JP2008046547A - 高分子ゲルの固定化方法、及び光学素子の製造方法 - Google Patents

高分子ゲルの固定化方法、及び光学素子の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2008046547A
JP2008046547A JP2006224212A JP2006224212A JP2008046547A JP 2008046547 A JP2008046547 A JP 2008046547A JP 2006224212 A JP2006224212 A JP 2006224212A JP 2006224212 A JP2006224212 A JP 2006224212A JP 2008046547 A JP2008046547 A JP 2008046547A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polymer gel
substrate
fixing
meth
dispersion medium
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2006224212A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2008046547A5 (ja
Inventor
Masahiro Moriyama
正洋 森山
Masato Mikami
正人 三上
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Business Innovation Corp
Original Assignee
Fuji Xerox Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fuji Xerox Co Ltd filed Critical Fuji Xerox Co Ltd
Priority to JP2006224212A priority Critical patent/JP2008046547A/ja
Publication of JP2008046547A publication Critical patent/JP2008046547A/ja
Publication of JP2008046547A5 publication Critical patent/JP2008046547A5/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Electrochromic Elements, Electrophoresis, Or Variable Reflection Or Absorption Elements (AREA)
  • Processes Of Treating Macromolecular Substances (AREA)

Abstract

【課題】環境に影響され難く、均一に高分子ゲルを基板に固定化可能な高分子ゲルの固定化方法、及びそれを利用した光学素子の製造方法を提供すること。
【解決手段】例えば、容器22の底に、固定用基板20を配置する。高分子ゲル12を含む分散媒12Aを容器22内に流し込む。これにより、固定用基板20を分散媒12Aに浸漬させる状態にする。そして、高分子ゲル12を固定用基板20に沈殿させ接触させる。これにより、固定用基板20の固定領域24上に高分子ゲル12が固定化される。このような固定化方法において、分散媒12Aに沸点100〜250℃の水溶性有機溶媒を含ませる。
【選択図】図2

