JP2007146000A - 高分子ゲル組成物及びその製造方法、光学素子 - Google Patents
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Abstract
【課題】高分子ゲルの体積変化特性を維持しつつ、長期間の使用においても粘性の低下がない耐久性の高い固定用樹脂組成物を有する高分子ゲル組成物及びその製造方法、並びに、前記高分子ゲル組成物を用いた光学素子を提供することである。
【解決手段】液体を吸収・放出して体積変化する刺激応答性高分子ゲルと、該刺激応答性高分子ゲルを分散・固定するための高分子ゲル固定用樹脂組成物とを有し、該高分子ゲル固定用樹脂組成物が、重量平均分子量が100,000以上の架橋性高分子と、架橋剤とを含む高分子ゲル組成物である。
【選択図】図1
【解決手段】液体を吸収・放出して体積変化する刺激応答性高分子ゲルと、該刺激応答性高分子ゲルを分散・固定するための高分子ゲル固定用樹脂組成物とを有し、該高分子ゲル固定用樹脂組成物が、重量平均分子量が100,000以上の架橋性高分子と、架橋剤とを含む高分子ゲル組成物である。
【選択図】図1
Description
本発明は、外部刺激に応答して液体を吸収・放出して体積変化を生ずる高分子ゲルを利用した高分子ゲル組成物に関するものであり、より詳細には、該高分子ゲル組成物及びその製造方法、並びにこれを用いた光学素子に関するものである。
近年、外界の変化に対応して光の透過量を可逆的に制御するような調光素子等の光学素子の研究開発が活発に行われている。このような光学素子は、例えば省エネ調光ガラス、プライバシー調光ガラスや屋外広告や案内板などの大面積の表示素子として有用なものである。
このような光学素子としては、非イオン性の界面活性剤やLCST(下限臨界共融温度)を有する高分子化合物の溶液をガラスなどの基板中に封入したものが知られている(例えば、特許文献1〜3参照)。これらの調光ガラスは、内部に封入された界面活性剤や高分子が、温度の上昇に伴い、水溶液中から析出し、ガラス全面が白濁することによって光を遮光できるものである。しかしながら、これらの光学素子では任意の色に着色することが困難であったり、透過率変化幅が小さいなどの問題があった。
一方、刺激応答性高分子ゲルを樹脂組成物中に分散した高分子ゲル組成物、あるいは、刺激応答性高分子ゲルを利用した光学素子は、使用する刺激応答性高分子ゲルを選択することにより、熱、光、電場等の多様な刺激に対して応答(すなわち、体積変化による光透過率の変化)することが可能である。また、前記光学素子を用いて、大面積化が容易で、低コストであり、且つ、光透過率の変化幅が大きい調光ガラスや調光フィルム、表示装置を作製することできる。
上記に関し、本発明者らによって、既に刺激応答性高分子ゲルを隔離部材である樹脂中に分散した高分子ゲル組成物を利用した光学素子が提案されており(例えば、特許文献4、5参照)、熱や光、電流や電場等の多様な刺激によって大きく光透過率を変化させることができる素子が実現されており、この光学素子も調光素子として使用できる。
さらに、高分子ゲルの体積変化特性を維持し、長期にわたる大きな光学濃度変化を得ることを目的として、刺激応答性高分子ゲルと、該高分子ゲルを分散・固定するための高分子ゲル固定用樹脂組成物を含み、該高分子固定用樹脂組成物として、重量平均分子量100,000以上の架橋性高分子を含む高分子ゲル組成物も提案した(例えば、特許文献6参照)。
しかしながら、上記高分子ゲル組成物について詳細に検討した結果、調光ガラス等として使用する環境における高分子ゲルを保持している高分子ゲル固定用樹脂組成物の強度が不足しており、紫外線や熱による粘性の低下が起こりやすくなり、耐久性が十分でない場合があることがわかってきた。
特開昭52−73957号公報
特開昭61−7948号公報
特開平05−181167号公報
特開平11−228850号公報
特開2002−105327号公報
特開2004−196929号公報
本発明は、上記問題点を解決することを課題とする。
すなわち、本発明は、高分子ゲルの体積変化特性を維持しつつ、長期間の使用においても粘性の低下がない耐久性の高い固定用樹脂組成物を有する高分子ゲル組成物及びその製造方法、並びに、前記高分子ゲル組成物を用いた光学素子を提供することを目的とする。
すなわち、本発明は、高分子ゲルの体積変化特性を維持しつつ、長期間の使用においても粘性の低下がない耐久性の高い固定用樹脂組成物を有する高分子ゲル組成物及びその製造方法、並びに、前記高分子ゲル組成物を用いた光学素子を提供することを目的とする。
本発明者等は、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、刺激応答性高分子ゲルを固定するための硬化性樹脂組成物に、比較的高分子量の架橋性高分子と架橋剤とを用いることによって、刺激応答性高分子ゲルの特性を維持することができることを見出した。すなわち本発明は、以下の構成からなる。
<1> 液体を吸収・放出して体積変化する刺激応答性高分子ゲルと、該刺激応答性高分子ゲルを分散・固定するための高分子ゲル固定用樹脂組成物とを有し、該高分子ゲル固定用樹脂組成物が、重量平均分子量が100,000以上の架橋性高分子と、架橋剤とを含む高分子ゲル組成物である。
<2> 前記高分子ゲル固定用樹脂組成物の硬化後の貯蔵弾性率が、振動数1Hzの時に1Pa以上106Pa以下である<1>に記載の高分子ゲル組成物である。
<3> 前記架橋剤が、前記架橋性高分子における架橋性構造と異なる架橋性構造を有する<1>に記載の高分子ゲル組成物である。
<4> 前記高分子ゲル固定用樹脂組成物が、構造の異なる複数の架橋剤を含む<1>に記載の高分子ゲル組成物である。
<5> 前記架橋剤が、メチレンビスアクリルアミド(MBA)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)及び2−ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)から選択される1種以上である<1>に記載の高分子ゲル組成物である。
<6> 前記刺激応答性高分子ゲルが、相互侵入網目構造(IPN)高分子ゲルである<1>に記載の高分子ゲル組成物である。
<7> 一対の基板と、該一対の基板間に挟持された高分子ゲル組成物と、を有する光学素子であって、
前記高分子ゲル組成物が、<1>〜<6>のいずれかに記載の高分子ゲル組成物である光学素子である。
前記高分子ゲル組成物が、<1>〜<6>のいずれかに記載の高分子ゲル組成物である光学素子である。
<8> 高分子ゲル分散用樹脂組成物に、液体を吸収・放出して体積変化する刺激応答性高分子ゲルを分散させて高分子ゲル分散組成物とする分散工程と、該高分子ゲル分散組成物に架橋剤を添加して高分子ゲル硬化性組成物とする硬化準備工程と、該高分子ゲル硬化性組成物を硬化させる硬化工程と、を含む高分子ゲル組成物の製造方法である。
<9> 前記高分子ゲル固定用樹脂組成物が、重量平均分子量が100,000以上の架橋性高分子を含む<8>に記載の高分子ゲル組成物の製造方法である。
<10> 前記架橋剤が、前記架橋性高分子における架橋性構造と異なる架橋性構造を有する<8>に記載の高分子ゲル組成物の製造方法である。
<11> 前記高分子ゲル固定用樹脂組成物が、構造の異なる複数の架橋剤を含む<8>に記載の高分子ゲル組成物の製造方法である。
<12> 前記架橋剤が、メチレンビスアクリルアミド(MBA)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)及び2−ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)から選択される1種以上である<8>に記載の光高分子ゲル組成物の製造方法である。
本発明によれば、高分子ゲルの体積変化特性を維持しつつ、長期間の使用においても粘性の低下がない耐久性の高い固定用樹脂組成物を有する高分子ゲル組成物及びその製造方法、並びに、前記高分子ゲル組成物を用いた光学素子を提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
<高分子ゲル組成物>
本発明の高分子ゲル組成物は、液体を吸収・放出して体積変化する刺激応答性高分子ゲルと、該刺激応答性高分子ゲルを分散・固定するための高分子ゲル固定用樹脂組成物とを有し、該高分子ゲル固定用樹脂組成物が、重量平均分子量が100,000以上の架橋性高分子と、架橋剤とを含むことを特徴とする。
<高分子ゲル組成物>
本発明の高分子ゲル組成物は、液体を吸収・放出して体積変化する刺激応答性高分子ゲルと、該刺激応答性高分子ゲルを分散・固定するための高分子ゲル固定用樹脂組成物とを有し、該高分子ゲル固定用樹脂組成物が、重量平均分子量が100,000以上の架橋性高分子と、架橋剤とを含むことを特徴とする。
刺激応答性高分子ゲルを高分子ゲル固定用樹脂組成物に分散・固定したタイプの高分子ゲル組成物では、高分子ゲル固定用樹脂組成物に架橋性高分子を用いることにより、例えば調光ガラスなどにも初期では固定することができた。しかし、これらの調光ガラス等は屋外環境で使用されることが多く、高い耐候性(例えば、紫外光照射試験により粘性が低下して流れ出さないこと)等が必要であることが判明した。
本発明者等の検討により、上記耐候性を向上させ高い保存安定性を得るには、高分子ゲル固定用樹脂組成物に架橋剤を含ませることにより強度を向上させて、高分子ゲル組成物を硬化させた初期状態の弾性率を、前記刺激応答性高分子ゲルの体積変化特性に影響を与えない範囲で高くすることが有効であることがわかった。具体的には、高分子ゲル組成物の硬化後の貯蔵弾性率を、振動数1Hzの時に1Pa以上106Pa以下とすることが好ましく、105Pa以下とすることがより好ましいことわかった。
高分子ゲル組成物の硬化後の貯蔵弾性率が振動数1Hzにおいて1Paに満たないと、後述する紫外光照射試験後に高分子ゲル組成物が流動化してしまう場合がある。硬化後の貯蔵弾性率が106Paを超えると、架橋密度が高くなりすぎて、刺激応答性高分子ゲルの体積変化特性を抑制してしまう場合がある。
なお、上記貯蔵弾性率は、粘弾性スペクトロメータを使用して、高分子ゲル組成物に正弦的に変化する応力を与えた時の、位相差を測定することで求めることができる。
以下に、本発明の高分子ゲル組成物の基本的構成について説明するが、本発明は、この基本的構成のみに限定されるものではない。
図1は、本発明の高分子ゲル組成物の構成例を示す模式断面図であり、具体的にはフィルム状に形成された高分子ゲル組成物の模式断面図を示したものである。
図1は、本発明の高分子ゲル組成物の構成例を示す模式断面図であり、具体的にはフィルム状に形成された高分子ゲル組成物の模式断面図を示したものである。
図1において、符号1は、高分子ゲルを表し、符号2(符号2a及び符号2b)は、硬化後の高分子ゲル固定用樹脂組成物(以下、「硬化樹脂組成物」と略す場合がある)を表す。また、符号3は、高分子ゲル組成物を表し、高分子ゲル1、及び、硬化樹脂組成物2からなる。図1中、高分子ゲル1は、硬化樹脂組成物2中に分散した状態で固定されている。また、少なくとも、高分子ゲル1、及び、高分子ゲル1に隣接する領域の硬化樹脂組成物2aは、不図示の溶液を含んでおり、前記溶液は、高分子ゲル1内部の領域と、硬化樹脂組成物2aの領域と、の間で、その溶液組成が均一に保たれるように移動可能である。また、高分子ゲル1に隣接する領域以外の硬化樹脂組成物2bが、不図示の溶液を含んでいてもよい。なお、以下の本発明の説明において、少なくとも、高分子ゲル1及び硬化樹脂組成物2aの領域内に含まれる溶液を吸脱液体(液体)と称す場合がある。
但し、高分子ゲル1及び硬化樹脂組成物2aの領域に存在する溶液と、硬化樹脂組成物2bの領域に存在する溶液と、が前者及び後者の領域間で相互に移動可能であり、実質的に同一の組成からなるものであってよく、前者及び後者の領域間で実質的に相互に移動不可能であり、実質的に同一あるいは異なる組成からなるものであってもよい。
次に、図1に示す高分子ゲル組成物3中の高分子ゲル1が、膨潤状態から収縮状態、あるいは、収縮状態から膨潤状態、へと変化する場合について説明する。図2は、図1に示す高分子ゲル組成物中の高分子ゲルが膨潤及び収縮した状態を示した模式断面図であり、図2(a)は、高分子ゲルが膨潤した状態を表し、図2(b)は、高分子ゲルが収縮した状態を表す。
