JP4604484B2 - 光学素子 - Google Patents

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Description

本発明は、光学素子に関し、さらに詳しくは調光素子、センサー、表示素子及び記録素子に好適な光学素子に関する。また、本発明の光学素子は、調光ガラス、建材などにも使用可能である。
従来、pH、イオン濃度強度、化学物質の吸脱着、溶媒の添加または熱、光、電流もしくは電界の付与等によって体積変化(膨潤、収縮)を起こす高分子ゲル材料(以下、刺激応答性高分子ゲルと称することがある。)が知られており(例えば、非特許文献1参照。)、その機能材料としての応用が期待されている。この刺激応答性高分子ゲルの用途としては、ドラッグデリバリーシステムなどの薬の担持体、医療材料、インクの添加剤、機能膜、人工筋肉、表示素子、記録素子、アクチュエータ、ポンプなどが検討されている。一般に、水や電解質等の液体中に存在する刺激応答性高分子ゲルに刺激を付与することにより、該高分子ゲルは相転移等を起こし、ゲル内部への液体の吸収あるいは排出によって、体積、大きさ、形状を変化させることができる。
本発明者らは、これまでに、刺激応答性高分子ゲルと膨潤液体からなる高分子ゲル組成物をその製造法と共に提案し、さらに高分子ゲル組成物を表示素子、記録素子、調光素子やセンサーなどの光学素子として用いる提案を行ってきた(例えば、特許文献1又は2参照。)。刺激応答を高速化するには高分子ゲルを微粒子状で用いることが効果的であるが、この場合、高分子ゲルの収縮時に凝集が発生して粗大な凝集体を形成し、応答速度が低下したり可逆的な繰り返し特性が劣化してしまう恐れがあった。
これを回避する方法としては、高分子ゲル組成物を樹脂中に分散する方法(例えば、特許文献2参照。)や、基板上に固定する方法(例えば、特許文献3参照。)が提案されている。高分子ゲル組成物を樹脂中に分散する方法では、樹脂中に高分子ゲル粒子の凝集なく均一に分散することが困難であること、樹脂と高分子ゲル粒子の接着が起こり、体積変化が抑制されるなどの問題が生じた。基板上に固定する方法では凝集などのムラなく均一に固定すること、大面積化ではさらに均一固定が困難になるなどの問題が生じた。
特開平11−236559号公報 特開平11−228850号公報 特開2001−350163号公報 「機能性高分子ゲル」 シーエムシー出版
従って本発明の目的は、応答速度の低下や可逆的な繰り返し特性の劣化の起こらない光学素子を提供することにある。
本発明者らは、基板上に隔壁を設け、各高分子ゲルを隔離することによって、上記目的を達成し得ることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明は、
<1> 対向する一対の基板と、前記一対の基板間に挟持された、刺激により液体を吸収・放出して可逆的に体積変化する特性を有し調光用材料を含有する高分子ゲルと液体とを含む高分子ゲル組成物層とを有する光学素子であって、前記一対の基板の一方は、前記高分子ゲル組成物層を分割する光透過性の隔壁を有し、前記隔壁は、前記一対の基板の一方の基板から他方の基板に向けて備えられてなり、前記隔壁の頂点部と前記他方の基板との間の最短距離は収縮状態の前記高分子ゲルの直径あるいは短径よりも小さく、且つ、前記隔壁の頂点部は前記他方の基板と接しておらず、前記一方の基板と前記隔壁とが接する部分を含む、前記一方の基板の前記高分子ゲルの膨潤によっても調光能を示さず光透過可能な面は、着色されている光学素子である。
<2>前記一対の基板と前記隔壁とで囲まれた空間に、前記高分子ゲルが少なくとも1個存在する<1>に記載の光学素子である。
<3> 前記隔壁の一部又は前記基板の一部が着色されている<1>又は<2>に記載の光学素子である。
> 前記高分子ゲルは、帯電性高分子ゲルである<1>乃至<>のいずれか1つに記載の光学素子である。
> 前記帯電性高分子ゲルは、イオン性高分子ゲルである<>に記載の光学素子である。
> 前記帯電性高分子ゲルは、帯電剤を含むイオン性高分子ゲルである<>に記載の光学素子である。
> 前記帯電性高分子ゲルは、帯電剤を含む非イオン性高分子ゲルである<>に記載の光学素子である。
> 前記液体の体積抵抗率は、103Ωcm以上である<1>乃至<>のいずれか1つに記載の光学素子である。
> 前記基板の少なくとも一方は、絶縁層を有する<1>乃至<>のいずれか1つに記載の光学素子である。
本発明によれば、安定した応答速度及び繰り返し特性を有する光学素子を提供することができる。
本発明の光学素子は、対向する一対の基板と、前記一対の基板間に挟持された、刺激により液体を吸収・放出して可逆的に体積変化(膨潤・収縮)する特性を有する高分子ゲルと液体とを含む高分子ゲル組成物層とを有する光学素子であって、前記一対の基板の少なくとも一方は、前記高分子ゲル組成物層を分割する隔壁を有する。
前記高分子ゲル組成物層は、前記一対の基板と前記隔壁とにより複数の空間に分割される。前記隔壁は、一の空間に存在する収縮状態の高分子ゲルの、他の空間への移動を抑制するように設けられる。
前記一の空間と、それと隣り合う他の空間との間に液体が流通可能な流通路が存在する場合、前記流通路は、収縮状態の高分子ゲルの直径あるいは短径よりも広い箇所を有しなように設定される。これにより、収縮状態の高分子ゲルの移動を抑制することができる。
例えば、前記隔壁が一対の基板のうちの一方の基板から突出するように設けられており、隔壁の頂点が他方の基板と接していない場合、前記隔壁の頂点と他の基板との間の最短距離は、収縮状態の高分子ゲルの直径あるいは短径よりも短く設定される。
また、前記隔壁が一対の基板の両方から突出するように設けられ、各々の隔壁の頂点が接していない場合、各々の隔壁間の最短距離は、収縮状態の高分子ゲルの直径あるいは短径よりも短く設定される。
以下、本発明の光学素子について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、同様の機能を有する部材には、全図面を通して同じ符合を付与し、その説明を省略することがある。
<素子構成>
図1(A)は、本発明の光学素子の第一の実施態様を示した概略断面図を表す。光学素子100は、対向する一対の基板1及び基板3と、基板1及び基板3との間に挟持された、刺激により液体を吸収・放出して可逆的に体積変化する特性を有する高分子ゲル7と液体9とを含む高分子ゲル組成物層10とを有し、基板3は、高分子ゲル組成物層10を分割する隔壁5を有する。基板1と基板3との間隔は、スペーサー13により維持される。さらに、光学素子100の周囲は、封止部11により封止されている。隔壁5と基板3とが接する部分には、着色領域6が設けられている。なお、図1(A)における高分子ゲル7は、液体を吸収して膨潤した状態にあり、光学素子としては発色状態にある。
図1(B)は、光学素子100における高分子ゲル7が液体を放出して収縮した状態を示し、素子としては消色状態にある。
隔壁5の頂点部と基板1との間の最短距離は、隔壁内の収縮状態の高分子ゲル7の直径あるいは短径よりも小さい。
高分子ゲル組成物層10が隔壁5によって分割されることにより、高分子ゲル組成物層10における高分子ゲル7の移動を抑制することができる。そのため、高分子ゲル7同士の凝集を防止することができる。その結果として、高分子ゲル7の刺激による応答速度の低下や、可逆的な繰り返し特性の劣化を防止することが可能となる。また、隔壁5を均等に設ければムラが生じることなく、均等に高分子ゲル7が配置される。
基板1と基板3との間に隔壁5を有する光学素子100には、基板1、基板3及び隔壁5によって囲まれた複数の空間が形成される。前記空間には、高分子ゲル7が少なくとも1個存在することが好ましく、前記空間中に1個存在することがさらに好ましい。高分子ゲル7が前記空間中に1個のみ存在するのであれば粒子同士の凝集は全く起こらず、また、前記空間中に複数個存在しても空間内の個数以上の粒子の凝集が起こらないため、粗大で視認されるような凝集塊の生成を防ぐことができる。
本発明の光学素子においては、複数の空間の全てに高分子ゲル7を少なくとも1個存在させることを要しないが、前記複数の空間のうち高分子ゲル7が少なくとも1個存在する空間の割合は、70%以上が好ましく、さらに好ましくは80%以上である。前記割合が70%以上であると、本発明の光学素子に良好な調光特性を付与することができる。
高分子ゲル7が少なくとも1個存在する空間の割合を70%以上にするための、前記空間への高分子ゲルの注入方法は、できるだけ膨潤液を取り除いた状態の高分子ゲルを隔壁の高さ以上まで注ぎ、余分な高分子ゲル及び膨潤液を追い出しながらもう一方の基板を載せる方法や、前記方法でゲルをある程度収縮した状態で行う方法、乾燥したゲル粒子を篩いながら同一厚みになるように隔壁付基板上に落下させた後、膨潤液を注ぐ方法などが挙げられる。
光学素子100は、基板3にのみ隔壁5を有するが、一対の基板の両方に隔壁を有していてもよい。この場合、光学素子を基板の法線方向からみた場合に、一の基板が有する隔壁と他の基板が有する隔壁とが重なっていてもよいし、重なっていなくてもよい。また、隔壁5は、両基板に接するかあるいは接着されていてもよい。
隔壁5の存在によって空間が形成され、高分子ゲルがその内部に存在する。
光学素子100を基板の法線方向からみた場合の、隔壁の部分の面積は、総基板面積の30%以下であることが好ましい。隔壁部分は調光に寄与しないため、できるだけ小さいほうが好ましく、基板面積の20%以下であることがさらに好ましい。なお、光学素子が、高分子ゲル組成物層が複数積層された構成である場合、各層それぞれにおける隔壁の部分の面積が、総基板面積の30%以下、さらに好ましくは20%以下であることが好ましい。
本発明の光学素子においては、隔壁5の一部又は基板1若しくは3の一部が着色されていることが好ましい。これにより、光学素子100の調光変化率を大きくすることができる。
