JP2004285251A - 高分子ゲル組成物及びそれを用いた光学素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】IPN化工程が不要で製造性に優れ、低コストで製造可能であり、且つ加工性に優れる刺激応答性を示す高分子ゲル組成物の提供。
【解決手段】互いに相互作用して高分子複合体を形成する少なくとも二種の高分子化合物と、液体とを含有する高分子ゲル組成物であって、前記高分子化合物の一種は三次元架橋体を形成し、他の高分子化合物の少なくとも一種は前記液体と相溶してその少なくとも一部が前記三次元架橋体に含有されることを特徴とする高分子ゲル組成物。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、外部刺激に応答して液体を吸収・放出して体積変化を生ずることを可能にする新規な高分子ゲル組成物に関し、さらに前記高分子ゲル組成物を用いた光学素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、各種の外部刺激に応答して、膨潤・収縮現象を示す刺激応答性ゲルに関する報告がなされている。このようなゲルは例えば、ドラッグデリバリーシステムやケミカルアクチュエーター(例えば人工筋肉やマイクロバルブなど)、物質分離など多岐の分野にわたる応用の可能性を有している。さらにこれら刺激応答性高分子ゲルを利用して、光の透過量や散乱性を制御することで調光・発消色を行う光学素子技術が知られている。
【0003】
このような刺激応答性ゲルの中でポリマー鎖間の水素結合やイオン結合などの相互作用を利用した物が知られている。これらは例えばポリアクリル酸とポリアクリルアミドのように溶液中で水素結合を形成して高分子複合体を形成する材料を用いている。ポリアクリル酸とポリアクリルアミドは水中低温時では水素結合により高分子複合体を形成し水中に溶解しないが、高温時には水素結合が切断され水中に溶解する。これら高分子複合体を形成できる高分子を架橋することによって水中に溶解しないようにすれば、水中において低温時にはポリマー鎖が凝集して収縮し、高温時には水素結合が切断され、膨潤し、温度に応答して体積変化を示すゲルを作成することができることが知られている。
【0004】
このようにポリマー鎖間の相互作用を利用したゲルは温度やpH、溶媒組成に応答して体積変化することが知られている。特に温度応答性に関してはポリマー間の相互作用を利用することによって低温で収縮し、高温で膨潤する特性を付与することができ、この材料を用いたドラッグデリバリーシステムへの応用がいくつか提案されている。たとえば水素結合を利用したものではポリアクリルアミドとポリアクリル酸の相互侵入網目構造(IPN構造)体を利用したものが報告さており、これを用いた薬物封入/放出性コントロールへの応用が検討されている(例えば、特許文献1及び非特許文献1参照。)。
【0005】
しかしながら、2成分の高分子ゲルが複合化されたIPNゲルは、IPN体を形成するためにあらかじめ合成した第一の成分を含有した高分子ゲルに第2の成分の添加し、浸透させた後に重合を行必要がある。さらに粒子状に加工するためには第2の成分の重合により第1成分の粒子間の連結が生じないように微小な容器で反応を行うなどの方法を用いる必要があった。例えばキャピラリー中で第一の成分を含む高分子ゲルを作成する方法が知られている(例えば、非特許文献2参照。)。さらに、第一の成分を含む高分子ゲルを所望の形態に加工した後に第2の成分を含む溶液を浸透させ、第一の成分を含む高分子ゲルが第2の成分によって一体化しないように別個に第2の成分を含む高分子ゲルを重合させるなどの方法が知られている(例えば、非特許文献1参照。)。また、第1の成分を含む大きなバルクゲルに第2の成分を形成するモノマーを浸透させてから重合し、それを粉砕する方法も考えられるが、第2の成分を形成するモノマーが第1の成分を含むバルクゲル内部に浸透するには非常に長時間を要し、工業的に用いることは現実的でなかった。
【0006】
前記のようにIPN体を製造する工程は一般に煩雑になり、特に粒子状等に加工する必要がある場合には製造コストが非常に高くなり、大量生産には向かないという問題があった。
【0007】
【特許文献1】
特開平3−79068号公報
【非特許文献1】
岡野ら、J. Control. Release, 13, 577頁, 1992.
【非特許文献2】
Ilmain et.al. Nature, 349, 400頁, 1991.
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題点を解決することを目的とする。すなわち本発明は、少なくとも二種類の高分子化合物間の相互作用を利用した刺激応答性を示す高分子ゲル組成物において、従来のようなIPN化工程が不要で製造性に優れる、刺激応答性を示す高分子ゲル組成物と、それを用いた光学素子を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した結果、互いに相互作用して高分子複合体を形成する少なくとも二種の高分子化合物のうち、少なくとも一種を三次元架橋体とし、他の高分子化合物の少なくとも一種を高分子溶液として溶解させ、少なくともその高分子溶液中の高分子化合物の一部を前記三次元架橋体に含有させることにより、前記IPN体と同程度かそれを上回る刺激応答性を発現させることができることを見出した。すなわち本発明は以下の構成からなる。
【0010】
<1> 互いに相互作用して高分子複合体を形成する少なくとも二種の高分子化合物と、液体とを含有する高分子ゲル組成物であって、前記高分子化合物の一種は三次元架橋体を形成し、他の高分子化合物の少なくとも一種は前記液体と相溶してその少なくとも一部が前記三次元架橋体に含有されることを特徴とする高分子ゲル組成物である。
【0011】
<2> 刺激により前記高分子複合体が可逆的に解離して、前記三次元架橋体を形成する高分子化合物が前記液体の吸収・放出により体積変化を示すことを特徴とする<1>に記載の高分子ゲル組成物である。
【0012】
<3> 前記三次元架橋体が粒子状であることを特徴とする<1>又は<2>に記載の高分子ゲル組成物である。
【0013】
<4> 前記刺激が熱であることを特徴とする<2>又は<3>に記載の高分子ゲル組成物である。
【0014】
<5> 前記高分子複合体の相転移温度が−5〜80℃であることを特徴とする<1>乃至<4>のいずれか1つに記載の高分子ゲル組成物である。
【0015】
<6> 前記高分子複合体を形成する高分子化合物の一種が少なくともカルボン酸アミド基を含有し、他の高分子化合物の少なくとも一種が、少なくともカルボキシル基を含有することを特徴とする<1>乃至<5>のいずれか1つに記載の高分子ゲル組成物である。
【0016】
<7> 前記三次元架橋体を形成する高分子化合物は、少なくとも一種のイオン性置換基を含むことを特徴とする<1>乃至<6>のいずれか1つに記載の高分子ゲル組成物である。
【0017】
<8> 前記液体と相溶する高分子化合物の一部が架橋構造を有することを特徴とする<1>乃至<7>のいずれか1つに記載の高分子ゲル組成物である。
【0018】
<9> 前記液体と相溶する高分子化合物の一部が連続した架橋構造を有し、前記連続した架橋構造中に前記三次元架橋体を形成する高分子化合物が複数含まれていることを特徴とする<1>乃至<7>のいずれか1つに記載の高分子ゲル組成物である。
【0019】
<10> さらに、連続した架橋構造を有する高分子化合物を含有し、前記連続した架橋構造中に複数の前記三次元架橋体と、前記三次元架橋体と相互作用して高分子複合体を形成する少なくとも一種の高分子化合物とが含まれていることを特徴とする<1>乃至<7>のいずれか1つに記載の高分子ゲル組成物である。
