JP2001296565A - 通電基板及びそれを用いた光学素子 - Google Patents

通電基板及びそれを用いた光学素子

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JP2001296565A
JP2001296565A JP2000110533A JP2000110533A JP2001296565A JP 2001296565 A JP2001296565 A JP 2001296565A JP 2000110533 A JP2000110533 A JP 2000110533A JP 2000110533 A JP2000110533 A JP 2000110533A JP 2001296565 A JP2001296565 A JP 2001296565A
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electrode
meth
polymer gel
convex
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JP2000110533A
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English (en)
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Atsushi Kawahara
淳 川原
Kazushirou Akashi
量磁郎 明石
Akimasa Komura
晃雅 小村
Takashi Uematsu
高志 植松
Masahiro Moriyama
正洋 森山
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Fujifilm Business Innovation Corp
Original Assignee
Fuji Xerox Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 光透過性に優れた通電基板、及びそれを用い
た、明るく、幅広い調光量の変化を得ることができる光
学素子を提供すること。 【解決手段】 基板の少なくとも一方の表面に凸電極を
有する通電基板であって、該凸電極の少なくとも一部
に、イオンドーピング・脱ドーピング層を設けてなるこ
とを特徴とする通電基板、及びそれを用いた光学素子で
ある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、調光ガラス等の調
光素子、光学フィルター、表示素子等に応用可能な光学
素子に用いる、通電により封入溶液(調光材料)のイオ
ン濃度やpHを可逆的に変化可能な通電基板、及びそれ
を用いた光学素子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、高分子ゲルの体積変化を利用した
表示素子技術が、特開昭61−149926号公報、特
開平4−274480号公報などに開示されている。こ
れらの技術の多くは、通電により電極近傍の溶液のpH
を変化させて、イオン性高分子ゲルを応答させている。
しかしながら、このようなpH変化は、通電による電解
質水溶液の電気分解によることから、水素や酸素などの
気体が発生してしまうという問題がある。そこで、導電
性高分子を電極として用いて気体の発生のない駆動シス
テムが、特公平7−95172号公報、特開平11−1
61203号公報に開示されている。
【0003】特公平7−95172に開示されている表
示素子においては、絶縁基板、透明基板の間には電解液
が収容されていて、仕切りによって分割され画素を構成
している。絶縁基板上には第1電極が形成され、該第1
電極上には導電性高分子膜が設けられている。さらに導
電性高分子膜上には1つ又は複数のゲルが固着あるいは
近接して設けられている。また透明基板上の第1電極に
は、第2電極が設けられている。外部電圧信号は第1電
極と第2電極との間に印加される。外部電圧信号として
第1電極に正電圧を印加すると、第1電極上の導電性高
分子に電解液中のアニオンがドーピングされ、負電荷を
印加すると導電性高分子からアニオンが脱ドーピングさ
れる。そのため電解液中の導電性高分子近傍のアニオン
濃度が変化するため導電性高分子上のゲルの浸透圧平衡
が変化し、膨潤または収縮する。高分子ゲルの膨潤時の
体積は、収縮時の体積の数十倍にも及び視覚的に捉えう
る光学的に明らかな差異を生じる。さらに光学的差異を
鮮明にするために電解液に色素を溶解又は分散させた着
色液体を含ませてもよいことが示されている。
【0004】特開平11−161203号公報が開示さ
れている表示素子においては、白色基板上に対向して表
示側基板である透明基板が配置され、白色基板と透明基
板間は電解質で満たされている。白色基板上には、第1
導電性膜が形成されている。また、高分子ゲルを収縮又
は膨潤する手段を備えた突起状部材が、複数設けられて
いる。突起状電極上には、第2導電性膜が形成されてい
る。また、第2導電性膜状には高分子ゲルが固定化され
ている。第1導電性膜、及び第2導電性膜間に電圧を印
加すると,印可する電圧の極性の応じて導電性膜はイオ
ンのドーピング・脱ドーピングを行なことにより第2導
電性膜近傍の電解液のpHを変化させることができ,よ
って高分子ゲルを収縮又は膨潤させることができる。収
縮時の高分子ゲルは視覚により認識することができない
が、膨潤時には高分子ゲルの色相が認識できることが記
述されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従来技術(特公平7−
95172号公報)では、イオンドーピング・脱ドープ
ピング能をもつ材料(導電性高分子など)が、着色して
いるために、透明性が低く透過型素子に利用できない、
或いは良好なコントラストが得られないなどの問題があ
る。さらには、導電性高分子等の電極上に高分子ゲルを
安定に固定化することが難しいなどの問題もある。ま
た、電極表面のイオン変化量をより大きくすることが発
色材料のレスポンスを高めるために好ましいが、そのた
めには、導電性高分子電極の表面積を大きくする、或い
はその膜厚を厚くすることが効果的である。しかし、従
来の構成では、電極の表面積に制限があること、また電
極の膜厚を厚くすると透明性がより低下するなどの問題
がある。
【0006】一方、特開平11−161203号公報の
ように突起状の電極上に高分子ゲルを形成するプロセス
によって得られた構成では、やはり高分子ゲルの安定な
固定化が難しいという問題がある。また、電極の加工性
の制限から一つの画素が大きくなり解像度が低下するこ
と、固定化する高分子ゲルが大きくなり、膨潤・収縮の
レスポンスが低下するという問題がある。電極を微細加
工することは、一定の効果があるが、電極数が多数とな
りコストが増大すること、電極部の面積(入射光に対す
る有効面積において)が相対的に増大し、コントラスト
等が低下するという問題がある。さらに、白色基板の利
用を明示していることからも透過型素子への利用は考慮
されていない。また、技術的にも、一枚の基板上に2種
類の電極を設けるために、基板を光透過性とすることが
困難であり、事実上、反射型表示のみの利用に限定され
てしまう。
【0007】本発明は、前記従来における諸問題を解決
し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本
発明の目的は、光透過性に優れた通電基板、及びそれを
用いた。明るく、幅広い調光量の変化を得ることができ
る光学素子を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題は、以下の手段
により解決される。即ち、本発明は、 <1>基板の少なくとも一方の表面に凸電極を有する通
電基板であって、該凸電極の少なくとも一部に、イオン
ドーピング・脱ドーピング層を設けてなることを特徴と
する通電基板である。
【0009】<2>調光層と、電極部を対向させて該調
光層を挟持する一対の通電基板とを具備する光学素子で
あって、該通電基板の少なくとも一方が、前記<1>に
記載の光学素子である。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明の通電基板は、基板の少な
くとも一方の表面に凸電極を有し、該凸電極の少なくと
も一部に、イオンドーピング・脱ドーピング層を設けて
なる。本発明の通電基板は、イオンドーピング・脱ドー
