JP2006028306A - 高分子ゲル組成物、及び光学素子 - Google Patents

高分子ゲル組成物、及び光学素子 Download PDF

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浩明 筒井
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Abstract

【課題】 刺激応答性高分子ゲルを利用し、消色時の色残りの無い、高分子ゲル組成物及び光学素子を提供する。
【解決手段】 液体及び調光材料を含有し、かつ刺激の付与により前記液体を吸収・放出して体積変化を生ずる着色されている刺激応答性高分子ゲルと、該刺激応答性高分子ゲルを覆う、色材により着色されている保持材とを有する高分子ゲル組成物、該高分子ゲル組成物を含む光学素子、及び、液体及び調光材料を含有し、かつ刺激の付与により前記液体を吸収・放出して体積変化を生ずる着色されている刺激応答性高分子ゲルと、該刺激応答性高分子ゲルを覆う保持材とを有する高分子ゲル組成物を、色材により着色されている基板上に配置してなる光学素子、一対の基板間に該高分子ゲル組成物が挟持されてなる光学素子。
【選択図】 なし

Description

本発明は、調光ガラス、調光素子、表示素子などの光学素子に広く利用可能な高分子ゲル組成物、及び光学素子に関する。
pH変化、イオン強度変化、化学物質の吸脱着、溶媒組成変化、あるいは熱、光、電気刺激等の付与によって可逆的に体積変化(膨潤・収縮)を起こす高分子ゲル材料(刺激応答性高分子ゲル)を利用して、光の透過量や散乱性を制御することで調光・発色を行う技術が知られている。
特に、刺激応答性高分子ゲル中に色素を含有させた材料は色変化の多様性や透過率変化の大きさなどから有望な技術と考えられ、数多くの方法が検討されている。例えば、電場の作用で液体を吸脱する高分子ゲルと顔料を液体中に分散した着色液体とを組み合わせた組成物からなる調光素子が提案され、高分子ゲルの形状の変化によって着色液体を移動させて表示を行う技術が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
また、着色した高分子ゲルを用いてその膨潤時に光学濃度が低下し、高分子ゲルの収縮時には着色することを用いた素子が提案されている(例えば、特許文献2及び3参照。)。
更に、染料を結合した高分子ゲルを用いて、その体積変化によって光学濃度を変化させて表示を行う素子が提案されている(例えば、特許文献4参照。)。更には、顔料微粒子又は着色微粒子の表面に吸着させた高分子ゲルの形状変化を利用して、高分子ゲルの膨潤時にほぼ白色表示とし、高分子ゲルの収縮時には顔料微粒子又は着色微粒子の色を表示することによって高分子ゲルの体積変化によって色相を変化させる素子が提案されている(例えば、特許文献5参照。)。
また、コントラストの優れた発色材料として、刺激の付与による液体の吸収・放出により膨潤・収縮する高分子ゲル中に、飽和吸収濃度以上の顔料を含有してなる組成物及び発色材料が提案されている(例えば、特許文献6参照。)。この発色材料は、高分子ゲルが収縮したときには、顔料の局所的な凝集により光吸収効率が低下し組成物全体として光透過性となる。一方、前記高分子ゲルが膨潤したときには、顔料が組成物全体に拡散することで光吸収効率が向上し、該組成物は発色状態となる。
更に、刺激の付与による液体の吸収・放出により膨潤・収縮する高分子ゲル中に、飽和散乱濃度以上の光散乱部材を含有してなる組成物及び調光材料が提案されている(例えば、特許文献7参照。)。この調光材料は、該高分子ゲルが収縮したときには、光散乱部材の局所的な凝集により光散乱効率が低下し組成物全体として光透過性となる。一方、前記高分子ゲルが膨潤した時には、光散乱部材が組成物全体に拡散することで光散乱効率が向上し、該組成物は白濁状態となる。
更にまた、刺激応答性高分子ゲルを基板上に固定した調光素子が提案されている(例えば、特許文献8参照。)。この調光素子は、基板上に刺激応答性高分子ゲルを高い占有面積をもつように1粒子層で固定したものに、対向基板を設けてさらに刺激応答性高分子ゲルが吸収・放出する液体を前記基板間に封入した構成となっている。これにより、膨潤時の発色特性あるいは光散乱特性に優れ、良好なコントラスト比をもつ調光素子が作製できる。
一方、刺激応答性高分子ゲルを隔離部材中に分散した高分子ゲル組成物及びそれを用いた調光素子が提案されている(例えば、特許文献9参照。)。この提案により、刺激応答性高分子ゲルを隔離部材中に固定することによって、刺激応答性高分子ゲルの膨潤収縮に伴う凝集を回避することができ、繰り返し特性に優れた調光素子を提供できる。
また、隔離部材と刺激応答性高分子ゲルの屈折率差を小さくすること(例えば、特許文献10参照。)や、刺激応答性高分子ゲルが吸収・放出する液体を固定用の保持材中に含有させること(例えば、特許文献11参照。)によって、透明性に優れた調光素子を提供できることも提案している。
前記特許文献6〜11では、着色された刺激応答性高分子を利用した光学素子は様々な用途に展開でき、更に、消色時に収縮した高分子ゲルの色が残らないことが望まれている。
特開昭61−149926号公報 特開昭61−151625号公報 特開昭62−927号公報 特開平4−274480号公報 特開平9−160081号公報 特開平11−236559号公報 特開2000−231127号公報 特開2001−350163号公報 特開平11−228850号公報 特開2002−105344号公報 特開2002−105327号公報
本発明は、前記従来技術における問題を解決し、以下の目的を達成することを課題する。即ち、本発明は、刺激応答性高分子ゲルを利用し、消色時の色残りの無い、高分子ゲル組成物及び光学素子を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意検討した結果、下記の本発明が前記課題を解決することを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、
<1> 液体及び調光材料を含有し、かつ刺激の付与により前記液体を吸収・放出して体積変化を生ずる着色されている刺激応答性高分子ゲルと、該刺激応答性高分子ゲルを覆う保持材と、を有する高分子ゲル組成物であって、前記保持材が色材により着色されていることを特徴とする高分子ゲル組成物である。
<2> 前記色材の色相が、前記調光材料の色相と補色の関係にあることを特徴とする<1>に記載の高分子ゲル組成物である。
<3> 前記着色されている刺激応答性高分子ゲルの収縮時に、無彩色として観察されることを特徴とする<1>又は<2>に記載の高分子ゲル組成物である。
<4> <1>〜<3>の何れか1つに記載の高分子ゲル組成物を、基板上に配置してなることを特徴とする光学素子である。
<5> 透明又は半透明である基板と、該基板に対向する基板とからなる一対の基板間に、<1>〜<3>の何れか1つに記載の高分子ゲル組成物が、挟持されてなることを特徴とする光学素子である。
<6> 液体及び調光材料を含有し、かつ刺激の付与により前記液体を吸収・放出して体積変化を生ずる着色されている刺激応答性高分子ゲルと、該刺激応答性高分子ゲルを覆う保持材と、を有する高分子ゲル組成物を、基板上に配置してなる光学素子であって、前記基板が色材により着色されていることを特徴とする光学素子である。
<7> 前記色材の色相が、前記調光材料の色相と補色の関係にあることを特徴とする<6>に記載の光学素子である。
<8> 前記保持材が色材により着色されていることを特徴とする<6>に記載の光学素子である。
<9> 前記着色されている刺激応答性高分子ゲルの収縮時に、鉛直上方から観察すると、無彩色として観察されることを特徴とする<6>〜<8>の何れか1つに記載の光学素子である。
<10> 透明又は半透明である基板と、該基板に対向する基板とからなる一対の基板間に、液体及び調光材料を含有し、かつ刺激の付与により前記液体を吸収・放出して体積変化を生ずる着色されている刺激応答性高分子ゲルと、該刺激応答性高分子ゲルを覆う保持材と、を有する高分子ゲル組成物が、挟持されてなる光学素子であって、前記一対の基板の少なくとも一方が、色材により着色されていることを特徴とする光学素子である。
<11> 前記色材の色相が、前記調光材料の色相と補色の関係にあることを特徴とする<10>に記載の光学素子である。
<12> 前記保持材が色材により着色されていることを特徴とする<10>に記載の光学素子である。
<13> 前記着色されている刺激応答性高分子ゲルの収縮時に、前記透明又は半透明である基板側から観察すると、無彩色として観察されることを特徴とする<10>〜<12>の何れか1つに記載の光学素子である。
<14> 前記一対の基板の端面が、封止されてなることを特徴とする<5>又は<10>〜<13>の何れか1つに記載の光学素子である。
本発明は、刺激応答性高分子ゲルを利用し、消色時の色残りの無い、高分子ゲル組成物及び光学素子を提供することができる。
<高分子ゲル組成物>
先ず、本発明の高分子ゲル組成物について詳細に説明する。
本発明の高分子ゲル組成物は、液体及び調光材料を含有し、かつ刺激の付与により前記液体を吸収・放出して体積変化を生ずる着色されている刺激応答性高分子ゲルと、該刺激応答性高分子ゲルを覆う保持材と、を有する高分子ゲル組成物であって、前記保持材が色材により着色されていることを特徴とする
