JP2011100107A - 電気泳動表示シートの製造方法、電気泳動表示シート、電気泳動表示装置および電子機器 - Google Patents
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- G02F1/16757—Microcapsules
Abstract
【解決手段】電気泳動表示シート21の製造方法は、基板12と、該基板の一方の面側に設けられ、マイクロカプセル40とバインダ41とを含有するマイクロカプセル含有層400とを備える電気泳動表示シートを製造する方法であり、前記マイクロカプセルと前記バインダとを含有するマイクロカプセル分散液を前記基板上に供給した後、前記マイクロカプセル分散液を前記基板の厚さ方向に向かって加圧することにより、前記マイクロカプセルが前記基板の厚さ方向に対して重なることなく1列に配列されたマイクロカプセル含有層を形成する工程を有する。
【選択図】図1
Description
この電気泳動表示装置は、電圧の印加を停止した状態での表示メモリー性や広視野角性を有することや、低消費電力で高コントラストの表示が可能であること等の特徴を備えている。
従来の電気泳動表示装置として、特許文献1には、基板上に、複数のマイクロカプセルとバインダとを含むマイクロカプセル含有層を形成した後、この上に、他の基板を配置して、1対の基板とマイクロカプセル含有層とを接合した電気泳動表示装置が開示されている。
かかる問題点を解決することを目的に、例えば、エポキシ系樹脂で構成される層およびメラミン系樹脂で構成される層の複数層を備える比較的強靭な殻体を有するマイクロカプセルを備える電気泳動表示装置が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
マイクロカプセル含有層を2つの基板間で挾持した状態で、マイクロカプセルがほぼ球状をなしている電気泳動表示装置において、より高いコントラストを得るには、マイクロカプセル含有層中において、マイクロカプセルを、面方向に対して互いに接触した状態で配列させ、かつ、厚さ方向に対して重なることなく1列に配列させる必要がある。
本発明の電気泳動表示シートの製造方法は、基板と、
該基板の一方の面側に設けられ、少なくとも1種の電気泳動粒子を含む電気泳動分散液を殻体に内包するマイクロカプセルと、該マイクロカプセルを保持するバインダとを含有するマイクロカプセル含有層とを備える電気泳動表示シートを製造する電気泳動表示シートの製造方法であって、
前記マイクロカプセルと前記バインダとを含有するマイクロカプセル分散液を前記基板上に供給した後、前記マイクロカプセル分散液を前記基板の厚さ方向に向かって加圧することにより、前記マイクロカプセルが前記基板の厚さ方向に対して重なることなく1列に配列されたマイクロカプセル含有層を形成する工程を有することを特徴とする。
これにより、高いコントラストを有する電気泳動表示シートを製造することができる。
これにより、高いコントラストを有する電気泳動表示シートを製造することができる。
本発明の電気泳動表示シートの製造方法では、前記マイクロカプセルは、マイクロカプセルの幅とマイクロカプセルの高さとの比である(マイクロカプセルの幅/マイクロカプセルの高さ)が1.0以上、1.2以下であることが好ましい。
扁平率がかかる範囲内のマイクロカプセルを、ほぼ球状をなしているものと言うことができる。
マイクロカプセルの含有量を前記範囲に設定すると、マイクロカプセルが面方向で互いに接触した状態で、かつ、マイクロカプセルが厚さ方向に重ならないように、マイクロカプセル含有層においてマイクロカプセルを、その厚さ方向に加圧することにより、移動させて配設する上で、非常に有利である。
これにより、マイクロカプセル含有層の厚さ方向に対する加圧により、マイクロカプセルを容易に移動させて配設することができるため、マイクロカプセル含有層中において、マイクロカプセルをその面方向に対して互いに接触し、かつ、その厚さ方向に対して重なることなく1列に配列させることができる。
これにより、マイクロカプセル含有層の厚さ方向に対する加圧により、マイクロカプセルを容易に移動させて配設することができるため、マイクロカプセル含有層中において、その厚さ方向に対して重なることなく1列に配列させることができる。
これにより、基板上に供給されたマイクロカプセル分散液の各部に対して、均一に加圧することができる。そのため、マイクロカプセル分散液の各部において、マイクロカプセルを、基板の面方向に対して互いに接触した状態で確実に配列させ、かつ、その厚さ方向に対して重なることなく1列に確実に配列させることができるようになる。
