JP2006249258A - 高分子ゲル組成物、高分子ゲル組成物の製造方法、及び光学素子 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 互いに相互作用して高分子複合体を形成する二種の高分子化合物と液体とを含む高分子ゲル組成物であって、
前記高分子化合物のうち一種は三次元架橋体を形成し、
もう一種は、イオン性官能基を有し、前記液体に溶解すると共に、前記三次元架橋体に内在することを特徴とする高分子ゲル組成物、該高分子ゲル組成物の製造方法、及び前記高分子ゲル組成物を一対の基板間に挟持してなる光学素子。
【選択図】 図3
Description
また、第1の成分を含む高分子ゲルを所望の形態に加工した後に第2の成分を含む溶液を浸透させ、第1の成分を含む高分子ゲルが第2の成分によって一体化しないように別個に第2の成分を含む高分子ゲルを重合させるなどの方法が知られている(例えば、非特許文献1参照。)。
更に、第1の成分を含む大きなバルクゲルに第2の成分を形成するモノマーを浸透させてから重合し、それを粉砕する方法も考えられるが、第2の成分を形成するモノマーが第1の成分を含むバルクゲル内部に浸透するには非常に長時間を要し、工業的に用いることは現実的でなかった。
この引用文献2に記載の高分子ゲル組成物により生産性の向上に関して一定の成果を得ることができた。しかしながら、更に生産性が高く、また、用途の自由度が高い高分子ゲル組成物が望まれているのが現状である。
即ち、本発明は、少なくとも2種類の高分子化合物間の相互作用を利用した刺激応答性の高分子ゲル組成物において、生産性に優れると共に、用途の自由度が高い高分子ゲル組成物、その製造方法を提供することを目的とする。
また、前記高分子ゲル組成物を用い、優れた光学特性を有する光学素子を提供することを他の目的とする。
即ち、本発明は、
<1> 互いに相互作用して高分子複合体を形成する二種の高分子化合物と液体とを含む高分子ゲル組成物であって、
前記高分子化合物のうち一種は三次元架橋体を形成し、
もう一種は、イオン性官能基を有し、前記液体に溶解すると共に、前記三次元架橋体に内在することを特徴とする高分子ゲル組成物である。
三次元架橋体内部で、該三次元架橋体と相互作用し、かつ、イオン性官能基を有するモノマーを重合して高分子化合物を合成する工程を含むことを特徴とする高分子ゲル組成物の製造方法である。
三次元架橋体内部に、前記三次元架橋体と相互作用し、イオン性官能基を有する高分子化合物を含浸させる工程を含むことを特徴とする高分子ゲル組成物の製造方法である。
前記高分子ゲル組成物が、互いに相互作用して高分子複合体を形成する二種の高分子化合物と液体とを含み、
前記高分子化合物のうち一種は三次元架橋体を形成し、
もう一種は、イオン性官能基を有し、前記液体に溶解すると共に、一部が前記三次元架橋体に内在することを有することを特徴とする光学素子である。
また、前記高分子ゲル組成物を用いることで、優れた光学特性を有する光学素子を提供することができる。
<高分子ゲル組成物>
本発明の高分子ゲル組成物は、互いに相互作用して高分子複合体を形成する二種の高分子化合物と液体とを含む高分子ゲル組成物であって、前記高分子化合物のうち一種は三次元架橋体を形成し、もう一種は、イオン性官能基を有し、前記液体に溶解すると共に、前記三次元架橋体に内在することを特徴とする。
ここで、本発明において、「イオン性官能基」とは、高分子ゲル組成物を構成している液体との接触により解離する官能基を指す。そのため、本発明の高分子ゲル組成物における液体の性質(例えば、液体のpH)に対応する官能基を選択することが必要である。例えば、2種の異なる官能基を共存させた状態で、本発明における液体に接触させた際に、一方が選択的に解離して、他方が解離しない場合、解離したの官能基が本発明におけるイオン性官能基となる。なお、ここで、解離しないとは、その化学種の大部分が中性状態を保っていることを示す。