高分子ゲル1の膨潤状態から収縮状態、あるいは、収縮状態から膨潤状態への体積変化は、高分子ゲル1への不図示の外部刺激の付与によって起こる。但し、この外部刺激は、熱、光、電場、磁場等の高分子ゲル1を体積変化させるための何らかのエネルギーであり、該エネルギーの種類は、高分子ゲル1の種類に応じて選択される。
高分子ゲル1の膨潤状態から収縮状態への体積変化は、外部刺激が付与された際に高分子ゲル1内部に含まれる吸脱液体が、高分子ゲル1外部に放出することにより起こる。また、高分子ゲル1の収縮状態から膨潤状態への体積変化は、外部刺激が付与された際に、高分子ゲル1と隣接する領域の吸脱液体を吸収することによりことにより起こる。
なお、本発明において、高分子ゲル組成物3は、後述するように高分子ゲル1を硬化前の高分子ゲル固定用樹脂組成物中に分散させて高分子ゲル硬化性組成物を調製した後に、前記高分子ゲル固定用樹脂組成物を硬化させることにより作製されるものであるが、硬化樹脂組成物2は、高分子ゲル1を固定することができるように非流動性であることが必要である。
なお、本発明において「高分子ゲルを固定する」とは、高分子ゲル1が、高分子ゲル組成物3中において、ほぼ一定の位置に固定された状態を意味する。
また、「非流動性」とは、流動性が失われた状態であり、上記したように高分子ゲル1をほぼ一定の位置に安定して固定できる程度に流動性が失われた状態であれば特に限定されず、例えば硬化樹脂組成物2が、ゲル状や、多少のせん断力を加えても流動しない高粘度の液体(半固体)状態であってもよい。
また、「非流動性」とは、流動性が失われた状態であり、上記したように高分子ゲル1をほぼ一定の位置に安定して固定できる程度に流動性が失われた状態であれば特に限定されず、例えば硬化樹脂組成物2が、ゲル状や、多少のせん断力を加えても流動しない高粘度の液体(半固体)状態であってもよい。
以下に、本発明を上記に説明した高分子ゲル組成物の基本的構成を前提として説明する。なお、以下の説明において図1及び図2の説明に用いた用語に付された符号は省略する場合がある。
また、本発明において、高分子ゲル1を分散させ、硬化させることで、硬化樹脂組成物2と成り得るのが高分子ゲル固定用樹脂組成物であり、この高分子ゲル固定用樹脂組成物に、吸脱液体及び高分子ゲルを含ませた液状の組成物が高分子ゲル硬化性組成物であり、この高分子ゲル硬化性組成物を硬化させたものが高分子ゲル組成物である。
(高分子ゲル固定用樹脂組成物)
高分子ゲル固定用樹脂組成物は、重量平均分子量100,000以上の架橋性高分子と、架橋剤とを少なくとも含む構成となっている。重量平均分子量100,000以上の架橋性高分子に加えて、一定量の架橋剤を含むことで、刺激応答性高分子ゲルの特性を維持するだけでなく、架橋後の耐候性を含めた保存安定性が高めることが可能となる。
なお、以下において硬化前の高分子ゲル固定用樹脂組成物を、単に「樹脂組成物」ということがある。
高分子ゲル固定用樹脂組成物は、重量平均分子量100,000以上の架橋性高分子と、架橋剤とを少なくとも含む構成となっている。重量平均分子量100,000以上の架橋性高分子に加えて、一定量の架橋剤を含むことで、刺激応答性高分子ゲルの特性を維持するだけでなく、架橋後の耐候性を含めた保存安定性が高めることが可能となる。
なお、以下において硬化前の高分子ゲル固定用樹脂組成物を、単に「樹脂組成物」ということがある。
−架橋性高分子−
以下、まず前記架橋性高分子について説明する。
架橋性高分子の重量平均分子量は、100,000以上であることが必要であるが、好ましい範囲は1×105〜5×106であり、より好ましくは5×105〜2×106の範囲である。1×105よりも分子量が小さいと、後述する刺激応答性高分子ゲルの応答性が悪くなる恐れがあり、5×106よりも大きくなると、高分子の溶解性が悪くなり均一な溶液にすることが難しくなること、組成物の粘度が高まり加工性が低下するなどの問題が生じる。
以下、まず前記架橋性高分子について説明する。
架橋性高分子の重量平均分子量は、100,000以上であることが必要であるが、好ましい範囲は1×105〜5×106であり、より好ましくは5×105〜2×106の範囲である。1×105よりも分子量が小さいと、後述する刺激応答性高分子ゲルの応答性が悪くなる恐れがあり、5×106よりも大きくなると、高分子の溶解性が悪くなり均一な溶液にすることが難しくなること、組成物の粘度が高まり加工性が低下するなどの問題が生じる。
なお、上記重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)を用いて測定した。GPCは、HLC−8120GPC、SC−8020(東ソー(株)社製)を用い、カラムは、TSKgel、SuperHM−H(東ソー(株)社製、6.0mmID×15cm)を2本用い、溶離液としてTHF(テトラヒドロフラン)を用いて測定した。
架橋性高分子は、光、電子線、中性子線等の放射線や熱によって硬化する性質をもつ材料である。また、硬化反応の効率の高さから架橋性官能基を分子中に有した材料が好ましく使用される。後述する天然高分子及び/又は合成高分子に、架橋結合の形成が可能な構造を有する高分子からなる誘導体(架橋性官能基)を導入したものが特に好ましく用いることができる。これらの中でも、酸性高分子であることが好ましく、特に、アクリル酸ユニットを含むものが、後述する刺激応答性高分子ゲルの体積変化量を維持する観点から好ましい。以下、架橋性高分子を具体的に説明する。
前記天然高分子としては公知の天然高分子であれば特に限定されないが、例えば、アガロース、アガロペクチン、アミロース、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、イソリケナン、インスリン、エチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、カードラン、カゼイン、カラギーナン、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルデンプン、カロース、寒天、キチン、キトサン、絹フィブロイン、クアーガム、クインスシード、クラウンゴール多糖、グリコーゲン、グルコマンナン、ケラタン硫酸、ケラチン蛋白質、コラーゲン、酢酸セルロース、ジェランガム、シゾフィラン、ゼラチン、ゾウゲヤシマンナン、ツニシン、デキストラン、デルマタン硫酸、デンプン、トラガカントゴム、ニゲラン、ヒアルロン酸、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、プスツラン、フノラン、分解キシログルカン、ペクチン、ポルフィラン、メチルセルロース、メチルデンプン、ラミナラン、リケナン、レンチナン、ローカストビーンガム等があげられる。
また、合成高分子としては公知の合成高分子であれば特に限定されないが、例えば親水性高分子としてはポリ(メタ)アクリル酸及びそのエステル、ポリ(メタ)アクリルアミド、ポリ(N−アルキル置換(メタ)アクリルアミド)、ポリビニルアルコール及びその誘導体、ポリスチレンスルホン酸、ポリビニルピリジン、ポリビニルピロリドン、ポリプロピレンオキシド、ポリエチレングリコール等のホモポリマーが挙げられる。但し、これらのホモポリマーの重合に用いられるモノマーを、2種以上含む共重合体を用いることもできる。これらのポリマーは親水性高分子ゲルを用いる場合には好ましく使用される。本発明の説明では、親水性高分子を中心に記述するが、上記以外にも疎水性の高分子ゲルを用いる場合にはポリスチレン、ポリ(メタ)アクリレートなどの疎水性高分子を用いることもできる。
このような高分子としては、架橋結合の形成が可能な官能基を有するものであれば特に限定されないが、透明性、耐久性などの観点から、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリ(メタ)アクリル酸誘導体が好ましく、特に好ましくはポリ(メタ)アクリル酸誘導体である。
なお、本発明において、例えば、「(メタ)アクリル」なる記述は、「アクリル」及び/又は「メタアクリル」を意味する。
なお、本発明において、例えば、「(メタ)アクリル」なる記述は、「アクリル」及び/又は「メタアクリル」を意味する。
架橋性高分子は、これら架橋性官能基を有する高分子が親水性の場合、通常、水などの液体に溶解した状態で使用される。溶解するための液体は水が最も好ましいが、必要に応じて水と相溶可能な液体、例えば、有機溶剤などが挙げられる。この有機溶剤は、水と相溶可能なものであり、例えば、メタノール、エタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリンなどの低級アルコール、アセトンやメチルエチルケトンなどのケトン類、THF、1,4−ジオキサン、ジエチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテルなどのエーテル類、酢酸エチルなどのエステル類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、等が挙げられる。これらのうち、特に後に述べる刺激応答性高分子ゲルの特性の観点から、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、エチレングリコールモノエチルエーテルなどの一価アルコール類が好ましい。
前記架橋性官能基としては、通常の熱や光、電子線などを利用した化学反応によって高分子間に化学結合を作るものならば、特に限定されないが、好ましくはラジカル重合性のビニル基、(メタ)アクリロイル基、シンナミル基、スチバゾリル基などの不飽和二重結合基が挙げられ、これらはエステル化、アミド化、エーテル化等の反応によって前記の高分子中に導入することが可能である。これらの架橋性官能基は光ラジカル開始剤、熱ラジカル開始剤等を利用することで光、電子線や熱などの付与によってラジカル反応し樹脂組成物全体を硬化させることができる。
なお、架橋性官能基は、これらのラジカル反応性置換基に限定されるものではなく、それ以外にもシンナミル基、スチバゾリル基などの官能基もラジカル開始剤がなくとも光二量化することで架橋構造を形成し硬化させることができる。さらには、エポキシ基、メラミン基、イソシアネート基等の官能基も適用可能であり、熱付与や触媒等の添加によって硬化することが可能である。
架橋性高分子中に好ましく含まれる架橋性官能基量は、有機元素分析や滴定などの各種定量法により求めることができる。官能基量は0.001〜30モル%の範囲であることが好ましく、0.001〜10モル%の範囲であることがより好ましい。官能基量が0.001モル%未満では、後述する架橋剤と十分反応することができず強度を確保することができない場合がある。官能基量が30モル%を超えると、樹脂組成物溶液のポットライフが低下する場合がある。
架橋性高分子は、樹脂組成物中に固形分で0.1〜15質量%含まれることが好ましく、より好ましくは0.5〜10質量%である。0.1質量%よりも固形分濃度が低くなると樹脂組成物の硬化性を十分に得ることが難しくなり、15質量%よりも固形分濃度が高くなると後述する刺激応答性高分子ゲルの体積変化量が十分に取れなくなる恐れがある。
−架橋剤−
本発明においては、樹脂組成物に架橋剤が含有される。これにより、前記架橋性高分子のみが架橋した場合に比べ架橋点数が多くなり、架橋構造も強固なものとなるため、硬化後の高分子ゲル組成物の紫外線照射等に対する耐性が高まり、耐候性を含めた保存安定性に優れた高分子ゲル組成物を得ることができる。
本発明においては、樹脂組成物に架橋剤が含有される。これにより、前記架橋性高分子のみが架橋した場合に比べ架橋点数が多くなり、架橋構造も強固なものとなるため、硬化後の高分子ゲル組成物の紫外線照射等に対する耐性が高まり、耐候性を含めた保存安定性に優れた高分子ゲル組成物を得ることができる。
架橋剤としては、前記架橋性高分子の架橋性官能基等と反応して架橋構造を形成することが可能な官能基を有する化合物であれば特に制限されず、前記架橋性高分子において説明した架橋性官能基と同様な官能基を有する化合物を用いることができる。
具体的には、上記官能基を有するアクリル系、イソシアネート系、エポキシ系、メラミン系、アミン系、アゾ系などの有機化合物が挙げられる。
