JP6077874B2 - 感温性調光シートおよびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、温度変化に応じて光線透過率が変化する感温性調光シートおよびその製造方法に関するものである。
従来より、建築物の透明な窓においては、太陽光による室内の過度な温度上昇を防止すべく、温度によって光線透過率が変化する調光パネルの採用が提案されている。かかる感温性の調光パネルとしては、例えば、特許文献1〜3に記載のものが知られている。
特許文献1の調光パネルでは、感温性の調光材料として、温度上昇により白濁化または着色して色調が変わり温度降下により元の状態に戻る有機材料溶液、例えば、水溶性高分子化合物の溶液または非イオン性界面活性剤の溶液を使用しており、その有機材料溶液を複数枚のガラス板パネル間に挟み、周縁部をシール材によってシールしている。
特許文献2の調光パネルでは、感温性の調光材料として、加熱すると分子の立体構造が変化して凝集し、白濁化して不透明となるメチルセルロースまたはヒドロキシプロピル・メチルセルロース誘導体を1〜15%溶かした水溶液を使用しており、その水溶液を2枚の透明板間に封入している。
特許文献3の調光パネルでは、感温性の調光材料として、温度の上昇により凝集による白濁散乱を起こして光透過率が小さくなる多糖類誘導体と、両親媒性物質と、水とを含有する等方性水溶液を使用しており、その等方性水溶液を2枚の透明な基板間に封入している。
特開平8−26781号公報 特開平10−48674号公報 特許第3337810号公報
しかしながら、特許文献1〜3のように感温性の調光材料として溶液状の感温性調光材料を使用した場合、当該溶液状の感温性調光材料を漏らさないように封入するのに煩雑な製造工程を必要とし、また、調光パネルが破損したときに、溶液状の感温性調光材料が漏れ出すため、安全性に問題がある。
一方、上記の調光パネルは、厚みが大きいため、既存の窓にそのまま取り付けるには、構造上の制約があった。上記の調光パネルを薄いシート状にできれば、それを既存の窓に貼付することで、当該窓を簡易に感温調光にものにすることができる。
しかしながら、調光パネルをシート状にするために、ガラス板等の透明基板を薄い透明プラスチックフィルムに変更すると、溶液状の感温性調光材料の封入がより困難になり、かつ、溶液状の感温性調光材料が非常に漏れ易くなるという問題がある。
本発明は、このような実状に鑑みてなされたものであり、感温性材料の封入が容易であり、かつ、感温性材料が漏れ難い感温性調光シートおよびその製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、第1に本発明は、2枚のガスバリア性を有する透明基材と、前記2枚の透明基材の間に位置し、前記2枚の透明基材の間の空間を平面方向に区画する隔壁と、前記2枚の透明基材と前記隔壁とに囲まれた空間に封入された、温度変化に応じて光線透過率が変化する感温性材料とを備えた感温性調光シートであって、前記隔壁は、エネルギー線硬化性材料を硬化させたものからなることを特徴とする感温性調光シートを提供する(発明1)。
上記発明(発明1)においては、上記隔壁によって区画された空間に感温性材料を入れることで、感温性調光シート中に容易に感温性材料を封入することができる。また、そのように封入された感温性材料は、感温性調光シートから漏れ難く、仮に感温性調光シートの一部のセルが破断したとしても、当該セルに入っていた感温性材料だけが漏れ、破断していないセルにおける感温性材料は、封入された状態が維持される。さらに、エネルギー線硬化性材料を硬化させてなる上記隔壁は、マスキングを利用してエネルギー線を照射することにより、容易に形成することができる。また、エネルギー線硬化性材料は、一方の透明基材に対し、直接塗布して隔壁を形成することができるため、当該透明基材と隔壁との間で接着剤を必要とすることがなく、容易に隔壁を形成することができ、ひいては感温性材料を容易に封入することができる。
上記発明(発明1)において、前記隔壁の厚み方向の少なくとも一端面は、前記透明基材と直接接着していることが好ましく(発明2)、前記隔壁の厚み方向の両端面が、前記透明基材と直接接着していてもよい(発明3)。
上記発明(発明1〜3)において、前記隔壁は、ガスバリア性を有することが好ましい(発明4)。
上記発明(発明1〜4)において、前記隔壁は、平面視ハニカム状のハニカム構造を有することが好ましい(発明5)。
上記発明(発明1〜5)において、前記感温性材料は、ゲル状であることが好ましい(発明6)。
第2に本発明は、ガスバリア性を有する第1の透明基材の片面に、エネルギー線硬化性材料を塗布してエネルギー線硬化性層を形成し、前記エネルギー線硬化性層を、所望のパターンを有するマスキング材でマスキングし、その状態で前記エネルギー線硬化性層にエネルギー線を照射して、前記エネルギー線硬化性層の非マスキング部分を硬化させ、前記エネルギー線硬化性層の硬化部分を残して、非硬化部分を除去することにより、隔壁を形成し、前記隔壁によって区画された空間に、温度変化に応じて光線透過率が変化する感温性材料を充填し、前記隔壁の前記第1の透明基材側と反対側の端面と、第2の透明基材とを、直接または接着剤を介して接着することを特徴とする感温性調光シートの製造方法を提供する(発明7)。
第3に本発明は、ガスバリア性を有する第1の透明基材の片面に、エネルギー線硬化性材料を塗布してエネルギー線硬化性層を形成し、前記エネルギー線硬化性層にエネルギー線を照射して、前記エネルギー線硬化性層を硬化させて、硬化層とし、前記硬化層を所望のパターンで厚み方向にカットして、不要部分を除去することにより、隔壁を形成し、前記隔壁によって区画された空間に、温度変化に応じて光線透過率が変化する感温性材料を充填し、前記隔壁の前記第1の透明基材側と反対側の端面と、第2の透明基材とを、直接または接着剤を介して接着することを特徴とする感温性調光シートの製造方法を提供する(発明8)。
上記発明(発明7,8)においては、前記隔壁の前記第1の透明基材側と反対側の端面と、前記第2の透明基材とを接着する段階において、前記隔壁は粘着性または接着性を発揮することができ、前記粘着性または接着性を利用して、前記隔壁の前記第1の透明基材側と反対側の端面と、第2の透明基材とを、直接接着することが好ましい(発明9)。
本発明に係る感温性調光シートによれば、感温性材料の封入が容易であり、かつ、感温性材料が感温性調光シートから漏れ難い。また、本発明に係る感温性調光シートの製造方法によれば、感温性材料の封入が容易であり、また、感温性材料が漏れ難い感温性調光シートを製造することができる。
本発明の一実施形態に係る感温性調光シートの断面図である。 本発明の一実施形態に係る感温性調光シートの平面図である。
以下、本発明の実施形態について説明する。
〔感温性調光シート〕
本発明の一実施形態に係る感温性調光シートの断面図を図1に、平面図を図2に示す。図1および図2に示すように、本発明の一実施形態に係る感温性調光シート1は、2枚のガスバリア性を有する透明基材2,2と、2枚の透明基材2,2の間に位置し、2枚の透明基材2,2の間の空間を平面方向に区画する隔壁3と、2枚の透明基材2,2と隔壁3とに囲まれた空間(以下「セル」という場合がある。)に封入された感温性材料4とを備えて構成される。なお、本明細書におけるガスバリア性とは、空気中の酸素、窒素、二酸化炭素、水蒸気等の気体を透過させ難い性能のことをいう。
〔透明基材〕
透明基材2は、可視光領域から赤外線領域に透過性を有し、かつガスバリア性、特に水蒸気に対してガスバリア性を有するものである。透明基材2としては、主として透明なフィルム体が挙げられるが、これに限定されるものではなく、透明な板体であってもよい。透明基材2がガスバリア性を有すると、感温性材料4の水分が蒸発することを抑制することができるのみならず、外部から水蒸気、例えば結露に起因する水蒸気が浸入してくることを抑制することができる。特に、感温性調光シート1をガラス窓に貼付した場合、2枚の透明基材2,2のうち、ガラス窓とは反対側の透明基材2から水蒸気が浸入し易く、それにより感温性調光シート1の表裏で膨張率が変化し、感温性調光シート1にカールが生じることがあるが、透明基材2がガスバリア性を有することで、そのようなカールの発生を防止することができる。