従来、三次元架橋体を形成する高分子化合物がイオン性官能基を有することで、高分子複合体中にイオン性官能基を導入する方法が知られていた。このようなイオン性官能基を有する三次元架橋体は、特に、粒子状に作製する場合に、後述するように、乳化重合、懸濁重合等の手法を用いることが好ましいが、これらの手法には、イオン性官能基を導入するために使用できるモノマーの種類に制限があるという問題があった。また、イオン性官能基を有する三次元架橋体を作製する場合には、そのイオン性官能基の存在により、三次元架橋体内部を洗浄する際に大量の水を要したり、また、三次元架橋体(粒子)の沈降が遅いために洗浄の効率が悪くなるという問題があった。
対して、本発明の高分子ゲル組成物は、(B)架橋体内在の液体溶解性高分子化合物を用いることにより、高分子複合体にイオン性官能基を導入するため、(B)架橋体内在の液体溶解性高分子化合物を製造する際に、上記のような問題は生じない。
このことから、本発明によれば、高分子複合体中にイオン性官能基を導入することが容易であり、その結果、生産性を高めることができる。
また、高分子複合体中に調光用材料を含有させる場合、三次元架橋体を形成する高分子化合物がイオン性官能基を有すると、その三次元架橋体中での調光用材料が凝集し、光学特性を損なう場合があった。対して、本発明では、三次元架橋体中に調光用材料を含有させた後に、その三次元架橋体の内部に、イオン性官能基を有する高分子化合物を導入することが可能であるため、調光用材料の分散性が損なわれず、安定した光学特性を得ることができる。
このように、本発明の高分子ゲル組成物は、体積変化量が大きく、また、調光用材料の分散性にも優れることから、その用途の自由度を拡めることが可能となる。
まず、本発明における高分子複合体を形成するための高分子化合物の組み合わせについて説明する。
高分子複合体を形成することのできる高分子化合物の組み合わせは、例えば、「高分子錯体−機能と応用 5 高分子集合体 学会出版センター」などにその例が述べられている。
中でも、好ましくは、ポリ(メタ)アクリル酸とポリ(メタ)アクリルアミド、ポリ(メタ)アクリル酸とポリエチレングリコール、ポリ(メタ)アクリル酸とポリジメチル(メタ)アクリルアミドなどの組み合わせが挙げられる。特に、体積変化特性の観点からポリ(メタ)アクリル酸とポリ(メタ)アクリルアミドの組み合わせが好ましい。
なお、これらの高分子化合物は、ホモポリマーとして用いてもよいが、互いの水素結合を阻害しない範囲で他のモノマーを共重合したポリマーを用いることも好ましい。
なお、上記の括弧を用いた記述は、括弧内の接頭語を含まない化合物及び含む化合物の両方を示しており、例えば(メタ)アクリル酸という記述は、アクリル酸及びメタクリル酸のことを意味するものである。
より具体的には、ポリアニオンとしては、ポリ(メタ)アクリル酸塩などのポリカルボン酸塩、ポリスチレンスルホン酸塩やポリ−2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸などのポリスルホン酸塩などが挙げられる。
ポリカチオンとしては、ポリアリルアミン塩酸塩、ポリアイオネンなどのポリアンモニウム塩などが挙げられる。
また、分子内にカチオン性基とアニオン性基の両方をもった高分子化合物も用いることができる。そのような高分子化合物としては、例えば、ポリ3−ジメチルメタクリロイルオキシエチルアンモニウムプロパンスルホネートなどを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
また、これらイオン性基を持つ高分子化合物はホモポリマーとして用いてもよいが、互いのイオン結合を阻害しない範囲で他のモノマーを共重合したポリマーを用いることも好ましい。
本発明における(B)架橋体内在の液体溶解性高分子化合物は、イオン性官能基を有し、液体に溶解すると共に、三次元架橋体に内在することを特徴とする。
特に、ポリ(メタ)アクリル酸とポリアクリルアミド誘導体とで高分子複合体を形成する場合は、酸性の液体中で使用することが好ましいことが多く、この場合、イオン性官能基は、プロトンが解離してアニオン基となる官能基であるから、その解離度を表すpKaが2以下であることが好ましい。pKaが2以上であると、酸性条件下でプロトンが解離せず、官能基がイオン性官能基として作用しなくなる恐れがある。
この方法に使用可能な、イオン性置換基を有し、かつ、液体に溶解する高分子化合物としては、イオン性官能基を有するモノマーと他のモノマーとの共重合体、又は、液体に溶解する機能を有するモノマーを重合して重合体を合成し、その重合体の非イオン性官能基の一部を加水分解反応や付加反応を用いてイオン性官能基へと変換したものが用いられる。