Description

本発明は、外部刺激の付与により体積変化する高分子ゲルを固定用基板に固定化する高分子ゲルの固定化方法、及びそれを利用した光学素子の製造方法を提供することである。
従来から、pH変化、イオン濃度変化、化学物質の吸脱着、溶媒の添加、あるいは、光、熱、電流もしくは電界の付与等、刺激の付与によって、体積変化(膨潤、収縮)を生ずる高分子ゲル材料(以下、刺激応答性高分子ゲルという)が知られており、その機能材料としての応用が期待されている。これらの材料は、例えば、「機能性高分子ゲル」(シーエムシー出版)に総説として記載されている。この刺激応答性高分子ゲルの用途として、ドラッグデリバリーシステムなどの薬の担持体、医療材料、インクの添加剤、機能膜、人工筋肉、表示素子、記録素子、アクチュエータ、ポンプなどが検討されている(例えば、特許文献1〜2)。
一般に、水や電解質等の液体中に存在する刺激応答性高分子ゲルに刺激を付与することにより、該刺激応答性高分子ゲルは相転移等を起こし、ゲル内部への液体の吸収、あるいはゲル外部への液体の排出によって、前記刺激応答性高分子ゲルの体積、大きさ、形状を変化させることができる。
このような高分子ゲルを具体的に利用する光学素子が提案されている(特許文献1〜2)
特開2001−350163公報 特開2005−148617公報
上記提案のような光学素子では、例えば、一方の基板に高分子ゲルを固定化した後、他方の基板を重ね合わせて周囲を封止することで作製している。このため、光学素子の特性を向上させるには、均一に高分子ゲルが固定化されることが求められる。また、高分子ゲルの固定化の際には、例えば、高分子ゲルの乾燥や、温度に依存して粒径が変化が生じないなど、環境に影響され難いことも求められる。
そこで、本発明は、環境に影響され難く、均一に高分子ゲルを基板に固定化可能な高分子ゲルの固定化方法、及びそれを利用した光学素子の製造方法を提供することを目的とする。
上記課題は、以下の手段により解決される。即ち、
本発明の高分子ゲルの固定化方法は、
沸点100℃以上の水溶性有機溶媒を含む分散媒に、外部刺激の付与により液体を吸収・放出して体積変化を生ずる高分子ゲルを分散する第1工程と、
前記高分子ゲルが分散された分散媒を用い、固定用基板に前記高分子ゲルを接触させて固定する第2工程と、
を有することを特徴としている。
本発明の高分子ゲルの固定化方法において、前記第2工程は、前記高分子ゲルが分散された分散媒に前記固定用基板を浸し、前記高分子ゲルを前記固定用基板に沈殿させて固定化する工程であってもよいし、前記高分子ゲルを分散する工程は、前記高分子ゲルが分散された分散媒を前記固定用基板上に塗布して、前記高分子ゲルを前記固定用基板に沈殿させて固定化する工程であってもよい。
一方、本発明の光学素子の製造方法は、
沸点100℃以上の水溶性有機溶媒を含む分散媒に、外部刺激の付与により液体を吸収・放出して体積変化を生ずる高分子ゲルを分散する第1工程と、
前記高分子ゲルが分散された分散媒を用い、第1基板に前記高分子ゲルを接触させて固定する第2工程と、
前記高分子ゲルが固定化された第1基板に対し、所定の間隙を持って第2基板を対向配置する第3工程と、
を有することを特徴としている。
本発明の光学素子の製造方法において、前記第2工程は、前記高分子ゲルが分散された分散媒に前記第1基板を浸し、前記高分子ゲルを前記第1基板に沈殿させて固定化する工程であってもよいし、前記高分子ゲルを分散する工程は、前記高分子ゲルが分散された分散媒を前記第1基板上に塗布して、前記高分子ゲルを前記第1基板に沈殿させて固定化する工程であってもよい。
本発明によれば、環境に影響され難く、均一に高分子ゲルを基板に固定化可能な高分子ゲルの固定化方法、及びそれを利用した光学素子の製造方法を提供することができる。
以下、本発明について図面を参照しつつ説明する。なお、実質的に同一の機能を有する部材に全図面通して同じ符合を付与し、重複する説明は省略する場合がある。
図1は、実施形態に係る光学素子を示す概略断面図である。実施形態に係る光学素子は、スペーサ16によって所定の間隙を持って対向配置した一対の基板20A、20B(素子基板)間に、高分子ゲル組成物10が層状に配置されている。そして、素子両端部は封止材18により封止されている。高分子ゲル組成物10は、粒子状の高分子ゲル12と液体14と含んで構成されている。そして、高分子ゲル12は、一方の基板20A上に固定されている。なお、基板20A、20Bの少なくとも1方は光透過性を有する透明基板を適用する。
本実施形態に係る光学素子は、高分子ゲル12に種類に応じて、熱や光、電気などの刺激付与手段と組み合わせて光学素子として用いることができる。付与される刺激は、自然界の刺激でも、人為的な刺激でもよい。光、熱等の自然界の刺激を利用する場合には調光素子や、光シャッター、センサーなどに利用することができる。一方、人為的な刺激を利用する場合には、素子の内部あるいは外部から熱、光、電場などを付与する手段を講じることで、上記の用途にも、表示素子、記録素子、光変調素子などの用途にも応用することが可能となる。
本実施形態に係る光学素子において、高分子ゲル組成物又はそれよりなる層の厚みの好ましい範囲は、1μm〜5mm、特に、2μm〜3mmの範囲である。1μmよりも小さいと、調光性能が低下し、3mmを超えると、応答特性などが低下する恐れがある。
本実施形態に係る光学素子は、例えば、基板20A上に高分子ゲル12を固定化し(固定化工程)、基板20Aをスペーサ16により所定の間隙を持たせて対向配置した後、液体14を封入し、両基板端部(素子端部)を封止材18により封止することで得ることができる。
以下、固定化工程について詳細に説明する。以下、符号は省略して説明する。
固定化工程は、外部刺激の付与により液体を吸収・放出して体積変化を生ずる高分子ゲルを分散媒に分散した後(第1工程)、高分子ゲルが分散された分散媒を用い、基板(以下、固定用基板)に高分子ゲルを接触させて固定する(第2工程)ことで行われる。その後、固定化した高分子ゲルを洗浄など後処理工程を必要に応じて行う。
まず、分散媒について説明する。高分子ゲルを分散する分散媒は、沸点100℃以上の水溶性有機溶媒を含んでいる。ここで、水溶性有機溶媒の「水溶性」とは、「1気圧において、温度20℃で同容量の純水と穏やかにかき混ぜた場合、流動が収まった後も当該混合液が均一な外観を維持する。”」と定義される。
評価の指標としては、親油性物質(1-オクタノール)/水間の分配係数測定分配係数(LogPow)が利用でき、「水溶性」とは1〜5以下のことを意味する。
ここでいう分配係数とはn−オクタノール中の対象物質の濃度÷水中の対象物質の濃度を求め、これを常用対数(LogPow)で示したものであり、測定方法については、OECD Test Guideline 107または日本工業規格Z7260−107(2000)などに示されている。以下にその測定法の一例を示す。n−オクタノールと水の比率および被検物質の添加量は1.分配係数の予備試験で得られた分配係数の推定値、2.分析方法の感度から、水層及び1-オクタノール層の分析における必要な被験物質の量、3.水層及び1-オクタノール層中の被験物質の濃度は、0.01mol/l以下であり、かつ、それぞれの層の溶解度以下であること、4.平衡容器中に占める溶媒の全体積の割合は、ほぼ一杯(90%以上)であること、の4つのパラメーターを考慮し決定する。混合した被検混合物質を25±2℃に保ち5分間振とう機にて振とうし、遠心分離操作を行い水層とn−オクタノールを分離させる。それぞれの層のサンプルを注射器などで取り出し、被検物質に適した分析法にてそれぞれの層の濃度を測定する。
上記の測定法の他、高速液体クロマトグラフィーやコンピューターによる計算などでも算出が可能である。
水溶性有機溶媒の沸点は、上述のように100℃以上であるが、好ましくは100℃〜200℃であり、より好ましくは100℃〜150℃である。沸点が低すぎると、高分子ゲルを分散、固定および洗浄といった各工程において溶媒が乾燥し、濃度の変化や凝集の発生といった問題を生じる。一方、沸点が高すぎると、処理工程におけるエネルギー消費量の増加や、取り扱いが困難になるといった課題を生じることがある。
水溶性有機溶媒として具体的には、例えば、ヒドロキシアルキル基置換の環状エーテル、ブタンジオール類、プロパンジオール類、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセロール、ペンタンジオールなどの炭素数2〜5の多価アルコール類などが挙げられる。これらの中でも、安全性の点からプロピレングリコール、エチレングリコールが好ましい。
水溶性有機溶媒は、分散媒に対して5〜95重量%含むことが好ましく、より好ましくは20〜80重量%、さらに好ましくは40〜60重量%である。水溶性有機溶媒の含有量が少なすぎると、高分子ゲルの分散安定性が低下し、凝集体を生成してしまうことがあり、多すぎると、高分子ゲル固定処理工程での、固定密度調節幅が低くなることがある。
このような水溶性有機溶媒を含む分散媒は、当該水溶性有機溶媒と水との混合物、即ち水溶性有機溶媒の水溶液であることが好ましい。
また、分散媒に分散させる高分子ゲルの濃度は、0.01〜20重量%であることが好ましく、より好ましくは0.1〜10重量%であり、さらに好ましくは0.5〜5重量%である。
次に、高分子ゲルを固定用基板に接触させて固定化する方法について説明する。高分子ゲルを固定用基板に接触させて固定化する方法としては、例えば、高分子ゲルを含む分散媒に固定用基板を浸漬させる方法、当該分散媒を固定用基板上に塗布する方法等が挙げられる。
具体的には、例えば、図2(A)に示すように、容器22の底に、固定用基板20を配置する。ここで、固定用基板には、高分子ゲルを固定する固定領域24に例えば予め固定化剤による表面処理が施されている。なお、このような表面処理を行わなくても,基板材料自身が高分子ゲルとの接着性の高い性質をもつ材質の場合にはそのまま使用することも可能である。
次に、図2(B)に示すように、高分子ゲル12を含む分散媒12Aを容器22内に流し込む。これにより、固定用基板20を分散媒12Aに浸漬させる状態にする。そして、高分子ゲル12を固定用基板20に沈殿させ接触させる。その後、必要に応じて、例えば、熱処理などを施すことで、固定用基板20の固定領域24上に、高分子ゲル12が例えば化学結合(水素結合、イオン結合、共有結合等)により固定化される。
そして、図2(C)に示すように、分散媒12Aを容器22から除去し、必要に応じて蒸留水などで洗浄を行う。このようにして、固定化が終了する。
なお、最初に、容器22に分散媒12Aを入れた後、容器22の底に固定用基板20を配置してもよいが、先に高分子ゲル12が沈殿してしまうことがあるため、最初に固定用基板20を配置することがよい。
また、上記方法に限られず、高分子ゲル12を含む分散媒12Aを、例えば、ロールコーティング法、グラビアコーティング法、キャストコーティング法、スプレーコーティング法、リバースコーティング法、ディップコーティング法、ブレードコーティング法、コンマコート法、はけ塗り法、などを用いることにより固定用基板20に塗布することで、高分子ゲルを固定用基板に接触させて固定化してもよい。