本発明の光学素子を光透過型の光学素子として用いる場合、隔壁5は、光透過性であることが好ましい。隔壁5が光透過性であると、光学素子の透明性が向上する。また、隔壁5と液体9との間の屈折率差は、0.1以内が好ましく、さらに好ましくは0.05以内である。差が0.1以内であれば、界面で光散乱が生じにくく、光学素子のヘイズ(白濁)が生じにくくなる。その結果として、光学素子の透明性を向上させることができる。
隔壁が光透過性である場合、基板と隔壁とが接する部分は、着色されていることが好ましい。光学素子100において、基板3と隔壁5とが接する部分は、高分子ゲル7の膨潤によっても、調光能を示さず光透過可能な部分である。基板3と隔壁5とが接する部分に着色領域6を設けることにより、光学素子の光透過率を最小で0%程度まで低くすることができ、光学素子としての調光変化率を大きくすることができる。
着色領域6の色は、濃色(例えば濃青色、濃茶色、濃緑色)、又は黒色であることが好ましい。着色領域6は、少なくとも膨潤状態の高分子ゲルを基板の法線方向に投影して覆われない面であればよく、基板又は隔壁の最上部、底部若しくは内部のいずれの部分でもよいが、図1のように基板3と隔壁5とが接する部分あることが好ましい。
着色領域6は、液晶表示素子のブラックマトリックスに使用されるような一般的な方法で形成可能である。具体的には、(1)クロム等の金属を蒸着する方法、(2)黒色染料による染着方法、(3)カーボンブラックや黒色に配合した染料等を含む印刷インキを用いる印刷方法、(4)感光性黒色樹脂組成物を使用し、フォトリソグラフ法による方法等、いずれを用いてもよい。
光学素子100において、一対の基板1及び3並びに隔壁5で囲まれた空間の好ましいサイズに関しては、高分子ゲル7に付与される刺激の種類によって異なる。
高分子ゲルへの刺激の付与が、物質の添加・除去によるpH変化、イオン濃度変化若しくは化学物質の吸脱着、溶媒の添加又は光、熱若しくは磁界の付与の場合、以下の3つの条件が挙げられる。
[1] 前記空間の体積が、隔壁内の高分子ゲルの収縮状態の体積の総和の3倍以上であること。
[2] 対向する基板間の距離が、前記空間内に存在する収縮状態の高分子ゲルの基板法線方向長さの総和の1.5倍以上であること。
[3] 基板の法線方向から光学素子をみた場合に、隔壁に囲まれる面積が、隔壁内の収縮状態の高分子ゲルの基板に投影される面積の2倍以上であること。
上記条件のうち、少なくとも[3]を満たすことが好ましく、さらに好ましくは[1]乃至[3]全てを満たすことである。少なくとも[3]を満たすことにより、光学素子の調光幅を十分にとることができる。
高分子ゲルへの刺激の付与が、電気駆動によるpH変化、イオン濃度変化若しくは化学物質の吸脱着又は電流若しくは電圧の付与の場合、以下の3つの条件が挙げられる。
[4] 前記空間の体積が、隔壁内の高分子ゲルの膨潤状態での体積の総和より大きいこと。
[5] 対向する基板間の距離が、前記空間内に存在する膨潤状態の高分子ゲルの基板法線方向長さの総和より大きいこと。
[6] 基板の法線方向から光学素子をみた場合に、隔壁に囲まれる面内の最短距離が、該隔壁内の膨潤状態の高分子ゲルの直径または短径より小さいこと。
上記条件のうち、[4]及び[5]を満たさないと、高分子ゲルが、対向する基板の両方に接し、高分子ゲルが導電体となるため基板間に電界がかからず、高分子ゲルの体積変化が起こらなくなることがある。
[6]を満たさないと、高分子ゲルが膨潤後泳動して対向基板上で収縮することが可能となり、膨潤収縮のサイクルを繰り返してしまう。しかしながら膨潤収縮のサイクルを利用したい場合は、この限りではない。
光学素子100では、隔壁5は基板1に接しておらず流通路が存在するが、この場合には、隔壁と基板とは、一の空間に存在する収縮状態の高分子ゲルが、他の空間へ移動しないように配置される。高分子ゲルの移動が起こらないように隔壁と基板とを配置することにより、高分子ゲルの凝集、ひいては光学素子の調光性能の低下を防止できる。
具体的には、例えば、光学素子100のように基板の一方が隔壁を有する場合、隔壁の頂点部と対向基板との間の最短距離が、隔壁内の収縮状態の高分子ゲルの直径あるいは短径より小さいことが好ましい。
また、後述する図2のように、一対の基板の両方が隔壁を有し、かつ基板の法線方向から光学素子をみた場合に両方の基板が有する隔壁が重なっている場合、各隔壁の頂点部間の最短距離が隔壁内の収縮状態の高分子ゲルの直径あるいは短径より小さいことが好ましい。
光学素子100のように隔壁と基板とが接していない部分がある場合には、光学素子の製造において液体の注入を容易に行うことができる。一方、隔壁と基板とが接しており、隔壁と基板とで囲まれた空間が密閉された空間である場合、隔壁に穴を設ける等で、液注入の容易性を得ることが可能である。
隔壁に囲まれる空間の形状は、特に制限されることはなく、2つ以上の面で構成される形状(多面体、立方体、多角或いは円柱、截頭多角或いは円錐、多角錐等、また2つ以上の面を有する不定形状等も含む)であっても、一つの面で構成される形状(例えば、半球、円錐等、また一つの面で構成される不定形状も含む)であってもよい。但し、ここでいう面は、平面でもよいし、曲面であってもよい。また、面の数は、基板表面上に固定(当接)している面は含まない。高分子ゲルが帯電性高分子ゲルの場合、隔壁に囲まれる空間の形状はいずれの形状でも良いが、電極とゲルとが接することができる形状が好まれる。
上記形状の中でも、空間の形状は、高分子ゲルの膨潤状態において、空間内の非高分子ゲル占有体積が小さくなるような形状が好ましい。理想的には空間内に高分子ゲルは1個存在した状態で、高分子ゲルの形状と似た形状が好ましく、さらに好ましくは相似の形状である。たとえば、高分子ゲルが球状であれば、空間の形状は球状、円筒状、立方体などが好まれる。空間内の非高分子ゲル占有体積が小さい程、調光に寄与しない体積が小さくなり、従って調光性能が優れる。
隔壁の配置は、基板の法線方向からみた場合に、島状に存在しても、ストライプ状、或いは格子状に存在していても構わない。格子の形状としては、四角形、三角形、円形、多角形、ハニカム状など様々なものが挙げられる。これらの中でも、四角形、円形又はハニカム状が好ましい。格子の形状が四角形、円形又はハニカム状であると、その製造が容易であり、さらに調光性能の面から空間内の非高分子ゲル占有体積を小さくすることができるためである。
隔壁は、その加工性から、高さ1μmから500μm程度、幅5μm〜1cm程度の範囲から選択されることが好ましい。隔壁間距離は、使用される高分子ゲルの大きさに依存し、高分子ゲルの平均粒径の0.5〜2倍程度が好ましい。
隔壁の形成方法は、例えば、スクリーン印刷、ドライフィルムフォトレジスト(DFR)、サンドブラスト、およびエンボス加工などにより作成することができる。
スクリーン印刷は、任意のパターンを形成した版によりインクを複数回重ねて印刷する方法であり、任意の高さ(すなわち、基板の法線方向の長さ)を有する任意の形状のスペーサを精度良く作成できる。スクリーン印刷に使用するインクは、例えば、熱硬化樹脂を使用することができる。詳細には、基板上にパターン印刷し、オーブン中で110℃に加熱して焼成を行う処理を、隔壁が所望の高さになるまで複数回繰り返す。
スクリーン印刷に使用するインクとして熱硬化樹脂を例示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、紫外線照射により硬化する紫外線硬化型樹脂が使用されてもよい。
熱硬化型樹脂としては、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、グアナミン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ポリウレタン、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル、ポリイミド、メラミン樹脂、マレイン酸樹脂、アクリル樹脂、ケイ素樹脂、アルキッド樹脂、またはこれらの少なくとも2つの共重合体もしくは混合物が好ましい。
エポキシ系樹脂としては、1液性および2液性のいずれが使用されてもよいが、2液性が使用される場合には、2接着剤成分を混錬したあと、400mmHg以下の真空度で15分〜30分脱気して気泡を除去する必要がある。エポキシ系樹脂は、常温硬化性およびUV硬化性の何れが使用されてもよい。
紫外線硬化型樹脂、UV硬化型樹脂、電子線硬化型樹脂としては、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、多官能性アクリレート、ポリエーテルアクリレート、シリコンアクリレート、ポリブタジエンアクリレート、不飽和ポリエステル/スチレン、ポリエン/チオール、ポリスチリルメタクリレート、UV硬化ラッカーまたはこれらの少なくとも2つの共重合体もしくは混合物が好ましい。
DFRは、基板上にドライフィルムを貼り付け、任意のパターンで紫外光を露光して現像する方法であり、これにより、任意の高さを有する任意の形状のスペーサを精度よく作成できる。DFRは光重合性層、支持層を有し、必要に応じて保護層を有していてもよいし、アルカリ現像タイプおよび溶剤現像タイプの何れが使用されてもよい。フィルムの厚さは50〜300μmのものが使用され、積層により所望の厚さを得ることができる。
サンドブラストは、基板上に樹脂マスクを形成し、アルミナ(酸化アルミニウム)の微粉末を用いてサンドブラストでマスク以外の場所を研削する方法であり、これにより、任意の高さを有する任意の形状の隔壁を精度よく作成できる。
隔壁5並びに基板1及び3の表面は、高分子ゲル7の接着や粘着などを防止する目的で、高分子ゲルに対して化学的親和性が低いことが好ましく、具体的には、表面張力が30mN/m以下であることが好ましく、20mN/m以下であることがさらに好ましい。隔壁5と高分子ゲル7との接着又は粘着を、隔壁5の材質や表面処理によって防止することができる。
