JP2006348250A - 高分子ゲル組成物、高分子ゲル粒子の製造方法、及び光学素子 - Google Patents

高分子ゲル組成物、高分子ゲル粒子の製造方法、及び光学素子 Download PDF

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Abstract

【課題】 耐光性に優れ、かつ、体積変化の応答速度が高い高分子ゲル組成物、該高分子ゲル組成物を構成する高分子ゲル粒子の製造方法、及び該高分子ゲル組成物を用いた光学素子を提供すること。
【解決手段】 液体と、電界に応じて該液体との相互作用によって体積変化すると共に、金属ナノ粒子を含む高分子ゲル粒子と、を備えることを特徴とする高分子ゲル組成物、該高分子ゲル組成物を構成する高分子ゲル粒子の製造方法、及び該高分子ゲル組成物を用いた光学素子。
【選択図】 図1

Description

本発明は、電子ペーパー、透過型及び反射型表示素子、調光素子など広く利用可能な光学素子に関し、詳しくは、電界により色変化や光散乱し、幅広い波長領域において透過光量や反射光量を調節でき、多彩な色調を呈示することができ、多彩なパターンを表示できる等の様々な特性を有する光学素子、及びそれに用いられる高分子ゲル組成物、該高分子ゲル組成物を構成する高分子ゲル粒子の製造方法に関する。
近年、次世代電子ペーパーの実現のための画像表示素子として、刺激応答性高分子ゲルを用いた通電表示技術が提案されている。具体的には、下記に挙げられる各種の素子が知られている。
例えば、通電による高分子ゲルの膨潤・収縮によって光散乱状態を変え、透明・白濁で調光及び表示を行なう素子が提案されている(例えば、特許文献1及び2参照。)。
また、通電で膨潤・収縮する高分子ゲルと、顔料を液体中に分散した着色液体とを組み合わせた組成物からなる光学素子が提案されている。該光学素子は、通電による高分子ゲルの形状変化によって着色液体を移動させ、そのときに起こる着色液体の光の吸収量変化を利用したものである(例えば、特許文献3参照。)。
しかし、これら光学素子は、通電によって高分子ゲルを保持するための溶媒が電気分解し気泡が発生するために、通電毎に表示品質や調光特性が損なわれてしまうこと、電極が腐食してしまうなどの問題点があった。
また、電極として導電性高分子等を適用することで、通電で引き起こされる液体の電気分解を防止し、電気分解による気泡を発生させない技術も提案されている(例えば、特許文献4参照。)。しかし、電極に形成された導電性高分子等の固有な色によって十分な表示コントラストや、反射率、光の吸収量の変化量がとれないという課題がある。
更に、刺激の付与により液体を吸収・放出して体積変化する高分子ゲルと液体を含む領域と、該領域を覆う隔壁部材とを有する高分子ゲル組成物を用いた光学素子(例えば、特許文献5)や、液体と、電界に応じて前記液体を吸収・放出することで体積変化する帯電性高分子ゲルと、を有する高分子ゲル組成物を用いた光学素子が提案されている(例えば、特許文献6参照。)。
これら光学素子は、液体として絶縁性液体を用いることで、電極反応に由来する分解反応を抑制することができる。また、これの光学素子では、電界に応じて、大きな光散乱率、反射率や光の吸収量等の変化量を得ることができる。しかしながら、着色剤として顔料や染料の色材を用いることから、光により色材が劣化し、発色性が変化してしまうという問題を有していた。また、上記の高分子ゲル組成物では、高分子ゲルの体積変化に対する応答速度が遅く、その結果、光学素子としての応答速度が遅いという問題を有していた。そのため、高分子ゲルの体積変化に対する応答速度の向上が望まれているのが現状である。
特開平4−134325号公報 特開平5−188354号公報 特開昭61−149926号公報 特公平7−95172号公報 特開平11−228850号公報 特開2003−147221号公報
本発明は、前記従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。
即ち、本発明の目的は、耐光性に優れ、かつ、体積変化の応答速度が高い高分子ゲル組成物、該高分子ゲル組成物を構成する高分子ゲル粒子の製造方法、及び該高分子ゲル組成物を用いた光学素子を提供することである。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意検討した結果、高分子ゲル中に金属ナノ粒子を含有させることで、前記課題を解決することが可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。即ち、本発明は、
<1> 液体と、電界に応じて該液体との相互作用によって体積変化すると共に、金属ナノ粒子を含む高分子ゲル粒子と、を備えることを特徴とする高分子ゲル組成物である。
<2> 前記高分子ゲル粒子の膨潤状態での体積平均粒径が3nm〜2mmの範囲であることを特徴とする<1>に記載の高分子ゲル組成物である。
<3> 前記高分子ゲル粒子の膨潤状態での体積平均粒径が3nm〜100μmの範囲であることを特徴とする<2>に記載の高分子ゲル組成物である。
<4> 前記液体が絶縁性液体であることを特徴とする<1>に記載の高分子ゲル組成物である。
<5> 前記高分子ゲル粒子の膨潤状態での体積粒度分布(GSD)が1.40以下でることを特徴とする<1>に記載の高分子ゲル組成物である。
<6> 金属ナノ粒子、非イオン性モノマー、非中和のイオン性モノマー、及び架橋剤を含むモノマー分散液を調製する工程と、該モノマー分散液を分散相に分散した後、重合・架橋して架橋性ポリマーを生成する工程と、該架橋性ポリマー中のイオン性モノマーに由来するイオン性基を中和する工程と、を有することを特徴とする高分子ゲル粒子の製造方法である。
<7> 金属ナノ粒子、及び、非中和のイオン性基並びに非イオン性基を側鎖に有するポリマーを含むポリマー分散液を調製する工程と、該ポリマー分散液を分散相に分散した後、架橋剤の存在下で、前記ポリマーを架橋して架橋性ポリマーを生成する工程と、該架橋性ポリマー中のイオン性基を中和する工程と、を有することを特徴とする高分子ゲル粒子の製造方法である。
<8> 金属ナノ粒子とモノマーとを反応させて反応生成物を得る工程と、該反応生成物と架橋剤とを含むモノマー分散液を調製する工程と、該モノマー分散液を分散相に分散した後、重合・架橋して架橋性ポリマーを生成する工程と、を有することを特徴とする高分子ゲル粒子の製造方法である。
<9> 金属ナノ粒子とポリマーとを反応させて反応生成物を得る工程と、該反応生成物を含むポリマー分散液を調製する工程と、該ポリマー分散液を分散相に分散した後、架橋剤の存在下で、前記ポリマーを架橋して架橋性ポリマーを生成する工程と、を有することを特徴とする高分子ゲル粒子の製造方法である。
<10> 少なくとも一方が光透過性であり、かつ、対向配置された一対の基板と、該一対の基板間に保持された高分子ゲル組成物と、電界付与手段と、備える光学素子であって、前記高分子ゲル組成物が、液体と、電界に応じて該液体との相互作用によって体積変化すると共に、金属ナノ粒子を含む高分子ゲル粒子と、を備える高分子ゲル組成物と、を含むことを特徴とする光学素子である。
<11> 前記高分子ゲル粒子が、前記基板1mm2当たり20000個以上存在することを特徴とする<10>に記載の光学素子である。
<12> 前記高分子ゲル粒子の膨潤状態での体積平均粒径が3nm〜2mmの範囲であることを特徴とする<10>に記載の光学素子である。
<13> 前記高分子ゲル粒子の膨潤状態での体積平均粒径が3nm〜100μmの範囲であることを特徴とする<12>に記載の光学素子である。
<14> 前記液体が絶縁性液体であることを特徴とする<10>に記載の光学素子である。
<15> 前記高分子ゲル粒子の膨潤状態での体積粒度分布(GSD)が1.40以下でることを特徴とする<10>に記載の光学素子である。
<16> 前記一対の基板間の距離が50μm以下であることを特徴とする<10>に記載の光学素子である。
<17> 前記一対の基板間の距離が、前記高分子ゲル粒子の膨潤状態での体積平均粒径の1.1〜20倍であることを特徴とする<10>に記載の光学素子である。
<18> 光透過率が10%から90%まで変化する際の応答時間が0.5sec以下であることを特徴とする<10>に記載の光学素子である。
<19> 前記高分子ゲル粒子が前記基板上に単層状態で配置されていることを特徴とする<10>に記載の光学素子である。
<20> 前記電界付与手段による駆動電圧が10V以下であることを特徴とする<10>に記載の光学素子である。