ピング層を、凸電極の少なくとも一部のみに設けること
で、優れた光透過性を示し、通電により、該層と接触す
る封入溶液(調光材料)のイオン濃度或いはpHを可逆
的に変化させることができる。なお、以下、基板におけ
る凸電極が設けられている以外の部位を基板表面或いは
凹部という。また、本発明において、「上」とは通電基
板における凸電極が設けられている方向である。
【0011】イオンドーピング・脱ドーピング層は、イ
オンドーピング・脱ドープピング能を示す材料を含んで
なり、このような材料としては、導電性有機材料、酸化
・還元性無機材料が挙げられる。導電性高分子として
は、ポリアセチレン、ポリピロール及びその誘導体、ポ
リアニリン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘
導体、ポリフェニレンビニレン及びその誘導体などが挙
げられる。酸化・還元性無機物としては酸化タングステ
ン、三酸化モリブデン、五酸化バナジウムなどが挙げら
れる。これらは、単独で用いてもよいし、複数併用して
もよい。イオンドーピング・脱ドーピング層の厚みは、
0.1μm〜1mm程度が好ましい。
【0012】イオンドーピング・脱ドーピング層は、凸
電極から通電可能なように、凸電極の全面或いは部分的
に設けることができるが、凸電極が2つ以上の面で構成
される形状の場合、基板表面と大きい角度をもつ面、或
いは基板表面とその外接面とが大きい角度をもつ部位に
設けることが好ましい(例えば、凸電極の形状が円柱の
場合、その側面)。また、凸電極が1つの面で構成され
る形状の場合、基板表面とその外接面とが大きい角度を
もつ部位に設けることが好ましい(例えば、凸電極が半
球の場合、その下部周縁部)。このような角度として
は、20〜90℃が好ましいく、より好ましくは45〜
90℃である。基板表面と大きい角度をもつ面或いは部
位に、イオンドーピング・脱ドーピング層を設けること
で、より効果的に、光透過性を向上させることができ
る。なお、ここで言う「外接面」とは、面上の任意の点
における2以上の接線により構成される平面を示す。
【0013】凸電極は、予め凸部を有する形状の基板に
おける凸部に導電層を設けた構成でもよいし、平面基板
上に凸形状の導電部材を設けた構成でもよい。また、イ
オンドーピング・脱ドーピング層が、該層と接触する溶
液のイオン濃度或いはpHを可逆的に変化させることが
できるように、凸電極から通電可能なように設けられる
構成であれば、凹部表面にも、他の電極或いは配線等と
して利用する導電層を設けてもよいし、導電層からのリ
ーク電流や気体発生を低減させる目的で、絶縁層を設け
てもよい。
【0014】凸電極における導電層或いは導電部材とし
ては、銅、アルミニウム、金、銀、ニッケル、プラチナ
などに代表される金属層或いは部材、酸化錫−酸化イン
ジウム(ITO)、酸化錫に代表される金属酸化物層或
いは部材、非導電性高分子と前述の金属や金属酸化物の
粒子との複合材料などの電極層或いは部材が挙げられ
る。導電層の厚みは、一般に1nm〜50μmの範囲か
ら選択されることが好ましい。
【0015】凸電極或いは凹部における絶縁層としてポ
リエチレン、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエ
ステル、ポリエーテルエーテルケトン、フッ素樹脂,ポ
リスルホン、不飽和ポリエステル、エポキシ、ポリアミ
ド、ポリイミド、シリコーン樹脂、ゴム、アクリル樹
脂、紫外線硬化樹脂などの高分子やシリカなどの無機材
料を用いることができる。なお、基板の透過率を高める
ために絶縁層は光学的に透明なものを用いることが好ま
しい。
【0016】凸電極の形状としては、特に制限されるこ
とはなく、2つ以上の面で構成される形状(多面体、立
方体、多角或いは円柱、截頭多角或いは円錐、多角錐
等、また2つ以上の面を有する不定形状等も含む)で
も、一つの面で構成される形状(例えば、半球、円錐
等、また一つの面で構成される不定形状も含む)でもよ
い。但し、ここでいう面は、平面でもよいし、曲面でも
よい。また、面の数は、基板表面上に固定(当接)して
いる面は含まない。
【0017】凸電極は、島状に存在しても、ストライプ
状、或いは格子状に存在していても構わない。格子の形
状としては、四角形、三角形、円形、多角形、ハニカム
状など様々なものが挙げられる。凸電極の大きさは、そ
の加工性から高さ1μmから100μm程度、幅5μm
〜1cm程度の範囲から選択されることが好ましい。
【0018】凸電極の基板に占める面積率(基板に対す
る正射影の面積率)は、3%〜70%の範囲から選択さ
れることが好ましい。この面積率が3%未満であると電
極の面積が相対的に小さくなりpHやイオン濃度の変化
におけるレスポンスが低下することがある。一方、この
面積が70%よりも大きくなると、着色したイオンドー
ピング・脱ドーピング層の面積が相対的に増加するため
に、基板の光透過性が低下してしまうことがある。
【0019】凸電極は、基板平面の全面に不特定に設け
られてよいし、パターン状に設けられても構わない(画
素に対応した凸電極の配設)。特に、凸電極がパターン
状に形成されている場合は、特定のパターン(セグメン
ト)の凸電極に通電させ、その部位のみの調光材料を変
化させることで画像を表示する表示素子等として適用で
きる。一つのパターンに一つの凸電極を対応させてもよ
いし(一つの画素に一つの凸電極を配設)、一つのパタ
ーンに複数の凸電極を対応させてもよい(一つの画素に
複数の凸電極を配設)。また、各パターンは、セグメン
トなどの分割駆動型パターン、ストライプ型のいずれも
選択可能である。さらに駆動のためのTFT(薄膜トラ
ンジスタ)やMIM(Metal/Insulator
/Metal)などのスイッチング素子を基板上に設け
ることも可能である。さらに、パターンの大きさは、解
像度により異なるが、一般的なPCなどの小型ディスプ
レイ用途などでは、一辺が50μm〜500μmの四角
形、幅が50μm〜500μmのストライプから選択さ
れる。また、大面積表示ボードなどの用途においては、
さらに大きなパターン(セグメント)であっても構わな
い。
【0020】凸電極は、イオンドーピング・脱ドーピン
グ層以外の部位を有することが好ましい。この部位は、
後述する高分子ゲルを固定化する目的で設けられ、凸電
極上に高分子ゲルを固定化することで、光学特性、応答
特性を向上させることができる。この部位は、凸電極が
2つ以上の面で構成される形状の場合、基板表面と小さ
い角度をもつ面、基板表面とその外接面とが小さい角度
をもつ部位、又は角度をもたない(平行な)面或いは部
位に設けることが好ましい(例えば、凸電極の形状が円
柱の場合、その上面)。また、凸電極が1つの面で構成
される形状の場合、基板表面とその外接面とが小さい角
度をもつ部位、或いは角度をもたない(平行な)部位に
設けることが好ましい(例えば、凸電極の形状が半球の
場合、その上部周辺部)。このような角度としては、0
〜45℃が好ましく、より好ましくは0〜20℃であ
る。
【0021】基板材料としては、ポリエステル、ポリイ
ミド、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン、ポリプ
ロピレン、ポリエチレン、ナイロン、ポリ塩化ビニル、
ポリ塩化ビニリデン、ポリカーボネート、セルロース誘
導体、ポリオレフィン等の高分子のフイルム及び基板、
ガラス基板、金属基板、セラミック基板、金属酸化物基
板などを使用することができる。好ましい基板の厚み
は、10μm〜2mmであるが、その大きさは目的によ
って種々選択可能で、特に限定しない。
【0022】本発明の通電基板は、光透過性に優れてい
るが、少なくとも法線方向における入射光に対し透過性
を有することが好ましく、より好ましくは法線と0〜8
0℃(好ましくは0〜70℃)の角度をなす入射光に対
して透過性を有することが好適である。なお、ここで法
線とは、基板表面に対する法線(垂線)を示す
【0023】本発明の通電基板は、一方の表面にイオン
ドーピング・脱ドーピング層を有する凸電極を設けてな
るが、他方の表面には導電層を設けた構成をとっても構
わない。また、基板の両面に、イオンドーピング・脱ド
ーピング層を有する凸電極を設けても構わない。この場
合、積層構造の光学素子として適用する場合、一つの基
板で複数層を駆動することが可能となる。
【0024】本発明の通電基板は、例えば、以下に示す
(1)、(2)で作製することができるが、これらに限
定されることない。 (1)予め凸部及び所望の部位に導電層を形成した基板
