JP4155016B2 - 高分子ゲル組成物、並びに、それを用いた光学素子、樹脂組成物、及び光学フィルム - Google Patents
高分子ゲル組成物、並びに、それを用いた光学素子、樹脂組成物、及び光学フィルム Download PDFInfo
- Publication number
- JP4155016B2 JP4155016B2 JP2002362002A JP2002362002A JP4155016B2 JP 4155016 B2 JP4155016 B2 JP 4155016B2 JP 2002362002 A JP2002362002 A JP 2002362002A JP 2002362002 A JP2002362002 A JP 2002362002A JP 4155016 B2 JP4155016 B2 JP 4155016B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- polymer gel
- polymer
- gel composition
- meth
- acrylamide
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Classifications
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C08—ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
- C08J—WORKING-UP; GENERAL PROCESSES OF COMPOUNDING; AFTER-TREATMENT NOT COVERED BY SUBCLASSES C08B, C08C, C08F, C08G or C08H
- C08J3/00—Processes of treating or compounding macromolecular substances
- C08J3/02—Making solutions, dispersions, lattices or gels by other methods than by solution, emulsion or suspension polymerisation techniques
- C08J3/03—Making solutions, dispersions, lattices or gels by other methods than by solution, emulsion or suspension polymerisation techniques in aqueous media
- C08J3/075—Macromolecular gels
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C08—ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
- C08L—COMPOSITIONS OF MACROMOLECULAR COMPOUNDS
- C08L101/00—Compositions of unspecified macromolecular compounds
- C08L101/12—Compositions of unspecified macromolecular compounds characterised by physical features, e.g. anisotropy, viscosity or electrical conductivity
- C08L101/14—Compositions of unspecified macromolecular compounds characterised by physical features, e.g. anisotropy, viscosity or electrical conductivity the macromolecular compounds being water soluble or water swellable, e.g. aqueous gels
-
- G—PHYSICS
- G02—OPTICS
- G02B—OPTICAL ELEMENTS, SYSTEMS OR APPARATUS
- G02B1/00—Optical elements characterised by the material of which they are made; Optical coatings for optical elements
- G02B1/04—Optical elements characterised by the material of which they are made; Optical coatings for optical elements made of organic materials, e.g. plastics
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C08—ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
- C08L—COMPOSITIONS OF MACROMOLECULAR COMPOUNDS
- C08L33/00—Compositions of homopolymers or copolymers of compounds having one or more unsaturated aliphatic radicals, each having only one carbon-to-carbon double bond, and only one being terminated by only one carboxyl radical, or of salts, anhydrides, esters, amides, imides or nitriles thereof; Compositions of derivatives of such polymers
- C08L33/04—Homopolymers or copolymers of esters
- C08L33/14—Homopolymers or copolymers of esters of esters containing halogen, nitrogen, sulfur, or oxygen atoms in addition to the carboxy oxygen
Landscapes
- Chemical & Material Sciences (AREA)
- Dispersion Chemistry (AREA)
- Physics & Mathematics (AREA)
- Health & Medical Sciences (AREA)
- Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
- Medicinal Chemistry (AREA)
- Polymers & Plastics (AREA)
- Organic Chemistry (AREA)
- General Physics & Mathematics (AREA)
- Optics & Photonics (AREA)
- Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
- Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、温度変化により膨潤液体を吸収・放出して可逆的な体積変化する特性を有する高分子ゲルを含んで構成される高分子ゲル組成物、並びに、それを用いた光学素子、樹脂組成物、及び光学フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、pH、イオン濃度強度、化学物質の吸脱着、溶媒の添加または熱、光、電流もしくは電界の付与等によって体積変化(膨潤、収縮)を起こす高分子ゲル(以下、刺激応答性高分子ゲルという)が知られており、その機能材料としての応用が期待されている。これらの材料は、例えば、「機能性高分子ゲル(シーエムシー出版)」に総説として記載されている。この刺激応答性高分子ゲルの用途としては、ドラッグデリバリーシステムなどの薬の担持体、医療材料、インクの添加剤、機能膜、人工筋肉、表示素子、記録素子、アクチュエータ、ポンプなどが検討されている。一般に、水や電解質等の液体中に存在する刺激応答性高分子ゲルに刺激を付与することにより、該高分子ゲルは相転移等を起こし、ゲル内部への液体の吸収あるいは排出によって、体積、大きさ、形状を変化させることができる。
【0003】
本発明者らは、これまでに、刺激応答性高分子ゲルと膨潤液体からなる高分子ゲル組成物をその製造法と共に提案し、さらに高分子ゲル組成物を表示素子、記録素子、調光素子やセンサーなどの光学素子として用いる提案を行ってきた(特開平11−236559号公報、同11−228850号公報)。また、水素結合基を有する高分子ゲルを含み、温度変化により水素結合性の変化や溶媒和の変化が起こり、高温で膨潤状態、低温で収縮状態をとる高分子ゲルを取り上げ、気温に応じて調光作用を示すガラスやフィルムなどの調光素子や熱応答性表示素子の材料として提案を行ってきた。