なお、上記の2つの方法により、(B)架橋体内在の液体溶解性高分子化合物が得られるが、イオン性置換基を有し、かつ、液体に溶解する高分子化合物は、その全てが三次元架橋体に内在されるわけではなく、その一部が、三次元架橋体の外部の液体に溶解していてもよい。
また、液体に溶解する機能を有するモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、メチル(メタ)アクリル酸等の(メタ)アクリル酸のアルキルエステル、(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミドのアルキル置換体等が挙げられる。この中でも、(メタ)アクリル酸が好ましい。
なお、本発明の効果を損なわない範囲で他の公知のモノマーを併用してもよい。
本発明において、(A)三次元架橋体を形成する高分子化合物は、公知のゲル作製方法を用いて三次元架橋体を製造することが可能である。例えば、モノマーと架橋剤とを混合して重合する方法、マクロモノマーと架橋剤とを反応させる方法、及び、ポリマーに電子線や中性子線等を照射して架橋する方法などを用いることができる。
これらゲル作製方法については、例えば、「ゲルハンドブック」株式会社エヌ・ティー・エスなどに詳述されている。
なお、上記の(メタ)アクリルアミド等の表現はメタアクリルアミドとアクリルアミドの双方を含むものである。
これら安定剤の共重合量或いは結合量は、(A)三次元架橋体を形成する高分子化合物に対して0.01〜5質量%が好ましく、更に、0.01〜2質量%が好ましく、特に、0.05〜1質量%が好ましい。
本発明の高分子ゲル組成物では、前記三次元架橋体が、刺激に応答して液体を吸収・放出し、その体積を変化させる特性を有することが好ましい。前記三次元架橋体が吸収・放出するための液体の具体例としては、水や、必要に応じて水と相溶可能な液体、例えば、メタノール、エタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリンなどの低級アルコール、アセトンやメチルエチルケトンなどのケトン類、THF、1,4−ジオキサン、ジエチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテルなどのエーテル類、酢酸エチルなどのエステル類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、尿素等が挙げられる。また、ポリビニルアルコール、ポリ(メタ)アクリルアミドやその誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキシドやこれら高分子を含む共重合体を用いることも好ましい。これらのうち、前記三次元架橋体を形成する高分子化合物の体積変化特性の観点から、水や、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、エチレングリコールモノエチルエーテルなどの一価アルコール類、又は水と一価アルコール類との混合物が好ましい。
前記液体は、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
本発明の高分子ゲル組成物では、刺激により前記高分子複合体が可逆的に解離して、前記三次元架橋体を形成する高分子化合物が前記液体の吸収・放出により体積変化を示す特性を有することが好ましい。本発明に用いられる刺激の種類としては、高分子複合体の相互作用の強さを変化させるものであれば特に限定されないが、具体的には、熱、pH変化、溶媒の組成変化、化学物質の添加などが挙げられる。この中でも、刺激として熱を用いることにより、例えば、温度変化などの環境変化によって自律的に応答可能な光学素子を作製できるため好ましい。該光学素子は、低コストかつ効果が高いために光学素子として有効である。
本発明において、好ましい相転移温度は、−5〜80℃であり、中でも、10〜60℃が好ましい。相転移温度を−5〜80℃に設定することにより自然界の温度変化(気温や水温)等に応じて自律的に応答可能な光学素子を作製できるため好ましい。