このような大きさの圧力を基板と押圧用基板との間に付与すると、マイクロカプセル分散液中に含まれるマイクロカプセルは、上下方向に圧縮(圧迫)されることなく、ほぼ球状を維持した状態で、マイクロカプセル分散液中を移動し、最終的には、マイクロカプセル分散液中において、マイクロカプセルは、基板の面方向に対して互いに接触した状態で配列し、かつ、その厚さ方向に対して重なることなく1列に配列することとなる。
かかる構成とすることにより、マイクロカプセル分散液の加圧に適した押圧用基板を選択することができるようになる。
これにより、形成されたマイクロカプセル含有層から押圧用基板を容易に剥離することができる。
本発明の電気泳動表示シートの製造方法では、前記離型剤層は、シリコーン系離型剤、フッ素系離型剤、変性シリコーン系離型剤のうちの少なくとも1種を主材料として構成されることが好ましい。
かかる材料を主材料として構成される離型剤層は、離型剤層としての機能を好適に発揮する。
これにより、高いコントラストを有する電気泳動表示シートとすることができる。
本発明の電気泳動表示装置は、本発明の電気泳動表示シートを備えることを特徴とする。
これにより、高いコントラストを有する電気泳動表示装置とすることができる。
本発明の電子機器は、本発明の電気泳動表示装置を備えることを特徴とする。
これにより、信頼性の高い電子機器とすることができる。
1.電気泳動表示装置
まず、本発明の電気泳動表示シートを適用した電気泳動表示装置(本発明の電気泳動表示装置)について説明する。
図1に示す電気泳動表示装置20は、電気泳動表示シート(フロントプレーン)21と、回路基板(バックプレーン)22と、電気泳動表示シート21と回路基板22とを接合する接着層8とを有している。
一方、回路基板22は、平板状の基部1と基部1の上面に設けられた複数の第1の電極3とを備える対向基板11と、この対向基板11(基部1)に設けられた、例えばTFT等のスイッチング素子を含む回路(図示せず)とを有している。
基部1および基部2は、それぞれ、シート状(平板状)の部材で構成され、これらの間に配置される各部材を支持および保護する機能を有する。
各基部1、2は、それぞれ、可撓性を有するもの、硬質なもののいずれであってもよいが、可撓性を有するものであるのが好ましい。可撓性を有する基部1、2を用いることにより、可撓性を有する電気泳動表示装置20、すなわち、例えば電子ペーパーを構築する上で有用な電気泳動表示装置20を得ることができる。
これらの基部1、2のマイクロカプセル40側の面、すなわち、基部1の上面および基部2の下面に、それぞれ、層状(膜状)をなす第1の電極3および第2の電極4が設けられている。
本実施形態では、第2の電極4が共通電極とされ、第1の電極3がマトリックス状(行列状)に分割された個別電極(スイッチング素子に接続された画素電極)とされており、第2の電極4と1つの第1の電極3とが重なる部分が1画素を構成する。
なお、第2の電極4も、第1の電極3と同様に複数に分割するようにしてもよい。
各電極3、4の構成材料としては、それぞれ、実質的に導電性を有するものであれば特に限定されず、例えば、金、銀、銅、アルミニウムまたはこれらを含む合金等の金属材料、カーボンブラック等の炭素系材料、ポリアセチレン、ポリフルオレンまたはこれらの誘導体等の電子導電性高分子材料、ポリビニルアルコール、ポリカーボネート等のマトリックス樹脂中に、NaCl、Cu(CF3SO3)2等のイオン性物質を分散させたイオン導電性高分子材料、インジウム酸化物(IO)、インジウムスズ酸化物(ITO)、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)、等の導電性酸化物材料のような各種導電性材料が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
なお、各基部1、2および各電極3、4のうち、表示面側に配置される基部および電極(本実施形態では、基部2および第2の電極4)は、それぞれ、光透過性を有するもの、すなわち、実質的に透明(無色透明、有色透明または半透明)とされる。これにより、後述する電気泳動分散液10中における電気泳動粒子5の状態、すなわち電気泳動表示装置20に表示された情報(画像)を目視により容易に認識することができる。
このマイクロカプセル含有層400は、電気泳動分散液10をカプセル本体(殻体)401内に封入した複数のマイクロカプセル40が、バインダ41により保持されている。
マイクロカプセル40は、図1に示すように、対向基板11と基板12との間に、縦横に並列するように単層で(厚さ方向に重なることなく1個ずつ)、かつ、マイクロカプセル含有層400の厚さ方向全体に配設されている。