ここで、高分子ゲルを固定用基板上に固定するためには、上述のように固定領域に固定化剤による表面処理を行って、固定化剤を用いた反応により行うが、このような固定化剤は、使用する高分子ゲルとの化学結合(水素結合、イオン結合、共有結合)を形成する材料を用いることが好ましく、その中でも安定性の面から共有結合を形成する材料を用いることが好ましい。
固定化剤としては、例えば、重合性不飽和基、反応性官能基などを2個以上有する化合物を挙げることができる。
上記重合性不飽和基を2個以上有する化合物としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリンポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリグリセリンなどのポリオール類のジ又はトリ(メタ)アクリル酸エステル類、前記ポリオール類とマレイン酸、フマル酸などの不飽和酸類とを反応させて得られる不飽和ポリエステル類、N,N’−メチレンビス(メタ)アクリルアミドなどのビス(メタ)アクリルアミド類、トリレジンイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートなどのポリイソシアネートと(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチルとを反応させて得られるジ(メタ)アクリル酸カルバミン酸エステル類、アリル化澱粉、アリル化セルロース、ジアリルフタレート、その他のテトラアリロキシエタン、ペンタンエリスリトールトリアリルエーテル、トリメチロールプロパントリアリルエーテル、ジエチレングリコールジアリルエーテル、トリアリルトリメチルエーテルなどの多価アリル系を挙げることができる。これらの中でも本発明には、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、N,N’−メチレンビス(メタ)アクリルアミドなどが好ましく使用される。
また、反応性官能基を2個以上有する化合物としては、ジグリシジルエーテル化合物、ハロエポキシ化合物、ジ及びトリイソシアネート化合物などを挙げることができる。ジグリシジルエーテル化合物の具体例としては、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、ポリグリセリンジグリシジルエーテルなどを挙げることができる。その他、ハロエポキシ化合物の具体例としては、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン、β−メチルエピクロロヒドリンなどを挙げることができる。また、ジイソシアネート化合物の具体例としては、2,4−トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートなどを挙げることができる。
また、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランなどのビニル系シランカップリング剤、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノ系シランカップリング剤、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどのエポキシ系シランカップリング剤など、各種反応性シランカップリング剤なども適用できる。
これらの中でも本発明には、特にN−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノ系シランカップリング剤が好ましく使用される。
また、固定領域は、基板の所定領域全面に設けてもよし、所定パターンで部分的に設けてもよいが、例えば、調光領域が複数の円形パターンである場合、各円の中心部の一部領域のみが固定可能な領域となるように部分的に設けることが望ましい。それは、全面が固定可能な領域となっている場合には、高分子ゲルの固定部分の面積が増加し、高分子ゲルの体積変化特性に悪影響を与える恐れがあるためである。
このような部分領域の形成には、前記したような印刷法、リソグラフィー法等が適用できる。
上記のように固定領域を部分的に形成することで、固定用基板の所望の位置に高分子ゲルを固定させることが可能となる。
そして、本実施形態に係る光学素子は、上述のように、高分子ゲルを固定化した基板を用い、当該基板と他の基板とを基板をスペーサにより所定の間隙を持たせて対向配置した後、液体を封入し、両基板端部(素子端部)を封止材により封止することで得ることができる。
以上説明した本実施形態に係る光学素子では、高分子ゲル(特に、水性の高分子ゲル)を固定用基板へ固定化する際、その高分子ゲルを分散させる分散媒に、特定の沸点を持つ水溶性有機溶媒を含ませることで、環境影響され難く、均一に高分子ゲルを固定化できる。具体的には、例えば、固定化の際、高分子ゲルの乾燥が抑制されたり、処理温度変化の影響を受け難くなる。また、分散媒への高分子ゲルの分散安定化が図れ、高分子ゲル同士の凝集も抑制される。加えて、温度による急激な粒径変化が抑制されるので、例えば、高分子ゲルの粒子制御、固定化密度の調整も実現することができる。
以下、本実施形態に係る光学素子に適用し得る高分子ゲル組成物について説明する。本発明の高分子ゲル組成物は、高分子ゲルと、液体と、含んで構成されている。また、高分子ゲル及び液体を含む領域を保持するための保持部材などを必要に応じて含んでもよい。
−高分子ゲル−
高分子ゲル(以下、刺激応答性高分子ゲルと称する場合がある)は、例えば、pH変化、イオン濃度変化、化学物質の吸脱着、溶媒組成の変化、又は光、熱、電流もしくは電界の付与等、外部刺激の付与によって、液体を吸収・放出して体積変化(膨潤・収縮)するものである。刺激応答性高分子ゲルの体積変化は一方的なものでも可逆的なものであってもよい。但し、刺激応答性高分子ゲルを光学素子等として用いる場合は、可逆的であるものが好ましい。以下に、刺激応答性高分子ゲルの具体例を示す。なお、以下に示す高分子ゲルは水性の高分子ゲルである。
pH変化によって刺激応答する高分子ゲルとしては、電解質系高分子ゲルが好ましく、その例としては、ポリ(メタ)アクリル酸の架橋物やその塩、(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸アルキルエステルなどとの共重合体の架橋物やその塩、ポリマレイン酸の架橋物やその塩、マレイン酸と(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸アルキルエステルなどとの共重合体の架橋物やその塩、ポリビニルスルホン酸の架橋物やビニルスルホン酸と(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸アルキルエステルなどとの共重合体の架橋物、ポリビニルベンゼンスルホン酸の架橋物やその塩、ビニルベンゼンスルホン酸と(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸アルキルエステルなどとの共重合体の架橋物やその塩、ポリアクリルアミドアルキルスルホン酸の架橋物やその塩、アクリルアミドアルキルスルホン酸と(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸アルキルエステルなどとの共重合体の架橋物やその塩、ポリジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドの架橋物やその塩酸塩、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドと(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸アルキルエステルなどとの共重合体の架橋物やその4級化物や塩、ポリジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドとポリビニルアルコールとの複合体の架橋物やその4級化物や塩、ポリビニルアルコールとポリ(メタ)アクリル酸との複合体の架橋物やその塩、カルボキシアルキルセルロース塩の架橋物、ポリ(メタ)アクリロニトリルの架橋物の部分加水分解物やその塩などが挙げられる。
これらの中でも、ポリ(メタ)アクリル酸系高分子材料は好ましく使用される。なお、pH変化は、液体の電気分解や添加される化合物の酸化還元反応などの電極反応、あるいは、導電性高分子の酸化還元反応、更には、pHを変化させる化学物質の添加によるものであることが好ましい。
イオン濃度変化によって刺激応答する高分子ゲルとしては、前記したpH変化による刺激応答性高分子ゲルと同様なイオン性高分子材料が使用できる。また、イオン濃度変化としては、塩等の添加、イオン交換性樹脂の使用などによるものが好ましい。
化学物質の吸脱着によって刺激応答する高分子ゲルとしては、強イオン性高分子ゲルが好ましく、その例として、ポリビニルスルホン酸の架橋物やビニルスルホン酸と(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸アルキルエステルなどとの共重合体の架橋物、ポリビニルベンゼンスルホン酸の架橋物やビニルベンゼンスルホン酸と(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸アルキルエステルなどとの共重合体の架橋物、ポリ(メタ)アクリルアミドアルキルスルホン酸の架橋物や(メタ)アクリルアミドアルキルスルホン酸と(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸アルキルエステルなどとの共重合体の架橋物などが挙げられる。
特に、ポリアクリルアミドアルキルスルホン酸系高分子が好ましく使用される。この場合、化学物質としては、界面活性剤、例えば、n−ドデシルピリジニウムクロライドなどのアルキルピリジン塩、アルキルアンモニウム塩、フェニルアンモニウム塩、テトラフェニルホスフォニウムクロライドなどのホスホニウム塩などのカチオン性界面活性剤を使用することができる。
溶媒組成の変化によって刺激応答する高分子ゲルとしては、一般にほとんどの高分子ゲルが挙げられ、その高分子ゲルの良溶媒と貧溶媒とを利用することで膨潤、収縮を引き起こすことが可能である。