本発明によれば、耐光性に優れ、かつ、体積変化の応答速度が高い高分子ゲル組成物、該高分子ゲル組成物を構成する高分子ゲル粒子の製造方法、及び該高分子ゲル組成物を用いた光学素子を提供することができる。
まず、本発明の高分子ゲル組成物について説明する。
<高分子ゲル組成物>
本発明の高分子ゲル組成物は、液体と、電界に応じて該液体との相互作用によって体積変化すると共に、金属ナノ粒子を含む高分子ゲル粒子(以下、特定帯電性高分子ゲル粒子と称する。)と、を備えることを特徴とする。
このように、電界に応じて体積変化する高分子ゲル粒子中に、金属ナノ粒子を含有させることで、その金属ナノ粒子のプラズモン吸収に基づいて高分子ゲル粒子が着色される。また、この着色剤としての金属ナノ粒子は、金属粒子であり耐光性に優れることから、染料などのように光の影響により経時的に発色性が劣化するという問題は発生しない。
また、ここで用いられる金属ナノ粒子は、その微細な粒径から、該金属ナノ粒子を含有する高分子ゲル粒子自体の径を小さくすることも可能となり、高分子ゲル粒子の体積変化に対する応答速度を向上させることもできる。
従って、このような高分子ゲル粒子(特定帯電性高分子ゲル粒子)を備える本発明の高分子ゲル組成物は、耐光性に優れ、かつ、体積変化の応答速度に優れるものとなる。
以下、本発明の高分子ゲル組成物を構成する各成分について説明する。
〔特定帯電性高分子ゲル粒子〕
本発明において用いられる特定帯電性高分子ゲル粒子は、電界に応じて該液体との相互作用によって体積変化すると共に、金属ナノ粒子を含むものであれば、如何なるものであってもよい。つまり、本発明における特定帯電性高分子ゲル粒子は、電界に応じて該液体との相互作用によって体積変化する帯電性高分子ゲル粒子と、該帯電性高分子ゲルの内部に含まれる金属ナノ粒子と、から構成される。
ここで、本発明において、相互作用とは、液体の吸収・放出に伴う高分子ゲルの体積変化を含む作用を意味する。
まず、本発明における金属ナノ粒子について説明する。
[金属ナノ粒子]
本発明における金属ナノ粒子とは、一つの粒子の大きさがnmオーダーの金属粒子であり、この金属粒子としては、金属(合金を含む)、金属酸化物、半導体による粒子を含むものである。この金属ナノ粒子のブラスモン吸収を利用することにより、得られた特定帯電性高分子ゲル粒子の着色剤として用いることができる。
本発明において用いられる金属ナノ粒子としては、例えば、金、銀、銅、白金、パラジウムなどの貴金属、及びこれらの合金等が挙げられる。中でも、金、銀が好ましい。
これらは、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、金属ナノ粒子の好ましい粒径としては、可視光領域における光を発色させる場合には、2〜300nmが好ましく、20〜200nmがより好ましい。
ここで金属ナノ粒子の形状は球形に限られるものではなく、三角形、五角形などの多角形、ロッド形状であってもかまわない。その場合、粒径とは、形状に限らずその粒子の最も長い辺を表す。
本発明においては、このような金属ナノ粒子は、上述の帯電性高分子ゲル粒子の内部に含まれていることを要する。特に、金属ナノ粒子は、粒径が小さいことから、着色剤としての機能を効果的に発現させるために、帯電性高分子ゲル粒子の内部に固定されていることが好ましく、帯電性高分子ゲル粒子を構成する化合物と化学的に結合していることがより好ましい。
以下、金属ナノ粒子が含まれた帯電性高分子ゲル粒子、つまり、本発明における特定帯電性高分子ゲル粒子の製造方法について説明する。
[特定帯電性高分子ゲル粒子の製造方法]
本発明における特定帯電性高分子ゲル粒子の製造方法(本発明の高分子ゲル粒子の製造方法)としては、以下の4つの方法を用いることができる。
第1の方法は、金属ナノ粒子、非イオン性モノマー、非中和のイオン性モノマー、及び架橋剤を含むモノマー分散液を調製する工程と、該モノマー分散液を分散相に分散した後、重合・架橋して架橋性ポリマーを生成する工程と、該架橋性ポリマー中のイオン性モノマーに由来するイオン性基を中和する工程と、を有する。なお、この方法で用いられるモノマー分散液には、必要に応じて溶媒が用いられてもよい。
上記第1の方法で用いられる金属ナノ粒子は、上述の金属ナノ粒子であれば、如何なるものを用いることができる。特に、可視光領域における発色性の点から、金ナノ粒子、銀ナノ粒子を用いることが好ましい。
また、モノマー分散液中の金属ナノ粒子の含有量としては、高分子ゲル組成物の用途により適宜決定されるが、具体的には、モノマー分散液の全固形分に対して、2〜70質量%であることが好ましく、5〜50質量%であることがより好ましい。
上記第1の方法で用いられる非イオン性モノマーは、分子内にイオン解離基を持たないモノマーを指し、具体的には、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸ジアルキルアミノアルキルエステル、(メタ)アクリルアミド、エチレン、プロピレン、ブタジエン、イソプレン、イソブチレン、N−ジアルキル置換(メタ)アクリルアミド、N−アルキル置換(メタ)アクリルアミド、ビニルピリジン、ビニルアミン、アリルアミン、スチレン、ビニルカルバゾール、ビニルピロリドン、スチレン、スチレン誘導体、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、塩化ビニル、塩化ビニリデン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、メチレンビスアクリルアミド、イソプレン、ブタジエン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
これらの中でも、N−アルキル置換(メタ)アクリルアミド(具体的には、N−イソプロピルアクリルアミド)や、(メタ)アクリルアミド(具体的には、アクリルアミド)等が好ましく用いられる。
ここで、本明細書において、「(メタ)アクリロニトリル」等の記述は、「アクリロニトリル」及び「メタクリロニトリル」等のいずれをも含む表現である。
また、上記第1の方法で用いられる非中和のイオン性モノマーは、分子内に中和されていない状態のイオン解離基を持つモノマーを指し、具体的には、(メタ)アクリル酸やその塩、メタクリル酸−2−(ジメチルアミノ)エチルの四級化物、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸やその塩、アクリロシキプロパンスルホン酸やその塩、マレイン酸やその塩、ポリエチレンイミン塩、スチレンスルホン酸やその塩、ジメチルアミノプロピルアクリルアミドの四級化物等が挙げられる。
これらの中でも、(メタ)アクリル酸やその塩,2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸やその塩が好ましい。
ここで、上記の、非イオン性モノマーと非中和のイオン性モノマーとの使用割合としては、高分子ゲル粒子の体積変化量の観点から、5:95〜95:5の範囲であることが好ましい.10:90〜90:10の範囲であることがより好ましい。
また、モノマー分散液中の全モノマーの含有量としては、溶媒とモノマーとの組み合わせによって適宜決定されるが、具体的には、モノマー分散液中のモノマー濃度が、90〜5質量%であることが好ましく、80〜10質量%であることがより好ましい。
更に、上記第1の方法で用いられる架橋剤としては、特に限定されないが、多数の反応点をもつ多官能のモノマーが好ましく使用できる。具体的には、例えば、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、等のジ(メタ)アクリルアミド誘導体、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリル(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリル酸エステル誘導体、ジビニルベンゼン等のジビニル誘導体、ジアリルフタレート等のジアリル誘導体等を用いることができる。これらの中でも、メチレンビス(メタ)アクリルアミドが好ましい。
また、架橋剤のモノマー分散液中の含有量としては、好ましい体積変化量により適宜決定されるが、具体的には、モノマー分散液の全固形分に対して、0.001〜10質量%であることが好ましく、0.01〜5質量%であることがより好ましい。
