JP4862299B2 - 多色表示用光学組成物、並びに、光学素子及びその表示方法 - Google Patents
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Description
本発明の多色表示用光学組成物は、
電界に応じて体積変化が生じる膨張・収縮体と、
前記膨張・収縮体中に配される周期構造体と、
を備えたことを特徴としている。
前記周期構造体が配された前記膨張・収縮体に電界を印加し、当該膨張・収縮体の体積を変化させ、前記周期構造体の光の反射波長を変化させ、前記周期構造体の構造色を変える、ことを特徴としている。
周期構造体は、光の波長程度の大きさで屈折率の異なる2つ以上の領域がサブマイクロスケール程度で周期的に並べられた周期構造を持つものであり、ある条件下において、当該周期構造によって可視光が干渉され、周期構造色特有の色を呈するものが利用できる。この周期構造体の膨張・収縮体の体積変化により、周期構造体における屈折率周期構造の繰返し周期を変化させることが可能である。この変化に伴い、屈折率の周期構造の間隔が変化するため反射される光の波長が連続的に変化し、様々な波長の可視光を反射するように制御できる。
膨潤・収縮体は、電界に応じて体積変化することが必要で、刺激応答性高分子ゲルがその体表的なものとして好適に挙げられる。しかし、これに限られず、例えば、種々のエラストマーが使用可能である。エラストマーとしては具体的には天然ゴム、ポリブタジエンやポリイソプレンやそれらを主成分とした共重合体などのいわゆる合成ゴム、オレフィンゴム、シリコーンゴム、等が例示される。
イオン性高分子ゲルの具体例としては、ポリ(メタ)アクリル酸の架橋物やその塩;(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸アルキルエステル等との共重合体の架橋物やその塩;ポリマレイン酸の架橋物やその塩;マレイン酸と(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸アルキルエステル等との共重合体の架橋物やその塩;ポリビニルスルホン酸の架橋物やビニルスルホン酸と(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸アルキルエステル等との共重合体の架橋物;ポリビニルベンゼンスルホン酸の架橋物やその塩;ビニルベンゼンスルホン酸と(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸アルキルエステル等との共重合体の架橋物やその塩;ポリアクリルアミドアルキルスルホン酸の架橋物やその塩;アクリルアミドアルキルスルホン酸と(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸アルキルエステル等との共重合体の架橋物やその塩;ポリジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドの架橋物やその塩酸塩;ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドと(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸アルキルエステル等との共重合体の架橋物やその4級化物や塩;ポリジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドとポリビニルアルコールとの複合体の架橋物やその4級化物や塩;ポリビニルアルコールとポリ(メタ)アクリル酸との複合体の架橋物やその塩;カルボキシアルキルセルロース塩の架橋物;ポリ(メタ)アクリロニトリルの架橋物の部分加水分解物やその塩などが挙げられる。
帯電剤を含有させたイオン性高分子ゲルとしては、前記〈1〉において、イオン性高分子ゲルの具体例として記載したものと同様なイオン性高分子ゲルが挙げられる。一方、前記イオン性高分子ゲル中に含有させる帯電剤としては、各種両親媒性(高)分子、ニグロシン系化合物、アルコキシ化アミン類、第四級アンモニウム塩、アルキルアミド、リン及びタングステンの単体及び化合物、モリブデンキレート顔料、シリカ、ホウ素類、ハロゲン化合物、モノアゾ染料の金属錯塩、サリチル酸、アルキルサリチル酸、ジアルキルサリチル酸、ナフトエ酸の金属錯塩、塩素化ポリオレフィン、塩素化ポリエステル、酸基過剰のポリエステル、ポリスチレン微粒子、ポリオレフィン微粒子、銅フタロシアニンのスルホニルアミン、オイルブラック、ナフテン酸金属塩、脂肪酸金属塩、樹脂酸石けんなどが挙げられる。
帯電剤を含有する非イオン性高分子ゲルとしては、下記に列挙するモノマー群から選択される1種以上のモノマーからなる単独重合体の架橋体や2種以上のモノマーからなる共重合体の架橋体が好適に挙げられる。