電流もしくは電界の付与によって、刺激応答する高分子ゲルとしては、カチオン性高分子ゲルと電子受容性化合物とのCT錯体(電荷移動錯体)が好ましく、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドなどアミノ置換(メタ)アクリルアミドの架橋物、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートやジメチルアミノプロピルアクリレートなどの(メタ)アクリル酸アミノ置換アルキルエステルの架橋物、ポリスチレンの架橋物、ポリビニルピリジンの架橋物、ポリビニルカルバゾールの架橋物、ポリジメチルアミノスチレンの架橋物などが挙げられ、特に、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレートなどのジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート系高分子は好ましい。これらは、ベンゾキノン、7,7,8,8−テトラシアノキノジメタン(TCNQ)、テトラシアノエチレン、クロラニル、トリニトロベンゼン、無水マレイン酸やヨウ素などの電子受容性化合物とを組み合わせて使用することができる。
光の付与によって刺激応答する高分子ゲルとしては、トリアリールメタン誘導体やスピロベンゾピラン誘導体などの光によってイオン解離する基を有する親水性高分子化合物の架橋物が好ましく、その例として、ビニル置換トリアリールメタンロイコ誘導体と(メタ)アクリルアミドとの共重合体の架橋物などが挙げられる。
熱の付与によって刺激応答する高分子ゲルとしては、LCST(下限臨界共融温度)やUCST(上限臨界共融温度)をもつ高分子の架橋体や、互いに水素結合する2成分の高分子ゲルのIPN(相互侵入網目構造)体などが好ましい。LCSTをもつ高分子の架橋体は高温において収縮し、UCSTをもつ高分子の架橋体やIPN体は逆に高温で膨潤する特性をもっている。
LCSTをもつ高分子の架橋体の具体的な化合物例としては、ポリN−イソプロピルアクリルアミドなどの〔N−アルキル置換(メタ)アクリルアミド〕の架橋体やN−アルキル置換(メタ)アクリルアミドと(メタ)アクリル酸及びその塩、又は(メタ)アクリルアミド、又は(メタ)アクリル酸アルキルエステルなどの2成分以上の共重合体の架橋体、ポリビニルメチルエーテルの架橋物、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのアルキル置換セルロース誘導体の架橋体などが挙げられる。これらの中でも、ポリN−イソプロピル(メタ)アクリルアミドが特に好ましい。
UCSTをもつ高分子の架橋体の具体的な化合物例としては、ポリ[3−ジメチル(メタクリロイルオキシエチル)アンモニウムプロパンスルフォネート]などの分子内にアニオンとカチオンとの両成分を有する双性イオン高分子の架橋体などが挙げられる。
一方、互いに水素結合する2成分の高分子ゲルのIPN体の具体的な化合物例としては、ポリ(メタ)アクリルアミドの架橋体とポリ(メタ)アクリル酸の架橋体からなるIPN体及びその部分中和体(アクリル酸単位を部分的に塩化したもの)、ポリ(メタ)アクリルアミドを主成分とする共重合体の架橋体とポリ(メタ)アクリル酸の架橋体からなるIPN体及びその部分中和体などが挙げられる。より好ましくは、ポリ〔N−アルキル置換アルキルアミドの架橋体、ポリ(メタ)アクリルアミドの架橋体とポリ(メタ)アクリル酸の架橋体とのIPN体及びその部分中和体などが挙げられる。
刺激応答性高分子ゲルの体積変化量は特に限定されないが、高いほど好ましく、膨潤時及び収縮時の体積比(膨潤時/収縮時)が5以上、特に10以上のものが好ましい。また、本発明において、刺激応答性高分子ゲルの体積変化は、一方的であるものでも可逆的であるものでもよいが、調光素子や表示素子などに利用する場合は、可逆的なものであることが好ましい。
なお、刺激応答性高分子ゲルの形態は特に限定されないが、刺激応答特性を考慮すると、粒子の形態であることが特に好ましい。粒子の形態である刺激応答性高分子ゲルを用いる場合、個々の高分子ゲルの形状についても特に制限はないが、球体、楕円体、多面体、多孔質体、繊維状、星状、針状、中空状などのものを使用することができる。
刺激応答性高分子ゲルは、その体積平均粒子径が膨潤状態で0.5μm〜1mmの範囲、特に、1μm〜500μmの範囲の粒子であることが好ましい。体積平均粒子径が0.5μm未満となると、光学的な特性を得ることができなくなり、また、凝集等を起こしやすくなり、かつ、使用する場合にその扱いが困難となってくる。一方、体積平均粒子径が1mmを超えると、応答速度が遅くなる、組成物の発色状態において粒状性が目立つなどの問題が生じる。
刺激応答性高分子ゲルの粒子は、高分子ゲルを物理的粉砕法等で粒子化する方法、架橋前の高分子を化学的粉砕法等によって粒子化した後に架橋して高分子ゲルを得る方法、あるいは乳化重合法、懸濁重合法、分散重合法などの粒子化重合法等、一般的な粒子化方法によって製造することができる。また、架橋前の高分子をノズル口金等によって押し出して繊維化し、これを架橋した後に粉砕する方法、あるいは前記繊維を粉砕して粒子化した後に架橋する方法によって高分子ゲルを製造することも可能である。
なお、高分子ゲル組成物を光学素子として表示素子、記録素子、調光素子等に用いる場合には、高分子ゲルに、顔料や染料、あるいは光散乱材料などの調光用材料を添加することが好ましい。更に、可視光以外の光を吸収や散乱する材料、つまり、赤外線吸収色素、赤外線吸収又は散乱顔料や、紫外線吸収色素、紫外線吸収又は散乱顔料等も、本発明における刺激応答性高分子ゲルに含有させる調光用材料として好ましく適用することができる。
このような調光用材料の添加量としては、高分子ゲルの乾燥時又は収縮時に、飽和吸収濃度あるいは飽和散乱濃度以上となる量を添加することが好ましい。ここで、飽和吸収(あるいは散乱)濃度以上とは、特定の光路長のもとにおける調光用材料濃度と光吸収量の関係が1次直線の関係から大きく外れる領域のことを示す。高分子ゲルに、このような濃度の調光用材料を添加することによって、高分子ゲルの膨潤・収縮により光学濃度又は散乱を変化させることができる。飽和吸収濃度あるいは飽和散乱濃度以上となる調光用材料の濃度は、一般に3重量%以上であり、5重量%〜95重量%の範囲を高分子ゲルに添加することが好ましく、より好ましくは5重量%〜80重量%の範囲である。3重量%未満となると、調光用材料を添加した効果が十分に得られず、95重量%を超えると、高分子ゲルの特性が低下してしまう恐れがある。
調光用材料としては、各種の染料や顔料、光散乱材料が挙げられ、無機系顔料、有機系顔料、塩基性染料、酸性染料、分散染料、反応性染料などが好ましい。特に顔料はその添加による高分子ゲルの刺激応答性に与える影響が比較的小さいので好ましい。
一般的な染料で好適な具体例としては、例えば、黒色のニグロシン系染料や赤、緑、青、シアン、マゼンタ、イエローなどのカラー染料であるアゾ染料、アントラキノン系染料、インジゴ系染料、フタロシアニン系染料、カルボニウム染料、キノンイミン染料、メチン染料、キノリン染料、ニトロ染料、ベンゾキノン染料、ナフトキノン染料、ナフタルイミド染料、ベリノン染料などが挙げられ、特に光吸収係数が高いものが望ましい。
また、一般的な顔料の具体例としては、黒色顔料である各種カーボンブラック(チャネルブラック、ファーネスブラック等)やチタンブラック、白色顔料である酸化チタンなどの金属酸化物やカラー顔料である。カラー顔料としては例えば、ベンジジン系のイエロー顔料、ローダミン系のマゼンタ顔料、フタロシアニン系のシアン顔料、あるいはこの他にもアントラキノン系、アゾ系、アゾ金属錯体、フタロシアニン系、キナクリドン系、ペリレン系、インジゴ系、イソインドリノン系、キナクリドン系、アリルアミド系などの各種カラー顔料を挙げることができる。
顔料のより具体的な例として、酸化亜鉛、塩基性炭酸鉛、塩基性硫酸鉛、硫酸鉛、リトボン、白雲母、硫化亜鉛、酸化チタン、酸化アンモチモン、鉛白、酸化ジルコニウム、アルミナ、マイカナイト、マイカレックス、石英、炭酸カルシウム、石膏、クレー、シリカ、ケイ酸、珪素土、タルク、塩基性炭酸マグネシウム、アルミナホワイト、グロスホワイト、サチン白等の無機酸化物等の白色顔料や、亜鉛、アルメル、アンチモン、アルミニウム、アルミニウム合金、イリジウム、インジウム、オスミウム、クロム、クロメル、コバルト、ジルコニウム、ステンレス鋼、金、銀、洋銀、銅、青銅、すず、タングステン、タングステン鋼、鉄、鉛、ニッケル、ニッケル合金、ニッケリン、白金、白金ロジウム、タンタル、ジュラルミン、ニクロム、チタン、クルップ・オーステナイト鋼、コンスタンタン、真鍮、白金イリジウム、パラジウム、パラジウム合金、モリブデン、モリブデン鋼、マンガン、マンガン合金、ロジウム、ロジウム金などの金属材料や、フェノール樹脂、フラン樹脂、キシレン・ホルムアルデヒド樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、アニリン樹脂、アルキド樹脂、不飽和ポリエステル、エポキシ樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ−p−キシリレン、ポリ酢酸ビニル、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、フッ素系プラスチック、ポリアクリロニトリル、ポリビニルエーテル、ポリビニルケトン、ポリエーテル、ポリカーボネート、熱可塑性ポリエステル、ポリアミド、ジエン系プラスチック、ポリウレタン系プラスチック、ポリフェニレン、ポリフェニレンオキシド、ポリスルホン、芳香族ヘテロ環ポリマー、シリコーン、天然ゴム系プラスチック、セルロース系プラスチック等の高分子材料で構成された顔料等が挙げられる。
また、カラー顔料であるイエロー系顔料のより具体的な例としては、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アントラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物、アリルアミド化合物に代表される化合物が用いられる。より詳細には、C.I.ピグメントイエロー12、13、14、15、17、62、74、83、93、94、95、109、110、111、128、129、147、168等が好適に用いられる。
マゼンタ系顔料のより具体的な例としては、縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、ペリレン化合物が用いられる。より詳細には、C.I.ピグメントレッド2、3、5、6、7、23、48;2、48;3、48;4、57;1、81;1、144、146、166、169、177、184、185、202、206、220、221、254が特に好ましい。