【0020】
<11> 前記三次元架橋体を形成する高分子化合物が、調光用材料を含有することを特徴とする<1>乃至<10>のいずれか1つに記載の高分子ゲル組成物である。
【0021】
<12> <1>乃至<11>のいずれか1つに記載の高分子ゲル組成物を用いることを特徴とする光学素子である。
【0022】
<13> 一対の基板間に、<1>乃至<11>のいずれか1つに記載の高分子ゲル組成物が挟持され、且つ前記基板の端部が封止処理されていることを特徴とする光学素子である。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の高分子ゲル組成物及びそれを用いた光学素子について詳細に説明するが、本発明は、下記基本的構成にのみ限定されるものではない。
<高分子ゲル組成物>
本発明の高分子ゲル組成物は、互いに相互作用して高分子複合体を形成する少なくとも二種の高分子化合物と、液体とを含有する高分子ゲル組成物であって、前記高分子化合物の一種は三次元架橋体(以下、単に三次元架橋体と称することがある。)を形成し、他の高分子化合物の少なくとも一種は前記液体と相溶してその少なくとも一部が前記三次元架橋体に含有されることを特徴とする。
前記高分子複合体を形成する高分子化合物間の相互作用の強度は、後述する温度変化、pH変化、イオン濃度変化などの外部からの刺激によって影響を受ける。その結果、前記高分子複合体を構成する三次元架橋体の体積や光透過性などが変化する。本発明においては、前記高分子複合体は、刺激により可逆的に解離して前記三次元架橋体を形成する高分子化合物が前記液体を吸収・放出することにより体積変化を示す特性を有することが好ましい。高分子化合物間の相互作用の種類としては、互いに高分子複合体を形成できるような相互作用ならば特に限定されないが、好ましくは水素結合、イオン結合などである。
【0024】
また、本発明では前記体積変化をする点を相転移点と呼ぶことがあるが、相転移点とは熱やpH変化等の何らかの外部刺激の付与により、前記三次元架橋体を形成する高分子化合物が膨潤状態から収縮状態へ、あるいは、収縮状態から膨潤状態へと体積変化する際の外部刺激の閾値をいう。例えば、前記三次元架橋体を形成する高分子化合物が、温度変化に応答して体積変化する場合には、前記相転移点とは相転移温度を意味する。
【0025】
−高分子複合体を形成する高分子化合物の組み合わせ−
互いに水素結合をして高分子複合体を形成する高分子化合物の組み合わせとしては、水素結合性基を持った高分子で高分子複合体を形成することのできる公知の高分子の組み合わせであれば特に限定されない。
高分子複合体を形成することのできる高分子化合物の組み合わせは、例えば「高分子錯体−機能と応用 5高分子集合体 学会出版センター」などにその例が述べられている。中でも好ましくはポリ(メタ)アクリル酸とポリ(メタ)アクリルアミド、ポリ(メタ)アクリル酸とポリエチレングリコール、ポリ(メタ)アクリル酸とポリジメチル(メタ)アクリルアミドなどが挙げられる。さらに体積変化特性の観点からポリ(メタ)アクリル酸とポリ(メタ)アクリルアミドの組み合わせが好ましい。なお、これらはホモポリマーとして用いてもよいが互いの水素結合を阻害しない範囲で他のモノマーを共重合したポリマーを用いることも好ましい。
なお、上記の括弧を用いた記述は、括弧内の接頭語を含まない化合物および含む化合物の両方を示しており、例えば(メタ)アクリル酸という記述は、アクリル酸およびメタクリル酸のことを意味するものである。
【0026】
互いにイオン結合をして高分子複合体を形成する高分子化合物の組み合わせとしては、ポリカチオン性の高分子化合物とポリアニオン性の高分子化合物の組み合わせならば特に限定されないが、例えば「高分子錯体−機能と応用 5高分子集合体 学会出版センター」などにその例が述べられている。
より具体的には、ポリアニオンとしてはポリ(メタ)アクリル酸塩などのポリカルボン酸塩、ポリスチレンスルホン酸塩やポリ−2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸などのポリスルホン酸塩などがあげられる。ポリカチオンとしては、ポリアリルアミン塩酸塩、ポリアイオネンなどのポリアンモニウム塩などが挙げられる。また分子内にカチオン性基とアニオン性基の両方をもった高分子も用いることができる。例えばポリ3−ジメチルメタクリロイルオキシエチルアンモニウムプロパンスルホネートなどをあげることができるがこれらに限定されるものではない。また、これらイオン性基を持つ高分子化合物はホモポリマーとして用いてもよいが互いのイオン結合を阻害しない範囲で他のモノマーを共重合したポリマーを用いることも好ましい。
【0027】
また、本発明に係る高分子複合体を形成する高分子化合物に含有される、前記相互作用に寄与可能な置換基の組み合わせは、特に限定されるものではないが、前記高分子複合体を形成する高分子化合物の一種が少なくともカルボン酸アミド基を含有し、他の高分子化合物の少なくとも一種が、少なくともカルボキシル基を含有する組み合わせが好ましい。上記置換基を含有する高分子化合物の組み合わせを用いることにより、カルボン酸アミド基とカルボキシル基の間で水素結合を形成し、前記三次元架橋体を形成する高分子化合物が体積変化することが可能となる。
【0028】
−三次元架橋体を形成する高分子化合物−
本発明において、三次元架橋体を形成する高分子化合物は、公知のゲル作製方法を用いて製造可能である。例えば、モノマーと架橋材を混合して重合する方法、マクロモノマーと架橋材を反応させる方法及び、ポリマーに電子線や中性子線等を照射して架橋する方法、などを用いることができる。これらゲル作製方法については、例えば「ゲルハンドブック」株式会社エヌ・ティー・エスなどに詳述されている。
【0029】
三次元架橋体を形成する高分子化合物の製造に供されるモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミド、メチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル等のアクリル酸エステル等を用いることができる。この中でも(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミドが好ましい。また、本発明の効果を損なわない範囲で他の公知のモノマーを併用してもよい。
なお、上記の(メタ)アクリルアミド等の表現はメタアクリルアミドとアクリルアミドの双方を含むものである。
【0030】
三次元架橋体を形成する高分子化合物の製造に供される架橋剤としては、例えば、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、等のジ(メタ)アクリルアミド誘導体、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリル(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリル酸エステル誘導体、ジビニルベンゼン等のジビニル誘導体、ジアリルフタレート等のジアリル誘導体等を用いることができる。この中でもメチレンビス(メタ)アクリルアミドが好ましい。
【0031】
