JP2015089942A - 熱によってスイッチング可能な組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】熱によってスイッチング可能な組成物を提供する。
【解決手段】刺激応答性ポリマーと、ベースポリマーと、触媒とを含み、活性化温度まで加熱すると、刺激応答性ポリマーの表面自由エネルギーが、第1の表面自由エネルギー状態から第2の表面自由エネルギー状態へと可逆的に調節され、ベース組成物は、白金触媒を含まない、組成物。
【選択図】なし

Description

本開示は、熱によってスイッチング可能な組成物、および熱によってスイッチング可能な組成物を製造する方法に関する。
材料開発のための従来の手法は、高い性能を有する材料を設計することであった。優れた材料は、一般的に、ある機能を発揮するように設計されている。問題の1つは、ある特性、例えば、表面への基材の付着を最大限にすると、他の特性、例えば、表面からの基材の剥離に影響を及ぼすことである。これらの問題に対する解決策は、一般的に、それぞれの特性を独立して制御するという期待が持てるさらなる要素を加えることに集中していた。しかし、多くの場合に、さらなる要素が、組成物中の他の材料と相互作用するため、異なる特性に悪影響を与える。
さらに、多くの異なる特殊な要素を加えることは、なぜ今日の製品および部品が非常に複雑な材料のセットで作られているかの説明になる。しかし、非常に複雑な製品は、故障しやすく、費用が高く、顕著な廃棄物を生成する。
スイッチング可能な表面は、刺激、例えば、熱によって活性化されるときに異なる物理特性を有する2つの状態間で変化するという固有の特性を有する。このスイッチングは、制御可能であり、可逆性である。異なる状態間のスイッチングは、組成物の物理特性の変化と関連がある。例えば、組成物の表面自由エネルギーをスイッチングさせる能力は、例えば、異なる組成の表面に基材を付着させ、剥離するといった特性の制御と関連がある。
スイッチングさせる能力は最終的にスイッチングに関与するスイッチング可能な材料を組み込むことによって実現される。スイッチング可能な材料で作られる製品は、必要な要素の数が少なく、したがって、もっと信頼性が高く、費用が安く、廃棄物が減る。
上述の観点で、スイッチング可能な材料を組み込み、改良された組成物を開発することが必要である。本開示の焦点は、熱によって活性化されたとき、濡れ性(言い換えると、表面自由エネルギー)を変えることが可能な表面にある。
本開示は、刺激応答性ポリマーと、ベースポリマーと、触媒とを含み、活性化温度まで加熱すると、刺激応答性ポリマーの表面自由エネルギーが、第1の表面自由エネルギー状態から第2の表面自由エネルギー状態へと可逆的に調節され、ベース組成物は、白金触媒を含まない、組成物を記載する。
本開示は、さらに、ポリマー組成物を調製する方法も記載し、この方法は、刺激応答性ポリマー、ベースポリマーおよび触媒を混合して混合物を作成することを含み、活性化温度まで加熱すると、刺激応答性ポリマーの表面自由エネルギーが、第1の表面自由エネルギー状態から第2の表面自由エネルギー状態へと可逆的に調節され、触媒は、白金触媒ではない。
本開示は、さらに、シリコーンポリマー、触媒、刺激応答性ポリマーを含む組成物の表面自由エネルギーを調節する方法を記載し、この方法は、組成物を活性化温度まで加熱することを含み、触媒は、白金触媒ではなく、組成物の表面自由エネルギーの調節は可逆的である。
図1は、2工程印刷プロセスの模式図である。 図2は、下側臨界溶液温度(LCST)より上および下のポリ(n−イソプロピルアクリルアミド)ポリマーの水素結合の差を示す図である。 図3は、大きな接触角値と小さな接触角値との間を連続的に一貫してスイッチング可能な水滴の接触角を示すグラフである。
本明細書で使用する場合、量と組み合わせて使用する「約」という修飾語は、述べられている値を含み、その内容によって示される意味を有する(例えば、特定の量の測定値と関係がある程度の誤差を少なくとも含む)。ある範囲という観点で使用するとき、「約」という修飾語は、2つの終点の絶対値によって規定される範囲を開示しているとも考えるべきである。例えば、「約2〜約4」という範囲は、「2〜4」の範囲も開示する。
「炭化水素」および「アルカン」という用語は、例えば、一般式C2n+2を有する分枝鎖分子および非分枝鎖分子を指し、ここで、nは、1以上、例えば、約1〜約60の数である。例示的なアルカンとしては、メタン、エタン、n−プロパン、イソプロパン、n−ブタン、イソブテン、tort−ブタン、オクタン、デカン、テトラデカン、ヘキサデカン、エイコサン、テトラコサンなどが挙げられる。アルカンは、水素原子を1個以上の官能基と置き換えることによって置換され、アルカン誘導体化合物を作成してもよい。
「官能基」という用語は、例えば、接続している基および分子の化学特性を決定する様式で配列した原子群を指す。官能基の例としては、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、カルボン酸基などが挙げられる。
「アルキル基」という用語は、例えば、直鎖または分枝鎖、飽和または不飽和、環状または非環状であり、約1〜約50個の炭素原子、例えば、約5〜約35個の炭素原子、または約6〜約28個の炭素原子を含む炭化水素基を指す。