以下、本発明の高分子ゲル組成物の構成とその作用を、図面を用いて説明する。尚、同様の機能を有する部材には、全図面を通じて同じ符合を付与し、その説明を省略することがある。
図1は、本発明の高分子ゲル組成物の一例を示す概略断面図である。詳しくは、図1(a)は刺激応答性高分子ゲルが膨潤状態である高分子ゲル組成物の一例を示す概略断面図であり、図1(b)は刺激応答性高分子ゲルが収縮状態である高分子ゲル組成物の一例を示す概略断面図である。
図1(a)に示すように、本発明の高分子ゲル組成物の一例は、膨潤状態の刺激応答性高分子ゲル2は、不図示の調光材料によって着色されており、不図示の色材Cによって着色された保持材4中に分散されている。また、刺激応答性高分子ゲル2が吸収・放出する不図示の液体Lは刺激応答性高分子ゲル2中に含まれている。この液体Lは保持材4中に含まれていてもよい。
本例の高分子ゲル組成物は、図1(b)に示すように、刺激に応じて刺激応答性高分子ゲル2は収縮状態となり、それに伴ない光を吸収する断面積が変化し、光学素子全体の色変化を引き起こす。このとき、保持材4を着色している色材Cの色相が刺激応答性高分子ゲル2を着色している調光材料の色相と補色の関係にあることが好ましい。更に、本発明の高分子ゲル組成物は、刺激応答性高分子ゲル2の収縮時に無彩色として観察されることが特に好ましい。これにより、刺激応答性高分子ゲル2は収縮状態における高分子ゲル組成物の色の消え残りを解消することができる。刺激応答性高分子ゲル2が収縮した場合に、無彩色として観察させる方法としては、色材Cの色相と調光材料の色相が補色の関係にあり、更に、色材C及び調光材料の濃度を調整することが挙げられる。
−刺激応答性高分子ゲル2−
本発明において使用することができる刺激応答性高分子ゲル2について説明する。刺激応答性高分子ゲル2は、pHの変化、イオン濃度の変化、化学物質の吸脱着、溶媒組成の変化、または磁場、光、熱、電流もしくは電界の付与等の刺激の付与によって、液体を吸脱(吸収・放出)して体積変化(膨潤・収縮)するものである。
本発明において、刺激応答性高分子ゲル2の体積変化は一方的なものでも可逆的なものであってもよいが、可逆的であるものが好ましい。以下に、本発明において使用することのできる刺激応答性高分子ゲルについて説明する。
pHの変化によって刺激応答する刺激応答性高分子ゲル2としては、電解質系高分子ゲルが好ましく、その例としては、ポリ(メタ)アクリル酸の架橋物やその塩、(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸アルキルエステルなどとの共重合体の架橋物やその塩、ポリマレイン酸の架橋物やその塩、マレイン酸と(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸アルキルエステルなどとの共重合体の架橋物やその塩、ポリビニルスルホン酸の架橋物やビニルスルホン酸と(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸アルキルエステルなどとの共重合体の架橋物、ポリビニルベンゼンスルホン酸の架橋物やその塩、ビニルベンゼンスルホン酸と(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸アルキルエステルなどとの共重合体の架橋物やその塩、ポリアクリルアミドアルキルスルホン酸の架橋物やその塩、アクリルアミドアルキルスルホン酸と(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸アルキルエステルなどとの共重合体の架橋物やその塩、ポリジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドの架橋物やその塩酸塩、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドと(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸アルキルエステルなどとの共重合体の架橋物やその4級化物や塩、ポリジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドとポリビニルアルコールとの複合体の架橋物やその4級化物や塩、ポリビニルアルコールとポリ(メタ)アクリル酸との複合体の架橋物やその塩、カルボキシアルキルセルロース塩の架橋物、ポリ(メタ)アクリロニトリルの架橋物の部分加水分解物やその塩などが挙げられる。
尚、本明細書において、「(メタ)アクリル」等の記載は、「アクリル」又は「メタクリル」等を意味するものとする。
前記pHの変化は、液体の電気分解や添加される化合物の酸化還元反応などの電極反応、あるいは、導電性高分子の酸化還元反応、更には、pHを変化させる化学物質の添加や脱離によるものであることが好ましい。
イオン濃度の変化によって刺激応答する刺激応答性高分子ゲル2としては、前記したpH変化による刺激応答性高分子ゲル2と同様なイオン性の高分子材料(高分子ゲル)が使用できる。また、前記イオン濃度の変化は、塩等の添加、イオン交換性樹脂の使用などによるものが好ましい。
化学物質の吸脱着によって刺激応答する刺激応答性高分子ゲル2としては、強イオン性高分子ゲルが好ましく、その例として、ポリビニルスルホン酸の架橋物やビニルスルホン酸と(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸アルキルエステルなどとの共重合体の架橋物、ポリビニルベンゼンスルホン酸の架橋物やビニルベンゼンスルホン酸と(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸アルキルエステルなどとの共重合体の架橋物、ポリ(メタ)アクリルアミドアルキルスルホン酸の架橋物や(メタ)アクリルアミドアルキルスルホン酸と(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸アルキルエステルなどとの共重合体の架橋物などが挙げられ、特に、ポリアクリルアミドアルキルスルホン酸系高分子が好ましく使用される。
また、この場合の化学物質としては、界面活性剤、例えば、n−ドデシルピリジニウムクロライドなどのアルキルピリジン塩、アルキルアンモニウム塩、フェニルアンモニウム塩、テトラフェニルホスフォニウムクロライドなどのホスホニウム塩などのカチオン性界面活性剤を好ましく使用することができる。
溶媒組成の変化によって刺激応答する刺激応答性高分子ゲル2としては、ほとんどの高分子ゲルが挙げられ、その高分子ゲルの良溶媒と貧溶媒とを利用することで膨潤、収縮を引き起こすことが可能である。
磁場の付与によって刺激応答する刺激応答性高分子ゲル2としては、強磁性体粒子や磁性流体を含有するポリビニルアルコールの架橋物等が挙げられるが、高分子ゲル自体は特に限定されるものではなく、高分子ゲルの範疇に含まれるものであればよい。
電流もしくは電界の付与によって刺激応答する刺激応答性高分子ゲル2としては、カチオン性高分子ゲルと電子受容性化合物とのCT錯体(電荷移動錯体)が好ましく、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドなどアミノ置換(メタ)アクリルアミドの架橋物;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートやジメチルアミノプロピルアクリレートなどの(メタ)アクリル酸アミノ置換アルキルエステルの架橋物;ポリスチレンの架橋物;ポリビニルピリジンの架橋物;ポリビニルカルバゾールの架橋物;ポリジメチルアミノスチレンの架橋物などが挙げられ、特に、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレートなどのジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート系高分子が好ましい。これらは、ベンゾキノン、7,7,8,8−テトラシアノキノジメタン(TCNQ)、テトラシアノエチレン、クロラニル、トリニトロベンゼン、無水マレイン酸やヨウ素などの電子受容性化合物とを組み合わせて使用することができる。
光の付与によって刺激応答する刺激応答性高分子ゲル2としては、トリアリールメタン誘導体やスピロベンゾピラン誘導体などの光によってイオン解離する基を有する親水性高分子化合物の架橋物が好ましく、その例として、ビニル置換トリアリールメタンロイコ誘導体と(メタ)アクリルアミドとの共重合体の架橋物などが挙げられる。
熱によって刺激応答する刺激応答性高分子ゲル2としては、ある温度以上で疎水性相互作用によって凝集し水溶液中から析出してくる性質を持つLCST(下限臨界共融温度)をもつ高分子の架橋体、およびUCST(上限臨界共融温度)をもつ高分子の架橋体や、互いに水素結合する高分子鎖を持つ高分子ゲル、または互いに水素結合する2成分の高分子のIPN体(相互侵入網目構造体)、結晶性などの凝集性の側鎖を持つ高分子ゲルなどが好ましい。これらの中でも疎水性相互作用を利用したLCSTゲルは特に好ましい。LCSTゲルは高温において収縮し、UCSTゲルやIPNゲル、結晶性ゲルでは、逆に高温で膨潤する特性をもっている。
高温において収縮するゲルの具体的な化合物としては、ポリN−イソプロピルアクリルアミドなどのN−アルキル置換(メタ)アクリルアミドの架橋体やN−アルキル置換(メタ)アクリルアミドと(メタ)アクリル酸およびその塩、または(メタ)アクリルアミド、または(メタ)アクリル酸アルキルエステルなどの2成分以上の共重合体の架橋体、ポリビニルメチルエーテルの架橋物、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのアルキル置換セルロース誘導体の架橋体などが挙げられる。これらの中でも、ポリN−イソプロピル(メタ)アクリルアミドは好ましい。