三次元架橋体を形成する高分子化合物中には、刺激による体積変化量を増大させる目的で、少なくとも一種のイオン性置換基を含有させることが好ましい。イオン性置換基としては、例えば、カルボン酸、スルホン酸、アンモニウム基、りん酸基などがあげられる。前記イオン性置換基の三次元架橋体を形成する高分子化合物中への導入は、前記三次元架橋体を形成する高分子化合物を調製する際に前記イオン性置換基をもつモノマーを共重合する方法、前記三次元架橋体を形成する高分子化合物に前記イオン性置換基をもつモノマーを含浸させて重合しIPN(相互侵入網目構造体)体とする方法および、前記三次元架橋体を形成する高分子化合物中の置換基を部分的に加水分解や酸化反応などの化学反応によってイオン性置換基に変換する方法などによって実施可能である。
【0032】
前記三次元架橋体を形成する高分子化合物中には、その特性を損なわない範囲で、紫外線吸収剤、光安定剤等、種々の安定剤を共重合あるいは結合させることが好ましい。例えば、ヒンダードアミン系やヒンダードフェノール系の化合物や光安定化機能を持つ化合物などを共重合あるいは結合することが好ましく実施できる。
これら安定剤の共重合量あるいは結合量は、前記三次元架橋体を形成する高分子化合物に対して0.01〜5質量%が好ましく、さらに、0.01〜2質量%が好ましく、特に、0.05〜1質量%が好ましい。
【0033】
前記三次元架橋体を形成する高分子化合物の形態は、特に限定されるものではないが、刺激応答特性を考慮すると、粒子状の形態として使用することが好ましい。前記粒子状の形態も特に限定されないが、球体、楕円体、多面体、多孔質体、繊維状、星状、針状、中空状などの形態のものを使用することができる。この中でも球体、楕円体、多面体が好ましい。
【0034】
前記三次元架橋体を形成する高分子化合物が粒子状である場合は、乾燥状態で平均粒径が0.01μm〜50mmであることが好ましく、さらに好ましくは0.1μm〜10mm、特に、1μm〜5mmであることが好ましい。平均粒子径が0.01μm未満となると粒子の凝集等が起こりやすくなり、かつ、使用する場合にその取り扱いが困難となる。一方、50mmを超えると、刺激に対する応答速度が遅くなってしまう問題が生じる場合がある。
【0035】
前記三次元架橋体を形成する高分子化合物からなる粒子は、例えば、高分子ゲル三次元架橋体を形成する高分子化合物を物理的粉砕法等で粒子化する方法、架橋前の高分子化合物を化学的粉砕法等によって粒子化した後に架橋して三次元架橋体を形成する高分子化合物からなる粒子を得る方法、並びに乳化重合法、懸濁重合法及び分散重合法などの粒子化重合法などの一般的な粒子化方法によって製造することができる。また、架橋前の高分子化合物をノズル口金等によって押し出して繊維化し、これを架橋した後に粉砕する方法、あるいは前記繊維を粉砕して粒子化した後に架橋する方法によって三次元架橋体を形成する高分子化合物からなる粒子を製造することも可能である。これらの方法は、目的用途に応じて種々適宜選択することができる。
【0036】
−液体と相溶可能な高分子化合物−
本発明の高分子ゲル組成物では、互いに相互作用可能な少なくとも二種の高分子のうちの少なくとも一種の、液体と相溶可能な高分子化合物(以下、単に液体と相溶可能な高分子と称することがある。)の少なくとも一部が前記三次元架橋体に含有される。本発明における液体と相溶可能な高分子化合物には、その全部が液体に溶解可能な高分子化合物と、部分的に架橋構造を有することによりその一部が液体に溶解可能な高分子化合物との両方が含まれる。
前記液体と相溶可能な高分子化合物を前記三次元架橋体に含有させる方法としては、前記三次元架橋体を、前記液体と相溶可能な高分子化合物を溶解した溶液中に浸漬して前記三次元架橋体の内部に浸透させる方法が挙げられる。この方法に使用可能な高分子化合物としては、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸および(メタ)アクリル酸を含む共重合体、ポリ(メタ)アクリルアミドおよび(メタ)アクリルアミドを含む共重合体、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコールおよびビニルアルコールを含む共重合体等が挙げられる。この中でも、ポリアクリル酸が好ましい。
【0037】
他の方法としては、前記三次元架橋体と前記液体と相溶可能な高分子化合物の前駆体(モノマー等)とを混合して、前記三次元架橋体内部にて前記液体と相溶可能な高分子化合物を形成させて三次元架橋体内部に含有させる方法を挙げることができる。前記液体と相溶可能な高分子化合物の前駆体(モノマー等)の具体例としては、例えば、(メタ)アクリル酸、メチル(メタ)アクリル酸等(メタ)アクリル酸のアルキルエステル、(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミドのアルキル置換体等が挙げられる。この中でも、(メタ)アクリル酸が好ましい。また、本発明の効果を損なわない範囲で他の公知のモノマーを併用してもよい。
【0038】
前記液体と相溶可能な高分子化合物の重量平均分子量は、600〜5,000,000であることが好ましい。さらに好ましくは、2,000〜500,000である。600よりも分子量が小さいと後述する刺激応答性高分子ゲルの応答性が悪くなる恐れがあり、5,000,000よりも大きくなると高分子化合物の溶解性が悪くなり均一な溶液にすることが難しくなること、組成物の粘度が高まり加工性が低下すること、三次元架橋体内部に浸透させる作製法を用いる場合に浸透の速度が遅くなり生産性が悪くなるなどの問題が生じる場合がある。
【0039】
前記液体と相溶可能な高分子化合物は、前記三次元架橋体が吸収することのできる液体に溶解させて用いるが、そのときの濃度は0.2〜30質量%が好ましく、0.2〜10質量%がさらに好ましい。0.2質量%以下では三次元架橋体を形成する高分子と十分な量の高分子複合体を形成することが難しく、30質量%以上になると三次元架橋体を形成する高分子が十分に液体を吸収できなくなり、刺激による体積変化が十分に得られない場合がある。
【0040】
本発明の高分子ゲル組成物では、架橋構造を持つ高分子を加えることもできる。この架橋構造を持つ高分子は、前記液体と相溶可能な高分子化合物の一部でもよい。前記液体と相溶可能な高分子化合物の一部に架橋構造を形成するためには、前記三次元架橋体を、架橋可能な官能基を有し、且つ液体と相溶可能な高分子化合物を溶解した溶液中に浸漬して前記三次元架橋体の内部に前記架橋可能な官能基を有し、且つ液体と相溶可能な高分子化合物を浸透させ、前記架橋可能な官能基を架橋反応させればよい。前記架橋可能な官能基を有し、且つ液体と相溶可能な高分子化合物としては、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸とアリルアミン等の共重合体、(メタ)アクリルアミドとアリルアミンの共重合体、ポリビニルアルコール等の、カルボキシル基、アミノ基、ヒドロキシル基等の官能基を有する高分子化合物と、メタクリル酸グリシジル等の、前記高分子化合物に含有される官能基と結合可能な官能基と架橋可能な官能基とを有する化合物と、を反応させることにより容易に得ることができる。
また前記液体と相溶可能な高分子化合物の一部が架橋可能な官能基をもつ場合、架橋可能な官能基をもつ液体と相溶可能な高分子に分子量の大きなもの、架橋可能な官能基をもたない液体と相溶可能な高分子に分子量の小さなものを用いることも好ましい。このようにすることにより、架橋可能な官能基をもつ液体と相溶可能な高分子は三次元架橋体に浸透しにくくなるため選択的に三次元架橋体外部に存在し、三次元架橋体外部に選択的に架橋構造を構築することが可能となる。この場合架橋可能な官能基を持つ高分子の分子量の好適な範囲は重量平均分子量で100,000−3,000,000の範囲が好ましい。さらに好ましくは250,000−1,500,000の範囲である。