本発明の高分子ゲル組成物は、アクチュエーター(人工筋肉)・ドラックデリバリーシステム・センサーなど広範な用途に用いることができその用途は特に限定されないが、光学素子としても好ましく用いることができる。光学素子などの光学材料として用いる場合には、前記三次元架橋体は、それ自身でも体積変化にともない光散乱性が変化するという調光性能を示すが、より大きな調光特性や色変化を発現するためは、三次元架橋体が調光用材料を含むことが好ましい。
C.I.ダイレクトレッド1、2、4、9、11、13、17、20、23、24、28、31、33、37、39、44、46、62、63、75、79、80、81、83、84、89、95、99、113、197、201、218、220、224、225、226、227、228、229、230、231、C.I.アシッドレッド1、6、8、9、13、14、18、26、27、35、37、42、52、82、85、87、89、92、97、106、111、114、115、118、134、158、186、249、254、289、C.I.ベイシックレッド1、2、9、12、14、17、18、37、C.I.フードレッド14、C.I.リアクティブレッド23、180、C.I.ソルベントレッド5、16、17、18、19、22、23、143、145、146、149、150、151、157、158;
C.I.ダイレクトブラック2、7、19、22、24、32、38、51、56、63、71、74、75、77、108、154、168、171、C.I.アシッドブラック1、2、7、24、26、29、31、44、48、50、52、94、C.I.ベイシックブラック2、8、C.I.フードブラック1、2、C.I.リアクティブブラック31、C.I.フードバイオレット2、C.I.ソルベントバイオレット31、33、37、C.I.ソルベントグリーン24、25、C.I.ソルベントブラウン3、9等が挙げられる。
これらの染料は、単独で使用してもよく、さもなければ所望とする色を得るために混合して使用してもよい。
本発明の光学素子は、一対の基板と、該一対の基板間に挟持された高分子ゲル組成物と、からなる光学素子であって、前記高分子ゲル組成物が、互いに相互作用して高分子複合体を形成する二種の高分子化合物と液体とを含み、前記高分子化合物のうち一種は三次元架橋体を形成し、もう一種は、イオン性官能基を有し、前記液体に溶解すると共に、一部が前記三次元架橋体に内在することを有することを特徴とする。
つまり、本発明の光学素子は、上述した本発明の高分子ゲル組成物を一対の基板間に挟持された構成を有する。
以下に、本発明の高分子ゲル組成物を用いた本発明の光学素子を、図面を用いて詳細に説明するが、本発明がこれに限定されるものではない。
上記に示したような光学的特性を有する本発明の高分子ゲル組成物は、調光素子、表示素子などの光学素子の材料として利用することができる。
図3は本発明の光学素子の他の一例を示した模式断面図である。図3に示すように、光学素子20は、図1に示される表示素子10の構成に加え、基板4及び4aの端部を封止する封止部材5を備える。
以下に、封止材料及び封止方法について詳細に説明する。
1層で封止を行うときの封止材料としては、末端に反応基を有するイソブチレンオリゴマーを主体とした熱硬化型弾性シーリング材等を使用することができる。
また、2層で封止するときには、1次封止にはポリイソブチレン系シーラント等が、2次封止には、アクリル樹脂等を使用することができる。
その他、封止材料としては、ガラス、セラミックスなどの無機材料、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、及びこれらの共重合体などのポリエステル、ポリカーボネート、ポリエーテルサルフォン、ポリサルフォン、ポリイミド、ポリアリレートなども適用できる。
なお、封止部材5を構成する封止材料及び封止方法は上記例示に限定されるものではなく、多種多様なものが選択でき、かつ、それらを組み合わせて使用してもよい。中でも、封止部材5としては、特にガスバリア性の高いものが好ましく用いられる。