この上記第1の方法を用いた特定帯電性高分子ゲル粒子の製造には、具体的な方法として、J. Colloid and Interface Sci., 221,268-272(2000) に記載の重合方法を適用することができる。また、イオン性基の中和には、モノマーのイオン性基と中和反応が生じるものであればいずれのものでも利用可能である。具体的には、アンモニア、ジエチルアミン、トリエチルアミンなどの1、2、3級アミン類や、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が用いられる。
なお、第1の方法では、重合及び架橋を行う分散液中に、モノマーと架橋剤に加え、金属ナノ粒子を共存させておくことで、重合及び架橋により高分子ゲルが形成される過程において、金属ナノ粒子が高分子ゲルの内部に含まれることになる。
第2の製造方法は、金属ナノ粒子、及び、非中和のイオン性基並びに非イオン性基を側鎖に有するポリマーを含むポリマー分散液を調製する工程と、該ポリマー分散液を分散相に分散した後、架橋剤の存在下で、前記ポリマーを架橋して架橋性ポリマーを生成する工程と、該架橋性ポリマー中のイオン性基を中和する工程と、を有する。なお、この方法で用いられるポリマー分散液には、必要に応じて溶媒が用いられてもよい。
上記第2の方法に用いられる金属ナノ粒子は、前記第1の方法で用いられる金属ナノ粒子と同様のものが用いられる。
また、ポリマー分散液中の金属ナノ粒子の含有量としては、高分子ゲル組成物の用途により適宜決定されるが、具体的には、ポリマー分散液の全固形分に対して、2〜70質量%であることが好ましく、5〜50質量%であることがより好ましい。
上記第2の方法に用いられる非中和のイオン性基並びに非イオン性基を側鎖に有するポリマーとしては、非中和のイオン性基を有するモノマーと、非イオン性基を有するモノマーとの共重合体が好ましく用いられる。この共重合体には、前記第1の方法における、非イオン性モノマーと非中和のイオン性基を有するモノマーとの共重合体が用いられる。
また、前記ポリマー中の非中和のイオン性基と非イオン性基との割合(モル比)は、5:95〜95:5の範囲であることが好ましい.10:90〜90:10の範囲であることがより好ましい。
また、ポリマー分散液中の上記ポリマーの含有量としては、溶媒とポリマーとの組み合わせによって適宜決定されるが、具体的には、ポリマー分散液中のポリマー濃度が、90〜5質量%であることが好ましく、80〜10質量%であることがより好ましい。
上記第2の方法に用いられる架橋剤は、前記第1の方法で用いられる架橋剤と同様のものが用いられる。
また、ポリマー分散液中の架橋剤の含有量としては、好ましい体積変化量により適宜決定されるが、具体的には、ポリマー分散液の全固形分に対して、0.001〜10質量%であることが好ましく、0.01〜5質量%であることがより好ましい。
この上記第2の方法を用いた特定帯電性高分子ゲル粒子の製造には、具体的な方法として、J. Colloid and Interface Sci., 221,268-272(2000) に記載の重合方法を適用することができる。また、イオン性基の中和には、ポリマーのイオン性基と中和反応が生じるものであればいずれのものでも利用可能である。具体的には、アンモニア、ジエチルアミン、トリエチルアミンなどの1、2、3級アミン類や、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム
なお、第2の方法では、ポリマーの架橋を行う際に、そのポリマーと金属ナノ粒子を共存させておくことで、高分子ゲルが形成される過程において、金属ナノ粒子が高分子ゲルの内部に含まれることになる。
第3の方法は、金属ナノ粒子とモノマーとを反応させて反応生成物を得る工程と、該反応生成物と架橋剤とを含むモノマー分散液を調製する工程と、該モノマー分散液を分散相に分散した後、重合・架橋して架橋性ポリマーを生成する工程と、を有する。
なお、金属ナノ粒子とモノマーとを反応させて反応生成物を得る工程と、反応生成物と架橋剤とを含むモノマー分散液を調製する工程と、は同時に行われてもよい。
上記第3の方法においては、まず、金属ナノ粒子とモノマーとを反応させて反応生成物を得るが、ここでは、金属ナノ粒子とモノマーとを反応させて、化学的に結合させることが好ましい。
金属ナノ粒子とモノマーとを化学的に結合させる方法としては、金属ナノ粒子と化学的に結合しうる官能基を有するモノマーを用いる方法、金属ナノ粒子とモノマーとをアンカーを介して結合させる方法があり、中でも、金属ナノ粒子とモノマーとをアンカーを介して結合させる方法が好ましい。
ここで、アンカーを介して金属ナノ粒子と結合するモノマーとしては、前記第1の方法で用いられる非イオン性モノマーや非中和のイオン性モノマーを用いることができ、また、これら両方を併用することが好ましい。
また、金属ナノ粒子とモノマーとを化学的に結合させるためのアンカーとしては、2−アミノエタンチオール塩酸塩等が挙げられる。
また、上記第3の方法では、金属ナノ粒子とモノマーとを反応させて得られる反応性生物の他にも、金属ナノ粒子とモノマーとを吸着させたものを用いることができる。例えば、金属ナノ粒子と親和性を有するモノマーを用いることで、金属ナノ粒子とモノマーとを吸着させたものを用いることができる。
この上記第3の方法を用いた特定帯電性高分子ゲル粒子の製造には、具体的な方法として、J. Colloid and Interface Sci., 221,268-272(2000) に記載の重合方法を適用することができる。また、イオン性基の中和が必要な場合には、前記第1の方法と同様に、トリエチルアミンなどのアミン類や、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等を用いて、イオン性基の中和を行うことができる。
第4の製造方法は、金属ナノ粒子とポリマーとを反応させて反応生成物を得る工程と、該反応生成物を含むポリマー分散液を調製する工程と、該ポリマー分散液を分散相に分散した後、架橋剤の存在下で、前記ポリマーを架橋して架橋性ポリマーを生成する工程と、を有する。
上記第4の方法においては、金属ナノ粒子とポリマーとを反応させて反応生成物を得るが、ここでは、金属ナノ粒子とポリマーとを化学的に結合させることが好ましい。
金属ナノ粒子とポリマーとを化学的に結合させる方法としては、金属ナノ粒子と化学的に結合しうる官能基を有するポリマーを用いる方法、金属ナノ粒子とポリマーとをアンカーを介して結合させる方法があり、中でも、金属ナノ粒子とポリマーとをアンカーを介して結合させる方法が好ましい。
ここで、アンカーを介して金属ナノ粒子と結合するポリマーとしては、前記第1の方法における、非イオン性モノマーと非中和のイオン性基を有するモノマーとの共重合体が好ましく用いられる。
また、金属ナノ粒子とモノマーとを化学的に結合させるためのアンカーとしては、2−アミノエタンチオール塩酸塩等が挙げられる。
更に、上記第4の方法では、前記第3の方法のように、金属ナノ粒子とポリマーとを反応させて得られる反応性生物の他にも、金属ナノ粒子とポリマーとを吸着させたものを適用することができる。
この上記第4の方法を用いた特定帯電性高分子ゲル粒子の製造には、具体的な方法として、J. Colloid and Interface Sci., 221,268-272(2000) に記載の重合方法を適用することができる。また、イオン性基の中和が必要な場合には、前記第1の方法と同様に、トリエチルアミンなどのアミン類や、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等を用いて、イオン性基の中和を行うことができる。
上記第3の方法、及び第4の方法によれば、金属ナノ粒子が結合したモノマーやポリマーを用いて高分子ゲルを形成することから、金属ナノ粒子が高分子ゲル内に固定化されることになる。従って、金属ナノ粒子の移動を抑制し、着色性を向上させるためにも、本発明では、第3の方法、及び第4の方法で、特定帯電性高分子ゲルを製造することが好ましい。
以上のようにして得られた帯電性高分子ゲルは、物理的粉砕法等で粒子化する方法、架橋前のポリマーを化学的粉砕法等によって粒子化した後に架橋して帯電性高分子ゲル粒子を得る方法、或いは、乳化重合法、懸濁重合法、分散重合法などの粒子化重合法などの一般的な粒子化方法によって粒子化することができる。また、架橋前のポリマーをノズル口金等によって押し出して繊維化し、これを架橋した後に粉砕する方法、或いは、前記繊維を粉砕して粒子化した後に架橋する方法によって帯電性高分子ゲルを粒子化することも可能である。
本発明における特定帯電性高分子ゲル粒子の形態としては、球体、楕円体、多面体、多孔質体、繊維状、星状、針状、中空状などのものを使用することができる。特に球形が好ましい。
本発明における特定帯電性高分子ゲル粒子の電界の付与による体積変化量は、特に限定されないが、大きいほど好ましく、膨潤時及び収縮時の体積比が5以上、特に10以上のものが好ましい。