一方、高温において膨潤するゲルの具体的な化合物としては、ポリ(メタ)アクリルアミドの架橋体とポリ(メタ)アクリル酸の架橋体からなるIPN体およびその部分中和体(アクリル酸単位を部分的に塩化したもの)、ポリ(メタ)アクリルアミドを主成分とする共重合体の架橋体とポリ(メタ)アクリル酸の架橋体からなるIPN体およびその部分中和体などが挙げられる。より好ましくは、ポリN−アルキル置換アルキルアミドの架橋体、ポリ(メタ)アクリルアミドの架橋体とポリ(メタ)アクリル酸の架橋体とのIPN体およびその部分中和体などが挙げられる。
また、前記結晶性ゲルとしては、オクチル基、デシル基、ラウリル基、ステアリル基等の長鎖アルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルと(メタ)アクリル酸との共重合体の架橋体やその塩があげられる。この熱応答性高分子ゲルの体積変化を示す温度(相転移温度)は、高分子ゲルの構造、組成により種々の設計が可能である。なお、好ましい相転移温度は溶媒の沸点や凝固点内であることが好ましく、より好ましくは−30〜300℃の範囲であり、さらに好ましくは−10〜150℃の範囲であり、特に好ましくは0℃〜60℃の範囲である。
刺激応答性高分子ゲル2としては前記例示した具体例の他に、温度変化に応じて複数の相転移点を示すゲルも好適に使用することができる。具体的に例示すると、ポリN−イソプロピル(メタ)アクリルアミドなどのポリアルキル置換(メタ)アクリルアミドの架橋体とポリ(メタ)アクリル酸の架橋体とのIPN体などがあげられる。これらの高分子ゲルは、温度上昇に伴い膨潤−収縮−膨潤という2つの相転移点を示すことが知られている。
また、熱によって刺激応答する刺激応答性高分子ゲル2の体積変化量を増大させる目的でイオン性官能基を高分子ゲル中に含有させることも好ましい。イオン性官能基としてはカルボン酸、スルホン酸、アンモニウム基、りん酸基などがあげられる。イオン性官能基は高分子ゲルを調製する際にこれら官能基をもつモノマーを共重合する、合成後の刺激応答性高分子ゲルにモノマーを含浸させて重合しIPN(相互侵入網目構造体)体とする、前記刺激応答性高分子ゲル中の官能基を部分的に加水分解や酸化反応などの化学反応によって変換するなどの方法で含有させることができる。
刺激応答性高分子ゲル2の体積変化量は特に限定されないが、高いほど好ましく、膨潤時および収縮時の体積比が3以上であることが好ましく、特に5以上であることが好ましい。
また、刺激応答性高分子ゲル2の体積変化は、一方的であるものでも可逆的であるものでもよいが、光学素子として利用する場合は、可逆的なものであることが好ましい。
更に、刺激応答性高分子ゲル2の膨潤時の液体の吸収量は(液体の質量/乾燥時の刺激応答性高分子ゲル2の質量)=5〜500の間が好ましい。5以上であれば刺激応答性高分子ゲルの体積変化を十分取ることができ、500以下であれば高分子ゲルの強度を十分確保できる。
また、後述する調光用材料を含有させる場合に刺激応答性高分子ゲル2内部の調光用材料濃度を十分なものとすることができ、十分な調光特性を得ることができる。
刺激応答性高分子ゲル2中にはその特性を損なわない範囲で紫外線吸収剤、光安定剤等、種々の安定剤を共重合あるいは結合させることが可能である。例えば、ヒンダードアミン系やヒンダードフェノール系の化合物や光安定化機能を持つ化合物などを共重合あるいは結合することが好ましく実施できる。これらの化合物の共重合量あるいは結合量は高分子ゲルに対して0.01質量%〜5質量%の範囲が好ましい。
刺激応答性高分子ゲル2は、膨潤状態で平均粒径が好ましくは0.01μm〜5mmの範囲であり、さらに好ましくは0.1μm〜1mmの範囲であり、特に好ましくは5μm〜100μmの範囲である。平均粒子径が0.01μm以上であれば、十分な光学的な特性を得ることができ、凝集等を起こしにくくなり、使用する場合にその取り扱いが容易となる。一方、5mm以下であれば、応答速度が速くなる、素子の粒状感が向上するなどの効果が生じる。
これらの刺激応答性高分子ゲル2の粒子は、高分子ゲルを物理的粉砕法等で粒子化する方法、架橋前の高分子を化学的粉砕法等によって粒子化した後に架橋して高分子ゲル粒子を得る方法、あるいは乳化重合法、懸濁重合法、分散重合法などの粒子化重合法などの一般的な粒子化方法によって製造することができる。また、架橋前の高分子をノズル口金等によって押し出して繊維化し、これを架橋した後に粉砕する方法、あるいは前記繊維を粉砕して粒子化した後に架橋する方法によって刺激応答性高分子ゲル粒子を製造することも可能である。
本発明の高分子ゲル組成物は、これらの刺激応答性高分子ゲル2が調光用材料を含有する。該調光用材料としては、染料、顔料や光散乱材などが挙げられる。また調光用材料は刺激応答性高分子ゲル2に物理的あるいは化学的に固定化されることが好ましい。
このような調光用材料の添加量としては、刺激応答性高分子ゲル2の乾燥時又は収縮時に、飽和吸収濃度あるいは飽和散乱濃度以上となる量を添加することが好ましい。ここで、飽和吸収(あるいは散乱)濃度以上とは、特定の光路長のもとにおける調光用材料濃度と光吸収量の関係が1次直線の関係から大きく外れる領域のことを示す。刺激応答性高分子ゲル2に、このような濃度の調光用材料を添加することによって、刺激応答性高分子ゲル2の膨潤・収縮により光学濃度又は散乱を変化させることができる。
飽和吸収濃度あるいは飽和散乱濃度以上となる調光用材料の濃度は、一般に3質量%以上であり、3質量%〜95質量%の範囲を刺激応答性高分子ゲルに添加することが好ましく、より好ましくは5質量%〜80質量%の範囲である。3質量%以上であれば、調光用材料を添加した効果を十分に得られ、95質量%以下であれば、刺激応答性高分子ゲルの特性が優れたものとなる。
前記染料の好適な具体例としては、例えば、黒色のニグロシン系染料や赤、緑、青、シアン、マゼンタ、イエローなどのカラー染料であるアゾ染料、アントラキノン系染料、インジゴ系染料、フタロシアニン系染料、カルボニウム染料、キノンイミン染料、メチン染料、キノリン染料、ニトロ染料、ベンゾキノン染料、ナフトキノン染料、ナフタルイミド染料、ベリノン染料などが挙げられ、特に光吸収係数が高いものが望ましい。例えば、C.I.ダイレクトイエロー−1、8、11、12、24、26、27、28、33、39、44、50、58、85、86、87、88、89、98、157;C.I.アシッドイエロー−1、3、7、11、17、19、23、25、29、38、44、79、127、144、245;C.I.ベイシックイエロー−1、2、11、34;C.I.フードイエロー−4;C.I.リアクティブイエロー−37;C.I.ソルベントイエロー−6、9、17、31、35、100、102、103、105;C.I.ダイレクトレッド−1、2、4、9、11、13、17、20、23、24、28、31、33、37、39、44、46、62、63、75、79、80、81、83、84、89、95、99、113、197、201、218、220、224、225、226、227、228、229、230、231;C.I.アシッドレッド−1、6、8、9、13、14、18、26、27、35、37、42、52、82、85、87、89、92、97、106、111、114、115、118、134、158、186、249、254、289;C.I.ベイシックレッド−1、2、9、12、14、17、18、37、C.I.フードレッド−14;C.I.リアクティブレッド−23、180;C.I.ソルベントレッド−5、16、17、18、19、22、23、143、145、146、149、150、151、157、158;C.I.ダイレクトブルー−1、2、6、15、22、25、41、71、76、78、86、87、90、98、163、165、199、202;C.I.アシッドブルー−1、7、9、22、23、25、29、40、41、43、45、78、80、82、92、93、127、249;C.I.ベイシックブルー−1、3、5、7、9、22、24、25、26、28、29;C.I.フードブルー2;C.I.ソルベントブルー−22、63、78、83〜86、191、194、195、104;C.I.ダイレクトブラック−2、7、19、22、24、32、38、51、56、63、71、74、75、77、108、154、168、171;C.I.アシッドブラック−1、2、7、24、26、29、31、44、48、50、52、94;C.I.ベイシックブラック−2、8;C.I.フードブラック−1、2;C.I.リアクティブブラック−31;C.I.フードバイオレット−2;C.I.ソルベントバイオレット−31、33、37;C.I.ソルベントグリーン−24、25;C.I.ソルベントブラウン−3、9等が挙げられる。これらの染料は、単独で使用してもよく、さもなければ所望とする色を得るために混合して使用してもよい。
また、前記顔料としては、黒色顔料である各種カーボンブラック(チャネルブラック、ファーネスブラック等)やチタンブラック、白色顔料である酸化チタンなどの金属酸化物やカラー顔料である。カラー顔料としては例えば、ベンジジン系のイエロー顔料、ローダミン系のマゼンタ顔料、フタロシアニン系のシアン顔料、あるいはこの他にもアントラキノン系、アゾ系、アゾ金属錯体、フタロシアニン系、キナクリドン系、ペリレン系、インジゴ系、イソインドリノン系、キナクリドン系、アリルアミド系などの各種カラー顔料を挙げることができる。