また、本実施形態では、1つのマイクロカプセル40が、隣り合う2つの第1の電極3にまたがるように配置されている。
そして、本発明では、以上のように配置されたマイクロカプセル40は、対向基板11と基板12との間で、第2の電極4と接着層8とで挟持されても、上下方向に圧縮(圧迫)されることなく、ほぼ球状(球形状)をなしている。
このマイクロカプセル40は、対向基板11と基板12との間で、より球状に近い形状を維持した状態で存在しているのが好ましいが、このようなマイクロカプセル40の球状の度合いは、マイクロカプセル40の幅とマイクロカプセル40の高さとの比(マイクロカプセル40の幅/マイクロカプセル40の高さ)を指標としてその程度を表すことができる。
このようにして求められたマイクロカプセル40の幅/マイクロカプセル40の高さ(平均値)は、1.0以上1.2以下であるのが好ましく、1.0以上1.15以下であるのがより好ましい。
かかる構成とすることにより、第2のカプセル層403は、第1のカプセル層402よりも弾性に富み、第1のカプセル層402は、第2のカプセル層403よりも硬さに富むものとなる。
これら保持層および吸収層としての機能、すなわち、第2のカプセル層403が弾性に富み、第1のカプセル層402硬さに富むことは、引張強さ、引張弾性率、曲げ強さ、曲げ弾性率、圧縮強さ、圧縮弾性率等の各種指標を用いて評価することができるが、特に、各層の弾性の差を評価し得る、引張り弾性係数および引張り伸び率のうちの少なくとも一方を用いて評価するのが好ましい。かかる指標は、比較的簡単な装置を用いて測定することができ、保持層および吸収層としての機能を確実に評価することができる。
また、引張り伸び率とは、破断時の伸び率を表すものであり、この値が大きいものほど、靭性に優れ、弾性に富むものであると評価することができる。この引張り伸び率は、ISO527−2に規定の条件で測定することができる。
第1のカプセル層(保持層)402の構成材料としては、例えば、メラミン系樹脂、尿素樹脂のようなアミノ樹脂、エポキシ系樹脂およびフェノール樹脂等の熱硬化性樹脂や、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂およびオレフィン系樹脂等の熱可塑性樹脂等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。中でも、第1のカプセル層402は、特に、メラミン系樹脂を主材料して構成されているのが好ましい。メラミン系樹脂は3次元網目構造を形成することから、かかる樹脂を用いて形成された第1のカプセル層402は、優れた硬度を有する(高弾性率の)ものとなる。その結果、第1のカプセル層402が保持層としての機能を好適に発揮することに起因して、カプセル本体401の強度および耐ブリード性が向上するため、前述したような球形状をマイクロカプセル40に確実に形成させることができる。
また、第2のカプセル層(吸収層)403の構成材料としては、例えば、エポキシ系樹脂、アラビアゴムなどのゴムを含む材料、アラビアゴムとゼラチンとの複合材料、ウレタン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエーテル系樹脂のような各種樹脂材料が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。中でも、第2のカプセル層403は、特に、エポキシ系樹脂を主材料して構成されているのが好ましい。これにより、第2のカプセル層403を前述したような弾性率を有する、適度な硬度と弾性とを併せ持つものとすることができる。
なお、本実施形態では、カプセル本体401は、第1のカプセル層402と第2のカプセル層403からなる2層構成とされているが、このような2層構成に限らず、単層または3層以上の多層構成であっても構わない。
カプセル本体401の粒径が前記下限値よりも小さ過ぎると、マイクロカプセル含有層400の両方の面側がマイクロカプセル40で満たされ、表示のコントラストが低下するおそれがある。
このようなマイクロカプセル40は、その大きさ(粒径)がほぼ均一(同一)に形成されているのが好ましい。具体的には、粒子径の変動係数(CV値)が5%以上、15%以下であることが好ましく、変動係数(CV値)が5%以上、10%以下であることがより好ましい。これにより、マイクロカプセル40が均一に配置されるので、電気泳動表示装置20では、表示ムラの発生が防止または低減され、より優れた表示性能を発揮することができる。
電気泳動粒子5の液相分散媒6への分散は、例えば、ペイントシェーカー法、ボールミル法、メディアミル法、超音波分散法、撹拌分散法等のうちの1種または2種以上を組み合わせて行うことができる。