【0004】
【特許文献1】
特開平11−236559号公報
【特許文献2】
特開平11−228850号公報
【非特許文献3】
機能性高分子ゲル(シーエムシー出版)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
これら提案のように、本発明者らは優れた特性を有する高分子ゲルを提案してきたが、上述のように、様々な用途が期待されており、その用途によっては、従来以上に長期に渡って調光機能が低下しないように耐久性が要求されている。特に、水素結合基を有する高分子ゲルを含み、温度変化により水素結合性の変化や溶媒和の変化が起こり、高温で膨潤状態、低温で収縮状態をとる高分子ゲルでは、高温下に長期に放置される場合が想定され、体積変化量(高分子ゲルの加熱時の体積/高分子ゲルの冷却時の体積)が減少する、つまり調光性能が低下(特性劣化)しないよう、さらなる改善が望まれている。
【0006】
従って、本発明は、前記従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、高温下においても長期渡って調光性能が低下しない耐久性に優れた高分子ゲル組成物、並びに、それを用いた光学素子、樹脂組成物、及び光学フィルムを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題は、以下の手段により解決される。即ち、本発明は、
(1) 膨潤液体と、
温度変化により前記膨潤液体を吸収・放出して可逆的な体積変化する特性を有し、少なくとも水素結合性基を有する高分子の架橋体と少なくともカルボキシル基を有する高分子の架橋体またはその部分中和物とを含んで構成されるIPN体(相互侵入網目構造体)である高分子ゲルと、
を含む高分子ゲル組成物において、
前記少なくとも水素結合性基を有する高分子の架橋体が、モノマー成分(A)として(メタ)アクリルアミドと、モノマー成分(B)として1置換(メタ)アクリルアミド又は2置換(メタ)アクリルアミドと、の少なくとも2つのモノマー成分の共重合体であり、
前記モノマー成分(A)と前記モノマー成分(B)との量比(モノマー成分(A)/モノマー成分(B))が、100/1〜1/2であることを特徴とする高分子ゲル組成物。
(2) 前記膨潤液体のpHが2以上7以内であることを特徴とする(1)に記載の高分子ゲル組成物。
(3) 前記膨潤液体が少なくともアルコールを含み、前記高分子ゲルが前記少なくとも水素結合性基を有する高分子の架橋体と、少なくともカルボキシル基を有する高分子の架橋体またはその部分中和物と、からなるIPN体であることを特徴とする(1)に記載の高分子ゲル組成物。
(4) 前記膨潤液体が少なくともカルボキシル基を持つポリマーを含み、前記高分子ゲルが前記少なくとも水素結合性基を有する高分子の架橋体と、少なくともカルボキシル基を有する高分子の架橋体またはその部分中和物と、からなるIPN体であることを特徴とする(1)に記載の高分子ゲル組成物。
(5) 前記高分子ゲルが、調光用材料をその内部に含有していることを特徴とする(1)に記載の高分子ゲル組成物。
(6) (1)〜(5)のいずれかに記載の高分子ゲル組成物と、前記高分子ゲル組成物を挟持する一対の基板と、を備えることを特徴とする光学素子。
(7) (1)〜(5)のいずれかに記載の高分子ゲル組成物と、前記高分子ゲル組成物を分散する樹脂と、を備えることを特徴とする樹脂組成物。
(8) (1)〜(5)のいずれかに記載の高分子ゲル組成物及び前記高分子ゲル組成物を分散する樹脂を含んで構成される樹脂組成物と、表面上に前記樹脂組成物が設けられるフィルムと、とを備えることを特徴とする光学フィルム。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の高分子ゲル組成物は、膨潤液体と、温度変化により前記膨潤液体を吸収・放出して可逆的な体積変化する特性を有し、少なくとも水素結合性基を有する高分子の架橋体を含んで構成されており、その高分子ゲルを構成する架橋体が、モノマー成分(A)として(メタ)アクリルアミドと、モノマー成分(B)として1置換(メタ)アクリルアミド又は2置換(メタ)アクリルアミドと、の少なくとも2つのモノマー成分の共重合体(以下、当該高分子を、「(メタ)アクリルアミド系高分子」ということがある。)であることを特徴としている。
【0009】
少なくとも水素結合基を有する高分子の架橋体を含んで構成される高分子ゲルの体積変化における駆動のメカニズムは、異種高分子鎖間の水素結合の会合・解離であることが知られている(T. Tanaka, E. Kokufutaet al, Nature, Vol.349, 400(1991)参照)。本発明者らは、高分子ゲル組成物の長期加熱によって体積変化量が減少する原因が、高分子ゲルの構成成分であるポリ(メタ)アクリルアミド鎖のアミド基の加水分解によって起こることを突き止めた。つまり、加水分解によって、水素結合力が低下するために特性劣化が起こったものと推定した。
【0010】
そこで、この高温下(例えば加熱)による特性劣化を抑制するために、高分子ゲルを、ポリ(メタ)アクリルアミドまたはその1置換誘導体に、当該モノマー以外のモノマーを共重合した上記高分子架橋体を含んで構成させると、(メタ)アクリルアミド間の水素結合による自己会合を防ぎ、体積変化の駆動力である異種高分子鎖間の水素結合力を強化し(T.Okano et al,Macromolecules,Vol.27,947(1994)参照)、または共重合モノマーの疎水相互作用が異種高分子鎖間の相互作用を強化する(N. Ogata, T. Okano et al, J. Controlled Release, Vol.16, 215(1991)参照)ものと予測される。このため、本発明では、加水分解が起こっても水素結合力が安定に保たれ、高温下においても特性劣化が少なくものるものと考えている。
【0011】
また、後述するが、本発明の高分子ゲル組成物においては、膨潤液体のpHを2以上7以下としたり、当該膨潤液体へ水溶性の有機化合物(特に好適にはアルコール)を添加することで、より効果的に高温下においても特性劣化を防止することができる。これは、反応溶媒である膨潤液体の組成を高分子ゲルに含まれるアミド基の加水分解の起こりにくい条件へ制御することで、効果的に特性劣化を防止できると予測している。
【0012】
(高分子ゲル)
高分子ゲルは、温度変化によって水素結合性や溶媒和が変化することで体積相転移特性を有するものである。高温時には膨潤液体を吸収して膨潤状態をとり、低温時には膨潤液体を脱離して収縮状態となるものが一般的であるが、その逆特性のものもあり得る。
【0013】
このような高分子ゲルとしては、上述のように、(メタ)アクリルアミド系高分子(水素結合基を有する高分子の架橋体)を含んで構成され、具体的には、例えば、互いに水素結合する高分子の架橋体の相互侵入網目構造体(IPN体)や、少なくとも互いに水素結合する高分子のブロック共重合体ゲルなどが挙げられるが、その中でも相互侵入網目構造体(IPN体)が適用される。このIPN体としては、上記(メタ)アクリルアミド系高分子の架橋体と、少なくともカルボキシル基を有する高分子の架橋体との、少なくとも2成分の架橋体からなるゲルが適用される。また、高分子中のカルボキシル基は部分中和されていても構わない(部分中和物)。
【0014】
(メタ)アクリルアミド系高分子は、モノマー成分(A)として(メタ)アクリルアミドと、モノマー成分(B)として1置換(メタ)アクリルアミド又は2置換(メタ)アクリルアミドと、の少なくとも2つのモノマー成分の共重合体である。
【0015】
ここで、モノマー成分(A)としての(メタ)アクリルアミドの1置換誘導体を例示すると、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
【0017】
モノマー成分(B)として具体的に例示すると、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミドの1置換誘導体(1置換(メタ)アクリルアミド)、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジブチル(メタ)アクリルアミド等の2置換(メタ)アクリルアミド誘導体が挙げられる。なお、これらポリマーの架橋は、架橋剤等の共重合や化学反応、電子線等の放射線によって実施することができる。
【0018】
なお、上記した各モノマーは各々複数種類使用しても構わない。また、本明細書において、(メタ)アクリルなる表現は、アクリルおよびメタアクリルのようにいずれの化合物も含むことを意味する。
【0019】
(メタ)アクリルアミド系高分子において、上記各モノマー成分の共重合量比の範囲は、100/1〜1/2(モノマー成分(A)/モノマー成分(B))である。この量比が100/1以下であると、耐熱性向上に効果がないという問題が生じることがあり、1/2以上であると所望の体積変化量が得られないという問題が生じることがある。
【0020】