表面の特性は、この領域に高分子ゲルが繰り返し接触しても、貼り付きが起きなければ特に限定されないが、具体的には高分子ゲルとの間で、高分子ゲルを固定できる程の化学結合(水素結合、イオン結合、共有結合)を実質的に形成できない領域であることが好ましい。
なお、基板本体として使用されるガラス基板の表面や、基板の表面に設けられるITO(Indium Tin Oxide)等の透明導電性セラミックス表面等のように、反応性を有しないにせよ、比較的に化学的親和性が高い場合には経時的に高分子ゲルの貼り付きが発生し易くなる場合がある。
このような観点から、隔壁及び基板表面は、反応性を有する官能基は勿論、ヒドロキシル基等の水素結合の形成が可能な官能基や部位(例えば、エーテル結合を構成する酸素等)をその分子中に殆ど含まないあるいは全く含まない材料、例えば、炭化水素系の材料(樹脂や、カップリング剤等)や、炭化水素系化合物よりも表面エネルギーの小さいフッ素系の材料(樹脂や、カップリング剤等)等で覆われていることが好ましい。
このような材料としては、炭化水素系樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、アルキル系シランカップリング剤、フッ素化アルキル系シランカップリング剤、アルキル系チオール、フッ素化アルキル系チオール等の固定阻害剤が挙げられる。この場合、接着阻害剤を基板表面の隔壁及び基板となる領域に付与すればよい。
勿論、これらの材料に相当するような高分子ゲルに対して化学的親和性の低い材料を、基板表面(例えば、ガラス基板表面や、ITO等の透明セラミックス電極等)に蒸着やスパッタリング等を利用して直接形成することもできる。
具体的には、フッ化アルキル基を持つ接着阻害剤としては、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリ四フッ化エチレン、エチレン−四フッ化エチレン共重合体、四フッ化エチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体等のフッ素系樹脂が挙げられる。
シロキサン基などを持つ接着阻害剤としては、ジメチルシリコーン、メチルフェニルシリコーン、シリコーンのアミノ変性体、エポキシ変性体、カルボキシル変性体、メタクリル変性体、フェノール変性体、アルキル変性体等のシリコーン系樹脂が挙げられる。
これらの反応性官能基を有する接着阻害剤を用いる場合には、これを溶媒に溶解または分散させ、この溶液中に基板を浸漬させるなどして基板表面に接着阻害剤を塗布する処理を行なう。
材料自体が高分子ゲルと接着性の低い性質をもつ接着阻害剤(樹脂材料)としては、ウレア樹脂、エポキシ樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリメタクリル酸エチル、ポリ酢酸ビニル、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート、ポリビニルアルコール、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレンなどが挙げられる。
基板1及び3の材料としては、ポリエステル、ポリイミド、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリカーボネート、ポリエーテルスルフォン、セルロース誘導体、シリコーン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリアセタール系樹脂などの高分子のフイルムや板状基板、ガラス基板、金属基板、セラミック基板などの無機基板を使用することができる。
好ましい基板の厚みは、10μm〜2mmであるが、その大きさは目的によって種々選択可能で、特に限定しない。本発明の基板は、光透過性に優れているが、少なくとも法線方向における入射光に対し透過性を有することが好ましく、より好ましくは法線と0〜80°(好ましくは0〜70°)の角度をなす入射光に対して透過性を有することが好適である。
基板間の距離は、高分子ゲル粒子の最大膨潤状態の長径または最大対角線距離の1/2倍以上、より好ましくは1倍以上であることが好ましい。1/2倍以上であれば、素子の充分な調光特性が得られる。特に、電気駆動方式の場合、基板間の距離は、高分子ゲルの最大膨潤状態の長径または最大対角線距離の1倍以上、さらに好ましくは1.1倍以上であることが好ましい。1倍以下であると、両電極に高分子ゲルが接触し、高分子ゲルが導電体として働き基板間に電界がかからず、素子の調光特性が得られない。基板間の距離は、実際には、10〜2000μmが好ましく、より好ましくは15〜1000μmである。
光学素子100が電気駆動方式である場合、基板1及び3は、通常、通電部材を基板部材上に形成することによって作製される。なお、以下通電部材を備える基板を、電極基板と称することがある。
基板部材としては、ポリエステル、ポリイミド、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリアミド、ナイロン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリカーボネート、ポリエーテルスルフォン、シリコーン樹脂、ポリアセタール樹脂、フッ素樹脂、セルロース誘導体、ポリオレフィンなどの高分子のフイルムや板状基板、ガラス基板、金属基板、セラミック基板等の無機基板などが好ましく用いられる。また、透過型の光学素子として用いる場合には、少なくとも50%以上の光透過率を有する基板部材が好ましく用いられる。
通電部材としては、酸化錫−酸化インジウム(ITO)、酸化錫、酸化亜鉛などに代表される金属酸化物層が形成されたものが好ましく用いられる。少なくとも50%以上の光透過率を有する透明電極が好ましく用いられる。また、反射型光学素子用途の場合、目視方向から見て遠い方の電極基板上に設けられる通電部材としては、酸化錫−酸化インジウム(ITO)、酸化錫、酸化亜鉛などに代表される金属酸化物層の他に、導電性高分子や、カーボン、銅、アルミニウム、金、銀、ニッケル、プラチナなどに代表される金属層を用いることができる。
基板の厚みや大きさは所望の表示素子によって様々なものが利用でき、特に限定はしないが、厚みの好ましい範囲は10μmから20cmである。
基板1及び3ともに通電部材として透明電極を用いた場合には、本発明の光学素子を透過型の表示素子としても利用することができる。
また、光学素子(表示素子)の用途に応じて、基板1及び3には、配線、薄膜トランジスタ、金属・絶縁層・金属構造を持つダイオード、バリアブルコンデンサ、強誘電体等の駆動用スイッチング素子を形成しても構わない。一般に表示用途として画像表示する場合は、パターン化された電極を持つ構成において、所望のパターンに通電し、パターン上の帯電性高分子ゲルを体積変化させることにより実現できる。さらにカラー表示を行う場合も、複数の異なる色の帯電性高分子ゲルを各パターン上に固定化し、種々のパターンに選択的に通電することによって実現可能である。
高分子ゲル7が帯電性高分子ゲルの場合、少なくとも一方の電極基板上に絶縁層を設けることが好ましい。絶縁層としてポリエチレン、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル、ポリエーテルエーテルケトン、フッ素樹脂,ポリスルホン、不飽和ポリエステル、エポキシ、ポリアミド、ポリイミド、シリコーン樹脂、ゴム、アクリル樹脂、紫外線硬化樹脂などの高分子やシリカなどの無機材料を用いることができる。電極基板上に絶縁層を設けることにより、電極間に流れる電流量を制限できるため、電極内の物質の電気化学的な劣化を防ぐことができ、ひいては素子耐久性を向上させることが可能となる。なお、基板の透過率を高めるために絶縁層は光学的に透明なものを用いることが好ましい。
本発明の光学素子において、少なくとも一方の基板は光学的に透明であることが必要である。また、透過型光学素子の場合は、両方の基板が透明であるこが好ましい。
高分子ゲルに付与する刺激が熱の場合は、例えば気温の変化、太陽光量の変化などの自然エネルギーによって調光や表示を行うことができるが、刺激付与手段を基板に設けることで、能動的に調光することもできる。この場合、刺激付与手段は高分子ゲルに実質的に熱を付与するものであり、通電発熱抵抗体のほかに光付与、電磁波付与、磁場付与などの各種熱付与手段が挙げられる。なかでも特に通電発熱抵抗体が好ましく適用され、具体的にはNi−Cr合金などに代表される金属層、硼化タンタル、窒化タンタル、酸化タンタル、やITOなどの金属酸化物層、カーボン層などに代表されるの発熱抵抗体層が好ましく用いられ、これらの層に配線し電流を付与することにより発熱させることができる。
またその他にも、光付与の場合は、レーザー、LED、ELなどの発光素子層を用いること、磁界や電磁波の付与は電磁コイル、電極等を設けることで実現できる。なお、前述した電気駆動方式に使用される電極は、刺激付与手段の一種である。
また、前記した刺激付与手段はパターン化、セグメント化させて任意の部位を調光させることも好ましく実施される。また、これらのパターンに対応して特定の特性の高分子ゲルを配置することも好ましく実施される。
高分子ゲルに付与する刺激が電気(電界)である場合(電気駆動)は、電界、電流付与手段を備えるが、電界、電流に応じて応答する光シャッターや、センサーなどの用途に用いる場合、電界付与手段を備える必要性はない。一般的な電界付与手段としては、一対の電極などを利用することができ、これら電極をパターン化、セグメント化させて任意の部位を調光させることも好ましく実施される。また、これらのパターンに対応して特定の特性の帯電性高分子ゲルを配置することも好ましく実施される。