を用い、この凸部の少なくとも1部にイオンドーピング
・脱ドーピング層を形成する方法。 (2)所望の部位に導電層(他の電極、配線等)を形成
した平面基板を用いて、所望の部位に凸電極を形成する
方法などが挙げられる。
【0025】方法(1)では、凸(凹凸)状の表面をも
つ基板を用いる。凹凸形状を有する基板は、ガラス基板
やセラミック基板の場合、型成形、エッチング法、切削
法等で、また、樹脂基板の場合、射出成形、圧縮成形及
び注型成形で、作製することができる。さらに、金型と
基板の間に紫外線硬化樹脂を配置し、紫外線照射により
該樹脂を硬化後、金型を剥離する方法、光造形法でも作
製することができる。その後、所望の部位に導電性材料
を用いてスパッタリング法、蒸着法、塗布法、印刷法等
により導電層を形成することで、凸電極、必要により他
の電極、配線を作製することができる。さらに、必要に
応じて絶縁層を導電層を形成する時と同様な方法で形成
することができる。イオンドーピング・脱ドーピング層
は、スパッタリング法、蒸着法、塗布法、印刷法、特に
導電性高分子を用いる場合、電解重合法等により形成す
ることができる。なお、電解重合法とは、導電性高分子
の前駆体(モノマ)を一般に電解質溶液中で凸電極上に
重合析出させる方法である。また、基板上の凸電極や凹
部面は種々の目的により、研磨加工やエッチング加工さ
れていても構わない。さらに、TFT等のスイッチング
素子やアドレス用の配線を設ける場合は、上記のプロセ
スの過程で適宜導入することが可能である。
【0026】方法(2)では、凸電極を平面基板上に適
宜加工を施すものである。例えば、種々の方法で導電層
(他の電極、配線等)を形成した平面基板を準備し、こ
の表面の所定の部位に、導電性材料をマスキング(印刷
法、フォトレジスト等)や打ち抜いたパターン型を用い
て、蒸着、スパッタリング、塗布法により、凸部を形成
することで、凸電極を作製することができる。その後の
プロセスは方法(1)と同様にして実施することで通電
基板を作製することができる。
【0027】以下、本発明の通電基板の具体例を示す
が、これら具体例に限定されることはない。図1は、本
発明の通電基板の一例を示す概略構成斜視図である。図
2は、その拡大概略断面図である。図3は、その製造工
程を示す概要図である。
【0028】図1に示すように、通電基板10は、基板
表面上に円柱状凸電極12が設けられている(以下、凸
電極12以外の部位を凹部14という)。
【0029】図2に示すように、円柱状凸電極12は、
予め円柱状凸部を有する形状の基板における円柱状凸部
の側面に、導電層16と、イオンドーピング・脱ドーピ
ング層18順次設けた構成をとる。また、凹部14表面
には、導電層16と、絶縁層20順次設けてなる。
【0030】図3に示すように、通電基板10は、作製
することができる。平面基板22表面にフォトレジスト
24を塗布し、さらにフォトレジスト24上にフォトマ
スク26を置く(図3(a))。これに、露光、現像し
て、平面基板22上に所定のパターン28を形成する
(図3(b))。次に、エッチングにより平面基板22
の一部を除去し、円柱状凸部30を形成する(図
(c))。次に、凸部30を有する基板全面(凸部の側
面も含めて)に、導電層32をスパッタリング法により
形成する(図3(d))。続いて、凸部30以外に絶縁
層34を形成した(図3(e))。さらに、凸部30全
面の導電層32上に、イオンドーピング・脱ドーピング
層36を形成した(図3(f))。最後に、凸部30の
上面を研磨装置で研磨し基板面を出現させる((図3
(g))。このようにして、表面に円柱状凸電極12を
有する通電基板10を、作製することができる。
【0031】図4に示すように、通電基板10における
凸電極12は島状に設けられてもよいし、図5に示すよ
うなストライプ状に設けられてもよいし、図6に示すよ
うな、格子状に設けられてもよい。なお、図4〜6は、
平面図である。
【0032】図7に示すように、通電基板10における
凸電極12は一つの画素30に一つの凸電極12を配設
した構成でもよいし、図8に示すように一つの画素30
に3×3の凸電極12を配設した構成でもよい。これら
凸電極12に、それぞれ高分子ゲル40を固定すること
で、表示素子等として利用可能になる。なお、画素の形
状、配設する画素の数がこれに限定されることはない。
図7〜8は平面図である。
【0033】本発明の通電基板は、通電により、該層と
接触する溶液のイオン濃度或いはpHを可逆的に変化を
起こす基板として、種々の用途に適用可能である。例え
ば、ロイコ色素などに代表されるイオン変色性色素や光
散乱性が変化する刺激応答高分子ゲルや曇点を有する高
分子材料溶液、さらには色変化を示す着色高分子ゲル等
の調光材料と組み合わせてた表示素子や調光素子などの
光学素子に利用できる。特に、本発明の通電基板は、優
れた光透過性を示すので、光透過型光学素子に好適に使
用することができる。
【0034】(光学素子)本発明の光学素子は、調光層
と、電極部を対向させて該調光層を挟持する一対の通電
基板とを具備する光学素子であって、該通電基板の少な
くとも一方が、前記本発明の通電基板である。本発明の
光学素子は、優れた光透過性に優れた前記本発明の通電
基板を具備することで、明るく、幅広い調光量の変化を
得ることができる。
【0035】調光層は、特に限定されず、従来公知の調
光材料を含んでなるが、高分子ゲルとその膨潤液を含ん
でなることが好ましい。このような高分子ゲルとその膨
潤液とからなる高分子ゲル調光材料としては、特開平1
1−236559号公報に示される刺激応答性高分子ゲ
ル調光材料が特に好ましい。
【0036】高分子ゲル調光材料とは、高分子ゲルとそ
の膨潤液からなる組成物に、pH変化、イオン濃度変
化、化学物質の吸脱着などの外部刺激を与えると、高分
子ゲルは液体を吸収、放出し体積変化(膨潤・収縮)す
る性質をもつものである。この体積変化に伴い、光散乱
性が変化したり、色素を含有させたゲルを用いた場合は
光学濃度が変化する。特定の範囲内で体積変化すると、
光の吸収面積に応じた透過光量の変化を生じる。このよ
うな透過光量の変化は、その体積変化の大きさに依存す
るが、特定の変化量においては非常に大きなものとな
る。
【0037】高分子ゲルとして具体的には、ポリ(メ
タ)アクリル酸の架橋体やその塩:(メタ)アクリル酸
と、(メタ)アクリルアミド、アルキル置換(メタ)ア
クリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレー
ト、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、ジアルキル
アミノアルキル(メタ)アクリルアミド、ジアルキルア
ミノアルキル(メタ)アクリレートなどから選択される
1種以上との共重合体の架橋体やその4級化物や塩:マ
レイン酸と、(メタ)アクリルアミド、アルキル置換
(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)ア
クリレート、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、ジ
アルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド、ジア
ルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートなどから選
択される1種以上との共重合体の架橋体やその塩:ポリ
ビニルスルホン酸の架橋体やその塩:ビニルスルホン酸
と、(メタ)アクリルアミド、アルキル置換(メタ)ア
クリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレー
ト、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、ジアルキル
アミノアルキル(メタ)アクリルアミド、ジアルキルア
ミノアルキル(メタ)アクリレートなどから選択される
1種以上との共重合体の架橋体やその4級化物やその
塩:ポリビニルベンゼンスルホン酸の架橋体やその塩:
ビニルベンゼンスルホン酸と、(メタ)アクリルアミ
ド、アルキル置換(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシ
エチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸アル
キルエステル、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アク