かかる液相分散媒6としては、例えば、各種水(例えば、蒸留水、純水等)、メタノール等のアルコール類、メチルセロソルブ等のセロソルブ類、酢酸メチル等のエステル類、アセトン等のケトン類、ペンタン等の脂肪族炭化水素類(流動パラフィン)、シクロヘキサン等の脂環式炭化水素類、ベンゼン等の芳香族炭化水素類、塩化メチレン等のハロゲン化炭化水素類、ピリジン等の芳香族復素環類、アセトニトリル等のニトリル類、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類、カルボン酸塩またはその他の各種油類等が挙げられ、これらを単独または混合物として用いることができる。
電気泳動粒子5は、荷電を有し、電界が作用することにより、液相分散媒6中を電気泳動し得る粒子である。
顔料粒子を構成する顔料としては、例えば、アニリンブラック、カーボンブラック、チタンブラック等の黒色顔料、酸化チタン、酸化アンチモン等の白色顔料、モノアゾ等のアゾ系顔料、イソインドリノン、黄鉛等の黄色顔料、キナクリドンレッド、クロムバーミリオン等の赤色顔料、フタロシアニンブルー、インダスレンブルー等の青色顔料、フタロシアニングリーン等の緑色顔料等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、複合粒子としては、例えば、顔料粒子の表面を樹脂材料や他の顔料で被覆したもの、樹脂粒子の表面を顔料で被覆したもの、顔料と樹脂材料とを適当な組成比で混合した混合物で構成される粒子等が挙げられる。
また、カーボンブラック粒子またはその表面を被覆した粒子は、着色粒子(黒色粒子)5bとして好適に用いられる。
また、電気泳動粒子5の形状は、特に限定されないが、球形状であるのが好ましい。
具体的には、着色粒子5bの平均粒径を20nm以上、100nm以下程度、白色粒子5aの平均粒径を150nm以上、300nm以下程度とするのが好ましい。
バインダ41は、例えば、対向基板11と基板12とを接合する目的、対向基板11と基板12との間にマイクロカプセル40を固定する目的、マイクロカプセル40同士を固定する目的、第1の電極3および第2の電極4同士間の絶縁性を確保する目的等により供給される。これにより、電気泳動表示装置20の耐久性および信頼性をより向上させることができる。
このようなバインダ41としては、例えば、(メタ)アクリル系樹脂、(メタ)アクリルウレタン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、メラミン系樹脂、ウレタン系樹脂、スチレン系樹脂、アルキド系樹脂、フェノール系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、(メタ)アクリルシリコーン系樹脂、アルキルポリシロキサン系樹脂、シリコーン系樹脂、シリコーンアルキド系樹脂、シリコーンウレタン系樹脂、シリコーンポリエステル系樹脂、ポリアルキレングリコール系樹脂のような合成樹脂バインダ、エチレン−プロピレン共重合ゴム、ポリブタジエンゴム、スチレン−ブタンジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴムのような合成ゴムまたは天然ゴムバインダ、硝酸セルロース、セルロースアセテートブチレート、酢酸セルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースのような熱可塑性または熱硬化性高分子バインダ等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
さらに、基板12(基部2)と対向基板11との間であって、それらの縁部に沿って、封止部7が設けられている。この封止部7により、第2の電極4およびマイクロカプセル含有層400が気密的に封止されている。これにより、電気泳動表示装置20(電気泳動表示シート21)内への水分の浸入を防止して、電気泳動表示装置20(電気泳動表示シート21)の表示性能の劣化をより確実に防止することができる。
なお、封止部7は、必要に応じて設ければよく、省略することもできる。
このような接着層8は、特に限定されないが、例えば、基板12、バインダ41、およびマイクロカプセル40との密着性に優れる点から、(メタ)アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリアルキレングリコール系樹脂が好ましく用いられ、中でも、特に、(メタ)アクリル系樹脂が好ましく用いられる。
このような電気泳動表示装置20は、次のようにして作動する。
以下、電気泳動表示装置20の作動(動作)方法について説明する。
図2は、図1に示す電気泳動表示装置の作動原理を示す模式図である。なお、以下の説明では、図2中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