(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸ジアルキルアミノアルキルエステル、(メタ)アクリルアミド、エチレン、プロピレン、ブタジエン、イソプレン、イソブチレン、N−ジアルキル置換(メタ)アクリルアミド、N−アルキル置換(メタ)アクリルアミド、ビニルピリジン、ビニルアミン、アリルアミン、スチレン、ビニルカルバゾール、ビニルピロリドン、スチレン、スチレン誘導体、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、塩化ビニル、塩化ビニリデン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、メチレンビスアクリルアミド、イソプレン、ブタジエン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート。
液体としては、水あるいは有機溶媒を使用することができる。具体的には、水、アルコール、ケトン、エステル、アミド、カーボネート、ニトリル、エーテル等の極性基を有する芳香族系有機溶剤、脂肪族系有機溶剤やそれらの混合物が使用できる。なお、液体には、酸、アルカリ、塩、分散安定剤、酸化防止や紫外線吸収などを目的とした安定剤、抗菌剤、防腐剤などを添加することができる。さらに、種々の顔料、白色顔料、染料などの色素を添加することもできる。
電極基板としての表示電極基板及び背面電極基板は、通常、電極を基板上に形成することによって作製される。基板としては、ポリエステル、ポリイミド、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリアミド、ナイロン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリカーボネート、ポリエーテルスルフォン、シリコーン樹脂、ポリアセタール樹脂、フッ素樹脂、セルロース誘導体、ポリオレフィンなどの高分子のフイルムや板状基板、ガラス基板、金属基板、セラミック基板等の無機基板などが好ましく用いられる。また、透過型の光学素子として用いる場合には、例えば、光透過率50%以上の光透過性を有する基板が好ましく用いられる。
スペーサは絶縁性の材料で形成され、具体的には、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、電子線硬化樹脂、光硬化樹脂、ゴム等で形成することができる。スペーサも、例えば光透過率50%以上の光透過性を有することが好ましい。また、スペーサは少なくとも一方の電極基板に接着されていることが好ましい。
以下のようにして、図2に示す光学素子と同様な構成の素子を作製した。
まず、帯電部位を持ったポリスチレン粒子水分散液(Polyscience製 体積平均粒子径200nm、濃度2.6重量%) 5ml中にイオン交換樹脂(Bio−Rad製 AG501−X8) 300mg、アクリルアミド 250mg、メチレンビスアクリルアミド 10mg、及びジエトキシアセトフェノン 80mgを加え、3日間静置しコロイド結晶を形成した。減圧下で溶液中の酸素を除いた。2枚の石英基板(50×50mm四方)を直径50μmのポリスチレンビーズで厚みを維持し、この石英基板間に先に用意した溶液を注入した。石英基板を通して紫外線(高圧水銀灯,照度50mW/cm2,60sec)を照射しポリマーを重合し、ポリスチレン粒子を含有した組成物A(高分子ゲル)を得た。
実施例1と同様に組成物Aを作製し、5mm角に切断したものをDMSO(N,N−ジメチルスルホキシド)中に1週間浸漬し、洗浄した。洗浄した組成物Aを200μmのスペーサを配置したITO基板間に配置し、DMSOを注入し、光学素子を作製した。
以下のようにして、図2に示す光学素子と同様な構成の素子を作製した。
シリカ微粒子(日本触媒製、商品名シーホスター KE−W10、体積平均粒子径250nm) 5ml中にイオン交換樹脂(Bio−Rad製 AG501−X8) 300mg、アクリルアミド 250mg、メチレンビスアクリルアミド 10mg、及びジエトキシアセトフェノン 80mgを加え、3日間静置しコロイド結晶を形成した。減圧下で溶液中の酸素を除いた。2枚の石英基板(50×50mm四方)を直径50μmのポリスチレンビーズで厚みを維持し、この石英基板間に先に用意した溶液を注入した。石英基板を通して紫外線(高圧水銀灯,照度50mW/cm2,60sec)を照射しポリマーを重合し、シリカ粒子を含有した組成物B(高分子ゲル)を得た。
以下のようにして、図2に示す光学素子と同様な構成の素子を作製した。
シリカ微粒子(日本触媒製、商品名シーホスター KE−W10 体積平均平均粒子径250nm)約2mlをスライドガラス(松浪硝子工業製 76×26×1mm)に滴下し、100℃の恒温層中で水を蒸発させ、コロイド結晶を形成した。これをスライド硝子と同じ大きさの凹部(深さ2mm)を有するフッ化樹脂製セルに入れ、アクリルアミド 0.9M、アクリル酸トリエチルアミン塩 0.6M(帯電部位)、メチレンビスアクリルアミド 150mM、及び過硫酸アンモニウム 10mMを含んだモノマー水溶液を流し込み、もう一枚のスライドガラスを重ねふたをした。
以下のようにして、図2に示す光学素子と同様な構成の素子を作製した。