また、特定帯電性高分子ゲル粒子の体積変化は、一方的であるものでも可逆的であるものでもよいが、高分子ゲル組成物を調光素子や表示素子などに利用する場合は、可逆的なものであることが好ましい。
また、本発明における特定帯電性高分子ゲル粒子は、膨潤状態での体積平均粒径が、3nm〜2mmの範囲であることが好ましく、3nm〜100μmの範囲であることがより好ましく、特に、3nm〜80μmの範囲であることが好ましい。
膨潤状態での体積平均粒径が3nm未満となると、内部に含まれる金属ナノ粒子の選択性が低下する問題や、製造が困難である問題を生じる場合があり、一方、膨潤状態での体積平均粒径が2mmを超えると、応答速度が遅くなる場合がある。
ここで、特定帯電性高分子ゲル粒子の体積平均粒径は次のようにして求められた値である。レーザ回折/散乱式粒子径分布測定装置(堀場製作所製、LA−300)を用いて、各膨潤液体中で膨潤状態にある帯電性高分子ゲルの体積平均粒径を測定し、得られたメジアン径を体積平均粒径として使用した。
また、特定帯電性高分子ゲル粒子の膨潤状態での体積平均粒度分布(GSD)は、1.40以下、特に1.3以下であることが好ましい。GSDが1.40より大きくなると、粒状感が感じられ見た目が芳しくなくなる。GSDが所望の値になるように、粒子作製後に分級操作を行ってもよい。
ここで、体積平均粒度分布(GSD)は次のようにして求められた値である。すなわち、16%及び84%積算径を測定し、以下の式に代入して求めた。
式:体積平均粒度分布(GSD)=(84%積算径/16%積算径)1/2
[調光用材料]
また、本発明における特定帯電性高分子ゲル粒子は、着色や調光のために、調光用材料を含んでいてもよい。その調光用材料としては、染料、顔料や光散乱材などが挙げられる。また、これらの調光用材料は特定帯電性高分子ゲル粒子に物理的或いは化学的に固定化されることが好ましい。
染料としては、例えば、黒色のニグロシン系染料や赤、緑、青、シアン、マゼンタ、イエローなどのカラー染料であるアゾ染料、アントラキノン系染料、インジゴ系染料、フタロシアニン系染料、カルボニウム染料、キノンイミン染料、メチン染料、キノリン染料、ニトロ染料、ベンゾキノン染料、ナフトキノン染料、ナフタルイミド染料、ベリノン染料などが挙げられ、特に光吸収係数が高いものが好ましい。具体的には、C.I.ダイレクトイエロー−1、8、11、12、24、26、27、28、33、39、44、50、58、85、86、87、88、89、98、157;C.I.アシッドイエロー−1、3、7、11、17、19、23、25、29、38、44、79、127、144、245;C.I.ベイシックイエロー−1、2、11、34;C.I.フードイエロー−4;C.I.リアクティブイエロー−37;C.I.ソルベントイエロー−6、9、17、31、35、100、102、103、105;C.I.ダイレクトレッド−1、2、4、9、11、13、17、20、23、24、28、31、33、37、39、44、46、62、63、75、79、80、81、83、84、89、95、99、113、197、201、218、220、224、225、226、227、228、229、230、231;C.I.アシッドレッド−1、6、8、9、13、14、18、26、27、35、37、42、52、82、85、87、89、92、97、106、111、114、115、118、134、158、186、249、254、289;C.I.ベイシックレッド−1、2、9、12、14、17、18、37;C.I.フードレッド−14;C.I.リアクティブレッド−23、180;C.I.ソルベントレッド−5、16、17、18、19、22、23、143、145、146、149、150、151、157、158;C.I.ダイレクトブルー−1、2、6、15、22、25、41、71、76、78、86、87、90、98、163、165、199、202;C.I.アシッドブルー−1、7、9、22、23、25、29、40、41、43、45、78、80、82、92、93、127、249;C.I.ベイシックブルー−1、3、5、7、9、22、24、25、26、28、29;C.I.フードブルー−2;、C.I.ソルベントブルー22、63、78、83〜86、191、194、195、104;C.I.ダイレクトブラック−2、7、19、22、24、32、38、51、56、63、71、74、75、77、108、154、168、171;C.I.アシッドブラック−1、2、7、24、26、29、31、44、48、50、52、94;C.I.ベイシックブラック−2、8;C.I.フードブラック−1、2;C.I.リアクティブブラック−31;C.I.フードバイオレット−2;C.I.ソルベントバイオレット−31、33、37;C.I.ソルベントグリーン−24、25;C.I.ソルベントブラウン−3、9等が挙げられる。これらの染料は、単独で使用してもよく、さもなければ所望とする色を得るために混合して使用してもよい。
また、染料を帯電性高分子ゲルに固定化するために、不飽和二重結合基などの重合可能な基を有した構造の染料や、前記帯電性高分子ゲルと反応可能ないわゆる反応性染料などが好ましく使用される。
一方、帯電性高分子ゲル中に含有させる染料の好ましい濃度は、3〜50質量%の範囲であり、特に好ましくは5〜30質量%の範囲である。このように染料濃度は少なくとも高分子ゲルの乾燥或いは収縮状態において飽和吸収濃度以上であることが望ましい。ここで、飽和吸収濃度以上とは、特定の光路長のもとにおける染料濃度と光学濃度(或いは光吸収量)の関係が一次直線の関係から大きく乖離するような高い染料濃度の領域を示す。
顔料及び光散乱材の好適な例としては、黒色顔料であるブロンズ粉、チタンブラック、各種カーボンブラック(チャネルブラック、ファーネスブラック等);白色顔料である酸化チタン、シリカなどの金属酸化物;炭酸カルシウムや金属紛などの光散乱材;やカラー顔料であるフタロシアニン系のシアン顔料、ベンジジン系のイエロー顔料、ローダミン系のマゼンタ顔料の他、アントラキノン系、アゾ系、アゾ金属錯体、フタロシアニン系、キナクリドン系、ペリレン系、インジゴ系、イソインドリノン系、キナクリドン系、アリルアミド系などの各種顔料や光散乱材を挙げることができる。
例えば、イエロー系顔料としては、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アンスラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物、アリルアミド化合物に代表される化合物が用いられる。より詳細には、C.I.ピグメントイエロー−12、13、14、15、17、62、74、83、93、94、95、109、110、111、128、129、147、168等が好適に用いられる。
また、マゼンタ系顔料としては、縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アンスラキノン、キナクリドン化合物、レーキ顔料、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、ペリレン化合物が用いられる。より詳細には、C.I.ピグメントレッド−2、3、5、6、7、23、48;2、48;3、48;4、57;1、81;1、144、146、166、169、177、184、185、202、206、220、221、254が特に好ましい。
シアン系顔料としては、銅フタロシアニン化合物及びその誘導体、アンスラキノン化合物、塩基染料レーキ化合物等が利用できる。具体的には、例えば顔料としては、C.I.ピグメントブルー1、7、15、15:1、15:2、15;3、15:4、60、62、66等が特に好適に利用できる。
また、使用する顔料や光散乱材の粒径は、1次粒子の平均粒径で0.001μm〜1μmのものが好ましく、特に0.01μm〜0.5μmのものが好ましい。これは粒径が0.01μm未満であると、顔料や光散乱材が帯電性高分子ゲルから流出してしまう場合があり、また、0.5μmを超えると、発色特性が悪くなる場合があるためである。
前記したように顔料や光散乱材は、特定帯電性高分子ゲル粒子中に含有され、粒子から流出しないことが望まれる。顔料や光散乱材を特定帯電性高分子ゲル粒子から流出させない方法としては、特定帯電性高分子ゲル粒子の架橋密度を最適化して顔料や光散乱材を高分子網目中に物理的に閉じ込める方法、特定帯電性高分子ゲルとの電気的、イオン的、その他物理的な相互作用が高い顔料や光散乱材を用いる方法、表面を化学修飾した顔料や光散乱材を用いる方法等が好ましく挙げられる。例えば、表面を化学修飾した顔料や光散乱材としては、表面にビニル基などの不飽和基や不対電子(ラジカル)などの特定帯電性高分子ゲル粒子と化学結合する基を導入したものや、高分子材料をグラフト結合したものなどが挙げられる。