透明基材2のガスバリア性は、水蒸気透過率が1×10g/m・day以下となるレベルであることが好ましく、特に水蒸気透過率が1×101g/m・day以下となるレベルであることが好ましく、さらには水蒸気透過率が1×10g/m・day以下となるレベルであることが好ましい。なお、本明細書における水蒸気透過率は、JIS K 7129:2008に準拠して測定した値である。具体的には、水蒸気透過率が0.01g/m/day以上の場合は、LYSSY社製の透過率測定機「L89−500」を用い、水蒸気透過率が0.01g/m/day未満の場合は、TECHNOLOX社製の透過率測定機「DELTAPERM」を用い、40℃、相対湿度90%の条件で測定を行った値とする。
図1に示すように、本実施形態における透明基材2は、基材本体21とガスバリア層22とからなり、2枚の透明基材2,2は、それぞれガスバリア層22が隔壁3側となるように設けられている。ただし、本発明はこれに限定されるものではなく、単層でガスバリア性を有する透明材料を使用すれば、ガスバリア層22は不要である。
基材本体21としては、好ましくは樹脂フィルムが使用される。樹脂フィルムとしては、特に制限されるものではないが、所定の強度を有するとともに、ガスバリア層22との組み合わせで、またはガスバリア層22なしでも、上記のガスバリア性を発揮するものが好ましい。樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリメタクリル酸メチル、ポリブテン、ポリブタジエン、ポリメチルペンテン、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレン(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン(メタ)アクリル酸エステル共重合体、ABS樹脂、アイオノマー樹脂などの樹脂からなるフィルム、またはそれらの積層フィルム等が挙げられる。それらの中でも、強度およびガスバリア性の観点から、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアリレート等からなるフィルムが好ましい。樹脂フィルムは、延伸フィルムであってもよいし、無延伸フィルムであってもよい。また、樹脂フィルムは、紫外線吸収剤等の各種添加剤を含んだものであってもよい。なお、本明細書において、(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸およびメタクリル酸の両方を意味する。他の類似用語も同様である。
基材本体21の厚さは、1〜500μmであることが好ましく、特に5〜300μmであることが好ましく、さらには10〜100μmであることが好ましい。
ガスバリア層22の材料としては、透明基材2のガスバリア性を所望のレベルにすることができ、かつ、透明なものであれば、特に限定されることはない。ガスバリア層22の材料としては、例えば、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、ポリシラザン化合物、ポリカルボシラン化合物、ポリシラン化合物、ポリオルガノシロキサン化合物、テトラオルガノシラン化合物等のケイ素化合物、酸化アルミニウム、酸窒化アルミニウム等のアルミニウム化合物、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化スズ等の無機酸化物等が挙げられる。上記の中でも、ガスバリア性および透明性の観点から、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、ポリシラザン化合物等が好ましい。これらは、1種を単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
ガスバリア層22の厚さは、10〜1000nmであることが好ましく、特に、20〜500nmであることが好ましく、さらには50〜200nmであることが好ましい。
ガスバリア層22を基材本体21に対して形成する方法は、使用する材料に応じて適宜選択すればよい。例えば、上記ガスバリア層22の材料を有機溶剤に溶解した溶液を、基材本体21に塗布し、得られた塗膜を適度に乾燥して形成する方法や、蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、熱CVD法、プラズマCVD法等により基材本体21上に形成する方法、あるいは上記ガスバリア層22の材料を塗布した後にプラズマイオン注入する方法などが挙げられる。プラズマイオン注入にて注入されるイオンとしては、例えば、アルゴン、ヘリウム、ネオン、クリプトン、キセノン等の希ガス、フルオロカーボン、水素、窒素、酸素、二酸化炭素、塩素、フッ素、硫黄等のイオン;金、銀、銅、白金、ニッケル、パラジウム、クロム、チタン、モリブデン、ニオブ、タンタル、タングステン、アルミニウム等の金属のイオンなどが挙げられる。
なお、透明基材2または基材本体21は、ガラス板であってもよい。ガラス板としては、例えば、ソーダライムガラス、鉛ガラス、アルミノケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス、バリウムホウケイ酸ガラス、バリウム・ストロンチウム含有ガラス、石英等からなる無機ガラス板;ポリメチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル樹脂、ポリジエチレングリコールビスアリルカーボネート等のポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリメチルスチレン等のポリスチレン樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリオレフィン樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂などからなる有機ガラス板;ハイブリッドガラスなどを好ましく挙げることができる。
ガラス板の厚さは、0.05〜100mmであることが好ましく、特に0.1〜80mmであることが好ましく、さらには1〜50mmであることが好ましい。
〔隔壁〕
隔壁3は、2枚の透明基材2,2の間の空間を平面方向に区画するものである。このような隔壁3を設け、隔壁3によって区画された空間に感温性材料4を入れることで、感温性調光シート1中に容易に感温性材料4を封入することができる。また、2枚の透明基材2,2と隔壁3とによって形成されたセルに封入された感温性材料4は、感温性調光シート1から漏れ難く、仮に感温性調光シート1の一部のセルが破断したとしても、当該セルに入っていた感温性材料4だけが漏れ、破断していないセルにおける感温性材料4は、封入された状態が維持される。さらに、感温性材料4がセルに封入されることにより、感温性調光シート1を裁断しても、裁断部分のセルにおける感温性材料4が漏れ出すだけなので、感温性調光シート1を所望の位置で裁断することが可能となる。
本実施形態における隔壁3は、エネルギー線硬化性材料を硬化させたものからなる。エネルギー線硬化性材料は、紫外線や電子線等のエネルギー線を照射することにより硬化する特性を有する材料である。エネルギー線硬化性材料によれば、マスキングを利用してエネルギー線を照射することで、所望の形状に硬化させ、硬化部分を残して非硬化部分を除去することができるため、容易に隔壁3を形成することができる。また、エネルギー線硬化性材料は、一方の透明基材2に対し、直接塗布して隔壁3を形成することができるため、当該透明基材2と隔壁3との間で接着剤を必要とすることがなく、容易に隔壁3を形成することができ、ひいては感温性材料4を容易に封入することができる。さらに、一方の透明基材2に形成された隔壁3(を構成するエネルギー線硬化性材料)が粘着性または接着性を発揮し得る場合には、当該粘着性または接着性を利用して、隔壁3と他方の透明基材2とを直接接着することができ、したがって感温性材料4を容易に封入することができる。さらにまた、エネルギー線硬化性材料を硬化させてなる隔壁3は、ある程度の硬度を有し、変形し難いため、感温性調光シート1を安定性および耐久性に優れたものとすることができる。