具体的には、上記官能基を有するアクリル系、イソシアネート系、エポキシ系、メラミン系、アミン系、アゾ系などの有機化合物が挙げられる。
これらの中では、前記刺激応答性高分子ゲルの体積変化を高く保つ点でアクリル系の有機化合物が好ましく、特に、メチレンビスアクリルアミド(MBA)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)及び2−ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)から選択される1種以上を用いることが好ましい。
本発明においては、架橋剤が、前記架橋性高分子における架橋性構造と異なる架橋性構造を有することが、刺激応答性高分子ゲルの体積変化特性向上の点で好ましい。ここで、上記架橋性構造とは、前記架橋性官能基を含む高分子末端の分子構造(架橋剤の場合はその分子構造)をいう。特に、架橋性高分子中の架橋性構造と架橋剤とが共にアクリル系化合物構造の場合、それらが異なるアクリル系化合物構造であることが好ましい。
また、本発明においては、樹脂組成物が構造の異なる複数の架橋剤を含むことが好ましい。これにより、前記刺激応答性高分子ゲルの体積変化特性を高い状態で維持することができる。
架橋剤の添加量は、樹脂組成物中に0.001〜30質量%の範囲で含まれることが好ましく、0.001〜10質量%の範囲で含まれることがより好ましい。添加量が0.001質量%よりも低くなると、樹脂組成物の耐候性を十分に得ることが難しくなり、30質量%よりも高くなると後述する刺激応答性高分子ゲルの体積変化量が十分に取れなくなる恐れがある。
前記架橋性高分子(例えば架橋性官能基を有する高分子)を液体に溶解した溶液(即ち、液状の樹脂組成物)は酸性溶液であることが好ましい。また架橋反応によって硬化させた後の硬化物内部の液性も一般に酸性であることが好ましい。
溶液の液性を酸性にするために、種々の添加物として酸性化合物を加えることができる。使用する酸性化合物としては、無機酸、有機酸、酸性高分子などが挙げられる。具体的には、塩酸、硫酸、リン酸、しょう酸等の無機酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、安息香酸、フェニル酢酸、アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、ジメチル硫酸、ジエチル硫酸、p−トルエンスルホン酸等の有機酸等の有機酸、酸性高分子としては高分子鎖中にカルボキシル基、スルホン基などの酸性官能基を含む高分子、例えばポリビニルスルホン酸、ポリリン酸、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリ−L−グルタミン酸、ポリマレイン酸、ポリフマル酸、またこれらを少なくとも含む共重合体等が挙げられる。これらの中でも後に述べる刺激応答性高分子ゲルの特性や耐久性の観点から、さらに、塩酸、リン酸等の無機酸や酢酸などの有機酸、例示した酸性高分子が好ましい。さらに好ましくは、繰り返し単位中にカルボキシル基を含むポリ(メタ)アクリル酸、ポリ−L−グルタミン酸、ポリマレイン酸、ポリフマル酸、ポリ(メタ)アクリル酸を含む共重合体等が好ましく用いられる。
樹脂組成物に対する酸性化合物の添加量は、高分子ゲルの膨潤状態における体積変化の繰り返し特性を維持するために必要な量以上であって、所望の高分子ゲルの体積変化量、相転移点になるようにさらに調整した量が好ましい。
高分子ゲルの膨潤状態における体積変化特性維持するためには、樹脂組成物溶液のpHが1.5〜7.0の範囲、好ましくは2.0〜5.5の範囲、さらに好ましくは2.5〜4.0の範囲になることが好ましい。pHが、7.0よりも大きい場合、あるいは、1.5よりも小さい場合、使用する高分子ゲルの種類によっては十分な体積変化量が得られないことがある。
高分子ゲルの膨潤状態における体積変化特性維持するためには、樹脂組成物溶液のpHが1.5〜7.0の範囲、好ましくは2.0〜5.5の範囲、さらに好ましくは2.5〜4.0の範囲になることが好ましい。pHが、7.0よりも大きい場合、あるいは、1.5よりも小さい場合、使用する高分子ゲルの種類によっては十分な体積変化量が得られないことがある。
また、酸性化合物の添加が高分子ゲルの体積変化量を抑制する場合もある。酸性化合物の添加量の好ましい範囲は、吸脱液体に対し、0.001〜50質量%、より好ましくは0.01〜30質量%の範囲内である。0.001%未満では酸性化合物のpH調整の効果が十分に得られず、また50質量%以上になると刺激応答性高分子ゲルの特性を抑制してしまう恐れがある。またpHを調製するために前記酸性化合物と塩基性化合物を混合することも好ましい。
なお、前記相転移点とは熱や光等の何らかの外部刺激の付与により、刺激応答性高分子ゲルが膨潤状態から収縮状態へ、あるいは、収縮状態から膨潤状態へと体積変化する際の外部刺激の閾値を意味する。例えば、刺激応答性高分子ゲルが、温度変化に応答して体積変化する場合には、前記相転移点とは相転移温度を意味する。
樹脂組成物は溶液として用いられるが、その組成として、例えば、架橋性高分子及び架橋剤を必須成分とし、水、有機溶剤とを含む形態が好適に挙げられる。この場合、樹脂組成物中に水は45〜99.5質量%含むことが好ましく、より好ましくは、70〜95質量%である。有機溶剤は0〜40質量%含むことが好ましく、より好ましくは、0〜30質量%である。
樹脂組成物は、上記の構成成分のほかに酸性度を調整する目的で塩基性化合物を添加しても良い。また、必要に応じて相溶性のある各種添加剤、たとえば、着色剤、可塑剤、界面活性剤、安定剤、基板、UV吸収剤、酸化防止剤、抗菌剤、防腐剤や基板との密着性を高めるためのカップリング剤、塗工方法にあった粘度にするための粘度調整剤等を適宜、添加、配合することができる。
(刺激応答性高分子ゲル)
次に、本発明において使用することができる刺激応答性高分子ゲルについて説明する。
刺激応答性高分子ゲル1は、pH変化、イオン濃度変化、化学物質の吸脱着、溶媒組成の変化、又は光、熱、電流もしくは電界の付与等、刺激の付与によって、液体を吸収・放出して体積変化(膨潤・収縮)するものであり、公知の刺激応答性ゲルを使用することができる。
次に、本発明において使用することができる刺激応答性高分子ゲルについて説明する。
刺激応答性高分子ゲル1は、pH変化、イオン濃度変化、化学物質の吸脱着、溶媒組成の変化、又は光、熱、電流もしくは電界の付与等、刺激の付与によって、液体を吸収・放出して体積変化(膨潤・収縮)するものであり、公知の刺激応答性ゲルを使用することができる。
本発明において、刺激応答性高分子ゲル1の体積変化は、一方的なものでも可逆的なものであってもよい。但し、刺激応答性高分子ゲル1をセンサー等の光学素子や装飾品、省エネ用塗装膜等として用いる場合は、可逆的であるものが好ましい。
以下に、本発明において使用することのできる刺激応答性高分子ゲル1の具体例を親水性高分子ゲルを中心に説明する。
pH変化によって刺激応答する高分子ゲル1としては、電解質系高分子ゲルが好ましく、その例としては、ポリ(メタ)アクリル酸の架橋物やその塩、(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸アルキルエステルなどとの共重合体の架橋物やその塩、ポリマレイン酸の架橋物やその塩、マレイン酸と(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸アルキルエステルなどとの共重合体の架橋物やその塩、ポリビニルスルホン酸の架橋物やビニルスルホン酸と(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸アルキルエステルなどとの共重合体の架橋物、ポリビニルベンゼンスルホン酸の架橋物やその塩、ビニルベンゼンスルホン酸と(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸アルキルエステルなどとの共重合体の架橋物やその塩、ポリアクリルアミドアルキルスルホン酸の架橋物やその塩、アクリルアミドアルキルスルホン酸と(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸アルキルエステルなどとの共重合体の架橋物やその塩、ポリジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドの架橋物やその塩酸塩、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドと(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸アルキルエステルなどとの共重合体の架橋物やその4級化物や塩、ポリジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドとポリビニルアルコールとの複合体の架橋物やその4級化物や塩、ポリビニルアルコールとポリ(メタ)アクリル酸との複合体の架橋物やその塩、カルボキシアルキルセルロース塩の架橋物、ポリ(メタ)アクリロニトリルの架橋物の部分加水分解物やその塩などが挙げられる。
pH変化によって刺激応答する高分子ゲル1としては、電解質系高分子ゲルが好ましく、その例としては、ポリ(メタ)アクリル酸の架橋物やその塩、(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸アルキルエステルなどとの共重合体の架橋物やその塩、ポリマレイン酸の架橋物やその塩、マレイン酸と(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸アルキルエステルなどとの共重合体の架橋物やその塩、ポリビニルスルホン酸の架橋物やビニルスルホン酸と(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸アルキルエステルなどとの共重合体の架橋物、ポリビニルベンゼンスルホン酸の架橋物やその塩、ビニルベンゼンスルホン酸と(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸アルキルエステルなどとの共重合体の架橋物やその塩、ポリアクリルアミドアルキルスルホン酸の架橋物やその塩、アクリルアミドアルキルスルホン酸と(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸アルキルエステルなどとの共重合体の架橋物やその塩、ポリジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドの架橋物やその塩酸塩、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドと(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸アルキルエステルなどとの共重合体の架橋物やその4級化物や塩、ポリジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドとポリビニルアルコールとの複合体の架橋物やその4級化物や塩、ポリビニルアルコールとポリ(メタ)アクリル酸との複合体の架橋物やその塩、カルボキシアルキルセルロース塩の架橋物、ポリ(メタ)アクリロニトリルの架橋物の部分加水分解物やその塩などが挙げられる。
耐候性、耐久性の観点から、より、好ましくは、(メタ)アクリル酸の単独共重合体あるいはそれと他のモノマーとの共重合体の架橋物やその塩であり、特に、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリルアミドアルキルスルホン酸などの共重合体の架橋物やその塩が好ましい。
pH変化としては、液体の電気分解や添加される化合物の酸化還元反応などの電極反応、あるいは、導電性高分子の酸化還元反応、更には、pHを変化させる化学物質の添加によるものであることが好ましい。用途範囲の拡大、繰り返し性の観点から、より、好ましくは、添加される化合物の酸化還元反応や導電性高分子の酸化還元反応を利用することである。
イオン濃度変化によって刺激応答する高分子ゲル1としては、前記したpH変化による刺激応答性高分子ゲルと同様なイオン性高分子材料が使用できる。また、イオン濃度変化としては、塩等の添加、イオン交換性樹脂の使用などによるものが好ましい。用途範囲の拡大、繰り返し性の観点から、より、好ましくは、イオン交換性樹脂の使用を使用することである。