一方、少なくともカルボキシル基を有する高分子の架橋体を例示すると、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリ−L−グルタミン酸、ポリマレイン酸、ポリフマル酸などの高分子の架橋体が挙げられる。これらカルボキシル基を有する高分子は他のモノマーを含む共重合体であっても構わない。また、これらのポリマー中のカルボキシル基は塩基等によって中和されていてもかまわない。例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、アミン等によって中和することができる。好ましい中和の範囲は0〜20mol%である。なお、これらポリマーの架橋は架橋剤等の共重合や化学反応、電子線等の放射線によって実施することができる。
【0021】
互いに水素結合する高分子の架橋体の相互侵入網目構造体(IPN体)の具体例としては、少なくとも(メタ)アクリルアミド及びN,N−ジメチル(メタ)アクリルアミドを含む共重合体の架橋体と(メタ)アクリル酸の架橋体からなるIPN体およびその部分中和物(アクリル酸単位を部分的に塩としたもの)、少なくとも(メタ)アクリルアミド及び(メタ)アクリル酸メチルを含む共重合体の架橋体と(メタ)アクリル酸の架橋体からなるIPN体およびその部分中和物(アクリル酸単位を部分的に塩としたもの)、少なくとも(メタ)アクリルアミド及び(メタ)アクリル酸エチルを含む共重合体の架橋体と(メタ)アクリル酸の架橋体からなるIPN体およびその部分中和物(アクリル酸単位を部分的に塩としたもの)、少なくとも(メタ)アクリルアミド及びエチル(メタ)アクリルアミドを含む共重合体の架橋体と(メタ)アクリル酸の架橋体からなるIPN体およびその部分中和物(アクリル酸単位を部分的に塩としたもの、少なくとも(メタ)アクリルアミド及びN,N−ジメチル(メタ)アクリルアミドを含む共重合体の架橋体とポリマレイン酸の架橋体とからなるIPN体およびその部分中和物(アクリル酸単位を部分的に塩としたもの)、少なくとも(メタ)アクリルアミド及びN,N−ジメチル(メタ)アクリルアミドを含む共重合体の架橋体とポリフマル酸なの架橋体とからなるIPN体およびその部分中和物(アクリル酸単位を部分的に塩としたもの)、などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。但し、これらの相互侵入網目構造体(IPN体)のうち、本発明においては、モノマー成分(A)として(メタ)アクリルアミドと、モノマー成分(B)として1置換(メタ)アクリルアミド又は2置換(メタ)アクリルアミドと、の少なくとも2つのモノマー成分の共重合体である(メタ)アクリルアミド系高分子を含むものである。
【0022】
互いに水素結合する高分子のブロック共重合体ゲルの具体例としては、少なくとも(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド及び(メタ)アクリル酸を含む共重合体からなる架橋体、少なくとも(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド及びマレイン酸を含む共重合体からなる架橋体、少なくとも(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド及びフマル酸を含む共重合体からなる架橋体等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。但し、これらのブロック共重合体ゲルのうち、本発明においては、モノマー成分(A)として(メタ)アクリルアミドと、モノマー成分(B)として1置換(メタ)アクリルアミド又は2置換(メタ)アクリルアミドと、の少なくとも2つのモノマー成分の共重合体である(メタ)アクリルアミド系高分子を含むものである。
【0023】
高分子ゲルの刺激による体積変化量は、大きいものが調光特性上好ましく、膨潤時および収縮時の体積比が5以上、好ましくは10以上、より好ましくは15以上のものである。
また、体積変化を示す温度(相転移温度)は膨潤液体に水溶性の有機化合物や酸性化合物を添加することで制御が可能である。これ以外にも、高分子ゲルの構造、組成により種々の設計も可能である。なお、好ましい相転移温度の範囲は−30℃〜300℃の範囲から選択され、特に好ましくは−10℃から200℃の範囲である。
【0024】
高分子ゲルのその他の形態は、特に限定されないが、刺激応答特性を考慮すると、粒子の形態として使用することが特に好ましい。その粒子の形態も特に限定されないが、球体、楕円体、多面体、多孔質体、繊維状、星状、針状、中空状などのものを使用することができる。
【0025】
高分子ゲルは、乾燥状態で平均粒径が0.01μm〜5mmの範囲、特に、0.01μm〜1mmの範囲の粒子であることが好ましい。平均粒子径が0.01μm未満となると、光学的な特性を得ることができなくなり、凝集等を起こしやすくなり、かつ、使用する場合にその扱いが困難となることがある。一方、5mmを超えると、応答速度が遅くなってしまう問題が生じることがある。
【0026】
高分子ゲルの粒子は、高分子ゲルを物理的粉砕法等で粒子化する方法、架橋前の高分子を化学的粉砕法等によって粒子化した後に架橋して高分子ゲル粒子を得る方法、あるいは乳化重合法、懸濁重合法、分散重合法などの粒子化重合法などの一般的な粒子化方法によって製造することができる。また、架橋前の高分子をノズル口金等によって押し出して繊維化し、これを架橋した後に粉砕する方法、あるいは前記繊維を粉砕して粒子化した後に架橋する方法によって高分子ゲル粒子を製造することも可能である。
【0027】
高分子ゲルは、それ自身でも体積変化にともない光散乱性が変化するという調光能を示すが、より大きな調光特性や色変化を発現するために調光用材料を高分子ゲルにその内部に添加することが好ましい。
【0028】
添加する調光用材料としては、染料、顔料や光散乱材などが挙げられる。また調光用材料は高分子ゲルに物理的あるいは化学的に固定化されることが好ましい。
【0029】
染料の好適な具体例としては、例えば、黒色のニグロシン系染料や赤、緑、青、シアン、マゼンタ、イエローなどのカラー染料であるアゾ染料、アントラキノン系染料、インジゴ系染料、フタロシアニン系染料、カルボニウム染料、キノンイミン染料、メチン染料、キノリン染料、ニトロ染料、ベンゾキノン染料、ナフトキノン染料、ナフタルイミド染料、ベリノン染料などが挙げられ、特に光吸収係数が高いものが望ましい。例えば、C.I.ダイレクトイエロー1、8、11、12、24、26、27、28、33、39、44、50、58、85、86、87、88、89、98、157、C.I.アシッドイエロー1、3、7、11、17、19、23、25、29、38、44、79、127、144、245、C.I.ベイシックイエロー1、2、11、34、C.I.フードイエロー4、C.I.リアクティブイエロー37、C.I.ソルベントイエロー6、9、17、31、35、100、102、103、105、C.I.ダイレクトレッド1、2、4、9、11、13、17、20、23、24、28、31、33、37、39、44、46、62、63、75、79、80、81、83、84、89、95、99、113、197、201、218、220、224、225、226、227、228、229、230、231、C.I.アシッドレッド1、6、8、9、13、14、18、26、27、35、37、42、52、82、85、87、89、92、97、106、111、114、115、118、134、158、186、249、254、289、C.I.ベイシックレッド1、2、9、12、14、17、18、37、C.I.フードレッド14、C.I.リアクティブレッド23、180、C.I.ソルベントレッド5、16、17、18、19、22、23、143、145、146、149、150、151、157、158、C.I.ダイレクトブルー1、2、6、15、22、25、41、71、76、78、86、87、90、98、163、165、199、202、C.I.アシッドブルー1、7、9、22、23、25、29、40、41、43、45、78、80、82、92、93、127、249、C.I.ベイシックブルー1、3、5、7、9、22、24、25、26、28、29、C.I.フードブルー2、C.I.ソルベントブルー22、63、78、83〜86、191、194、195、104、C.I.ダイレクトブラック2、7、19、22、24、32、38、51、56、63、71、74、75、77、108、154、168、171、C.I.アシッドブラック1、2、7、24、26、29、31、44、48、50、52、94、C.I.ベイシックブラック2、8、C.I.フードブラック1、2、C.I.リアクティブブラック31、C.I.フードバイオレット2、C.I.ソルベントバイオレット31、33、37、C.I.ソルベントグリーン24、25、C.I.ソルベントブラウン3、9等が挙げられる。これらの染料は、単独で使用してもよく、さもなければ所望とする色を得るために混合して使用してもよい。
【0030】