シアン系顔料のより具体的な例としては、銅フタロシアニン化合物及びその誘導体、アントラキノン化合物、塩基染料レーキ化合物等が利用できる。具体的には、例えば顔料としては、C.I.ピグメントブルー1、7、15、15:1、15:2、15;3、15:4、60、62、66等が特に好適に利用できる。
使用する顔料の粒子径としては、1次粒子の体積平均粒子径で0.001μm〜1μmのものが好ましく、特に、0.01μm〜0.5μmのものが好ましい。これは粒子径が0.001μm未満では高分子ゲルからの流出が起こりやすく、また、1μmを超えると発色特性や光散乱特性が悪くなる恐れが生じるためである。
光散乱材料の好適な無機材料の具体例として、酸化亜鉛、塩基性炭酸鉛、塩基性硫酸鉛、硫酸鉛、リトボン、白雲母、硫化亜鉛、酸化チタン、酸化アンモチモン、鉛白、酸化ジルコニウム、アルミナ、マイカナイト、マイカレックス、石英、炭酸カルシウム、石膏、クレー、シリカ、ケイ酸、珪素土、タルク、塩基性炭酸マグネシウム、アルミナホワイト、グロスホワイト、サチン白等の無機酸化物や、亜鉛、アルメル、アンチモン、アルミニウム、アルミニウム合金、イリジウム、インジウム、オスミウム、クロム、クロメル、コバルト、ジルコニウム、ステンレス鋼、金、銀、洋銀、銅、青銅、すず、タングステン、タングステン鋼、鉄、鉛、ニッケル、ニッケル合金、ニッケリン、白金、白金ロジウム、タンタル、ジュラルミン、ニクロム、チタン、クルップ・オーステナイト鋼、コンスタンタン、真鍮、白金イリジウム、パラジウム、パラジウム合金、モリブデン、モリブデン鋼、マンガン、マンガン合金、ロジウム、ロジウム金などの金属材料、ITO(インジウム・スズ酸化物)等の無機導電性材料などが挙げられる。
また、光散乱材料の好適な有機材料の具体例として、フェノール樹脂、フラン樹脂、キシレン・ホルムアルデヒド樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、アニリン樹脂、アルキド樹脂、不飽和ポリエステル、エポキシ樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ−p−キシリレン、ポリ酢酸ビニル、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、フッ素系プラスチック、ポリアクリロニトリル、ポリビニルエーテル、ポリビニルケトン、ポリエーテル、ポリカーボネート、熱可塑性ポリエステル、ポリアミド、ジエン系プラスチック、ポリウレタン系プラスチック、ポリフェニレン、ポリフェニレンオキシド、ポリスルホン、芳香族ヘテロ環ポリマー、シリコーン、天然ゴム系プラスチック、セルロース系プラスチック等やこれら2種類以上の高分子材料の混合材料(ポリマーブレンド)などの高分子材料が挙げられる。
これらの調光用材料として、高分子ゲルに共有結合するための付加反応性基や重合性基を有する調光用材料や、高分子ゲルとイオン結合などの相互作用する基を有する調光用材料などの各種の化学修飾した調光用材料を用いることも好ましい。
なお、上調光用材料は、高分子ゲル(あるいは、その液体による膨潤体)内部に存在し、膨潤・収縮によっても高分子ゲルの外部に移動しないものであることが好ましい。このためには、前記したように、高分子ゲルに調光用材料を共有結合する方法、イオン結合する方法、高分子ゲルの網目内部に物理的に保持する方法などによって調光用材料を添加することが好ましい。特に調光用材料として顔料を用いる場合は、高分子ゲルの架橋密度を適宜選択し、顔料の粒子径よりも小さい網目を形成させることにより、顔料を安定に保持することができる。
このような調光用材料を含有する高分子ゲルは、架橋前の高分子中に調光用材料を均一に分散、混合した後に架橋する方法や、重合時に、高分子前駆体モノマー組成物に調光用材料や重合性基を有する調光用材料を添加して重合する方法によって製造することができる。調光用材料は、高分子ゲル中に均一に分散されていることが好ましく、特に、高分子ゲルへの分散に際して、高分子ゲル製造段階において、機械的混練法、攪拌法を用いて、又は界面活性剤や両親媒性高分子等の分散剤などを利用して均一に分散させることが望ましい。なお、調光用材料を含有する高分子ゲルの粒子は、前記した粒子化方法と同様の方法により製造することができる。
−液体−
液体は、高分子ゲルが吸脱(吸収及び放出)し得る液体であり、該高分子ゲル内部及び/又は該高分子ゲル外部に位置し、該高分子ゲルの吸脱作用により、該高分子ゲルの内部と外部との間を移動する。
液体としては、水、電解質水溶液、アルコール、ケトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホオキシド、アセトニトリル、プロピレンカーボネートやその他の芳香族系有機溶剤、脂肪族系有機溶剤やそれらの混合物が使用できる。また、液体には高分子ゲルに吸脱する界面活性剤、又は酸、アルカリ、塩、及び分散安定剤、酸化防止や紫外線吸収などを目的とした安定剤、抗菌剤、防腐剤などを添加してもよい。更に、種々顔料や白色顔料や染料などの色素を添加することもできる。
また、高分子ゲルと液体との混合比は、重量比で1/2000〜1/1(高分子ゲル/液体)の範囲であることが好ましい。重量比が1/2000を超えると、組成物の機械的強度などを物性低下の恐れがあり、1/1未満になると、刺激応答による体積変化が低下する恐れがある。
−素子基板−
素子基板の構成材料としては、ポリエステル、ポリイミド、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリアミド、ナイロン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリカーボネート、ポリエーテルスルフォン、シリコーン樹脂、ポリアセタール樹脂、フッ素樹脂、セルロース誘導体、ポリオレフィンなどの高分子のフイルムや板状基板、ガラス基板、金属基板、セラミック基板等の無機基板などが好ましく用いられる。また、透過型の光学素子として用いる場合には、少なくとも50%以上の光透過率を有する基板部材が好ましく用いられる。これらの中でも、外部からのイオン侵入の原因となるガラス基板を用いても、イオン不透過部材によりイオンの侵入を防止することができるため、高分子ゲルの体積変化に要する応答速度やその繰り返し安定性が低下することもない。
−保持部材−
保持部材は高分子ゲル及び液体を含む領域を保持すると共に、当該領域を複数に隔離し、その状態を維持させるものである。保持部材は、マトリックス樹脂として使用され、その材料(マトリックス樹脂)としては、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリフッ化ビニリデンやその異種共重合体、ポリテトラフルオロエチレン、ポリスチレンやその異種共重合体、ポリメチルメタクリレートやその異種共重合体、ポリアミド系樹脂、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、ポリアセタール、ポリイミド、エポキシ樹脂、アクリル系やビニル系の熱、紫外線や電子線硬化性樹脂等の樹脂組成物、シラン系ゾルゲル組成物などの他、セラミック、ガラス等の無機材料が挙げられる。これらの中でも、高分子材料(樹脂)が好ましい。
なお、保持部材のマトリックス樹脂は架橋されたものであってもよい。更に、マトリックス樹脂は、種々の添加剤、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、熱安定剤などの安定剤、可塑剤、充填剤、着色剤などを含有していてもよい。また、保持部材が、光透過性・透明性の高いものが特に好ましく使用できる。更に、保持部材の材料は内部に含まれる液体の透過性の低いものが好ましい。
保持部材によって隔離されている領域に含有される刺激応答性高分子ゲルは、その領域1つあたり1つであることが好ましいが、性能を低下させない範囲で複数個含まれていてもよい。
上記した保持部材であるマトリックス樹脂と、高分子ゲル組成物との組成比は、その重量比で1/50〜50/1[マトリックス樹脂/(刺激応答性高分子ゲル+液体)]の範囲が好ましい。この範囲を越えると、所望の光学特性や材料の物理的強度が得られない恐れがある。また、刺激応答性高分子ゲル及び液体が構成する領域(ドロップ)の大きさは、体積平均粒子径で0.5μm〜5mm、特に、1μm〜2mmの範囲であることが好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
(刺激応答性高分子ゲル粒子Aの作製)
色材を含有した刺激応答性(高温収縮型)高分子ゲル粒子A(粒子A)を、以下のようなプロセスにより製造した。
N−イソプロピルアクリルアミド、NIPAM(3.5758g),メチレンビスアクリルアミド(0.0072g),マイクロカプセル化カーボンブラック分散液(大日本インキ化学製、MC black 082−E、顔料分14.3%含有)の水溶液(19.1630g)に15分間窒素を通し溶存酸素を除いた。この溶液に対して重合開始剤APS(過硫酸アンモニウム)(29.9mg)の水溶液(0.5106g)を加えて攪拌し均一に溶解させた。75mm径の3枚羽根の攪拌翼を取り付けた2Lのセパラブルフラスコにソルゲン50(6.00g)のシクロヘキサン(1.2L)溶液を入れ、さらに先に調整したNIPAMの顔料分散液を加え、窒素を流してフラスコ内部全体を窒素置換した。
ウォーターバスを用いてこのフラスコ全体を25℃に保ち、攪拌翼を800 rpmで15分間回転させて水相をシクロヘキサン中に懸濁、分散させた。攪拌翼の回転数を250rpmにして、この分散液に対してTMEDA(テトラメチルエチレンジアミン)(0.8ml)のシクロヘキサン(3.2ml)溶液を加えて、反応を開始させ、25℃に保ったまま250rpmで2時間重合した。
得られた重合体の粒子をジメチルホルムアミド、水で十分に洗浄した。このようにして刺激応答性高分子ゲル粒子を作製した(粒子A)。合成した刺激応答性高分子ゲル粒子は室温(25℃,膨潤状態)での体積平均粒径が20μmであった。この刺激応答性高分子ゲル粒子は約34℃に相転移温度を有していた。すなわち本高分子ゲル粒子は、相転移点よりも高い温度では収縮し、低い温度では膨潤する。またその体積変化量は約15倍であった。
(刺激応答性高分子ゲル粒子Bの作製)