例えば、白色粒子5aとして正荷電を有するものを用い、着色粒子(黒色粒子)5bとして負荷電のものを用いた場合、図2(A)に示すように、第1の電極3を正電位とすると、白色粒子5aは、第2の電極4側に移動して、第2の電極4に集まる。一方、着色粒子5bは、第1の電極3側に移動して、第1の電極3に集まる。このため、電気泳動表示装置20を上方(表示面側)から見ると、白色粒子5aの色が見えること、すなわち、白色が見えることになる。
ここで、この電気泳動表示装置20では、マイクロカプセル含有層400中において、マイクロカプセル40が、その面方向に隣接するもの同士が互いに接触し、かつ、厚さ方向に積層することなく配列しているので、かかるマイクロカプセル含有層400を備える電気泳動表示装置20は、高いコントラストを発揮するものとなる。
このような電気泳動表示装置20は、次のようにして製造することができる。
以下、電気泳動表示装置20の製造方法について説明する。
図3〜図5は、それぞれ、図1に示す電気泳動表示装置の製造方法を説明するための模式図である。なお、以下の説明では、図3〜図5中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
[A1]マイクロカプセルの作製工程
[A1−1]第1のカプセル層の形成
まず、電気泳動分散液10を第1のカプセル層402に内包するマイクロカプセルを得る。なお、以下、説明の便宜上、このマイクロカプセルを「マイクロカプセル前駆体」と言うこととする。
マイクロカプセル化手法(第1のカプセル層402への電気泳動分散液10の封入方法)としては、特に限定されないが、例えば、界面重合法、In−situ重合法、相分離法(または、コアセルベーション法)、界面沈降法、スプレードライ法等の各種マイクロカプセル化手法を用いることができる。このマイクロカプセル化手法は、第1のカプセル層402の構成材料等に応じて、適宜選択するようにすればよい。
<i>芯物質分散液の調製
まず、芯物質となる、電気泳動粒子5と液相分散媒6とで構成される電気泳動分散液10を水系媒体に分散させて、電気泳動分散液10の小滴が分散された芯物質分散液を得る。
この水系媒体としては、例えば、水、または、水と親水性有機溶媒との混合溶媒を用いることができる。
水系媒体は、水や親水性有機溶媒に加えて、さらに他の溶媒を含有していてもよい。
他の溶媒としては、例えば、ヘキサン、シクロペンタン、ペンタン、イソペンタン、オクタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、アミニルスクアレン、石油エーテル、テルペン、ヒマシ油、大豆油、パラフィン、ケロシン等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
水系媒体に分散させる芯物質の量は、特に限定されないが、水系媒体100質量部に対して、5質量部以上、70質量部以下であるのが好ましく、8質量部以上、65質量部以下であるのがより好ましく、10質量部以上、60質量部以下であるのがさらに好ましい。芯物質の分散量が少ないと、第1のカプセル層402の形成に長時間を必要とすることや、目的とする粒径のマイクロカプセル前駆体が十分に調製されず、マイクロカプセル前駆体の粒径分布が広くなることにより、生産効率が低下するおそれがある。これとは逆に、芯物質の分散量が多いと、芯物質が凝集することや、芯物質中に水系媒体が懸濁すること等により、マイクロカプセルが得られなくなるおそれがある。
水系媒体への分散剤の添加量は、特に限定されないが、第1のカプセル層の形成を阻害しない範囲で適宜調整される。
初期縮合化合物は、アミノ樹脂のモノマーと、ホルムアルデヒドとを縮合反応させることによって得る。
モノマーとしては、メラミンや、尿素およびチオ尿素等の尿素化合物等のアミノ化合物が挙げられ、目的とするカプセル層の構成材料に応じて1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
モノマーとホルムアルデヒドとの反応は、一般に、水を溶媒として行われる。具体的には、ホルムアルデヒド水溶液にモノマーを添加し、もしくは、モノマーにホルムアルデヒド水溶液を添加し、混合する。これにより、モノマーとホルムアルデヒドとが縮合反応し、初期縮合化合物の水溶液が得られる。この縮合反応は、例えば、攪拌装置を用いて、攪拌しながら行うことが好ましい。
この縮合反応における反応温度は、特に限定されないが、55℃以上、85℃以下であるのが好ましく、60℃以上、80℃以下であるのがより好ましく、65℃以上、75℃以下であるのがさらに好ましい。