スペーサー13は、光学素子100のように隔壁5と基板1との間に距離がある場合には、基板間隔を保つために必要であるが、隔壁及び両対向基板が接している場合には必ずしも必要ない。スペーサーの形成方法としては、隔壁の一部を積層して高さをのばす、隔壁最上部に市販スペーサーを接着する、隔壁よりも高さのあるスペーサーを基板上に散布、接着するなどの方法が挙げられる。
本発明の光学素子には、高分子ゲル組成物層以外に様々な層を形成してもかまわない。例えば、光学素子の保護を目的とした保護層、防汚染層、紫外線吸収層、帯電防止層、光反射層、誘電層、カラーフィルター等の着色層等が挙げられる。
本発明の光学素子において、高分子ゲル組成物層は密閉されてなる構成であることが好ましい。高分子ゲル組成物層が密閉されることで、高分子ゲル組成物層が外気と触れなくなり、劣化を防止することができる。このような構成は、例えば、電極間に挟持した高分子ゲル組成物層を樹脂封止させる、セル状にした電極間に高分子ゲル組成物層を配置する等して行うことができる。
図2は、本発明の光学素子の第二の実施態様を示した概略断面図を表す。図2に示す光学素子102は、隔壁5が基板1及び3の両方に設けられている例である。光学素子102を基板1又は3の法線方向からみた場合に、基板1が有する隔壁と基板3が有する隔壁とが重なっている。対向する隔壁5の頂点部間の最短距離は、隔壁5内の収縮状態の高分子ゲル7の直径あるいは短径よりも小さい。
隔壁5を基板1及び3の両方に設けると、基板1及び3上の隔壁の高さを、光学素子100の隔壁に比べ低くすることができる。そのため、隔壁5を積層によって形成する場合には、作製が容易になる。
図3は、本発明の光学素子の第三の実施態様を示した概略断面図を表す。図3に示す光学素子104は、隔壁5が基板1及び3の両方に設けられており、光学素子104を基板1又は3の法線方向からみた場合に、基板1が有する隔壁と基板3が有する隔壁とが互いにずれて配置されている例である。
光学素子104には、高分子ゲル7に刺激(電界)を付与するために電極15が設けられている。液体5を吸収することにより膨潤した状態の高分子ゲル7により覆われない部分に着色領域6を設け、着色領域6に投影される空間に電極15を配置することで、透過率/反射率変化幅を大きくすることが可能である。
図4は、本発明の光学素子の第四の実施態様を示した概略断面図を表す。図4の光学素子106は、基板1と基板2との間及び基板2と基板3との間に、2層の高分子ゲル組成物層を備える。基板1と基板2との間に設けられた隔壁5及び基板2と基板3との間に設けられた隔壁5’は、基板1又は3の法線方向からみた場合に、互いにずれて配置されている。これにより、発色状態の光学素子106の透過率を0%近くまで低下させることが可能となる。
以上、本発明の光学素子の各種態様を、図面を用いて説明したが本発明の光学素子の態様は、上記記載に限定されるものではない。例えば、本発明の光学素子をマルチカラーやフルカラーの表示素子として用いる場合には、色の異なる高分子ゲルを使用し、図4のように単色で構成された高分子ゲル組成物層を複数積層する方法や、後述する図5のように、各個別電極上にシアン(C)、マジェンタ(M)、イエロー(Y)やレッド(R)、グリーン(G)、ブルー(B)等の色の高分子ゲルを配置する構成が挙げられる。
例えば、C,M,Yの各色からなる3つの高分子ゲル組成物層を積層すること、あるいはC,M,Yの3色の高分子ゲルを分割電極毎に配置した高分子ゲル組成物層、さらにはR、G、Bの3色の高分子ゲルを分割電極毎に配置した高分子ゲル組成物層とモノクロ調光層(透過光量をON−OFFする光シャッター層)の積層によってフルカラー表示が実現できる。
<高分子ゲル>
本発明において使用することができる高分子ゲルとしては、pH、イオン濃度変化、化学物質の吸脱着、溶媒の添加、または光、熱、電流や電界の付与などの刺激によって、液体を吸収・放出して可逆的に体積変化(膨潤・収縮)する性質を有する。pH、イオン濃度変化、化学物質の吸脱着による刺激は、電気化学反応を用いた駆動、あるいは物質の添加除去によって駆動することが可能である。光、熱の刺激は、自然界のエネルギーを利用する場合と、電気駆動によって供給する駆動方法がある。
pH変化によって刺激応答する高分子ゲルとしては、電解質系高分子ゲルが好ましく、その例としては、ポリ(メタ)アクリル酸の架橋物やその塩、(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸アルキルエステルなどとの共重合体の架橋物やその塩、ポリマレイン酸の架橋物やその塩、マレイン酸と(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸アルキルエステルなどとの共重合体の架橋物やその塩、ポリビニルスルホン酸の架橋物やビニルスルホン酸と(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸アルキルエステルなどとの共重合体の架橋物、ポリビニルベンゼンスルホン酸の架橋物やその塩、ビニルベンゼンスルホン酸と(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸アルキルエステルなどとの共重合体の架橋物やその塩、ポリアクリルアミドアルキルスルホン酸の架橋物やその塩、アクリルアミドアルキルスルホン酸と(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸アルキルエステルなどとの共重合体の架橋物やその塩、ポリジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドの架橋物やその塩酸塩、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドと(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸アルキルエステルなどとの共重合体の架橋物やその4級化物や塩、ポリジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドとポリビニルアルコールとの複合体の架橋物やその4級化物や塩、ポリビニルアルコールとポリ(メタ)アクリル酸との複合体の架橋物やその塩、カルボキシアルキルセルロース塩の架橋物、ポリ(メタ)アクリロニトリルの架橋物の部分加水分解物やその塩などが挙げられる。これらの中でも、ポリ(メタ)アクリル酸系高分子材料が好ましく使用される。
尚、pH変化は、液体の電気分解や添加される化合物の酸化還元反応などの電極反応、あるいは、導電性高分子の酸化還元反応、さらには、pHを変化させる化学物質の添加によるものであることが好ましい。
イオン濃度変化によって刺激応答する高分子ゲルとしては、前記したpH変化による刺激応答性高分子ゲルと同様なイオン性高分子材料が使用できる。また、イオン濃度変化としては、塩等の添加やイオン交換樹脂等の使用によるものが好ましい。
また、化学物質の吸脱着によって刺激応答する高分子ゲルとしては、強イオン性高分子ゲルが好ましく、その例として、ポリビニルスルホン酸の架橋物やビニルスルホン酸と(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸アルキルエステルなどとの共重合体の架橋物、ポリビニルベンゼンスルホン酸の架橋物やビニルベンゼンスルホン酸と(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸アルキルエステルなどとの共重合体の架橋物、ポリ(メタ)アクリルアミドアルキルスルホン酸の架橋物や(メタ)アクリルアミドアルキルスルホン酸と(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸アルキルエステルなどとの共重合体の架橋物などが挙げられる。特に、ポリアクリルアミドアルキルスルホン酸系高分子が好ましく使用される。この場合、化学物質としては、界面活性剤、例えば、n−ドデシルピリジニウムクロライドなどのアルキルピリジン塩、アルキルアンモニウム塩、フェニルアンモニウム塩、テトラフェニルホスフォニウムクロライドなどのホスホニウム塩などのカチオン性界面活性剤を使用することができる。
また、溶媒の添加により刺激応答する高分子ゲルとしては、一般にほとんどの高分子ゲルが挙げられ、その高分子ゲルの良溶媒と貧溶媒を利用することで膨潤、収縮を引き起こすことが可能である。
また、電気による酸化・還元によって刺激応答する高分子ゲルとしては、カチオン性高分子ゲルと電子受容性化合物とのCT錯体(電荷移動錯体)が好ましく、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドなどアミノ置換(メタ)アクリルアミドの架橋物、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートやジメチルアミノプロピルアクリレートなどの(メタ)アクリル酸アミノ置換アルキルエステルの架橋物、ポリスチレンの架橋物、ポリビニルピリジンの架橋物、ポリビニルカルバゾールの架橋物、ポリジメチルアミノスチレンの架橋物などが挙げられ、特に、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレートなどのジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート系高分子は好ましい。これらは、ベンゾキノン、7,7,8,8−テトラシアノキノジメタン(TCNQ)、テトラシアノエチレン、クロラニル、トリニトロベンゼン、無水マレイン酸やヨウ素などの電子受容性化合物とを組み合わせて使用することができる。
また、光の付与によって刺激応答する高分子ゲルとしては、トリアリールメタン誘導体やスピロベンゾピラン誘導体などの光によってイオン解離する基を有する親水性高分子化合物の架橋物が好ましく、その例として、ビニル置換トリアリールメタンロイコ誘導体と(メタ)アクリルアミドとの共重合体の架橋物などが挙げられる。