色材を含有した刺激応答性(高温膨潤型)高分子ゲル粒子B(粒子B)を、以下のようなプロセスにより製造した。
アクリルアミド1.0g、架橋剤としてのメチレンビスアクリルアミド1.0mg、蒸留水0.575g、色材としての黒色顔料(大日本インキ化学製、MC black 082−E、顔料分14.3%含有)の水分散液3.425g、を攪拌混合した水溶液Bを調製した。ソルビトール系界面活性剤(ソルゲン50:第一工業製薬(株)製)2.375gをトルエン300mlに溶解した溶液を窒素置換された反応容器に加え、これに、先に調製した水溶液Bを添加し、回転式攪拌装置を用いて1200rpmで30分攪拌して懸濁させ、懸濁液Bを得た。得られた懸濁液Bをフラスコ中に入れ、窒素置換により酸素を除いた後、重合開始剤である過硫酸アンモニウム0.004gを水0.5mlに溶解したものを添加し、70℃に加熱して3時間、重合を行った。重合終了後、大量のアセトンで洗浄することで精製を行い、さらに乾燥させて、色材を含有したアクリルアミドゲルの粒子を得た。
次に、アクリル酸1.5g、架橋剤としてのメチレンビスアクリルアミド0.0015g、及び蒸留水5.5gを混合し、窒素置換後、これに過硫酸アンモニウム0.006gを水0.5gに溶解したものを添加し、混合液を得た。この混合液に上記得られたアクリルアミドゲルの粒子0.5gを加えて70℃に加熱し、3時間重合を行いIPN高分子ゲル粒子(刺激応答性高分子ゲル粒子B)を調製した。得られたIPN高分子ゲル粒子(アクリル酸−アクリルアミド相互侵入網目構造体ゲル粒子)を大量の蒸留水中に投入し、加熱冷却を行いゲル粒子を膨潤収縮させ、これをろ過する操作を繰り返すことで精製を行った。
得られたIPN高分子ゲル粒子の乾燥時の体積平均粒子径は、約15μmであった。このIPN高分子ゲル粒子を、大量の純水に加えて膨潤させた。このIPN高分子ゲル粒子の10℃における平衡膨潤時の吸水量は約3g/gであった。ところが、これを50℃に加熱するとさらに膨潤し、約80g/gの吸水量を示すことがわかった。この相転移点は30−40℃の温度範囲にあった。つまり、相転移点よりも高温では膨潤し、低温では収縮する。この変化は可逆的であり、収縮時に比べ膨潤時の高分子ゲル粒子の粒子径が約3倍まで変化し、すなわち、体積で約27倍の変化が得られた。
(固定化用基板の作製)
100×100cmのガラス基板(松浪硝子工業:#0200)を準備し、アセトンとイソプロピルアルコールでそれぞれ30分間の超音波洗浄後、エタノール95%水溶液4000mlにγ−アミノプロピルトリメトキシシラン80mlを攪拌下に加え調製した溶液中に、10分間浸漬させた。取り出した基板をメタノールで洗浄後、150℃のオーブン中にて10分間放置し、シラン層を硬化させ、固定化用基板S1を作製した。
[実施例1]
プロピレングリコール(PG)80重量%水溶液に、粒子Aを固形分濃度2.0%重量%になるように加え、ウェーブローターで15分間攪拌し、粒子Aを均一に分散(分散液A)した。
次に、分散液Aをブレードコーターを用いて固定化用基板S1上に厚さ150μmに成形し、さらに15分間静置することで自然沈降及び固定処理を行なった。粒子Aは分散液中で均一に分散状態を保ち、また固定処理の間も乾燥することなく一粒子層に配列し固定された。この様子を図3に示す。なお、図3中、12は高分子ゲルを示す。
次に、この高分子ゲル粒子が固定された基板に接着性スペーサー(500μm)を2cm間隔で配置し、さらに対向する同じ大きさのガラス基板を配置した。周囲をブチラールテープで封止して調光セル(L1)を作製した。これに紫外線硬化性樹脂(東洋合成製SPP−S−13、固形分5.0重量%に蒸留水で希釈)溶液を注入した。
このプロセスの間、基板上の高分子ゲルは、乾燥することなく、均一に基板上に固定されていた。
この調光セル(L1)に紫外線(高圧水銀灯、積算照度3000mJ/cm)を照射して調光セル内部の紫外線硬化性樹脂を硬化させ調光素子(D1)とした。
この調光素子は室温時には刺激応答性高分子ゲル粒子(粒子A)が膨潤状態で黒く着色しており、60℃に加熱すると粒子Aが収縮して全体が透明となった。また粒子Aの体積変化量は約15倍であった。
[実施例2]
エチレングリコール(EG)5重量%水溶液に、粒子Bを固形分で3.5重量%になるように加え、さらに酢酸を添加しpH4.5に調整した(分散液B)。次に、樹脂製容器に固定化用基板S1を準備し、その上から分散液Bを流し込み、1時間静置し粒子を固定した。粒子Bは分散液中で均一に分散状態を保ち、一粒子層に配列し固定された。
次に、この高分子ゲル粒子が固定された基板に接着性スペーサー(500μm)を2cm間隔で配置し、さらに対向する同じ大きさのガラス基板を配置した。周囲をブチラールテープで封止して調光セル(L2)を作製した。
このプロセスの間、基板上の高分子ゲルは、乾燥することなく、均一に基板上に固定されていた。
これに紫外線硬化性樹脂(東洋合成製ACRA207、固形分2.0重量%に蒸留水:プロピレングリコール=8:2(体積比)で希釈)を注入した。この調光セル(L2)に紫外線(高圧水銀灯、積算照度3000mJ/cm)を照射して調光セル内部の紫外線硬化性樹脂を硬化させて調光素子(D2)とした。
この調光素子は室温時には刺激応答性高分子ゲル粒子(粒子B)が収縮状態で無色透明であり、60℃に過熱すると粒子Bが膨潤して全体が黒色となった。また粒子Bの体積変化量は約12倍であった。
[比較例1]
MeOH50重量%水分散液に、粒子Aを固形分濃度2.0重量%になるように加え、ウェーブローターで3時間攪拌し、粒子Aを分散(分散液C)した。
次に、分散液Cをブレードコーターを用いて固定化用基板S1上に厚さ150μmに成形し、さらに15分間静置することで自然沈降及び固定処理を行なった。
このとき、分散液Cは乾燥が進み、海島状のムラが発生するとともに、基板上に固定密度の差を生じた。この様子を図4に示す。なお、図4中、12は高分子ゲルを示す。
次に、この高分子ゲル粒子が固定された基板に接着性スペーサー(500μm)を2cm間隔で配置し、さらに対向する同じ大きさのガラス基板を配置した。周囲をブチラールテープで封止して調光セル(L3)を作製した。これに紫外線硬化性樹脂(東洋合成製SPP−S−13、固形分5.0重量%に蒸留水で希釈)溶液を注入した。
この調光セル(L3)に紫外線(高圧水銀灯、積算照度3000mJ/cm)を照射して調光セル内部の紫外線硬化性樹脂を硬化させ調光素子(D3)とした。
この調光素子は室温時には刺激応答性高分子ゲル粒子(粒子A)が膨潤状態で黒く着色しており、60℃に加熱すると粒子Aが収縮して全体が透明となった。また粒子Aの体積変化量は約7倍であった。
[比較例2]
100%蒸留水に、粒子Bを固形分で3.5重量%になるように加え、さらに酢酸を添加しpH4.5に調整した(分散液D)。
次に、樹脂製容器に固定化用基板S1を準備し、その上から分散液Dを流し込み、1時間静置し粒子を固定した。
次に、この高分子ゲル粒子が固定された基板に接着性スペーサー(500μm)を2cm間隔で配置し、さらに対向する同じ大きさのガラス基板を配置した。周囲をブチラールテープで封止して調光セル(L2)を作製した。 これに紫外線硬化性樹脂(東洋合成製ACRA207、固形分2.0重量%に蒸留水:プロピレングリコール=8:2(体積比)で希釈)を注入した。
このとき、基板の準備から注入までの間に基板上の高分子ゲルは乾燥が進み、海島状のムラが発生した。
この調光セル(L4)に紫外線(高圧水銀灯、積算照度3000mJ/cm)を照射して調光セル内部の紫外線硬化性樹脂を硬化させて調光素子(D4)とした。この調光素子は室温時には刺激応答性高分子ゲル粒子(粒子B)が収縮状態で無色透明であり、60℃に過熱すると粒子Bが膨潤して全体が黒色となった。また粒子Bの体積変化量は約5倍であった。
[特性評価]
特性評価は以下の四項目について行った。すなわち(1)発色時、消色時の調光素子の全光線透過率、(2)均一性(目視及び顕微鏡観察による確認)、(3)調光素子の調光部分の5点での発色時の透過率ムラ(5%以上透過率に差のあるもの透過率ムラありとした)、(4)高分子ゲル材料の凝集の有無、を評価した。
(1)発色時、消色時の調光素子の全光線透過率
JIS K7361−1に従って、日本電色製NDH2000を使用し、全光線透過率の測定を行った。
(2)均一性(目視及び顕微鏡観察による確認)
均一性の評価は、目視により白点(高分子ゲルが固定されていない部分)の有無、顕微鏡で観察できない模様の有無を確認した。
さらに、光学顕微鏡(株式会社ニコン製、DS−5M)を用いて撮影した画像をコンピューターにて、画像処理ソフトWinRoof(三谷商事株式会社)処理し、固定密度を測定した。なお、評価基準は以下の通りである。
○:目視による白点、模様が確認されず、また固定密度差が10%以内
×:目視により白点、模様が確認された。また固定密度差が10%以上
(3)調光素子の調光部分の5点での発色時の透過率ムラ(5%以上透過率に差のあるもの透過率ムラありとした)
透過率は、(1)と同様、JIS K7361−1に従って、日本電色製NDH2000を使用し、全光線透過率の測定を行った。
(4)高分子ゲル材料の凝集の有無
調光素子の任意の5箇所(10cm×10cm: 5箇所)を目視で観察を行い、全領域での凝集をカウントした。なお、評価基準は以下の通りである。
○:凝集体が5個以下
×:凝集体が5個以上
Figure 2008046547
表1の結果からわかるように、本実施例では、比較例に比べ、消色時の透過率が65%以上と高く、またプロセス中での乾燥が抑制され、しかも均一性も高く、なおかつ調光素子全体で透過率のムラのない調光素子が作製できることが示された。
一方で、比較例1では、乾燥により高分子ゲルが海島状に不均一になることで見た目の粒状感が悪化し、また分散安定性が低く凝集が確認された。また、比較例2では、固定処理プロセスでの乾燥はないものの、その後の封止プロセスにて比較例1と同様に高分子ゲルの乾燥が確認され、均一性が低下し、また凝集が確認された。
実施形態に係る光学素子を示す概略断面図である。 高分子ゲルを固定用基板へ固定化する方法を示す工程図である。 実施例1で得られた高分子ゲルが固定化された基板の一部を示す平面図である。 比較例1で得られた高分子ゲルが固定化された基板一部を示す平面図である。
符号の説明
10 高分子ゲル組成物
12 高分子ゲル
12A 分散媒
14 液体
16 スペーサ
18 封止材
20 固定用基板
20A,20B 基板
22 容器
24 固定領域