また、染料を高分子ゲルに固定化するために、不飽和二重結合基などの重合可能な基を有した構造の染料や高分子ゲルと反応可能ないわゆる反応性染料などが好ましく使用される。また、高分子ゲル中に含有させる染料の好ましい濃度は、3質量%から50質量%の範囲であり、特に好ましくは5質量%から30質量%の範囲である。このように染料濃度は少なくとも高分子ゲルの乾燥あるいは収縮状態において飽和吸収濃度以上であることが望ましい。ここで、飽和吸収濃度以上とは、特定の光路長のもとにおける染料濃度と光学濃度(あるいは光吸収量)の関係が一次直線の関係から大きく乖離するような高い染料濃度の領域を示す。
【0031】
一方、顔料および光散乱材の好適な具体例としては、黒色顔料であるブロンズ粉、チタンブラック、各種カーボンブラック(チャネルブラック、ファーネスブラック等)、白色顔料である酸化チタン、シリカなどの金属酸化物、炭酸カルシウムや金属紛などの光散乱材やカラー顔料である例えば、フタロシアニン系のシアン顔料、ベンジジン系のイエロー顔料、ローダミン系のマゼンタ顔料、あるいはこの他にもアントラキノン系、アゾ系、アゾ金属錯体、フタロシアニン系、キナクリドン系、ペリレン系、インジゴ系、イソインドリノン系、キナクリドン系、アリルアミド系などの各種顔料や光散乱材を挙げることができる。
【0032】
例えば、イエロー系顔料としては、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アンスラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物、アリルアミド化合物に代表される化合物が用いられる。より詳細には、C.I.ピグメントイエロー12、13、14、15、17、62、74、83、93、94、95、109、110、111、128、129、147、168等が好適に用いられる。
【0033】
例えば、マゼンタ系顔料としては、縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アンスラキノン、キナクリドン化合物、レーキ顔料、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、ペリレン化合物が用いられる。より詳細には、C.I.ピグメントレッド2、3、5、6、7、23、48;2、48;3、48;4、57;1、81;1、144、146、166、169、177、184、185、202、206、220、221、254が特に好ましい。
【0034】
例えば、シアン系顔料としては、銅フタロシアニン化合物及びその誘導体、アンスラキノン化合物、塩基染料レーキ化合物等が利用できる。具体的には、例えば顔料としては、C.I.ピグメントブルー1、7、15、15:1、15:2、15;3、15:4、60、62、66等が特に好適に利用できる。
【0035】
また、使用する顔料や光散乱材の粒径は、1次粒子の平均粒径で0.001μm〜1μmのものが好ましく、特に0.01μm〜0.5μmのものが好ましい。これは粒径が0.01μm以下では高分子ゲルからの流出が起こりやすく、また、0.5μm以上では発色特性が悪くなる恐れを生じるためである。
また、前記したように顔料や光散乱材は高分子ゲル中に含有され、高分子ゲルから流出しないことが必要である。そのためには高分子ゲルの架橋密度を最適化して顔料や光散乱材を高分子網目中に物理的に閉じ込めること、高分子ゲルとの電気的、イオン的、その他物理的な相互作用が高い顔料や光散乱材を用いること、表面を化学修飾した顔料や光散乱材を用いることなどが好ましい。例えば、表面を化学修飾した顔料や光散乱材としては、表面にビニル基などの不飽和基や不対電子(ラジカル)などの高分子ゲルと化学結合する基を導入したものや、高分子材料をグラフト結合したものなどが挙げられる。
【0036】
高分子ゲル中に含有される顔料や光散乱材の量は、染料と同様に少なくとも液体を含まない状態の高分子ゲル中において飽和吸収濃度以上(あるいは飽和光散乱濃度以上)の濃度が好ましい。
【0037】
ここで、飽和吸収濃度以上(あるいは飽和光散乱濃度以上)にするためには、顔料や光散乱材の光吸収係数や光散乱係数にも依存するが、一般的には3質量%〜95質量%の範囲が好ましく、より好ましくは5質量%〜80質量%の範囲である。顔料(あるいは光散乱材)の濃度が3質量%以下であると、飽和吸収濃度以上(あるいは飽和光散乱濃度以上)とはならず高分子ゲルの体積変化にともなう調光特性が得られない。一方、濃度が95質量%以上の場合は高分子ゲルの応答速度や体積変化量が低下してしまう恐れがある。
【0038】
このような調光用材料を含む高分子ゲルは、架橋前の高分子に調光用材料を均一に分散、混合した後に架橋する方法や重合時に高分子前駆体モノマ組成物に調光用材料を添加して重合する方法によって製造することができる。重合時において顔料や光散乱材を添加する場合には前記したように重合性基や不対電子(ラジカル)をもつ顔料や光散乱材を使用し、高分子ゲルに化学結合することも好ましく実施される。
【0039】
また、調光用材料は、高分子ゲル中に極力均一に分散されていることが好ましい。特に、高分子への分散に際して、機械的混練法、攪拌法やあるいは分散剤などを利用して均一に分散させることが望ましい。
このような観点から、これらの調光用材料として、分子内に酸基、水酸基、アミノ基、チオール基、ハロゲン、ニトロ基、カルボニル基などの極性基を有し、高分子ゲル内において調光用材料濃度が高い場合に凝集体を形成しやすい特性のものも好ましく使用することができる。このような調光用材料の例としては、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、スルホン酸基を有するフタロシアニン系顔料、アゾ系顔料等を挙げることができる。さらに、高分子ゲルに共有結合するための付加反応性基や重合性基を有する調光用材料や、高分子ゲルとイオン結合などの相互作用する基を有する調光用材料などの各種の化学修飾した調光用材料を用いることも好ましい。
【0040】
(膨潤液体)
膨潤液体として好ましいものを例示すれば、水または、水溶性の有機化合物またはこれらの混合物に、さらに酸性化合物を含んだ混合物が好ましい。特に、水溶性の有機化合物を膨潤液体に添加することで、高分子ゲルに含まれるアミド基の加水分解を生じ難くすることができ、より好適に高温下における特性劣化を防止することができる。また、このような加水分解を生じ難い条件にするためには、膨潤液体のpHを調整することが好適であるが、このpH調整材として、酸性化合物を含ませることが好適である。以降、水溶性の有機化合物、酸性化合物を詳細に説明する。
【0041】
水溶性の有機化合物としては、アルコール、ケトン、エーテル、エステル、アミドや、これらの官能基を繰り返し単位中に含む高分子等が挙げられる。具体的には、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、エチレングリコールモノエチルエーテルなどのアルコール類、アセトンやメチルエチルケトンなどのケトン類、THF、1,4−ジオキサン、ジエチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテルなどのエーテル類、酢酸エチルなどのエステル類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、尿素等が挙げられる。また、ポリビニルアルコール、ポリ(メタ)アクリルアミドやその誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキシドやこれら高分子を含む共重合体を用いることも好ましい。これらのうち、特にメチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、エチレングリコールモノエチルエーテルなどアルコール類、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミドなどが好ましく、特に好ましくはアルコール類である。
【0042】
水溶性の有機化合物の添加量は、5〜50質量%程度であり、より好ましくは10〜40質量%であることが好ましい。
【0043】
一方、酸性化合物としては、無機酸、有機酸、酸性高分子などが挙げられる。具体的には、塩酸、硫酸、リン酸、しょう酸等の無機酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、安息香酸、フェニル酢酸、アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、ジメチル硫酸、ジエチル硫酸、p−トルエンスルホン酸等の有機酸等の有機酸、ポリビニルスルホン酸、ポリリン酸、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリ−L−グルタミン酸、ポリマレイン酸、ポリフマル酸、またこれらを少なくとも含む共重合体等の酸性高分子が挙げられる。これらの中でもさらに、塩酸、リン酸等の無機酸や酢酸などの有機酸、例示した酸性高分子が好ましい。さらに好ましくは、繰り返し単位中にカルボキシル基を含むポリ(メタ)アクリル酸、ポリ−L−グルタミン酸、ポリマレイン酸、ポリフマル酸、ポリ(メタ)アクリル酸を含む共重合体等が好ましく用いられる。酸性高分子の分子量の好ましい範囲は、重量平均分子量で、500〜2000000、より好ましくは1000〜1000000の範囲内である。