前記顔料の具体例としては、酸化亜鉛、塩基性炭酸鉛、塩基性硫酸鉛、硫酸鉛、リトボン、白雲母、硫化亜鉛、酸化チタン、酸化アンチモン、鉛白、酸化ジルコニウム、アルミナ、マイカナイト、マイカレックス、石英、炭酸カルシウム、石膏、クレー、シリカ、ケイ酸、珪素土、タルク、塩基性炭酸マグネシウム、アルミナホワイト、グロスホワイト、サチン白等の無機酸化物等の白色顔料や、亜鉛、アルメル、アンチモン、アルミニウム、アルミニウム合金、イリジウム、インジウム、オスミウム、クロム、クロメル、コバルト、ジルコニウム、ステンレス鋼、金、銀、洋銀、銅、青銅、すず、タングステン、タングステン鋼、鉄、鉛、ニッケル、ニッケル合金、ニッケリン、白金、白金ロジウム、タンタル、ジュラルミン、ニクロム、チタン、クルップ・オーステナイト鋼、コンスタンタン、真鍮、白金イリジウム、パラジウム、パラジウム合金、モリブデン、モリブデン鋼、マンガン、マンガン合金、ロジウム、ロジウム金などの金属材料や、フェノール樹脂、フラン樹脂、キシレン・ホルムアルデヒド樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、アニリン樹脂、アルキド樹脂、不飽和ポリエステル、エポキシ樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ−p−キシリレン、ポリ酢酸ビニル、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、フッ素系プラスチック、ポリアクリロニトリル、ポリビニルエーテル、ポリビニルケトン、ポリエーテル、ポリカーボネート、熱可塑性ポリエステル、ポリアミド、ジエン系プラスチック、ポリウレタン系プラスチック、ポリフェニレン、ポリフェニレンオキシド、ポリスルホン、芳香族ヘテロ環ポリマー、シリコーン、天然ゴム系プラスチック、セルロース系プラスチック等の高分子材料で構成された顔料等が挙げられる。
また、カラー顔料であるイエロー系顔料の具体例としては、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アントラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物、アリルアミド化合物に代表される化合物が用いられる。より詳細には、C.I.ピグメントイエロー−12、13、14、15、17、62、74、83、93、94、95、109、110、111、128、129、147、168等が好適に挙げられる。
マゼンタ系顔料の具体例としては、縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、ペリレン化合物が用いられる。より詳細には、C.I.ピグメントレッド−2、3、5、6、7、23、48;2、48;3、48;4、57;1、81;1、144、146、166、169、177、184、185、202、206、220、221、254等が好適に挙げられる。
シアン系顔料の具体例としては、銅フタロシアニン化合物及びその誘導体、アントラキノン化合物、塩基染料レーキ化合物等が利用できる。より詳細には、C.I.ピグメントブルー−1、7、15、15:1、15:2、15;3、15:4、60、62、66等が特に好適に挙げられる。
これら顔料の粒子径としては、1次粒子の体積平均粒子径で0.001μm〜1μmのものが好ましく、特に、0.02μm〜0.2μmのものが好ましい。これは粒子径が0.001μm以上では高分子ゲルからの流出が起こりにくく、また、1μm以下であれば発色特性や光散乱特性優れるためである。
一方、前記光散乱材料の好適な具体例は、無機材料として、酸化亜鉛、塩基性炭酸鉛、塩基性硫酸鉛、硫酸鉛、リトボン、白雲母、硫化亜鉛、酸化チタン、酸化アンチモン、鉛白、酸化ジルコニウム、アルミナ、マイカナイト、マイカレックス、石英、炭酸カルシウム、石膏、クレー、シリカ、ケイ酸、珪素土、タルク、塩基性炭酸マグネシウム、アルミナホワイト、グロスホワイト、サチン白等の無機酸化物や、亜鉛、アルメル、アンチモン、アルミニウム、アルミニウム合金、イリジウム、インジウム、オスミウム、クロム、クロメル、コバルト、ジルコニウム、ステンレス鋼、金、銀、洋銀、銅、青銅、すず、タングステン、タングステン鋼、鉄、鉛、ニッケル、ニッケル合金、ニッケリン、白金、白金ロジウム、タンタル、ジュラルミン、ニクロム、チタン、クルップ・オーステナイト鋼、コンスタンタン、真鍮、白金イリジウム、パラジウム、パラジウム合金、モリブデン、モリブデン鋼、マンガン、マンガン合金、ロジウム、ロジウム金などの金属材料、ITO(インジウム・スズ酸化物)等の無機導電性材料などが挙げられる。特に雲母やアルミニウムおよびその類縁体は塗装膜とする際に好適に使用できる。
また、光散乱材料の好適な具体例は、有機材料として、フェノール樹脂、フラン樹脂、キシレン・ホルムアルデヒド樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、アニリン樹脂、アルキド樹脂、不飽和ポリエステル、エポキシ樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ‐p−キシリレン、ポリ酢酸ビニル、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、フッ素系プラスチック、ポリアクリロニトリル、ポリビニルエーテル、ポリビニルケトン、ポリエーテル、ポリカーボネート、熱可塑性ポリエステル、ポリアミド、ジエン系プラスチック、ポリウレタン系プラスチック、ポリフェニレン、ポリフェニレンオキシド、ポリスルホン、芳香族ヘテロ環ポリマー、シリコーン、天然ゴム系プラスチック、セルロース系プラスチック等やこれら2種類以上の高分子材料の混合材料(ポリマーブレンド)などの高分子材料が挙げられる。
更に、調光用材料として、高分子ゲルに共有結合するための付加反応性基や重合性基を有する調光用材料や、高分子ゲルとイオン結合などの相互作用する基を有する調光用材料などの各種の化学修飾した調光用材料を用いることも好ましい。
また、前記したように顔料や光散乱材は高分子ゲル中に含有され、高分子ゲルから流出しないことが必要である。そのためには高分子ゲルの架橋密度を最適化して顔料や光散乱材を高分子網目中に物理的に閉じ込めること、高分子ゲルとの電気的、イオン的、その他物理的な相互作用が高い顔料や光散乱材を用いること、表面を化学修飾した顔料や光散乱材を用いることなどが好ましい。例えば、表面を化学修飾した顔料や光散乱材としては、表面にビニル基などの不飽和基や不対電子(ラジカル)などの高分子ゲルと化学結合する基を導入したものや、高分子材料をグラフト結合したものなどが挙げられる。
このような調光用材料を含む刺激応答性高分子ゲル2は、架橋前の高分子に調光用材料を均一に分散、混合した後に架橋する方法や重合時に高分子前駆体モノマー組成物に調光用材料を添加して重合する方法によって製造することができる。重合時において顔料や光散乱材を添加する場合には前記したように重合性基や不対電子(ラジカル)をもつ顔料や光散乱材を使用し、高分子ゲルに化学結合することも好ましく実施される。
また、調光用材料は本発色材料中に極力均一に分散されていることが好ましい。特に、高分子への分散に際して、機械的混練法、攪拌法やあるいは分散剤などを利用して均一に分散させることが望ましい。なお調光用材料を含有した高分子ゲルの粒子は前述した高分子ゲルの粒子と同様の方法によって合成することができる。
刺激応答性高分子ゲル2が吸収・放出する液体Lとしては、水や各種有機溶剤およびこれらの2種以上の混合物を用いることができる。
本発明で使用可能な液体Lとして好ましいものを例示すれば、水、電解質水溶液、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコールなどのアルコール類;アセトンやメチルエチルケトンなどのケトン類;エーテル類;エステル類;等の他、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホオキシド、アセトニトリル、プロピレンカーボネート、脂肪族あるいは芳香族系有機溶媒などや、それらの混合物が挙げられる。これらの中でも、安全性の観点から水、アルコール類が好ましい。
また、液体Lには分散安定剤、酸化防止剤や紫外線吸収剤などの安定剤、抗菌剤、防腐剤などを添加してもよい。また刺激応答性高分子ゲルの体積変化特性を変化させるための材料を溶解することもできる。さらに、種々顔料や白色顔料や染料などの色素を添加することもできる。
刺激応答性高分子ゲル2と液体との混合比は、質量比で1/2000〜1/5(高分子ゲル/液体)の範囲とすることが好ましく、1/300〜1/15がさらに好ましい。前記質量比が1/2000〜1/5であれば、組成物の機械的強度などの物性が優れたものとなり、かつ、刺激応答による体積変化量や応答速度が向上する。
液体Lの沸点は、好ましくは80℃以上、さらに好ましくは100℃以上であり、特に好ましくは150℃以上である。沸点が低い場合には調光素子内部から液体が徐々に蒸発して刺激応答性高分子ゲル2の体積変化が鈍くなるおそれや、光学素子中に気泡が生じ、その外観を損なうおそれがある。そのため、高沸点の溶剤や、不揮発性の化合物を溶解し、モル沸点上昇を利用して沸点を高めることも好ましく実施される。