また、特定帯電性高分子ゲル粒子中に含有される顔料や光散乱材の量は、染料と同様に少なくとも液体を含まない状態の高分子ゲル中において飽和吸収濃度以上(或いは飽和光散乱濃度以上)の濃度であるが好ましい。
特定帯電性高分子ゲル粒子中に含有される顔料や光散乱材の量を飽和吸収濃度以上(或いは飽和光散乱濃度以上)にするためには、顔料や光散乱材の光吸収係数や光散乱係数にも依存するが、一般的には、特定帯電性高分子ゲル粒子中に含有される顔料や光散乱材の量が、3〜95質量%の範囲であることが好ましく、より好ましくは5質量%〜80質量%の範囲である。帯電性高分子ゲル粒子中に含有される顔料や光散乱材の量が3質量%未満であると、飽和吸収濃度以上(或いは飽和光散乱濃度以上)とはならず、特定帯電性高分子ゲル粒子の体積変化にともなう調光特性が得られない場合がある。一方、95質量%を超えると、特定帯電性高分子ゲル粒子の応答速度や体積変化量が低下してしまう場合がある。
このような調光用材料を含む特定帯電性高分子ゲル粒子は、架橋前のポリマーに調光用材料を均一に分散、混合した後に架橋する方法や、重合時に高分子前駆体モノマー組成物に調光用材料を添加して重合する方法によって製造することができる。重合時において顔料や光散乱材を添加する場合には前記したように重合性基や不対電子(ラジカル)をもつ顔料や光散乱材を使用し、特定帯電性高分子ゲル粒子に化学結合することも好ましく実施される。
また、前記調光用材料は特定帯電性高分子ゲル粒子中に極力均一に分散されていることが好ましい。特に、高分子への分散に際して、機械的混練法、攪拌法や或いは分散剤などを利用して均一に分散させることが望ましい。
これらの調光用材料として、分子内に酸基、水酸基、アミノ基、チオール基、ハロゲン、ニトロ基、カルボニル基などの極性基を有し、高分子ゲル内において調光用材料濃度が高い場合に凝集体を形成しやすい特性のものも好ましく使用することができる。このような調光用材料の例としては、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、スルホン酸基を有するフタロシアニン系顔料、アゾ系顔料等を挙げることができる。更に、高分子ゲルに共有結合するための付加反応性基や重合性基を有する調光用材料や、特定帯電性高分子ゲル粒子とイオン結合などの相互作用する基を有する調光用材料などの各種の化学修飾した調光用材料を用いることも好ましい。
[液体]
本発明の高分子ゲル組成物に使用される液体としては、水或いは有機溶媒を使用することができる。具体的には、水、アルコール、ケトン、エステル、アミド、カーボネート、ニトリル、エーテル等の極性基を有する芳香族系有機溶剤、脂肪族系有機溶剤やそれらの混合物が使用できる。なお、液体には、酸、アルカリ、塩、分散安定剤、酸化防止や紫外線吸収などを目的とした安定剤、抗菌剤、防腐剤などを添加することができる。更に、種々の顔料、白色顔料、染料などの色素を添加することもできる。
液体としては、導電性液体、絶縁性液体のいずれも使用することができるが、電極反応による気泡の発生を抑制する観点からはやはり絶縁性液体であることが好ましい。この絶縁性液体の体積抵抗率としては、103Ωcm以上であることが好ましく、その上限は1012以下である。体積抵抗率としてより好ましくは107〜109Ωcmである。このような体積抵抗値とすることで、より効果的に、電極反応に起因する液体の電気分解による気泡の発生が抑制され、通電毎に調光特性が損なわれることがなく、優れた繰り返し安定性を付与することができる。このような観点からも、液体として体積抵抗値が103Ωcm以上である絶縁性液体を用いることが特に好適である。
なお、液体には、酸、アルカリ、塩、分散安定剤、酸化防止や紫外線吸収などを目的とした安定剤、抗菌剤、防腐剤などを添加することができるが、上記で示した特定の体積抵抗値の範囲となるように添加することが好ましい。
液体として具体的には、ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、デカン、ヘキサデカン、ケロセン、パラフィン、イソパラフィン、シリコーンオイル、ジクロロエチレン、トリクロロエチレン、パークロロエチレン、高純度石油、エチレングリコール、アルコール類、エーテル類、エステル類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、2−ピロリドン、N−メチルホルムアミド、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ベンジン、ジイソプロピルナフタレン、オリーブ油、イソプロパノール、トリクロロトリフルオロエタン、テトラクロロエタン、ジブロモテトラフルオロエタンなどや、それらの混合物が好適に使用できる。また、前記に示した体積抵抗率の範囲となるよう不純物を除去することで、水(所謂、純水)も好適に使用することができる。
ここで、特定帯電性高分子ゲル粒子と液体との混合比は、質量比で1/2000〜1/1(高分子ゲル/液体)の範囲とすることが好ましく、1/1000〜1/2(の範囲とすることがより好ましい。前記帯電性高分子ゲルと液体との混合比が1/2000を超えると、組成物の機械的強度などの物性が低下する場合があり、1/1未満になると、刺激応答による体積変化の応答速度が低下する場合がある
また、特定帯電性高分子ゲル粒子と液体との屈折率の差が0.01以下であることが好ましい。この場合、粒子界面での光散乱性が低減し、色純度を向上できることから好ましい。このような屈折差が低いもの同士を組み合わせて用いることで、着色された帯電性高分子ゲル粒子を用いた場合に、発色時においても入射される光が散乱されず、透過することから、透過型の光学素子に好ましく利用することができる。
なお、光学組成物としての帯電性高分子ゲル及び液体を、高分子(所謂、マトリックス樹脂)中に分散したり、或いは高分子膜でマイクロカプセル化したりして、固体化することで利用形態を拡大することもできる。これらの技術は特開平11−228850号公報と同様にして実施できる。マイクロカプセル化は、高分子材料の不溶化を利用したいわゆるコアセルベーション法、分散粒子の界面で重合を行いカプセル膜を形成するいわゆる界面重合マイクロカプセル化法、in situマイクロカプセル化重合法、液中乾燥法、液中硬化被覆マイクロカプセル化法、気体中に液滴を噴霧することでその表面にカプセル膜を形成するスプレードライングマイクロカプセル化法などを用いて実施することができる。これら技術の詳細は「近藤 保著、新版マイクロカプセル その製法・性質・応用 三共出版」などの成書に記述されている。カプセル化によって他の樹脂中に分散する等によってその用途範囲を拡大することが可能となる。
<光学素子>
本発明の光学素子は、少なくとも一方が光透過性であり、かつ、対向配置された一対の基板と、該一対の基板間に保持された高分子ゲル組成物と、電界付与手段と、備える光学素子であって、前記高分子ゲル組成物が、液体と、電界に応じて該液体との相互作用によって体積変化すると共に、金属ナノ粒子を含む高分子ゲル粒子と、を備える高分子ゲル組成物と、を含むことを特徴とする。
つまり、本発明の光学素子は、前述の本発明の高分子ゲル組成物を用いたものである。
本発明の光学素子では、電界付与手段により電圧が印加されると、特定帯電性高分子ゲルが電界に応じて液体との相互作用によって体積変化(膨潤・収縮)する。この体積変化(膨潤・収縮)により、光学素子の調光(画像表示)が行われる。また、本発明の光学素子は、耐光性及び応答速度に優れた本発明の高分子ゲル組成物を用いることから、耐光性に優れ、かつ、調光の応答速度にも優れるものとなる。
本発明の光学素子には、電界付与手段として一対の電極を備えることが好ましいが、これら電極をパターン化、セグメント化させて任意の部位を調光させることも好ましく実施される。これらのパターンに対応して、所望の特性を有する特定帯電性高分子ゲル粒子を備える高分子ゲル組成物を配置することも好ましく実施される。
また、特定帯電性高分子ゲル粒子は、基板上に固定化することが好ましい。なお、一対の基板に接して、電界付与手段である一対の電極が備えられている場合には、その電極上に、特定帯電性高分子ゲル粒子が固定化されていてもよい。なお、その固定化は、電極が複数ある場合にはすべての電極上に施されていても構わない。