リルアミド、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリ
レートなどから選択される1種以上との共重合体の架橋
体やその4級化物やその塩:ポリ(メタ)アクリルアミ
ドアルキルスルホン酸の架橋体やその塩:(メタ)アク
リルアミドアルキルスルホン酸と、(メタ)アクリルア
ミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メ
タ)アクリル酸アルキルエステル、ジアルキルアミノア
ルキル(メタ)アクリルアミド、ジアルキルアミノアル
キル(メタ)アクリレートなどから選択される1種以上
との共重合体の架橋体やその4級化物やその塩:ポリジ
メチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドの架橋体
やその4級化物:
【0038】ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリル
アミドと、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリルアミ
ド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)
アクリル酸アルキルエステルなどから選択される1種以
上との共重合体の架橋体やその塩や4級化物:ポリジメ
チルアミノエチル(メタ)アクリルアミドの架橋体やそ
の4級化物:ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルア
ミドと、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリルアミ
ド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)
アクリル酸アルキルエステルなどから選択される1種以
上との共重合体の架橋体やその塩や4級化物:ポリジメ
チルアミノエチル(メタ)アクリレートの架橋体やその
4級化物:ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート
と(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリルアミド、ヒド
ロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル
酸アルキルエステルなどから選択される1種以上との共
重合体の架橋体やその塩や4級化物:ポリジエチルアミ
ノエチル(メタ)アクリレートの架橋体やその4級化
物:ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートと、
(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリルアミド、ヒドロ
キシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸
アルキルエステルなどから選択される1種以上との共重
合体の架橋体やその塩や4級化物:ポリジメチルアミノ
プロピル(メタ)アクリルアミドと、ポリビニルアルコ
ールとの複合体の架橋体やその4級化物:ポリビニルア
ルコールとポリ(メタ)アクリル酸との複合体の架橋体
やその塩。ポリ(メタ)アクリロニトリルの架橋体の部
分加水分解物やその塩:
【0039】カルボキシアルキルセルロースの架橋体の
塩などの天然高分子系修飾物:セルロース、澱粉、キチ
ン、キトサン、カラギーナンやアガロースなどの天然由
来高分子にポリ(メタ)アクリル酸等をグラフトした共
重合体の架橋体の塩:ポリグルタミン酸、ポリリシンな
どのポリアミノ酸及びその塩:ポリジメチルアミノプロ
ピル(メタ)アクリルアミドなどポリ[N−アルキル置
換アミノアルキル(メタ)アクリルアミド]の架橋体、
ポリジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ポリ
ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどのポリ
(メタ)アクリル酸N−アルキル置換アルキルエステル
の架橋体、ポリスチレン及びその誘導体の架橋体、ポリ
ビニルピリジンの架橋体、ポリビニルカルバゾールの架
橋体、ポリジメチルアミノスチレンの架橋体などのオル
ガノゲルが挙げられる。
【0040】これらの中でも、ポリ(メタ)アクリル酸
架橋体やその塩、(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリ
ルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ジ
アルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド、ジア
ルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート、(メタ)
アクリル酸アルキルエステルなどから選択される1種以
上との共重合体の架橋体やその4級化物や塩、マレイン
酸と(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メ
タ)アクリレート、(メタ)アクリル酸とジアルキルア
ミノアルキル(メタ)アクリルアミド、ジアルキルアミ
ノアルキル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸
アルキルエステルなどから選択される1種以上との共重
合体の架橋体やその4級化物や塩、ポリ(メタ)アクリ
ルアミドアルキルスルホン酸の架橋体やその塩、前記オ
ルガノゲルなどが好ましい。
【0041】これら高分子ゲルは、ベンゾキノン、7,
7,8,8−テトラシアノキノジメタン(TCNQ)、
テトラシアノエチレン、クロラニル、トリニトロベンゼ
ン、無水マレイン酸やヨウ素などの電子受容性化合物と
を組み合わせることで酸化・還元により応答する高分子
ゲルとして使用される。なお、高分子ゲルの具体例にお
ける「()」は、括弧内の化合物も含むことを示す。
【0042】高分子ゲルは、刺激による体積変化量が大
きいことが好適である観点から、その膨潤時及び収縮時
の体積比が、5以上がこのましく、より好ましくは10
以上、さらに好ましくは15以上である。
【0043】高分子ゲルは、色材を介在させない場合、
体積変化により光散乱性が変化するという調光機能を示
す。一方、高分子ゲルに色材を固定化し着色させたもの
は、特定の色素濃度において体積変化により光学濃度が
変化する調光機能やより高い光散乱性の変化を示すもの
となり特に好ましく使用される。
【0044】色材としては、染料や顔料(無機系顔料、
有機系顔料)等が挙げられる。また、色材は高分子ゲル
に物理的あるいは化学的に固定されることが好ましい。
【0045】染料として具体的には、例えば、黒色のニ
グロシン系染料:赤、緑、青、シアン、マゼンタ、イエ
ロー等のカラー染料であるアゾ染料、アントラキノン系
染料、インジゴ系染料、フタロシアニン系染料、カルボ
ニウム染料、キノンイミン染料、メチン染料、キノリン
染料、ニトロ染料、ベンゾキノン染料、ナフトキノン染
料、ナフタルイミド染料、ベリノン染料などが挙げら
れ、特に光吸収係数が高いものが好ましい。具体的に
は、例えば、C.I.ダイレクトイエロ−1、8、1
1、12、24、26、27、28、33、39、4
4、50、58、85、86、87、88、89、9
8、157:C.I.アシッドイエロ−1、3、7、1
1、17、19、23、25、29、38、44、7
9、127、144、245:C.I.ベイシックイエ
ロ−1、2、11、34:C.I.フードイエロ−4:
C.I.リアクティブイエロー37:C.I.ソルベン
トイエロ−6、9、17、31、35、100、10
2、103、105:C.I.ダイレクトレッド−1、
2、4、9、11、13、17、20、23、24、2
8、31、33、37、39、44、46、62、6
3、75、79、80、81、83、84、89、9
5、99、113、197、201、218、220、
224、225、226、227、228、229、2
30、231:C.I.アシッドレッド−1、6、8、
9、13、14、18、26、27、35、37、4
2、52、82、85、87、89、92、97、10
6、111、114、115、118、134、15
8、186、249、254、289:C.I.ベイシ