本発明の光学素子は、例えば、気温の変化、太陽光量の変化などの自然エネルギーによって調光や表示を行うことができるが、刺激付与手段を設けることで、能動的に調光することもできる。この場合、刺激付与手段は高分子複合体に実質的に既述したような外部刺激を付与するものであり、通電発熱抵抗体の他に、光付与、電磁波付与、磁場付与などの各種熱付与手段が挙げられる。中でも、特に、通電発熱抵抗体が好ましく適用され、具体的には、Ni−Cr合金などに代表される金属層、硼化タンタル、窒化タンタル、酸化タンタル、やITOなどの金属酸化物層、カーボン層などに代表されるの発熱抵抗体層が通電発熱抵抗体として好ましく用いられる。これらの層(通電発熱抵抗体)に配線し、電流を付与することにより発熱させることができる。
またその他にも、光付与の場合は、レーザー、LED、ELなどの発光素子層を用いること、磁界や電磁波の付与は電磁コイル、電極等を設けることで能動的な調光を実現できる。
三次元架橋体aを以下のようなプロセスにより合成した。
アクリルアミド6.22g、架橋剤としてのメチレンビスアクリルアミド27.0mg、及び蒸留水25.0gを攪拌混合し、水溶液を調製した。更に、この水溶液に窒素を20分間導入して酸素を除いた後、重合開始剤である過硫酸アンモニウム12.5mgを水0.5mlに溶解したものを添加し、水溶液aを得た。
一方、ソルビトール系界面活性剤(SO−15R、日光ケミカルズ(株)製)9.0gをシクロヘキサン300mlに溶解した溶液を窒素置換された反応容器に加え、反応溶液を水浴に浸して10℃に保った。これに、先に調製した水溶液aを添加し、回転式攪拌装置を用いて1200rpmで20分攪拌して懸濁させ、懸濁液とした。この懸濁液にテトラメチルエチレンジアミン0.5mlを加えて、15℃にて300rpmで攪拌しながら3時間、重合を行った。重合終了後、界面活性剤(花王製、エマルゲンMS−110)0.2質量%を含む水溶液1.5L中に、反応溶液を投入し洗浄した。1晩静置した後、デカンテーションでシクロヘキサンを含む水相を除いた後、大量の蒸留水で3回繰り返し洗浄することで精製し、膨潤時の平均粒子径が約30μmの調光材料を含む三次元架橋体a(アクリルアミドゲル)の球形粒子を得た。
得られた三次元架橋体aの水分散液(固形分濃度約1質量%)47gに対して、アクリル酸3.03g及び2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸88.1mgを加え、攪拌して均一の分散液とした後に窒素を30分間導入して、液体中の酸素を除いた。更に、重合開始剤である2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン2塩酸塩)を25mg添加し、更に窒素を5分間導入した。この三次元架橋体の分散液を60℃に加熱し、15時間重合を行った。反応溶液を2Lの蒸留水中に投入して洗浄し、1晩静置した後に、上澄みをデカンテーションで除き、更に2Lの蒸留水で洗浄して、三次元架橋体の膨潤時の平均粒子径が50μmの高分子複合体aを得た。
なお、アクリル酸及び2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸により得られる(B)架橋体内在の液体溶解性高分子化合物におけるイオン性官能基の含有量は、1mol%であった。
調光用材料を含有する三次元架橋体bを以下のようなプロセスにより合成した。
アクリルアミド6.22g、架橋剤としてのメチレンビスアクリルアミド27.0mg、及び蒸留水13.9gを攪拌混合したものに、カーボンブラック顔料分散液(大成化工製、TBK−BC3 顔料分15質量%)12.43gを加えて攪拌し、水溶液を調製した。更にこの水溶液に窒素を20分間導入して酸素を除いた後、重合開始剤である過硫酸アンモニウム49.9mgを水0.5mlに溶解したものを添加し、水溶液bを得た。
一方、ソルビトール系界面活性剤(SO−15R、日光ケミカルズ(株)製)9.0gをシクロヘキサン300mlに溶解した溶液を窒素置換された反応容器に加え、反応溶液を水浴に浸して10℃に保った。これに、先に調製した水溶液bを添加し、回転式攪拌装置を用いて1200rpmで20分攪拌して懸濁させ、懸濁液とした。この懸濁液にテトラメチルエチレンジアミン0.5mlを加えて、15℃にて300rpmで攪拌しながら3時間、重合を行った。重合終了後、界面活性剤(花王製 エマルゲンMS−110)0.2質量%を含む水溶液1.5L中に反応溶液を投入し洗浄した。1晩静置した後、デカンテーションでシクロヘキサンを含む水相を除いた後、大量の蒸留水で3回繰り返し洗浄することで精製し、膨潤時の平均粒子径が約30μmである調光用材料を含む三次元架橋体b(アクリルアミドゲル)の球形粒子を得た。