【0044】
酸性化合物の添加量は、0.001〜50質量%程度、より好ましくは0.01〜30質量%の範囲内である。
【0045】
膨潤液体のpH2以上7以下、より好ましくはpH2以上5以下になることが好ましい。pHをこのような範囲とすることで、好適に高温下における特性劣化を防止することが可能となる。
【0046】
また、膨潤液体には高分子ゲルに吸脱する界面活性剤、溶液のpH変化を促進するためのビオロゲン誘導体などの酸化還元剤、酸、アルカリ、塩、および分散安定剤、あるいは防腐剤、抗菌剤、酸化防止や紫外線吸収などの安定剤などを添加しても構わない。さらに、種々顔料や白色顔料や染料などの色素を添加することもできる。
【0047】
ここで、高分子ゲルと膨潤液体との混合比は、質量比で1/2000〜1/1(高分子ゲル/膨潤液体)の範囲とすることが好ましい。質量比が1/2000を超えると、組成物の機械的強度などの物性低下の恐れがあり、1/1未満になると、刺激応答による体積変化の応答速度が低下する恐れがある
【0048】
(高分子ゲル組成物の利用形態)
本発明の高分子ゲルの利用形態としては、例えば、高分子ゲル組成物を一対の基板間に挟持(封止)した形態(光学素子)や、高分子ゲル組成物を樹脂に分散した形態(樹脂組成物)や、当該高分子ゲルを分散した樹脂をフィルム上に形成した形態(光学フィルム)などが挙げられる。なお、高分子ゲル組成物を樹脂に分散する際には、高分子ゲル組成物をこれと非相溶な樹脂あるいは樹脂前駆体に混合し、樹脂を乾燥、重合あるいは硬化させることで作製することができる。また、高分子ゲル組成物を高分子膜でマイクロカプセル化して樹脂に分散してもよい。このように、高分子ゲル高分子ゲル組成物は、その利用形態を拡大することもできる。
【0049】
以下、本発明の高分子ゲル組成物の利用形態を図面を参照しつつ、さらに詳細に説明する。
【0050】
図1に示す樹脂組成物10は、樹脂12中に高分子ゲル14と膨潤液体16とからなる高分子ゲル組成物18を分散した形態である。なお、これ以外にもあらかじめ高分子ゲルと、水溶性の有機化合物、酸性化合物を含む膨潤液体16からなる高分子ゲル組成物18をマイクロカプセル化し、これを樹脂中に分散することも可能である。
【0051】
ここで、樹脂12と高分子ゲル組成物18(例えば高分子ゲル14+水溶性の有機化合物、酸性化合物を含む膨潤液液体16からなる組成物)との組成比はその質量比で1/50〜50/1[樹脂12/(高分子ゲル14+水溶性の有機化合物、酸性化合物を含む膨潤液体16)あるいは樹脂12(マトリックス材料)/(高分子ゲル14+水溶性の有機化合物、酸性化合物を含む膨潤液体16を含むカプセル)]の範囲が好ましい。
【0052】
ここで、高分子ゲル組成物のマイクロカプセル化は、高分子材料の不溶化を利用したいわゆるコアセルベーション法、分散粒子の界面で重合を行いカプセル膜を形成するいわゆる界面重合マイクロカプセル化法、in situマイクロカプセル化重合法、液中乾燥法、液中硬化被覆マイクロカプセル化法、気体中に液滴を噴霧することでその表面にカプセル膜を形成するスプレードライングマイクロカプセル化法などを用いて実施することができる。これら技術の詳細は「近藤保著、新版マイクロカプセル その製法・性質・応用 三共出版」などの成書に記述されている。カプセルを構成する高分子膜の厚みは、1nm〜20μmの範囲が好ましく、より好ましくは1nm〜10μmの範囲である。カプセルの好ましい大きさは平均粒径で1μm〜5mmの範囲、より好ましくは10μm〜2mmの範囲である。
【0053】
カプセル材料と高分子ゲル組成物(高分子ゲルと液体との混合物)との配合比はその質量比で1/200〜5/1[カプセル材料/(高分子ゲル+液体)]の範囲が好ましい。カプセル化した樹脂組成物はその形態のまま、あるいは他の樹脂中に分散することで様々な用途に応用できる。
【0054】
上述した樹脂12(マトリックス材料)としては、熱硬化樹脂、紫外線硬化樹脂、電子線硬化樹脂、ポリエステル、ポリイミド、ポリメタクリル酸メチルなどのアクリル樹脂、ポリスチレンおよびその誘導体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリカーボネート、ポリエーテルスルフォン、セルロース誘導体、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリアセタール系樹脂などが挙げられる。これらの樹脂は光学的に透明なものが望ましい。また、これらの樹脂は樹脂と種々の溶剤との混合物やゲル状物であっても構わない。特に、光透過性の高い材料であることが好ましい。高分子ゲルを含む液体と前記樹脂の界面での光散乱を少なくして透明性を高くするために、高分子ゲルを含む液体と隔離部材の屈折率の差を0.2以下にすることが好ましい。より好ましくは屈折率の差が0.1以下、特に0.01以下が好ましい。
【0055】
このような樹脂組成物10は、フイルム状、繊維状など様々な構造体として利用することができる。特にフイルムとする場合は、種々のフイルム基材上あるいは複数枚のフイルム基材間に本組成物を特定の厚みで形成することで、安定かつ耐久性に優れる調光フイルムを得ることができる。
【0056】
図2に示す光学フイルム20は、フイルム基材22上に、高分子ゲル14(図示せず)と膨潤液体16(図示せず)とからなる高分子ゲル組成物18が分散された樹脂組成物10が層状に設けられた構成例である。また、この構成の他にも2枚のフイルム基材22間に挟持された構成や保護層、膨潤液体16の蒸発防止層などの他の構成層が形成させていても構わない。
【0057】
フイルム基材22としては、ポリエステル、ポリイミド、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリカーボネート、ポリエーテルスルフォン、セルロース誘導体、フッ素樹脂、シリコーン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリアセタール系樹脂、金属フイルムなどが使用できる。
【0058】
図2に示す光学フイルム20において、各層の好ましい厚みを詳記すると、フィルム基材22は、10μm〜10mmの範囲から選択され、樹脂組成物10層(調光用樹脂組成物層)は5μm〜10mmの範囲から選択される。また、図2に示す光学フイルム20において、フィルム基材22の代わりに、後述する基板32を使用し、樹脂組成物10を一対の基板32間に挟持させる構成とし、光学素子とすることも可能である。
【0059】
図3に示す光学素子30は、2枚の基板32間に、高分子ゲル14と膨潤液体16とからなる高分子ゲル組成物18が封入されている構成例を示す。この構成では、高分子ゲル組成物18中の複数種の高分子ゲル14は基板32上(あるいは後述する刺激付与手段上)に固定化されていることが好ましい。高分子ゲル18(ゲル粒子)の固定化は、種々の二官能性化合物や接着剤を利用したり、あるいは物理的な手段で行うことができる。例えば、反応性シランカップリング剤により基板や刺激付与層上をあらかじめ処理することで官能基を導入し、これとゲル粒子の官能基とを反応させることにより共有結合等させることが可能である。その他にも、種々の多官能性化合物や接着剤により、化学結合(イオン結合、水素結合)によってゲル粒子を固定する方法や、基板上を立体的に加工したり、ゲル粒子の粘着性を利用し、物理的に固定化することも可能である。なお、ゲル粒子の固定化においては基板等と密着させすぎると、応答特性が低下する場合があるため、空間を空けるために基板等の表面を立体的に加工し、その凸部に結合させる手段や長鎖化合物(スペーサー)を介してゲル粒子を、空間を設けて結合させる手段も好ましく実施される。
【0060】
基板32としては、ポリエステル、ポリイミド、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリカーボネート、ポリエーテルスルフォン、セルロース誘導体、シリコーン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリアセタール系樹脂などの高分子のフイルムや板状基板、ガラス基板、金属基板、セラミック基板などの無機基板を使用することができる。
【0061】
なお、少なくとも一方の基板32は光学的に透明であることが必要である。また、透過型光学素子の場合は基板の全てが透明であるこが好ましい。
【0062】
基板32の厚みや大きさは所望の表示素子によって様々なものが利用でき、特に限定はしないが、厚みの好ましい範囲は10μmから20mmである。
【0063】
図1に示す樹脂組成物、図2に示す光学フィルム、図3に示す光学素子は、例えば気温の変化、太陽光量の変化などの自然エネルギーによって調光や表示を行うことができるが、刺激付与手段を設けることで、能動的に調光することもできる。この場合、刺激付与手段は高分子ゲルに実質的に熱を付与するものであり、通電発熱抵抗体のほかに光付与、電磁波付与、磁場付与などの各種熱付与手段が挙げられる。なかでも特に通電発熱抵抗体が好ましく適用され、具体的にはNi−Cr合金などに代表される金属層、硼化タンタル、窒化タンタル、酸化タンタル、やITOなどの金属酸化物層、カーボン層などに代表されるの発熱抵抗体層が好ましく用いられ、これらの層に配線し電流を付与することにより発熱させることができる。またその他にも、光付与の場合は、レーザー、LED、ELなどの発光素子層を用いること、磁界や電磁波の付与は電磁コイル、電極等を設けることで実現できる。