熱の付与によって刺激応答するもの(熱応答性高分子ゲル)としては、LCST(下限臨界共融温度)をもつ高分子の架橋体や互いに水素結合する2成分の高分子ゲルのIPN(相互侵入網目構造体)などが好ましい。前者は、高温において収縮し、後者は逆に高温で膨潤する特性をもっている。前者の具体的な化合物としては、ポリN−イソプロピルアクリルアミドなどのN−アルキル置換(メタ)アクリルアミドの架橋体やN−アルキル置換(メタ)アクリルアミドと(メタ)アクリル酸およびその塩、または(メタ)アクリルアミド、または(メタ)アクリル酸アルキルエステルなどの2成分以上の共重合体の架橋体、ポリビニルメチルエーテルの架橋物、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのアルキル置換セルロース誘導体の架橋体などが挙げられる。これらの中でも、ポリN−イソプロピル(メタ)アクリルアミドは好ましい。一方、後者の化合物としては、ポリ(メタ)アクリルアミドの架橋体とポリ(メタ)アクリル酸の架橋体からなるIPN体およびその部分中和体(アクリル酸単位を部分的に塩化したもの)、ポリ(メタ)アクリルアミドを主成分とする共重合体の架橋体とポリ酸の架橋体からなるIPN体およびその部分中和体、ポリ(メタ)アクリルアミドを主成分とする共重合体の架橋体とポリフマル酸の架橋体からなるIPN体およびその部分中和体、ポリ(メタ)アクリルアミドを主成分とする共重合体の架橋体とポリマレイン酸の架橋体からなるIPN体およびその部分中和体などが挙げられる。より好ましくは、ポリN−アルキル置換アルキルアミドの架橋体、ポリ(メタ)アクリルアミドの架橋体とポリ(メタ)アクリル酸の架橋体とのIPN体およびその部分中和体、ポリ(メタ)アクリルアミドを主成分とする共重合体の架橋体とポリ酸の架橋体からなるIPN体およびその部分中和体などが挙げられる。
電界または電流の付与によって刺激応答する、帯電性高分子ゲルとして具体的には、イオン性高分子ゲル、帯電剤を含有させたイオン性高分子ゲル、及び帯電剤を含有させた非イオン性高分子ゲルから選択することができる。以下、各高分子ゲルの好適な具体例を列挙する。
(1)イオン性高分子ゲルの例としては、ポリ(メタ)アクリル酸の架橋物やその塩、(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸アルキルエステルなどとの共重合体の架橋物やその塩、ポリマレイン酸の架橋物やその塩、マレイン酸と(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸アルキルエステルなどとの共重合体の架橋物やその塩、ポリビニルスルホン酸の架橋物やビニルスルホン酸と(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸アルキルエステルなどとの共重合体の架橋物、ポリビニルベンゼンスルホン酸の架橋物やその塩、ビニルベンゼンスルホン酸と(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸アルキルエステルなどとの共重合体の架橋物やその塩、ポリアクリルアミドアルキルスルホン酸の架橋物やその塩、アクリルアミドアルキルスルホン酸と(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸アルキルエステルなどとの共重合体の架橋物やその塩、ポリジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドの架橋物やその塩酸塩、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドと(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸アルキルエステルなどとの共重合体の架橋物やその4級化物や塩、ポリジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドとポリビニルアルコールとの複合体の架橋物やその4級化物や塩、ポリビニルアルコールとポリ(メタ)アクリル酸との複合体の架橋物やその塩、カルボキシアルキルセルロース塩の架橋物、ポリ(メタ)アクリロニトリルの架橋物の部分加水分解物やその塩などが挙げられる。これらのイオン性高分子ゲルは、架橋剤の添加、あるいは高分子に電子線、γ線などの放射線を照射する、加熱する、さらには過酸化物を添加することによって三次元架橋することで作製することができる。
(2)帯電剤を含有させたイオン性高分子ゲルとしては、上記イオン性高分子ゲルに記載したものと同様なイオン性高分子ゲルが挙げられる。一方、イオン性高分子ゲル中に含有させる帯電剤としては、各種両親媒性(高)分子、ニグロシン系化合物、アルコキシ化アミン類、第四級アンモニウム塩、アルキルアミド、リンおよびタングステンの単体および化合物、モリブデンキレート顔料、疎水性シリカ、ホウ素類、ハロゲン化合物、モノアゾ染料の金属錯塩、サリチル酸、アルキルサリチル酸、ジアルキルサリチル酸、ナフトエ酸の金属錯塩、塩素化ポリオレフィン、塩素化ポリエステル、酸基過剰のポリエステル、銅フタロシアニンのスルホニルアミン、オイルブラック、ナフテン酸金属塩、脂肪酸金属塩、樹脂酸石けんなどが挙げられる。イオン性高分子ゲル中に含有させる帯電剤の添加量は、2質量%〜70質量%の範囲が好ましく、5〜50質量%がさらに好ましい。また、帯電剤が後で述べる調光用材料であっても構わない。
(3)帯電剤を含有させた非イオン性高分子ゲルにおける非イオン性高分子ゲルとは高分子鎖にイオン解離基を持たない高分子ゲルをいう。具体的には、下記に列挙するモノマー群から選択される1種のモノマーからなる単独重合体の架橋体や2種以上のモノマーからなる共重合体の架橋体が好適に挙げられる。
モノマーの具体例としては、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸ジアルキルアミノアルキルエステル、(メタ)アクリルアミド、エチレン、プロピレン、ブタジエン、イソプレン、イソブチレン、N−ジアルキル置換(メタ)アクリルアミド、ビニルピリジン、ビニルアミン、アリルアミン、スチレン、ビニルカルバゾール、ビニルピロリドン、スチレン、スチレン誘導体、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、塩化ビニル、塩化ビニリデン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、メチレンビスアクリルアミド、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
その他にも、ポリエステル系高分子の架橋体、ポリビニルアセタール誘導体の架橋体、ポリウレタン系高分子の架橋体、ポリウレア系高分子の架橋体、ポリエーテル系高分子の架橋体、ポリアミド系高分子の架橋体、ポリカーボネート系高分子の架橋体などが好ましく使用できる。非イオン性高分子ゲルは、架橋剤の添加、あるいは高分子に電子線、γ線などの放射線を照射する、加熱する、さらには過酸化物を添加することによって三次元架橋することで作製することができる。一方、非イオン性高分子ゲル中に含有させる帯電剤としては、上記帯電剤を含有させたイオン性高分子ゲルで記載したものと同様のものが挙げられる。非イオン性高分子ゲル中に含有させる帯電剤の添加量は、2質量%〜70質量%の範囲が好ましく、5〜50質量%がさらに好ましい。また、帯電剤が後で述べる調光用材料であっても構わない。このとき非イオン性高分子ゲル中に含有させる調光用材料の好ましい濃度は、2質量%から70質量%の範囲であり、特に好ましくは5質量%から50質量%の範囲である。さらに非イオン性高分子ゲルの電界に対する応答性を向上させるために、調光用材料以外の帯電剤を別途非イオン性高分子ゲル中に含有させても構わない。
上記高分子ゲルの中でも、熱応答性高分子ゲルや帯電性高分子ゲルが好ましい。熱応答性高分子ゲルであれば室温に自律応答する光学素子や、人為的に電気的温度制御光学素子を得ることができ、帯電性高分子ゲルであれば、人為的に電気駆動制御の光学素子を得ることが可能である。
また、上記帯電性高分子ゲルの中では、体積抵抗率が103Ωcm以上の液体中での体積変化量(膨潤状態のゲル体積/収縮状態のゲル体積)が、大きい場合が多い等の理由から帯電剤を含有させた非イオン性高分子ゲルが好ましい。
本発明の刺激応答性高分子ゲルの体積変化量は特に限定されないが、高いほど好ましく、膨潤状態と収縮状態との体積比が5以上、特に10以上のものが好ましい。
また、本発明では、高分子ゲルの形態は特に限定されないが、高分子ゲルの刺激応答特性を考慮すると、粒子の形態として使用することが特に好ましい。その粒子の形態も特に限定されないが、球体、楕円体、多面体、多孔質体、繊維状、星状、針状、中空状などのものを使用することができる。
本発明において用いられる高分子ゲルは、乾燥状態で平均粒径が0.01μm〜5mmの範囲、特に、0.01μm〜1mmの範囲の粒子であることが好ましい。平均粒子径が0.01μm未満となると、光学的な特性を得ることができなくなり、凝集等を起こしやすくなり、かつ、使用する場合にその扱いが困難となる。一方、5mmを超えると、応答速度が遅くなってしまう問題が生じる。
これらの高分子ゲルの粒子は、高分子ゲルを物理的粉砕法等で粒子化する方法、架橋前の高分子を化学的粉砕法等によって粒子化した後に架橋して高分子ゲル粒子を得る方法、あるいは乳化重合法、懸濁重合法、分散重合法などの粒子化重合法などの一般的な粒子化方法によって製造することができる。また、架橋前の高分子をノズル口金等によって押し出して繊維化し、これを架橋した後に粉砕する方法、あるいは前記繊維を粉砕して粒子化した後に架橋する方法によって高分子ゲル粒子を製造することも可能である。
<調光用材料>