Claims (6)

  1. 沸点100℃以上の水溶性有機溶媒を含む分散媒に、外部刺激の付与により液体を吸収・放出して体積変化を生ずる高分子ゲルを分散する第1工程と、
    前記高分子ゲルが分散された分散媒を用い、固定用基板に前記高分子ゲルを接触させて固定する第2工程と、
    を有することを特徴とする高分子ゲルの固定化方法。
  2. 前記第2工程は、前記高分子ゲルが分散された分散媒に前記固定用基板を浸し、前記高分子ゲルを前記固定用基板に沈殿させて固定化する工程であることを特徴とする請求項1に記載の高分子ゲルの固定化方法。
  3. 前記第2工程は、前記高分子ゲルが分散された分散媒を前記固定用基板上に塗布して、前記高分子ゲルを前記固定用基板に沈殿させて固定化する工程であることを特徴とする請求項1に記載の高分子ゲルの固定化方法。
  4. 沸点100℃以上の水溶性有機溶媒を含む分散媒に、外部刺激の付与により液体を吸収・放出して体積変化を生ずる高分子ゲルを分散する第1工程と、
    前記高分子ゲルが分散された分散媒を用い、第1基板に前記高分子ゲルを接触させて固定する第2工程と、
    前記高分子ゲルが固定化された第1基板に対し、所定の間隙を持って第2基板を対向配置する第3工程と、
    を有することを特徴とする光学素子の製造方法。
  5. 前記第2工程は、前記高分子ゲルが分散された分散媒に前記第1基板を浸し、前記高分子ゲルを前記第1基板に沈殿させて固定化する工程であることを特徴とする請求項4に記載の光学素子の製造方法。
  6. 前記第2工程は、前記高分子ゲルが分散された分散媒を前記第1基板上に塗布して、前記高分子ゲルを前記第1基板に沈殿させて固定化する工程であることを特徴とする請求項4に記載の光学素子の製造方法。
JP2006224212A 2006-08-21 2006-08-21 高分子ゲルの固定化方法、及び光学素子の製造方法 Withdrawn JP2008046547A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006224212A JP2008046547A (ja) 2006-08-21 2006-08-21 高分子ゲルの固定化方法、及び光学素子の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006224212A JP2008046547A (ja) 2006-08-21 2006-08-21 高分子ゲルの固定化方法、及び光学素子の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2008046547A true JP2008046547A (ja) 2008-02-28
JP2008046547A5 JP2008046547A5 (ja) 2009-10-01