得られた三次元架橋体bの球形粒子を顕微鏡で観察したところ、三次元架橋体内部にカーボンブラック顔料粒子が均一に分散されていることが確認された。
得られた三次元架橋体bの水分散液(固形分濃度約1質量%)47gに対して、アクリル酸3.03g及び2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸88.1mgを加え、攪拌して均一の分散液とした後に窒素を30分間導入して、液体中の酸素を除いた。更に、重合開始剤である2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン2塩酸塩)を25mg添加し、更に窒素を5分間導入した。この三次元架橋体の分散液を60℃に加熱し、15時間重合を行った。反応溶液を2Lの蒸留水中に投入して洗浄し、1晩静置した後に、上澄みをデカンテーションで除き、更に2Lの蒸留水で洗浄して、三次元架橋体の膨潤時の平均粒子径が50μmの高分子複合体b1を得た。
なお、アクリル酸及び2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸により得られる(B)架橋体内在の液体溶解性高分子化合物におけるイオン性官能基の含有量は、1mol%であった。
得られた三次元架橋体bの水分散液(固形分濃度約1質量%)47gに対して、アクリル酸3.03g及び2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸176.2mgを加え、攪拌して均一の分散液とした後に窒素を30分間導入して、液体中の酸素を除いた。更に、重合開始剤である2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン2塩酸塩)を25mg添加し、更に窒素を5分間導入した。この三次元架橋体の分散液を60℃に加熱し、15時間重合を行った。反応溶液を2Lの蒸留水中に投入して洗浄し、1晩静置した後に、上澄みをデカンテーションで除き、更に2Lの蒸留水で洗浄して、三次元架橋体の膨潤時の平均粒子径が50μmの高分子複合体b2を得た。
なお、アクリル酸及び2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸により得られる(B)架橋体内在の液体溶解性高分子化合物におけるイオン性官能基の含有量は、2mol%であった。
イオン性官能基を有する三次元架橋体cを以下のようなプロセスにより合成した。
アクリルアミド6.15g、架橋剤としてのメチレンビスアクリルアミド27.0mg、イオン性官能基を導入するための成分としての2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸0.870g、1M(mol/l)水酸化ナトリウム水溶液0.88ml、及び蒸留水24.5gを攪拌混合した。更に、この溶液に、窒素を20分間導入して酸素を除いた後、重合開始剤である過硫酸アンモニウム49.9mgを水0.5mlに溶解したものを添加し、水溶液cを得た。
一方、ソルビトール系界面活性剤(SO−15R、日光ケミカルズ(株)製)9.0gをシクロヘキサン300mlに溶解した溶液を窒素置換された反応容器に加え、反応溶液を水浴に浸して10℃に保った。これに、先に調製した水溶液cを添加し、回転式攪拌装置を用いて1200rpmで20分攪拌して懸濁させ、懸濁液とした。この懸濁液にテトラメチルエチレンジアミン0.5mlを加えて、15℃にて300rpmで攪拌しながら3時間、重合を行った。重合終了後、界面活性剤(花王製 エマルゲンMS−110)0.2質量%を含む水溶液5L中に反応溶液を投入し洗浄した。1晩静置した後、デカンテーションでシクロヘキサンを含む水相を除いた後、大量の蒸留水で3回繰り返し洗浄することで精製し、膨潤時の平均粒子径が約50μmのイオン性官能基を有する三次元架橋体c(アクリルアミドゲル)の球形粒子を得た。
得られた三次元架橋体cの球形粒子は、イオン性官能基の影響で洗浄中に大量の水を吸収するため、イオン性官能基を含まない三次元架橋体に比べ、約5倍の水が必要であり、かつ、粒子の沈降が遅いために洗浄の効率が悪かった。