ックレッド−1、2、9、12、14、17、18、3
7:C.I.フードレッド−14:C.I.リアクティ
ブレッド−23、180:C.I.ソルベントレッド−
5、16、17、18、19、22、23、143、1
45、146、149、150、151、157、15
8:
【0046】C.I.ダイレクトブル−1、2、6、1
5、22、25、41、71、76、78、86、8
7、90、98、163、165、199、202:
C.I.アシッドブル−1、7、9、22、23、2
5、29、40、41、43、45、78、80、8
2、92、93、127、249:C.I.ベイシック
ブル−1、3、5、7、9、22、24、25、26、
28、29:C.I.フードブル−2:C.I.ソルベ
ントブル−22、63、78、83〜86、191、1
94、195、104:C.I.ダイレクトブラック−
2、7、19、22、24、32、38、51、56、
63、71、74、75、77、108、154、16
8、171:C.I.アシッドブラック−1、2、7、
24、26、29、31、44、48、50、52、9
4:C.I.ベイシックブラック−2、8:C.I.フ
ードブラック−1、2:C.I.リアクティブブラック
−31:C.I.フードバイオレット−2:C.I.ソ
ルベントバイオレット−31、33、37:C.I.ソ
ルベントグリーン−24、25:C.I.ソルベントブ
ラウン−3、9等が挙げられる。これらは、単独で用い
てもよいし、所望とする色を得るため複数併用してもよ
い。
【0047】染料は、高分子ゲルに固定化されて含有す
ることが好ましい。このような観点から、染料として
は、不飽和二重結合基などの重合可能な基を有した構造
の染料、高分子ゲルと反応可能な、いわゆる反応性染料
などが特に好ましい。
【0048】染料の高分子ゲル中における濃度は、3重
量%〜50重量%が好ましく、特に好ましくは5重量%
〜30重量%である。このように染料濃度は、少なくと
も高分子ゲルの乾燥あるいは収縮状態において飽和吸収
濃度以上であることが好ましい。ここで、飽和吸収濃度
以上とは、特定の光路長のもとにおける染料濃度と光学
濃度(あるいは光吸収量)の関係が一次直線の関係から
大きく乖離するような高い染料濃度の領域を示す。
【0049】顔料として具体的には、黒色顔料であるブ
ロンズ粉、各種カーボンブラック(チャネルブラック、
ファーネスブラック等):、白色顔料(光散乱材)であ
る酸化チタン、タルク、炭酸カルシウムなどの金属酸化
物:カラー顔料であるフタロシアニン系のシアン顔料、
ベンジジン系のイエロー顔料、ローダミン系のマゼンタ
顔料:この他にもアントラキノン系、アゾ系、アゾ金属
錯体、フタロシアニン系、キナクリドン系、ペリレン
系、インジゴ系、イソインドリノン系、キナクリドン
系、アリルアミド系などの各種顔料を挙げることができ
る。
【0050】イエロー系顔料としては、縮合アゾ化合
物、イソインドリノン化合物、アンスラキノン化合物、
アゾ金属錯体、メチン化合物、アリルアミド化合物に代
表される化合物が用いられる。より詳細には、C.I.
ピグメントイエロー12、13、14、15、17、6
2、74、83、93、94、95、109、110、
111、128、129、147、168等が好適に挙
げられる。
【0051】マゼンタ系顔料としては、縮合アゾ化合
物、ジケトピロロピロール化合物、アンスラキノン、キ
ナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール
化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合
物、ペリレン化合物が好適に挙げられる。より詳細に
は、C.I.ピグメントレッド−2、3、5、6、7、
23、48:2、48:3、48:4、57:1、8
1:1、144、146、166、169、177、1
84、185、202、206、220、221、25
4等が好適に挙げられる。
【0052】シアン系顔料としては、銅フタロシアニン
化合物及びその誘導体、アントラキノン化合物、塩基染
料レーキ化合物等が好適に挙げられる。より詳細には、
C.I.ピグメントブルー1、7、15、15:1、1
5:2、15;3、15:4、60、62、66等が好
適に挙げられる。
【0053】顔料の粒径は、1次粒子の平均粒径で0.
001μm〜1μmが好ましく、特に好ましくは0.0
1μm〜0.5μmである。この粒径が0.01μm未
満であると、高分子ゲルからの流出が起こりやすくな
り、一方、0.5μmを超えると、発色特性が悪くなる
恐れを生じることがある。
【0054】顔料は、高分子ゲル中に含有され、高分子
ゲルから流出しないことが好ましい。このような観点か
ら、顔料としては、高分子網目中に物理的に閉じ込める
ため、高分子ゲルの架橋密度を最適化した顔料、高分子
ゲルとの電気的、イオン的、その他物理的な相互作用が
高い顔料、表面を化学修飾した顔料等が特に好ましい。
例えば、表面を化学修飾した顔料としては、表面にビニ
ル基などの不飽和基や不対電子(ラジカル)などの高分
子ゲルと化学結合する基を導入した顔料、高分子材料を
グラフトした顔料などが挙げられる。
【0055】顔料の高分子ゲル中における濃度は、染料
と同様に飽和吸収濃度(光散乱材の場合は飽和散乱濃
度)以上の濃度が好ましい。ここで、飽和吸収濃度以上
とは、特定の光路長のもとにおける顔料濃度と光学濃度
(あるいは光吸収量や光散乱性)の関係が一次直線の関
係から大きく乖離するような高い顔料濃度の領域を示
す。このような飽和吸収濃度(飽和散乱濃度)以上にす
るためには顔料の光吸収係数にも依存するが、顔料濃度
は、一般に3重量%〜90重量%であることが好まし
く、より好ましくは5重量%〜80重量%である。この
顔料濃度が3重量%未満であると、飽和吸収濃度(飽和
散乱濃度)以上とはならず高分子ゲルの体積変化による
色濃度変化が現れなくなることがあり、さらには十分な
コントラストを得るために調光層の厚み(基板間隔)が
厚くなり、それによって応答速度が低下するなどの問題
が生じることがる。一方、顔料濃度が90重量%を超え
ると、高分子ゲルの刺激応答特性や体積変化量が低下し
てしまう虞がある。
【0056】高分子ゲルは、色材等を含ませる場合、架
橋前の高分子に色材を均一に分散、混合した後に架橋す
る方法、重合時に高分子前駆体モノマ組成物に色材を添
加して重合する方法によって製造することができる。重
合時において色材を添加する場合には前記したように重
合性基や不対電子(ラジカル)をもつ色材を使用し、化
学結合することも好ましい。また、色材は高分子ゲル中
に極力均一に分散されていることが好ましい。特に、高
分子への分散に際して、機械的混練法、攪拌法あるいは
分散剤などを利用して均一に分散させることが望まし
い。
【0057】高分子ゲルは、粒子として用いることが好
ましい。粒子の形状には、球体、立方体、楕円体、多面
体、多孔質体、繊維状、星状、針状、中空状などのもの
が適用できる。このような高分子ゲル粒子の大きさは、
その液体を含まない状態において平均粒径で0.1μm
〜1mmの範囲であることが好ましく、より好ましくは
1μm〜500μmの範囲である。粒径が0.1μm未
満であると粒子のハンドリングが困難になる、或いは優
れた光学特性が得られないなどの問題を生じることがあ
る。一方、粒径が500μmよりも大きくなると、体積
変化に要する応答速度が大幅に遅くなってしまうなどの
問題を生じることがある。
【0058】高分子ゲルを、粒子として用いる場合、物
理的粉砕法によって粉砕する方法や架橋前の高分子を物
理的粉砕法や化学的粉砕法によって粒子化した後に架橋
してゲルとする方法、あるいは乳化重合法、懸濁重合
法、分散重合法などの粒子化重合法などの一般的な方法
によって製造することができる。
【0059】高分子ゲルは、その刺激応答による体積変
化特性をより高速にするために、従来技術と同様に材料
を多孔質化して液体の出入りを向上させることも好まし
い。一般に膨潤した顔料を含有する高分子ゲルを凍結乾
燥する方法で多孔質化することができる。
【0060】高分子ゲルと膨潤液との好ましい混合比の
範囲は重量比で1:2000〜1:1(高分子ゲル:膨
潤液)である。また、高分子ゲルと膨潤液とをマイクロ
カプセルなどのようなカプセル状にすることも、利用範
囲の拡大や特性の向上という観点で好ましく実施され
る。
【0061】高分子ゲルは、通電基板上に固定化されて
いることが好ましい。特に前述したように凸電極上に固
定化されていることが、光学特性や応答特性の観点から
好ましい。凸電極上に固定化する場合、上述したように