化学物質の吸脱着によって刺激応答する高分子ゲル1としては、イオン性高分子ゲルが好ましく、その例として、ポリビニルスルホン酸の架橋物やビニルスルホン酸と(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸アルキルエステルなどとの共重合体の架橋物、ポリビニルベンゼンスルホン酸の架橋物やビニルベンゼンスルホン酸と(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸アルキルエステルなどとの共重合体の架橋物、ポリ(メタ)アクリルアミドアルキルスルホン酸の架橋物や(メタ)アクリルアミドアルキルスルホン酸と(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸アルキルエステルなどとの共重合体の架橋物などが挙げられる。 耐候性の観点から、ポリ(メタ)アクリル酸の誘導体の架橋物が好ましい。
この場合、化学物質としては、界面活性剤、例えば、n−ドデシルピリジニウムクロライドなどのアルキルピリジン塩、アルキルアンモニウム塩、フェニルアンモニウム塩、テトラフェニルホスフォニウムクロライドなどのホスホニウム塩などのカチオン性界面活性剤を使用することができる
溶媒組成の変化によって刺激応答する高分子ゲル1としては、一般にほとんどの高分子ゲルが挙げられ、その高分子ゲルの良溶媒と貧溶媒とを利用することで膨潤、収縮を引き起こすことが可能である。
電流もしくは電界の付与によって、刺激応答する高分子ゲル1としては、カチオン性高分子ゲルと電子受容性化合物とのCT錯体(電荷移動錯体)が好ましく、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドなどアミノ置換(メタ)アクリルアミドの架橋物、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートやジメチルアミノプロピルアクリレートなどの(メタ)アクリル酸アミノ置換アルキルエステルの架橋物、ポリスチレンの架橋物、ポリビニルピリジンの架橋物、ポリビニルカルバゾールの架橋物、ポリジメチルアミノスチレンの架橋物、(メタ)アクリル酸及びその塩などの共重合体の架橋物などが挙げられ、特に、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレートなどのジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート系高分子及び、(メタ)アクリル酸及びその塩などの共重合体は好ましい。
耐候性及び応答性の観点から、より、好ましくは、(メタ)アクリル酸及びその塩の共重合体の架橋物、またポリアクリルアミドアルキルスルホン酸系高分子も好ましく使用される。
これらは、ベンゾキノン、7,7,8,8−テトラシアノキノジメタン(TCNQ)、テトラシアノエチレン、クロラニル、トリニトロベンゼン、無水マレイン酸やヨウ素などの電子受容性化合物とを組み合わせて使用することができる。
これらは、ベンゾキノン、7,7,8,8−テトラシアノキノジメタン(TCNQ)、テトラシアノエチレン、クロラニル、トリニトロベンゼン、無水マレイン酸やヨウ素などの電子受容性化合物とを組み合わせて使用することができる。
光の付与によって刺激応答する高分子ゲル1としては、トリアリールメタン誘導体やスピロベンゾピラン誘導体などの光によってイオン解離する置換基を有する親水性高分子化合物の架橋物が好ましく、その例として、ビニル置換トリアリールメタンロイコ誘導体と(メタ)アクリルアミドとの共重合体の架橋物などが挙げられる。
応答性の観点から、より、好ましくは、ビニル置換トリアリールメタンロイコ誘導体と(メタ)アクリルアミドとの共重合体の架橋物である。
熱応答性高分子ゲルとしては、ある温度以上で疎水性相互作用によって凝集し水溶液中から析出してくる性質を持つLCST(下限臨界共融温度)をもつ高分子の架橋体、及びUCST(上限臨界共融温度)をもつ高分子の架橋体や、互いに水素結合する2成分の相互侵入網目構造(IPN)高分子ゲル、結晶性などの凝集性の側鎖を持つ高分子ゲルなどが好ましい。
上記のなかで特に本発明に使用される刺激応答性高分子ゲルは水素結合力の変化を利用して吸脱液体を吸収・放出して体積変化する刺激応答性高分子ゲルであることが特に好ましい。
なお「水素結合力の変化」とは、具体的には、刺激応答性高分子ゲル内の水素結合の形成/解離を意味するものである。
なお「水素結合力の変化」とは、具体的には、刺激応答性高分子ゲル内の水素結合の形成/解離を意味するものである。
上記したような水素結合力の変化を利用して吸脱液体を吸収・放出して体積変化する刺激応答性高分子ゲルとしては、水素結合力の変化を利用するものであれば特に限定されないが、少なくとも水素結合性基を有するIPN高分子ゲルや、少なくとも水素結合性基を有する高分子や、互いに水素結合するモノマーユニットをもつブロック共重合体ゲルなどが好ましい。これら水素結合力の変化を利用したポリマーは一般に水中や水と有機溶剤の混合溶媒中において低温で析出し高温で溶解するという特性(UCST:上限臨界溶液温度)をもつものが多い。
水素結合性基を有する高分子としては、繰り返し単位中に、スルホン酸基、リン酸基、カルボキシル基、アミノ基、ヒドロキシル基、アミド基、エステル基、エチレンオキシド等を含むものである。例示すれば、スルホン酸基、リン酸基、カルボキシル基などを含むポリビニルスルホン酸、ポリリン酸、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリ−L−グルタミン酸、ポリマレイン酸、ポリフマル酸等の酸性高分子、アミノ基を有するポリビニルアミンやポリエチレンイミン、ポリ−L−リシン、ポリ(N−アルキル−4−ビニルピリジニウムクロライド)、ポリビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロライド)、アミド基を有するポリ(メタ)アクリルアミドやポリアクリロイルグリシンアミドやその誘導体、その他ポリビニルアルコール、ポリ(メタ)アクリルアミドやその誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキシドや、これらを含む共重合体などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
少なくとも水素結合性基を有するIPN高分子ゲルの具体例としては、ポリ(メタ)アクリルアミドあるいはその誘導体の架橋体とポリ(メタ)アクリル酸の架橋体とからなるIPN体及びその部分中和物(アクリル酸単位を部分的に塩としたもの)、(メタ)アクリルアミドあるいはその誘導体を含む共重合体の架橋体と(メタ)アクリル酸の架橋体からなるIPN体及びその部分中和物、ポリ(メタ)アクリルアミドあるいはその誘導体の架橋体とポリマレイン酸などの架橋体とからなるIPN体及びその部分中和物(アクリル酸単位を部分的に塩としたもの)、ポリ(メタ)アクリルアミドあるいはその誘導体を含む共重合体の架橋体とポリマレイン酸の架橋体とからなるIPN体及びその部分中和物(アクリル酸単位を部分的に塩としたもの)、ポリ(メタ)アクリルアミドあるいはその誘導体の架橋体とポリフマル酸なの架橋体とからなるIPN体及びその部分中和物(アクリル酸単位を部分的に塩としたもの)、ポリ(メタ)アクリルアミドあるいはその誘導体を含む共重合体の架橋体とポリフマル酸なの架橋体とからなるIPN体及びその部分中和物(アクリル酸単位を部分的に塩としたもの)、などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
少なくとも水素結合性基を有する高分子のブロック共重合体ゲルの具体例としては、少なくともポリ(メタ)アクリルアミドあるいはその誘導体とポリ(メタ)アクリル酸を含む共重合体からなる架橋体、ポリ(メタ)アクリルアミドあるいはその誘導体とポリマレイン酸を含む共重合体からなる架橋体、ポリ(メタ)アクリルアミドあるいはその誘導体とポリフマル酸を含む共重合体からなる架橋体等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
また、結晶性ゲルとしては、オクチル基、デシル基、ラウリル基、ステアリル基等の長鎖アルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルと(メタ)アクリル酸との共重合体の架橋体やその塩があげられる。
LCST(下限臨界共融温度)をもつ高分子の架橋体であるLCSTゲルは、高温において収縮し、UCSTゲル、IPNゲル及び結晶性ゲルでは、逆に高温で膨潤する特性をもっている。前者の具体的な化合物としては、ポリN−イソプロピルアクリルアミドなどの〔N−アルキル置換(メタ)アクリルアミド〕の架橋体やN−アルキル置換(メタ)アクリルアミドと(メタ)アクリル酸の共重合体及びその塩、又は(メタ)アクリルアミド、又は(メタ)アクリル酸アルキルエステルなどの2成分以上の共重合体の架橋体、ポリビニルメチルエーテルの架橋物、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのアルキル置換セルロース誘導体の架橋体などが挙げられる。〔N−アルキル置換(メタ)アクリルアミド〕の架橋体が、耐候性,体積変化特性の観点から、好ましくは、例えば、 N−アルキル置換(メタ)アクリルアミド〕の架橋体やN−アルキル置換(メタ)アクリルアミドと(メタ)アクリル酸の共重合体及びその塩の架橋体であり、中でも、N−アルキル置換(メタ)アクリルアミド〕の架橋体が好ましく、特に、ポリN−イソプロピル(メタ)アクリルアミドは好ましい。
この熱応答性高分子ゲルの体積変化を示す温度(相転移温度)としては、高分子ゲルの構造、組成により種々の設計が可能である。なお、好ましい相転移温度は−30〜300℃の範囲から選択され、中でも、−20〜150℃の範囲が好ましく、特に、好ましくは−5〜80℃の範囲である。
高分子ゲルとしては、上記例示した具体例の他に、温度変化に応じて複数の相転移点を示すゲルも好適に使用することができる。具体的に例示すると、ポリN−イソプロピル(メタ)アクリルアミドなどのポリアルキル置換(メタ)アクリルアミドの架橋体とポリ(メタ)アクリル酸の架橋体とのIPN体、などがあげられる。耐候性,の観点から、例えば、 アクリル酸系誘導体の重合体の架橋体のIPN体が好ましく、特に、好ましくは、ポリN−イソプロピルアクリルアミドの架橋体とポリアクリル酸の架橋体のIPN体である。これらのゲルは、温度上昇に伴い膨潤−収縮−膨潤という2つの相転移点を示すことが知られている。
また、熱応答性高分子ゲルの体積変化量を増大させる目的で、イオン性官能基を高分子ゲル中に含有させることも好ましく実施できる。イオン性官能基としては、カルボン酸、スルホン酸、アンモニウム基、りん酸基などがあげられ、耐候性、耐久の観点から、中でも、カルボン酸、スルホン酸が好ましく、特に、カルボン酸が好ましい。イオン性官能基は、高分子ゲルを調製する際にこれら官能基をもつモノマーを共重合する方法、合成後の高分子ゲルにモノマーを含浸させて重合しIPN(相互侵入網目構造)体とする方法、前記高分子ゲル中の官能基を部分的に加水分解や酸化反応などの化学反応によって変換する方法などが好ましく実施できるが、製造性の観点から、中でも、共重合する方法やIPN体とする方法が好ましく、特に、共重合する方法が好ましい。
刺激応答性高分子ゲルの体積変化量は、特に限定されないが、高いほうが光学濃度変化の観点から好ましく、膨潤時及び収縮時の体積比が、3以上、中でも5以上が好ましく、特に15以上が好ましい。また、本発明の刺激応答性高分子ゲルの体積変化は、可逆的であるものでも不可逆的であるものでもよいが、調光素子や表示素子、センサーなどの光学素子や装飾品として利用する場合は、可逆的なものであることが好ましい。
高分子ゲル中にはその特性を損なわない範囲で、紫外線吸収剤、光安定剤等、種々の安定剤を共重合あるいは結合させることが可能である。例えば、ヒンダードアミン系やヒンダードフェノール系の化合物や光安定化機能を持つ化合物などを共重合あるいは結合することが好ましく実施できる。これらの化合物の共重合量あるいは結合量は、高分子ゲルに対して0.01質量%〜5質量%の範囲が好ましく、中でも、0.01〜2質量%が好ましく、特に、0.05〜1質量%が好ましい。