−保持材4−
本発明の高分子ゲル組成物においては、刺激応答性高分子ゲル2が保持材4中に保持されていることを特徴とする。本発明において、保持材4は、透明又は半透明であり、流動性を示さず、形態保持性を有するものである。ここで、形態保持性とは重力下で放置しても液体のように流動せず初期の形状をある程度維持できることをいう。
また、液体Lに親和性の高い保持材4を用いれば液体Lは保持材4中にも保持される。一方、液体Lに親和性の低い保持材4を用いれば、刺激応答性高分子ゲル2と液体Lとは保持材4中には含まれず、刺激応答性高分子ゲル2と液体Lは保持材4中に液滴状に相分離状に保持される。
保持材4を用いることによって、光学素子内部で刺激応答性高分子ゲル2が流動せずに安定に保持することができるため、繰り返しの膨潤収縮によっても刺激応答性高分子ゲル2が凝集したりせず、安定した光学特性を長期間にわたって維持することができる。また、刺激応答性高分子ゲル2と保持材4によって変色領域のパターンを形成した場合にも、パターンが安定に保持され、文字、絵柄など表示、または微細なセンサーとして使用することができる。さらに、光学素子が破損した場合でも内部の液体が飛散せず安全性を高めることができる。
本発明における保持材4としては、高分子が三次元的に架橋されてなる化合物であることが好ましい。さらに光、熱などにより硬化可能な硬化性樹脂の硬化物も好ましく用いることができる。なお、本発明において保持材4として硬化性樹脂の硬化物を用いる場合、硬化性樹脂とその硬化物とを区別するため、硬化性樹脂を「保持材前駆体」と、その硬化物を「保持材」と称することがある。
前記保持材前駆体としては、熱により可逆的に物理架橋を形成して三次元架橋構造を構築する一連の高分子や、熱硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂、放射線硬化性樹脂等が好ましく挙げられる。前記保持材前駆体は、後述する光学素子において、低粘度の液体状態で一対の基板間に供給できるため、一対の基板間の間が狭い場合でも容易に供給することができるので好ましい。
また、前記保持材前駆体が水溶性高分子化合物であると、刺激応答性高分子ゲル2の吸収・放出する液体として水を使用することができ、安全性の高い光学素子を提供できるため好ましい。
前記熱により可逆的に物理架橋を形成して三次元架橋構造を構築する高分子の具体的な例としてはアガロース、アガロペクチン、アミロース、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、カードラン、カゼイン、カラギーナン、カロース、寒天、キチン、キトサン、絹フィブロイン、クアーガム、クインスシード、グルコマンナン、ケラタン硫酸、ケラチン蛋白質、コラーゲン、ジェランガム、シゾフィラン、ゼラチン、ゾウゲヤシマンナン、ツニシン、デキストラン、デルマタン硫酸、トラガカントゴム、ヒアルロン酸、分解キシログルカン、ペクチン、ポルフィラン、ラミナラン、リケナン、レンチナン等の天然高分子由来の高分子ゲル等を挙げることができる。
前記紫外線硬化性樹脂の具体例としては、アクリル系、ビニルエーテル系の光硬化性樹脂や高分子にラジカル反応性基を修飾したものと、光ラジカル開始剤との組み合わせ等、公知の紫外線硬化性樹脂を用いることができる。
前記紫外線硬化性樹脂の好ましい具体例としては、ポリ(メタ)アクリル酸にラジカル反応性基を修飾した反応性高分子、ポリビニルアルコールにラジカル反応性基を修飾した反応性高分子、ポリアクリルアミドにラジカル反応性基を修飾した反応性高分子等が挙げられる。これらの反応性高分子は、光ラジカル開始剤等と併用される。
前記放射線硬化性樹脂の具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリアクリレート、ポリアクリルアミド、ポリビニルクロライド、ポリアクリロニトリル、ポリ酢酸ビニル、ポリジメチルシロキサン、天然ゴム、ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリイソブチレン、ポリα−メチルスチレン、ポリメタクリレート、ポリメタクリルアミド、ポリメタクリロニトリル、ポリビニリデンクロライド、ポリ塩化三フッ化エチレン、ポリ四フッ化エチレン、セルロースなど放射線照射によって高分子間に架橋構造を形成できる高分子を用いることができる。
前記放射線硬化性樹脂の好ましい具体例としては、ポリアクリルアミド、ポリメタクリレート、ポリビニルピロリドンなどが挙げられる。
尚、前記した硬化性樹脂は、刺激応答性高分子ゲルの刺激応答性に影響を与えないことが好ましいが、調光特性に問題がない範囲ならば構わない。
また、保持材4中に保持される刺激応答性高分子ゲル2に吸収・放出される液体(液体L)と、乾燥状態の保持材4との割合としては、[乾燥時における保持材4の質量]/[液体Lの質量+乾燥時における保持材4の質量]で0.002〜0.3の範囲が好ましく、より好ましくは0.005〜0.1の範囲であり、さらに好ましくは0.15〜0.03の範囲である。[乾燥時における保持材4の質量]/[液体Lの質量+乾燥時における保持材4の質量]が0.3以下であれば、刺激応答性高分子ゲルの体積変化特性が抑制されることがないため十分な調光性能を得ることができる。また、0.002以上であると、保持材の強度を十分確保することができる。
本発明の高分子ゲル組成物は、保持材4が色材Cによって着色されていることを特徴とする。
色材Cとしては、既述の刺激応答性高分子ゲル2を着色するための調光材料に用いた材料と同じものを用いることができる。更に、着色された金属、プラスチック、ゲルなどの微粒子、なども好ましく使用できる。また、2種類以上の調光材料を混合して使用することも好ましい。
既述のように、本発明の高分子ゲル組成物は、保持材4を着色している色材Cの色相が刺激応答性高分子ゲル2を着色している調光材料の色相と補色の関係にあることが好ましい。更に、本発明の高分子ゲル組成物は、刺激応答性高分子ゲル2の収縮時に無彩色として観察されることが特に好ましい。これにより、刺激応答性高分子ゲル2は収縮状態における高分子ゲル組成物の色の消え残りを解消することができる。
刺激応答性高分子ゲル2の収縮時に無彩色として観察させる方法としては、色材と調光材料が補色の関係にあり、更に、色材及び調光材料の濃度を調整することにより達成される。
また、保持材を着色する場合には保持材前駆体溶液に対して色材を混合し、均一に分散または溶解させたものを、硬化させることによって着色した保持材とすることができる。
上述のように、補色の関係となる調光材料の色相と色材Cの色相との組み合わせとしては、赤と青緑、青と黄橙、赤みの橙と緑青、黄色と青紫、黄緑と紫、緑と赤紫等、色相環で向かい合う関係にある色同士の組み合わせを挙げることができる。
本発明の高分子ゲル組成物は、フィルム状または板状に成形された状態で用いることが好ましい。
また、本発明の高分子ゲル組成物は、刺激応答性高分子ゲル2と色材Cとを保持材前駆体材料の溶液に混合することにより得られる。また、色材Cはあらかじめ保持材前駆体に混合しておいてもよい。なお粒状もしくは粉砕された刺激応答性高分子ゲル2は凝集しやすいため、保持材前駆体に混合する際には界面活性剤等の分散剤などを用いて分散しておくことが好ましい。保持材前駆体が架橋性の硬化型材料である場合には、架橋処理を施して保持材形成用材料を固化させ、保持材4を高分子ゲルとすることも可能である(固化工程)。ゲル化した高分子ゲル組成物は基材なしで使用することができる。
<光学素子>
次に、本発明の光学素子について詳細に説明する。
本発明の光学素子の第一の形態を図面を用いて説明する。図2は、本発明の光学素子の第一の形態を説明するための概略断面図である。
本発明の光学素子の第一の形態は、図2に示すように、調光材料により着色された刺激応答性高分子ゲル2と、色材Cにより着色され、刺激応答性高分子ゲル2を覆う保持材4と、からなる本発明の高分子ゲル組成物が、基板6上に配置してなる。
また、本発明の光学素子の第一の形態は、例えば刺激応答性高分子ゲル2が収縮時に、高分子ゲル組成物が無彩色となり、更に基板6が無彩色であれば、刺激応答性高分子ゲル2の収縮時には、鉛直上方から観察すると、無彩色として観察できる。
本発明の光学素子の第二の形態を図面を用いて説明する。図3は、本発明の光学素子の第二の形態を説明するための概略断面図である。
本発明の光学素子の第二の形態は、図3に示すように、基板6と、該基板に対向する透明又は半透明である基板8とからなる一対の基板間に、調光材料により着色された刺激応答性高分子ゲル2と、色材Cにより着色され、刺激応答性高分子ゲル2を覆う保持材4と、からなる本発明の高分子ゲル組成物が、挟持されてなる。
本発明の光学素子の第二の形態は、例えば刺激応答性高分子ゲル2が収縮時に、高分子ゲル組成物が無彩色となり、基板6、及び、透明又は半透明である基板8が無彩色であれば、刺激応答性高分子ゲル2の収縮時には、透明又は半透明である基板8から観察すると、無彩色として観察できる。
また、基板6は、透明又は半透明、不透明の何れでもよい。
基板6、及び、透明又は半透明である基板8の素材としては、透明な素材としてポリエステル、ポリイミド、ポリ(メタ)アクリル酸メチル等のアクリル樹脂;ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン;ナイロン、ポリ塩化ビニリデン等のプラスチックのフィルムや板状基板、ガラス基板が挙げられ、不透明な素材として金属、セラミックス等が挙げられる。