エネルギー線硬化性材料としては、隔壁3を形成することができるものであれば特に限定されないが、例えば、エネルギー線硬化性を有するポリマーを主成分とするもの、エネルギー線硬化性を有しないポリマーとエネルギー線硬化性のモノマーおよび/またはオリゴマーとの混合物を主成分とするもの、エネルギー線硬化性を有するポリマーとエネルギー線硬化性のモノマーおよび/またはオリゴマーとの混合物を主成分とするものなどを好ましく使用することができる。
エネルギー線硬化性を有するポリマーとしては、例えば、側鎖にエネルギー線硬化性基を有する(メタ)アクリル酸エステル共重合体(以下「エネルギー線硬化性(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)」という。)を使用することができる。エネルギー線硬化性(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)は、官能基含有モノマー単位を有するアクリル系共重合体(a1)と、その官能基に結合する置換基を有する不飽和基含有化合物(a2)とを反応させて得られるものが好ましい。
アクリル系共重合体(a1)は、官能基含有モノマーから導かれる構成単位と、(メタ)アクリル酸エステルモノマーまたはその誘導体から導かれる構成単位とを含有する。
アクリル系共重合体(a1)が構成単位として含有する官能基含有モノマーは、重合性の二重結合と、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基、置換アミノ基、エポキシ基等の官能基とを分子内に有するモノマーであり、好ましくはヒドロキシル基含有不飽和化合物またはカルボキシル基含有不飽和化合物が用いられる。
このような官能基含有モノマーのさらに具体的な例としては、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート等のヒドロキシル基含有アクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸等のカルボキシル基含有化合物が挙げられ、これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて用いられる。
アクリル系共重合体(a1)が構成単位として含有する(メタ)アクリル酸エステルモノマーとしては、シクロアルキル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、アルキル基の炭素数が1〜18である(メタ)アクリル酸アルキルエステルが用いられる。これらの中でも、特に好ましくはアルキル基の炭素数が1〜18である(メタ)アクリル酸アルキルエステル、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等が用いられる。
アクリル系共重合体(a1)は、上記官能基含有モノマーから導かれる構成単位を通常3〜100質量%、好ましくは5〜40質量%、特に好ましくは10〜30質量%の割合で含有し、(メタ)アクリル酸エステルモノマーまたはその誘導体から導かれる構成単位を通常0〜97質量%、好ましくは60〜95質量%、特に好ましくは70〜90質量%の割合で含有してなる。
アクリル系共重合体(a1)は、上記のような官能基含有モノマーと、(メタ)アクリル酸エステルモノマーまたはその誘導体とを常法で共重合することにより得られるが、これらモノマーの他にも少量(例えば10質量%以下、好ましくは5質量%以下)の割合で、蟻酸ビニル、酢酸ビニル、スチレン等が共重合されてもよい。
不飽和基含有化合物(a2)が有する置換基は、アクリル系共重合体(a1)が有する官能基含有モノマー単位の官能基の種類に応じて、適宜選択することができる。例えば、官能基がヒドロキシル基、アミノ基または置換アミノ基の場合、置換基としてはイソシアネート基またはエポキシ基が好ましく、官能基がカルボキシル基の場合、置換基としてはアジリジニル基、エポキシ基またはオキサゾリン基が好ましく、官能基がエポキシ基の場合、置換基としてはアミノ基、カルボキシル基またはアジリジニル基が好ましい。このような置換基は、不飽和基含有化合物(a2)1分子毎に一つずつ含まれている。
また不飽和基含有化合物(a2)には、エネルギー線重合性の炭素−炭素二重結合が、1分子毎に1〜5個、好ましくは1〜2個含まれている。このような不飽和基含有化合物(a2)の具体例としては、例えば、アクリロイルオキシエチルイソシアネート、メタクリロイルオキシエチルイソシアネート、メタ−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネート、メタクリロイルイソシアネート、アリルイソシアネート;ジイソシアネート化合物またはポリイソシアネート化合物と、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとの反応により得られるアクリロイルモノイソシアネート化合物;ジイソシアネート化合物またはポリイソシアネート化合物と、ポリオール化合物と、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとの反応により得られるアクリロイルモノイソシアネート化合物;グリシジル(メタ)アクリレート;(メタ)アクリル酸、2−(1−アジリジニル)エチル(メタ)アクリレート、2−ビニル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン等が挙げられる。
不飽和基含有化合物(a2)は、上記アクリル系共重合体(a1)の官能基含有モノマー100当量当たり、通常20〜100当量、好ましくは40〜100当量、特に好ましくは60〜100当量の割合で用いられる。
エネルギー線硬化性(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)は、アクリル系共重合体(a1)と、不飽和基含有化合物(a2)とを、有機溶媒中にて常法で反応させることにより得られる。エネルギー線硬化性(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)の重量平均分子量(Mw)は、10,000〜100,000であることが好ましく、特に20,000〜80,000であることが好ましく、さらには30,000〜60,000であることが好ましい。なお、本明細書における重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定したポリスチレン換算の値である。
エネルギー線硬化性材料が、エネルギー線硬化性を有するポリマーを主成分とする場合であっても、エネルギー線硬化性材料は、エネルギー線硬化性のモノマーおよび/またはオリゴマー(B)をさらに含有してもよい。
エネルギー線硬化性のモノマーおよび/またはオリゴマー(B)としては、例えば、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル等を使用することができる。
かかるエネルギー線硬化性のモノマーおよび/またはオリゴマー(B)としては、例えば、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等の単官能性アクリル酸エステル類、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート等の多官能性アクリル酸エステル類、ポリエステルオリゴ(メタ)アクリレート、ポリウレタンオリゴ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