このような特定帯電性高分子ゲル粒子の基板(電極)上への固定化は、種々の二官能性化合物や接着剤を利用することや、或いは物理的な手段で行うことができる。具体的には、例えば、反応性シランカップリング剤により基板(電極)を予め処理することで官能基を導入し、これと特定帯電性高分子ゲル粒子の官能基とを反応させることにより共有結合させることが可能である。その他にも、種々の多官能性化合物や接着剤により固定する方法や基板(電極)の表面を立体的に加工して、特定帯電性高分子ゲル粒子を物理的に固定化することも可能である。
なお、特定帯電性高分子ゲル粒子の基板(電極)上への固定化においては、粒子を密着させすぎると、応答特性が低下する場合があるため、空間を空けるために基板(電極)等の表面を立体的に加工し、その凸部に結合させる手段や長鎖化合物を介することで、帯電性高分子ゲルを結合させる手段も好ましく施される。
また、本発明の光学素子において、特定帯電性高分子ゲル粒子は、基板(電極)1mm2当たり20,000個以上存在することが好ましく、100,000個以上存在することがより好ましく、1,000,000個以上存在することが更に好ましい。
更に、本発明の光学素子においては、特定帯電性高分子ゲル粒子が単層状態で配置されていることが好ましい。つまり、一対の基板の間に、特定帯電性高分子ゲル粒子が互いに重なる状態を形成せず、配置されることが好ましい。具体的には、後述する、図1及び図2に示されるように、特定帯電性高分子ゲル粒子が配置されている態様であることが好ましい。
なお、本発明において、基板上の特定帯電性高分子ゲル粒子の存在数や配置状態は、日本電子(株)製原子間力顕微鏡JSPM−4500Aにより観察することで確認することができる。
本発明の光学素子において、高分子ゲル組成物の配置(封入)位置、即ち、調光領域は密閉された構成であることが好ましい。調光領域が密閉されてなることで、調光領域が外気と触れなくなり、劣化を防止することができる。このような構成は、例えば、電極間に挟持した調光領域を樹脂封止させる、セル状にした電極間に調光層を配置する等して行うことができる。
本発明の光学素子には、様々な層を形成してもかまわない。例えば、光学素子の保護を目的とした保護層、防汚染層、紫外線吸収層、帯電防止層、光反射層、カラーフィルター等の着色層等が挙げられる。
以下、図面を参照しつつ本発明の光学素子を詳細に説明する。なお、実質的に同一の機能を有する部材には、全図面を通して同じ符合を付与し、重複する説明は省略する場合がある。
図1は、本発明の第1実施形態の光学素子を示す概略構成図であり、(a)は発色状態を示し、(b)は消色状態を示す。
図1に示すように、本実施形態に係る光学素子は、電極基板として透明な表示基板10と背面基板11とがスペーサ12を介して対向して配置されており、その内部空間に、特定帯電性高分子ゲル粒子2と液体3とからなる高分子ゲル組成物1が封入されている。また、背面基板11上には、特定帯電性高分子ゲル粒子2が略一層(単層状態)に固定されている。
表示基板10は、透明基板10a、透明電極10bが積層されて構成されている。透明電極10bは電圧印加手段13と接続されている。
背面基板11は、基板11a、電極11bが積層されて構成されている。電極11bは接地されている。
そして、図1(a)は、表示基板10の透明電極10bに一例として電界付与手段13により直流電圧10Vを印加した場合を示している。この場合、特定帯電性高分子ゲル粒子2は膨潤し、素子としては着色状態になる。
一方、図1(b)は、表示基板10の透明電極10bに一例として電界付与手段13により直流電圧10Vを印加した場合が示されている。この場合、特定帯電性高分子ゲル粒子2は収縮し、素子としては消色状態になる。
図2は、本発明の第2実施形態の光学素子を示す概略構成図であり、(a)は発色状態を示し、(b)は消色状態を示す。
図2に示すように、本実施形態に係る光学素子は、表示基板10、背面基板11、及びスペーサ12とからなる空間内に、特定帯電性高分子ゲル粒子2及び液体3からなる高分子ゲル組成物1が包含された保持部材14が配置されている。この保持部材14は、分散された帯電性高分子ゲル粒子2及び液体3を包含して保持する機能を有している。
これ以外は、図1に示す第1実施形態に係る光学素子と同様なので説明を省略する。
以下、光学素子の各部材(材料)について詳細に説明する。なお、以下、符号を省略して説明する。
(電極基板)
電極基板としての表示基板及び背面基板は、通常、電極を基板上に形成することによって作製される。
基板としては、ポリエステル、ポリイミド、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリアミド、ナイロン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリカーボネート、ポリエーテルスルフォン、シリコーン樹脂、ポリアセタール樹脂、フッ素樹脂、セルロース誘導体、ポリオレフィンなどの高分子のフイルムや板状基板、ガラス基板、金属基板、セラミック基板等の無機基板などが好ましく用いられる。
なお、本発明の表示素子は、少なくとも一方の基板が光透過性を有することが必要である。つまり、一対の基板のうち、表示基板に相当する基板が透明性を有する必要がある。また、本発明の表示素子が透過型である場合には、一対の基板の両方が透明である必要がある。ここで、基板の透明性としては、例えば、光透過率50%以上の光透過性を有することが好ましい。
ここで、光透過率は、次のようにして測定される値である。分光光度計(日立製作所製:U−4000)を用いて透過率を測定し、400〜700nmにおける透過率の平均値を用いた。なお、以下、同様である。
表示基板及び背面基板の厚みや大きさは所望の光学素子(表示素子)によって様々なものが利用でき、特に限定はないが、厚みの好ましい範囲は10μm〜20nmである。
また、表示基板及び背面基板を共に透明電極とした場合には透過型の表示素子としても利用することができる。
上述のように、本発明の光学素子として、図1及び図2には一対の基板間に高分子ゲル組成物を封入された構成を一例として示したが、図1及び図2のような構成が複数積層されたものでも構わない。色の異なる金属ナノ粒子や調光用材料を含有した特定帯電性高分子ゲル粒子を含む高分子ゲル組成物を封入した層を積層することにより、積層型カラー表示素子に利用することが可能である。
また、光学素子(表示素子)の用途に応じて、表示基板及び背面基板には、配線、薄膜トランジスタ、金属・絶縁層・金属構造を持つダイオード、バリアブルコンデンサ、強誘電体等の駆動用スイッチング素子を形成しても構わない。一般に、表示用途として画像表示する場合は、パターン化された電極を持つ構成において、所望のパターンに通電し、パターン上の帯電性高分子ゲルを体積変化させることにより実現できる。更にカラー表示を行う場合も、複数の異なる色の帯電性高分子ゲルを各パターン上に固定化し、種々のパターンに選択的に通電することによって実現可能である。
一方、電極としては、酸化錫−酸化インジウム(ITO)、酸化錫、酸化亜鉛などに代表される金属酸化物層が形成されたものが好ましく用いられる。少なくとも50%以上の光透過率を有する透明電極が好ましく用いられる。また、反射型の光学素子用途の場合、目視方向から見て遠い方の電極基板上に設けられる電極としては、酸化錫−酸化インジウム(ITO)、酸化錫、酸化亜鉛などに代表される金属酸化物層の他に、導電性高分子や、カーボン、銅、アルミニウム、金、銀、ニッケル、プラチナなどに代表される金属層を用いることができる。
本発明の光学素子における一対の基板間の距離は、50μm以下であることが好ましく、25μm以下であることがより好ましい。
また、一対の基板間の距離が、特定帯電性高分子ゲルの膨潤状態での体積平均粒径の1.1〜20倍であることが好ましく、1.1〜10倍であることがより好ましい。
(スペーサ)
スペーサは絶縁性の材料で形成され、具体的には、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、電子線硬化樹脂、光硬化樹脂、ゴム等で形成することができる。スペーサも、例えば光透過率50%以上の光透過性を有することが好ましい。また、スペーサは少なくとも一方の電極基板に接着されていることが好ましい。
(保持部材)
本発明の調光素子における保持部材は、特定帯電性高分子ゲル粒子及び液体からなる高分子ゲル組成物を保持(保形)する機能を有する。この保持部材は、特に、前記液体の流動性を小さくする機能を有する材料をいう。保持部材を用いることによって、調光素子内部で特定帯電性高分子ゲル粒子が流動せずに安定に保持され表示性能を安定化させると共に、表示素子が破損した場合でも内部の液体が飛散せず安全性を高めることができる。