「疎油性」という用語は、例えば、油への強い親和性をもたないことに関連する分子の物理特性を指す。水およびフルオロカーボンは、疎油性化合物の例であってもよい。「親油性」という用語は、例えば、油への親和性を有することに関連する分子の物理特性を指す。
本開示は、刺激応答性ポリマー、ベースポリマーおよび触媒を含み、活性化温度まで加熱すると、刺激応答性ポリマーの表面自由エネルギーが、第1の表面自由エネルギー状態から第2の表面自由エネルギー状態へと可逆的に調節され、ベース組成物は、白金触媒を含まない、組成物を記載する。
刺激応答性ポリマーは、刺激、例えば、熱に応答してその構造が変わる任意のポリマーであってもよい。刺激応答性ポリマーは、例えば、式(I)の単位を含んでいてもよく、
Figure 2015089942
式中、「R」および「R」は、独立して、水素、または1〜約10個の炭素原子、例えば、約1〜約6個の炭素原子を含むアルキル、または炭素数が約3〜約10のシクロアルキルであり、または、水素結合を形成可能な窒素原子が組み込まれ、3〜5個の炭素数を有するヘテロ環であってもよく、「n」は、1〜1000の数である。
しかし、R基のすべての組合せが、熱によってスイッチング可能なポリマーを与え得るわけではない。当業者は、どのR基の組合せが、熱によってスイッチング可能なポリマーを与えることができるかを決定することができる。例えば、非常に小さなアルキル基のとある組合せは、水に完全に可溶性であり、例えば、NR基がNH、NHCHおよびN(CHであるポリマーである。R基は、極性を下げすぎてしまい、熱によるスイッチングの鎖再構築が可能ではないため、その他のものは、完全に水に不溶性である。このような例としては、NR基が、NH(CHCHCHCH)、NHC(CH、N(CHCH)(CHCHCH)およびN(CHCHCHであるものが挙げられる。
Galaev、I.Y.およびB.Mattiasson、15(5)Enzyme and Microbial Technology 354(1993)から、適切なR基の具体例を表1に示し、この開示内容は、全体的に本明細書に参考として組み込まれる。
Figure 2015089942
水素および/または約6個までの炭素原子を含むアルキル基のすべての他の組合せは、熱仁応答性ではない場合がある。
式Iの単位を含んでいてもよい刺激応答性ポリマーは、例えば、ホモポリマーまたはコポリマーであってもよい。ホモポリマーでは、ホモポリマーのモノマー単位は、実質的に同じである。コポリマーでは、コポリマーのモノマー単位は、異なっていてもよい。例えば、刺激応答性ポリマーは、ポリ−(N−アルキルアクリルアミド)ポリマー、例えば、ポリ−(N−イソプロピルアクリルアミド)、ポリ−(N−エチルアクリルアミド)、ポリ−(N−n−プロピルアクリルアミド)、ポリ(N−エチル,N−メチルアクリルアミド)、ポリ(N,N−ジエチルアクリルアミド)、ポリ(N−イソプロピル,N−メチルアクリルアミド)、ポリ(N−シクロプロピルアクリルアミド)、ポリ(N−アクリロイルピロリジン)およびポリ(N−アクリロイルピペリジン)、およびこれらの混合物であってもよい。
一例では、Rは、イソプロピルであってもよく、Rは、Hであってもよく、その結果、刺激応答性ポリマーは、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)(PNIPA)(例えば、ホモポリマー)またはN−イソプロピルアクリルアミドコポリマー(NIPAM)であってもよい。PNIPAは、以下の式を有し、
Figure 2015089942
式中、nは、約3〜約1000、例えば、約5〜約500、または約10〜約300の整数であってもよい。PNIPAは、小さな温度変化に応答して、大きな表面エネルギーの変化を示す熱感受性材料である。例えば、N.Moriら、Temperature Induced Changes in the Surface Wettability of SBR+PNIPA Films、292、Macromol.Mater.Eng.917、917−22(2007)を参照(開示内容全体は、全体的に本明細書に参考として組み込まれる)。PNIPAは、側鎖に疎水性イソプロピル基を含む。32℃未満で水に可溶性であり、この臨界温度より高い温度まで加熱すると、不溶性になる。親水性状態と疎水性状態のスイッチング温度(32℃)は、下側臨界溶液温度(LCST)と呼ばれる。PNIPAポリマー膜の上に置かれた水滴の接触角は、LSCTより上および下で劇的に変化するだろう。例えば、PNIPA膜の上に置かれた水滴の接触角は、32℃未満で約60°(親水性)から、32℃を超える温度まで加熱すると、約93°を超える(疎水性)。
ポリマーがN−イソプロピルアクリルアミド(NIPAM)コポリマーである場合、アクリルアミドモノマーは、コポリマーの約30〜約100%、またはコポリマーの約30%〜約100モル%の繰り返し単位を含んでいてもよい。コポリマーの他のコモノマーは、例えば、スチレン、ビスフェノールA、アクリル酸、4−ビニルフェニルホウ酸(VPBA)、エチルメタクリレート;メチルメタクリレート(MMA)、ブチルメタクリレート(BMA)、N,N−ジエチルアミノメタクリル酸エチル(DEAEMA)、またはメタクリル酸(MAA)であってもよい。他のコモノマーは、フッ素化アクリル酸アルキルまたはフッ素化メタクリル酸アルキル、例えば、ヘキサフルオロイソプロピルメタクリレート(HFIPMA)または2,2,3,3,4,4−ヘキサフルオロブチルメタクリレート(HFBMA)であってもよい。他のコモノマーは、別のアクリルアミドモノマー、例えば、N−エチルアクリルアミド(NEAM)、N−メチルアクリルアミド(NMAM)、N−n−プロピルアクリルアミド(NNPAM)、N−t−ブチルアクリルアミド(NtBA)、またはN,N−ジメチルアクリルアミド(DMAM)であってもよい。