【0041】
前記液体と相溶可能な高分子化合物の一部が架橋構造を有すると、本発明の高分子ゲル組成物を増粘することにより三次元架橋体粒子の分散安定性を向上させたり、所望の形態に加工したりすることが可能になる。また、高分子ゲル組成物の機械的な強度が向上するなどの効果も期待できる。
【0042】
本発明の高分子ゲル組成物は、前記液体と相溶する高分子化合物の一部が連続した架橋構造を有し、前記連続した架橋構造中に前記三次元架橋体を形成する高分子化合物が複数含まれている態様であってもよい。前記液体と相溶する高分子化合物の一部に連続した架橋構造を形成する方法は、前述の架橋構造の形成方法と同様の方法を用いることができる。
【0043】
さらに、本発明の高分子ゲル組成物は、互いに相互作用して高分子複合体を形成する少なくとも二種の高分子化合物と、前記高分子複合体を形成する少なくとも二種の高分子化合物以外の他の連続した架橋構造を有する高分子化合物と、液体とを含有する高分子ゲル組成物であって、前記高分子複合体を形成する高分子化合物の一種は三次元架橋体を形成し、他の高分子化合物の少なくとも一種は前記液体と相溶してその少なくとも一部が前記三次元架橋体に含有され、前記連続した架橋構造中に、複数の前記三次元架橋体と、前記三次元架橋体と相互作用して高分子複合体を形成する少なくとも一種の高分子化合物とが含まれた態様であってもよい。
【0044】
前記連続した架橋構造を有する高分子化合物の前駆体としては、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリル酸グリシジルとの反応生成物、ポリ(メタ)アクリル酸とアリルアミンとの反応性生物などの不飽和二重結合基を有するポリ(メタ)アクリレート、不飽和二重結合基を有するポリビニルアルコール、その他公知の架橋可能な高分子を用いることができる。この中でも、ポリ(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリル酸グリシジルとの反応生成物、不飽和二重結合基を有するポリビニルアルコールが好ましい。前記前駆体を熱や光によって架橋反応することにより前記連続した架橋構造を有する高分子化合物を得ることができる。また、前述した架橋可能な官能基を有し、且つ液体と相溶可能な高分子化合物を前駆体として用いてもよい。
【0045】
本発明の高分子ゲル組成物において、前記液体と相溶する高分子化合物の一部が架橋構造を有する場合、その架橋密度は前記三次元架橋体よりも低く、高分子ゲル組成物の流動を防止できる程度であることが好ましい。
【0046】
−液体−
本発明の高分子ゲル組成物では、前記三次元架橋体を形成する高分子化合物が刺激に応答して液体を吸収・放出し、その体積を変化させる特性を有することが好ましい。前記三次元架橋体を形成する高分子化合物が吸収・放出するための液体の具体例としては、水や、必要に応じて水と相溶可能な液体、たとえば、メタノール、エタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリンなどの低級アルコール、アセトンやメチルエチルケトンなどのケトン類、THF、1,4−ジオキサン、ジエチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテルなどのエーテル類、酢酸エチルなどのエステル類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、尿素等が挙げられる。また、ポリビニルアルコール、ポリ(メタ)アクリルアミドやその誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキシドやこれら高分子を含む共重合体を用いることも好ましい。これらのうち、前記三次元架橋体を形成する高分子化合物の体積変化特性の観点から、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、エチレングリコールモノエチルエーテルなどの一価アルコール類が好ましい。
前記液体は、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
【0047】
本発明においては、前記液体に対して上記の成分に、酸性度を調整する目的で酸性化合物や塩基性化合物を添加しても良い。また、必要に応じて相溶性のある各種添加剤、たとえば、着色剤、可塑剤、界面活性剤、安定剤、基板、UV吸収剤、酸化防止剤、抗菌剤、防腐剤や基板との密着性を高めるためのカップリング剤、塗工方法にあった粘度にするための粘度調整剤等を適宜、添加、配合することができる。
【0048】
−刺激−
本発明の高分子ゲル組成物では、刺激により前記高分子複合体が可逆的に解離して、前記三次元架橋体を形成する高分子化合物が前記液体の吸収・放出により体積変化を示す特性を有することが好ましい。本発明に用いられる刺激の種類としては、高分子複合体の相互作用の強さを変化させるものであれば特に限定されないが、具体的には熱、pH変化、溶媒の組成変化、化学物質の添加などが挙げられる。この中でも、刺激として熱を用いることにより、例えば、温度変化などの環境変化によって自律的に応答可能な光学素子を作製できるため好ましい。該光学素子は、低コストかつ効果が高いために光学素子として有効である。
【0049】
特に、前記刺激が熱である場合に、前記高分子複合体が体積変化を示す温度(相転移温度)は、高分子複合体を形成する高分子化合物の構造、組成により種々の設計が可能である。
本発明において、好ましい相転移温度は−5〜80℃であり、中でも、10〜60℃が好ましい。相転移温度を−5〜80℃に設定することにより自然界の温度変化(気温や水温)等に応じて自律的に応答可能な光学素子を作製できるため好ましい。
【0050】
−調光用材料−
本発明の高分子ゲル組成物は、アクチュエーター(人工筋肉)・ドラックデリバリーシステム・センサーなど広範な用途に用いることができその用途は特に限定されないが、光学素子としても好ましく用いることができる。光学素子などの光学材料として用いる場合、前記三次元架橋体は、それ自身でも体積変化にともない光散乱性が変化するという調光性能を示すが、より大きな調光特性や色変化を発現するためは、三次元架橋体が調光用材料を含むことが好ましい。
【0051】
前記調光用材料としては、染料、顔料や光散乱材などが挙げられる。また調光用材料は三次元架橋体の内部およびその表面の少なくとも一方に物理的あるいは化学的に固定化されることが好ましい。
前記染料の好適な例としては、例えば、黒色のニグロシン系染料や赤、緑、青、シアン、マゼンタ、イエローなどのカラー染料であるアゾ染料、アントラキノン系染料、インジゴ系染料、フタロシアニン系染料、カルボニウム染料、キノンイミン染料、メチン染料、キノリン染料、ニトロ染料、ベンゾキノン染料、ナフトキノン染料ナフタルイミド、染料、ベリノン染料などが挙げられ、特に光吸収係数が高いものが望ましい。
【0052】