エネルギー線硬化性のモノマーおよび/またはオリゴマー(B)を配合する場合、エネルギー線硬化性材料中におけるエネルギー線硬化性のモノマーおよび/またはオリゴマー(B)の含有量は、5〜80質量%であることが好ましく、特に20〜60質量%であることが好ましい。
ここで、エネルギー線硬化性樹脂組成物を硬化させるためのエネルギー線として紫外線を用いる場合には、光重合開始剤(C)を添加することが好ましく、この光重合開始剤(C)の使用により、重合硬化時間および光線照射量を少なくすることができる。
光重合開始剤(C)としては、具体的には、ベンゾフェノン、アセトフェノン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾイン安息香酸、ベンゾイン安息香酸メチル、ベンゾインジメチルケタール、2,4−ジエチルチオキサンソン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンジルジフェニルサルファイド、テトラメチルチウラムモノサルファイド、アゾビスイソブチロニトリル、ベンジル、ジベンジル、ジアセチル、β−クロールアンスラキノン、(2,4,6−トリメチルベンジルジフェニル)フォスフィンオキサイド、2−ベンゾチアゾール−N,N−ジエチルジチオカルバメート、オリゴ{2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−プロペニル)フェニル]プロパノン}、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オンなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
光重合開始剤(C)は、エネルギー線硬化型共重合体(A)(エネルギー線硬化性のモノマーおよび/またはオリゴマー(B)を配合する場合には、エネルギー線硬化型共重合体(A)およびエネルギー線硬化性のモノマーおよび/またはオリゴマー(B)の合計量100質量部)100質量部に対して0.1〜10質量部、特には0.5〜6質量部の範囲の量で用いられることが好ましい。
エネルギー線硬化性材料においては、上記成分以外にも、適宜他の成分を配合してもよい。他の成分としては、例えば、エネルギー線硬化性を有しないポリマー成分またはオリゴマー成分(D)、架橋剤(E)等が挙げられる。
エネルギー線硬化性を有しないポリマー成分またはオリゴマー成分(D)としては、例えば、ポリアクリル酸エステル、ポリエステル、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリオレフィン等が挙げられ、重量平均分子量(Mw)が3,000〜2,500,000のポリマーまたはオリゴマーが好ましい。
架橋剤(E)としては、エネルギー線硬化型共重合体(A)等が有する官能基との反応性を有する多官能性化合物を用いることができる。このような多官能性化合物の例としては、イソシアネート化合物、エポキシ化合物、アミン化合物、メラミン化合物、アジリジン化合物、ヒドラジン化合物、アルデヒド化合物、オキサゾリン化合物、金属アルコキシド化合物、金属キレート化合物、金属塩、アンモニウム塩、反応性フェノール樹脂等を挙げることができる。
これら他の成分(D),(E)をエネルギー線硬化性材料に配合することにより、硬化前における粘着性、硬化後の強度、他の層との接着性、保存安定性などを改善し得る。これら他の成分の配合量は特に限定されず、エネルギー線硬化型共重合体(A)100質量部に対して0〜40質量部の範囲で適宜決定される。
次に、エネルギー線硬化性材料が、エネルギー線硬化性を有しないポリマー成分とエネルギー線硬化性のモノマーおよび/またはオリゴマーとの混合物を主成分とする場合について、以下説明する。
エネルギー線硬化性を有しないポリマー成分としては、例えば、前述したアクリル系共重合体(a1)と同様の成分が使用できる。エネルギー線硬化性樹脂組成物中におけるエネルギー線硬化性を有しないポリマー成分の含有量は、20〜99.9質量%であることが好ましく、特に30〜80質量%であることが好ましい。
エネルギー線硬化性のモノマーおよび/またはオリゴマーとしては、前述の成分(B)と同じものが選択される。エネルギー線硬化性を有しないポリマー成分とエネルギー線硬化性のモノマーおよび/またはオリゴマーとの配合比は、ポリマー成分100質量部に対して、エネルギー線硬化性のモノマーおよび/またはオリゴマー10〜150質量部であることが好ましく、特に25〜100質量部であることが好ましい。
この場合においても、上記と同様に、光重合開始剤(C)や架橋剤(E)を適宜配合することができる。
図2に示すように、本実施形態における隔壁3は、強度や使用する材料の少なさ等の面から、平面視ハニカム状のハニカム構造(正六角形を隙間なく並べた構造)を有する。ただし、これに限定されることなく、隔壁3は、例えば格子状構造であってもよいし、複数の円形や多角形を抜いた構造であってもよい。
隔壁3の高さ(厚さ)は、1〜3000μmであることが好ましく、特に10〜1000μmであることが好ましく、さらには20〜500μmであることが好ましい。隔壁3の高さが低過ぎると、感温性材料4の厚さが薄くなり過ぎて、所望の調光効果が得られないおそれがある。また、隔壁3の高さが高過ぎると、感温性調光シート1の厚さが不要に厚くなるおそれがある。
隔壁3の幅は、5〜5000μmであることが好ましく、特に10〜2000μmであることが好ましく、さらには100〜1000μmであることが好ましい。隔壁3の幅が細過ぎると、隔壁3の強度が低下して、外力により隔壁3が容易に破壊されるおそれがある。隔壁3の幅が太過ぎると、隔壁3が目立ち過ぎたり、所望の調光効果が得られないおそれがある。
隔壁3によって区画された空間(セル)の平面方向の面積は、0.1〜10000mmであることが好ましく、特に1〜3000mmであることが好ましく、さらには20〜500mmであることが好ましい。セル面積が小さ過ぎると、隔壁3を容易に製造することができなくなるおそれがある。セル面積が大き過ぎると、隔壁3によって区画するメリットが小さくなるおそれがある。
隔壁3は、ガスバリア性、特に水蒸気に対してガスバリア性を有することが好ましい。隔壁3がガスバリア性を有すると、感温性材料4中の水分が隔壁3から蒸発することを抑制することができるのみならず、外部から隔壁3を介して水蒸気、例えば結露に起因する水蒸気が浸入してくることを抑制することができる。
隔壁3のガスバリア性は、水蒸気透過率が1×10g/m・day以下となるレベルであることが好ましく、特に水蒸気透過率が1×10g/m・day以下となるレベルであることが好ましく、さらには水蒸気透過率が5×10g/m・day以下となるレベルであることが好ましい。
なお、隔壁3の水蒸気透過率は、次のようにして測定する。隔壁3の形成に用いる材料(隔壁材料)を、剥離処理されたポリエチレンテレフタレート樹脂基材の剥離処理面に均一に塗布し、その塗膜の表面に、別の剥離処理されたポリエチレンテレフタレート樹脂基材の剥離処理面を貼合して、エネルギー線を照射することで隔壁材料を完全硬化させる。そして、硬化した隔壁材料の両側からポリエチレンテレフタレート樹脂基材を剥離し、得られた均一な厚み(1000μm)の樹脂フィルムを試料として、水蒸気透過率を測定する。水蒸気透過率の測定方法は、透明基材2における水蒸気透過率の測定方法と同様である。
〔感温性材料〕
感温性材料4は、温度変化に応じて全光線透過率が変化する材料である。感温性材料4は、液体状であってもよいし、ゲル状であってもよい。ゲル状であれば、感温性調光シート1からより漏れ難いものとなる。