刺激応答性ポリマーは、例えば、式IIの単位によってあらわされるポリ(N−ビニル−カプロラクタム)を含んでいてもよく、約31℃の温度でスイッチングする。
Figure 2015089942
刺激応答性ポリマーは、例えば、式IIIによってあらわされるポリ(2−アルキル−2−オキサゾリン)を含んでいてもよく、
Figure 2015089942
式中、Rは、プロピル、イソプロピルまたはエチルから選択されるアルキル基であり、nは、上に定義したとおりである。
スイッチング温度は、Rがエチルの場合には約62℃であり、Rがイソプロピルの場合には約36℃であり、Rがn−プロピルの場合には約25℃である。
刺激応答性ポリマーは、アルキル置換セルロース、例えば、式IVによってあらわされるようなメチルセルロースを含んでいてもよく、スイッチング温度は約50℃であり、式中、nは上に定義したとおりである。
Figure 2015089942
刺激応答性ポリマーをベースポリマーと混合する。ベースポリマーは、刺激応答性ポリマーが、刺激に応答して構造を変えるのを完全には防がない任意のポリマーであってもよい。一般的な指標となる規則として、刺激応答性ポリマーとベースポリマーの混和性は制限される。制限された混和性は、例えば、ベースポリマー材料に分散した熱によってスイッチング可能なポリマーの別個のドメインを形成するコーティング組成物で作られる乾燥した膜を指す。
ベースポリマーは、例えば、シリコーン材料、例えば、フルオロシリコーンおよびシリコーンゴム、例えば、室温加硫(RTV)シリコーンゴム、高温加硫(HTV)シリコーンゴムおよび低温加硫(LTV)シリコーンゴムであってもよい。これらのゴムは既知であり、商業的に簡単に入手可能であり、例えば、SILASTIC(登録商標)735ブラックRTVおよびSILASTIC(登録商標)732 RTV(いずれもDow Corning製);106 RTV Silicone Rubberおよび90 RTV Silicone Rubber(いずれもGeneral Electric製);JCR6115CLEAR HTVおよびSE4705U HTVシリコーンゴム(Dow Corning Toray Silicones製)である。他の適切なシリコーン材料としては、シロキサン(例えば、ポリジメチルシロキサン);フルオロシリコーン(例えば、Silicone Rubber 552(Sampson Coating(リッチモンド、バージニア)から入手可能));液体シリコーンゴム、例えば、ビニル架橋した熱硬化性ゴム、またはシラノールを室温で架橋した材料などが挙げられる。別の特定の例は、Dow Corning Sylgard 182である。市販のLSRゴムとしては、Dow Corning製のDow Corning Q3−6395、Q3−6396、SILASTIC(登録商標)590 LSR、SILASTIC(登録商標)591 LSR、SILASTIC(登録商標)595 LSR、SILASTIC(登録商標)596 LSR、SILASTIC(登録商標)598 LSRが挙げられる。
ベース材料を形成するための前駆体は、例えば、重量平均分子量が1,000〜150,000の範囲の末端がシラノールのポリマーであってもよい。刺激応答性ポリマーと混合する前に、ベース材料は、部分的に架橋し、次いで、ベース材料が完全に硬化する前に、刺激応答性ポリマーと混合してもよい。ベースポリマーは、刺激応答性ポリマーと混合するために必要になるまで、部分的に架橋した形態で保存してもよい。例えば、末端がシラノールのポリマーにおいて、ポリマーを、以下に示すように、例えば、アセトキシ化合物を含む過剰量の水分感受性多官能性シランと反応させてもよい。
Figure 2015089942
上に示すように、シリコーンは、それぞれの末端に2個のアセトキシ基を含む。これにより、加水分解によって、例えば、部分的に架橋したポリマーを水分にさらすことによって、ポリマーを架橋させることができる。水分にさらされると、末端アセトキシ基で2段階反応が起こるため、硬化したベースポリマーを生成する。この上の例では、硬化したベースポリマーは、以下に示す式を有するだろう。
Figure 2015089942
上に記載する架橋を加速するために、ポリマーに触媒を加えてもよい。言い換えると、ベースポリマーと刺激応答性ポリマーとを混合する前に、触媒をベースポリマーと混合してもよく、その結果、刺激応答性ポリマーと混合すると、ベースポリマーは、触媒を含有する。または、ベースポリマー、刺激応答性ポリマーおよび触媒を個々の成分として一緒に混合してもよい。触媒は、例えば、化学反応の速度を上げる物質を指す。触媒は、遷移金属有機金属化合物または塩基であってもよい。有機金属化合物は、例えば、1つ以上の有機基に結合した金属原子を指す。