具体的には、例えば、C.I.ダイレクトイエロー1、8、11、12、24、26、27、28、33、39、44、50、58、85、86、87、88、89、98、157、C.I.アシッドイエロー1、3、7、11、17、19、23、25、29、38、44、79、127、144、245、C.I.ベイシックイエロー1、2、11、34、C.I.フードイエロー4、C.I.リアクティブイエロー37、C.I.ソルベントイエロー6、9、17、31、35、100、102、103、105、C.I.ダイレクトレッド1、2、4、9、11、13、17、20、23、24、28、31、33、37、39、44、46、62、63、75、79、80、81、83、84、89、95、99、113、197、201、218、220、224、225、226、227、228、229、230、231、C.I.アシッドレッド1、6、8、9、13、14、18、26、27、35、37、42、52、82、85、87、89、92、97、106、111、114、115、118、134、158、186、249、254、289、C.I.ベイシックレッド1、2、9、12、14、17、18、37、;
【0053】
C.I.フードレッド14、C.I.リアクティブレッド23、180、C.I.ソルベントレッド5、16、17、18、19、22、23、143、145、146、149、150、151、157、158、C.I.ダイレクトブルー1、2、6、15、22、25、41、71、76、78、86、87、90、98、163、165、199、202、C.I.アシッドブルー1、7、9、22、23、25、29、40、41、43、45、78、80、82、92、93、127、249、C.I.ベイシックブルー1、3、5、7、9、22、24、25、26、28、29、C.I.フードブルー2、C.I.ソルベントブルー22、63、78、83〜86、191、194、195、104、C.I.ダイレクトブラック2、7、19、22、24、32、38、51、56、63、71、74、75、77、108、154、168、171、C.I.アシッドブラック1、2、7、24、26、29、31、44、48、50、52、94、C.I.ベイシックブラック2、8、C.I.フードブラック1、2、C.I.リアクティブブラック31、C.I.フードバイオレット2、C.I.ソルベントバイオレット31、33、37、C.I.ソルベントグリーン24、25、C.I.ソルベントブラウン3、9等が挙げられる。
これらの染料は、単独で使用してもよく、さもなければ所望とする色を得るために混合して使用してもよい。
【0054】
また、染料を三次元架橋体に固定するために、不飽和二重結合基などの重合可能な基を有した構造の染料や三次元架橋体と反応可能ないわゆる反応性染料などが好ましく使用される。
また、三次元架橋体中に含有させる染料の好ましい濃度は、3〜50質量%の範囲であり、特に好ましくは5〜30質量%の範囲である。このように染料濃度は少なくとも三次元架橋体の乾燥あるいは収縮状態において飽和吸収濃度以上であることが望ましい。ここで、飽和吸収濃度以上とは、特定の光路長のもとにおける染料濃度と光学濃度(あるいは光吸収量)の関係が一次直線の関係から大きく乖離するような高い染料濃度の領域を示す。
【0055】
一方、顔料および光散乱材の好適な具体例としては、黒色顔料であるブロンズ粉、チタンブラック、各種カーボンブラック(チャネルブラック、ファーネスブラック等)、白色顔料である酸化チタン、シリカなどの金属酸化物、炭酸カルシウムや金属紛などの光散乱材やカラー顔料である例えば、フタロシアニン系のシアン顔料、ベンジジン系のイエロー顔料、ローダミン系のマゼンタ顔料、あるいはこの他にもアントラキノン系、アゾ系、アゾ金属錯体、フタロシアニン系、キナクリドン系、ペリレン系、インジゴ系、イソインドリノン系、キナクリドン系、アリルアミド系などの各種顔料や光散乱材を挙げることができる。
【0056】
例えば、イエロー系顔料としては、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アンスラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物、アリルアミド化合物に代表される化合物が用いられる。より詳細には、C.I.ピグメントイエロー12、13、14、15、17、62、74、83、93、94、95、109、110、111、128、129、147、168等が好適に用いられる。
【0057】
またマゼンタ系顔料としては、縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アンスラキノン、キナクリドン化合物、レーキ顔料、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、ペリレン化合物が用いられる。より詳細には、C.I.ピグメントレッド2、3、5、6、7、23、48;2、48;3、48;4、57;1、81;1、144、146、166、169、177、184、185、202、206、220、221、254が特に好ましい。
【0058】
シアン系顔料としては、銅フタロシアニン化合物及びその誘導体、アンスラキノン化合物、塩基染料レーキ化合物等が利用できる。具体的には、例えば顔料としては、C.I.ピグメントブルー1、7、15、15:1、15:2、15;3、15:4、60、62、66等が特に好適に利用できる。
【0059】
また、使用する顔料や光散乱材の粒径は、1次粒子の平均粒径で0.001μm〜1μmのものが好ましく、特に0.01μm〜0.5μmのものが好ましい。粒径が0.01μm以下では、三次元架橋体中に含まれる顔料や光散乱材の流出が起こりやすくなる場合があり、0.5μm以上では発色特性が悪くなる場合がある。
【0060】
上記したような三次元架橋体中に含まれる顔料や光散乱材の流出は、確実に防止されることが好ましい。そのためには、三次元架橋体の架橋密度を最適化して顔料や光散乱材を三次元架橋体の網目構造中に物理的に閉じ込めること、三次元架橋体との電気的、イオン的、その他物理的な相互作用が高い顔料や光散乱材を用いること、表面を化学修飾した顔料や光散乱材を用いることなどが好ましい。
【0061】
例えば、表面を化学修飾した顔料や光散乱材としては、表面にビニル基などの不飽和基や不対電子(ラジカル)などの三次元架橋体と化学結合する基を導入したものや、高分子材料をグラフト結合したものなどが挙げられる。
【0062】
このような調光用材料の添加量としては、三次元架橋体の乾燥時又は収縮時に、飽和吸収濃度あるいは飽和散乱濃度以上となる量を添加することが好ましい。ここで、飽和吸収(あるいは飽和散乱)濃度以上とは、特定の光路長のもとにおける調光用材料濃度と光吸収量の関係が1次直線の関係から大きく外れる領域のことを示す。三次元架橋体に、前記濃度以上となるように調光用材料を添加することによって、三次元架橋体が膨潤・収縮を起こし、その結果光学濃度および/又は散乱を変化させることができる。
【0063】
飽和吸収濃度あるいは飽和散乱濃度以上となる調光用材料の濃度は、一般に3質量%以上であり、中でも、3〜95質量%の範囲を三次元架橋体に添加することが好ましく、より好ましくは5〜80質量%の範囲であり、特に好ましくは10〜50質量%の範囲である。3質量%未満となると、調光用材料を添加した効果が十分に得られず、95質量%を超えると、三次元架橋体の特性が低下してしまう恐れがある。
【0064】
本発明の高分子ゲル組成物を調光材料として用いる場合の体積変化量は、特に限定されないが、体積変化量の大きいほうが光学濃度変化の観点から好ましく、膨潤時および収縮時の体積比が、3以上、中でも5以上が好ましく、特に15以上が好ましい。また、本発明の刺激応答性高分子ゲルの体積変化は、可逆的であるものでも不可逆的であるものでもよいが、調光素子、表示素子及びセンサーなどの光学素子並びに装飾品として利用する場合は、可逆的なものであることが好ましい。
【0065】
<光学素子>