Family

ID=39180317

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006224212A Withdrawn JP2008046547A (ja) 2006-08-21 2006-08-21 高分子ゲルの固定化方法、及び光学素子の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2008046547A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2017047585A1 (ja) * 2015-09-15 2017-03-23 株式会社リコー ポリマー、樹脂組成物、調光材料、光導波路材料、アサーマル光学素子、カラー表示素子及び光学材料
CN113845797A (zh) * 2021-10-21 2021-12-28 珠海天威新材料股份有限公司 可消色墨水及其制备方法

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2017047585A1 (ja) * 2015-09-15 2017-03-23 株式会社リコー ポリマー、樹脂組成物、調光材料、光導波路材料、アサーマル光学素子、カラー表示素子及び光学材料
JPWO2017047585A1 (ja) * 2015-09-15 2018-08-09 株式会社リコー ポリマー、樹脂組成物、調光材料、光導波路材料、アサーマル光学素子、カラー表示素子及び光学材料
US11274174B2 (en) 2015-09-15 2022-03-15 Ricoh Company, Ltd. Polymer, resin composition, light control material, optical waveguide material, athermal optical element, color display element, and optical material
CN113845797A (zh) * 2021-10-21 2021-12-28 珠海天威新材料股份有限公司 可消色墨水及其制备方法
CN113845797B (zh) * 2021-10-21 2023-09-05 珠海天威新材料股份有限公司 可消色墨水及其制备方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3543641B2 (ja) 体積変調型発色材料、体積変調型発色組成物、それを用いた光学素子、及び光変調方法
JP3887956B2 (ja) 光学材料及び光学素子
JP4720079B2 (ja) 調光素子の製造方法
JP2006162673A (ja) 光学材料およびそれを用いた光学素子
JP2008046547A (ja) 高分子ゲルの固定化方法、及び光学素子の製造方法
JP2007154063A (ja) 水分インジゲータ、及び水分量表示方法
JP4155016B2 (ja) 高分子ゲル組成物、並びに、それを用いた光学素子、樹脂組成物、及び光学フィルム
JP4378886B2 (ja) 高分子ゲル組成物及びその製造方法、並びに、前記高分子ゲル組成物を用いた光学素子
JP2007146000A (ja) 高分子ゲル組成物及びその製造方法、光学素子
JP4134426B2 (ja) カラー表示素子
JP3876602B2 (ja) 高分子ゲル組成物およびその製造方法、並びにそれを用いた光学素子
JP3879303B2 (ja) 体積変調型調光材料、体積変調型調光組成物および光学素子
JP4604484B2 (ja) 光学素子
JP2001350163A (ja) 光学素子及びその製造方法
JP2004198883A (ja) 調光素子
JP2005003943A (ja) 光学素子およびその製造方法
JP4200755B2 (ja) 高分子ゲル硬化性組成物、高分子ゲル組成物及び光学素子
JP2006259391A (ja) 調光素子
JP2002105344A (ja) 高分子ゲル組成物およびその製造方法、並びにそれを用いた光学素子
JP2004285203A (ja) 高分子ゲル組成物及びその製造方法、並びに高分子ゲル組成物を用いた光学素子
JP2001281711A (ja) 光学素子
JP2006011000A (ja) 光学素子
JP4552453B2 (ja) 高分子ゲル組成物、高分子ゲル複合体及びその製造方法、並びに該複合体を備えた光学素子
JP2009198995A (ja) 体積変調型発色材料、体積変調型発色組成物、及び光学素子
JP4848623B2 (ja) 調光素子およびその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090818

A621 Written request for application examination

Effective date: 20090818

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

A761 Written withdrawal of application

Effective date: 20110628

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761