有機金属触媒は、例えば、スズ(Sn)化合物、例えば、スズオクトエート、ジブチルスズジラウレート、ジオクチルスズジラウレート、ジブチルスズメルカプチド、ジオクチルスズカルボキシレート、テトラブチルスズスタノキサン、ジブチルスズケトネート、ジオクチルスズカルボキシレート、ジメチルスズカルボキシレート、ジブチルスズジリシノレート、Ca(OCH(CH、NaOCH、NaOCなど、およびこれらの混合物であってもよい。有機金属触媒は、チタン(Ti)アルコキシレート化合物であってもよい。例えば、触媒は、一般的な構造Ti(OR)(アセチルアセトネート)のチタン(IV)ジ−アルコキシ−ジ−アセチルアセトネートであってもよく、式中、Rは、アルキル基、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピルおよびブチルである。
酸化合物は、PNIPAポリマーが存在するとき、ベース材料の架橋を触媒するのに適切ではないことがわかっている。酸触媒は、PNIPAポリマーの場合には窒素原子との水素結合を生成することによって不活性化すると考えられる。
しかし、触媒は、白金触媒を含まなくてもよい。刺激応答性ポリマーを、ベースポリマーおよび触媒と混合するとき、白金触媒が混合物中に含まれる場合、白金触媒が、混合物が硬化する能力を妨害することがわかっている。この理論に束縛されないが、例えば、PNIPAポリマーに存在する窒素原子によって化学配位が起こり、白金触媒が不活性化するという理論が立てられる。
刺激応答性ポリマー、ベースポリマーおよび触媒を一緒に混合する前に、刺激応答性ポリマーおよびベースポリマーは、それぞれ、溶媒に別個に分散していてもよい。溶媒は、同じ溶媒であってもよく、または異なる溶媒であってもよい。しかし、刺激応答性ポリマーを分散させるために用いられる溶媒は、ベースポリマーおよびベースポリマーを分散させるために用いられる溶媒と相溶性であるべきである。同様に、ベースポリマーを分散させるために用いられる溶媒は、刺激応答性ポリマーおよび刺激応答性ポリマーを分散させるのに用いられる溶媒と相溶性でなければならない。相溶性は、例えば、別の溶媒と混和性であり、かなりの量の刺激応答性ポリマーまたはベースポリマーが混合物から沈殿しないような溶媒を指す。「かなりの量」は、例えば、刺激応答性ポリマーまたはベースポリマーの約50%より多くが溶液から沈殿する量を指す。
適切な溶媒としては、例えば、水および/または有機溶媒が挙げられ、テトラヒドロフラン(THF)、アセトン、アセトニトリル、四塩化炭素、クロロベンゼン、ジエチルエーテル、ジメチルエーテル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、塩化メチレン、ペンタン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、これらの組合せなどを含む。
表面自由エネルギーの望ましい特性および程度の調節をポリマー組成物に付与するのに有効な量で、刺激応答性ポリマーをベースポリマーおよび触媒と混合し、ポリマー組成物を作成してもよい。例えば、刺激応答性ポリマーを、ベースポリマーと比較して、約5〜約80%、例えば、約10%〜約70%、または約15%〜約50%の割合でベースポリマーと混合する。それに加え、触媒は、ベースポリマーの架橋速度を高める量で混合物に含まれてもよい。例えば、触媒を、0.1mol%〜約20.0mol%、約0.2mol%〜約15.0mol%、または約1.0mol%〜約5.0mol%の量で加えてもよい。
組成物に他の望ましい特性を付与するのに望ましい場合、他の任意要素の要素が混合物に含まれていてもよい。例えば、特定の表面への混合物の付着性を高めるために、バインダー材料を加えてもよく、フィラー材料を加え、組成物の粘度または厚みを大きくしてもよく、および/または混合物に特定の色を付与するために着色剤を加えてもよい。しかし、他の任意要素の成分は、混合物が実質的に硬化するのを妨害すべきではなく、または刺激応答性ポリマーが特定の刺激に応答するのを妨害すべきではない。「実質的に硬化する」は、例えば、混合物の少なくとも80%が硬化することを指す。
刺激応答性ポリマー、ベースポリマー、触媒および他の任意要素の成分を混合した後、混合物を適切な基材に堆積させ、キャスト成型して任意の望ましい形状にしてもよい。
基材としては、例えば、金属、ゴムおよび布地が挙げられるだろう。金属としては、例えば、鋼鉄、アルミニウム、ニッケル、同様の金属のアロイ、および同様の金属のアロイが挙げられる。適切なゴムの例としては、例えば、エチレンプロピレンジエン、フルオロエラストマー、n−ブチルゴム、シリコーンゴム、および他のエラストマーなどが挙げられる。「布地材料」は、例えば、機械的に相互に絡み合った繊維またはフィラメントで構成される繊維構造を指し、織られていてもよく、不織布であってもよい。布地は、繊維または糸から作られる材料であり、織られ、編まれるか、または圧縮され、布またはフェルト型構造である。「織られた」は、例えば、互いに正しい角度で縦方向および横方向の糸によって密に配向した布地を指す。「不織布」は、例えば、ランダムに絡み合った繊維またはフィラメントを指す。布地の例としては、織られているか、または織られていない綿布地、グラファイト布地、繊維ガラス、織られているか、または織られていないポリイミド、織られているか、または織られていないポリアミド(例えば、DuPontから入手可能なKEVLARTM、またはナイロン)またはポリフェニレンイソフタルアミド(例えば、NOMEXTM、ウィルミントン、デラウェアのE.I.DuPont)、ポリエステル、アラミド、ポリカーボネート、ポリアクリル、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、セルロース、ポリスルホン、ポリキシレン、ポリアセタールなどおよびこれらの混合物が挙げられる。基材は、任意の望ましい厚みを有していてもよい。