【0064】
また、熱刺激付与手段はパターン化、セグメント化させて任意の部位を調光させることも好ましく実施される。また、これらのパターンに対応して特定の特性の高分子ゲルを配置(固定化)することも好ましく実施される。
【0065】
また、樹脂組成物、光学フィルム、光学素子には様々な構成層を形成しても構わない。例えば、保護を目的とした保護層、防汚染層、紫外線吸収層、帯電防止層などが挙げられる。
【0066】
次に、図3の光学素子を事例に、その代表的な作製方法を説明する。なお、各部材の符号は省略して説明する。
【0067】
まず、2枚の基板を用意し、この少なくとも一方の基板表面上に前記した方法で高分子ゲル(ゲル粒子)を固定化する。次に基板を他の基板と特定の間隔を設けて貼り合わせてセルを作製する。この時の基板間の間隔は一般的には、5μm〜10mmから選択される。このように2枚の基板の間隔を設定するためには、種々の大きさのスペーサ粒子を散布する、フィルムスペーサーを用いる、基板等上に形成された立体的な構造体などを利用することが好ましく実施される。なお、2枚の基板を貼り合わせる場合、特定の開口部を除き周囲をシール用樹脂や、接着剤、紫外線硬化樹脂や熱硬化樹脂で封止することが好ましく実行される。一部に残された開口部から減圧注入法等で液体を注入し、その後、開口部を同様な樹脂で封止することで、光学素子を作製することができる。
【0068】
【実施例】
以下、本発明を、実施例を挙げてさらに具体的に説明する。ただし、これら各実施例は、本発明を制限するものではない。
【0069】
[実施例1]
(高分子ゲル粒子Aの製造)
色材を含有した感熱型(高温膨潤型)高分子ゲルの粒子を以下のようなプロセスにより製造した。アクリルアミド0.8g、N,N−ジメチルアクリルアミド0.2g、架橋剤としてメチレンビスアクリルアミド1.0mgに蒸留水0.575g、色材として青色顔料(大日本インキ社製、マイクロカプセル化青色顔料)13.5wt%の水分散液3.425gを攪拌混合した水溶液を調整した。ソルビトール系界面活性剤(SO−15R:ニッコーケミカル(株)製)3.9gをシクロヘキサン300mlに溶解した溶液を窒素置換された反応容器に加え、これに、先に調製した水溶液を添加し、回転式攪拌羽根を用いて1200rpmで30分攪拌して懸濁させた。
【0070】
上記の水溶液をフラスコ中に入れ、窒素置換により酸素を除いた後、重合開始剤である過硫酸アンモニウム0.004gを水0.5mlに溶解したものを添加後、60℃に加熱して3時間、重合を行った。重合終了後、大量のアセトンで洗浄することで精製を行い、さらに乾燥させて色材を含有したアクリルアミドゲルを得た。次にアクリル酸1.5g、架橋剤としてメチレンビスアクリルアミド0.0015gおよび蒸留水5.5gを加え、これに窒素置換後、過硫酸アンモニウム0.006g水0.5gに溶解したもの添加した。この混合液にこのアクリルアミドゲルの粒子0.5gを加えて混合液を70℃に加熱し、3時間重合を行いIPN高分子ゲルを調整した。大量の蒸留水中に投入し、加熱冷却を行いゲル粒子を膨潤収縮させ、これをろ過する操作を繰り返すことで精製を行った。得られた粒子の乾燥時の壁粒径は約15μmであった。このIPNゲル粒子を大量の純水に加えて膨潤させた。温度、10℃における平衡膨潤時の吸水量は約3g/gであった。ところが、これを50℃に加熱するとさらに膨潤し、約60g/gの吸水量を示すことがわかった。また、相転移点は40−50℃の温度範囲にあった。つまり、相転移点よりも高温では膨潤し、低温では、収縮する。この変化は可逆的であり、膨潤・収縮によって粒子の大きさは約2.7倍、すなわち体積で約20倍の変化が得られた。
【0071】
(高分子ゲル組成物及び光学素子J1の製造)
高分子ゲル組成物を用いた光学素子を以下のプロセスで作製した。
ガラス基板(大きさ50mm×50mm、厚み3mm)を2枚用意した。一枚のガラス基板の表面にはゲル粒子との接着層としてγ−Aminopropyltriethoxysilaneを塗布、乾燥させることで形成した。一方、ゲル粒子を固定化するために、高分子ゲル粒子Aを0.2wt%ポリアクリル酸(重量平均分子量25000)水溶液に含浸させ固形分として約1質量%の分散溶液とした。
【0072】
接着層を形成したガラス基板面を上面としプラスチック容器内に配置した。これに先の分散溶液を加え、60℃において15時間静置したところ、ゲル粒子が基板面に固定化された。基板を0.2wt%ポリアクリル酸(重量平均分子量25000)水溶液で洗浄し、積層したゲル粒子を洗い落とし、略一層にゲル粒子が固定化されたガラス基板を得た。
【0073】
ガラス基板上を顕微鏡観察すると、基板上の粒子の固定化された面積率は60℃において約70%であった。なお、面積率とは粒子の基板上への投射影の基板に占める面積率と定義する。
【0074】
対向ガラス基板上に100μmの樹脂スペーサを散布した後、一部の開口部を除き外周部に紫外線硬化樹脂を塗布し、先のゲル粒子を固定化した基板と張り合わせ、紫外線を照射して接着させた。
【0075】
次に、セル内部に高分子ゲルの膨潤液体として3gのメタノールと7gの、NaOHで3mol%中和した7wt%ポリアクリル酸(重量平均分子量25000)水溶液の混合溶液(膨潤液体:pH3)を注入後、開口部を封止し、光学素子J1を作製した。
【0076】
(機能評価)
得られた光学素子J1は、10℃において透明であったが、これを60 ℃に加熱すると青色状態になった。また、再び10℃に冷却すると初期の透明状態に戻り、可逆的であることが判った。この光学素子を80℃の水浴中に30日間浸漬後、加熱冷却したところ、可逆的に色変化し30日間加熱前と同様の変化を示した。
【0077】
[参考例2]
(高分子ゲル粒子B、光学素子J2の製造)
共重合モノマーとしてのN,N−ジメチルアクリルアミドを、アクリル酸メチルに変更した以外は、実施例1と同様にして高分子ゲル粒子Bを作成した。得られた粒子の乾燥時の壁粒径は約15μmであった。このIPNゲル粒子を大量の純水に加えて膨潤させた。温度、10℃における平衡膨潤時の吸水量は約2g/gであった。ところが、これを50℃に加熱するとさらに膨潤し、約20g/gの吸水量を示すことがわかった。また、相転移点は40−50℃の温度範囲にあった。つまり、相転移点よりも高温では膨潤し、低温では、収縮する。この変化は可逆的であり、膨潤・収縮によって粒子の大きさは約2.2倍、すなわち体積で約10倍の変化が得られた。
【0078】
そして、光学素子J2を、高分子ゲル粒子Bを使用した以外は実施例1と同様に作製した。
【0079】
(機能評価)
得られた光学素子J2は、10℃において透明であったが、これを60℃に加熱すると青色状態になった。また、再び10℃に冷却すると初期の透明状態に戻り、可逆的であることが判った。この光学素子を80℃の水浴中に30日間浸漬後、加熱冷却したところ、可逆的に色変化し30日間加熱前と同様の変化を示した。
【0080】
[実施例3]
(高分子ゲル粒子C、光学素子J3の製造)
共重合モノマーとしてのN,N−ジメチルアクリルアミドを、N−エチルアクリルアミドに変更した以外は、実施例1と同様にして高分子ゲル粒子Cを作製した。得られた粒子の乾燥時の壁粒径は約15μmであった。このIPNゲル粒子を大量の純水に加えて膨潤させた。温度、10℃における平衡膨潤時の吸水量は約2g/gであった。ところが、これを50℃に加熱するとさらに膨潤し、約30g/gの吸水量を示すことがわかった。また、相転移点は40−50℃の温度範囲にあった。つまり、相転移点よりも高温では膨潤し、低温では、収縮する。この変化は可逆的であり、膨潤・収縮によって粒子の大きさは約2.5倍、すなわち体積で約16倍の変化が得られた。
【0081】
そして、光学素子J3を、高分子ゲル粒子Cを使用した以外は実施例1と同様に作製した。
【0082】
(機能評価)
得られた光学素子J3は、10℃において透明であったが、これを60℃に加熱すると青色状態になった。また、再び10℃に冷却すると初期の透明状態に戻り、可逆的であることが判った。この光学素子を80℃の水浴中に30日間浸漬後、加熱冷却したところ、可逆的に色変化し30日間加熱前と同様の変化を示した。
【0083】
[実施例4]
(樹脂組成物Eの調製、光学素子J4の作製)
ポリアクリル酸(和光純薬製・重量平均分子量250,000)の20wt%水溶液、20gに対し、メタクリル酸グリシジル0.5gを加え、室温で24時間攪拌し反応させた。この溶液に対して光開始剤(チバスペシャリティケミカル製イルガキュア2959)を0.8gと純水40g及びメタノール24gとを加え、樹脂組成物Eを調製した。このときの樹脂組成物のpHは約2.8であった(この樹脂組成物を硬化させた後に樹脂中に存在する液体(純水56gにメタノールを24g添加した水溶液)が膨潤液体として機能する)。なお、この樹脂組成物Eを、ガラス基板間に100μmの厚さに保持したものを調整し、紫外線を照射(高圧水銀灯、160W/cm,150sec,照射距離40cm)ところ、樹脂組成物全体がゲル化し自己保持製のある硬化物が得られた。