高分子ゲルはそれ自身でも体積変化にともない光散乱性が変化するという調光能を示すが、より大きな調光特性や色変化を発現するために調光用材料を高分子ゲルに添加することが好ましい。
添加する調光用材料としては、染料、顔料や光散乱材などが挙げられる。また調光用材料は高分子ゲルに物理的あるいは化学的に固定化されることが好ましい。
染料の好適な具体例としては、例えば、黒色のニグロシン系染料や赤、緑、青、シアン、マゼンタ、イエローなどのカラー染料であるアゾ染料、アントラキノン系染料、インジゴ系染料、フタロシアニン系染料、カルボニウム染料、キノンイミン染料、メチン染料、キノリン染料、ニトロ染料、ベンゾキノン染料、ナフトキノン染料、ナフタルイミド染料、ベリノン染料などが挙げられ、特に光吸収係数が高いものが望ましい。例えば、C.I.ダイレクトイエロー1、8、11、12、24、26、27、28、33、39、44、50、58、85、86、87、88、89、98、157、C.I.アシッドイエロー1、3、7、11、17、19、23、25、29、38、44、79、127、144、245、C.I.ベイシックイエロー1、2、11、34、C.I.フードイエロー4、C.I.リアクティブイエロー37、C.I.ソルベントイエロー6、9、17、31、35、100、102、103、105、C.I.ダイレクトレッド1、2、4、9、11、13、17、20、23、24、28、31、33、37、39、44、46、62、63、75、79、80、81、83、84、89、95、99、113、197、201、218、220、224、225、226、227、228、229、230、231、C.I.アシッドレッド1、6、8、9、13、14、18、26、27、35、37、42、52、82、85、87、89、92、97、106、111、114、115、118、134、158、186、249、254、289、C.I.ベイシックレッド1、2、9、12、14、17、18、37、
C.I.フードレッド14、C.I.リアクティブレッド23、180、C.I.ソルベントレッド5、16、17、18、19、22、23、143、145、146、149、150、151、157、158、C.I.ダイレクトブルー1、2、6、15、22、25、41、71、76、78、86、87、90、98、163、165、199、202、C.I.アシッドブルー1、7、9、22、23、25、29、40、41、43、45、78、80、82、92、93、127、249、C.I.ベイシックブルー1、3、5、7、9、22、24、25、26、28、29、C.I.フードブルー2、C.I.ソルベントブルー22、63、78、83〜86、191、194、195、104、C.I.ダイレクトブラック2、7、19、22、24、32、38、51、56、63、71、74、75、77、108、154、168、171、C.I.アシッドブラック1、2、7、24、26、29、31、44、48、50、52、94、C.I.ベイシックブラック2、8、C.I.フードブラック1、2、C.I.リアクティブブラック31、C.I.フードバイオレット2、C.I.ソルベントバイオレット31、33、37、C.I.ソルベントグリーン24、25、C.I.ソルベントブラウン3、9等が挙げられる。これらの染料は、単独で使用してもよく、さもなければ所望とする色を得るために混合して使用してもよい。
また、染料を高分子ゲルに固定化するために、不飽和二重結合基などの重合可能な基を有した構造の染料や高分子ゲルと反応可能ないわゆる反応性染料などが好ましく使用される。また、高分子ゲル中に含有させる染料の好ましい濃度は、3質量%から50質量%の範囲であり、特に好ましくは5質量%から30質量%の範囲である。このように染料濃度は少なくとも高分子ゲルの乾燥あるいは収縮状態において飽和吸収濃度以上であることが望ましい。ここで、飽和吸収濃度以上とは、特定の光路長のもとにおける染料濃度と光学濃度(あるいは光吸収量)の関係が一次直線の関係から大きく乖離するような高い染料濃度の領域を示す。
一方、顔料および光散乱材の好適な具体例としては、黒色顔料であるブロンズ粉、チタンブラック、各種カーボンブラック(チャネルブラック、ファーネスブラック等)、白色顔料である酸化チタン、シリカなどの金属酸化物、炭酸カルシウムや金属紛などの光散乱材やカラー顔料である例えば、フタロシアニン系のシアン顔料、ベンジジン系のイエロー顔料、ローダミン系のマゼンタ顔料、あるいはこの他にもアントラキノン系、アゾ系、アゾ金属錯体、フタロシアニン系、キナクリドン系、ペリレン系、インジゴ系、イソインドリノン系、キナクリドン系、アリルアミド系などの各種顔料や光散乱材を挙げることができる。
例えば、イエロー系顔料としては、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アンスラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物、アリルアミド化合物に代表される化合物が用いられる。より詳細には、C.I.ピグメントイエロー12、13、14、15、17、62、74、83、93、94、95、109、110、111、128、129、147、168等が好適に用いられる。
またマゼンタ系顔料としては、縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アンスラキノン、キナクリドン化合物、レーキ顔料、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、ペリレン化合物が用いられる。より詳細には、C.I.ピグメントレッド2、3、5、6、7、23、48;2、48;3、48;4、57;1、81;1、144、146、166、169、177、184、185、202、206、220、221、254が特に好ましい。
シアン系顔料としては、銅フタロシアニン化合物及びその誘導体、アンスラキノン化合物、塩基染料レーキ化合物等が利用できる。具体的には、例えば顔料としては、C.I.ピグメントブルー1、7、15、15:1、15:2、15;3、15:4、60、62、66等が特に好適に利用できる。
また、使用する顔料や光散乱材の粒径は、1次粒子の平均粒径で0.001μm〜1μmのものが好ましく、特に0.01μm〜0.5μmのものが好ましい。これは粒径が0.01μm以下では高分子ゲルからの流出が起こりやすく、また、0.5μm以上では発色特性が悪くなる恐れを生じるためである。
また、前記したように顔料や光散乱材は高分子ゲル中に含有され、高分子ゲルから流出しないことが必要である。そのためには高分子ゲルの架橋密度を最適化して顔料や光散乱材を高分子網目中に物理的に閉じ込めること、高分子ゲルとの電気的、イオン的、その他物理的な相互作用が高い顔料や光散乱材を用いること、表面を化学修飾した顔料や光散乱材を用いることなどが好ましい。例えば、表面を化学修飾した顔料や光散乱材としては、表面にビニル基などの不飽和基や不対電子(ラジカル)などの高分子ゲルと化学結合する基を導入したものや、高分子材料をグラフト結合したものなどが挙げられる。
高分子ゲル中に含有される顔料や光散乱材の量は、染料と同様に少なくとも液体を含まない状態の高分子ゲル中において飽和吸収濃度以上(あるいは飽和光散乱濃度以上)の濃度が好ましい。
飽和吸収濃度以上(あるいは飽和光散乱濃度以上)にするためには、顔料や光散乱材の光吸収係数や光散乱係数にも依存するが、一般的には3質量%〜95質量%の範囲が好ましく、より好ましくは5質量%〜80質量%の範囲である。顔料(あるいは光散乱材)の濃度が3質量%以下であると、飽和吸収濃度以上(あるいは飽和光散乱濃度以上)とはならず高分子ゲルの体積変化にともなう調光特性が得られない。一方、濃度が95質量%以上の場合は高分子ゲルの応答速度や体積変化量が低下してしまう恐れがある。
このような調光用材料を含む高分子ゲルは、架橋前の高分子に調光用材料を均一に分散、混合した後に架橋する方法や重合時に高分子前駆体モノマ組成物に調光用材料を添加して重合する方法によって製造することができる。重合時において顔料や光散乱材を添加する場合には前記したように重合性基や不対電子(ラジカル)をもつ顔料や光散乱材を使用し、高分子ゲルに化学結合することも好ましく実施される。
また、調光用材料は本発色材料中に極力均一に分散されていることが好ましい。特に、高分子への分散に際して、機械的混練法、攪拌法やあるいは分散剤などを利用して均一に分散させることが望ましい。
また、これらの調光用材料として、分子内に酸基、水酸基、アミノ基、チオール基、ハロゲン、ニトロ基、カルボニル基などの極性基を有し、高分子ゲル内において調光用材料濃度が高い場合に凝集体を形成しやすい特性のものも好ましく使用することができる。このような調光用材料の例としては、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、スルホン酸基を有するフタロシアニン系顔料、アゾ系顔料等を挙げることができる。さらに、高分子ゲルに共有結合するための付加反応性基や重合性基を有する調光用材料や、高分子ゲルとイオン結合などの相互作用する基を有する調光用材料などの各種の化学修飾した調光用材料を用いることも好ましい。
<液体>
本発明に使用される液体としては、水、電解質水溶液、アルコール、ケトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホオキシド、アセトニトリル、プロピレンカーボネートやその他の芳香族系有機溶剤、脂肪族系有機溶剤やそれらの混合物が使用できる。
帯電性高分子ゲルに使用される液体としては、その体積抵抗値が103Ωcm以上であることが好ましく、より好ましくは107Ωcm〜1019Ωcmであり、さらに好ましくは1010〜1019Ωcmである。体積抵抗値を103Ωcm以上とすることで、より効果的に、電極反応に起因する液体の電気分解による気泡の発生が抑制され、通電毎に調光特性が損なわれることがなく、優れた繰り返し安定性を付与することができる。