また、本発明では、刺激応答性高分子ゲルの形態は、特に限定されないが、刺激応答特性を考慮すると、粒子の形態として使用することが特に好ましい。その粒子の形態も特に限定されないが、球体、楕円体、多面体、多孔質体、繊維状、星状、針状、中空状などの形態のものを使用することができる。
本発明において用いられる刺激応答性高分子ゲルは、乾燥状態で平均粒径が0.01μm〜5mmの範囲、中でも、0.01μm〜3mmの範囲、特に、0.01μm〜1mmの範囲の粒子であることが好ましい。平均粒子径が0.01μm未満となると、光学的な特性を得ることができなくなり、凝集等を起こしやすくなり、かつ、使用する場合にその扱いが困難となる。一方、5mmを超えると、応答速度が遅くなってしまう問題が生じる。
これらの高分子ゲルの粒子は、高分子ゲルを物理的粉砕法等で粒子化する方法、架橋前の高分子を化学的粉砕法等によって粒子化した後に架橋して高分子ゲル粒子を得る方法、あるいは乳化重合法、懸濁重合法、分散重合法などの粒子化重合法などの一般的な粒子化方法によって製造することができる。また、架橋前の高分子をノズル口金等によって押し出して繊維化し、これを架橋した後に粉砕する方法、あるいは前記繊維を粉砕して粒子化した後に架橋する方法によって高分子ゲル粒子を製造することも可能である。これらの方法は、目的用途に応じて種々適宜選択することができる。
刺激応答性高分子ゲルは、それ自身でも体積変化にともない光散乱性が変化するという調光性能を示すが、より大きな調光特性や色変化を発現するためは、刺激応答性高分子ゲルが調光用材料を含むことが好ましい。
−その他の添加剤−
以下に、本発明の高分子ゲル組成物に含まれる得る他の材料について説明する。
高分子ゲル組成物を、表示素子もしくは調光素子等に用いる場合には、これらの高分子ゲルに調光用材料を添加することが好ましい。添加する調光用材料としては、染料、顔料などの色材や光散乱材などが挙げられ、高分子ゲルに物理的あるいは化学的に固定化されることが好ましい。
以下に、本発明の高分子ゲル組成物に含まれる得る他の材料について説明する。
高分子ゲル組成物を、表示素子もしくは調光素子等に用いる場合には、これらの高分子ゲルに調光用材料を添加することが好ましい。添加する調光用材料としては、染料、顔料などの色材や光散乱材などが挙げられ、高分子ゲルに物理的あるいは化学的に固定化されることが好ましい。
調光用材料としては、染料、顔料や光散乱材などが挙げられる。また調光用材料は刺激応答性高分子ゲルの内部及び/又は表面に物理的あるいは化学的に固定化されることが好ましい。染料の好適な具体例としては、例えば、黒色のニグロシン系染料や赤、緑、青、シアン、マゼンタ、イエローなどのカラー染料であるアゾ染料、アントラキノン系染料、インジゴ系染料、フタロシアニン系染料、カルボニウム染料、キノンイミン染料、メチン染料、キノリン染料、ニトロ染料、ベンゾキノン染料、ナフトキノン染料、ナフタルイミド染料、ベリノン染料などが挙げられ、特に光吸収係数が高いものが望ましい。
例えば、C.I.ダイレクトイエロー1、8、11、12、24、26、27、28、33、39、44、50、58、85、86、87、88、89、98、157;C.I.アシッドイエロー1、3、7、11、17、19、23、25、29、38、44、79、127、144、245;C.I.ベイシックイエロー1、2、11、34;C.I.フードイエロー4;C.I.リアクティブイエロー37;C.I.ソルベントイエロー6、9、17、31、35、100、102、103、105;C.I.ダイレクトレッド1、2、4、9、11、13、17、20、23、24、28、31、33、37、39、44、46、62、63、75、79、80、81、83、84、89、95、99、113、197、201、218、220、224、225、226、227、228、229、230、231;C.I.アシッドレッド1、6、8、9、13、14、18、26、27、35、37、42、52、82、85、87、89、92、97、106、111、114、115、118、134、158、186、249、254、289;C.I.ベイシックレッド1、2、9、12、14、17、18、37;C.I.フードレッド14;C.I.リアクティブレッド23、180;C.I.ソルベントレッド5、16、17、18、19、22、23、143、145、146、149、150、151、157、158;C.I.ダイレクトブルー1、2、6、15、22、25、41、71、76、78、86、87、90、98、163、165、199、202;C.I.アシッドブルー1、7、9、22、23、25、29、40、41、43、45、78、80、82、92、93、127、249;C.I.ベイシックブルー1、3、5、7、9、22、24、25、26、28、29;C.I.フードブルー2;C.I.ソルベントブルー22、63、78、83〜86、191、194、195、104;C.I.ダイレクトブラック2、7、19、22、24、32、38、51、56、63、71、74、75、77、108、154、168、171;C.I.アシッドブラック1、2、7、24、26、29、31、44、48、50、52、94;C.I.ベイシックブラック2、8;C.I.フードブラック1、2;C.I.リアクティブブラック31;C.I.フードバイオレット2;C.I.ソルベントバイオレット31、33、37;C.I.ソルベントグリーン24、25;C.I.ソルベントブラウン3、9;等が挙げられる。これらの染料は、単独で使用してもよく、さもなければ所望とする色を得るために混合して使用してもよい。
また、染料を高分子ゲルに固定するために、不飽和二重結合基などの重合可能な基を有した構造の染料や高分子ゲルと反応可能ないわゆる反応性染料などが好ましく使用される。また、高分子ゲル中に含有させる染料の好ましい濃度は、3質量%から50質量%の範囲であり、特に好ましくは5質量%から30質量%の範囲である。このように染料濃度は少なくとも高分子ゲルの乾燥あるいは収縮状態において飽和吸収濃度以上であることが望ましい。ここで、飽和吸収濃度以上とは、特定の光路長のもとにおける染料濃度と光学濃度(あるいは光吸収量)の関係が一次直線の関係から大きく乖離するような高い染料濃度の領域を示す。
一方、顔料及び光散乱材の好適な具体例としては、黒色顔料であるブロンズ粉、チタンブラック、各種カーボンブラック(チャネルブラック、ファーネスブラック等)、白色顔料である酸化チタン、シリカなどの金属酸化物、炭酸カルシウムや金属紛などの光散乱材やカラー顔料である例えば、フタロシアニン系のシアン顔料、ベンジジン系のイエロー顔料、ローダミン系のマゼンタ顔料、あるいはこの他にもアントラキノン系、アゾ系、アゾ金属錯体、フタロシアニン系、キナクリドン系、ペリレン系、インジゴ系、イソインドリノン系、キナクリドン系、アリルアミド系などの各種顔料や光散乱材を挙げることができる。
例えば、イエロー系顔料としては、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アンスラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物、アリルアミド化合物に代表される化合物が用いられる。より詳細には、C.I.ピグメントイエロー12、13、14、15、17、62、74、83、93、94、95、109、110、111、128、129、147、168等が好適に用いられる。
例えば、マゼンタ系顔料としては、縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アンスラキノン、キナクリドン化合物、レーキ顔料、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、ペリレン化合物が用いられる。より詳細には、C.I.ピグメントレッド2、3、5、6、7、23、48:2、48:3、48:4、57:1、81:1、144、146、166、169、177、184、185、202、206、220、221、254が特に好ましい。
例えば、シアン系顔料としては、銅フタロシアニン化合物及びその誘導体、アンスラキノン化合物、塩基染料レーキ化合物等が利用できる。具体的には、例えば顔料としては、C.I.ピグメントブルー1、7、15、15:1、15:2、15:3、15:4、60、62、66等が特に好適に利用できる。
また、使用する顔料や光散乱材の粒径は、1次粒子の平均粒径で0.001μm〜1μmのものが好ましく、特に0.01μm〜0.5μmのものが好ましい。粒径が0.01μm以下では、高分子ゲル中に含まれる顔料や光散乱材の流出が起こりやすくなる場合があり、0.5μm以上では発色特性が悪くなる場合がある。
上記したような高分子ゲル中に含まれる顔料や光散乱材の流出は、確実に防止されることが好ましい。そのためには、高分子ゲルの架橋密度を最適化して顔料や光散乱材を高分子ゲルの網目構造中に物理的に閉じ込めること、高分子ゲルとの電気的、イオン的、その他物理的な相互作用が高い顔料や光散乱材を用いること、表面を化学修飾した顔料や光散乱材を用いることなどが好ましい。
例えば、表面を化学修飾した顔料や光散乱材としては、表面にビニル基などの不飽和基や不対電子(ラジカル)などの高分子ゲルと化学結合する基を導入したものや、高分子材料をグラフト結合したものなどが挙げられる。
このような調光用材料の添加量としては、高分子ゲルの乾燥時又は収縮時に、飽和吸収濃度あるいは飽和散乱濃度以上となる量を添加することが好ましい。ここで、飽和吸収(あるいは飽和散乱)濃度以上とは、特定の光路長のもとにおける調光用材料濃度と光吸収量の関係が1次直線の関係から大きく外れる領域のことを示す。高分子ゲル1に、前記濃度以上となるように調光用材料を添加することによって、高分子ゲル1が膨潤・収縮を起こし、その結果光学濃度及び/又は散乱を変化させることができる。
飽和吸収濃度あるいは飽和散乱濃度以上となる調光用材料の濃度は、一般に3質量%以上であり、中でも、3質量%〜95質量%の範囲を高分子ゲルに添加することが好ましく、より好ましくは5質量%〜80質量%の範囲であり、特に好ましくは、10質量%〜50質量%の範囲である。3質量%未満となると、調光用材料を添加した効果が十分に得られず、95質量%を超えると、高分子ゲルの特性が低下してしまう恐れがある。
本発明の高分子ゲル組成物は、前記樹脂組成物に高分子ゲルを最終的な含有比率となるように混合し、その後、光や熱などにより硬化反応を行うことにより得ることができる。その製造方法は特に制限されないが、後述する本発明の高分子ゲル組成物の製造方法を用いて行うことが好ましい。
<高分子ゲル組成物の製造方法>
本発明の高分子ゲル組成物の製造方法は、高分子ゲル分散用樹脂組成物に、液体を吸収・放出して体積変化する刺激応答性高分子ゲルを分散させて高分子ゲル分散組成物とする分散工程と、該高分子ゲル分散組成物に架橋剤を添加して高分子ゲル硬化性組成物とする硬化準備工程と、該高分子ゲル硬化性組成物を硬化させる硬化工程と、を含むことを特徴とする。
本発明の高分子ゲル組成物の製造方法は、高分子ゲル分散用樹脂組成物に、液体を吸収・放出して体積変化する刺激応答性高分子ゲルを分散させて高分子ゲル分散組成物とする分散工程と、該高分子ゲル分散組成物に架橋剤を添加して高分子ゲル硬化性組成物とする硬化準備工程と、該高分子ゲル硬化性組成物を硬化させる硬化工程と、を含むことを特徴とする。
上記製造方法は、前記本発明の高分子ゲル組成物を製造する方法として好ましいものであり、高分子分散用樹脂組成物に高分子ゲルを分散させた樹脂組成物(この状態の組成物を「高分子ゲル分散組成物」という)に、架橋剤を硬化の直前で加えることにより(この状態の組成物を「高分子ゲル硬化性組成物」という)、上記高分子ゲル分散組成物のポットライフを向上させることができると共に、硬化後の高分子ゲル組成物における架橋点数を多くすることができ、保存安定性に優れた高分子ゲル組成物を得ることができる。
なお、前記において「高分子ゲル分散用樹脂組成物」とは、前記本発明の高分子ゲル組成物において説明した硬化前の高分子ゲル固定用樹脂組成物から、架橋剤を除いた成分からなる組成物をいう。