本発明における保持部材としては、各種の硬化性樹脂が用いられる。硬化性樹脂としては、紫外線硬化性樹脂、放射線硬化性樹脂、などを好ましく使用することができる。硬化性樹脂の使用は、低粘度の液体状態で基板間に供給できるため、基材間の厚みが薄い場合でも容易に供給することができるので好ましい。
本発明の光学素子は、光透過率が10%から90%まで変化する際の応答時間(以下、応答速度と称する。)が0.5sec以下であることが好ましく、0.1sec以下であることがより好ましい。
この応答時間は、オーシャンオプティクス社製ファイバマルチチャンネル分光器により測定することができる。
以下、本発明を、実施例を挙げて更に具体的に説明する。ただし、これら各実施例は、本発明を制限するものではない。
(実施例1)
―特定帯電性高分子ゲル粒子Aの作製―
下記のようにして、特定帯電性高分子ゲル粒子Aを作製した。
モノマーとしての、NIPAM4.5g、アクリル酸0.5g、架橋剤としてのメチレンビスアクリルアミド0.05g、更に、重合開始剤としての過硫酸カリウム0.35gを蒸留水26mlに溶解し、次いで、金ナノ粒子10質量%水分散液(ファインスフェア ゴールドW011 日本ペイント製)3gに、2−アミノエタンチオール塩酸塩0.18g添加したものを加え、攪拌した。ここへ、トリエチルアミン0.55gを添加し、モノマー分散液を調製した。これをフラスコ中に入れ、脱気、窒素置換した。分散媒として、シクロヘキサン200mlに高分子界面活性剤としてハイパーマーB246(ICI製、ポリヒドロキシステアリン酸とポリエチレンオキシドのブロック共重合体)0.92gを溶解したものを調製した。ここへ、モノマー分散液を投入し、これを窒素パージした容器内に加え、ホモジナイザーで高速攪拌して分散した。分散後、70℃に加熱して5時間重合反応を行った。
重合後、大量の水溶液中に投入し、これを遠心沈降する操作を繰り返し洗浄した。その後、大量のメタノールを用いて脱水し、乾燥させた。膨潤溶媒であるプロピレンカーボネート(PC)中で膨潤させたところ、体積平均粒径200nm、体積粒度分布(GSD)1.30の赤色の特定帯電性高分子ゲル粒子Aを得た。
−光学素子Aの作製−
大きさ50mm×50mmの酸化錫付き電極基板上に、上記の方法で得られた特定帯電性高分子ゲル粒子Aを以下の方法で固定化した。
すなわち、電極上に特定帯電性高分子ゲル粒子Aを固定するための結合剤層を、シランカップリング剤(3−Glycidoxypropyltrimethoxysilane)溶液を電極表面に塗布加熱反応させた後に洗浄することで形成した。次に、特定帯電性高分子ゲル粒子AとPCからなる溶液を調製し、これと電極面と接触させて加熱することによってガラス面の反応性シランカップリング部と特定帯電性高分子ゲル粒子Aとを化学反応させて固定化した。更に、大きさ50mm×50mmの酸化錫付き電極基板を対向基板とし、この表面に2μmの樹脂スペーサ(すなわち、基板間距離が2μm)を電極面に内向させて配置し、一部の溶液注入開口部を除き外周部を熱接着剤で封止した。セル内部に特定帯電性高分子ゲル粒子Aの膨潤液体(液体)としてPCのみを注入後、開口部を封止し調光素子A(調光セル)を作製した。得られた調光素子Aについて原子間顕微鏡で観察したところ、電極基板に対し特定帯電性高分子ゲル粒子Aが単層状態で配置されており、また、電極基板1mm2当たりの特定帯電性高分子ゲル粒子Aの存在数は400万個であることが確認された。
―評価―
得られた光学素子Aは、対向させた電極間に5Vの直流電圧を印加することで、特定帯電性高分子ゲル粒子Aの体積が変化することが分かった。背面基板がカソードとなるときには特定帯電性高分子ゲル粒子Aは膨潤し、セルが赤色に着色された。逆に、背面基板がアノードとなるときには特定帯電性高分子ゲル粒子Aは収縮し、セルは透明に変化した。これにより、電界に応じて光学素子Aは、着色、消色することがわかった。反射率から求めたコントラスト比は30以上あり、視認性にも優れていた。更に、その応答速度を測定したところ、150msだった。
(実施例2)
―特定帯電性高分子ゲル粒子Bの作製―
下記のようにして、特定帯電性高分子ゲル粒子Bを作製した。
モノマーとしての、AM−230G(メトキシポリエチレングリコール#1000アクリレート、新中村化学工業(株)製)4.5g、アクリル酸0.5g、を蒸留水26mlに溶解し、窒素置換した。重合開始剤として過硫酸カリウム0.35gを添加後、70℃に加熱して5時間重合反応を行った。ここへ、金ナノ粒子10質量%水分散液(ファインスフェア ゴールドW011 日本ペイント製)3gに2−アミノエタンチオール塩酸塩0.18g添加したものを加え攪拌した。ここへ、架橋剤として、エチレングリコールグリシジルエーテル0.17g(ナガセ化成工業(株)製)、トリエチルアミン0.55gを添加し、ポリマー分散液を調製した。分散媒として、シクロヘキサン200mlに高分子界面活性剤としてハイパーマーB246(ICI製、ポリヒドロキシステアリン酸とポリエチレンオキシドのブロック共重合体)0.92gを溶解したものを調製した。ここへ、ポリマー分散液を投入し、これを容器内に加え、ホモジナイザーで高速攪拌して分散した。分散後、60℃に加熱して3時間架橋反応を行った。
反応後、大量の水で洗浄、遠心沈降を繰り返し洗浄した。その後、大量のメタノールを用いて脱水し、乾燥させた。膨潤溶媒であるγ−ブチロラクトン(BL)中で膨潤させ、体積平均粒径100nm、体積粒度分布(GSD)1.30の特定帯電性高分子ゲル粒子Bを得た。
−光学素子Bの作製−
実施例1の光学素子Aにおいて、セルの内部に、特定帯電性高分子ゲル粒子Aの代わりに特定帯電性高分子ゲル粒子Bを封入し、かつ、膨潤溶媒としてPCの代わりにBLを封入し、更に、樹脂スペーサを1μm(すなわち、基板間距離が1μm)に変更した他は、実施例1と同様の方法で調光素子B(調光セル)を作製した。得られた調光素子Bについて原子間顕微鏡で観察したところ、電極基板に対し特定帯電性高分子ゲル粒子Bが単層状態で配置されており、また、電極基板1mm2当たりの特定帯電性高分子ゲル粒子Bの存在数は1000万個であることが確認された。
―評価―
得られた光学素子Bは、対向させた電極間に5Vの直流電圧を印加することで、特定帯電性高分子ゲル粒子Bの体積が変化することが分かった。背面基板がカソードとなるときには特定帯電性高分子ゲル粒子Bは膨潤し、セルが赤色に着色された。逆に、背面基板がアノードとなるときには特定帯電性高分子ゲル粒子Bは収縮し、セルは透明に変化した。これにより、電界に応じて光学素子Bは、着色、消色することがわかった。反射率から求めたコントラスト比は30以上あり、視認性にも優れていた。更に、その応答速度を測定したところ、100msだった。
(実施例3)
―特定帯電性高分子ゲル粒子Cの作製―
下記のようにして、特定帯電性高分子ゲル粒子Cを作製した。
モノマーとしての、NIPAM4.5g、アクリル酸0.5g、架橋剤としてのメチレンビスアクリルアミド0.05g、更に、重合開始剤としての過硫酸カリウム0.35gを蒸留水20mlに溶解し、次いで、金ナノ粒子10質量%水分散液(ファインスフェア ゴールドW011 日本ペイント製)20gを加え攪拌しモノマー分散液を調製した。これをフラスコ中に入れ、脱気、窒素置換した。分散媒として、シクロヘキサン200mlに高分子界面活性剤としてハイパーマーB246(ICI製、ポリヒドロキシステアリン酸とポリエチレンオキシドのブロック共重合体)0.92gを溶解したものを調製した。ここへ、モノマー分散液を投入し、これを窒素パージした容器内に加え、ホモジナイザイーで高速攪拌して乳化した。乳化後、70℃に加熱して5時間重合反応を行った。
重合後、大量の10%トリエチルアミン水溶液中に投入し、これを遠心沈降する操作を繰り返すことで、アクリル酸部の中和と粒子の精製を同時に行なった。その後、大量のメタノールを用いて脱水し、乾燥させた。膨潤溶媒であるプロピレンカーボネート(PC)中で膨潤させ、体積平均粒径200nm、体積粒度分布(GSD)1.30の赤色の特定帯電性高分子ゲル粒子Cを得た。
−光学素子Cの作製−
実施例1の光学素子Aにおいて、セルの内部に特定帯電性高分子ゲル粒子Aの代わりに特定帯電性高分子ゲル粒子Cを封入した他は、実施例1と同様の方法で調光素子C(調光セル)を作製した。得られた調光素子Cについて原子間顕微鏡で観察したところ、電極基板に対し特定帯電性高分子ゲル粒子Cが単層状態で配置されており、また、電極基板1mm2当たりの特定帯電性高分子ゲル粒子Cの存在数は400万個であることが確認された。
―評価―