凸電極におけるイオンドーピング・脱ドーピング層以外
の部位に固定化することが好ましい。また、高分子ゲル
は、収縮時、法線方向から見た場合、凸電極におけるイ
オンドーピング・脱ドーピング層を覆い隠すように固定
化されていることが、より効果的に、明るく、幅広い調
光量の変化を得ることができる観点から好ましい。
【0062】高分子ゲルの固定化は、種々の多官能性化
合物などの結合剤や接着剤を利用したり、あるいは物理
的な手段で行うことができる。例えば、反応性シランカ
ップリング剤により基板表面や凸電極上をあらかじめ処
理することで官能基を導入し、これと高分子ゲル中の官
能基とを反応させることにより共有結合させることが可
能である。その他にも、種々の多官能性化合物や接着剤
により高分子ゲルを固定する方法、基板表面や凸電極表
面を立体的に加工して、高分子ゲルを物理的に固定化す
ることも可能である。固定化に際しては、繊維材料や多
孔質材料などを介しても構わない。また、高分子ゲルを
固定化するには、結合剤や接着剤が反応あるいは付着し
やすいように基板表面や凸電極の材質や形状を加工して
も構わない。
【0063】高分子ゲルは、その複数色を各々異なった
パターン(画素)に固定化し、各色の高分子ゲルの体積
変化させることで、種々色(波長)の透過光量を可逆的
に制御することが可能であり、カラー表示可能な光学素
子として応用することも可能である。この時、所望の部
位に高分子ゲルを固定化するためには、高分子ゲルを含
む組成物を印刷等で所望の位置に塗布し反応させる方
法、あるいはマスキング法などにより各色を逐次形成し
固定化させる方法などが可能である。
【0064】高分子ゲルにおける各色の画素の配置は様
々なものが適用できるが、一般的には各色が特定の規則
性をもって配置されることが好ましい。例えば、図5に
示しようなストライプ状の凸電極12、或いは図8に示
すように一つの画素38に対応する3×3の凸電極12
ごとに異なった色の高分子ゲル40が固定化されていて
も構わない。
【0065】高分子ゲルと共に用いる膨潤液は、刺激付
与により高分子ゲルに吸脱する性質のもので、前記高分
子ゲルを膨潤可能なものである。膨潤液として具体的に
は、例えば、電解質水溶液(水、塩、アルカリ、酸な
ど)、アルコール類(例えばメチルアルコール、エチル
アルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコールな
ど)、ケトン類(例えばアセトン、メチルエチルケトン
など)、エーテル類、エステル類、ジメチルホルムアミ
ド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホオキシド、
アセトニトリル、プロピレンカーボネート、脂肪族、芳
香族系有機溶媒、及びこれらの混合物が好適に挙げられ
る。また、膨潤液には、高分子ゲルに吸脱する界面活性
剤、溶液のpH変化を促進するためのビオロゲン誘導体
などの酸化還元剤、酸、アルカリ、塩、及び分散安定
剤、酸化防止、紫外線吸収などの安定剤などを添加して
も構わない。
【0066】一対の通電基板のいずれか一方は、前記本
発明の通電基板を用いるが、その対向基板としては、前
記本発明の通電基板であっても、一般的な導電性膜を形
成した平面基板であっても構わない。また、一対の通電
基板は、そのいずれか一方は、光学的に透明であること
が必要がある。一方、いずれも透明とした場合は、光透
過型光学素子とすることができる。
【0067】一対の通電基板における、調光層を挟持す
るための各基板間隔(調光層の厚み)は、1μm〜5m
m程度から選択されることが好ましい。小型光学素子に
おいては、より好ましくは10μm〜200μmの範囲
である。この間隔が1μmよりも小さいと、調光量が小
さくなり易く、5mm以上では素子が重くなるなどの問
題が生じることがある。このように一対の通電基板の間
隔を設定するためには、種々の大きさのスペーサ粒子を
散布する、フィルムスペーサーを用いる、基板等上に形
成された立体的な構造体などを利用することが好まし
い。なお、一対の通電基板を張り合わせる場合、接着
剤、紫外線硬化樹脂や熱硬化樹脂などのシール剤を印刷
法などで形成し、封止することが好ましい。
【0068】本発明の光学素子は、調光層を複数、積層
した構成であっても構わない。調光層を複数、積層する
ことで種々の色を表現することも可能である。その場
合、通電基板は各調光層において共用されていても構わ
ない。
【0069】本発明の光学素子には、バックライトなど
も組み合わせて利用することが可能である。バックライ
トとしては、冷陰極管、蛍光管、LED、EL等、及び
それらと導光体或いは光拡散体との組み合わせた素子な
どの液晶表示素子と同様なものを使用することができ
る。
【0070】本発明の光学素子には、表面保護層、紫外
線吸収層、着色層、電波反射層、反射防止層、帯電防止
層、防汚層、マイクロレンズ、断熱層、駆動用ドライバ
などを設けることもできる。
【0071】本発明の光学素子は、従来公知の方法で作
製することができ、例えば、通常の液晶素子と同様な方
法で作製することができる。具体的には、一対の通電基
板を種々のスペーサーを介して張り合わせ、一部の開口
部を残して周囲を接着し、開口部から調光材料を注入
後、開口部を封止する方法等である。一方、通電基板を
重ね合わせる前に調光材料を基板上に形成し、これをセ
ル化、封止することもできる。また、調光材料として高
分子ゲルを用いる場合は、例えば、高分子ゲルを固定化
した通電基板を、上述種々のプロセスでセル化し、膨潤
液体を注入後、封止することで光学素子を作製すること
ができる。調光材料(液体)の注入は、減圧法などの気
圧差を利用したものや毛細管現象を利用した方法で実施
できる。
【0072】以下、本発明の光学素子の具体例を示す
が、これら具体例に限定されることはない。図9は、本
発明の光学素子の一例を示す概略構成図である。図9に
示す光学素子は、通電基板10と、対向基板(別の通電
基板)42とを、特定に間隔を介して重ね合わせたセル
構成である。通電基板10は、図1に示す、円柱状凸電
極12を有する通電基板10である。対向基板42は、
導電性膜を形成した平面基板である。また、対向した通
電基板10及び対向基板(別の通電基板)42間には、
調光材料44が封入されている(調光層)。また、通電
基板10及び対向基板(別の通電基板)42の周囲は、
封止材46で封止されている。
【0073】図10は、本発明の光学素子の別一例を示
す概略構成図である。図10に示す光学素子は、調光材
料44として、高分子ゲル40とその膨潤液48とを具
備する以外は、図9に示す光学素子と同様な構成であ
る。高分子ゲル40は、円柱状凸電極12の上面(ここ
で、上とは通電基板における凸電極12が設けられてい
る方向である)に固定化されている。対向した通電基板
10及び対向基板(別の通電基板)42間には、固定化
された高分子ゲル40と膨潤液48とが封入されている
(調光層)。また、高分子ゲル40は、後述する収縮
時、上(法線方向)から見た場合、円柱状凸電極12に
おけるイオンドーピング・脱ドーピング層18を覆い隠
すように固定化されている。
【0074】図10に示す光学素子は、高分子ゲル40
の膨潤状態を示している。通電基板10における凸電極
12に通電することで、凸電極12(イオンドーピング
・脱ドーピング層)と接触する膨潤液48のイオン濃度
或いはpHが可逆的に変化し、膨潤状態の高分子ゲル4
0は、図11に示すように収縮する。この高分子ゲル4
0の体積変化により、光散乱性が変化したり、色素を含
有させたゲルを用いた場合は光学濃度が変化する。
【0075】
【実施例】以下、本発明を、実施例を挙げてさらに具体
的に説明する。ただし、これら各実施例は、本発明を制
限するものではない。
【0076】(実施例1)大きさ100mm×100m
m、厚み2mmのガラス基板表面に、フォトレジストを
塗布し、さらにフォトマスクを石英基板上に置く。これ
を、露光、現像して基板上に所定のパターンを形成し
た。次に、凸部を形成するためにエッチングによりガラ
ス基板の一部を除去し、円柱状凸部を形成した。円柱状
凸部の直径は5μm、厚さは6〜7μmであり、各円柱
状凸部の間隔は40μmである。
【0077】次に、凸部を有する基板全面に、ITO
(Indium Tin Oxide)層(導電層)を
スパッタリング法により約0.1μmの厚みで均一に形
成した。なお、この時、凸部の側面にも透明導電性層が
形成されるように条件設定を行った。
【0078】続いて、凸部以外のITO層上に、約0.