任意の適切なプロセスによって、ポリマー組成物を基材の上に堆積させてもよい。基材の上に混合物を堆積させる方法としては、ドローダウンコーティング、噴霧コーティング、スピンコーティング、フローコーティング、浸漬、噴霧、例えば、非常に微細な薄膜の複数の噴霧塗布による噴霧、鋳込成形、ウェブコーティング、ロールコーティング、押出成型、積層などが挙げられる。表面コーティングの厚みは、混合物を硬化させる任意の適切な厚みであってもよい。例えば、表面コーティングの厚みは、約1ミクロン〜約3cm、約5ミクロン〜約1cm、または約10ミクロン〜約0.5cmの範囲であってもよい。例えば、表面コーティングの厚みは、厚みが約5〜約500ミクロン、例えば、約10〜約400ミクロン、または約20〜約300ミクロンであってもよい。基材に混合物をコーティングした後、混合物を硬化させてもよい。
鋳込成形は、混合物を型に注ぎ、次いで硬化させることを含む。型は、任意の望ましい形状または大きさであってもよい。型を所望な量の混合物で満たした後、混合物を硬化させてもよい。任意の適切な温度で、鋳込成形のためにポリマー混合物をコーティングしてもよく、または型に注いでもよい。例えば、疎水性状態で相溶性を維持するために、鋳込成形のために約35℃〜約55℃、または約40℃〜約50℃、例えば、約40℃の温度でポリマー混合物をコーティングしてもよく、または型に注いでもよい。
混合物を、硬化する混合物の融点より低い任意の望ましい温度で、所定時間硬化させてもよい。硬化に必要な時間は、例えば、コーティングまたは型の厚み、空気の相対湿度、混合物を硬化させる温度のような多くの因子によって変わり、当業者は、これらの因子に依存して、混合物を硬化させるのに必要な時間をどのように決定するかを理解する。
例えば、混合物を約0.5時間〜約48時間、例えば、約1時間〜約36時間、または約2時間〜約24時間硬化させてもよい。ポリマー混合物を、硬化する混合物の融点より低い適切な温度で、例えば、約10℃〜約200℃、または約20℃〜約150℃、または約30℃〜約130℃で硬化させてもよい。例えば、混合物を室温で硬化させてもよい。「室温」は、例えば、約20℃〜約25℃の温度を指す。
組成物を実質的に硬化させた後、組成物の表面自由エネルギーを、例えば、活性化温度まで加熱すると、刺激に応じてスイッチングさせてもよい。したがって、組成物の表面自由エネルギーを調節してもよい。例えば、表面自由エネルギーの調節によって、組成物表面の濡れ性、または組成物表面にある物質を異なる表面に移動することが可能になるだろう。
さらに具体的には、活性化温度にさらされると、刺激応答性ポリマー自体が、第1の表面自由エネルギー状態から第2の表面自由エネルギー状態に可逆的に調節する特性を示すと考えられる。ひいては、刺激応答性ポリマーをベースポリマーと混合し、ポリマー組成物を生成するため、刺激応答性ポリマーは、有効な量でポリマー組成物に組み込んだとき、活性化温度にさらされたら、ポリマー組成物に全体として、第1の表面自由エネルギー状態から第2の表面自由エネルギー状態に可逆的に調節するという特性を付与する。
それに加え、一般的な事柄として、表面にある液体の濡れ性および広がりは、液体、表面、周囲にある空気の相互作用力、特に、表面化学および表面トポロジーに関連するような表面自由エネルギーによって支配される。表面張力は、凝集力と付着力の相互作用として記述可能なパラメータであり、表面を液体が濡らすか、または広がりが起こるか否かを決定づける。
ヤング式は、乾燥した表面の上にある濡れた液滴によって引き起こされる力のバランスを規定し、以下のように定められ、
Figure 2015089942
式中、γSL=固体と液体の相互作用力;γLV=液体と周囲にある空気との相互作用力;γSV=固体と周囲にある空気との相互作用力;およびθ=表面に関連して液滴の接触角。ヤング式は、液体の表面張力が、表面エネルギーよりも小さい場合、接触角がゼロであり、その液体は表面を濡らすことも示す。表面エネルギーは、例えば、固体の化学組成および結晶構造、特に、その表面の化学組成および結晶構造、表面の幾何特徴、表面の粗さおよび固体表面に物理的に付着または化学的に結合した分子の存在のようないくつかの因子によって変わる。