得られた光学素子Cは、対向させた電極間に5Vの直流電圧を印加することで、特定帯電性高分子ゲル粒子Cの体積が変化することが分かった。背面基板がカソードとなるときには特定帯電性高分子ゲル粒子Cは膨潤し、セルが赤色に着色された。逆に、背面基板がアノードとなるときには特定帯電性高分子ゲル粒子Cは収縮し、セルは透明に変化した。これにより、電界に応じて光学素子Cは、着色、消色することがわかった。反射率から求めたコントラスト比は30以上あり、視認性にも優れていた。更に、その応答速度を測定したところ、150msだった。
(実施例4)
―特定帯電性高分子ゲル粒子Dの作製―
下記のようにして、特定帯電性高分子ゲル粒子Dを作製した。
モノマーとしての、AM−230G(メトキシポリエチレングリコール#1000アクリレート、新中村化学工業(株)製)4.5g、アクリル酸0.5g、を蒸留水20mlに溶解し、窒素置換した。そこへ、重合開始剤として過硫酸カリウム0.35gを添加後、70℃に加熱して5時間重合反応を行った。ここへ、架橋剤として、エチレングリコールグリシジルエーテル0.17g(ナガセ化成工業(株)製)、金ナノ粒子10質量%水分散液(ファインスフェア ゴールドW011 日本ペイント製)20gを加え攪拌し、ポリマー分散液を調製した。分散媒として、シクロヘキサン200mlに高分子界面活性剤としてハイパーマーB246(ICI製、ポリヒドロキシステアリン酸とポリエチレンオキシドのブロック共重合体)0.92gを溶解したものを調製した。ここへ、ポリマー分散液を投入し、これを容器内に加え、ホモジナイザイーで高速攪拌して乳化した。乳化後、60℃に加熱して3時間架橋反応を行った。
反応後、トリメチルアミンを用いてアクリル酸部の中和と粒子の精製を同時に行なった。その後、大量のメタノールを用いて脱水し、乾燥させた。膨潤溶媒であるγ−ブチロラクトン(BL)中で膨潤させ、体積平均粒径100nm、体積粒度分布(GSD)1.30の特定帯電性高分子ゲル粒子Dを得た。
−光学素子Dの作製−
実施例1の光学素子Dにおいて、セルの内部に、特定帯電性高分子ゲル粒子Aの代わりに特定帯電性高分子ゲル粒子Dを封入し、かつ、膨潤溶媒としてPCの代わりにBLを封入し、更に、樹脂スペーサを1μm(すなわち、基板間距離が1μm)に変更した他は、実施例1と同様の方法で調光素子D(調光セル)を作製した。得られた調光素子Dについて原子間顕微鏡で観察したところ、電極基板に対し特定帯電性高分子ゲル粒子Dが単層状態で配置されており、また、電極基板1mm2当たりの特定帯電性高分子ゲル粒子Dの存在数は1000万個であることが確認された。
―評価―
得られた光学素子Dは、対向させた電極間に5Vの直流電圧を印加することで、特定帯電性高分子ゲル粒子Dの体積が変化することが分かった。背面基板がカソードとなるときには特定帯電性高分子ゲル粒子Dは膨潤し、セルが赤色に着色された。逆に、背面基板がアノードとなるときには特定帯電性高分子ゲル粒子Dは収縮し、セルは透明に変化した。これにより、電界に応じて光学素子Dは、着色、消色することがわかった。反射率から求めたコントラスト比は30以上あり、視認性にも優れていた。更に、その応答速度を測定したところ、100msだった。
本発明の第1実施形態の光学素子を示す概略構成図であり、(a)は発色状態を示し、(b)は消色状態を示す。 本発明の第2実施形態の光学素子を示す概略構成図であり、(a)は発色状態を示し、(b)は消色状態を示す。
符号の説明
1 高分子ゲル組成物
2 特定帯電性高分子ゲル粒子
3 液体
10 表示基板
10a 透明基板
10b 透明電極
11 背面基板
11a 基板
11b 電極
12 スペーサ
13 電界付与手段
14 保持部材

Claims (20)

  1. 液体と、電界に応じて該液体との相互作用によって体積変化すると共に、金属ナノ粒子を含む高分子ゲル粒子と、を備えることを特徴とする高分子ゲル組成物。
  2. 前記高分子ゲル粒子の膨潤状態での体積平均粒径が3nm〜2mmの範囲であることを特徴とする請求項1に記載の高分子ゲル組成物。
  3. 前記高分子ゲル粒子の膨潤状態での体積平均粒径が3nm〜100μmの範囲であることを特徴とする請求項2に記載の高分子ゲル組成物。
  4. 前記液体が絶縁性液体であることを特徴とする請求項1に記載の高分子ゲル組成物。
  5. 前記高分子ゲル粒子の膨潤状態での体積粒度分布(GSD)が1.40以下でることを特徴とする請求項1に記載の高分子ゲル組成物。
  6. 金属ナノ粒子、非イオン性モノマー、非中和のイオン性モノマー、及び架橋剤を含むモノマー分散液を調製する工程と、
    該モノマー分散液を分散相に分散した後、重合・架橋して架橋性ポリマーを生成する工程と、
    該架橋性ポリマー中のイオン性モノマーに由来するイオン性基を中和する工程と、
    を有することを特徴とする高分子ゲル粒子の製造方法。
  7. 金属ナノ粒子、及び、非中和のイオン性基並びに非イオン性基を側鎖に有するポリマーを含むポリマー分散液を調製する工程と、
    該ポリマー分散液を分散相に分散した後、架橋剤の存在下で、前記ポリマーを架橋して架橋性ポリマーを生成する工程と、
    該架橋性ポリマー中のイオン性基を中和する工程と、
    を有することを特徴とする高分子ゲル粒子の製造方法。
  8. 金属ナノ粒子とモノマーとを反応させて反応生成物を得る工程と、
    該反応生成物と架橋剤とを含むモノマー分散液を調製する工程と、
    該モノマー分散液を分散相に分散した後、重合・架橋して架橋性ポリマーを生成する工程と、
    を有することを特徴とする高分子ゲル粒子の製造方法。
  9. 金属ナノ粒子とポリマーとを反応させて反応生成物を得る工程と、
    該反応生成物を含むポリマー分散液を調製する工程と、
    該ポリマー分散液を分散相に分散した後、架橋剤の存在下で、前記ポリマーを架橋して架橋性ポリマーを生成する工程と、
    を有することを特徴とする高分子ゲル粒子の製造方法。
  10. 少なくとも一方が光透過性であり、かつ、対向配置された一対の基板と、該一対の基板間に保持された高分子ゲル組成物と、電界付与手段と、備える光学素子であって、
    前記高分子ゲル組成物が、液体と、電界に応じて該液体との相互作用によって体積変化すると共に、金属ナノ粒子を含む高分子ゲル粒子と、を備える高分子ゲル組成物と、を含むことを特徴とする光学素子。
  11. 前記高分子ゲル粒子が、前記基板1mm2当たり20000個以上存在することを特徴とする請求項10に記載の光学素子。
  12. 前記高分子ゲル粒子の膨潤状態での体積平均粒径が3nm〜2mmの範囲であることを特徴とする請求項10に記載の光学素子。
  13. 前記高分子ゲル粒子の膨潤状態での体積平均粒径が3nm〜100μmの範囲であることを特徴とする請求項12に記載の光学素子。
  14. 前記液体が絶縁性液体であることを特徴とする請求項10に記載の光学素子。
  15. 前記高分子ゲル粒子の膨潤状態での体積粒度分布(GSD)が1.40以下でることを特徴とする請求項10に記載の光学素子。
  16. 前記一対の基板間の距離が50μm以下であることを特徴とする請求項10に記載の光学素子。
  17. 前記一対の基板間の距離が、前記高分子ゲル粒子の膨潤状態での体積平均粒径の1.1〜20倍であることを特徴とする請求項10に記載の光学素子。
  18. 光透過率が10%から90%まで変化する際の応答時間が0.5sec以下であることを特徴とする請求項10に記載の光学素子。
  19. 前記高分子ゲル粒子が前記基板上に単層状態で配置されていることを特徴とする請求項10に記載の光学素子。
  20. 前記電界付与手段による駆動電圧が10V以下であることを特徴とする請求項10に記載の光学素子。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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JP2008038180A (ja) * 2006-08-03 2008-02-21 Dainippon Ink & Chem Inc 金属ナノ粒子分散体、およびその製造方法
JP2012512241A (ja) * 2008-12-15 2012-05-31 カウンシル オブ サイエンティフィック アンド インダストリアル リサーチ 制御可能な空隙寸法を備えた自立型ナノ粒子網状組織/スキャフォルド
JP2018072470A (ja) * 2016-10-26 2018-05-10 綜研化学株式会社 構造体

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