この縮合反応の停止は、例えば、反応終点が認められた時点で、反応液を常温(例えば、25℃以上、30℃以下)に冷却する等の操作により行われる。
反応時間は、特に限定されず、仕込み量に応じて、適宜設定することができる。
次に、工程<i>で得た芯物質分散液に、<ii>で得た初期縮合化合物を徐々に添加する。これにより、電気泳動分散液10の小滴の表面に、初期縮合化合物が吸着するとともに、縮合反応する。その結果、電気泳動分散液10の小滴の表面に樹脂層(第1のカプセル層402)が形成され、電気泳動分散液10を内包するマイクロカプセル前駆体が得られる。
また、第1のカプセル層402には、メルカプト(チオール)基を導入するのが好ましい。これにより、このメルカプト基を介して、第1のカプセル層402と、後述する第2のカプセル層403とをその界面で化学的に結合させることができるため、第1のカプセル層402と、第2のカプセル層403との密着性の向上を図ることができる。
芯物質分散液にチオール化合物を添加する方法は、特に限定されないが、例えば、芯物質分散液に初期縮合化合物を添加した後、十分に攪拌してから、チオール化合物を水溶液の形態で添加するのが好ましい。
また、縮合反応を行った後、反応液を所定の温度で放置する熟成工程を行うようにしてもよい。熟成温度は、特に限定されないが、例えば、縮合反応を行う際の反応温度と同一または少し高い温度であることが好ましい。熟成時間は、特に限定されないが、0.5時間以上、5時間以下であるのが好ましく、1時間以上、3時間以下であるのがより好ましい。
次に、マイクロカプセル前駆体を、分級および洗浄する。
マイクロカプセル前駆体の分級方法としては、特に限定されないが、例えば、ふるい式、フィルター式、遠心沈降式、自然沈降式等が挙げられる。このうち、回収するマイクロカプセル前駆体の粒子径が比較的大きい場合には、ふるい式を用いるのが好ましい。
マイクロカプセル前駆体の洗浄方法としては、特に限定されないが、例えば、遠心沈降式、自然沈降式等が挙げられる。このうち、マイクロカプセル前駆体の粒子径が比較的大きい場合には、マイクロカプセル前駆体の損傷・破壊を防止するために、自然沈降式を用いるのが好ましい。なお、洗浄は、1回に限らず、複数回行うようにしてもよい。
次に、工程[A1−1]で得たマイクロカプセル前駆体(第1のカプセル層402)の外周面に、第2のカプセル層403を形成し、電気泳動分散液10を内包するマイクロカプセル40を得る。
第2のカプセル層403は、例えば、マイクロカプセル前駆体を水系媒体中に分散させたカプセル分散液に、樹脂のプレポリマーを徐々に添加し、マイクロカプセル前駆体の表面に吸着したプレポリマーを、重合反応させることによって形成することができる。これにより、マイクロカプセル前駆体の表面に第2のカプセル層403が形成され、電気泳動分散液10を内包するマイクロカプセル40が得られる。
なお、工程[A1−1]で得られたマイクロカプセル前駆体が水系媒体に分散された状態である場合には、これをそのままでカプセル分散液として用いてもよく、必要に応じて濃縮または希釈した後、カプセル分散液として用いるようにしてもよい。
プレポリマーは、具体的には、第2のカプセル層403の構成材料に応じて適宜選択され、例えば、第2のカプセル層403をエポキシ系樹脂で構成する場合には、エポキシ基を含有する化合物(エポキシ化合物)が用いられる。
具体的には、エポキシ化合物としては、例えば、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ソルビタンポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
架橋剤としては、プレポリマーがエポキシ化合物である場合には、例えば、ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム(水和物を含む)、ジエチルジチオカルバミン酸ジエチルアンモニウム(水和物を含む)、ジチオシュウ酸およびジチオ炭酸等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
この第2のカプセル層403を形成する際の反応温度は、特に限定されないが、25℃以上、80℃以下であるのが好ましく、30℃以上、70℃以下であるのがより好ましく、35℃以上、60℃以下であるのがさらに好ましい。反応時間は、特に限定されず、仕込み量に応じて、適宜設定することができる。
また、得られたマイクロカプセル40は、分級および洗浄するのが好ましい。これにより、粒度分布が狭く、不純物の少ないマイクロカプセル40を得ることができる。
分級方法および洗浄方法は、例えば、前記工程[A1−1]の場合と同様の方法を挙げることができる。
次に、バインダ41を用意し、このバインダ41と、前記工程[A1]で作製されたマイクロカプセル40とを混合してマイクロカプセル分散液を調製する。
マイクロカプセル分散液中におけるマイクロカプセル40の含有量は、50wt%以上、95wt%以下程度であるのが好ましく、70wt%以上、90wt%以下程度であるのがより好ましい。マイクロカプセル40の含有量を前記範囲に設定すると、マイクロカプセル40が面方向で互いに接触した状態で、かつ、マイクロカプセル40が厚さ方向に重ならないように(単層で)、マイクロカプセル含有層400においてマイクロカプセル40を、次工程[A3]において、移動(再配置)させて配設する上で、非常に有利である。
具体的には、前述したバインダ41のうち、屈曲性が高いバインダ41としては、例えば、ポリアルキレングリコール系樹脂および側鎖として炭素数が2以上のアルキル基を備える(メタ)アクリル系樹脂等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
まず、図3(a)に示すように、第2の電極4を備える基板12を用意する。そして、図3(b)に示すように前記工程[A2]で調製したマイクロカプセル分散液を基板12の第2の電極4を備える面側上に供給する。
マイクロカプセル分散液を基板12の第2の電極4を備える面側上に供給する方法としては、特に限定されないが、例えば、スピンコート法、ディップコート法、スプレーコート法、ダイコート法、コンマコート法等の各種塗布法を用いることができる。
これは、例えば、図3(c)に示すように、スキージ(平板状の治具)100を、基板12の第2の電極4上を通過させ、マイクロカプセル40を掃くことにより行うことができる。これにより、図3(d)に示すように、基板12の各部において、マイクロカプセル分散液の厚さ(量)を均一なものとすることができる。
また、本実施形態のように、平板状をなす押圧用基板19を用いて、基板12、19の厚さ方向にマイクロカプセル分散液を加圧する構成とすることにより、基板12の第2の電極4上に供給されたマイクロカプセル分散液の各部に対して、均一に加圧することができる。そのため、マイクロカプセル分散液の各部において、マイクロカプセル40を、基板12、19の面方向に対して互いに接触した状態で確実に配列させ、かつ、その厚さ方向に対して重なることなく1列に確実に配列させることができるようになる。
母材としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、高圧法低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、無延伸ポリプロピレン、延伸ポリプロピレンおよび延伸ナイロンうちの少なくとも1種を主材料として構成されるプラスチックフィルム、クラフト紙、ポリエチレンラミネート紙、ポリプロピレンラミネート紙、不織布等が挙げられる。
離型剤層としては、特に限定されないが、シリコーン系離型剤、フッ素系離型剤、変性シリコーン系離型剤のうちの少なくとも1種を主材料として構成されるものが挙げられる。
かかる構成の押圧用基板19を用いることにより、マイクロカプセル含有層400の一部が押圧用基板19に付着することなく、マイクロカプセル含有層400から押圧用基板19を確実に剥離することができる。また、基板12と押圧用基板19との間に位置するマイクロカプセル分散液に対して、均一に加圧することができる。
このようなラミネート法が適用された装置としては、特に限定されないが、例えば、ロールラミネータ(大成ラミネーター社製、「VA−700DFR」)等が挙げられる。
基板12と押圧用基板19とをその面方向にずらす距離は、マイクロカプセル40が1回転する程度、具体的には、100μm以上、200μm以下程度であるのが好ましく、120μm以上、150μm以下程度であるのがより好ましい。これにより、前記効果をより顕著に発揮させることができるようになる。
このように、本実施形態では、平板状をなす押圧用基板19を用いて、基板12の第2の電極4上に供給されたマイクロカプセル分散液を、基板12と押圧用基板19との間で挾持した状態で加圧した後に、マイクロカプセル分散液から押圧用基板19を剥離する構成となっている。かかる構成とすることにより、マイクロカプセル分散液の加圧に適した押圧用基板19を選択することができる。
これにより、図4(b)に示すように、基板12の第2の電極4上にマイクロカプセル含有層400が単層配置された電気泳動表示シート21を製造することができる。
次に、図5(a)に示すように、別途用意した対向基板11の第1の電極3が設けられている側の面に、接着層8を形成する。