このような観点からも、液体として絶縁性液体を用いることが特に好適である。なお、液体には、酸、アルカリ、塩、分散安定剤、酸化防止や紫外線吸収などを目的とした安定剤、抗菌剤、防腐剤などを添加することができるが、上記で示した特定の体積抵抗値の範囲となるように添加することが好ましい。液体として具体的には、ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、デカン、ヘキサデカン、ケロセン、パラフィン、イソパラフィン、シリコーンオイル、ジククロロエチレン、トリクロロエチレン、パークロロエチレン、高純度石油、エチレングリコール、アルコール類、エーテル類、エステル類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、2−ピロリドン、N−メチルホルムアミド、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ベンジン、ジイソプロピルナフタレン、オリーブ油、イソプロパノール、トリクロロトリフルオロエタン、テトラクロロエタン、ジブロモテトラフルオロエタンなどや、それらの混合物が好適に使用できる。また、上記示した体積抵抗率の範囲となるよう不純物を除去することで、水(所謂、純水)も好適に使用することができる。
また、液体には高分子ゲルに吸脱する界面活性剤、溶液のpH変化を促進するためのビオロゲン誘導体などの酸化還元剤、酸、アルカリ、塩、および分散安定剤、あるいは防腐剤、抗菌剤、酸化防止や紫外線吸収などの安定剤などを添加しても構わない。さらに、種々顔料や白色顔料や染料などの色素を添加することもできる。
高分子ゲルと液体との混合比は、質量比で1/2000〜1/1(高分子ゲル/液体)の範囲とすることが好ましい。質量比が1/2000を超えると、高分子ゲルの機械的強度などの物性低下の恐れがあり、1/1未満になると、高分子ゲルの刺激応答による体積変化の応答速度が低下する恐れがある
以下、本発明を実施例を用いてさらに詳細に説明するが、本発明は下記実施例により限定されるものではない。
[参考例1] 高温収縮型ゲル
(熱刺激応答性高分子ゲル粒子Aの製造)
色材を含有した感熱型(高温収縮型)高分子ゲルの粒子を以下に示すように逆相懸濁重合によって製造した。主モノマーとしてN−イソプロピルアクリルアミド10g、架橋剤としてメチレンビスアクリルアミド0.1gを用い、これに蒸留水20g、過硫酸アンモニウム0.1g、色材として1次粒径約0.1μmの青色顔料8.0g(大日本インキ化学社製:マイクロカプセル化青色顔料)を添加し、攪拌混合した水溶液を調製した。また、上記の操作は窒素下にて行った。ソルビトール系界面活性剤(第一工業製薬製:ソルゲン50)1.0gをシクロヘキサン200mlに溶解した溶液を窒素置換された反応容器に加え、これに先に調製した水溶液を添加し、回転式攪拌羽根を用いて高速攪拌して乳化させた。乳化後、反応系の温度を20℃に調節し、さらに溶液を攪拌しながらこれにテトラメチルエチレンジアミンの50%水溶液を添加し、重合を行なった。重合後、生成した着色高分子ゲル粒子を回収し、純水で洗浄を行なった。得られた粒子の膨潤状態でのメジアン径は約100μmであった。
この着色粒子の20℃における純水吸水量は約60g/gであった。本ゲル粒子は加熱によって収縮する性質をもち、約35℃に相転移点をもっていた。つまり、相転移点よりも高温では収縮し、低温では膨潤する。この変化は可逆的であり、膨潤・収縮によって粒子の粒径は約2.5倍変化し、すなわち、体積で約16倍程度の変化が得られた。高分子ゲル粒子Aを1.5質量%の水分散液として得た。
(光学素子Aの作製)
大きさ100mm×100mm、厚み2mmのガラス基板1に厚膜レジストを繰り返し塗布して、光透過性で高さ90μm、幅20μmの隔壁を格子状に形成した。格子間隔(隔壁幅含まず)は120μmとした。隔壁の最外周及び内部の一部をさらに積層して、高さ110μmのスペーサを設けた。
トルエンに(ヘプタデカフルオロ‐1、1、2、2−テトラヒドロデシル)トリエトキシシランを攪拌しながら添加し、25質量%溶液を調整し、ここへ基板1及び基板2を浸漬して30分反応させた。基板2は、大きさ100mm×100mm、厚み2mmのガラス基板であった。基板1及び基板2を110℃のオーブン内で加熱乾燥させて高分子ゲルの付着を防止するためのコート層を形成した。次に、基板1上の隔壁内に、高分子ゲル粒子Aの水分散液を満たした。隔壁に囲まれる空間の90%以上に少なくとも高分子ゲルが1個以上入った。基板1上にガラス基板2を載せ、ガラス基板の周囲を紫外線硬化樹脂で封止し、光学素子Aを得た。光学素子Aの隔壁の部分の面積は、総基板面積の27%であった。
(評価)
光学素子Aは、室温20℃では青色で透過率30%だった。これを50℃に加熱すると無色に変化し透過率は80%だった。この色変化は可逆的で、100回繰り返し後にも、粒子の凝集は見られず着色状態及び消色状態における透過率の変化はなかった。透過率は、UV測定装置U−4000(日立製作所製)で測定した。透過率として、380〜780nmの測定値の平均値を使用した。
[参考例2] 高温膨潤型ゲル
(熱刺激応答性高分子ゲル粒子Bの製造)
色材を含有した感熱型(高温膨潤型)高分子ゲルの粒子を以下のようなプロセスにより製造した。アクリルアミド1.0g、架橋剤としてメチレンビスアクリルアミド1.0mgに蒸留水0.575g、色材としてCB顔料(大成化工製、CB顔料)15.0質量%の水分散液3.425gを攪拌混合した水溶液を調整した。ソルビトール系界面活性剤(SO−15R:ニッコーケミカル(株)製)3.9gをシクロヘキサン300mlに溶解した溶液を窒素置換された反応容器に加え、これに、先に調製した水溶液を添加し、回転式攪拌羽根を用いて1200rpmで30分攪拌して懸濁させた。上記の水溶液をフラスコ中に入れ、窒素置換により酸素を除いた後、重合開始剤である過硫酸アンモニウム0.004gを水0.5mlに溶解したものを添加後、60℃に加熱して3時間、重合を行った。重合終了後、大量のアセトンで洗浄することで精製を行い、さらに乾燥させて色材を含有したアクリルアミドゲルを得た。
次にアクリル酸1.5g、架橋剤としてメチレンビスアクリルアミド0.0015gおよび蒸留水5.5gを加え、これに窒素置換後、過硫酸アンモニウム0.006g水0.5gに溶解したもの添加した。この混合液にアクリルアミドゲルの粒子0.5gを加えて混合液を70℃に加熱し、3時間重合を行いIPN高分子ゲルを調製した。大量の蒸留水中に投入し、加熱冷却を行いゲル粒子を膨潤収縮させ、これをろ過する操作を繰り返すことで精製を行った。得られた粒子の膨潤状態での粒径は約50μmであった。
このIPNゲル粒子を大量の純水に加えて膨潤させた。温度、10℃における平衡膨潤状態の吸水量は約3g/gであった。ところが、これを50℃に加熱するとさらに膨潤し、約80g/gの吸水量を示すことがわかった。また、相転移点は30−40℃の温度範囲にあった。つまり、相転移点よりも高温では膨潤し、低温では、収縮する。この変化は可逆的であり、膨潤・収縮によって粒子の粒径は約3倍、すなわち体積で約27倍の変化が得られた。膨潤液として、ポリアクリル酸(M.w.250000)0.2質量%、エチレングリコール30質量%の水溶液を用い、3質量%のゲル分散液を得た。
(光学素子Bの作製)
大きさ100mm×100mm、厚み2mmのガラス基板4、5に、スクリーン印刷でインクとして熱硬化樹脂を用いパターン印刷後加熱硬化する工程を数回繰り返し、光透過性で高さ70μm、幅10μmの隔壁を格子状に形成した。格子間隔(隔壁幅含まず)は70μmとした。トルエンに(ヘプタデカフルオロ‐1、1、2、2−テトラヒドロデシル)トリエトキシシランを攪拌しながら添加し、25質量%溶液を調整し、ここへ基板4及び基板5を浸漬して30分反応させた。110℃のオーブン内で加熱乾燥させてコート層を形成した。基板4上の隔壁内に、高分子ゲル粒子Bの水分散液を満たし、ガラス基板5の隔壁を設けてない面が内側になるように、かつ、基板の法線方向からみた場合に基板4の隔壁(格子)の交点が基板5の隔壁(格子)の略中心となるように(すなわち、基板5の隔壁(格子)の交点が基板4の隔壁(格子)の略中心となるように)して載せ、ガラス基板の周囲を紫外線硬化樹脂で封止した。基板5上の隔壁内に高分子ゲル粒子Bの水分散液を満たし、ガラス基板6を載せ、ガラス基板の周囲を紫外線硬化樹脂で封止し、光学素子Bを得た。ガラス基板6は、大きさ100mm×100mm、厚み2mmのガラス基板であった。
(評価)
光学素子Bは、室温20℃では透明で透過率80%だった。これを50℃に加熱すると黒色に変化し透過率は5%だった。この色変化は可逆的で、100回繰り返し後にも、粒子の凝集は見られず着色状態及び消色状態での透過率の変化はなかった。
[参考例3]
(帯電剤を含む非イオン性高分子ゲル粒子Cの作製)
電界により膨潤・収縮する非イオン性高分子ゲル粒子を以下に示すように逆相懸濁重合により作製した。主モノマーとして、N−イソプロピルアクリルアミド10g、架橋剤としてメチレンビスアクリルアミド0.1gを用い、これに蒸留水20g、過硫酸アンモニウム0.1g、顔料(帯電剤)として1次粒子0.1μmの青色顔料(大日本インキ化学社製:マイクロカプセル化顔料、MC Blue 182−E)8.0gを添加し、攪拌混合した水溶液Aを調整した。上記作業は窒素下にて行った。ソルビトール系界面活性剤(第一工業製薬製:ソルゲン50)1.0gをシクロヘキサン200mlに溶解した溶液を窒素置換された容器に加え、これに先に調整した水溶液Aを添加し、回転式攪拌装置を用いて高速攪拌して乳化させた。乳化後、反応系の温度を20℃に調節し、さらに溶液を攪拌しながらこれにテトラメチルエチレンジアミンの50%水溶液を添加し、重合を行った。重合後、生成した着色高分子ゲルを回収し、純水で洗浄を行った。