上述のように、硬化した組成物の表面自由エネルギーは、温度変化に応答して、第1の表面自由エネルギー状態から第2の表面自由エネルギー状態へとスイッチングしてもよい。例えば、活性化温度まで加熱すると、硬化した組成物の表面自由エネルギーは、比較的高い表面自由エネルギー状態から、比較的低い表面自由エネルギー状態へと可逆的にスイッチングしてもよい。しかし、熱が加えられたときに刺激応答性ポリマーがスイッチングする方向は、さまざまであってもよい。例えば、硬化した組成物の表面自由エネルギーは、硬化した組成物を活性化温度より高い温度まで加熱すると、増加してもよい。または、刺激応答性ポリマーの表面自由エネルギーは、硬化した組成物を活性化温度より高い温度まで加熱すると、低下してもよい。したがって、例えば、上述の硬化した組成物は、活性化温度より低い温度で親水性であり、高温で疎水性であってもよい。または、例えば、硬化した組成物は、活性化温度より低い温度で親油性であり、高温で疎油性であってもよい。
それに加え、例えば、活性化温度以上の温度まで加熱すると、硬化したポリマー組成物は、比較的高い第1の表面自由エネルギー状態から、比較的低い第2の表面自由エネルギー状態へと可逆的にスイッチングしてもよい。高い方の表面自由エネルギー状態は、例えば、水滴の接触角を小さくすると思われ、このことは、表面がさらに親水性であることを示す。低い方の表面自由エネルギー状態は、例えば、水滴の接触角を大きくすると思われ、このことは、表面がさらに疎水性であることを示す。硬化したポリマー組成物の温度が、活性化温度より低い場合、ポリマー組成物は、比較的高い表面自由エネルギー状態にスイッチングするだろう。したがって、例えば、ポリマー組成物の表面自由エネルギーは、高い方の表面自由エネルギー状態と低い方の表面自由エネルギー状態の2つの状態の間に加熱されると、可逆的かつ制御可能にスイッチングするだろう。低い方の表面自由エネルギー状態は、例えば、硬化した組成物の表面に基材を移すことができ、一方、高い方の表面自由エネルギー状態は、広げる(濡らす)ことができるだろう。広げる(濡らす)工程を可能にする表面自由エネルギー状態は、液体インクの表面張力より大きな表面自由エネルギーを有していてもよく、一方、移動を可能にする表面自由エネルギー状態は、乾燥(樹脂)インクの表面自由エネルギーよりも小さな表面自由エネルギーを有していてもよい。
第1の表面自由エネルギー状態での刺激応答性ポリマーの表面自由エネルギーは、約25〜約65ダイン/cm、例えば、約30〜約60ダイン/cm、または約30〜約55ダイン/cmであってもよい。第2の表面自由エネルギー状態は、例えば、約8〜約30ダイン/cm、例えば、約10〜約25ダイン/cm、または約15〜約25ダイン/cmであってもよい。表面自由エネルギーは、3種類の液体の接触角を測定することによって算出される。3種類の液体は、水、ホルムアミドおよびジヨードメタンである。表面自由エネルギー、極性表面エネルギーの酸成分および塩基成分、および分散成分をルイス酸−塩基方法を用いて計算した。ルイス酸−塩基理論は、固−液界面エネルギーについて、以下の式によって与えられる。
Figure 2015089942
式中、(LW)、(+)、(−)は、SFE指数の分散成分、酸成分、塩基成分であり、jは、液体1、2、3を指し、θは、基材のj番目の液体の接触角であり、γは、液体jの表面張力であり、下付き文字sは、固体を指す。
さらに、硬化したポリマー組成物の濡れ特性の特徴決定は、水滴の接触角を所与の温度で測定することによって行われてもよい。水接触角は、例えば、System ABによって製造されるFibro DAT1100装置、First Ten Angstromsによって製造されるFTA1000装置、またはDataphysics DCAT 21動的接触角測定装置によって測定されてもよい。接触角は、ベース材料および刺激応答性ポリマーの濡れ性能の平均をあらわす。例えば、活性化温度より下では、硬化したポリマー組成物は、水接触角が約80°〜約150°、例えば、約90°〜約140°、または約100°〜約130°であってもよい。いくつかの実施形態では、活性化温度以上で、硬化したポリマー組成物は、水接触角が約10°〜約70°、例えば、約15°〜約50°、または約20°〜約45°であってもよい。
濡れ性の変化度(すなわち、第1の表面自由エネルギー状態と第2の表面自由エネルギー状態でのポリマー組成物間の濡れ性の差)を、混合物の要素の選択および濃度によって調節してもよい。例えば、ブレンドしたポリマーは、比較的低い表面自由エネルギーを有する(すなわち、いくつかの実施形態では、約10〜約25ダイン/cm、例えば、約10〜約23ダイン/cm、または約15〜約20ダイン/cmの固定された表面自由エネルギーを有する)約50%〜約95%のポリマーベース材料を含んでいてもよく、したがって、表面の濡れ性は、それほど疎水性が大きくない状態から、もっと疎水性の状態の間でスイッチングしてもよい。濡れ性の変化度は、特定のベースポリマー(例えば、望ましい表面自由エネルギーを有するベースポリマー)の選択、およびブレンド中の刺激応答性ポリマーの濃度の調節によっても制御されるだろう。第1の表面自由エネルギー状態での接触角と、第2の表面自由エネルギー状態でのポリマー組成物の接触角の差は、約5°〜約140°、例えば、約10°〜約100°、または約10°〜約60°であってもよい。例えば、硬化した組成物は、硬化した組成物の表面にある液体の水接触角を変えてもよく、室温から約70℃まで加熱すると、約95°〜約118°に変わる。