なお、得られた三次元架橋体cにおけるイオン性官能基の含有量は、5mol%であった。
イオン性官能基を有し、調光用材料を含有する三次元架橋体dを以下のようなプロセスにより合成した。
アクリルアミド6.15g、架橋剤としてのメチレンビスアクリルアミド27.0mg、イオン性官能基を導入するための成分としての2−アクリルアミドー2−メチルプロパンスルホン酸181.3mg、1M(mol/l)水酸化ナトリウム水溶液0.88ml、及び蒸留水24.5gを攪拌混合したものに、カーボンブラック顔料分散液(大成化工製、TBK−BC3 顔料分15質量%)13.62gを加えて攪拌し、水溶液を調製した。更にこの水溶液に窒素を20分間導入して酸素を除いた後、重合開始剤である過硫酸アンモニウム49.9mgを水0.5mlに溶解したものを添加し、水溶液dを得た。
一方、ソルビトール系界面活性剤(SO−15R、日光ケミカルズ(株)製)9.0gをシクロヘキサン300mlに溶解した溶液を窒素置換された反応容器に加え、反応溶液を水浴に浸して10℃に保った。これに、先に調製した水溶液dを添加し、回転式攪拌装置を用いて1200rpmで20分攪拌して懸濁させ、懸濁液とした。この懸濁液にテトラメチルエチレンジアミン0.5mlを加えて、15℃にて300rpmで攪拌しながら3時間、重合を行った。重合終了後、界面活性剤(花王製、エマルゲンMS−110)0.2質量%を含む水溶液5L中に反応溶液を投入し洗浄した。1晩静置した後、デカンテーションでシクロヘキサンを含む水相を除いた後、大量の蒸留水で3回繰り返し洗浄することで精製し、膨潤時の平均粒子径が約50μmのイオン性官能基を有し、調光用材料を含有する三次元架橋体d(アクリルアミドゲル)の球形粒子を得た。
得られた三次元架橋体dの球形粒子は、イオン性官能基の影響で洗浄中に大量の水を吸収するため、イオン性官能基を含まない三次元架橋体に比べ、約2倍の水が必要であり、かつ、粒子の沈降が遅いために洗浄の効率が悪かった。また、得られた球形粒子を顕微鏡で観察したところ、カーボンブラック顔料粒子が三次元架橋体内で一部凝集していることが確認された。
なお、得られた三次元架橋体dにおけるイオン性官能基の含有量は、1mol%であった。
イオン性官能基を有し、調光用材料を含有する三次元架橋体eを以下のようなプロセスにより合成した。
アクリルアミド6.06g、架橋剤としてのメチレンビスアクリルアミド27.0mg、イオン性官能基を導入するための成分としての2−アクリルアミドー2−メチルプロパンスルホン酸0.870g、1M(mol/l)水酸化ナトリウム水溶液2.21ml、及び蒸留水11.2gを攪拌混合したものに、カーボンブラック顔料分散液(大成化工製、TBK−BC3 顔料分15質量%)13.62gを加えて攪拌し、水溶液を調製した。更にこの水溶液に窒素を20分間導入して酸素を除いた後、重合開始剤である過硫酸アンモニウム49.9mgを水0.5mlに溶解したものを添加し、水溶液eを得た。
一方、ソルビトール系界面活性剤(SO−15R、日光ケミカルズ(株)製)9.0gをシクロヘキサン300mlに溶解した溶液を窒素置換された反応容器に加え、反応溶液を水浴に浸して10℃に保った。これに、先に調製した水溶液eを添加し、回転式攪拌装置を用いて1200rpmで20分攪拌して懸濁させ、懸濁液とした。この懸濁液にテトラメチルエチレンジアミン0.5mlを加えて、15℃にて300rpmで攪拌しながら3時間、重合を行った。重合終了後、界面活性剤(花王製、エマルゲンMS−110)0.2質量%を含む水溶液1.5L中に反応溶液を投入し洗浄した。1晩静置した後、デカンテーションでシクロヘキサンを含む水相を除いた後、大量の蒸留水で3回繰り返し洗浄することで精製し、膨潤時の平均粒子径が約70μmのイオン性官能基を有し、調光用材料を含有する三次元架橋体e(アクリルアミドゲル)の球形粒子を得た。
得られた三次元架橋体の球形粒子は、イオン性官能基の影響で洗浄中に大量の水を吸収するため、イオン性官能基を含まない三次元架橋体に比べ、約5倍の水が必要であり、かつ、粒子の沈降が遅いために洗浄の効率が悪かった。また、得られた球形粒子を顕微鏡で観察したところ、カーボンブラック顔料粒子が三次元架橋体内で一部凝集していることが確認された。