基板6、及び、透明又は半透明である基板8の厚みは、10μm〜2mmが好ましいが、この大きさは目的によって種々選択可能で、特に限定はされない。
本発明の光学素子の第三の形態の一例を図面を用いて説明する。図4は、本発明の光学素子の第三の形態の一例を説明するための概略断面図である。本発明の光学素子の第三の形態の一例は、図4に示すように、調光材料により着色された刺激応答性高分子ゲル2と、刺激応答性高分子ゲル2を覆う、着色されていない保持材10と、からなる高分子ゲル組成物を、不図示の色材C’により着色された基板12上に設置してなる。本発明の光学素子の第三の形態の一例における刺激応答性高分子ゲル2は、本発明の光学素子の第一の形態における刺激応答性高分子ゲル2と同様である。
また、着色されていない保持材10は、色材Cにより着色されていないこと以外、本発明の光学素子の第一の形態における保持材4と同様である。
更に、基板12は、色材C’により着色されていること以外、本発明の光学素子の第一の形態における基板6と同様である。
一方、色材C’としては、既述の本発明の高分子ゲル組成物において、保持材4を着色するために用いた色材Cと同様のものが挙げられる。
本発明の光学素子の第三の形態の一例においては、基板12を着色している色材C’の色相が、刺激応答性高分子ゲル2を着色している調光材料の色相と補色の関係にあることが好ましい。更に、本発明の光学素子の第三の形態の一例は、刺激応答性高分子ゲル2の収縮時に、鉛直上方より観察すると、無彩色として観察されることが特に好ましい。
刺激応答性高分子ゲル2の収縮時に、鉛直上方より観察した場合に、無彩色として観察させる方法としては、色材C’の色相と調光材料の色相が補色の関係にあり、更に、色材C’又は調光材料の濃度を調整することが挙げられる。
本発明の光学素子の第三の形態の他の例を図面を用いて説明する。図5は、本発明の光学素子の第三の形態の他の例を説明するための概略断面図である。本発明の光学素子の第三の形態の他の例は、図5に示すように、着色されていない保持材10を、色材Cにより着色された保持材4に変更したこと以外、本発明の光学素子の第三の形態の一例と同様である。
本発明の光学素子の第三の形態の他の例においても、刺激応答性高分子ゲル2の収縮時に、鉛直上方より観察すると、無彩色として観察されることが特に好ましい。
本発明の光学素子の第四の形態の一例を図面を用いて説明する。図6は、本発明の光学素子の第四の形態の一例を説明するための概略断面図である。本発明の光学素子の第四の形態の一例は、図6に示すように、調光材料により着色された刺激応答性高分子ゲル2と、刺激応答性高分子ゲル2を覆う、着色されていない保持材10と、からなる高分子ゲル組成物が、色材C’により着色されている基板12と、透明又は半透明であり、着色されていない基板14と、からなる一対の基板間に挟持されてなる。
本発明の光学素子の第四の形態の一例における透明又は半透明であり、着色されていない基板14は、着色されていないこと以外、透明又は半透明である基板8と同様である。
本発明の光学素子の第四の形態の一例においても、刺激応答性高分子ゲル2の収縮時に、透明又は半透明であり、着色されていない基板14側から観察すると、無彩色として観察されることが特に好ましい。
本発明の光学素子の第四の形態の他の例を図面を用いて説明する。図7は、本発明の光学素子の第四の形態の他の例を説明するための概略断面図である。本発明の光学素子の第四の形態の他の例は、図7に示すように、透明又は半透明であり、着色されていない基板14を、透明又は半透明であり、色材C’により着色されている基板16に変更したこと以外、本発明の光学素子の第四の形態の一例と同様である。
本発明の光学素子の第四の形態の他の例においても、刺激応答性高分子ゲル2の収縮時に、透明又は半透明であり、色材C’により着色されている基板16側から観察すると、無彩色として観察されることが特に好ましい。
また、上述の本発明の光学素子の第二の形態及び第四の形態は、図8に示すように、本発明の光学素子の周囲を封止材18で封止し、内部の不図示の液体Lの蒸発を抑制することも好ましく実施できる。図8は、本発明の光学素子の周囲を封止材18で封止した一例を説明するための概略断面図である。
封止材18としては、液体Lの溶媒の蒸発又は揮発を抑制する能力を有し、基板に対する接着性を有し、調光材料の特性に悪影響を与えず、実使用条件においてこれらの条件を長期間満たすものであれば、どのような材料を用いてもよい。また複数の封止材を組み合わせて構成することも可能である。
封止材18及び封止方法は、カラー表示素子として用いる場合はその開口部面積の確保、工程簡略化による加工コスト等を考慮すると、1層の封止が好ましい。1層で封止を行うときの封止材として、末端に反応基を有するイソブチレンオリゴマーを主体とした熱硬化型弾性シーリング材や、アクリル系紫外線硬化樹脂等の使用が例示できる。また、2層で封止するときには、調光材料と接触する1次封止にポリイソブチレン系シーラント等、2次封止としてアクリル樹脂等が例示できる。本発明における封止材及び封止方法は上記例示に限定されるものではなく、多種多様なものが選択でき、かつ、それらを組み合わせて使用してもよい。
上述の本発明の光学素子において、基板を着色する方法としては、特に限定されないが、基板の表面に色材を塗布すること方法が挙げられる。また、あらかじめ基板中に色材が混合されて着色されている基板を用いてもよい。更に、基板表面に色材で着色されたフィルムを貼りつけてもよい。
本発明の光学素子は例えば気温の変化、太陽光量の変化などの自然エネルギーによって調光を行うことができるが、刺激付与手段を設けることで、能動的に調光することもできる。この場合、刺激付与手段は高分子ゲルに実質的に既述したような外部刺激を付与するものであり、通電発熱抵抗体のほかに光付与、電磁波付与、磁場付与などの各種熱付与手段が挙げられる。なかでも特に通電発熱抵抗体が好ましく適用され、具体的にはNi−Cr合金などに代表される金属層、硼化タンタル、窒化タンタル、酸化タンタル、やITOなどの金属酸化物層、カーボン層などに代表されるの発熱抵抗体層が好ましく用いられ、これらの層に配線し電流を付与することにより発熱させることができる。またその他にも、光付与の場合は、レーザー、LED、ELなどの発光素子層を用いること、磁界や電界の付与は電磁コイル、電極等を設けることで実現できる。中でも電界を付与する場合にはITOやSnO2に代表される透明電極を基板上に形成することが光の透過率を損なわないという観点から特に好ましい。
また、本発明の光学素子には、上述の基板、刺激付与手段以外の様々な構成を有してもよい。例えば、光学素子の保護を目的とした保護層、防汚染層、反射防止層、紫外線吸収層、帯電防止層、内部液体の蒸発防止層などを必要に応じて設けることができる。
以下、本発明を、実施例を挙げてさらに具体的に説明する。ただし、これら各実施例は、本発明を制限するものではない。
[青色調光材料を含有した高温収縮型刺激応答性高分子ゲル粒子(粒子A)の作製]
青色調光材料を含有した高温収縮型刺激応答性高分子ゲル粒子(粒子A)を、以下のようなプロセスにより作製した。
N−イソプロピルアクリルアミド(NIPAM)3.5758g、メチレンビスアクリルアミド0.0072g)、及びマイクロカプセル化青色分散液(大日本インキ化学製、MC Blue 082−E、顔料分14.3%含有)10.2630gを蒸留水15.52gに溶解した溶液に、15分間窒素を通し溶存酸素を除いた。この溶液に対して重合開始剤APS(過硫酸アンモニウム)15.9mgを添加した水溶液0.5106gを加えて、攪拌し均一に溶解させた。一方、75mm径の3枚羽根の攪拌翼を取り付けた2Lのセパラブルフラスコにソルゲン50を6.00g添加したシクロヘキサン1.2L溶液を入れ、さらに先に調整したNIPAMの顔料分散液を加え、窒素を流してフラスコ内部全体を窒素置換した。
更に、ウォーターバスを用いてこのフラスコ全体を25℃に保ち、攪拌翼を800rpmで15分間回転させて水相をシクロヘキサン中に懸濁、分散させた。攪拌翼の回転数を250rpmにして、この分散液に対してTMEDA(テトラメチルエチレンジアミン)0.8mLを添加したシクロヘキサン3.2mL溶液を加えて、反応を開始させ、25℃に保ったまま250rpmで2時間重合した。得られた重合体の粒子をジメチルホルムアミド、水で十分に洗浄した。このようにして青色調光材料を含有した高温収縮型刺激応答性高分子ゲル粒子(粒子A)を作製した。
作製した粒子Aは室温(25℃,膨潤状態)での体積平均粒径が20μmであった。この刺激応答性高分子ゲル粒子は約34℃に相転移温度を有していた。すなわち本高分子ゲル粒子は、相転移点よりも高い温度では収縮し、低い温度では膨潤する。またその体積変化量は約15倍であった。
[マゼンタ調光材料を含有した高温収縮型刺激応答性高分子ゲル粒子(粒子B)の作製]
マゼンタ調光材料を含有した高温収縮型刺激応答性高分子ゲル粒子(粒子B)を、以下のようなプロセスにより作製した。
N−イソプロピルアクリルアミド(NIPAM)3.5758g、メチレンビスアクリルアミド0.0072g、及びマイクロカプセル化マゼンタ分散液(大日本インキ化学製、MCM−44−T、顔料分13.4%含有)11.2630gを蒸留水(4.63gに溶解した溶液を、15分間窒素を通し溶存酸素を除いた。この溶液に対して重合開始剤APS(過硫酸アンモニウム)17.1mgを添加した水溶液0.5006gを加えて攪拌し均一に溶解させた。一方、75mm径の3枚羽根の攪拌翼を取り付けた2Lのセパラブルフラスコにソルゲン50を6.00g添加したシクロヘキサン1.2L溶液をいれ、さらに先に調整したNIPAMの顔料分散液を加え、窒素を流してフラスコ内部全体を窒素置換した。
ウォーターバスを用いてこのフラスコ全体を25℃に保ち、攪拌翼を800rpmで15分間回転させて水相をシクロヘキサン中に懸濁、分散させた。攪拌翼の回転数を250rpmにして、この分散液に対してTMEDA(テトラメチルエチレンジアミン)(0.8ml)のシクロヘキサン(3.2ml)溶液を加えて、反応を開始させ、25℃に保ったまま250rpmで2時間重合した。得られた重合体の粒子をジメチルホルムアミド、水で十分に洗浄した。このようにしてマゼンタ調光材料を含有した高温収縮型刺激応答性高分子ゲル粒子(粒子B)を作製した。
作製したル粒子Bは室温(25℃,膨潤状態)での体積平均粒径が23μmであった。この刺激応答性高分子ゲル粒子は約34℃に相転移温度を有していた。すなわち本高分子ゲル粒子は、相転移点よりも高い温度では収縮し、低い温度では膨潤する。またその体積変化量は約13倍であった。
[青色調光材料を含有したpH応答型刺激応答性高分子ゲル粒子C(粒子C)の作製]
青色調光材料を含有した刺激応答性(pH応答型)高分子ゲル粒子C(粒子C)を、以下のようなプロセスにより作製した。
主モノマーとしてアクリル酸20.0gをビーカーにとり、冷却して攪拌しつつ25質量%の水酸化ナトリウム水溶液33gを滴下して約74%の中和を行った後、この中和後の溶液に、過硫酸アンモニウム0.1gを2gの純水に溶解した溶液と、ゲル着色用の顔料としてフタロシアニン系青色顔料10.0gと、架橋剤であるメチレンビスアクリルアミド0.1gとを加え、充分に攪拌してエマルゲン909(花王(株)製)1gを添加し、均一な溶液を調製した。
さらにこの溶液に15分間窒素を通し溶存酸素を除いたものを、セパラブルフラスコ中でシクロヘキサン500gに分散安定剤であるソルビトール系界面活性剤(第一工業製薬製:ソルゲン50)5.0gを溶解して窒素置換した溶液に添加し、回転式攪拌羽根を用いて1200回転で10分間高速攪拌して懸濁させた。
次に、反応系の温度を25℃に調節し、溶液を攪拌しながらN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミンの50%シクロヘキサン溶液を添加し、重合を行った。重合後、生成した着色高分子ゲル粒子を回収し、水酸化ナトリウム水溶液で中和反応を行った後に、純水で繰り返し洗浄を行いアセトンで脱水した後、乾燥させた。得られた粒子を分級して、平均粒径が約4μmの刺激応答性高分子ゲル粒子C(粒子C)を得た。
粒子Cの潤湿時の平均最小粒子径(A1)は水−アセトン混合溶液(体積比1:4)中に浸した状態で13.6μm、潤湿時の平均最大粒子径(A2)はpH7の純水中に浸した状態で29μmであった。また、この着色粒子の純水吸水量は約200g/gであった。
[マゼンタ調光材料を含有した高温膨潤型刺激応答性高分子ゲル粒子(粒子E)の作製]
マゼンタ調光材料を含有した高温膨潤型刺激応答性高分子ゲル粒子(粒子E)を、以下のようなプロセスにより作製した。
アクリルアミド1.0g、架橋剤としてのメチレンビスアクリルアミド1.0mg、蒸留水0.575g、色材としてのマゼンタ分散液(大日本インキ化学製、MCM−44−T、顔料分13.4%含有)3.425g、を攪拌混合した水溶液Bを調製した。ソルビトール系界面活性剤(ソルゲン50:第一工業製薬(株)製)2.375gをトルエン300mlに溶解した溶液を窒素置換された反応容器に加え、これに、先に調製した水溶液Bを添加し、回転式攪拌装置を用いて1200rpmで30分攪拌して懸濁させ、懸濁液Bを得た。得られた懸濁液Bをフラスコ中に入れ、窒素置換により酸素を除いた後、重合開始剤である過硫酸アンモニウム0.004gを水0.5mlに溶解したものを添加し、70℃に加熱して3時間、重合を行った。重合終了後、大量のアセトンで洗浄することで精製を行い、さらに乾燥させて、マゼンタ調光材料を含有したアクリルアミドゲルの粒子(粒子E’)を得た。
次に、アクリル酸1.5g、架橋剤としてのメチレンビスアクリルアミド0.0015g、および蒸留水5.5gを混合し、窒素置換後、これに過硫酸アンモニウム0.006gを水0.5gに溶解したものを添加し、混合液を得た。この混合液に上記得られたアクリルアミドゲルの粒子(粒子E’)0.5gを加えて70℃に加熱し、3時間重合を行いIPN高分子ゲル粒子を作製した。作製したIPN高分子ゲル粒子(アクリル酸−アクリルアミド相互侵入網目構造体ゲル粒子)を大量の蒸留水中に投入し、加熱冷却を行い、ゲル粒子を膨潤収縮させ、これをろ過する操作を繰り返すことで精製を行い、マゼンタ調光材料を含有した高温膨潤型刺激応答性高分子ゲル粒子(粒子E)を作製した。作製した粒子Eの乾燥時の体積平均粒子径は、約10μmであった。この粒子Eを、大量の純水に加えて膨潤させた。この粒子Eの10℃における平衡膨潤時の吸水量は約3g/gであった。ところが、これを50℃に加熱するとさらに膨潤し、約80g/gの吸水量を示すことがわかった。この相転移点は30〜40℃の温度範囲にあった。つまり、相転移点よりも高温では膨潤し、低温では収縮する。この変化は可逆的であり、収縮時に比べ膨潤時の高分子ゲル粒子の粒子径が約3倍まで変化し、すなわち、体積で約27倍の変化が得られた。
[粒子E用の保持材前駆体Aの合成]
重量平均分子量800,000を有するポリアクリル酸(日本触媒製 アクリアックAS−58)の20質量%水溶液、20gに対し、メタクリル酸グリシジル0.5gを加え、室温で24時間攪拌し反応させることで架橋性高分子を合成した。この溶液に対して光開始剤(チバスペシャリティケミカル製 イルガキュア2959)を0.8gと純水60gとを加え、酸性保持部材前駆体Aを調製した。このときの保持材前駆体水溶液のpHは約2.2であった。
この酸性保持部材前駆体Aを、ガラス基板間に100μmの厚さに保持したものを調整し、紫外線を照射(高圧水銀灯、160W/cm,150sec,照射距離40cm)ところ、樹脂組成物全体がゲル化し自己保持製のある硬化物が得られた。
<光学素子の作製と機能評価>
[実施例1]
紫外線硬化樹脂水溶液(東洋合成製:SPP−S−13、固形分濃度10質量%)10gとドデシル硫酸ナトリウム(SDS)0.6g、マゼンタ顔料(大日本インキ製 MCM−44−T)10mg、黄色顔料(大日本インキ製 MCY−44−T)10mg、及び蒸留水10gを混合した保持材前駆体中に前記粒子Aの水分散液(粒子の固形分濃度:2.5質量%)20gを加え、遊星式分散機を用いて保持材前駆体中に粒子Aを均一に分散した(分散液A)。この分散液Aを2枚のガラス基板間(松浪ガラス製白板ガラス 50×50×0.9mm)間に、厚み110μmで挟持した。厚みの維持には積水化学性のポリスチレンビーズ(商品名ミクロパール)を用いた。分散液を挟持したガラス基板の上から紫外線(ウシオ電機製、超高圧水銀灯、照度75mW/cm2)を6秒間照射し、光学素子Aを得た。この光学素子Aは、2枚のガラス基板のうちの何れのガラス基板側から観察した場合においても以下の様に観察できた。室温において青く着色し、50℃に加熱すると消色して、ほぼ無彩色となった。
[実施例2]
実施例1で得られた光学素子Aからガラス基板を剥離し、光学素子Bとした。この光学素子Bは室温において青く着色し、50℃に加熱すると消色して、ほぼ無彩色となった。
[実施例3]
紫外線硬化樹脂水溶液(東洋合成製:SPP−S−13、固形分濃度10質量%)10gとドデシル硫酸ナトリウム(SDS)0.6g、及び蒸留水10gを混合した保持材前駆体中に前記粒子Aの水分散液(粒子の固形分濃度:2.5質量%)20gを加え、遊星式分散機を用いて保持材前駆体中に粒子Aを均一に分散した(分散液A’)。この分散液A’を透明なガラス基板(50×50×0.9mm)とオレンジ色に着色したガラス基板(透明なプラスチックフィルムにオレンジ色顔料で着色したものを、前記透明なガラス基板の表面に貼りつけたガラス基板)間に、厚み110μmで挟持した。厚みの維持には積水化学性のポリスチレンビーズ(商品名ミクロパール)を用いた。分散液を挟持したガラス基板の上から紫外線(ウシオ電機製、超高圧水銀灯、照度75mW/cm2)を6秒間照射し、光学素子Cを得た。この光学素子Cは、2枚のガラス基板のうちの何れのガラス基板側から観察した場合においても以下の様に観察できた。室温において青く着色し、50℃に加熱すると消色して、ほぼ無彩色となった。
[実施例4]
紫外線硬化樹脂水溶液(東洋合成製:SPP−S−13、固形分濃度10質量%)10gとドデシル硫酸ナトリウム(SDS)0.6g、緑色顔料(大日本インキ製 MC Green082−1)10mg、及び蒸留水10gを混合した保持材前駆体中に前記粒子Bの水分散液(粒子の固形分濃度2.5質量%)20gを加え、遊星式分散機を用いて保持材前駆体中に粒子Bを均一に分散した(分散液B)。この分散液Bを2枚のガラス基板(松浪ガラス製白板ガラス:50×50×0.9mm)間に、厚み110μmに挟持した。厚みの維持には積水化学性のポリスチレンビーズ(商品名ミクロパール)を用いた。分散液を挟持したガラス基板の上から紫外線(ウシオ電機製、超高圧水銀灯、照度75mW/cm2)を6秒間照射し、光学素子Dを得た。この光学素子Dは、2枚のガラス基板のうちの何れのガラス基板側から観察した場合においても以下の様に観察できた。室温において赤紫色に着色し、50℃に加熱すると消色してほぼ無彩色となった。
[実施例5]
保持材前駆体であるフッ素系のUV硬化剤(日本化薬製 KAYARAD FAD−515、硬化時の屈折率1.385)のフッ素系界面活性剤(セイミケミカル製:Surflon S−383)5質量%溶液20gに対して、マゼンタ顔料8mgと、前記粒子Bの水分散液(固形分3.0質量%)を加えて、遊星式分散機で前記粒子Bを保持材前駆体中に均一に分散した。ブレードコーターを用いて厚み100μmの透明ポリエステルフイルム上に100μmの厚みに塗布し、紫外線(75mW/cm2)を30秒間照射したところUV硬化樹脂が硬化した光学素子Eとなった。この光学素子Eは、鉛直上方から観察した場合に以下の様に観察できた。室温において赤紫色に着色していた。この光学素子Eを50℃に加熱すると消色して、ほぼ無彩色となった。
[実施例6]
実施例5で作製した光学素子からポリエステルフィルムを剥離して高分子ゲル組成物とした。この高分子ゲル組成物は室温において赤紫色に着色していた。この高分子ゲル組成物を50℃に加熱すると消色して、ほぼ無彩色となった。
[実施例7]
前記保持材前駆体A(10g)中に、緑色顔料(大日本インキ製 MC Green082−1)20mg、前記粒子E(10g、固形分3質量%)を加えて遊星式分散機で前記粒子Eを保持材前駆体中に均一に分散した(分散液C)。この分散液Cを2枚のガラス基板(松浪ガラス製白板ガラス:50×50×0.9mm)間に、厚み110μmに挟持した。厚みの維持には積水化学性のポリスチレンビーズ(商品名ミクロパール)を用いた。 次に、分散液を挟持したガラス基板の上から紫外線(ウシオ電機製、超高圧水銀灯、照度75mW/cm2)を6秒間照射し、さらに周囲を紫外線硬化型接着剤(封止材、(株)スリーボンド製、スリーボンド3114)で封止し、光学素子Fを得た。この光学素子Fは、2枚のガラス基板のうちの何れのガラス基板側から観察した場合においても以下の様に観察できた。60℃に加熱すると赤紫色に着色し、10℃に冷却すると消色してほぼ無彩色となった。
[実施例8]
紫外線硬化樹脂水溶液(東洋合成製:SPP−S−13、固形分濃度10質量%)10gと蒸留水10gとを混合した保持材前駆体中に、前記粒子Cの水分散液(粒子の固形分濃度:2.5質量%)20gを加え、遊星式分散機を用いて保持材前駆体中に粒子Cを均一に分散した(分散液D)。この分散液Dをのオレンジ色に着色したガラス基板(透明なプラスチックフィルムにオレンジ色顔料で着色したものを、透明なガラス基板の表面に貼りつけたガラス基板)上に、厚み110μmでバーコーターを用いて塗布した。紫外線(ウシオ電機製、超高圧水銀灯、照度75mW/cm2)を6秒間照射し、光学素子Gを得た。この光学素子Gは、2枚のガラス基板のうちの何れのガラス基板側から観察した場合においても以下の様に観察できた。pH6.0の蒸留水に浸すと青く着色し、pH3.0の酢酸水溶液に浸すと消色して、ほぼ無彩色となった。
[比較例1]
紫外線硬化樹脂水溶液(東洋合成製:SPP−S−13、固形分濃度10質量%)10g、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)0.6g、及び蒸留水10gを混合した保持材前駆体中に前記粒子Aの水分散液(粒子の固形分濃度:2.5質量%)20gを加え、遊星式分散機を用いて保持材前駆体中に前記粒子Aを均一に分散した。この分散液を2枚のガラス基板間(松浪ガラス製白板ガラス 50×50×0.9mm)間に、厚み110μmで挟持した。厚みの維持には積水化学性のポリスチレンビーズ(商品名ミクロパール)を用いた。分散液を挟持したガラス基板の上から紫外線(ウシオ電機製、超高圧水銀灯、照度75mW/cm2)を6秒間照射し、光学素子Hを作製した。この光学素子Hは、2枚のガラス基板のうちの何れのガラス基板側から観察した場合においても以下の様に観察できた。室温において青く着色し、50℃に加熱すると消色したが、薄い青色であった。
[比較例2]
比較例1の光学素子Hからガラス基板を剥離し、光学素子Iとした。この光学素子Iは室温において青く着色し、50℃に加熱すると消色したが、薄い青色であった。
[比較例3]
前記保持材前駆体A(10g)中に前記粒子E(10g、固形分3質量%)を加えて遊星式分散機で前記粒子Eを保持材前駆体中に均一に分散した(分散液D)。この分散液Dを2枚のガラス基板(松浪ガラス製白板ガラス:50×50×0.9mm)間に、厚み110μmに挟持した。厚みの維持には積水化学性のポリスチレンビーズ(商品名ミクロパール)を用いた。分散液を挟持したガラス基板の上から紫外線(ウシオ電機製、超高圧水銀灯、照度75mW/cm2)を6秒間照射し、さらに周囲を紫外線硬化型接着剤(封止材、(株)スリーボンド製、スリーボンド3114)で封止し、光学素子Jを得た。この光学素子Jは、2枚のガラス基板のうちの何れのガラス基板側から観察した場合においても以下の様に観察できた。60℃に加熱すると赤紫色に着色し、10℃に冷却すると消色してが薄い赤紫色であった。
[比較例4]
保持材前駆体であるフッ素系のUV硬化剤(日本化薬製 KAYARAD FAD−515、硬化時の屈折率1.385)のフッ素系界面活性剤(セイミケミカル製:Surflon S−383)5質量%溶液20gに対して、前記粒子Bの水分散液(固形分3.0質量%)を加えて、遊星式分散機で前記粒子Bを保持材前駆体中に均一に分散した(分散液E)。ブレードコーターを用いて厚み100μmの透明ポリエステルフイルム上に100μmの厚みに塗布し、紫外線(75mW/cm2)を30秒間照射したところUV硬化樹脂が硬化した光学素子Kとなった。この光学素子Kは、鉛直上方から観察した場合に以下の様に観察できた。室温において赤紫色に着色し、50℃に加熱すると消色したが、薄い赤紫色であった。
(a)は刺激応答性高分子ゲルが膨潤状態である高分子ゲル組成物の一例を示す概略断面図である。(b)は刺激応答性高分子ゲルが収縮状態である高分子ゲル組成物の一例を示す概略断面図である。 本発明の光学素子の第一の形態を説明するための概略断面図である。 本発明の光学素子の第二の形態を説明するための概略断面図である。 本発明の光学素子の第三の形態の一例を説明するための概略断面図である。 本発明の光学素子の第三の形態の他の例を説明するための概略断面図である。 本発明の光学素子の第四の形態の一例を説明するための概略断面図である 本発明の光学素子の第四の形態の他の例を説明するための概略断面図である 本発明の光学素子の周囲を封止材18で封止した一例を説明するための概略断面図である。
符号の説明
2 刺激応答性高分子ゲル
4,10 保持材
6,8,12,14,16 基板
18 封止材

Claims (14)

  1. 液体及び調光材料を含有し、かつ刺激の付与により前記液体を吸収・放出して体積変化を生ずる着色されている刺激応答性高分子ゲルと、該刺激応答性高分子ゲルを覆う保持材と、を有する高分子ゲル組成物であって、
    前記保持材が色材により着色されていることを特徴とする高分子ゲル組成物。
  2. 前記色材の色相が、前記調光材料の色相と補色の関係にあることを特徴とする請求項1に記載の高分子ゲル組成物。
  3. 前記着色されている刺激応答性高分子ゲルの収縮時に、無彩色として観察されることを特徴とする請求項1又は2に記載の高分子ゲル組成物。
  4. 請求項1〜3の何れか1項に記載の高分子ゲル組成物を、基板上に配置してなることを特徴とする光学素子。
  5. 透明又は半透明である基板と、該基板に対向する基板とからなる一対の基板間に、請求項1〜3の何れか1項に記載の高分子ゲル組成物が、挟持されてなることを特徴とする光学素子。
  6. 液体及び調光材料を含有し、かつ刺激の付与により前記液体を吸収・放出して体積変化を生ずる着色されている刺激応答性高分子ゲルと、該刺激応答性高分子ゲルを覆う保持材と、を有する高分子ゲル組成物を、基板上に配置してなる光学素子であって、前記基板が色材により着色されていることを特徴とする光学素子。
  7. 前記色材の色相が、前記調光材料の色相と補色の関係にあることを特徴とする請求項6に記載の光学素子。
  8. 前記保持材が色材により着色されていることを特徴とする請求項6に記載の光学素子。
  9. 前記着色されている刺激応答性高分子ゲルの収縮時に、鉛直上方から観察すると、無彩色として観察されることを特徴とする請求項6〜8の何れか1項に記載の光学素子。
  10. 透明又は半透明である基板と、該基板に対向する基板とからなる一対の基板間に、液体及び調光材料を含有し、かつ刺激の付与により前記液体を吸収・放出して体積変化を生ずる着色されている刺激応答性高分子ゲルと、該刺激応答性高分子ゲルを覆う保持材と、を有する高分子ゲル組成物が、挟持されてなる光学素子であって、
    前記一対の基板の少なくとも一方が、色材により着色されていることを特徴とする光学素子。
  11. 前記色材の色相が、前記調光材料の色相と補色の関係にあることを特徴とする請求項10に記載の光学素子。
  12. 前記保持材が色材により着色されていることを特徴とする請求項10に記載の光学素子。
  13. 前記着色されている刺激応答性高分子ゲルの収縮時に、前記透明又は半透明である基板側から観察すると、無彩色として観察されることを特徴とする請求項10〜12の何れか1項に記載の光学素子。
  14. 前記一対の基板の端面が、封止されてなることを特徴とする請求項5又は10〜13の何れか1項に記載の光学素子。
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