本発明においては、前記高分子ゲル硬化性組成物に、光、電子線、放射線などを照射したり、加熱したりすることにより、樹脂組成物中に含まれる成分を架橋させ高分子ゲル組成物を作製することができる。このような作製方法を経ることにより、前記高分子ゲル硬化性組成物の高分子ゲル固定用樹脂組成物部分が硬化し、流動性を失うことにより刺激応答性高分子ゲルが高分子ゲル硬化組成物中に固定される。なお、前記高分子ゲル組成物の形状は特に限定されないが、光学素子として利用するにはフィルム状であることが好ましい。
(分散工程)
分散工程に用いられる高分子ゲル分散用樹脂組成物(以下、「分散用樹脂組成物」という場合がある)は、硬化することにより高分子ゲルを固定することができるものであれば特に制限されないが、前記本発明の高分子ゲル組成物に含まれる架橋性高分子を含むことが、硬化時における架橋剤との反応性を高め、架橋点数を多くする上で好ましい。
分散工程に用いられる高分子ゲル分散用樹脂組成物(以下、「分散用樹脂組成物」という場合がある)は、硬化することにより高分子ゲルを固定することができるものであれば特に制限されないが、前記本発明の高分子ゲル組成物に含まれる架橋性高分子を含むことが、硬化時における架橋剤との反応性を高め、架橋点数を多くする上で好ましい。
分散用樹脂組成物に高分子ゲルを分散させるには、通常の攪拌方法を用いて行うことができるが、この場合、高分子ゲルは水などの分散媒に分散した状態で分散用樹脂組成物に加えることが、高分子ゲルを樹脂組成物中に均一に分散させる上で好ましい。前記高分子ゲルの分散液における固形分濃度は0.01〜10質量%の範囲とすることが好ましい。
(硬化準備工程)
次いで、前記高分子ゲル分散組成物に所望量の架橋剤を加え高分子ゲル硬化性組成物とする。加える架橋剤の好ましい種類、添加量は、前記本発明の高分子ゲル組成物において説明した内容と同様である。
架橋剤を加えた後、架橋剤が均一に分散するように、攪拌機を用いて攪拌を行うことが好ましい。
次いで、前記高分子ゲル分散組成物に所望量の架橋剤を加え高分子ゲル硬化性組成物とする。加える架橋剤の好ましい種類、添加量は、前記本発明の高分子ゲル組成物において説明した内容と同様である。
架橋剤を加えた後、架橋剤が均一に分散するように、攪拌機を用いて攪拌を行うことが好ましい。
(硬化工程)
次に、上記高分子ゲル硬化性組成物を、基材(基板)上に塗布あるいは少なくとも2枚の基板間により形成された空間に注入することにより、層状として形成し、これを熱、光、電子線や放射線などの硬化方法を用いて硬化することにより刺激応答性高分子ゲルが硬化樹脂組成物中に固定された高分子ゲル組成物を得ることができる。
次に、上記高分子ゲル硬化性組成物を、基材(基板)上に塗布あるいは少なくとも2枚の基板間により形成された空間に注入することにより、層状として形成し、これを熱、光、電子線や放射線などの硬化方法を用いて硬化することにより刺激応答性高分子ゲルが硬化樹脂組成物中に固定された高分子ゲル組成物を得ることができる。
なお、前記硬化方法としては、光や電子線等の放射線を照射する方法が、前記塗布層中に含まれる液体を蒸発させることなく短時間で硬化可能なため特に好ましい。また、微粒子状の刺激応答性高分子ゲルを用いる場合には、分散液に界面活性剤等の分散剤を添加し、前記刺激応答性高分子ゲルを前記分散液中に良く分散させておくことが好ましい。
基板間に高分子ゲル硬化性組成物を注入し、高分子ゲル固定用樹脂組成物を硬化させる方法によって高分子ゲル組成物を作製する場合には、スペーサーを利用して基板間の厚みを保持しておくことが好ましい。スペーサーとしてはガラスビーズやポリスチレンビーズなどの粒子、又は基板上に配置された凹凸部などを用いることができる。基板上の凹凸は例えば、基板上に硬化性の樹脂を印刷、硬化させることなどによって作製することができる。
高分子ゲル硬化性組成物の塗布方法としては、公知の塗布方法を用いることができ、例えば、ロールコーティング法、グラビアコーティング法、キャストコーティング法、スプレーコーティング法、リバースコーティング法、ディップコーティング法、ブレードコーティング法、コンマコーティング法などを用いることができるが、これらに限定されるものではない。
高分子ゲル硬化性組成物中に含まれる高分子ゲル固定用樹脂組成物と刺激応答性高分子ゲルとの組成比は、その質量比[(高分子ゲル固定用樹脂組成物+液体)/(刺激応答性高分子ゲル+液体)]で、1/30〜30/1の範囲内であることが好ましい。さらに、前記質量比は、1/10〜1/1の範囲内がより好ましい。なお、前記質量比を表す式中の「液体」とは、高分子ゲル組成物中に含まれる全ての液体を意味する。1/30以下になると所望の光学特性が得られない恐れがあり、30/1以上になると高分子ゲル組成物の物理的強度が得られないことがある。
このようにして得られる高分子ゲル組成物の具体的な構成の一例について、既述した図1を利用して以下に説明する。
図1に示したようなフィルム状に形成された高分子ゲル組成物3の厚みは特に限定されないが、1μm〜3mmの範囲内が好ましく、20μm〜1000μmの範囲内がより好ましい。厚みが、1μmよりも薄くなると機械的な強度が弱くなる場合や、厚み方向の光路長が短いために所望の光学濃度が得られないなどの問題が生じる場合があり、3mmよりも厚くなると高分子ゲル組成物3中に含まれる刺激応答性高分子ゲル1の応答性が悪くなる場合や、刺激応答性高分子ゲル1が厚み方向に必要以上に積層してしまい、十分な透過率が得られないなどの問題が生じる場合がある。
また、フィルム状に形成した高分子ゲル組成物の表面には、その目的に応じてさらに保護層、紫外線吸収層、蒸発防止層などを設けることができる。
図1に示したようなフィルム状に形成された高分子ゲル組成物3の厚みは特に限定されないが、1μm〜3mmの範囲内が好ましく、20μm〜1000μmの範囲内がより好ましい。厚みが、1μmよりも薄くなると機械的な強度が弱くなる場合や、厚み方向の光路長が短いために所望の光学濃度が得られないなどの問題が生じる場合があり、3mmよりも厚くなると高分子ゲル組成物3中に含まれる刺激応答性高分子ゲル1の応答性が悪くなる場合や、刺激応答性高分子ゲル1が厚み方向に必要以上に積層してしまい、十分な透過率が得られないなどの問題が生じる場合がある。
また、フィルム状に形成した高分子ゲル組成物の表面には、その目的に応じてさらに保護層、紫外線吸収層、蒸発防止層などを設けることができる。
次に、高分子ゲル組成物の動作について、図2を用いて説明する。
既述したように、高分子ゲル組成物3は、硬化樹脂組成物2中の刺激応答性高分子ゲル1が、外部刺激によって、不図示の吸脱液体を吸収・放出し、図2(a)に例示するように膨潤し、あるいは、図2(b)に例示するように収縮して、体積変化を引き起こすことができる。そしてこの際の体積変化に応じて、光の透過性等が、散乱や回折によって変化する。
既述したように、高分子ゲル組成物3は、硬化樹脂組成物2中の刺激応答性高分子ゲル1が、外部刺激によって、不図示の吸脱液体を吸収・放出し、図2(a)に例示するように膨潤し、あるいは、図2(b)に例示するように収縮して、体積変化を引き起こすことができる。そしてこの際の体積変化に応じて、光の透過性等が、散乱や回折によって変化する。
また、刺激応答性高分子ゲル1に、飽和吸収濃度又は飽和散乱濃度以上の調光用材料を含有させた場合は、刺激応答性高分子ゲル1の体積変化に応じて光の吸収効率が変化し、光学濃度を変化させることができる。具体的には高分子ゲル1の膨潤時には光学濃度が高くなり、収縮時には光学濃度が低くなる。
<光学素子>
上記のような光学的特性を有する本発明に係わる高分子ゲル組成物は、調光素子、表示素子などの光学素子として利用することができる。
上記のような光学的特性を有する本発明に係わる高分子ゲル組成物は、調光素子、表示素子などの光学素子として利用することができる。
高分子ゲル組成物は、図1に示したようなフィルム状以外にも、繊維状など様々な構造体として利用することができる。特にフィルム状の高分子ゲル組成物を利用する場合には、種々のフィルム基材(基板)上あるいは複数枚のフィルム基材(基板)間に高分子ゲル組成物を特定の厚みで形成することで、安定かつ耐久性に優れる調光フィルムを得ることができる。
以下に、本発明の光学素子の具体例について図を用いて説明する。
以下に、本発明の光学素子の具体例について図を用いて説明する。
図3は、本発明の光学素子の一例を示す模式断面図であり、具体的にはフィルム状の高分子ゲル組成物を2枚の基材(基板)間に挟持した光学素子の模式断面図を示したものである。図4は、本発明の光学素子の他の例を示す模式断面図であり、図3に示す光学素子の端面を封止材により封止した構成を有する光学素子の模式断面図を示したものである。
図3及び図4中、1〜3は図1及び図2中と同様であり、符号4及び4’は基材(基板)を表し、10及び20は光学素子(調光フィルム)を表す。また、図4中、5は封止材を表す。
基材4、4’としては、例えばガラスなどの透明基板を用いることができるが、可とう性のあるフィルム基板を用いた場合には、可とう性のある光学素子(調光フィルム)10及び20を得ることができる。なお、基材4、4’上には保護層、吸脱液体の蒸発防止層など他の構成層が形成させていても構わない。なお、図4に示す封止材5は、必要に応じて設けることが好ましいが、図3に示す光学素子10のように、封止材5を有さないものであってもよい。
基材4、4’としては、ポリエステル、ポリイミド、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリカーボネート、ポリエーテルスルフォン、セルロース誘導体、シリコーン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリアセタール系樹脂などの高分子のフィルムや板状基板、ガラス基板、金属基板、セラミック基板などの無機基板を使用することができる。
本発明の高分子ゲル組成物をフィルム状にして用いる場合の基材となるフィルム基材としては、ポリエステル、ポリイミド、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリカーボネート、ポリエーテルスルフォン、セルロース誘導体、フッ素樹脂、シリコーン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリアセタール系樹脂、金属フィルムなどが使用できる。図3及び図4に示す光学素子10及び20において、基材4、4’の厚みは、10μm〜10mmの範囲内から選択され、高分子ゲル組成物3の厚みは5μm〜10mmの範囲から選択されることが好ましい。
なお、基材4あるいは基材4’の少なくともいずれか一方は光学的に透明であることが必要である。また、光学素子10及び20が、透過型光学素子である場合には、基材4及び基材4’は透明であるこが好ましい。基材4、4’の厚みや大きさは、特に限定されないが、光学素子10や光学素子20を用いて作製される表示素子のサイズに合わせて様々なものが利用でき、厚みに関しては、10μmから20mmの範囲内が好ましい。
本発明の光学素子は、例えば気温の変化、太陽光量の変化などの自然エネルギーによって調光や表示を行うことができるが、刺激付与手段を設けることで、能動的に調光することもできる。この場合、刺激付与手段は高分子ゲルに実質的に既述したような外部刺激を付与するものであり、通電発熱抵抗体のほかに光付与、電磁波付与、磁場付与などの各種熱付与手段が挙げられる。なかでも特に通電発熱抵抗体が好ましく適用され、具体的にはNi−Cr合金などに代表される金属層、硼化タンタル、窒化タンタル、酸化タンタル、やITOなどの金属酸化物層、カーボン層などに代表される発熱抵抗体層が好ましく用いられ、これらの層に配線し電流を付与することにより発熱させることができる。またその他にも、光付与の場合は、レーザー、LED、ELなどの発光素子層を用いること、磁界や電磁波の付与は電磁コイル、電極等を設けることで実現できる。
また、前記熱刺激付与手段としては、パターン化、セグメント化させて任意の部位を調光させる態様とすることも好ましい。さらに、これらのパターンに対応して特定の特性を有する高分子ゲルを分散させた高分子ゲル組成物を配置してもよい。
