置を示す断面図。
【図20】本発明の実施例3にかかる表示装置を示す平面図。
【図21】本発明の実施例3にかかる表示装置を示す断面図。
【図22】本発明の実施例3にかかる表示装置を示す断面図。
【図23】本発明の実施例4にかかる表示装置を示す断面図。
【図24】本発明の実施例4にかかる表示装置を示す断面図。
【図25】本発明の実施例5にかかる表示装置を示す断面図。
【図26】本発明の実施例5にかかる表示装置を示す断面図。
【図27】本発明の実施例6にかかる表示装置を示す平面図。
【図28】本発明の実施例7にかかる表示装置を示す断面図。
【図29】本発明の実施例8にかかる表示装置を示す斜視図。
【図30】本発明の実施例8にかかる表示装置のシリンダを示す拡大図。
【図31】本発明の実施例9にかかる表示装置を示す斜視図。
【図32】(a)は本発明の実施例10にかかる表示装置を示す平面図、(b)は本発明の実施例10にかかる表示装置を示す断面図。
【図33】本発明の実施例11にかかる表示装置を示す平面図。
【図34】(a)は本発明の実施例12にかかる表示装置を示す平面図、(b)は本発明の実施例12にかかる表示装置を示す断面図。
【図35】本発明の実施例12にかかる表示装置の要部を示す斜視図。
【図36】本発明の実施例13にかかる表示装置を示す平面図。
【図37】本発明の実施例14にかかる表示装置を示す平面図。
【図38】(a)は本発明の実施例15にかかる表示装置を示す要部斜視図、(b)は本発明の実施例15にかかる表示装置を示す平面図。
【図39】本発明の実施例15にかかる表示装置の他の例を示す断面図。
【図40】本発明の実施例15にかかる表示装置の他の例を示す平面図。
【図41】本発明の実施例16にかかる表示装置を示す斜視図。
【図42】本発明の実施例17にかかる表示装置を示す斜視図。
【図43】本発明の実施例18にかかる表示装置を示す断面図。
【図44】本発明の実施例18にかかる表示装置を示す平面図。
【図45】本発明の実施例18にかかる表示装置を示す斜視図。
【図46】本発明の実施例18にかかる表示装置の画素を示す拡大斜視図。
【図47】本発明の実施例18にかかる表示装置を示す断面図。
【図48】本発明の実施例18にかかる表示装置を示す断面図。
【図49】本発明の実施例18にかかる表示装置を示す断面図。
【図50】本発明の実施例18にかかる表示装置を示す断面図。
【図51】本発明の実施例18にかかる表示装置を示す断面図。
【図52】本発明の実施例19〜23にかかる表示装置に用いる微粒子を説明するための図。
【図53】(a)および(b)は本発明の実施例19〜23にかかる表示装置に用いる微粒子を説明するための図。
【図54】本発明の実施例19〜23にかかる表示装置に用いる微粒子を説明するための図。
【図55】本発明の実施例19〜23にかかる表示装置を示す断面図。
【図56】(a)は本発明の実施例19〜23にかかる表示装置を示す平面図、(b)は本発明の実施例19〜23にかかる表示装置を示す断面図。
【符号の説明】
1,34…下部基板、2,32,43,54…側壁、3,3a…フィルム状機能性ゲル、3b…繊維状ゲル、4,35…上部基板、5…接着剤、6,21…下部電極、7,20…上部電極、8…懸濁液あるいは乳濁液、9,10…電極、11…電極層、12…下部薄膜電極、13,14,18…絶縁層、15,58…孔、16…薄膜導体、17…上部薄膜電極、19…端面、22…染色膜、31…画素、33,42,53…機能性ゲル、36…内部基板、41,41a〜41c,51a〜51c,51…マイクロフィルム、44…膜、55…ヒンジ部、57…機能性ゲル薄膜、59,60…カラーフィルター、61…着色微粒子、62…膨張・収縮性ゲル微粒子、63…膨張・収縮性ゲル薄膜、64…基板。
Claims (7)
- 一対の基板と、前記一対の基板間に配置された調光層とを具備し、前記調光層は、前記一対の基板間に設けられた電極間に印加された電界により変形する機能性ゲルを含み、前記機能性ゲルの変形により前記調光層に入射する光が調節されて、前記一対の基板の一方の上には着色層が形成され、前記機能性ゲルが粒状であり、前記電極間に印加される電界の有無により前記機能性ゲルが膨張又は収縮して基板面を隠す状態または現す状態で前記調光層のスイッチングを行うことを特徴とする表示装置。
- 前記機能性ゲルが液体またはゲル中に分散されている状態で前記調光層に存在する請求項1に記載の表示装置。
- 前記粒状の機能性ゲルが0.3μm以上の粒径を有する請求項1に記載の表示装置。
- 一対の基板と、前記一対の基板間に配置された調光層とを具備し、前記調光層は、前記一対の基板間に設けられた電極間に印加された電界により凝集又は分散する機能性ゲル粒子を含み、前記粒子の凝集又は分散により前記調光層に入射する光が調節されて、前記一対の基板の一方の上には着色層が形成され、前記粒子の凝集により前記調光層は透明となり入射光は前記調光層を透過し、前記着色層の色を呈し、前記粒子の分散により入射光は散乱して前記調光層は白濁することにより表示を行うことを特徴とする表示装置。
- 前記機能性ゲル粒子が0.3μm以上の粒径を有することを特徴とする請求項4に記載の表示装置。
- 一対の基板と、前記一対の基板間に配置された調光層とを具備し、前記調光層は、画素領域を区画する部材と、前記部材に取り付けられており前記一対の基板間に設けられた電極間に印加された電界により変形する機能性ゲルとを有し、前記機能性ゲルの変形により前記調光層に入射する光が調節されて、前記一対の基板の一方の上には着色層が形成され、前記機能性ゲルが粒状であり、前記電極間に印加される電界の有無により前記機能性ゲルが膨張又は収縮して基板面を隠す状態または現す状態で前記調光層のスイッチングを行うことを特徴とする表示装置。
- 一対の基板と、前記一対の基板間に配置された調光層とを具備し、前記調光層は、画素領域を区画する部材と、前記部材に取り付けられており前記一対の基板間に設けられた電極間に印加された電界により変形する機能性ゲルとを有し、前記機能性ゲルの変形により前記調光層に入射する光が調節されて、前記部材はシリンダーを構成し、前記機能性ゲルが着色され、かつ前記シリンダー内に配置されており、前記電極間に印加される電界の有無により前記機能性ゲルが膨張又は収縮して前記シリンダーを満たす状態または満たさない状態で前記調光層のスイッチングを行うことを特徴とする表示装置。
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