その後、凍結乾燥法により着色高分子ゲル中の水分を除去した。乾燥状態の着色高分子ゲルに、蒸留後、モレキュラーシーブを加えて保存しておいたジメチルホルムアミド(DMF(体積抵抗率107Ωcm程度))を加えて非イオン性高分子ゲル粒子Cを膨潤させた。DMF中の吸液量は100g/gで、平均粒径は150μmだった。ゲル粒子の1質量%のDMF分散液を得た。
(光学素子Cの作製)
大きさ100mm×100mm、厚み2mmのガラス基板7、8の全面に、ITO(Indium Tin Oxide)層(導電層)をスパッタリング法により約0.1μmの厚みで均一に形成した。
基板7、8に、参考例1と同様にして隔壁を設けた。高さ180μm、幅20μmの隔壁を格子状に形成した。格子間隔(隔壁幅含まず)は120μmとした。さらに、基板外周部及び隔壁の一部をさらに積層して高さ200μmのスペーサを形成した。
隔壁上部及びスペーサー上部を、感光性黒色顔料含有樹脂を用いて黒色に塗った。トルエンに(ヘプタデカフルオロ‐1、1、2、2−テトラヒドロデシル)トリエトキシシランを攪拌しながら添加し、25質量%溶液を調整し、ここへ基板7を浸漬させ30分反応させた。110℃のオーブン内で加熱乾燥させた。基板8に約0.5μmの厚みでポリイミド層(絶縁層)を形成した。ポリイミド層は、ポリイミド前駆体を印刷法で基板表面に形成し熱処理して形成した。高分子ゲル粒子CのMeOH分散液を基板7のスペーサ上部まで満たし、基板8の絶縁層が基板7と内向し、各基板上の隔壁が基板の法線方向から見て重なるように注意して基板8を基板7上に載せた。MeOH膨潤溶媒中で高分子ゲルCは収縮状態であった。周囲を、1部を除き紫外線硬化樹脂で封止した。未封止部を通して膨潤溶媒をDMFへ置換した。最後に、溶媒置換口を紫外線硬化樹脂で封止し、表示素子Cを得た。光学素子Cの隔壁の部分の面積は、総基板面積の27%であった。
(評価)
得られた光学素子Cは、対向させた電極間に35Vの直流電圧を印加することで、着色高分子ゲル粒子Cの体積が変化することが分かった。体積変化で8倍の変化量だった。着色高分子ゲル粒子が接する電極がカソードとなるときには着色高分子ゲル粒子は、膨潤し、逆にアノードとなるときには収縮した。これにより、電界に応じて着色高分子ゲル粒子は膨潤・収縮することがわかった。反射率から求めたコントラスト比は30以上あり、視認性に優れていた。一方、35V印加電圧の極性の反転による繰り返しを100回実施したが、粒子の凝集は見られず極めて安定であることも確認できた。反射率は、100−透過率(%)で算出した。
[参考例4] 電界ゲル
(帯電剤を含むイオン性高分子ゲル粒子D(着色アクリル酸ゲル)の作製)
黒色顔料(帯電剤)であるカーボンブラックを含有したイオン性高分子ゲル粒子を以下ようなプロセスによって製造した。1次粒径約0.1μmのカーボンブラック(昭和キャボット社製、ショウブラック:以下CBと略す)10gを界面活性剤としてエマルゲン909(花王製)0.3gを添加した蒸留水50mlに混合し、超音波分散装置を用いてCBを均一に分散させたCB分散溶液を調製した。モノマーとしてN−イソプロピルアクリルアミド7g、アクリル酸3g、架橋剤としてメチレンビスアクリルアミド0.02gを蒸留水18mlに溶解し、これに水酸化ナトリウム1.8gを混合してアクリル酸を中和したモノマ水溶液を調製した。この水溶液を先に調製したCB分散溶液と混合し、これをフラスコ中に入れ、脱気、窒素置換した。このモノマー混合物に重合開始剤として、蒸留水2mlに溶解した過硫酸アンモニウム0.2gを添加してモノマー溶液を得た。分散媒であるシクロヘキサン200mlをホモジナイザーの容器に入れ脱気、窒素置換した。ここへ、調整しておいたモノマー溶液を加え、ホモジナイザイーで高速攪拌して乳化した。さらに、重合促進剤としてテトラエチルエチレンジアミン0.1mlを添加し、20℃で5時間重合を行った。
重合により生成した黒色高分子ゲル粒子を大量の蒸留水中に投入し、これをろ過する操作を繰り返すことで精製を行なった。その後、大量のメタノールを用いて脱水し、乾燥させた。得られた高分子ゲルの粗粒子を分級することで、乾燥時の平均粒径が5μmの着色アクリル酸ゲル(黒色高分子ゲル粒子D)を作製した。これを乾燥したDMFで膨潤させた。
DMF中の吸液量は150g/gで、平均粒径は80μmだった。高分子ゲル粒子Dの0.7質量%のDMF分散液を得た。
(表示素子Dの作製)
表示素子Dを、図5及び6を用いて説明する。図5は、表示素子Dの概略断面図を表し、図6は、表示素子Dにおける基板20と基板上に設けられた隔壁26とを表す斜視図である。
厚さ100μmの透明ポリエチレンナフタレートフィルム(基板)20及び22の全面にITO(Indium Tin Oxide)層(導電層)をスパッタリング法により約0.1μmの厚みで均一に形成した。フィルム20に、フォトレジストを塗布して、露光、現像、エッチングによりパターニングした後、フォトレジスト層の剥離除去を行い、2次元配列された個別画素電極24を有するシート20を形成する。こうして形成した透明な個別画素電極24は、それぞれの個別電極に電圧を印加できるように不図示のリード部が個別電極間にパターニングされている。
個別画素電極24のサイズ及びパターンは、60μm角で、後で形成する隔壁の中心に位置するよう10μm間隔で形成した。
このシート20上の個別画素電極24以外の部分(個別画素電極24間とそれらの周囲領域)に厚膜レジストを繰り返し塗布して、高さ90μm、幅10μm、格子間隔(隔壁幅含まず)60μmの隔壁兼スペーサー26を格子状に形成した(図6参照)。トルエンに(ヘプタデカフルオロ‐1、1、2、2−テトラヒドロデシル)トリエトキシシランを攪拌しながら添加し、25質量%溶液を調整し、ここへフィルム20を浸漬させ30分反応させた。110℃のオーブン内で加熱乾燥させてコート層を形成した。フィルム22の導電層25上にポリイミドからなる絶縁層28を設けた。
この格子状隔壁26の各凹部の空間に高分子ゲルDの分散液を充填した。絶縁層28上の隔壁26最上部に対応する面にのみ、感光性黒色樹脂組成物を用いて黒色の着色領域30を形成後、光硬化性接着剤をフィルム22に薄く塗布し、フィルム20上にフィルム22を密着させ紫外線照射により該接着剤を硬化させ接着する。その後、フィルム20及びフィルム22の周囲をエポキシ系接着剤にて封止部32を形成した。個別画素電極24に不図示の電界付与手段を設け表示素子Dを得た。光学素子Dの隔壁の部分の面積は、総基板面積の71%であった。
(評価)
得られた表示素子Dは、対向させた電極間に35Vの直流電圧を印加することで、高分子ゲル粒子Dの体積が変化することが分かった。体積変化で8倍の変化量だった。高分子ゲル粒子Dが接した電極がカソードとなるときには高分子ゲル粒子Dは膨潤し、逆にアノードとなるときには収縮した。これにより、電界に応じて高分子ゲル粒子Dは膨潤・収縮することがわかった。各個別電極毎に着色消色状態を制御した。反射率から求めたコントラスト比は20以上あり、視認性に優れていた。一方、35V印加電圧の極性の反転による繰り返しを100回実施したが、粒子の凝集は見られず極めて安定であることも確認できた。
[比較例1] 高温収縮ゲル
ガラス基板1に隔壁を設けなかった以外は参考例1と同様にして、光学素子Xを作製した。
(評価)
光学素子Xは、室温20℃では青色で透過率20%だった。これを50℃に加熱すると無色に変化し透過率は70%だった。この色変化は可逆的だったが、10回繰り返し後には、色変化しなくなった。ゲル粒子を観察すると凝集が起こり、ほとんど体積変化しなくなっていた。
本発明の光学素子の第一の実施態様を示した概略断面図である。 本発明の光学素子の第二の実施態様を示した概略断面図である。 本発明の光学素子の第三の実施態様を示した概略断面図である。 本発明の光学素子の第四の実施態様を示した概略断面図である。 参考例4における光学素子Dの概略断面図である。 参考例4における光学素子Dの基板と基板上に設けられた隔壁とを表す斜視図である。
符号の説明
1、2、3 基板
5、5’ 隔壁
6 着色領域
7 高分子ゲル
9 液体
10 高分子ゲル組成物層
11 封止部
13 スペーサー
15 電極
100 光学素子

Claims (9)

  1. 対向する一対の基板と、前記一対の基板間に挟持された、刺激により液体を吸収・放出して可逆的に体積変化する特性を有し調光用材料を含有する高分子ゲルと液体とを含む高分子ゲル組成物層とを有する光学素子であって、
    前記一対の基板の一方は、前記高分子ゲル組成物層を分割する光透過性の隔壁を有し、前記隔壁は、前記一対の基板の一方の基板から他方の基板に向けて備えられてなり、前記隔壁の頂点部と前記他方の基板との間の最短距離は収縮状態の前記高分子ゲルの直径あるいは短径よりも小さく、且つ、前記隔壁の頂点部は前記他方の基板と接しておらず、前記一方の基板と前記隔壁とが接する部分を含む、前記一方の基板の前記高分子ゲルの膨潤によっても調光能を示さず光透過可能な面は、着色されている光学素子。
  2. 前記一対の基板と前記隔壁とで囲まれた空間に、前記高分子ゲルが少なくとも1個存在する請求項1に記載の光学素子。
  3. 前記隔壁の一部又は前記基板の一部が着色されている請求項1又は2に記載の光学素子。
  4. 前記高分子ゲルは、帯電性高分子ゲルである請求項1乃至3のいずれか1項に記載の光学素子。
  5. 前記帯電性高分子ゲルは、イオン性高分子ゲルである請求項4に記載の光学素子。
  6. 前記帯電性高分子ゲルは、帯電剤を含むイオン性高分子ゲルである請求項4に記載の光学素子。
  7. 前記帯電性高分子ゲルは、帯電剤を含む非イオン性高分子ゲルである請求項4に記載の光学素子。
  8. 前記液体の体積抵抗率は、103Ωcm以上である請求項1乃至7のいずれか1項に記載の光学素子。
  9. 前記基板の少なくとも一方は、絶縁層を有する請求項1乃至8のいずれか1項に記載の光学素子。
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