【0084】
次に、実施例1で作製した高分子ゲル粒子Aを一定濃度含む水分散液(ゲルの固形分濃度2.5%)を調製した。樹脂組成物E10gに対し、先に調製した粒子Aを含む水分散液10mlを加え、ウエーブローターで3時間分散して高分子ゲル粒子Aを溶液中に均一に分散した(分散液A)。
【0085】
分散液Aをブレードコーターを用いてPET基板上に厚さ150μmに成形し、もう一枚のPETフイルムでラミネートした。紫外線照射(高圧水銀灯、160W/cm、照射距離20cm,120秒間照射)によって硬化した。さらに周囲を熱可塑性の感光性のアクリル系接着剤(日本化薬製 KAYARAD R381I)で周囲を封止し、光学素子J4を作製した。
【0086】
(機能評価)
得られた光学素子J4は、10℃において透明であったが、これを60℃に加熱すると青色状態になった。また、再び10℃に冷却すると初期の透明状態に戻り、可逆的であることが判った。この光学素子を80℃の水浴中に30日間浸漬後、加熱冷却したところ、可逆的に色変化し30日間加熱前と同様の変化を示した。
【0087】
[実施例5]
高分子ゲルの膨潤液体として、3gのエタノールと7gの0.2%PAAc(重量平均分子量250000)水溶液の混合溶液(pH3)を用いた以外は、実施例1と同様に光学素子J5を作製した。
【0088】
(機能評価)
得られた光学素子J5は、10℃において透明であったが、これを60℃に加熱すると青色状態になった。また、再び10℃に冷却すると初期の透明状態に戻り、可逆的であることが判った。この光学素子を80℃の水浴中に30日間浸漬後、加熱冷却したところ、可逆的に色変化し30日間加熱前と同様の変化を示した。
[実施例6]
高分子ゲルの膨潤液体として、3gのメタノールと7gの0.2%PAAc(重量平均分子量250000)水溶液の混合溶液(pH3)を用いた以外は、実施例1と同様に光学素子J6を作製した。
【0089】
(機能評価)
得られた光学素子J6は、10℃において透明であったが、これを60℃に加熱すると青色状態になった。また、再び10℃に冷却すると初期の透明状態に戻り、可逆的であることが判った。この光学素子を80℃の水浴中に30日間浸漬後、加熱冷却したところ、可逆的に色変化し30日間加熱前と同様の変化を示した。
【0090】
[実施例7]
高分子ゲルの膨潤液体として、NaOHで3mol%中和した5wt%ポリアクリル酸(重量平均分子量25000)水溶液(pH3)を用いた以外は、実施例1と同様に光学素子J7を作製した。
【0091】
(機能評価)
得られた光学素子J7は、10℃において透明であったが、これを60℃に加熱すると青色状態になった。また、再び10℃に冷却すると初期の透明状態に戻り、可逆的であることが判った。この光学素子を80℃の水浴中に30日間浸漬後、加熱冷却したところ、可逆的に色変化しものの、見た目の色変下が若干ではあるが少なくなっていた。
【0092】
[比較例1]
(非共重合 着色高分子ゲル粒子からなるガラスセル製造)
共重合モノマーとしてのN,N−ジメチルアクリルアミドを加えず、アクリルアミドを1.0g使用した以外は実施例1と同様にして高分子ゲル粒子、及び光学素子J7を作製した。
【0093】
(機能評価)
得られた光学素子J7は、10℃において透明であったが、これを60℃に加熱すると青色状態になった。また、再び10 ℃に冷却すると初期の透明状態に戻り、可逆的であることが判った。この光学素子を80 ℃の水浴中に30日間浸漬後、加熱冷却したところ、加熱、冷却にかかわらず青色のままであり、色変化を示さなくなった。
【0094】
【発明の効果】
以上、本発明によれば、高温下においても長期渡って調光性能が低下しない耐久性に優れた高分子ゲル組成物、並びに、それを用いた光学素子、樹脂組成物、及び光学フィルムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の樹脂組成物の一例を示す概略構成図である。
【図2】 本発明の光学フィルムの一例を示す概略構成図である。
【図3】 本発明の光学素子の一例を示す概略構成図である。
【符号の説明】
10 樹脂組成物
12 樹脂(マトリックス材料)
14 高分子ゲル
16 膨潤液体
18 高分子ゲル組成物
20 光学フィルム
22 フィルム基材
30 光学素子
32 基材
Claims (8)
- 膨潤液体と、
温度変化により前記膨潤液体を吸収・放出して可逆的な体積変化する特性を有し、少なくとも水素結合性基を有する高分子の架橋体と少なくともカルボキシル基を有する高分子の架橋体またはその部分中和物とを含んで構成されるIPN体(相互侵入網目構造体)である高分子ゲルと、
を含む高分子ゲル組成物において、
前記少なくとも水素結合性基を有する高分子の架橋体が、モノマー成分(A)として(メタ)アクリルアミドと、モノマー成分(B)として1置換(メタ)アクリルアミド又は2置換(メタ)アクリルアミドと、の少なくとも2つのモノマー成分の共重合体であり、
前記モノマー成分(A)と前記モノマー成分(B)との量比(モノマー成分(A)/モノマー成分(B))が、100/1〜1/2であることを特徴とする高分子ゲル組成物。 - 前記膨潤液体のpHが2以上7以内であることを特徴とする請求項1に記載の高分子ゲル組成物。
- 前記膨潤液体が少なくともアルコールを含み、前記高分子ゲルが前記少なくとも水素結合性基を有する高分子の架橋体と、少なくともカルボキシル基を有する高分子の架橋体またはその部分中和物と、からなるIPN体であることを特徴とする請求項1に記載の高分子ゲル組成物。
- 前記膨潤液体が少なくともカルボキシル基を持つポリマーを含み、前記高分子ゲルが前記少なくとも水素結合性基を有する高分子の架橋体と、少なくともカルボキシル基を有する高分子の架橋体またはその部分中和物と、からなるIPN体であることを特徴とする請求項1に記載の高分子ゲル組成物。
- 前記高分子ゲルが、調光用材料をその内部に含有していることを特徴とする請求項1に記載の高分子ゲル組成物。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の高分子ゲル組成物と、前記高分子ゲル組成物を挟持する一対の基板と、を備えることを特徴とする光学素子。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の高分子ゲル組成物と、前記高分子ゲル組成物を分散する樹脂と、を備えることを特徴とする樹脂組成物。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の高分子ゲル組成物及び前記高分子ゲル組成物を分散する樹脂を含んで構成される樹脂組成物と、表面上に前記樹脂組成物が設けられるフィルムと、とを備えることを特徴とする光学フィルム。
Priority Applications (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002362002A JP4155016B2 (ja) | 2002-12-13 | 2002-12-13 | 高分子ゲル組成物、並びに、それを用いた光学素子、樹脂組成物、及び光学フィルム |
US10/623,539 US20040121017A1 (en) | 2002-12-13 | 2003-07-22 | Polymer gel composition, and optical device, resin composition and optical film using the polymer gel composition |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002362002A JP4155016B2 (ja) | 2002-12-13 | 2002-12-13 | 高分子ゲル組成物、並びに、それを用いた光学素子、樹脂組成物、及び光学フィルム |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004189963A JP2004189963A (ja) | 2004-07-08 |
JP4155016B2 true JP4155016B2 (ja) | 2008-09-24 |
Family
ID=32588142
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002362002A Expired - Fee Related JP4155016B2 (ja) | 2002-12-13 | 2002-12-13 | 高分子ゲル組成物、並びに、それを用いた光学素子、樹脂組成物、及び光学フィルム |
Country Status (2)
Country | Link |
---|---|
US (1) | US20040121017A1 (ja) |
JP (1) | JP4155016B2 (ja) |
Families Citing this family (11)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4239637B2 (ja) * | 2003-03-24 | 2009-03-18 | 富士ゼロックス株式会社 | 高分子ゲル組成物及びそれを用いた光学素子 |