また、本発明の光学素子は、図3や図4に示した構成のみに限定されるものではなく、図3や図4に示す高分子ゲル組成物3や基材4、4’以外の様々な構成を有してもよい。例えば、光学素子の保護を目的とした保護層、防汚染層、反射防止層、紫外線吸収層、帯電防止層、内部液体の蒸発防止層などを必要に応じて設けることができる。
以上、本発明の好ましい実施の形態を説明したが、本発明はその要旨の範囲内で、様々な変形や変更が可能である。
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
<実施例1〜2>
(高分子ゲル組成物の作製)
−高分子ゲル分散用樹脂組成物の調製−
重量平均分子量250000のポリアクリル酸の30質量%水溶液:20gに対し、メタクリル酸グリシジル0.5gを加え、室温で24時間攪拌し反応させることで架橋性高分子を合成した。この重合体の溶液に対して、光開始剤(チバスペシャリティケミカル製、イルガキュア2959)0.8gと純水60gとを加え、分散用樹脂組成物Aを調製した。
<実施例1〜2>
(高分子ゲル組成物の作製)
−高分子ゲル分散用樹脂組成物の調製−
重量平均分子量250000のポリアクリル酸の30質量%水溶液:20gに対し、メタクリル酸グリシジル0.5gを加え、室温で24時間攪拌し反応させることで架橋性高分子を合成した。この重合体の溶液に対して、光開始剤(チバスペシャリティケミカル製、イルガキュア2959)0.8gと純水60gとを加え、分散用樹脂組成物Aを調製した。
上記架橋性官能基としてビニル基を含む架橋性高分子中の、架橋性官能基(ビニル基)の官能基量を有機元素分析器にて架橋性官能基反応後の炭素増加分より求めたところ、3モル/gであった。
−刺激応答性高分子ゲル粒子の作製−
色材を含有した刺激応答性(高温膨潤型)高分子ゲル粒子aを、以下のようなプロセスにより製造した。
アクリルアミド1.0gと、架橋剤としてのメチレンビスアクリルアミド1.0mg、蒸留水0.575gと、色材としての青色顔料(大日本インキ社製マイクロカプセル化青色顔料、MC blue 182−E)13.5質量%の水分散液3.425gと、を攪拌混合した水溶液Bを調製した。
色材を含有した刺激応答性(高温膨潤型)高分子ゲル粒子aを、以下のようなプロセスにより製造した。
アクリルアミド1.0gと、架橋剤としてのメチレンビスアクリルアミド1.0mg、蒸留水0.575gと、色材としての青色顔料(大日本インキ社製マイクロカプセル化青色顔料、MC blue 182−E)13.5質量%の水分散液3.425gと、を攪拌混合した水溶液Bを調製した。
ソルビトール系界面活性剤(ソルゲン50、第一工業製薬(株)製)2.375gをトルエン300mlに溶解した溶液を窒素置換された反応容器に加え、これに、先に調製した水溶液Bを添加し、回転式攪拌装置を用いて1200rpmで30分攪拌して懸濁させ、懸濁液Bを得た。得られた懸濁液Bをフラスコ中に入れ、窒素置換により酸素を除いた後、重合開始剤である過硫酸アンモニウム0.004gを水0.5mlに溶解したものを添加し、70℃に加熱して3時間、重合を行った。重合終了後、大量のアセトンで洗浄することで精製を行い、さらに乾燥させて、色材を含有したアクリルアミドゲルの粒子を得た。
次に、アクリル酸1.5g、蒸留水5.5gを混合し、窒素置換後、これに過硫酸アンモニウム0.006gを水0.5gに溶解したものを添加し、混合液を得た。この混合液に上記得られたアクリルアミドゲルの粒子0.5gを加えて70℃に加熱し、3時間重合を行いセミIPN高分子ゲル粒子を調製した。
得られたセミIPN高分子ゲル粒子(アクリル酸−アクリルアミド相互侵入網目構造体ゲル粒子)を大量の蒸留水中に投入し、加熱及び冷却を行いゲル粒子を膨潤、収縮させ、これをろ過する操作を繰り返すことで精製を行った。得られたIPN高分子ゲル粒子aの乾燥時の体積平均粒子径を粒度分布計(SALD−2200、(株)島津製作所製)により確認したところ、約15μmであった。
得られたセミIPN高分子ゲル粒子(アクリル酸−アクリルアミド相互侵入網目構造体ゲル粒子)を大量の蒸留水中に投入し、加熱及び冷却を行いゲル粒子を膨潤、収縮させ、これをろ過する操作を繰り返すことで精製を行った。得られたIPN高分子ゲル粒子aの乾燥時の体積平均粒子径を粒度分布計(SALD−2200、(株)島津製作所製)により確認したところ、約15μmであった。
このIPN高分子ゲル粒子aを、大量の純水に加えて膨潤させた。このIPN高分子ゲル粒子の10℃における平衡膨潤時の吸水量は約3g/gであった。ところが、これを50℃に加熱するとさらに膨潤し、約80g/gの吸水量を示すことがわかった。この相転移点は30〜40℃の温度範囲にあった。つまり、相転移点よりも高温では膨潤し、低温では収縮する。この変化は可逆的であり、収縮時に比べ膨潤時の高分子ゲル粒子の粒子径が約3倍まで変化し、すなわち、体積で約27倍の変化が得られた。
−高分子ゲル分散組成物、高分子ゲル硬化性組成物の調製−
先に作製した分散用樹脂組成物Aに、蒸留水、プロピレングリコール、さらに先に作製した刺激応答性高分子ゲル粒子aを一定濃度含む水分散液(ゲルの固形分濃度:2.5質量%)を加え、ゲル濃度が1.5質量%、樹脂濃度が1.5質量%、プロピレングリコール濃度が20質量%になるよう希釈した。さらに水酸化ナトリウム水溶液を少量加え、pHが3.8になるようにして高分子ゲル分散組成物を調製した(分散工程)。
先に作製した分散用樹脂組成物Aに、蒸留水、プロピレングリコール、さらに先に作製した刺激応答性高分子ゲル粒子aを一定濃度含む水分散液(ゲルの固形分濃度:2.5質量%)を加え、ゲル濃度が1.5質量%、樹脂濃度が1.5質量%、プロピレングリコール濃度が20質量%になるよう希釈した。さらに水酸化ナトリウム水溶液を少量加え、pHが3.8になるようにして高分子ゲル分散組成物を調製した(分散工程)。
このようにして作製した高分子ゲル分散組成物に対し、表1に示した種々の架橋剤を後から添加し、その後、この分散液を遊星式攪拌機(倉敷紡績(株)製KK−100)で10分間分散して均一に分散して、高分子ゲル硬化性組成物を得た(硬化前準備工程)。
−高分子ゲル組成物の作製−
各高分子ゲル硬化性組成物をブレードコーターを用いてPET基板上に厚さ150μmに成形し、もう一枚のPETフィルムでラミネートした。これに紫外線照射(高圧水銀灯、160W/cm、120秒間照射)を行い硬化して高分子ゲル組成物とした(硬化工程)。さらに、周囲を熱可塑性の感光性のアクリル系接着剤(日本化薬製、KAYARAD R381I)で周囲を封止し、高分子ゲル組成物評価用の試料を作製した。
各高分子ゲル硬化性組成物をブレードコーターを用いてPET基板上に厚さ150μmに成形し、もう一枚のPETフィルムでラミネートした。これに紫外線照射(高圧水銀灯、160W/cm、120秒間照射)を行い硬化して高分子ゲル組成物とした(硬化工程)。さらに、周囲を熱可塑性の感光性のアクリル系接着剤(日本化薬製、KAYARAD R381I)で周囲を封止し、高分子ゲル組成物評価用の試料を作製した。
(評価)
−高分子ゲル分散性組成物のポットライフ−
前記各分散性分散液を、25℃で保管し、1ヶ月おきに粘度を確認した。粘度測定には、粘度計としてTV−20(東機産業製)を使用し、温度25℃、ローター回転速度100rpmの条件で測定し、作製直後の値から±10%以上粘度が変化した時点をポットライフとした。
−高分子ゲル分散性組成物のポットライフ−
前記各分散性分散液を、25℃で保管し、1ヶ月おきに粘度を確認した。粘度測定には、粘度計としてTV−20(東機産業製)を使用し、温度25℃、ローター回転速度100rpmの条件で測定し、作製直後の値から±10%以上粘度が変化した時点をポットライフとした。
−高分子ゲル組成物の温度変化による体積変化量−
作製した高分子ゲル組成物中の刺激応答性高分子ゲル粒子の温度変化による体積変化量を、顕微鏡観察にて測定し、径変化量から体積変化量を下記式(1)求めた。
体積変化量=(膨潤時体積/収縮時体積) ・・・ 式(1)
作製した高分子ゲル組成物中の刺激応答性高分子ゲル粒子の温度変化による体積変化量を、顕微鏡観察にて測定し、径変化量から体積変化量を下記式(1)求めた。
体積変化量=(膨潤時体積/収縮時体積) ・・・ 式(1)
−高分子ゲル組成物の弾性率−
硬化直後の高分子ゲル組成物について、粘弾性スペクトロメータにより、貯蔵粘弾性の評価を行った。具体的には、EXSTAR6000DMS(エスアイアイ・テクノロジー製)を用いて、引っ張りモード、昇温速度2℃/min.、周波数1Hzで測定した。
硬化直後の高分子ゲル組成物について、粘弾性スペクトロメータにより、貯蔵粘弾性の評価を行った。具体的には、EXSTAR6000DMS(エスアイアイ・テクノロジー製)を用いて、引っ張りモード、昇温速度2℃/min.、周波数1Hzで測定した。
−高分子ゲル組成物の耐久性−
直径15mm、容量8mlのスクリューバイアルに、各高分子ゲル硬化性組成物を4mlずつ加え、上部および側部から紫外線照射(高圧水銀灯、160W/cm、60秒間×2回の照射)を行い硬化し、保存安定性評価用試料とした。
まず、作製した試料を80℃の環境で500時間保管し、その後バイアル瓶を倒立させた場合における、高分子ゲル組成物の耐熱強度を下記式(2)により求めた。なお、下記式において、「ゲル組成物の長さ」とはバイアル瓶中の高分子ゲル組成物の深さ方向の距離(瓶底部からゲルの最端部までの長さ)をいう。
耐熱強度=(加熱後における変形したゲル組成物の長さ)/(ゲル組成物の初期長さ) ・・・ 式(2)
直径15mm、容量8mlのスクリューバイアルに、各高分子ゲル硬化性組成物を4mlずつ加え、上部および側部から紫外線照射(高圧水銀灯、160W/cm、60秒間×2回の照射)を行い硬化し、保存安定性評価用試料とした。
まず、作製した試料を80℃の環境で500時間保管し、その後バイアル瓶を倒立させた場合における、高分子ゲル組成物の耐熱強度を下記式(2)により求めた。なお、下記式において、「ゲル組成物の長さ」とはバイアル瓶中の高分子ゲル組成物の深さ方向の距離(瓶底部からゲルの最端部までの長さ)をいう。
耐熱強度=(加熱後における変形したゲル組成物の長さ)/(ゲル組成物の初期長さ) ・・・ 式(2)
上記耐熱強度の結果から、高分子ゲル組成物の耐久性を評価し、耐熱強度が1.2未満となる条件での総合評価により判定した
以上結果をまとめて表1に示す。
以上結果をまとめて表1に示す。
<実施例3>
(刺激応答性高分子ゲル粒子bの作製)
感熱応答性の高分子ゲル粒子bを以下のようなプロセスにより製造した。
N−イソプロピルアクリルアミド 3.5758g、メチレンビスアクリルアミド 0.0072g及びマイクロカプセル化カーボンブラック分散液(大日本インキ化学製、MC black 082−E、顔料分:14.3質量%)8.21gに、水 19.1630gを加えた溶液に15分間窒素を通し溶存酸素を除いた。この溶液に対して、過硫酸アンモニウム29.9mgを0.5106gの水に溶解した溶液を加えて攪拌し均一に溶解させた。
(刺激応答性高分子ゲル粒子bの作製)
感熱応答性の高分子ゲル粒子bを以下のようなプロセスにより製造した。
N−イソプロピルアクリルアミド 3.5758g、メチレンビスアクリルアミド 0.0072g及びマイクロカプセル化カーボンブラック分散液(大日本インキ化学製、MC black 082−E、顔料分:14.3質量%)8.21gに、水 19.1630gを加えた溶液に15分間窒素を通し溶存酸素を除いた。この溶液に対して、過硫酸アンモニウム29.9mgを0.5106gの水に溶解した溶液を加えて攪拌し均一に溶解させた。
75mm径の3枚羽根の攪拌翼を取り付けた2Lのセパラブルフラスコに、6.00gのソルゲン50を含むシクロヘキサン溶液1.2Lを入れ、さらに、先に調整したN−イソプロピルアクリルアミドの顔料分散液を加え、窒素を流してフラスコ内部全体を窒素置換した。ウォーターバスを用いてこのフラスコ全体を25℃に保ち、攪拌翼を800rpmで15分間回転させて水相をシクロヘキサン中に懸濁、分散させた。攪拌翼の回転数を250rpmにして、この分散液に対して0.8mlのテトラメチルエチレンジアミンを含むシクロヘキサン溶液3.2mlを加えて反応を開始させ、25℃に保ったまま250rpmで2時間重合した。得られた重合体の粒子を、ジメチルホルムアミド、水で十分に洗浄して感熱応答性の高分子ゲルbを作製した。