実施例1と同様の手法で作製した組成物Aを5mm角に切断し、アクリルアミド 0.9M、アクリル酸トリエチルアミン塩 0.6M(帯電部位)、メチレンビスアクリルアミド 150mM、及び過硫酸アンモニウム 10mMを含んだモノマー水溶液(50 mL)中に1時間浸漬し、各成分を浸透させた。組成物を取り出し、ガラス板間に挟んで60℃で6時間重合し、組成物Dとした。組成物DをDMF中に1週間浸漬し、洗浄した。洗浄した組成物Dを200μmのスペーサを配置したITO基板間に配置し、DMFを注入し、光学素子を作製した。
以下のようにして、図2に示す光学素子と同様な構成の素子を作製した。
シリカ微粒子(日本触媒製、商品名シーホスター KE−W10 体積平均粒子径250nm) 5ml中にイオン交換樹脂(Bio−Rad製 AG501−X8) 300mg、アクリルアミド 250mg、メチレンビスアクリルアミド 10mg、ジエトキシアセトフェノン 80mgを加え、3日間静置しコロイド結晶を形成した。減圧下で溶液中の酸素を除いた。2枚の石英基板(50×50mm四方)を直径50μmのポリスチレンビーズで厚みを維持し、この石英基板間に先に用意した溶液を注入した。石英基板を通して紫外線(高圧水銀灯,照度50mW/cm2,60sec)を照射しポリマーを重合し、シリカ粒子を含有した組成物Eを得た。
以下のようにして、図1に示す光学素子と同様な構成の素子を作製した。
アクリル酸ナトリウム 500mg、メチレンビスアクリルアミド 10mg、及びジエトキシアセトフェノン 80mgを蒸留水5ml中に溶かした溶液を1cm角の石英基板上にスピンコーターで塗布した。この基板に紫外線(高圧水銀灯 75mW/cm2, 30 sec)を照射してアクリル酸ナトリウムゲルを形成した。この基板のアクリル酸ナトリウムゲルを形成した側に金薄膜を蒸着によって5 nmの厚みに作製した。さらに金薄膜上に同様の手法でアクリル酸ナトリウムを形成、金薄膜形成の工程を10回繰り返し、金薄膜による周期構造体を形成した。薄膜を石英基板から剥離し、組成物Fとした。
以下のようにして、図2に示す光学素子と同様な構成の素子を作製した。
シリカ微粒子(日本触媒製、商品名シーホスター KE−W10、体積平均粒子径250nm) 5mlにシリコーンエラストマー前駆体溶液(ダウコーニング:Sylgard184)1.0gとイオン交換樹脂(Bio−Rad製 AG501−X8) 300mgを加えて、3日間静置しコロイド結晶を形成した。この溶液を1cm角のガラス基板上に塗布し、約100μmの厚みの膜を形成した。さらにこの膜を80℃、5時間加熱し、硬化した。薄膜を基板から剥離し組成物Gとした。
ポリスチレン粒子水分散液(Polyscience製 体積平均粒子径200nm、濃度2.6重量%) 5ml中にイオン交換樹脂(Bio−Rad製 AG501−X8) 300mg、N−イソプロピルアクリルアミド 250mg、メチレンビスアクリルアミド 2.5mg、及びジエトキシアセトフェノン 80mgを加え、3日間静置しコロイド結晶を形成した。減圧下で溶液中の酸素を除いた。2枚の石英基板(50×50mm四方)を直径50μmのポリスチレンビーズで厚みを維持し、この石英基板間に先に用意した溶液を注入した。石英基板を通して紫外線(高圧水銀灯,照度50mW/cm2,60sec)を照射しポリマーを重合し、ポリスチレン粒子を含有した組成物H(高分子ゲル)を得た。
12 背面電極基板
14 多色表示用光学組成物
16 周期構造体
18 高分子ゲル
20 液体
22 金属薄膜
24 コロイド結晶構造体
26 スペーサ
Claims (11)
- 電界に応じて体積変化が生じる膨張・収縮体と、
前記膨張・収縮体中に配される周期構造体と、
を備えたことを特徴とする多色表示用光学組成物。 - 前記膨張・収縮体は、電界に応じて体積変化が生じる刺激応答性高分子ゲルである請求項1に記載の多色表示用光学組成物。
- 前記刺激応答性高分子ゲルと共に、当該ゲルの内部及び/又は外部に位置する液体を備えた請求項2に記載の多色表示用光学組成物。
- 前記刺激応答性高分子ゲル中には、帯電部位を有した請求項2に記載の多色表示用光学組成物。
- 前記刺激応答性高分子ゲルは、帯電剤を含む請求項2に記載の多色表示用光学組成物。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の多色表示用光学組成物を備えた光学素子。
- 一対の電極をさらに備え、当該一対の電極間に前記多色表示用光学組成物を配した請求項6に記載の光学素子。
- 前記多色表示用光学組成物は、板状である請求項7に記載の光学素子。
- 前記板状の多色表示用光学組成物を複数備え、当該複数の多色表示用光学組成物をアレイ状に配した請求項8に記載の光学素子。
- 前記一対の電極のうち少なくとも1方は、光透過性を有する請求項7に記載の光学素子。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の多色表示用光学組成物を備えた光学素子の表示方法であって、
前記周期構造体が配された前記膨張・収縮体に電界を印加し、当該膨張・収縮体の体積を変化させ、前記周期構造体の光の反射波長を変化させ、前記周期構造体の構造色を変える、光学素子の表示方法。
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