US7420580B2 (en) * | 2004-10-29 | 2008-09-02 | Hewlett-Packard Development Company, L.P. | Laser power calibration in an optical disc drive |
US20060135361A1 (en) * | 2004-12-22 | 2006-06-22 | Markel David P | Markable material |
US7531955B2 (en) * | 2005-07-12 | 2009-05-12 | Eastman Kodak Company | OLED device with improved efficiency and robustness |
DE102007007203A1 (de) * | 2007-02-09 | 2008-08-14 | Evonik Stockhausen Gmbh | Wasserabsorbierendes Polymergebilde mit hoher Ammoniak-Bindekapazität |
WO2009099210A1 (ja) * | 2008-02-08 | 2009-08-13 | Mitsubishi Rayon Co., Ltd. | ハイドロゲルおよびその製造方法 |
WO2009108393A2 (en) * | 2008-02-29 | 2009-09-03 | The University Of Houston System | Anti reflection coatings and methods of preparing and using same |
JP5133209B2 (ja) * | 2008-11-10 | 2013-01-30 | 三菱レイヨン株式会社 | オルガノゲルおよびその製造方法 |
US9040629B1 (en) * | 2013-11-07 | 2015-05-26 | Xerox Corporation | Thermally switchable composition |
WO2016068129A1 (ja) * | 2014-10-29 | 2016-05-06 | シャープ株式会社 | 吸湿材およびこれを用いた除湿機 |
CN116925584B (zh) * | 2023-06-30 | 2024-09-06 | 华南理工大学 | 一种自变色的生物基光子晶体涂料及其制备与应用 |
Family Cites Families (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS6060549A (ja) * | 1983-09-14 | 1985-04-08 | Fuji Photo Film Co Ltd | ゲル電気泳動用媒体 |
JP3543641B2 (ja) * | 1997-12-15 | 2004-07-14 | 富士ゼロックス株式会社 | 体積変調型発色材料、体積変調型発色組成物、それを用いた光学素子、及び光変調方法 |
US20030012934A1 (en) * | 2001-07-12 | 2003-01-16 | Fuji Xerox Co., Ltd. | Polymer gel composition and optical element using the same |
JP4239637B2 (ja) * | 2003-03-24 | 2009-03-18 | 富士ゼロックス株式会社 | 高分子ゲル組成物及びそれを用いた光学素子 |
-
2002
- 2002-12-13 JP JP2002362002A patent/JP4155016B2/ja not_active Expired - Fee Related
-
2003
- 2003-07-22 US US10/623,539 patent/US20040121017A1/en not_active Abandoned
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
US20040121017A1 (en) | 2004-06-24 |
JP2004189963A (ja) | 2004-07-08 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP4155016B2 (ja) | 高分子ゲル組成物、並びに、それを用いた光学素子、樹脂組成物、及び光学フィルム | |
JP4239637B2 (ja) | 高分子ゲル組成物及びそれを用いた光学素子 | |
JP3584722B2 (ja) | 高分子ゲル組成物、その製造方法及びそれを用いた光学素子 | |
JP4635586B2 (ja) | 光学材料およびそれを用いた光学素子 | |
JP4720079B2 (ja) | 調光素子の製造方法 | |
JP2007146000A (ja) | 高分子ゲル組成物及びその製造方法、光学素子 | |
JP2002265805A (ja) | 高分子ゲル組成物、およびその製造方法、樹脂組成物、並びに光学素子 | |
JP4378886B2 (ja) | 高分子ゲル組成物及びその製造方法、並びに、前記高分子ゲル組成物を用いた光学素子 | |
JP4200755B2 (ja) | 高分子ゲル硬化性組成物、高分子ゲル組成物及び光学素子 | |
JP4604484B2 (ja) | 光学素子 | |
JP3921984B2 (ja) | 光学素子 | |
JP2006249258A (ja) | 高分子ゲル組成物、高分子ゲル組成物の製造方法、及び光学素子 | |
JP2003113325A (ja) | 高分子ゲル組成物、樹脂組成物、及び光学素子 | |
JP2005003943A (ja) | 光学素子およびその製造方法 | |
JP2005029665A (ja) | 高分子ゲル及びその製造方法、並びに高分子ゲルを用いた高分子ゲル組成物、光学素子、樹脂組成物及び光学フィルム | |
JP2005060448A (ja) | 高分子ゲル組成物並びにそれを用いた光学素子、樹脂組成物及び光学フィルム | |
JP2002105327A (ja) | 高分子ゲル組成物およびその製造方法、並びにそれを用いた光学素子 | |
JP2002105344A (ja) | 高分子ゲル組成物およびその製造方法、並びにそれを用いた光学素子 | |
JP3921974B2 (ja) | 高分子ゲル組成物、及びそれを用いた光学素子 | |
JP2004285203A (ja) | 高分子ゲル組成物及びその製造方法、並びに高分子ゲル組成物を用いた光学素子 | |
JP2004196942A (ja) | 高分子ゲル組成物及びそれを用いた光学素子 | |
JP4552453B2 (ja) | 高分子ゲル組成物、高分子ゲル複合体及びその製造方法、並びに該複合体を備えた光学素子 | |
JP2001350163A (ja) | 光学素子及びその製造方法 | |
JP2006259391A (ja) | 調光素子 | |
JP2004107601A (ja) | 刺激応答変色性液状組成物および変色性積層体とその作製方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20051121 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20071115 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20071120 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20080121 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20080325 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20080526 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20080617 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20080630 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110718 Year of fee payment: 3 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110718 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120718 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130718 Year of fee payment: 5 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |