JP4685815B2 - 電気泳動シート、電気泳動装置、電気泳動装置の製造方法および電子機器 - Google Patents
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Description
この電気泳動装置は、電圧の印加を停止した状態での表示メモリー性や広視野角性を有することや、低消費電力で高コントラストの表示が可能であること等の特徴を備えている。
このような電気泳動装置としては、電極を有する一対の基板間に、電気泳動粒子および液相分散媒を封入した複数のマイクロカプセルと、各基板とマイクロカプセルとを固定するバインダが配設されたマイクロカプセル型のものが知られている。
このような電気泳動装置として、特許文献1には、一方の基板上に、複数のマイクロカプセルとバインダと分散媒とを含むマイクロカプセル分散液を供給した後、マイクロカプセルの間隙を埋めるように再度マイクロカプセル分散液が供給された電気泳動装置が開示されている。
また、電気泳動装置に一般的に用いられるPET-ITO基板は、可視光領域の低波長側でその透過率が低下しているので、白色粒子が黄赤みを帯びて見える場合がある。
さらに、白色粒子として使用される酸化チタン(チタニア)は、経時的にまたはそれ自体が黄色みを帯びていることがある。そのため、PET-ITO基板と組み合わせて使用することによりより“白さ”が低下し、白黒のコントラスト低下、画像のシャープさの低下が問題となる。
本発明の電気泳動シートは、基板と、
前記基板の一方の面側に設けられ、少なくとも黄色みを帯びた白色の電気泳動粒子を含む電気泳動分散液を殻体に内包するマイクロマプセルを含有するマイクロカプセル含有層とを備え、
前記マイクロカプセルの外周側に、前記電気泳動子の色相の波長の光を吸収し、前記電気泳動粒子の色相と補色の関係にある色相の波長の光を透過する透過部を有することを特徴とする。
これにより、電気泳動粒子の表示の白さが向上するので、白黒のコントラスト比が向上し、画像をシャープにすることができる。
これにより、電気泳動粒子の色相が殻体で相殺されるので、電気泳動粒子の表示の白さを高めることができる。
これにより、マイクロカプセル含有層に実質的に被覆層が形成されるので、電気泳動粒子の白さを均一に表示することができる。
本発明の電気泳動シートでは、前記マイクロカプセル含有層は、前記マイクロカプセルと、前記マイクロカプセルを保持する機能を有するバインダとで構成され、
前記透過部は、前記バインダに形成されたものであることが好ましい。
これにより、マイクロカプセル含有層の両方の面側が実質的に透過部で覆われるので、電気泳動粒子の白さを均一に表示することができる。
これにより、電気泳動粒子と補色の関係にある色の波長の光が基板を透過するので、基板における可視光領域の低波長側の透過率の低下を補うことができ、電気泳動粒子の表示の白さをより一層高めることができる。
これにより、可視光領域の低波長側の光も透過するので、電気泳動粒子の表示の白さをより一層高めることができる。
本発明の電気泳動シートでは、前記透過部は、前記電気泳動粒子の色相の波長の光を吸収する有機材料を含むものであることが好ましい。
これにより、電気泳動粒子の色相の波長の光の強度が弱まり、補色の色相の波長の光の強度が相対的に強くなるので、電気泳動粒子の表示の白さが高くなる。
これにより、色安定性、耐候性に優れるので、長期間電気泳動粒子の表示の白さを維持することができる。
本発明の電気泳動シートは、基板と、
前記基板の一方の面側に設けられ、少なくとも黄色みを帯びた白色の電気泳動粒子を含む電気泳動分散液を殻体に内包するマイクロマプセルを含有するマイクロカプセル含有層とを備え、
前記マイクロカプセルの外周側に、前記電気泳動粒子の色相と補色の関係にある色相の波長の光を反射する反射部を有することを特徴とする。
これにより、電気泳動粒子の表示の白さが向上するので、白黒のコントラスト比が向上し、画像をシャープにすることができる。
本発明の電気泳動シートでは、前記反射部は、前記基板の前記マイクロカプセル含有層と反対側の面側に設けられていることが好ましい。
これにより、補色の色相の波長の光が反射部で反射するので、マイクロカプセルから透過した電気泳動粒子の色相の波長の光を相殺し、電気泳動粒子の表示の白さを高めることができる。
これにより、補色の関係にある色相の波長の光が効率よく反射するので、電気泳動粒子の表示の白さをより確実に高めることができる。
本発明の電気泳動シートでは、前記電気泳動粒子は、酸化チタンで構成されるものであることが好ましい。
これにより、酸化チタンは白色の粒子であるので、白黒のコントラスト比を高めることができる。
前記基板の一方の面側に設けられ、少なくとも黄色みを帯びた白色の電気泳動粒子を含む電気泳動分散液を殻体に内包するマイクロマプセルを含有するマイクロカプセル含有層と、
前記マイクロカプセル含有層の前記基板と反対側に設けられた対向基板とを備え、
前記マイクロカプセルの外周側に、前記電気泳動粒子の色相の波長の光を吸収し、前記白色粒子の色相と補色の関係にある色相の波長の光を透過する透過部を有することを特徴とする電気泳動表示装置。
これにより、電気泳動粒子の表示の白さが向上するので、白黒のコントラスト比、画像のシャープさが向上することができる。
本発明の電気泳動表示装置は、基板と、
前記基板の一方の面側に設けられ、少なくとも黄色みを帯びた白色の電気泳動粒子を含む電気泳動分散液を殻体に内包するマイクロマプセルを含有するマイクロカプセル含有層と、
前記マイクロカプセル含有層の前記基板と反対側に設けられた対向基板とを備え、
前記マイクロカプセルの外周側に、前記電気泳動粒子の色相と補色の関係にある色相の波長の光を反射する反射部を有することを特徴とする。
これにより、電気泳動粒子の表示の白さが向上するので、白黒のコントラスト比、画像のシャープさが向上することができる。
本発明の電気泳動表示装置では、前記マイクロカプセル含有層と前記対向基板とを接合する接着剤層を備えることが好ましい。
これにより、電気泳動シートと回路基板とが固定されるので、安定にかつ品質を一定にすることができる。
基板の一方の面側に前記マイクロカプセル含有層を形成する第2の工程と、
前記マイクロカプセル含有層の前記基板と反対側の面側に接着剤層を形成する第3の工程と、
前記接着剤層の前記マイクロカプセル含有層と反対側の面側に対向基板を接触して、前記接着剤層と前記対向基板とを接合する第4の工程とを有することを特徴とする。
これにより、電気泳動粒子の表示の白さが高く、白黒のコントラスト比が高い電気泳動装置を簡単に得ることができる。
本発明の電気泳動表示装置の製造方法は、少なくとも黄色みを帯びた白色の電気泳動粒子を含む電気泳動分散液を殻体に内包するマイクロマプセルの外周側に、前記電気泳動粒子の色相と補色の関係にある色相の波長の光を反射する反射部を形成する第1の工程と、
基板の一方の面側に前記マイクロカプセル含有層を形成する第2の工程と、
前記マイクロカプセル含有層の前記基板と反対側の面側に接着剤層を形成する第3の工程と、
前記接着剤層の前記マイクロカプセル含有層と反対側の面側に対向基板を接触して、前記接着剤層と前記対向基板とを接合する第4の工程とを有することを特徴とする。
これにより、電気泳動粒子の表示の白さが高く、白黒のコントラスト比が高い電気泳動装置を簡単に得ることができる。
これにより、信頼性の高い電子機器を得ることができる。
なお、本発明において、着色部とは、電気泳動粒子の色相と補色の関係にある色の波長の光を選択的に透過または反射する機能の少なくともいずれかの機能を有する部分である。
この着色部は、電気泳動表示装置において、電気泳動分散液よりも視認側、すなわち、マイクロカプセルの外周側に設けられていればよい。
着色部は、通常、膜の形態で各部位に備えられるが、該膜は連続した膜であっても、断続的な膜であってもよい。
1.電気泳動装置
まず、本発明の電気泳動シートを適用した電気泳動装置(本発明の電気泳動装置)について説明する。
図1は、本発明の電気泳動装置の縦断面を模式的に示す図である。なお、以下では、説明の都合上、図1中の上側を「上」、下側を「下」として説明を行う。
電気泳動シート21は、平板状の基部2と基部2の下面に設けられた第2の電極4とを備える基板12と、この基板12の下面(一方の面)側に設けられ、マイクロカプセル40とバインダ41とで構成されたマイクロカプセル含有層400と、この基板12の上面側に設けられた着色部、本実施形態では透過部9とを有している。
一方、回路基板22は、平板状の基部1と基部1の上面に設けられた複数の第1の電極3とを備える対向基板11と、この対向基板11(基部1)に設けられた、例えばTFT等のスイッチング素子を含む回路(図示せず)とを有している。
基部1および基部2は、それぞれ、シート状(平板状)の部材で構成され、これらの間に配される各部材を支持および保護する機能を有する。
各基部1、2は、それぞれ、可撓性を有するもの、硬質なもののいずれであってもよいが、可撓性を有するものであるのが好ましい。可撓性を有する基部1、2を用いることにより、可撓性を有する電気泳動装置20、すなわち、例えば電子ペーパーを構築する上で有用な電気泳動装置20を得ることができる。
第1の電極3と第2の電極4との間に電圧を印加すると、これらの間に電界が生じ、この電界が電気泳動粒子(表示粒子)5に作用する。
なお、第2の電極4も、第1の電極3と同様に複数に分割するようにしてもよい。
また、第1の電極3がストライプ状に分割され、第2の電極も同様にストライプ状に分割され、これらが交差するように配置された形態であってもよい。
このような複合材料の具体例としては、例えば、ゴム材料中に導電性材料を混合した導電性ゴム、エポキシ系、ウレタン系、アクリル系等の接着剤組成物中に導電性材料を混合した導電性接着剤または導電性ペースト、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ABS樹脂、ナイロン(ポリアミド)、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリエステル、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂等のマトリックス樹脂中に導電性材料を混合した導電性樹脂等が挙げられる。
このような電極3、4の平均厚さは、それぞれ、構成材料、用途等により適宜設定され、特に限定されないが、0.05〜10μm程度であるのが好ましく、0.05〜5μm程度であるのがより好ましい。
電気泳動シート21では、第2の電極4の下面に接触して、マイクロカプセル含有層400が設けられている。
このマイクロカプセル含有層400は、電気泳動分散液10を殻体401内に封入した複数のマイクロカプセル40が、バインダ41で固定(保持)されて構成されている。
マイクロカプセル40は、対向基板11と基板12との間に、縦横に並列するように単層で(厚さ方向に重なることなく1個ずつ)配設されている。
このような構成により、電気泳動装置20では、有効表示領域が増大し、コントラストが良好なものとなる。また、電気泳動粒子5の上下方向への移動距離を短縮することができるため、電気泳動粒子5を短時間に所定の電極近傍に移動・集合させることができ、応答速度の向上を図ることもできる。
殻体401の構成材料としては、例えば、ゼラチン、アラビアゴムとゼラチンとの複合材料、ウレタン系樹脂、メラミン系樹脂、尿素樹脂、ポリアミド、ポリエーテルのような各種樹脂材料が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、殻体401の構成材料には、架橋剤により架橋(立体架橋)を形成するようにしてもよい。これにより、殻体401の柔軟性を維持しつつ、強度を向上させることができる。その結果、マイクロカプセル40が容易に崩壊するのを防止することができる。
殻体401内に封入された電気泳動分散液10は、少なくとも1種の電気泳動粒子5(本実施形態では、着色粒子5bと白色粒子5aとの2種)を液相分散媒6に分散(懸濁)してなるものである。
液相分散媒6としては、殻体401に対する溶解性が低く、かつ比較的高い絶縁性を有するものが好適に使用される。
また、イソパラフィンは、その炭素数が5〜15のものであるのが好ましく、8〜15のものであるのがより好ましい。このような範囲の炭素数のイソパラフィンを液相分散媒6として用いることにより、液相分散媒6(電気泳動分散液10)の粘度が不要に高くなるのを防止しつつ、電気泳動粒子の比重との比重差が小さく沈降速度が十分小さいという効果が得られる。その結果、電気泳動装置20の表示性能(特に、応答速度、保持特性)の向上を図ることができる。
なお、このようなイソパラフィンは、1種を単独で用いてもよく、2種以上混合して用いるようにしてもよい。
電気泳動粒子5は、荷電を有し、電界が作用することにより、液相分散媒6中を電気泳動し得る粒子であれば、いかなるものをも用いることができ、特に限定はされないが、顔料粒子、樹脂粒子またはこれらの複合粒子のうちの少なくとも1種が好適に使用される。これらの粒子は、製造が容易であるとともに、荷電の制御を比較的容易に行うことができるという利点を有している。
また、複合粒子としては、例えば、顔料粒子の表面を樹脂材料や他の顔料で被覆したもの、樹脂粒子の表面を顔料で被覆したもの、顔料と樹脂材料とを適当な組成比で混合した混合物で構成される粒子等が挙げられる。
また、カーボンブラック粒子またはその表面を被覆した粒子は、着色粒子(黒色粒子)5bとして好適に用いられる。
電気泳動粒子5の平均粒径は、10〜500nm程度であるのが好ましく、20〜300nm程度であるのがより好ましい。電気泳動粒子5の平均粒径を前記範囲とすることにより、電気泳動粒子5同士の凝集や、液相分散媒6中における沈降を確実に防止することができ、その結果、電気泳動装置20の表示品質の劣化を好適に防止することができる。
具体的には、着色粒子5bの平均粒径を20〜100nm程度、白色粒子5aの平均粒径を150〜300nm程度とするのが好ましい。
また、電気泳動粒子5の比重は、液相分散媒6の比重とほぼ等しくなるように設定されているのが好ましい。これにより、電気泳動粒子5は、電極3、4間への電圧の印加を停止した後においても、液相分散媒6中において一定の位置に長時間滞留することができる。すなわち、電気泳動装置20に表示された情報が長時間保持されることとなる。
このバインダ41には、各電極3、4および殻体401(マイクロカプセル40)との親和性(密着性)に優れ、かつ、絶縁性に優れる樹脂材料が好適に使用される。
本実施形態では、電気泳動シート21と回路基板22とが、接着剤層8を介して接合されている。これにより、電気泳動シート21と回路基板22とをより確実に固定することができる。
Iの機能を有することにより、第1の電極3と第2の電極4との間での短絡を確実に防止して、電気泳動粒子5に確実に電界を作用させることができる。
IIIの機能を有することにより、例え電気泳動装置20内に水分が浸入したとしても、水分がマイクロカプセル40や回路基板22に設けられた回路等に拡散するのを防止または抑制して、これらの劣化を防止することができる。
また、IVの機能を有することにより、電気泳動装置20の製造時(作成時)にマイクロカプセル40や回路基板22に設けられたスイッチング素子等の破壊を防止することができる。
このような接着剤層8は、ポリウレタンを主材料として構成されているのが好ましい。ポリウレタンは、接着剤層8に、前述したような機能を確実に付与することができることから好ましい。
封止部7の構成材料としては、例えば、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、オレフィン系樹脂のような熱可塑性樹脂、エポキシ系樹脂、メラミン系樹脂、フェノール系樹脂のような熱硬化性樹脂等の各種樹脂材料等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
なお、封止部7は、必要に応じて設ければよく、省略することもできる。
そこで、本実施形態の電気泳動装置20は、白色粒子5aの表示の白色度を向上させるため、電気泳動シート21のマイクロカプセル40の外周側に着色部を有している。すなわち、本実施形態の電気泳動装置20は、基板12の上面に基板12に接して、電気泳動粒子5の色相と補色の関係にある色を透過する透過部9を有している。
透過部9は、黄色みを帯びた白色粒子5aの黄色みを除去する光学フィルターとしての機能を有している。そして、透過部9は、白色粒子5aの色相の波長(560〜605nm)の光を選択的に吸収する有機材料92と、バインダ材とで構成されている。
この有機材料92は、換言すると、青色系の波長(400〜490nm)の光を選択的に反射または透過する材料である。例えば、メチレンブルー、ブリリアントブルーFCF、インジゴカルミン、インディゴ、フタロシアニンブルー、インダスレンブルー、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー部分塩素化物、ファストスカイブルー、インダスレンブルーBC、部分スルホン化銅フタロシアニンなどの青色系有機色素、フルオレン−カルバゾール系コポリマー、ビナフチル−フルオレン系コポリマーなどの青色系高分子化合物などが挙げられる。これらの材料は2種類以上組み合せて用いてもよい。
これらのうち、青色系有機系色素であることが好ましく、フタロシアニンブルーであることがより好ましい。
また、青色系有機色素、特にフタロシアニンブルーは、黄色系の波長の光に対して波長特性に優れるので、黄色系の波長の光を相殺して、白色粒子5aの表示の白さを高めることができる。
これにより、透過部9には過不足のない有機材料92が含有されるので、有機材料92の色の波長の光の強度が強すぎたり、弱すぎたりすることがなく、白色粒子5aの表示の白さを確実に高めることができる。
また、有機材料92の含有量が上記範囲の上限値よりも多すぎると、青色系の波長の光の強度が強くなり、白色粒子5aが青色系に見えることがある。
バインダ材としては、例えば、前述したバインダ41と同様の材料が挙げられる。
なお、透過部9は多層積層膜で形成されていてもよい。この場合、各層が積層されて透過部9を形成したときにその膜厚が上記範囲であればよい。
また、透過部9は、400〜700nmの波長の光の透過率が80%以上であることが好ましく、85%以上であることがより好ましい。これにより、低波長側(青色系)の光も高い率で透過するので、白色粒子5aの表示の白さを高めることができる。その結果、コントラストが向上し、画像をシャープにすることができる。
400〜700nmの波長の光の透過率が、上記値よりも小さすぎると、低波長側の光の透過率が低下するので、白色粒子5aの表示の白さが低下するおそれがある。
さらに、透過部9は、400〜700nmの波長において、光の透過率の最大値と最小値がそれぞれ8%以内であることが好ましく、5%以内であることがより好ましい。
これにより、各波長における光の透過率が均一となるため、白色粒子5aの表示の白さを均一にすることができる。
光の透過率の最大値と最小値がそれぞれ前記値よりも大きすぎると、各波長における光の透過率が不均一となり、白色粒子5aの表示の白さが不均一になるおそれがある。
以上のように本実施形態の透過部9は構成されている。
このような電気泳動装置20は、次のようにして作動する。
以下、電気泳動装置20の作動(動作)方法について説明する。
図2は、図1に示す電気泳動装置の動作方法を説明するための模式図である。なお、以下の説明では、図2中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
例えば、白色粒子5aとして正荷電を有するものを用い、着色粒子(黒色粒子)5bとして負荷電のものを用いた場合、図2(A)に示すように、第1の電極3を正電位とすると、白色粒子5aは、第2の電極4側に移動して、第2の電極4に集まる。一方、着色粒子5bは、第1の電極3側に移動して、第1の電極3に集まる。このため、電気泳動装置20を上方(表示面側)から見ると、白色粒子5aの色が見えること、すなわち、白色が見えることになる。
透過部9を有さない電気泳動装置では、白色粒子5aに向けて入射した光のうち、黄色に相当する部分の波長(560〜605nm)の光が白色粒子5aで反射し、基板12を透過する。そのため、白色粒子5aは黄色みを帯びて見える。
それとともに、電気泳動装置20の外部から透過部9に入射した光のうち、青色系の波長(400〜490nm)の光が、透過部9を構成する有機材料92で反射する。これにより、青色系の波長の光の強度が増大する。
このように、黄色系に相当する部分の波長の光の強度が低下し、青色系の波長の光の強度が増大するので、黄色系の色相が相殺され、白色粒子5の白さが高まる。
また、白色粒子5aの色相に応じて、透過部9の有機材料92を適宜設定することにより、白色粒子5aの表示の白さを高めることができる。
このような電気泳動装置20は、次のようにして製造することができる。
以下、電気泳動装置20の製造方法について説明する。
図3および図4は、それぞれ、図1に示す電気泳動装置の製造方法を説明するための模式図である。なお、以下の説明では、図3および図4中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
まず、電気泳動分散液10が封入されたマイクロカプセル40を作製する。
マイクロカプセル40の作製手法(殻体401への電気泳動分散液10の封入方法)としては、特に限定されないが、例えば、界面重合法、In−situ重合法、相分離法(または、コアセルベーション法)、界面沈降法、スプレードライ法等の各種マイクロカプセル化手法を用いることができる。なお、前記のマイクロカプセル化手法は、マイクロカプセル40の構成材料等に応じて、適宜選択するようにすればよい。
マイクロカプセル40の平均粒径は、5〜50μm程度であるのが好ましく、10〜30μm程度であるのがより好ましい。マイクロカプセル40の平均粒径を前記範囲とすることにより、製造される電気泳動装置20において電気泳動粒子5の電気泳動をより確実に制御することができるようになる。
次に、前述のようにして作製されたマイクロカプセル40と、バインダ41とを混合してマイクロカプセル分散液を調製する。
マイクロカプセル分散液中におけるマイクロカプセル40の含有量は、10〜80wt%程度であるのが好ましく、30〜60wt%程度であるのがより好ましい。
マイクロカプセル40の含有量を前記範囲に設定すると、マイクロカプセル40が厚さ方向に重ならないように(単層で)、マイクロカプセル含有層400において移動(再配置)させる配設する上で、非常に有利である。
一方、基板12上に透過部9を形成する。すなわち、図3(a)に示すように、基部2の第2の電極4と反対側の面に透過部9を構成する有機材料92を含有する液状材料を供給する。
この液状材料は、透過部9を構成する有機材料92と、バインダ材と、分散媒とで構成されている。そして、液状材料は、これらの材料を混合することにより、調製することができる。なお、分散媒は、前述した液相分散媒6と同様の材料が挙げられる。
これらの中でも、特に、インクジェット法(液滴吐出法)またはスピンコート法を用いるのが好ましい。インクジェット法によれば、透過部9を容易かつ寸法精度よく形成することができる。また、スピンコート法によれば、透過部9を均一に形成することができる。
次に、図3(b)に示すように、[3]で得られた基板12上に、[2]で得られたマイクロカプセル分散液を供給する。
マイクロカプセル分散液を供給する方法としては、例えば、スピンコート法、ディップコート法、スプレーコート法等の各種塗布法を用いることができる。
これは、例えば、図3(c)に示すように、スキージ(平板状の治具)100を基板12上を通過させ、マイクロカプセル40を掃くことにより行うことができる。
これにより、マイクロカプセル含有層400が形成され、図3(d)に示すような電気泳動シート21が得られる。
次に、図4(e)に示すように、マイクロカプセル含有層400上に、接着剤層8を形成する。
これは、例えば、シート状の接着剤層8を、転写法等により、マイクロカプセル含有層400上に配置することにより行うことができる。
次に、図4(f)に示すように、接着剤層8上に、別途用意した回路基板22を、第1の電極3が接着剤層8に接触するように重ね合わせる。
これにより、接着剤層8を介して、電気泳動シート21と回路基板22とが接合される。
次に、図4(g)に示すように、電気泳動シート21および回路基板22の縁部に沿って、封止部7を形成する。
これは、電気泳動シート21(基部2)と回路基板22(基部1)との間であって、これらの縁部に沿って封止部7を形成するための材料を、例えば、ディスペンサ等により供給し、固化または硬化させることにより形成することができる。
以上の工程を経て、電気泳動装置20が得られる。
これにより、マイクロカプセル含有層400の各部において、マイクロカプセル40の配設密度を均一とすることができるとともに、マイクロカプセル40の石垣構造(扁平形状)を確実に形成することができる。その結果、コントラストや応答速度等の表示性能に優れる電気泳動装置20が得られる。
また、接着剤層8は、回路基板22側に設けておき、回路基板22と電気泳動シート21とを接合するようにしてもよく、回路基板22および電気泳動シート21の双方に設けておき、回路基板22と電気泳動シート21とを接合するようにしてもよい。
また、[3]の透過部9の形成工程で基板12上に透過部9を形成せずに、電気泳動装置20を製造した後、基板12上に透過部9を形成してもよい。
次に、本発明の電気泳動表示シートを適用した電気泳動装置の第2実施形態について説明する。
図5は、本発明の電気泳動装置の第2実施形態の縦断面を模式的に示す図である。なお、以下では、説明の都合上、図5中の上側を「上」、下側を「下」として説明を行う。
図5に示す電気泳動装置20は、基部2の上面に透過部9が形成される代わりに、基部2が透過部9を兼ねていること以外は、第1実施形態の電気泳動装置20と同様である。
すなわち、本実施形態の電気泳動装置20は、透過部9を構成する有機材料92を基部2に含有している。
また、基部2に有機材料92が含まれているので、基部2による可視光領域の低波長側の光の透過率の低下を低減することができる。その結果、白色粒子5aの表示の白さを高めることができる。
なお、有機材料92、その含有量、バインダ材、基部の厚さ、400〜700nmの波長の光の透過率などは第1実施形態と同様である。
次に、本発明の電気泳動表示シートを適用した電気泳動装置の第3実施形態について説明する。
図6は、本発明の電気泳動装置の第3実施形態の縦断面を模式的に示す図である。なお、以下では、説明の都合上、図6中の上側を「上」、下側を「下」として説明を行う。
図6に示す電気泳動装置20は、基部2の上面に透過部9が形成される代わりに、殻体401の外周面を覆うように透過部9を構成する被覆層90が設けられていること以外は、第1実施形態の電気泳動装置20と同様である。
また、殻体401が被覆層90で覆われているので、電気泳動装置20の上方から視認したとき、マイクロカプセル含有層400の全面に被覆層90が形成されている。その結果、黄色系の波長の光を効率よく吸収することができ、白色粒子5aの白さを均一に表示することができる。
なお、有機材料92、その含有量、バインダ材、400〜700nmの波長の光の透過率などは第1実施形態と同様である。
次に、本発明の電気泳動表示シートを適用した電気泳動装置の第4実施形態について説明する。
図7は、本発明の電気泳動装置の第4実施形態の縦断面を模式的に示す図である。なお、以下では、説明の都合上、図7中の上側を「上」、下側を「下」として説明を行う。
図7に示す電気泳動装置20は、基部2の上面に透過部9が形成される代わりに、殻体401が透過部9を兼ねていること以外は、第1実施形態の電気泳動装置20と同様である。
このように、殻体401に有機材料92が含まれていることにより、第1実施形態と異なり透過部9を別途設けなくてもよいので、簡単に電気泳動装置20を得ることができる。
なお、有機材料92、その含有量、バインダ材、400〜700nmの波長の光の透過率などは第1実施形態と同様である。
以上、殻体401に有機材料92を含有する形態を説明したが、殻体401の内周面に透過部9を設けていてもよい。
次に、本発明の電気泳動表示シートを適用した電気泳動装置の第5実施形態について説明する。
図8は、本発明の電気泳動装置の第5実施形態の縦断面を模式的に示す図である。なお、以下では、説明の都合上、図8中の上側を「上」、下側を「下」として説明を行う。
図8に示す電気泳動装置20は、基部2の上面に透過部9が形成される代わりに、マイクロカプセル含有層400のバインダ41に透過部9が形成されていること以外は、第1実施形態の電気泳動装置20と同様である。
このように、マイクロカプセル含有層400のバインダ41に有機材料92が含まれていることにより、第1実施形態と異なり透過部9を別途設けなくてもよいので、簡単に電気泳動装置20を得ることができる。
また、マイクロカプセル40と第2の電極4との間にバインダ41の層が形成されるので、電気泳動装置20の上方から視認したとき、マイクロカプセル含有層400の上面全面に透過部9が形成される。その結果、黄色系の波長の光を効率よく吸収することができ、白色粒子5aの白さを均一に表示することができる。
なお、有機材料92、その含有量、バインダ材、400〜700nmの波長の光の透過率などは第1実施形態と同様である。
次に、本発明の電気泳動表示シートを適用した電気泳動装置の第6実施形態について説明する。
図9は、本発明の電気泳動装置の第6実施形態の縦断面を模式的に示す図である。なお、以下では、説明の都合上、図9中の上側を「上」、下側を「下」として説明を行う。
図9に示す電気泳動装置20は、基部2の上面に透過部9が形成される代わりに、基部2の上面に反射部91が形成されていること以外は、第1実施形態の電気泳動装置20と同様である。
この反射部91を構成する材料としては、例えば、前述した透過部9を構成する有機材料92の他、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛等の無機酸化物、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化ジルコニウム、窒化亜鉛等の無機窒化物などの無機材料が挙げられる。これらの材料は2種類以上組み合せて用いてもよい。
反射部91の光学膜厚は、青色系の光の波長の1/4の厚さであることが好ましい。具体的には、例えば、色相環を構成する色の波長400〜700nmの1/4の厚さ、すなわち、100〜175nmの厚さであることが好ましい。これにより、青色系の波長の光が選択的かつ効率よく反射する。そのため、白色粒子5aの黄色系の波長の光が、反射部91で反射した青色系の波長の光によって相殺されて、白色粒子5aの表示の白さを向上させることができる。
青色系の波長の光を反射する反射率は、5〜25%であることが好ましく、10〜20%であることがより好ましい。
以上のように、基部2の上面に反射部91を有することにより、電気泳動装置20の外部から反射部91に入射した光のうち、青色系の波長の光が効率的に反射する。そのため、白色粒子5aの黄色系の波長の光を相殺して、白色粒子5aの表示の白さを高めることができる。
なお、このような反射部91は、前述した第1実施形態において、透過部9の代わりに備えられていてもよい。
以上のような電気泳動装置20は、各種電子機器に組み込むことができる。以下、電気泳動装置20を備える本発明の電子機器について説明する。
<<電子ペーパー>>
まず、本発明の電子機器を電子ペーパーに適用した場合の実施形態について説明する。
図10は、本発明の電子機器を電子ペーパーに適用した場合の実施形態を示す斜視図である。
図10に示す電子ペーパー600は、紙と同様の質感および柔軟性を有するリライタブルシートで構成される本体601と、表示ユニット602とを備えている。
このような電子ペーパー600では、表示ユニット602が、前述したような電気泳動装置20で構成されている。
次に、本発明の電子機器をディスプレイに適用した場合の実施形態について説明する。
図11は、本発明の電子機器をディスプレイに適用した場合の実施形態を示す図である。このうち、図11中(a)は断面図、(b)は平面図である。
図11に示すディスプレイ(表示装置)800は、本体部801と、この本体部801に対して着脱自在に設けられた電子ペーパー600とを備えている。なお、この電子ペーパー600は、前述したような構成、すなわち、図11に示す構成と同様のものである。
また、本体部801の表示面側(図11(b)中、紙面手前側)には、矩形状の孔部803が形成され、この孔部803には、透明ガラス板804が嵌め込まれている。これにより、本体部801の外部から、本体部801に設置された状態の電子ペーパー600を視認することができる。すなわち、このディスプレイ800では、本体部801に設置された状態の電子ペーパー600を、透明ガラス板804において視認させることで表示面を構成している。
このようなディスプレイ800では、電子ペーパー600は、本体部801に着脱自在に設置されており、本体部801から取り外した状態で携帯して使用することもできる。
また、このようなディスプレイ800では、電子ペーパー600が、前述したような電気泳動装置20で構成されている。
以上、本発明の電気泳動シート、電気泳動装置、電気泳動装置の製造方法および電子機器を、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、本発明に、他の任意の構成物が付加されていてもよい。
また、前記実施形態では、一対の電極が対向して設けられた構成のものについて示したが、本発明は、これに限らず、例えば、一対の電極を同一基板上に設ける構成のものに適用することもできる。
また、前記実施形態では、マイクロカプセルは、隣り合う2つの画素電極(電極)にまたがるように配置されているが、本発明では、これに限らず、例えば、マイクロカプセルが、隣り合う3つ以上の画素電極にまたがるように配置されていてもよく、また、隣り合う画素電極にまたがらないように配置されていてもよく、また、これらが混在していてもよい。
また、本発明の電気泳動装置の製造方法では、任意の目的の工程が1または2以上追加されていてもよい。
1.電気泳動装置の製造
〔実施例1〕
(1)マイクロカプセルの作製
まず、平均粒径200nmの球形状の白色粒子と、平均粒径60nmの球形状の黒色粒子を用意した。
なお、白色粒子には、酸化チタン粒子(石原産業(株)製、CR−90)を、黒色粒子には、カーボンブラック粒子を用いた。
なお、液相分散媒には、IsoparM(ExonMobilChemical社製)を用いた。
次に、酢酸を用いて溶液のpHを3.7に調節し、その後、氷冷することによりカプセルを析出させた。さらに、ホルムアルデヒドを加え、カプセルに架橋構造を形成した。
次に、一昼夜撹拌を続けた後、分級することによりマイクロカプセル(平均粒径20μm)を得た。
次に、得られたマイクロカプセルとバインダとを、重量比で3:2となるように混合して、マイクロカプセル分散液を調製した。
なお、バインダには、ドデシルメタクリレート(融点:25℃以下)と2−エチルヘキシルメタクリレート(融点:25℃以下)とを、重量比で90:10となるように混合し、重合した共重合体樹脂を用いた。
次に、ITOよりなる第2の電極が形成された基板(PET-ITO基板;御池工業(株)製、OTEC220B)を用意した。
また、透過部を構成する有機材料92として部分スルホン化銅フタロシアニン0.1gと、バインダ樹脂としてアクリル樹脂10g、塩基性樹脂ポリビニルピリジン0.05gとを酢酸エチル500mLに分散して分散液を用意した。
この分散液をPET-ITO基板のPET上に1300rpmでスピンコート法により塗布した。これにより、透過部が形成されたPET-ITO基板を得た。
次に、(2)で得られたマイクロカプセル分散液を(3)で得られたPET−ITO基板のITO上にドクタブレード法により、平均厚さ30μmのマイクロカプセル含有層を形成した。
(5)接着剤層形成
次に、平均厚さ15μmのシート状の接着剤層を用意し、常温(25℃)下に、マイクロカプセル含有層上に配置した。これにより、マイクロカプセル含有層は、平均厚さが約15μmとなり、また、マイクロカプセルは、変形して扁平形状となった。すなわち、石垣構造が形成されていることが確認された。
なお、接着剤層には、ポリウレタンとEO変性ジシクロペンテニルメタクリレートとを、重量比で95:5で混合した混合物を用いた。
次に、接着剤層上に、常温(25℃)下に、ITOよりなる第1の電極が形成された回路基板を配置し、接合した。
(7)封止工程
最後に、縁部(外周部)をエポキシ系接着剤で封止した。これにより、図1に示す電気泳動装置を得た。
実施例1の(3)の工程において、PET−ITO基板を東レ(株)製、CF−98に変え、分散液を塗布しない以外は実施例1と同様に行い、電気泳動装置を得た。なお、東レ(株)製、CF−98のPET−ITO基板は、青色系の波長の光(380〜460nm)を吸収する層がPET上に形成されている。
実施例1の(3)の工程において、PET−ITO基板をPET−有機導電材料基板(帝人デュポン(株)製、OG−1)に変え、分散液を塗布しない以外は実施例1と同様に行い、電気泳動装置を得た。なお、帝人デュポン(株)製、OG−1の有機導電材料−PET基板は、青色系の波長の光(380〜460nm)を吸収する層がPET上に形成されている。
実施例1の(3)の工程において、PET−ITO基板をノルボルネン系高分子−ITO基板(JSR(株)製)に変え、分散液を塗布しない以外は実施例1と同様に行い、電気泳動装置を得た。なお、JSR(株)製のノルボルネン系高分子−ITO基板は、青色系の波長の光(380〜460nm)を吸収する層がPET上に形成されている。
実施例1の(3)の工程において、PET−ITO基板のPETに部分スルホン化銅フタロシアニン0.1gを混合したものを用いて、分散液を塗布しない以外は実施例1と同様に行い、電気泳動装置を得た。
〔実施例6〕
実施例1の(1)工程で得られたマイクロカプセルを、実施例1の(3)工程で用意した分散液に浸漬して、マイクロカプセルに被覆層を形成した。そして、実施例1の(3)工程を行わない以外は実施例1と同様に行い、電気泳動装置を得た。
実施例1の(1)工程において、ゼラチンを溶解した溶液に部分スルホン化銅フタロシアニン0.1gを混合したものを用いて、(3)工程を行わない以外は実施例1と同様に行い、電気泳動装置を得た。
〔実施例8〕
実施例1の(2)工程において、マイクロカプセル分散液に部分スルホン化銅フタロシアニン0.1gを混合したものを用いて、(3)工程を行わない以外は実施例1と同様に行い、電気泳動装置を得た。
実施例1の(3)の工程において、分散液をPET上に塗布する代わりに、窒化シリコン膜(膜厚70nm)をPET上にプラズマCVD法により成膜する以外は実施例1と同様に行い、電気泳動装置を得た。
なお、プラズマCVD法は、次のような条件で行った。チャンバ内を3Paに減圧し、アルゴンガスを50sccmの流量でチャンバ内に供給し、高周波電源により500Wの電力を印加してアルゴンプラズマを発生させた。一方、窒化シリコンをヒーターにより加熱気化し、50sccmの流量でチャンバ内に供給した。チャンバ内に供給された窒化シリコンとアルゴンプラズマとを約5分反応させ、PET-ITO基板のPET側の面に成膜した。
〔比較例〕
実施例1において、PET−ITO基板に分散液を塗布しない以外は実施例1と同様に行い、電気泳動装置を製造した。
実施例および比較例で得られた電気泳動装置について、色味、コントラスト、画像のシャープさ、CIE1976(L*a*b*)表色系(JIS Z 8729)の評価を行った。
実施例および比較例で得られた電気泳動装置の両電極間に15Vの直流電圧を0.4秒間、2回印加したときの白色粒子の色味を目視で確認し、以下の4段階の基準に従い評価した。結果を表1にまとめて示した。
◎:淡黄色は全く認められなかった(白色)。
○:淡黄色は認められなかった。
△:淡黄色がわずかに認められた。
×:淡黄色が認められた。
実施例および比較例で得られた電気泳動装置の両電極間に15Vの直流電圧を0.4秒間、2回印加したときの白および黒の反射率をそれぞれ、マクベス分光光度濃度計(GretagMacbeth社製、SpectroEye)を用いて測定し、下記式によりコントラストを求めた。結果を表1にまとめて示した。
なお、白および黒の反射率は、極を切り替えて印加することにより別々に測定し、各反射率は電気泳動装置の片面全体について測定した値とした。
コントラスト=(白反射率)/(黒反射率)
実施例および比較例で得られた電気泳動装置の両電極間に15Vの直流電圧を0.4秒間、2回印加したときの画像のシャープさを目視で確認し、以下の4段階の基準に従い評価した。結果を表1にまとめて示した。