感温性材料4としては、特に限定されず、従来公知のものを使用することができる。例えば、N−n−プロピルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−t−ブチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−アクリロイルピロリジン、N−アクリロイルピペリジン、N−アクリロイルモルホリン、N−n−プロピルメタクリルアミド、N−イソプロピルメタクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N−メタクリロイルピロリジン、N−メタクリロイルピペリジン、N−メタクリロイルモルホリン等のN置換(メタ)アクリルアミド誘導体の1種または2種以上をモノマー成分とする重合体;ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール部分酢化物、ポリビニルメチルエーテル、(ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン)ブロックコポリマー、ポリオキシエチレンラウリルアミン等のポリオキシエチレンアルキルアミン誘導体;ポリオキシエチレンソルビタンラウレート等のポリオキシエチレンソルビタンエステル誘導体;(ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル)アクリレート、(ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル)メタクリレート等の(ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル)(メタ)アクリレート類;(ポリオキシエチレンラウリルエーテル)アクリレート、(ポリオキシエチレンオレイルエーテル)メタクリレート等の(ポリオキシエチレンアルキルエーテル)(メタ)アクリレート類等のポリオキシエチレン(メタ)アクリル酸エステル誘導体などの感温性成分を、水または有機溶媒に溶解したものを使用することができる。上記の感温性成分は、1種を単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
また、感温性材料4としては、ポリマーブレンド系の感温性成分を使用することもできる。ポリマーブレンド系の感温性成分としては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸等のモノカルボン酸、ビニルアルコール、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の水酸基含有化合物の1種または2種以上をモノマー成分とする第1の重合体(共重合体を含む)と、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、N−アクリロイルモルホリン、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル等の1種または2種以上をモノマー成分とする第2の重合体(共重合体を含む)との混合物が挙げられる。
第1の重合体と第2の重合体との混合比は、質量基準で1:99〜8:2であることが好ましく、特に1:9〜5:5であることが好ましい。また、第1の重合体の重量平均分子量(Mw)は、10,000〜1,000,000であることが好ましく、特に50,000〜500,000であることが好ましい。第2の重合体の重量平均分子量(Mw)は、100〜10,000であることが好ましく、特に500〜7,000であることが好ましい。
感温性材料4は、感温性調光シート1からのさらなる漏れ防止のために、光硬化性成分を含有し(硬化前の感温性材料4として)、光硬化によるゲル化によって形状を保持するようにしてもよい。光硬化性成分としては、多官能のモノマー、特に(メタ)アクリルモノマーが好ましく、具体的には、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリス((メタ)アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは、1種を単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
感温性材料4が上記の光硬化性成分を含有する場合、さらに光重合開始剤を含有することが好ましい。光重合開始剤としては、特に限定されず、例えば、前述した光重合開始剤(C)と同様のものを使用することができる。
感温性材料4は、常温では全光線透過率が高く、常温からの温度上昇により白濁化または着色して全光線透過率が低くなることが好ましい。全光線透過率の変化前後の差は、50%以上であることが好ましく、特に60%以上であることが好ましく、さらには70〜99%であることが好ましい。なお、全光線透過率は、JIS K 7361:1997に準拠して測定した値であり、具体的には、島津製作所社製の分光光度計「UV−3101PC」を用いて測定した値である。
感温性材料4における全光線透過率の変化開始温度は、10〜100℃の範囲内であることが好ましく、特に20〜80℃の範囲内であることが好ましく、さらには30〜70℃の範囲内であることが好ましい。
〔感温性調光シートの製造方法〕
本実施形態に係る感温性調光シート1は、一例として、次の製造方法によって製造することができる。
最初に、第1の透明基材2の片面に、エネルギー線硬化性材料と、所望により溶剤とを含有する塗布液を塗布し、必要に応じて乾燥させて、エネルギー線硬化性層を形成する。エネルギー線硬化性材料の塗布液の塗布は、例えば、ロールコーター、ナイフコーター、ロールナイフコーター、エアナイフコーター、ダイコーター、バーコーター、グラビアコーター、カーテンコーター等を使用して行うことができる。
次に、上記エネルギー線硬化性層を、所望のパターンを有するマスキング材でマスキングする。例えば、図2に示すハニカム構造の隔壁3を形成する場合には、ハニカム状のエネルギー線透過部分が存在し、その他の部分がエネルギー線不透過部分となっているマスキング材等によってマスキングする。
その状態で、エネルギー線硬化性層にエネルギー線を照射して、エネルギー線硬化性層の非マスキング部分を硬化(半硬化を含む)させる。エネルギー線としては、紫外線や電子線等が挙げられるが、中でも紫外線が好ましい。紫外線の照射量は、光量で100〜1000mJ/cm程度が好ましい。紫外線照射は、高圧水銀ランプ、フュージョンHランプ、キセノンランプ等によって行うことができる。
エネルギー線硬化性層の非マスキング部分が硬化したら、当該硬化部分を残して、非硬化部分を除去する。非硬化部分の除去は、溶剤や水で洗い流す方法により好ましく行うことができる。また、エネルギー線硬化性層に積層したマスキング材に非硬化部分を付着させて、マスキング材を剥がすとともに非硬化部分を除去してもよいし、粘着シート等を用いて、非硬化部分を粘着シートに接着させた後、粘着シート等を剥がすとともに非硬化部分を除去してもよい。これらの方法により、所望のパターンを有する隔壁3が形成される。
このように、本実施形態に係る感温性調光シート1の製造方法によれば、エネルギー線硬化性材料を使用することで、容易に隔壁3を形成することができる。
次いで、隔壁3によって区画された空間に、感温性材料を充填する。感温性材料の充填は、例えば、感温性材料と、所望により溶剤とを含有する塗布液を、第1の透明基材2の隔壁3側の面に塗布し、必要に応じて乾燥することにより行うことができる。感温性材料の塗布液の塗布は、例えば、ロールコーター、ナイフコーター、ロールナイフコーター、エアナイフコーター、ダイコーター、バーコーター、グラビアコーター、カーテンコーター等を使用して行うことができる。また、スポイト等を用いて、感温性材料の塗布液を上記空間に充填してもよい。隔壁3によって区画された空間から溢れた余分な塗布液は、スキージ等を使用して除去することができる。また、後述するように隔壁3と第2の透明基材2とを積層した後、その積層体を2本のロール間に通すことにより、余分な塗布液を押し出すようにしてもよい。
最後に、隔壁3の第1の透明基材2側と反対側の端面と、第2の透明基材2とを接着する。このとき、隔壁3が粘着性を有する場合、または熱等をトリガーとして粘着性を発揮する場合には、その粘着性を利用して隔壁3と第2の透明基材2とを接着することができる。また、隔壁3が接着性を有する場合、または熱やエネルギー線の照射等をトリガーとして接着性を発揮する場合には、その接着性を利用して隔壁3と第2の透明基材2とを接着することができる。隔壁3は、粘着性および接着性の双方を有していてもよいし、または発揮してもよい。
例えば、隔壁3の形成時にエネルギー線硬化性材料が半硬化状態にあり、上記の時点でさらにエネルギー線を照射することにより、エネルギー線硬化性材料が完全硬化するとともに接着性を発揮する場合には、隔壁3に対してエネルギー線を照射することで、隔壁3と第2の透明基材2とを接着することができる。また、隔壁3の形成時にエネルギー線硬化性材料はほぼ硬化しているが、上記の時点で加熱することにより、エネルギー線硬化性材料が粘着性および接着性を発揮する場合には、隔壁3に対して熱を印加することで、隔壁3と第2の透明基材2とを接着することができる。
なお、感温性材料4が光硬化性成分(および光重合開始剤)を含有している場合には、エネルギー線として紫外線を照射することで、感温性材料4はゲル化する。これにより、感温性材料4は、感温性調光シート1からより漏れ難いものとなる。
隔壁3が上記のような粘着性もしくは接着性を有しない、または発揮しない場合には、別途接着剤を使用して、隔壁3と第2の透明基材2とを接着することができる。かかる接着剤は、特に限定されるものではなく、粘着剤であってもよい。接着剤としては、例えば、アクリル系接着剤、ポリウレタン系接着剤、エポキシ系接着剤、ポリエステル系接着剤、ポリエステルポリウレタン系接着剤等が挙げられる。また、粘着剤としては、例えば、アクリル系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、ポリウレタン系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤等が挙げられる。
上記接着剤は、隔壁3における第1の透明基材2側と反対側の端面に塗布してもよいし、第2の透明基材2における隔壁3と接する側の全面に塗布してもよい。また、第2の透明基材2における隔壁3と接する側の全面に粘着シートを貼付してもよい。
得られた感温性調光シート1の端縁部は、そのままの状態としてもよいし、シールしてもよい。シール方法としては、例えば、公知のシール材を使用する方法であってもよいし、第1の透明基材2と第2の透明基材2とを熱融着する方法であってもよい。
また、本実施形態に係る感温性調光シート1は、次の製造方法によって製造することもできる。この製造方法では、エネルギー線硬化性層の形成まで、および隔壁形成後は、前述した製造方法と同様であり、隔壁の形成方法が異なる。
前述した製造方法と同様にしてエネルギー線硬化性層を形成したら、次に、エネルギー線硬化性層全体にエネルギー線を照射して、エネルギー線硬化性層全体を硬化(半硬化を含む)させて、硬化層とする。そして、その硬化層を所望のパターンで厚み方向にハーフカットして、不要部分を除去することにより、隔壁3を形成する。ハーフカットは、硬化層を完全にカットし、第1の透明基材2は全くカットしないか、僅かな深さでカットする程度で行う。
例えば、図2に示すハニカム構造の隔壁3を形成する場合には、ハーフカットのパターンをハニカム形状とし、ハーフカット後に各六角形部分を除去する。
以上の感温性調光シート1の製造方法では、隔壁3の材料としてエネルギー線硬化性材料を使用するため、当該エネルギー線硬化性材料を第1の透明基材2に対し、直接塗布して隔壁3を形成することができる。すなわち、隔壁3と第1の透明基材2との間で接着剤を必要とすることがなく、容易に隔壁3を形成することができ、ひいては感温性材料4を容易に封入することができる。さらに、第1の透明基材2に形成された隔壁3が粘着性または接着性を発揮し得る場合には、当該粘着性または接着性を利用して、隔壁3と第2の透明基材2とを直接接着することができ、したがって感温性材料4を容易に封入することができる。
以上説明した本実施形態に係る感温性調光シート1は、隔壁3によって、感温性材料4が感温性調光シート1から漏れ難いものとなっており、また、エネルギー線硬化性材料を硬化させてなる隔壁3の変形のし難さにも起因して、安定性および耐久性に優れたものとなっている。さらには、透明基材2のガスバリア性によって、感温性材料4の水分の蒸発や外部からの水蒸気の侵入が抑制されているため、調光性能が劣化し難いものとなっている。
〔感温性調光シートの使用方法〕
本実施形態に係る感温性調光シート1は、建築物等における透明な窓等の透明部材に取り付けて使用することができる。感温性調光シート1の取り付け方法としては特に限定されないが、例えば、感温性調光シート1を透明部材に貼付する方法や、感温性調光シート1と透明部材とを挟持する部材を使用する方法などが挙げられる。
感温性調光シート1を透明部材に貼付する場合、貼付時に、接着剤または粘着剤を感温性調光シート1または透明部材に塗布したり、粘着シートを感温性調光シート1または透明部材に貼付したりしてもよいし、感温性調光シート1の片面にあらかじめ粘着剤層を形成しておいてもよい。
粘着剤層を構成する粘着剤としては、例えば、アクリル系、ポリエステル系、ポリウレタン系、ゴム系、シリコーン系等のいずれであってもよい。また、当該粘着剤は、エマルション型、溶剤型または無溶剤型のいずれでもよく、架橋タイプまたは非架橋タイプのいずれであってもよい。なお、この粘着剤には、所望により帯電防止剤、紫外線吸収剤、着色剤、赤外線吸収剤などの各種添加剤を配合することができる。
粘着剤層の厚さは、上記の目的を達することができれば特に限定されることはなく、通常は1〜300μmであり、好ましくは5〜100μmであり、特に好ましくは10〜50μmである。
粘着剤層は、粘着剤の塗布液を、感温性調光シート1の片面に塗布することにより形成してもよいし、別の剥離シートに塗布してから感温性調光シート1の片面に転写してもよい。
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
例えば、図1において、2枚の透明基材2,2のガスバリア層21の一方または両方は、感温性調光シート1の外側(隔壁3側とは反対側)に位置していてもよい。また、感温性調光シート1のいずれかの位置には、他の層が存在していてもよい。
さらに、隔壁3は、エネルギー線硬化性材料を所望のパターンで印刷することにより形成してもよい。
以下、実施例等により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例等に限定されるものではない。
〔実施例1〕
1.透明基材の作製
基材本体としてのポリエチレンテレフタレート(以下「PET」という)フィルム(厚さ25μm)の片面に、ポリシラザンを主成分とするコーティング剤(クラリアントジャパン社製,アクアミカNL110−20)を塗布し、120℃で1分間加熱して、上記PETフィルム上にペルヒドロポリシラザンを含む層(厚さ60nm)を形成した。次いで、プラズマイオン注入装置を用いて、ペルヒドロポリシラザンを含む層の表面にアルゴン(Ar)をプラズマイオン注入してガスバリア層(厚さ60nm)を形成し、これを透明基材とした(2枚作製)。なお、ガスバリア層の厚さは、触診式段差計(AMBIOS TECHNOLOGY社製,XP−1)を用いて測定した。
得られた透明基材の水蒸気透過率を、透過率測定機(LYSSY社製,L89−500)を用いて40℃、相対湿度90%の条件下で測定したところ、0.05g/m・dayであった。
2.エネルギー線硬化性材料の調製