互いに相互作用して高分子複合体を形成する少なくとも二種の高分子化合物と、液体とを含有する高分子ゲル組成物であって、前記高分子化合物の一種は三次元架橋体を形成し、他の高分子化合物の少なくとも一種は前記液体と相溶してその少なくとも一部が前記三次元架橋体に含有されることを特徴とする本発明の高分子ゲル組成物は、光学素子の材料として好適に用いることができる。以下に、本発明の高分子ゲル組成物を用いた本発明の光学素子を、図面を用いて詳細に説明する。
図1は、本発明の光学素子の一例の模式断面図を示したものである。光学素子10において、三次元架橋体1と液体2とから構成される高分子ゲル組成物3は、平行に配置された基板4及び4’の間に挟持され、前記基板4及び4’の端部が封止剤5によって封止処理されている。液体2には、液体2に相溶可能な高分子化合物が含有される。三次元架橋体1と液体2に相溶可能な高分子化合物とは、互いに相互作用して高分子複合体を形成する。
【0066】
高分子ゲル組成物3の厚み、すなわち基板4及び4’の間隔は、特に限定されるものではないが、1μm〜3mmの範囲内が好ましく、20μm〜1000μmの範囲内がより好ましい。厚みが、1μmよりも薄くなると厚み方向の光路長が短いために所望の光学濃度が得られないなどの問題が生じる場合があり、3mmよりも厚くなると高分子ゲル組成物3に含まれる三次元架橋体1の応答性が悪くなる場合や、三次元架橋体1が厚み方向に必要以上に積層してしまい、十分な透過率が得られないなどの問題が生じる場合がある。さらに、液体と相溶する高分子化合物の一部が連続した架橋構造を有する場合等には、厚みが、1μmよりも薄くなると、機械的な強度が弱くなる問題を生ずることがある。
【0067】
また、本発明の光学素子の材料として、前記液体と相溶可能な高分子化合物の一部が架橋構造を有する高分子ゲル組成物を用いると、高分子ゲル組成物を板状、フィルム状またはシート状に成形して光学素子を得ることが可能になる。さらに、粒子状の三次元架橋体の一つを単独で光学素子として用いることも可能である。
【0068】
次に、高分子ゲル組成物3の作用について、図2を用いて説明する。既述したように高分子ゲル組成物3は、溶液2中の三次元架橋体1が、外部刺激によって液体を吸収・放出し、図2(a)に例示するように膨潤し、あるいは、図2(b)に例示するように収縮して、体積変化を引き起こすことができる。そしてこの際の体積変化に応じて、光の透過性等が、散乱や回折によって変化する。
【0069】
また、三次元架橋体1に、飽和吸収濃度または飽和散乱濃度以上の調光用材料を含有させた場合は、三次元架橋体1の体積変化に応じて光の吸収効率が変化し、光学濃度を変化させることができる。具体的には三次元架橋体1の膨潤時(図2(a))には光学濃度が高くなり、収縮時(図2(b))には光学濃度が低くなる。
上記に示したような光学的特性を有する本発明の高分子ゲル組成物は、調光素子、表示素子などの光学素子の材料として利用することができる。
【0070】
次に、基板4、4’として用いることのできる材料について述べる。基板4、4’としては例えばガラスなどの透明基板を用いることができるが、可とう性のあるフイルム基板を用いた場合には、可とう性のある光学素子を得ることができる。なお、基板4、4’上には保護層、吸脱液体の蒸発防止層など他の構成層が形成させていても構わない。
【0071】
前記基板4、4’の材料としては、ポリエステル、ポリイミド、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリカーボネート、ポリエーテルスルフォン、セルロース誘導体、シリコーン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリアセタール系樹脂などの高分子のフイルムや板状基板、ガラス基板、金属基板、セラミック基板などの無機基板を使用することができる。
【0072】
なお、基板4あるいは基板4’の少なくとも一方は光学的に透明であることが必要である。また、光学素子10が、透過型光学素子である場合には、基板4および基板4’は透明であるこが好ましい。基板4、4’の厚みや大きさは、特に限定されないが、光学素子10を用いて作製される表示素子のサイズに合わせて様々なものが利用でき、厚みに関しては、10μmから20mmの範囲内が好ましい。
【0073】
本発明の高分子ゲル組成物をフイルム状にして用いる場合の基板となるフイルム基板としては、ポリエステル、ポリイミド、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリカーボネート、ポリエーテルスルフォン、セルロース誘導体、フッ素樹脂、シリコーン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリアセタール系樹脂、金属フイルムなどが使用できる。フィルム状の高分子ゲル組成物を用いる場合、図1に示す光学素子10において、基板4の厚みは、10μm〜10mmの範囲内から選択され、高分子ゲル組成物3の厚みは5μm〜10mmの範囲から選択されることが好ましい。
【0074】
なお、封止材5は、必要に応じて設けることが好ましいが、図3に示す光学素子10’のように、封止材5を有さないものであってもよい。
封止剤5の材料としては、液体2の蒸発を抑制する能力を有し、基板4、4’に対する接着性を有し、調光組成物の特性に悪影響を与えず、実使用条件においてこれらの条件を長期間満たすものであれば、どのような材料を用いてもよい。また複数の封止剤を組み合わせて構成することも可能である。
【0075】
封止材および封止方法は、光学素子の開口部面積の確保、工程簡略化による加工コスト等を考慮すると、1層の封止が好ましい。1層で封止を行うときの封止材としては、末端に反応基を有するイソブチレンオリゴマーを主体とした熱硬化型弾性シーリング材等の使用が例示できる。また、2層で封止するときには、1次封止にポリイソブチレン系シーラント等が、2次封止としてアクリル樹脂等が例示できる。その他、ガラス、セラミックスなどの無機材料、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、およびこれらの共重合体などのポリエステル、ポリカーボネート、ポリエーテルサルフォン、ポリサルフォン、ポリイミド、ポリアリレートなども適用できる。なお、封止剤5および封止方法は上記例示に限定されるものではなく、多種多様なものが選択でき、かつ、それらを組み合わせて使用してもよい。これらの封止剤5は、特にガスバリア性の高いものが好ましく用いられる。
【0076】
本発明の光学素子は、例えば気温の変化、太陽光量の変化などの自然エネルギーによって調光や表示を行うことができるが、刺激付与手段を設けることで、能動的に調光することもできる。この場合、刺激付与手段は高分子複合体に実質的に既述したような外部刺激を付与するものであり、通電発熱抵抗体のほかに光付与、電磁波付与、磁場付与などの各種熱付与手段が挙げられる。なかでも特に通電発熱抵抗体が好ましく適用され、具体的にはNi−Cr合金などに代表される金属層、硼化タンタル、窒化タンタル、酸化タンタル、やITOなどの金属酸化物層、カーボン層などに代表されるの発熱抵抗体層が好ましく用いられ、これらの層に配線し電流を付与することにより発熱させることができる。またその他にも、光付与の場合は、レーザー、LED、ELなどの発光素子層を用いること、磁界や電磁波の付与は電磁コイル、電極等を設けることで能動的な調光を実現できる。
【0077】
また、前記した熱刺激付与手段はパターン化、セグメント化させて任意の部位を調光させることも好ましく実施される。また、これらのパターンに対応して特定の特性を有する高分子ゲルを分散させた高分子ゲル組成物を配置することも好ましく実施される。
【0078】