5μmの厚みでポリイミド層(絶縁層)を形成した。ポ
リイミド層は、ポリイミド前駆体を印刷法で凸部以外の
ITO層上に形成し、熱処理して形成した。
【0079】さらに、凸部全面のITO層上に、ピロー
ルを電解重合しポリピロール膜(イオンドーピング・脱
ドーピング層)を厚み約5μmで形成した。電解重合は
0.1Mピロールと0.1Mトルエンスルホン酸ナトリ
ウム支持電解質を含む水溶液中でITO電極の電位を飽
和カロメル参照電極に対して0.9Vで行った。最後に
凸部の上面を研磨装置で研磨しポリイミド層を除去し、
ガラス面を出現させた。このようにして、図1に示すよ
うな凸電極を有する通電基板を作製した。
【0080】上記で作製した、通電基板の透過率は約8
4%であった。0.01N−KOH水溶液を用いてクロ
ノアンペロメトリー法により通電の極性を変えて、ドー
ピング・脱ドーピングされるイオンを測定したととこ
ろ、飽和カロメル参照電極に対して±1Vの電圧を10
0秒間印加したところ、0.1C/cm2のクーロン量
を可逆的にドーピング・脱ドーピングすることが確認で
きた。つまり、高い透明性と優れたイオン変化特性を合
わせもっていることがわかった。
【0081】(実施例2)大きさ100mm×100m
m、厚み2mmのガラス基板表面にITO(Indiu
m Tin Oxide)層をスパッタリング法により
約0.1μmの厚さで均一に形成した。
【0082】次に、ITO層表面にマスクをしITO層
の一部をエッチングすることにより、ストライプ状のI
TO電極の作製した。ストライプITO電極の形状は9
mm×100mmである。電極間間隔は1mmである。
さらにマスクをITO電極上に置き、マスクが開いてい
る部分にのみ真空蒸着によって、ITOからなる円柱状
凸部(凸電極)を形成した。なお、凸部は1つのストラ
イプ電極上に規則正しく複数形成されている。円柱状凸
部の直径は5μm、厚さは6〜7μmであり、各凸部の
間隔は40μmである。
【0083】続いて、ITOからなる円柱状凸部以外の
基板表面に、約0.5μmの厚みでポリイミド層(絶縁
層)を形成した。ポリイミド層は、ポリイミド前駆体を
印刷法で、ITOからなる円柱状凸部以外の基板表面に
形成し、熱処理して形成した。
【0084】さらに、ITOからなる円柱状凸部全面
に、ピロールを電解重合しポリピロール膜(イオンドー
ピング・脱ドーピング層)を厚み約5μmで形成した。
電解重合は0.1Mピロールと0.1Mトルエンスルホ
ン酸ナトリウム支持電解質を含む水溶液中でITO電極
の電位を飽和カロメル参照電極に対して0.9Vで行っ
た。
【0085】最後に凸電極の上面を研磨装置で研磨しポ
リピロール層を除去し、ITO電極面を出現させた。こ
のようにして、凸電極を有する通電基板を作製した。
【0086】上記で作製した、通電基板の透過率は約8
4%であった。また、0.01N−KOH水溶液を用い
てクロノアンペロメトリー法により通電の極性を変え
て、ドーピング・脱ドーピングされるイオンを測定した
とところ、飽和カロメル参照電極に対して±1Vの電圧
を100秒間印加したところ、0.1C/cm2のクー
ロン量を可逆的にドーピング・脱ドーピングすることが
確認できた。つまり、高い透明性と優れたイオン変化特
性を合わせもっていることがわかった。
【0087】(実施例3) −調光素子の作製と機能− <pH応答ゲル粒子の調製>黒色顔料であるカーボンブ
ラックを含有したpH応答性高分子ゲルの粒子を、以下
ようなプロセスによって製造した。1次粒径約0.1μ
mのカーボンブラック(昭和キャボット社製、ショウブ
ラック:以下CBと略す)10gを界面活性剤としてエ
マルゲン909(花王製)0.3gを添加した蒸留水5
0mlに混合し、超音波分散装置を用いてCBを均一に
分散させた溶液を調製した。モノマーとしてアクリル酸
10g、架橋剤としてメチレンビスアクリルアミド0.