2−エチルヘキシルアクリレートモノマー(東京化成社製)20質量部に、酢酸エチル70質量部を加えるとともに、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリルを加えて重合反応させ、重量平均分子量10,000のポリ2−エチルヘキシルアクリレートを得た。そして、この溶液を100℃、減圧下で乾燥させた。
得られたポリ2−エチルヘキシルアクリレート20質量部に、2−エチルヘキシルアクリレートモノマー(東京化成社製)70質量部、イソボルニルアクリレートモノマー(東京化成社製)20質量部およびヒドロキシエチルアクリレートモノマー(東京化成社製)10質量部を加え、24時間撹拌した。続いて、光重合開始剤(BASF社製,イルガキュア184)を2質量部加えて、よく撹拌し、エネルギー線硬化性材料を得た。
3.マスキング材の作製
片面がシリコーン系剥離剤によって剥離処理された透明PETフィルム(厚さ25μm)の非剥離処理面に、黒色インクによりハニカムパターンを描画し、これをマスキング材とした。具体的には、線幅1000μm、一辺の長さ5000μmの六角形を組み合わせたハニカムパターンを透明部分(紫外線透過部分)として残し、それ以外の部分を黒色インク(富士ゼロックス株式会社製,CT201360)で塗り潰した。
4.隔壁の形成
第1の透明基材のガスバリア層側の面に、上記で得られたエネルギー線硬化性材料の塗布液をドクターブレードによって塗布し、エネルギー線硬化性層を形成した。そして、上記ハニカムパターンを有するマスキング材を、当該マスキング材の剥離処理面とエネルギー線硬化性層とが接するように、エネルギー線硬化性層に積層した。
次いで、マスキング材のハニカムパターン描画面から紫外線(光量:250mJ/cm)を照射し、エネルギー線硬化性層の非マスキング部分を硬化(半硬化)させた。硬化後のエネルギー線硬化性層の厚さを、ダイアルシックネスゲージ(尾崎製作所社製,ダイアルシックネスゲージG)を用いて測定したところ、300μmであった。その後、エネルギー線硬化性層からマスキング材を剥離した。このとき、エネルギー線硬化性層の非硬化部分はマスキング材に付着して、マスキング材とともに第1の透明基材から除去され、エネルギー線硬化性層の硬化部分は第1の透明基材に残留し、隔壁を形成した。
形成された隔壁は、線幅1000μm、六角形の一辺の長さ5000μm、高さ300μmの正六角形ハニカム構造を有するものであった。
ここで、上記隔壁の水蒸気透過率を、次のようにして測定した。隔壁形成に用いた上記エネルギー線硬化性材料の塗布液を、剥離処理されたポリエチレンテレフタレート樹脂基材の剥離処理面にドクターブレードによって均一に塗布し、その塗膜の表面に、別の剥離処理されたポリエチレンテレフタレート樹脂基材の剥離処理面を貼合した。次いで、紫外線(光量:250mJ/cm)を照射し、上記エネルギー線硬化性材料を完全硬化させた。そして、硬化したエネルギー線硬化性材料の両側からポリエチレンテレフタレート樹脂基材を剥離し、得られた厚み1000μmの樹脂フィルムを試料とした。その樹脂フィルムの水蒸気透過率を、透過率測定機(LYSSY社製,L89−500)を用いて40℃、相対湿度90%の条件下で測定したところ、45g/m・dayであった。
5.感温性材料の調製・充填
感温性成分としてのポリビニルメチルエーテル(東京化成工業社製)の30質量%水溶液200質量部に、ポリエチレングリコールジアクリレート(シグマアルドリッチ社製)10質量部と、光重合開始剤(BASF社製,イルガキュア2959)0.2質量部とを溶解させ、これを感温性材料の塗布液とした。
得られた感温性材料の塗布液を、スポイトを使用して、隔壁によって区画された空間に感温性材料を充填した。
6.第2の透明基材の積層
第2の透明基材のガスバリア層側を上記隔壁および感温性材料の上に重ね合わせ、ロールにて圧着した。その積層体に対して紫外線(光量:250mJ/cm)を照射し、隔壁を硬化(完全硬化)させて、当該隔壁と透明基材とを接着させるとともに、感温性材料をゲル化させ、これを感温性調光シートとした。
得られた感温性調光シートは、40℃以上にて白濁し、40℃未満で透明となるものであった。
〔実施例2〕
感温性成分としてのポリビニルメチルエーテル(東京化成工業社製)の30質量%水溶液200質量部に、ポリイソプロピルアクリルアミド(シグマアルドリッチ社製)1質量部を溶解させた。この溶液に、ポリエチレングリコールジアクリレート(シグマアルドリッチ社製)10質量部と、光重合開始剤(BASF社製,イルガキュア2959)0.2質量部とを溶解させ、これを感温性材料の塗布液とした。
上記感温性材料の塗布液を使用する以外、実施例1と同様にして感温性調光シートを製造した。得られた感温性調光シートは、32℃以上にて白濁し、32℃未満で透明となるものであった。
〔実施例3〕
実施例1と同様にして、第1の透明基材上に隔壁を形成するとともに、隔壁によって区画された空間に感温性材料を充填した。次いで、隔壁の上端部に、ポリエチレン製のへらを使用して、エポキシ接着剤(コニシ社製,ボンドE70)を均一に塗布した。その後は実施例1と同様にして、第2の透明基材を圧着し、紫外線を照射して、感温性調光シートを製造した。得られた感温性調光シートは、40℃以上にて白濁し、40℃未満で透明となるものであった。
〔実施例4〕
感温性成分としてのポリビニルメチルエーテル(東京化成工業社製)の30質量%水溶液200質量部に、ポリイソプロピルアクリルアミド(シグマアルドリッチ社製)1質量部を溶解させ、これを感温性材料の塗布液とした。
上記感温性材料の塗布液を使用する以外、実施例1と同様にして感温性調光シートを製造した。得られた感温性調光シートは、32℃以上にて白濁し、32℃未満で透明となるものであった。
〔実施例5〕
実施例1で調製したエネルギー線硬化性材料の塗布液を、片面がシリコーン系剥離剤によって剥離処理された透明PETフィルム(厚さ75μm)の剥離処理面上にドクターブレードによって塗布し、エネルギー線硬化性層を形成した。このエネルギー線硬化性層に紫外線(光量:250mJ/cm)を照射して、エネルギー線硬化性層を硬化(半硬化)させた。硬化後のエネルギー線硬化性層の厚さを、ダイアルシックネスゲージ(尾崎製作所社製,ダイアルシックネスゲージG)を用いて測定したところ、300μmであった。
得られた硬化後のエネルギー線硬化性層に対し、一辺の長さ5000μmの正六角形に加工した刃高8000μmのゼンマイ刃を用いて切り込みを入れ、正六角形部分を取り除いた。これをエネルギー線硬化性層の平面方向全般にわたって繰り返し行い、線幅1000μmの正六角形のハニカム構造の隔壁を透明PETフィルム上に形成した。
上記のようにして形成した隔壁を、実施例1で作製した第1の透明基材のガスバリア層側の面に重ね合わせ、ロールにて圧着し、そして隔壁から透明PETフィルムを剥離した。その後は実施例1と同様にして、感温性材料を充填し、第2の透明基材を圧着し、紫外線を照射して、感温性調光シートを製造した。得られた感温性調光シートは、40℃以上にて白濁し、40℃未満で透明となるものであった。
〔比較例1〕
実施例1における第1および第2の透明基材の替わりに厚さ25μmのPETフィルム(水蒸気透過率:30g/m・day)を用いた以外、実施例1と同様にして感温性調光シートを製造した。得られた感温性調光シートは、40℃以上にて白濁し、40℃未満で透明となるものであった。
〔比較例2〕
アクリル系粘着剤(リンテック社製,PA−T1,非エネルギー線硬化性)の塗布液を、片面がシリコーン系剥離剤によって剥離処理された透明PETフィルム(厚さ75μm)の剥離処理面上にドクターブレードによって塗布し、乾燥させて、厚さ300μmの粘着剤層を形成した。
得られた粘着剤層に対し、一辺の長さ5000μmの正六角形に加工した刃高8000μmのゼンマイ刃を用いて切り込みを入れ、正六角形部分を取り除いた。これを粘着剤層の平面方向全般にわたって繰り返し行い、線幅1000μmの正六角形のハニカム構造の隔壁を透明PETフィルム上に形成した。