また、本発明の光学素子は、図1や図3に示した構成のみに限定されるものではなく、図1や図3に示す高分子ゲル組成物3や基板4、4’以外の様々な構成を有してもよい。例えば、光学素子の保護を目的とした保護層、防汚染層、反射防止層、紫外線吸収層、帯電防止層、内部液体の蒸発防止層などを必要に応じて設けることができる。
【0079】
以上、本発明の好ましい実施の形態を説明したが、本発明はその要旨の範囲内で、様々な変形や変更が可能である。
【0080】
【実施例】
以下、実施例を用いて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は下記実施例によって何ら制限されるものではない
[実施例1〜13]
(三次元架橋体Aの合成)
三次元架橋体Aを以下のようなプロセスにより製造した。
アクリルアミド90.0g、架橋剤としてのメチレンビスアクリルアミド0.36g、蒸留水366gを攪拌混合しアクリルアミドと架橋材を水中に完全に溶解し、水溶液Bを調製した。さらにこの水溶液Bに窒素を30分間導入して酸素を除いた後、重合開始剤である過硫酸アンモニウム0.48gを水5.0mlに溶解したものを添加した。
【0081】
ソルビトール系界面活性剤(SO−15R、日光ケミカルズ(株)製)130.0gをシクロヘキサン2.4Lに溶解した溶液を窒素置換された反応容器に加え、これに、先に調製した水溶液Bを添加し、回転式攪拌装置を用いて1200rpmで20分攪拌して懸濁させ、懸濁液とした。この懸濁液にテトラメチルエチレンジアミン7.0mlを加えて15℃にて300rpmで攪拌しながら3時間、重合を行った。重合終了後、デカンテーションでシクロヘキサンを大部分取り除いたあとジメチルホルムアミド1L加えて洗浄した。さらにデカンテーションでジメチルホルムアミドを除いたあと大量の蒸留水で洗浄することで精製し、三次元架橋体A(アクリルアミドゲル)の粒子を得た。
【0082】
(調光材料を含有した三次元架橋体Cの合成)
調光材料を含有した三次元架橋体Cを以下のようなプロセスにより製造した。
アクリルアミド90.0g、架橋剤としてのメチレンビスアクリルアミド0.36g、カーボンブラック顔料水分散液(TBK−BC3 大成加工(株)製、顔料分15.1質量%)144.0g、蒸留水231gを攪拌混合しアクリルアミドと架橋材をカーボンブラック分散液中に完全に溶解し、水溶液Dを調製した。さらにこの水溶液Dに窒素を20分間導入して酸素を除いた後、重合開始剤である過硫酸アンモニウム1.6gを水5mlに溶解したものを添加した。
【0083】
ソルビトール系界面活性剤(SO−15R、日光ケミカルズ(株)製)130.0gをシクロヘキサン2.4Lに溶解した溶液を窒素置換された反応容器に加え、これに、先に調製した水溶液Dを添加し、回転式攪拌装置を用いて1200rpmで20分攪拌して懸濁させ、懸濁液とした。この懸濁液にテトラメチルエチレンジアミン7.0mlを加えて15℃にて300rpmで攪拌しながら3時間、重合を行った。重合終了後、デカンテーションでシクロヘキサンを大部分取り除いたあとジメチルホルムアミド1L加えて洗浄した。さらにデカンテーションでジメチルホルムアミドを除いたあと大量の蒸留水で洗浄することで精製し、調光材料を含有した三次元架橋体C(アクリルアミドゲル)の球形粒子を得た。
【0084】
(イオン性成分を含有した三次元架橋体Eの合成)
イオン性成分と調光材料を含有した三次元架橋体Eを以下のようなプロセスにより製造した。
アクリルアミド3.0g、架橋剤としてのメチレンビスアクリルアミド12.0mg、イオン性成分として2−アクリルアミドー2−メチルプロパンスルホン酸88.2mg、1.25M水酸化ナトリウム水溶液0.37ml、蒸留水4.32gを溶解した溶液にカーボンブラック顔料水分散液(TBK−BC3 大成加工(株)製、顔料分15.1質量%)8.5gを攪拌混合し、水溶液Fを調製した。さらにこの水溶液Fに窒素を20分間導入して酸素を除いた後、重合開始剤である過硫酸アンモニウム0.106gを水0.5mlに溶解したものを添加した。
【0085】
ソルビトール系界面活性剤(SO−15R、日光ケミカルズ(株)製)9.0gをシクロヘキサン300mlに溶解した溶液を窒素置換された反応容器に加え、これに、先に調製した水溶液Fを添加し、回転式攪拌装置を用いて1200rpmで20分攪拌して懸濁させ、懸濁液とした。この懸濁液にテトラメチルエチレンジアミン0.5mlを加えて15℃にて300rpmで攪拌しながら3時間、重合を行った。重合終了後、デカンテーションでシクロヘキサンを大部分取り除いたあとジメチルホルムアミド1L加えて洗浄した。さらにデカンテーションでジメチルホルムアミドを除いたあと大量の蒸留水で洗浄することで精製し、膨潤状態での平均粒子径が約50μmの調光用材料を含有した三次元架橋体E(アクリルアミドゲル)の球形粒子を得た。
【0086】
[比較例1]
(IPN構造をもつ高分子ゲル組成物の製造−1)
アクリルアミド90.0g、架橋剤としてのメチレンビスアクリルアミド0.36g、蒸留水366gを攪拌混合しアクリルアミドと架橋剤を水中に完全に溶解した。この溶液に窒素を30分間導入して酸素を除いた後、重合開始剤である過硫酸アンモニウム0.48gを水5.0mlに溶解したものを添加し、重合を開始した。3時間重合したところ反応物全体が硬化したアクリルアミドゲルが得られた。大量の水で洗浄して精製した後、2cm角に切り出して真空乾燥した。
【0087】
次に、第2の成分であるアクリル酸を含ませたIPN構造のゲルを作製しそれを粉砕して粒子状のIPN構造をもつ高分子ゲル組成物を作成することを目的とする処理を行った。第2の成分であるアクリル酸を浸透させるため、この乾燥したアクリルアミドゲルをアクリル酸360gを含む水溶液(全体量3.6L)に投入した。室温で2日間放置した後にこの溶液に重合開始剤として過硫酸アンモニウム1.8gを添加し、60℃で6時間重合を行った。重合して生成したIPN構造を有すると考えられる高分子ゲルを粉砕して体積変化を確認したところ一部は体積変化をするものの、大部分は体積変化せず、不均一の特性であることが判明した。
【0088】
[比較例2]
(IPN構造をもつ高分子ゲル組成物の製造−2)
三次元架橋体C粒子の水分散液(固形分濃度約3質量%)10gに対し、アクリル酸0.3g、架橋剤としてのメチレンビスアクリルアミド0.02g、及び蒸留水2.0gを2つ口ナス型フラスコ中で混合し、窒素置換後、窒素雰囲気下、室温で1時間放置し、これに過硫酸アンモニウム0.009gを水0.5gに溶解したものを添加し、混合液を得た。この混合液を70℃に加熱して6時間重合したところアクリル酸が重合し溶液全体がバルク状のゲルとなってしまい、三次元架橋体C粒子がアクリル酸とIPN構造をもった粒子を回収することはできなかった。
【0089】
(高分子ゲル組成物の調製と機能評価)
得られた三次元架橋体A,C,E粒子の水分散液(固形分濃度約3質量%)1.0gをポリアクリル酸溶液3.0gに添加して高分子ゲル組成物を調整した。調製した高分子ゲル組成物の組成を表1に示す。各溶液にはpHを調製する目的でポリアクリル酸のアクリル酸残基に対して3%の水酸化ナトリウムを添加した。
【0090】
【表1】
Figure 2004285251
【0091】
これら高分子ゲル組成物を1穴スライドガラス上にとりホットプレート上で温度変化させながらその体積変化特性を光学顕微鏡で観測した。観測は高分子ゲル組成物を調整した後1時間経過してから行った。顕微鏡観察により三次元架橋体の半径を測定してその体積を求めた。体積変化量は下記式1で定義される。
【0092】
体積変化量 = (60℃のときの体積)/(10℃のときの体積) (式1)