任意の適切な温度源を使用し、硬化した組成物の少なくとも活性化温度までの温度変化を起こしてもよい。熱源としては、例えば、加熱ランプ、光学加熱デバイス、例えば、レーザーまたはLEDバー、IR光のLEDバー、サーマル印刷ヘッド、抵抗加熱フィンガー、またはマイクロヒーターアレイが挙げられる。抵抗加熱フィンガーは、指状部を、加熱対象の表面と接触させたときに抵抗加熱が起こる指状のマイクロ電極のアレイである。硬化した組成物を、熱を除去した後に、冷たい基材と接触させてそれ自体で冷却させてもよい。場合により、冷却を促進するために、エアジェットを使用してもよい。
刺激応答性ポリマーは、約10℃〜約120℃、約15℃〜約100℃、または約20℃〜約80℃の活性化温度まで加熱すると、活性化する(例えば、比較的高い表面自由エネルギーと比較的低い表面自由エネルギーの間をスイッチングする)と考えてもよい。言い換えると、刺激応答性ポリマーは、約10℃より高く、約120℃未満、例えば、約25℃〜約90℃、または約30℃〜約70℃の温度まで加熱すると、状態がスイッチングするだろう。
それに加え、例えば、比較的高い表面自由エネルギーと比較的低い表面自由エネルギーの間のスイッチングは、例えば、組成物を活性化温度より低い任意の温度まで冷却することによって、可逆性であってもよい。
しかし、一般的に、刺激応答性ポリマーの活性化温度は、一般的に、溶媒、任意要素の成分(例えば、バインダー)、またはポリマーマトリックスによって影響を受けることも理解される。上の表1に報告した値は、水溶液についての値である。しかし、有機バインダーが存在すると、所与の熱によってスイッチング可能な材料の活性化温度が上がることが知られている。例えば、ポリ−(N−イソプロピルアクリルアミド)は、表面自由エネルギーが変わり、例えば、水中では32℃で、第1の高い状態から第2の低い表面自由エネルギー状態へと表面自由エネルギーがスイッチングするが、有機ポリマー、例えば、SBRゴムとの混合物中では、41℃でスイッチングする。有機溶媒、例えば、THFに溶解したとき、活性化温度は60℃にシフトした。N.Moriら、Temperature Induced Changes in the Surface Wettability of SBR+PNIPA Films、292 Macromol.Mater.Eng.917、917−22(2007)を参照。
任意の特定の理論によって束縛されないが、刺激応答性ポリマーの熱によってスイッチング可能な特性は、刺激応答性ポリマーの分子間水素結合相互作用に起因する。例えば、LCSTより低い温度では、PNIPA鎖は、PNIPA鎖と、塗布した溶液中存在する水分子との間に主に起こる分子間水素結合によって生じる膨張した構造を形成する。この分子間結合は、PNIPAで修飾された表面の親水性の原因となる。しかし、LCSTより高い温度で、水素結合は、PNIPA鎖自体の間に主に起こり、PNIPA鎖のカルボニル酸素原子が、隣接するPNIPA鎖の窒素原子の上にある水素原子に結合する。隣接するPNIPA鎖のC=O基とN−H基の間の分子間水素結合によって、C=O基およびN−H基が、水分子と相互作用するように利用可能ではない小型化した構造を生じ、LCSTより高い温度で疎水性を生じる。これらの2つの状態(例えば、温度がLCSTより低い場合と、温度がLCSTより大きい場合)を図2に示す。この相互作用は、イソプロピル鎖に依存しないため、同様に、他のポリマーにも適用されるはずである。
ポリマー組成物を、組成物の表面自由エネルギーをスイッチングする能力が望ましい任意の適切な装置で使用してもよい。例えば、ポリマー組成物を、間接的な印刷で使用するのに適した中間転写体として使用してもよい。
(コーティング材料組成物)
あらかじめ混合した触媒を含む2グラムの市販の透明シリコーンに、溶媒として5gのメチルエチルケトン(MEK)を分散させることによって、1部のRTVシリコーン前駆体のストック溶液を調製した。この溶液を高速シェーカーで10〜15分間振り混ぜた。制御不可能な硬化を防ぐために、ストック溶液を次の30分間で使用した。別個に、20%PNIPA(Polysciences,Inc.製の重量平均分子量(M)=40,000)のMEK溶媒に溶かしたストック溶液を調製した。
3gのストックシリコーンMEK溶液および1.05gのPNIPAのMEK溶液を、高速シェーカー(2500rpm)を用い、5分間混合し、次いで、低速(700rpm)で10分間、さらに振り混ぜた。
(コーティングおよび硬化)
プラスチックポリエチレンテレフタレート(PET)基材(Mylar(登録商標))をテトラヒドロフラン(THF)で洗浄し、乾燥させた。次いで、PNIPA/シリコーン溶液を、ギャップ10milのブレードを用い、低速でコーティングした。このコーティングは、試験前に室温で24時間かけて硬化させた(実施例1)。
シリコーンストック溶液のコーティングを、比較のために上述のようにコーティングし、硬化させた(比較例1)。
比較例2では、白金触媒およびPINIPAを組み込んだ2成分シリコーン前駆体系(Silgard 184)のストック溶液を、溶媒としてメチルエチルケトン(MEK)中で調製し、コーティングした。155℃までの温度で加熱したときであっても、膜は硬化しなかった。PNIPAを含有しない比較例サンプルを同じ硬化条件で硬化させた。
(硬化したコーティングの試験)