02gを蒸留水20mlに溶解し、これに水酸化ナトリ
ウム6gを混合してアクリル酸を中和したモノマ水溶液
を調製した。この水溶液を先に調製したCB分散溶液と
混合し、これをフラスコ中に入れ、脱気、窒素置換し
た。
【0088】このモノマ混合物に重合開始剤として過硫
酸アンモニウム0.2gを添加したものを、分散媒であ
るシクロヘキサン200mlに投入し、これを窒素パー
ジした容器内に加え、ホモジナイザイーで高速攪拌して
乳化した。さらに、重合促進剤としてテトラエチルエチ
レンジアミン0.1mlを添加し、30℃で5時間重合
を行った。重合により生成した黒色粒子を大量の蒸留水
中に投入し、これをろ過する操作を繰り返すことで精製
を行なった。その後、大量のメタノールを用いて脱水
し、乾燥させた。得られた高分子ゲルの粗粒子を、分級
することで、乾燥時の平均粒径が10μmの黒色粒子を
得た。
【0089】この黒色粒子の0.0001N水酸化ナト
リウム水溶液における吸水量は約200g/gであっ
た。また、本粒子はpHを変化させることにより可逆的
に膨潤・収縮させることができ、pH3.0(収縮)か
らpH10(膨潤)の間で粒子径は約4倍、体積で約6
4倍程度の変化を可逆的に起こす特性を持っていた。
【0090】<調光素子の作製>実施例1で作製した通
電基板の凸部電極に、上記で調製した黒色高分子ゲル粒
子を以下の方法で固定化した。電極上に高分子ゲルを固
定するための結合剤層をシランカップリング剤(3−G
lycidoxypropyltrimethoxys
ilane)溶液を凸電極表面に塗布、加熱反応させた
後に洗浄することで形成した。反応機能上、シランカッ
プリング剤は凸部上面のガラス面に反応するものと考え
られる。次に、先に調製した、黒色ゲル粒子と水からな
る溶液を調製し、これと電極面と接触させ、加熱するこ
とによってガラス面の反応性シランカップリング部とゲ
ル粒子を化学反応させて固定化した。顕微鏡観察の結
果、ゲル粒子はほぼすべての凸電極上に固定化されてい
た。次に大きさ100mm×100mmのITO付き電
極基板を対向基板とし、この表面に50μmの樹脂スペ
ーサを散布した後、一部の開口部を除き外周部に紫外線
硬化樹脂を塗布し、前記のゲル粒子を固定化した基板と
張り合わせ、紫外線を照射して接着させた。次に、セル
内部に高分子ゲルの膨潤液体として0.0001N水酸
化ナトリウム水溶液を減圧法により注入後、開口部を封
止し調光素子を作製した。ゲル粒子を固定化した凸電極
側をアノードとし、2Vの直流電流を通電可能なように
電源から電極に配線を行った。
【0091】通電前の試料は、ゲル粒子が膨潤状態にあ
るため、入射光が吸収され、透過光量は約2%であっ
た。通電を行うと電極表面のイオン濃度が変化しゲル粒
子が収縮することにより光が透過し、透過光量は約75
%に増大した。再び、通電を止めると瞬時にもとの透過
光量に戻った。繰り返しの通電により何度も調光は可能
であり、固定化されているゲル粒子が凸電極から離脱す
ることはなく、優れた安定性をもっていた。なお、顕微
鏡観察から通電によりゲル粒子はその体積が約30倍の
範囲で可逆的に変化することが確認された。このことか
ら、非常に大きな透過光量の変化を実現可能な優れた透
過型調光素子としての機能を持つことが確認できた。
【0092】(実施例4) −表示素子の作製と機能− 実施例3と同様なプロセスで、ドット表示が可能なモノ
クロ表示素子を作製した。ただし、基板として実施例2
で作製したストライプ電極状の通電基板を用いた。実施
例2で作製したものと同様のストライプ電極付き基板を
用い、その全ての凸電極上に、実施例3と同様にして黒
色ゲル粒子を固定化した。
【0093】黒色ゲル粒子を固定化した基板を、実施例
3と同様な方法で100μmの樹脂スペーサを介して張
り合わせ、液体として0.0001N水酸化ナトリウム
水溶液を減圧法により注入後、開口部を封止し、表示素
子試料を作製した。なお、対向する各ストライプ電極は
直交するように配置され、単純マトリックス駆動セルと
している。また、1Vの直流電流を通電可能なように電
源から各ストライプ電極末端に配線を行なった。
【0094】通電前の試料は、全てのゲル粒子が膨潤状
態であるために、大半の入射光は吸収されるため、透過
光量は約2%の黒表示であった。ゲル粒子が固定した電
極側にアノード,対向電極をカソードとしてすべての画
素に通電を行ったところ、導電性高分子膜中に電解質中
の水酸化物イオンが取り込まれpHが低下するため、ゲ
ル粒子が収縮することにより光が透過し、透過光量は約
75%となり、白表示が実現できた。極性を反転させて
電圧を印加したところ導電性高分子膜中に取り込まれて
いた水酸化物イオンが放出されるためpHが上昇しゲル
粒子が膨潤し、再び黒表示に戻った。表示のコントラス
ト比は約37と優れていた。X、Y軸に相当する各基板
のストライプ状に形成された凸電極を選択通電すること
で特定の画素に通電を行ない、文字を表示することがで
きた。
【0095】また、この表示素子試料の背景に、MgO
からなる拡散反射板を配置すると白表示の反射率が50
%以上の明るい反射型表示が可能であることが確認でき
た。一方、バックライトを配置するとより明るい、鮮明
な表示が実現可能なことも確認できた。また、ほぼ18
0°に近い広い視野角で鮮明な画像を確認することが可
能であった。繰り返しの通電により何度も表示は可能で
あり、固定化されているゲル粒子が凸電極から離脱する
ことはなく、優れた安定性をもっていた。なお、顕微鏡
観察から通電によりゲル粒子はその体積が約30倍の範
囲で可逆的に変化することが確認された。このように、
この表示素子は、コントラストに優れ、視野角が広く、
かつ明るい表示が実現可能であることが明らかとなっ
た。
【0096】(比較例1)大きさ100mm×100m
mのITO付き平板電極基板全面に、実施例1と同様な
プロセスでポリピロール膜を形成して通電基板を作製し
た。これに、対向基板として酸化スズガラスを、この表
面に50μmの樹脂スペーサを散布した後、一部の開口
部を除き外周部に紫外線硬化樹脂を塗布し、張り合わ
せ、紫外線を照射して接着させた。次に、セル内部に高
分子ゲル粒子を含む0.0001N水酸化ナトリウム水
溶液を減圧封入法により注入後、開口部を封止し調光素
子を作製した。2Vの直流電流を通電可能なように電源
から各電極に配線を行った。
【0097】上記作製した調光素子は、通電基板全面に
ポリピロール膜が黒に着色しているために、大半の入射
光は吸収されるために、透過光量は約0.1%であっ
た。ゲル粒子が固定した電極側にアノード、対向電極を
カソードとしてすべての画素に通電を行ったところ、顕
微鏡観察から通電によりゲル粒子は収縮していることが
確認されたが透過光量の変化は全く見られなかった。
【0098】実施例1〜3及び比較例から、本発明の通
電基板は、透過光量を損なうことなく、黒色導電性高分
子材料のポリピロール膜(イオンドーピング・脱ドーピ
ング層)を形成できることがわかる。
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、光透過
性に優れた通電基板、及びそれを用いた。明るく、幅広
い調光量の変化を得ることができる光学素子を提供する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の通電基板の一例を示す概略構成斜視図
である。
【図2】本発明の通電基板の一例を示す拡大概略断面図
である。
【図3】本発明の通電基板の製造工程を示す概要図(a
〜g)である。
【図4】凸電極の配設位置の一例を示す平面図である。
【図5】凸電極の配設位置の別の一例を示す平面図であ
る。
【図6】凸電極の配設位置の別の一例を示す平面図であ
る。
【図7】凸電極の配設位置の別の一例を示す平面図であ
る。
【図8】凸電極の配設位置の別の一例を示す平面図であ
る。
【図9】本発明の光学素子の一例を示す概略構成図であ
る。
【図10】本発明の光学素子の別の一例を示す概略構成
図である。
【図11】高分子ゲルの体積変化による、調光機能を説
明する概略構成図である。
【符号の説明】
10 通電基板 12 凸電極 14 凹部 16 導電層 18 イオンドーピング・脱ドーピング層 40 高分子ゲル 42 対向基板 44 調光材料 46 封止材 48 膨潤液
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小村 晃雅 神奈川県南足柄市竹松1600番地 富士ゼロ ックス株式会社内 (72)発明者 植松 高志 神奈川県南足柄市竹松1600番地 富士ゼロ ックス株式会社内 (72)発明者 森山 正洋 神奈川県南足柄市竹松1600番地 富士ゼロ ックス株式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板の少なくとも一方の表面に凸電極を
    有する通電基板であって、該凸電極の少なくとも一部
    に、イオンドーピング・脱ドーピング層を設けてなるこ
    とを特徴とする通電基板。
  2. 【請求項2】 調光層と、電極部を対向させて該調光層
    を挟持する一対の通電基板とを具備する光学素子であっ
    て、該通電基板の少なくとも一方が、請求項1に記載の
    光学素子。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005031302A (ja) * 2003-07-10 2005-02-03 Fuji Xerox Co Ltd 光学素子
WO2012128105A1 (ja) * 2011-03-19 2012-09-27 シャープ株式会社 表示素子、表示装置、および表示方法

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