【0093】
これら測定の結果を表1に示した。
この結果から、溶液中に前記三次元架橋体と高分子複合体を形成可能な高分子化合物を含有させることによって前記三次元架橋体が大きく体積変化していることがわかる。本発明の高分子ゲル組成物を構成する三次元架橋体は、外界の刺激に応じて体積変化が可能である。
【0094】
[実施例14]
以下のプロセスにて、本発明の高分子ゲル組成物を用いた光学素子を作製した。
20質量%ポリアクリル酸水溶液(重量平均分子量 25,000)1.0g、6.2質量%ポリアクリル酸水溶液(重量平均分子量 1,250,000)4.8g、1.25mol/L水酸化ナトリウム0.166ml、蒸留水2.0g、メタノール2.0gを混合してポリアクリル酸水溶液Gを調整した。
さらにポリアクリル酸水溶液G2.0gに対して三次元架橋体E分散液(固形分濃度約3.0%)を2.0g加えて遊星式分散機(倉敷紡績(株)製KK−100)で3分間分散して三次元架橋体粒子を溶液中に均一に分散した。この分散液を粒径100μmのポリスチレンビーズをスペーサとして用いて、2枚のガラス基板間(50x50x0.9mm)に挟持した。基板の端面を紫外線硬化樹脂(日本化薬製 KAYARAD R381−I)でコートし、紫外線照射(高圧水銀灯、120W/cm、照射距離20cm,30秒間照射)を行うことによって封止し、光学素子1を得た。
【0095】
[実施例15]
ポリアクリル酸(重量平均分子量250,000)の20質量%水溶液、20gに対し、メタクリル酸グリシジル0.5gを加え、室温で24時間攪拌し反応させ、架橋基としてメタクリレート基を有するポリアクリル酸を調製した。この溶液に対して光開始剤(チバスペシャリティケミカル製 イルガキュア2959)を0.8gと純水80gとポリアクリル酸(重量平均分子量25,000)3gを加えてポリアクリル酸水溶液Hを調製した。この溶液2.0gに対して三次元架橋体E分散液(固形分濃度約3.0%)を2.0g加えて遊星式分散機(倉敷紡績(株)製KK−100)で3分間分散して三次元架橋体粒子を溶液中に均一に分散した。この分散液を粒径100μmのポリスチレンビーズをスペーサとして用いて、2枚のガラス基板間(50x50x0.9mm)に挟持し、紫外線を照射(高圧水銀灯、160 W/cm, 150 sec, 照射距離 40cm)ところ、ポリアクリル酸溶液部分がゲル化し自己保持製のある硬化物が得られた。基板の端面を紫外線硬化樹脂(日本化薬製 KAYARAD R381−I)でコートし、紫外線照射(高圧水銀灯、120 W/cm、照射距離 20 cm, 30秒間照射)を行うことによって封止し、光学素子2を得た。
【0096】
(機能評価)
作成した光学素子の温度変化による透過率、透過率変化幅、三次元架橋体の収縮時(10℃)、膨潤時(60℃)の体積変化量を測定した。三次元架橋体の体積変化量は顕微鏡観察による三次元架橋体粒子が刺激応答した時の膨潤時と収縮時の体積変化量とした。また、日本電色製NDH2000を使用して全光線透過率の測定を行った(JIS K7361−1)。
結果を表2に示す。
【0097】
【表2】
Figure 2004285251
【0098】
実施例1及び2の光学素子は、温度変化に応じて全光線透過率変化も40%以上と大きく変化することが示された。
【0099】
【発明の効果】
本発明の高分子ゲル組成物は、従来のようなIPN化工程が不要で製造性よく作製することができる。さらに、従来のIPNゲルではIPNゲル作製時に合成されたゾル分が次第にIPNゲル内部から流出してIPNゲルの組成が変化する、また一度膨潤することにより、ポリマー間の絡み合いが減少して収縮しにくくなるなど、その特性が初期のものから変化する場合があったが、本構成の高分子ゲル組成物では三次元架橋体内部に平衡的に高分子複合体を形成できる液体と相溶可能な高分子が含有されるため、長期にわたって安定した特性を提供できる。
また、本発明の光学素子は、材料として本発明の高分子ゲル組成物を用いるため長期にわたって安定した光学特性を示す光学素子を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光学素子の一例の模式断面図を示した図である。
【図2】高分子ゲル組成物3の作用の説明のための図である。
【図3】本発明の光学素子の他の一例の模式断面図を示した図である。
【符号の説明】
1 三次元架橋体
2 液体
3 高分子ゲル組成物
4,4’ 基板
5 封止剤
10、10’ 光学素子

Claims (13)

  1. 互いに相互作用して高分子複合体を形成する少なくとも二種の高分子化合物と、液体とを含有する高分子ゲル組成物であって、前記高分子化合物の一種は三次元架橋体を形成し、他の高分子化合物の少なくとも一種は前記液体と相溶してその少なくとも一部が前記三次元架橋体に含有されることを特徴とする高分子ゲル組成物。
  2. 刺激により前記高分子複合体が可逆的に解離して、前記三次元架橋体を形成する高分子化合物が前記液体の吸収・放出により体積変化を示すことを特徴とする請求項1に記載の高分子ゲル組成物。
  3. 前記三次元架橋体が粒子状であることを特徴とする請求項1又は2に記載の高分子ゲル組成物。
  4. 前記刺激が熱であることを特徴とする請求項2又は3に記載の高分子ゲル組成物。
  5. 前記高分子複合体の相転移温度が−5〜80℃であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の高分子ゲル組成物。
  6. 前記高分子複合体を形成する高分子化合物の一種が少なくともカルボン酸アミド基を含有し、他の高分子化合物の少なくとも一種が、少なくともカルボキシル基を含有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の高分子ゲル組成物。
  7. 前記三次元架橋体を形成する高分子化合物は、少なくとも一種のイオン性置換基を含むことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の高分子ゲル組成物。
  8. 前記液体と相溶する高分子化合物の一部が架橋構造を有することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の高分子ゲル組成物。
  9. 前記液体と相溶する高分子化合物の一部が連続した架橋構造を有し、前記連続した架橋構造中に前記三次元架橋体を形成する高分子化合物が複数含まれていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の高分子ゲル組成物。
  10. さらに、連続した架橋構造を有する高分子化合物を含有し、前記連続した架橋構造中に複数の前記三次元架橋体と、前記三次元架橋体と相互作用して高分子複合体を形成する少なくとも一種の高分子化合物とが含まれていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の高分子ゲル組成物。
  11. 前記三次元架橋体を形成する高分子化合物が、調光用材料を含有することを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の高分子ゲル組成物。
  12. 請求項1乃至11のいずれか1項に記載の高分子ゲル組成物を用いることを特徴とする光学素子。
  13. 一対の基板間に、請求項1乃至11のいずれか1項に記載の高分子ゲル組成物が挟持され、且つ前記基板の端部が封止処理されていることを特徴とする光学素子。
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