合成した高分子ゲル粒子bは、室温(25℃,膨潤状態)での体積平均粒径が20μmであった。この刺激応答性高分子ゲル粒子bは、約34℃に相転移温度を有していた。すなわちこの高分子ゲル粒子は、相転移点よりも高い温度では収縮し、低い温度では膨潤し、またその体積変化量は約15倍であった。
(高分子ゲル分散組成物、高分子ゲル硬化性組成物の調製)
高分子ゲル粒子bの水分散液(固形分濃度:2.0質量%)に対し、ポリビニルアルコール(信越化学製、ポバールC−25GP、重量平均分子量:110000)の7質量%水溶液を加え、ゲル濃度が1.5質量%、ポリビニルアルコール濃度が1.5質量%となるように希釈し、これに光開始剤(チバスペシャリティケミカル製、イルガキュア2959)4質量%を加え、高分子ゲル分散組成物を調製した。
なお、上記ポリビニルアルコールビニル基量は、ほぼゼロであった。
高分子ゲル粒子bの水分散液(固形分濃度:2.0質量%)に対し、ポリビニルアルコール(信越化学製、ポバールC−25GP、重量平均分子量:110000)の7質量%水溶液を加え、ゲル濃度が1.5質量%、ポリビニルアルコール濃度が1.5質量%となるように希釈し、これに光開始剤(チバスペシャリティケミカル製、イルガキュア2959)4質量%を加え、高分子ゲル分散組成物を調製した。
なお、上記ポリビニルアルコールビニル基量は、ほぼゼロであった。
この高分子ゲル分散組成物に対し、さらに、表1に示した架橋剤(メタクリル酸グリシジル(GMA)およびメチレンビスアクリルアミド(MBA))を添加し、その後、遊星式攪拌機(倉敷紡績(株)製KK−100)で10分間分散して均一に分散して、高分子ゲル硬化性組成物を得た。
上記高分子ゲル分散組成物、高分子ゲル硬化性組成物について、実施例1と同様にして硬化反応を行い、同様の評価を行った。
結果を表1に示す。
結果を表1に示す。
<比較例1>
実施例1において調製した高分子ゲル分散用樹脂組成物に、蒸留水、プロピレングリコール、さらに刺激応答性高分子ゲル粒子aを一定濃度含む水分散液(ゲルの固形分濃度:2.5質量%)を加え、ゲル濃度が1.5質量%、樹脂濃度が5.0質量%、プロピレングリコール濃度が20質量%になるよう希釈した。さらに、水酸化ナトリウム水溶液を少量加え、pH3.8になるように調製した。
その後、この高分子ゲル分散液を遊星式攪拌機(倉敷紡績(株)製KK−100)で10分間分散して、高分子ゲル粒子を溶液中に均一に分散して高分子ゲル分散組成物を得た。
実施例1において調製した高分子ゲル分散用樹脂組成物に、蒸留水、プロピレングリコール、さらに刺激応答性高分子ゲル粒子aを一定濃度含む水分散液(ゲルの固形分濃度:2.5質量%)を加え、ゲル濃度が1.5質量%、樹脂濃度が5.0質量%、プロピレングリコール濃度が20質量%になるよう希釈した。さらに、水酸化ナトリウム水溶液を少量加え、pH3.8になるように調製した。
その後、この高分子ゲル分散液を遊星式攪拌機(倉敷紡績(株)製KK−100)で10分間分散して、高分子ゲル粒子を溶液中に均一に分散して高分子ゲル分散組成物を得た。
上記高分子ゲル分散組成物について、実施例1と同様にして硬化反応を行い、同様の評価を行った。
結果を表1に示す。
結果を表1に示す。
<比較例2>
(高分子ゲル分散用樹脂組成物の調製)
重量平均分子量が250000のポリアクリル酸の30質量%水溶液20gに対し、メタクリル酸グリシジル2.0gを加え、室温で24時間攪拌し反応させることで架橋性高分子を合成した。この溶液に対して光開始剤(チバスペシャリティケミカル製 イルガキュア2959)を0.8gと純水60gとを加え、分散用樹脂組成物Bを調製した。
上記架橋性高分子中のビニル基量は10モル%であった。
(高分子ゲル分散用樹脂組成物の調製)
重量平均分子量が250000のポリアクリル酸の30質量%水溶液20gに対し、メタクリル酸グリシジル2.0gを加え、室温で24時間攪拌し反応させることで架橋性高分子を合成した。この溶液に対して光開始剤(チバスペシャリティケミカル製 イルガキュア2959)を0.8gと純水60gとを加え、分散用樹脂組成物Bを調製した。
上記架橋性高分子中のビニル基量は10モル%であった。
−高分子ゲル分散組成物、高分子ゲル硬化性組成物の調製−
高分子ゲル分散用樹脂組成物Bに、蒸留水、プロピレングリコール、さらに実施例1で調製した刺激応答性高分子ゲル粒子aを一定濃度含む水分散液(ゲルの固形分濃度:2.5質量%)を加え、ゲル濃度が1.5質量%、樹脂濃度が1.5質量%、プロピレングリコール濃度が20質量%になるよう希釈した。さらに、水酸化ナトリウム水溶液を少量加え、pH3.8になるように調製した。
その後、この高分子ゲル分散液を遊星式攪拌機(倉敷紡績(株)製KK−100)で10分間分散して、高分子ゲル粒子を溶液中に均一に分散して高分子ゲル分散組成物を得た。
高分子ゲル分散用樹脂組成物Bに、蒸留水、プロピレングリコール、さらに実施例1で調製した刺激応答性高分子ゲル粒子aを一定濃度含む水分散液(ゲルの固形分濃度:2.5質量%)を加え、ゲル濃度が1.5質量%、樹脂濃度が1.5質量%、プロピレングリコール濃度が20質量%になるよう希釈した。さらに、水酸化ナトリウム水溶液を少量加え、pH3.8になるように調製した。
その後、この高分子ゲル分散液を遊星式攪拌機(倉敷紡績(株)製KK−100)で10分間分散して、高分子ゲル粒子を溶液中に均一に分散して高分子ゲル分散組成物を得た。
上記高分子ゲル分散組成物について、実施例1と同様にして硬化反応を行い、同様の評価を行った。
結果を表1にまとめて示す。
結果を表1にまとめて示す。
表1の結果から、実施例1〜3に示したように、高分子ゲル分散組成物に架橋剤を後から添加した場合、耐熱性が向上し粘性の低下が抑制されているにも拘らず、刺激応答性高分子ゲルの体積変化特性は高い状態を維持していることがわかる。また、高分子ゲル分散組成物の保存安定性も十分であり、製造上の取り扱いも問題となることはなかった。
一方、硬化樹脂組成物の強度を高めるため、架橋剤を用いず樹脂組成物濃度を高めた場合(比較例1)、刺激応答性ゲルは収縮したままの状態となり、温度変化による体積変化特性をほとんど示さず、体積変化量が大きく低下した。さらに、樹脂組成物に含まれる架橋性高分子の官能基濃度を高めた場合(比較例2)、高分子ゲル分散組成物の安定性が低下し、保存期間が短くなるとともに、調光素子作製中での品質がばらつくといった問題が起こった。
これらの結果は、高分子ゲル分散組成物に、架橋剤を後から添加することで、高分子ゲル分散組成物の保存安定性を保ったまま、刺激応答性高分子ゲルの体積変化特性を損なうことがなく、優れた耐久性(粘性の向上)を得ることができることを示している。
1 高分子ゲル
2 硬化樹脂組成物(高分子ゲル固定用樹脂組成物)
3 高分子ゲル組成物
4 基材(基板)
5 封止材
10、20 光学素子(調光フィルム)
2 硬化樹脂組成物(高分子ゲル固定用樹脂組成物)
3 高分子ゲル組成物
4 基材(基板)
5 封止材
10、20 光学素子(調光フィルム)
Claims (12)
- 液体を吸収・放出して体積変化する刺激応答性高分子ゲルと、該刺激応答性高分子ゲルを分散・固定するための高分子ゲル固定用樹脂組成物とを有し、該高分子ゲル固定用樹脂組成物が、重量平均分子量が100,000以上の架橋性高分子と、架橋剤とを含むことを特徴とする高分子ゲル組成物。
- 前記高分子ゲル固定用樹脂組成物の硬化後の貯蔵弾性率が、振動数1Hzの時に1Pa以上106Pa以下であることを特徴とする請求項1に記載の高分子ゲル組成物。
- 前記架橋剤が、前記架橋性高分子における架橋性構造と異なる架橋性構造を有することを特徴とする請求項1に記載の高分子ゲル組成物。
- 前記高分子ゲル固定用樹脂組成物が、構造の異なる複数の架橋剤を含むことを特徴とする請求項1に記載の高分子ゲル組成物。
- 前記架橋剤が、メチレンビスアクリルアミド(MBA)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)及び2−ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)から選択される1種以上であることを特徴とする請求項1に記載の高分子ゲル組成物。
- 前記刺激応答性高分子ゲルが、相互侵入網目構造(IPN)高分子ゲルであることを特徴とする請求項1に記載の高分子ゲル組成物。
- 一対の基板と、該一対の基板間に挟持された高分子ゲル組成物と、を有する光学素子であって、
前記高分子ゲル組成物が、請求項1〜6のいずれか1項に記載の高分子ゲル組成物であることを特徴とする光学素子。 - 高分子ゲル分散用樹脂組成物に、液体を吸収・放出して体積変化する刺激応答性高分子ゲルを分散させて高分子ゲル分散組成物とする分散工程と、該高分子ゲル分散組成物に架橋剤を添加して高分子ゲル硬化性組成物とする硬化準備工程と、該高分子ゲル硬化性組成物を硬化させる硬化工程と、を含むことを特徴とする高分子ゲル組成物の製造方法。
- 前記高分子ゲル固定用樹脂組成物が、重量平均分子量が100,000以上の架橋性高分子を含むことを特徴とする請求項8に記載の高分子ゲル組成物の製造方法。
- 前記架橋剤が、前記架橋性高分子における架橋性構造と異なる架橋性構造を有することを特徴とする請求項8に記載の高分子ゲル組成物の製造方法。
- 前記高分子ゲル固定用樹脂組成物が、構造の異なる複数の架橋剤を含むことを特徴とする請求項8に記載の高分子ゲル組成物の製造方法。
- 前記架橋剤が、メチレンビスアクリルアミド(MBA)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)及び2−ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)から選択される1種以上であることを特徴とする請求項8に記載の光高分子ゲル組成物の製造方法。
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JP2005342610A JP2007146000A (ja) | 2005-11-28 | 2005-11-28 | 高分子ゲル組成物及びその製造方法、光学素子 |
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Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010111821A (ja) * | 2008-11-10 | 2010-05-20 | Mitsubishi Rayon Co Ltd | オルガノゲルおよびその製造方法 |
JP2011208136A (ja) * | 2010-03-11 | 2011-10-20 | Kuraray Co Ltd | 架橋性組成物、架橋物及びその製造方法、並びに多層構造体 |
JP2013544929A (ja) * | 2010-11-08 | 2013-12-19 | モアシス アイエヌシー. | ゲルおよびヒドロゲル |
JP2015089942A (ja) * | 2013-11-07 | 2015-05-11 | ゼロックス コーポレイションXerox Corporation | 熱によってスイッチング可能な組成物 |
CN107922729A (zh) * | 2015-08-31 | 2018-04-17 | 富士胶片株式会社 | 水分散物及其制造方法、以及图像形成方法 |
-
2005
- 2005-11-28 JP JP2005342610A patent/JP2007146000A/ja not_active Withdrawn
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US9850379B2 (en) | 2010-11-08 | 2017-12-26 | Naihong Li | Gels and hydrogels |
JP2015089942A (ja) * | 2013-11-07 | 2015-05-11 | ゼロックス コーポレイションXerox Corporation | 熱によってスイッチング可能な組成物 |
CN107922729A (zh) * | 2015-08-31 | 2018-04-17 | 富士胶片株式会社 | 水分散物及其制造方法、以及图像形成方法 |
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