この隔壁の形成に用いた材料を使用し、実施例1と同様にして厚み1000μmの樹脂フィルムを作成した。得られた樹脂フィルムの水蒸気透過率を測定したところ、45g/m・dayであった。
上記のようにして形成した隔壁を、実施例1で作製した第1の透明基材のガスバリア層側の面に重ね合わせ、ロールにて圧着し、そして隔壁から透明PETフィルムを剥離した。その後は実施例1と同様にして、感温性材料を充填し、第2の透明基材を圧着し、紫外線を照射して、感温性調光シートを製造した。得られた感温性調光シートは、40℃以上にて白濁し、40℃未満で透明となるものであった。
〔比較例3〕
実施例1で作製した第1の透明基材のガスバリア層側の面に、アクリル系粘着剤(リンテック社製,PA−T1,非エネルギー線硬化性)の塗布液を、ドクターブレードによって塗布し、乾燥させて、厚さ25μmの粘着剤層を形成した。第2の透明基材についても同様に、ガスバリア層側の面に厚さ25μmの粘着剤層を形成した。
第1の透明基材の粘着剤層面に、樹脂ネット(タキロン社製,トリカルネットN−3,厚さ500μm,平面格子状,網目ピッチ1.9mm×2.8mm)を重ね合わせ、ロールにて圧着し、当該樹脂ネットを隔壁とした。その後は実施例1と同様にして、感温性材料を充填し、第2の透明基材を圧着し、紫外線を照射して、感温性調光シートを製造した。得られた感温性調光シートは、40℃以上にて白濁し、40℃未満で透明となるものであった。
〔試験例1〕(液漏れ性試験)
実施例または比較例で得られた感温性調光シートをフロートガラス板の上に置き、当該感温性調光シート上に、100gの精密分銅(村上衡器製作所社製)を載せた。分銅を載せてから1時間後の感温性調光シートの状態を目視により観察し、液漏れの有無を判断した。結果を表1に示す。表1中、液漏れがなかったものを○、液漏れがあったものを×で示す。
〔試験例2〕(耐荷重試験)
上記液漏れ試験を行った際に、感温性調光シート上に分銅を載せた前後で、シート厚みや隔壁に変化・変形があったか否かを、ダイアルシックネスゲージ(尾崎製作所社製,ダイアルシックネスゲージGで確認した。結果を表1に示す。表1中、変化・変形がなかったものを○、変化・変形があったものを×で示す。
〔試験例3〕(窓貼付試験)
n−ブチルアクリレート95質量部およびアクリル酸5質量部を、酢酸エチルを溶媒としてラジカル重合して、カルボキシル基含有アクリル酸エステル共重合体(重量平均分子量60万:スチレン換算値)を得た。このカルボキシル基含有アクリル酸エステル共重合体100質量部に、アルミキレート系架橋剤(綜研化学社製,M−5A;アルミニウムトリスアセチルアセトネート)0.5質量部を均一に混合し、粘着剤組成物を得た。
実施例または比較例で得られた感温性調光シートの一方の面に、ドクターブレードを使用して上記粘着剤組成物を塗布し、乾燥させて、厚さ20μmの粘着剤層を形成した。
上記粘着剤層を介して感温性調光シートをガラス窓に貼付した。貼付から1日後、5日後、10日後、および60日後に、感温性調光シートの調光性能を評価した。シート製造時に測定した白濁開始温度で感温性調光シートの色調が良好に変化した場合には○、白濁開始温度がシート製造時とは異なったり、透明〜白濁が良好に変化しなかった場合には×と判断した。結果を表1に示す。
Figure 0006077874
表1から分かるように、実施例で得られた感温性調光シートは、感温性材料の液漏れがなく、耐変形性にも優れていた。また、液漏れがないことと、高い水蒸気バリア性を有することから、窓に貼付したときにも、調光性能に劣化がなく、耐久性にも優れていた。これに対し、比較例1で得られた感温性調光シートは、水蒸気バリア性が低いものであったため、調光性能が劣化し易く、耐久性が非常に低かった。また、比較例2で得られた感温性調光シートは、耐液漏れ性および耐変形性に劣ったため、調光性能が劣化し易く、耐久性が低かった。比較例3で得られた感温性調光シートは、耐液漏れ性に劣ったため、調光性能が劣化し易く、耐久性が低かった。
本発明に係る感温性調光シートは、温度変化に応じて光線透過率が変化するウィンドウフィルム等として有用である。
1…感温性調光シート
2…透明基材
21…基材本体
22…ガスバリア層
3…隔壁
4…感温性材料

Claims (9)

  1. 樹脂フィルムからなる基材本体とガスバリア層とを備え、水蒸気透過率が1×10 1 g/m ・day以下となるガスバリア性を有する2枚の透明基材と、
    前記2枚の透明基材の間に位置し、前記2枚の透明基材の間の空間を平面方向に区画する隔壁と、
    前記2枚の透明基材と前記隔壁とに囲まれた空間に封入された、温度変化に応じて光線透過率が変化する感温性材料と
    を備えた感温性調光シートであって、
    前記隔壁は、エネルギー線硬化性材料を硬化させたものからなることを特徴とする感温性調光シート。
  2. 前記隔壁の厚み方向の少なくとも一端面は、前記透明基材と直接接着していることを特徴とする請求項1に記載の感温性調光シート。
  3. 前記隔壁の厚み方向の両端面は、前記透明基材と直接接着していることを特徴とする請求項1に記載の感温性調光シート。
  4. 前記隔壁は、ガスバリア性を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の感温性調光シート。
  5. 前記隔壁は、平面視ハニカム状のハニカム構造を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の感温性調光シート。
  6. 前記感温性材料は、ゲル状であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の感温性調光シート。
  7. 樹脂フィルムからなる基材本体とガスバリア層とを備え、水蒸気透過率が1×10 1 g/m ・day以下となるガスバリア性を有する第1の透明基材の片面に、エネルギー線硬化性材料を塗布してエネルギー線硬化性層を形成し、
    前記エネルギー線硬化性層を、所望のパターンを有するマスキング材でマスキングし、その状態で前記エネルギー線硬化性層にエネルギー線を照射して、前記エネルギー線硬化性層の非マスキング部分を硬化させ、
    前記エネルギー線硬化性層の硬化部分を残して、非硬化部分を除去することにより、隔壁を形成し、
    前記隔壁によって区画された空間に、温度変化に応じて光線透過率が変化する感温性材料を充填し、
    前記隔壁の前記第1の透明基材側と反対側の端面と、第2の透明基材とを、直接または接着剤を介して接着する
    ことを特徴とする感温性調光シートの製造方法。
  8. 樹脂フィルムからなる基材本体とガスバリア層とを備え、水蒸気透過率が1×10 1 g/m ・day以下となるガスバリア性を有する第1の透明基材の片面に、エネルギー線硬化性材料を塗布してエネルギー線硬化性層を形成し、
    前記エネルギー線硬化性層にエネルギー線を照射して、前記エネルギー線硬化性層を硬化させて、硬化層とし、
    前記硬化層を所望のパターンで厚み方向にカットして、不要部分を除去することにより、隔壁を形成し、
    前記隔壁によって区画された空間に、温度変化に応じて光線透過率が変化する感温性材料を充填し、
    前記隔壁の前記第1の透明基材側と反対側の端面と、第2の透明基材とを、直接または接着剤を介して接着する
    ことを特徴とする感温性調光シートの製造方法。
  9. 前記隔壁の前記第1の透明基材側と反対側の端面と、前記第2の透明基材とを接着する段階において、前記隔壁は粘着性または接着性を発揮することができ、前記粘着性または接着性を利用して、前記隔壁の前記第1の透明基材側と反対側の端面と、第2の透明基材とを、直接接着することを特徴とする請求項7または8に記載の感温性調光シートの製造方法。
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