水滴を、それぞれの硬化した膜の上に置いた。FTA200 Contact Angle Instrumentを用いることによって、水の接触角を測定した。FTA200は、接触角、表面張力および界面張力、濡れ性および吸収を測定するための柔軟性が高いビデオシステムである。液体を一定の高温または室温に維持しつつ、基材の下に加熱マントルを実装することによって、水滴の接触角は、異なる温度で、基材上で測定した。室温(23℃)および70℃で試験を行った。サンプルを、各測定の前に、選択した温度に5分間置き、平衡状態にした。各サンプルおよび温度では、2回の測定を行い、平均値を表2に報告している。
Figure 2015089942
表2、実施例1に示すように、加熱したサンプルについて測定した値と比較して、室温での接触角の顕著な変化が起こった。室温では、接触角(CA)は、約95°であり、サンプルがさらに親水性の特徴を有することを意味している。70℃で、CAは約118°であり、サンプルが高い疎水性の特徴を有することを意味する。
比較のために、硬化したシリコーンのみを含み、スイッチング可能な材料(PNIPA)を含まない比較例1は、室温でのCAが約106°であり、70℃まで加熱したとき、CAの顕著な変化は示さなかった(CAは約104°)。
(可逆性の試験)
次に、スイッチング可能な材料の可逆性を試験した。
複数回の加熱/冷却サイクルについて、サンプルの接触角を測定することによって、複数のスイッチングを試験した。上述のように、サンプルを所定の温度で5分間かけて平衡状態にした後、接触角をそれぞれの温度(23℃および70℃)で測定した。このサイクリング結果を図3に示す。
図3からわかるように、それぞれの温度でCAにある程度の変動が存在する。しかし、サンプルは、高い接触角値と低い接触角値との間を一貫して連続してスイッチングすることができた。
種々の上に開示する特徴および機能またはその代替物、他の特徴および機能またはその代替物は、望ましくは、多くの他のシステムまたは用途と合わせてもよいことが理解されるだろう。さらに、種々の現時点で予測または予期される代替物、改変、変更、改良は、その後、当業者によってなされてもよく、以下の特許請求の範囲に包含されることも意図される。

Claims (9)

  1. 刺激応答性ポリマーと、ベースポリマーと、触媒とを含み、活性化温度まで加熱すると、刺激応答性ポリマーの表面自由エネルギーが、第1の表面自由エネルギー状態から第2の表面自由エネルギー状態へと可逆的に調節され、ベース組成物は、白金触媒を含まない、組成物。
  2. 第1の表面自由エネルギー状態の表面自由エネルギーが、約25〜約65ダイン/cmであり、第2の表面自由エネルギー状態の表面自由エネルギーが、約8〜約30ダイン/cmである、請求項1に記載のポリマー組成物。
  3. 触媒が、スズまたはチタンを含む有機金属触媒である、請求項1に記載のポリマー組成物。
  4. 刺激応答性ポリマーが、ポリ−(N−イソプロピルアクリルアミド)、ポリ−(N−エチルアクリルアミド)、ポリ−(N−n−プロピルアクリルアミド)、ポリ(N−エチル,N−メチルアクリルアミド)、ポリ(N,N−ジエチルアクリルアミド)、ポリ(N−イソプロピル,N−メチルアクリルアミド)、ポリ(N−シクロプロピルアクリルアミド)、ポリ(N−アクリロイルピロリジン)、ポリ(N−アクリロイルピペリジン)、ポリ(N−ビニル−カプロラクタム、ポリ(2−アルキル−2−オキサゾリン)、アルキル置換セルロース、およびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載のポリマー組成物。
  5. ベースポリマーがシリコーンポリマーを含む、請求項1に記載のポリマー組成物。
  6. 刺激応答性ポリマーが、式Iのポリマー
    Figure 2015089942
    〔式中、RおよびRは、独立して、
    水素または1〜約10個の炭素原子を含むアルキル、
    炭素数が約3〜約10個のシクロアルキル、または
    式Iに窒素原子が組み込まれ、水素結合を形成可能であり、3〜5個の炭素数を有するヘテロ環であり、
    nは、1〜1000の数である〕;
    式IIのポリマー
    Figure 2015089942
    〔式中、nは、上に定義したとおりである〕
    式IIIのポリマー
    Figure 2015089942
    〔式中、Rは、プロピル、イソプロピルおよびエチルからなる群から選択されるアルキル基であり、nは、上に定義したとおりである〕
    式IVのポリマー
    Figure 2015089942
    〔式中、nは、上に定義したとおりである〕
    およびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載のポリマー組成物。
  7. 刺激応答性ポリマーが、ベースポリマーと比較して、約5%〜約80%の量で存在する、請求項1に記載のポリマー組成物。
  8. ポリマー組成物が、刺激応答性ポリマーとしてポリ−(N−イソプロピルアクリルアミド)を含み、ベースポリマーが、室温加硫シリコーンポリマーから作られ、触媒がスズ触媒である、請求項1に記載のポリマー組成物。
  9. 請求項1に記載のポリマー組成物を含むデバイス。
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