なお、得られた三次元架橋体eにおけるイオン性官能基の含有量は、5mol%であった。
(高分子ゲル組成物の調製)
得られた高分子複合体a、b1、及びb2の粒子、及び三次元架橋体c〜eの粒子の水分散液(固形分濃度約3質量%)1.0gと、ポリアクリル酸溶液(濃度及びポリアクリル酸の重量平気分子量は表1に記載)又はpH調整剤(塩酸を用いて、pHを3前後に調整)を含有する溶液3.0gとを混合して高分子ゲル組成物を調整した。
なお、ポリアクリル酸と三次元架橋体c〜eとを混合する場合、このポリアクリル酸は三次元架橋体c〜eの内部に含浸し、相互作用を形成して高分子複合体を形成する。
調製された高分子ゲル組成物の組成を表1に示す。
ここで、上記の各溶液にはpHを調製する目的でポリアクリル酸のアクリル酸残基に対して3%の水酸化ナトリウムを添加した。
上記表1に記載の実施例及び比較例の高分子ゲル組成物を、1穴スライドガラス上にとりホットプレート上で温度変化させながらその体積変化特性を光学顕微鏡で観測した。観測は、高分子ゲル組成物を調整した後1時間経過してから行った。顕微鏡観察により三次元架橋体の半径を測定してその体積を求めた。体積変化量は下記式1で定義される。
この結果から、実施例の高分子ゲル組成物における三次元架橋体は、外部からの刺激に応じて、比較例の高分子ゲル組成物と同様の体積変化量を有することが分かる。
高分子複合体b1を含む分散液(高分子複合体b1の固形分濃度1.5質量%)をガラス基板上(松浪硝子製、白板ガラス50×50×0.9mm)に塗布し、ポリスチレンビーズ(直径110μm、積水化学製)をスペーサとして、もう一枚のガラス基板で挟持した。ガラス基板の周囲を紫外線硬化性の接着剤(日本化薬製 KAYARAD R−381I)で封止して光学素子を作製した。
作製された光学素子の温度変化による透過率を測定したところ、10℃における透過率が70%、60℃における透過率が15%であり、大きな透過率変化を示すことが確認された。
2 液体
3 高分子ゲル組成物
4a、4b 基板
5 封止部材
10、20 光学素子
Claims (8)
- 互いに相互作用して高分子複合体を形成する二種の高分子化合物と液体とを含む高分子ゲル組成物であって、
前記高分子化合物のうち一種は三次元架橋体を形成し、
もう一種は、イオン性官能基を有し、前記液体に溶解すると共に、前記三次元架橋体に内在することを特徴とする高分子ゲル組成物。 - 前記イオン性官能基の含有量が、該イオン性官能基を有する高分子化合物に対して0.1〜10mol%であることを特徴とする請求項1に記載の高分子ゲル組成物。
- 前記イオン性官能基が、スルホン酸及びその塩、並びに4級アンモニウム塩からなる群より選択される1種の官能基である請求項1又は請求項2に記載の高分子ゲル組成物。
- 前記三次元架橋体が調光用材料を含有することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の高分子ゲル組成物。
- 前記二種の高分子化合物のうち、一種がポリ(メタ)アクリルアミド誘導体であり、もう一種がポリアクリル酸誘導体であることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の高分子ゲル組成物。
- 請求項1に記載の高分子ゲル組成物の製造方法であって、
三次元架橋体内部で、該三次元架橋体と相互作用し、かつ、イオン性官能基を有するモノマーを重合して高分子化合物を合成する工程を含むことを特徴とする高分子ゲル組成物の製造方法。 - 請求項1に記載の高分子ゲル組成物の製造方法であって、
三次元架橋体内部に、前記三次元架橋体と相互作用し、イオン性官能基を有する高分子化合物を含浸させる工程を含むことを特徴とする高分子ゲル組成物の製造方法。 - 一対の基板と、該一対の基板間に挟持された高分子ゲル組成物と、からなる光学素子であって、
前記高分子ゲル組成物が、互いに相互作用して高分子複合体を形成する二種の高分子化合物と液体とを含み、
前記高分子化合物のうち一種は三次元架橋体を形成し、
もう一種は、イオン性官能基を有し、前記液体に溶解すると共に、一部が前記三次元架橋体に内在することを有することを特徴とする光学素子。
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