◎:画像のエッジがはっきり見える。
○:画像のエッジが見える。
△:画像のエッジが見えにくい。
×:画像のエッジが見えない。
実施例および比較例で得られた電気泳動装置の両電極間に15Vの直流電圧を0.4秒間、2回印加したときのCIE1976(L*a*b*)表色系をマクベス分光光度濃度計(GretagMacbeth社製、SpectroEye)を用いて求めた。結果を表1にまとめて示した。
なお、表1中、L*は明度指数、a*、b*はクロマティクネス指数を表す。
特に実施例1〜4、9では基板上に透過部が設けられているため、また、実施例5では基板が透過部を兼ねているため、色味、コントラスト、画像のシャープさに特に優れていた。
これに対し、比較例では、透過部を有していないので、色味、コントラスト、画像のシャープさのいずれも実施例に劣るものであった。また、L*の値は小さく、a*、b*ともにプラスであることから、白色粒子が黄色みを帯びて見えることが確認された。
以上の結果から、透過部を有すれば、白色粒子の白さを向上できることがわかった。
Claims (18)
- 基板と、
前記基板の一方の面側に設けられ、少なくとも黄色みを帯びた白色の電気泳動粒子を含む電気泳動分散液を殻体に内包するマイクロマプセルを含有するマイクロカプセル含有層とを備え、
前記マイクロカプセルの外周側に、前記電気泳動粒子の色相の波長の光を吸収し、前記電気泳動粒子の色相と補色の関係にある色相の波長の光を透過する透過部を有することを特徴とする電気泳動シート。 - 前記透過部は、前記マイクロカプセルの前記殻体に形成されたものである請求項1に記載の電気泳動シート。
- 前記透過部は、前記マイクロカプセルの外周に形成された被覆層である請求項1に記載の電気泳動シート。
- 前記マイクロカプセル含有層は、前記マイクロカプセルと、前記マイクロカプセルを保持する機能を有するバインダとで構成され、
前記透過部は、前記バインダに形成されたものである請求項1に記載の電気泳動シート。 - 前記透過部は、前記基板に形成されたものである請求項1に記載の電気泳動シート。
- 前記透過部は、400〜700nmの波長域の光の透過率が80%以上である請求項1ないし5のいずれかに記載の電気泳動シート。
- 前記透過部は、前記電気泳動粒子の色相の波長の光を吸収する有機材料を含むものである請求項1ないし6のいずれかに記載の電気泳動シート。
- 前記有機材料は、有機色素で構成されるものである請求項7に記載の電気泳動シート。
- 基板と、
前記基板の一方の面側に設けられ、少なくとも黄色みを帯びた白色の電気泳動粒子を含む電気泳動分散液を殻体に内包するマイクロマプセルを含有するマイクロカプセル含有層とを備え、
前記マイクロカプセルの外周側に、前記電気泳動粒子の色相と補色の関係にある色相の波長の光を反射する反射部を有することを特徴とする電気泳動シート。 - 前記反射部は、前記基板の前記マイクロカプセル含有層と反対側の面側に設けられている請求項9に記載の電気泳動シート。
- 前記反射部の光学膜厚は、100〜175nmである請求項9または10に記載の電気泳動シート。
- 前記電気泳動粒子は、酸化チタンで構成されるものである請求項1ないし11のいずれかに記載の電気泳動シート。
- 基板と、
前記基板の一方の面側に設けられ、少なくとも黄色みを帯びた白色の電気泳動粒子を含む電気泳動分散液を殻体に内包するマイクロマプセルを含有するマイクロカプセル含有層と、
前記マイクロカプセル含有層の前記基板と反対側に設けられた対向基板とを備え、
前記マイクロカプセルの外周側に、前記電気泳動粒子の色相の波長の光を吸収し、前記白色粒子の色相と補色の関係にある色相の波長の光を透過する透過部を有することを特徴とする電気泳動表示装置。 - 基板と、
前記基板の一方の面側に設けられ、少なくとも黄色みを帯びた白色の電気泳動粒子を含む電気泳動分散液を殻体に内包するマイクロマプセルを含有するマイクロカプセル含有層と、
前記マイクロカプセル含有層の前記基板と反対側に設けられた対向基板とを備え、
前記マイクロカプセルの外周側に、前記電気泳動粒子の色相と補色の関係にある色相の波長の光を反射する反射部を有することを特徴とする電気泳動表示装置。 - 前記マイクロカプセル含有層と前記対向基板とを接合する接着剤層を備える請求項13または14に記載の電気泳動表示装置。
- 少なくとも黄色みを帯びた白色の電気泳動粒子を含む電気泳動分散液を殻体に内包するマイクロマプセルの外周側に、前記電気泳動粒子の色相の波長の光を吸収し、前記電気泳動粒子の色相と補色の関係にある色相の波長の光を透過する透過部を形成する第1の工程と、
基板の一方の面側に前記マイクロカプセル含有層を形成する第2の工程と、
前記マイクロカプセル含有層の前記基板と反対側の面側に接着剤層を形成する第3の工程と、
前記接着剤層の前記マイクロカプセル含有層と反対側の面側に対向基板を接触して、前記接着剤層と前記対向基板とを接合する第4の工程とを有することを特徴とする電気泳動表示装置の製造方法。 - 少なくとも黄色みを帯びた白色の電気泳動粒子を含む電気泳動分散液を殻体に内包するマイクロマプセルの外周側に、前記電気泳動粒子の色相と補色の関係にある色相の波長の光を反射する反射部を形成する第1の工程と、
基板の一方の面側に前記マイクロカプセル含有層を形成する第2の工程と、
前記マイクロカプセル含有層の前記基板と反対側の面側に接着剤層を形成する第3の工程と、
前記接着剤層の前記マイクロカプセル含有層と反対側の面側に対向基板を接触して、前記接着剤層と前記対向基板とを接合する第4の工程とを有することを特徴とする電気泳動表示装置の製造方法。 - 請求項13ないし15のいずれかに記載の電気泳動表示装置を備えることを特徴とする電子機器。
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