これは、例えば、シート状の接着層8を、転写法等により、対向基板11の第1の電極3が設けられている側の面上に配置することにより行うことができる。
次に、図5(b)に示すように、第1の電極3側に接着層8が設けられた回路基板22と、前記工程[A3]で得られた電気泳動表示シート21とを、接着層8を介して、基板12の反対側の面と第1の電極3とを接合することにより、接着層8を介して、電気泳動表示シート21と回路基板22とが接合される。
次に、基部2および対向基板11の縁部に沿って、封止部7を形成する。
これは、基部2と対向基板11との間であって、これらの縁部に沿って封止部7を形成するための材料を、例えば、ディスペンサ等により供給し、固化または硬化させることにより形成することができる。
以上の工程を経て、電気泳動表示装置20が得られる。
電気泳動表示装置20は、前述した製造方法の他に、次のようにして製造することもできる。以下、本製造方法について説明するが、前述した製造方法(その1)との相違点を中心に説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。
本製造方法は、マイクロカプセル含有層形成工程を真空下(減圧下)で行う以外は、前述した製造方法と同様である。すなわち、本製造方法は、前述した製造方法(その1)が有する工程[A1]〜[A6]のうち、工程[A3]が異なる以外は、前述した製造方法(その1)と同様である。従って、以下では、本製造方法が有する工程[A3’]を中心に説明する。
真空ラミネーター900は、第1のブロック体911および第2のブロック体912とを有している。これらブロック体のうちの少なくとも一方は、図示しない昇降装置によって昇降可能となっており、第1のブロック体911と第2のブロック体912とを、後述する搬送フィルム921、922を介して密着させることにより、その内側に真空室910が形成される。
また、真空ラミネーター900は、第1のブロック体911と第2のブロック体912との間に設けられ、ラミネート対象物960を真空室910に搬送する搬送手段920を有している。搬送手段920は、一対の搬送フィルム921、922を有しており、これら搬送フィルム921、922は、図示しない駆動装置によって、図6中横方向(矢印方向)に移動可能となっている。このような搬送手段920では、ラミネート対象物960を搬送フィルム921に載置した状態で、搬送フィルム921、922を移動させることにより、ラミネート対象物960を真空室910に搬送する。
また、真空ラミネーター900は、第2のブロック体912の内側に設けられた第2のヒーター932とダイヤフラム950とを有している。ダイヤフラム950は、第2のブロック体912に形成された送気孔912aから空気等の気体を供給し、ダイヤフラム950と第2のブロック体912で囲まれた領域の気圧を高めることによって、風船のように膨張変形する。
[A3’]マイクロカプセル含有層400の形成工程
まず、前述した製造方法(その1)と同様に、図7(a)に示すように、第2の電極4を備える基板12を用意する。そして、図7(b)に示すように前記工程[A2]で調製したマイクロカプセル分散液を基板12の第2の電極4を備える面側上に供給し、必要に応じて、基板12の第2の電極4上の各部において、マイクロカプセル分散液の厚さ(量)が均一になるように均す。
次に、剥離シート700を用意し、図7(c)に示すように、剥離シート700をマイクロカプセル分散液の上面(基板12と反対側の面)に被せる。これにより、ラミネート対象物960が得られる。
なお、真空ラミネーター900での加熱・加圧の条件は、マイクロカプセル40の硬さ等によっても異なるが、例えば、真空度を133Paとし、加圧力(圧力)を0.9MPaとし、加熱温度を100℃とし、加圧時間を5分とすることができる。これにより、マイクロカプセル40を球状に維持することができる。
このような製造方法によっても、電気泳動表示装置20を得ることができる。
このようにして得られた電気泳動表示装置20では、マイクロカプセル含有層400に含有されるマイクロカプセル40が球状をなし、マイクロカプセル含有層400中において、マイクロカプセル40は、マイクロカプセル含有層400の面方向に対して互いに接触した状態で配列し、かつ、その厚さ方向に対して重なることなく1列に配列している。その結果、電気泳動表示装置20は、優れたコントラストを発揮するものとなる。
以上のような電気泳動表示装置20は、各種電子機器に組み込むことができる。以下、電気泳動表示装置20を備える本発明の電子機器について説明する。
<<電子ペーパー>>
まず、本発明の電子機器を電子ペーパーに適用した場合の実施形態について説明する。
図8に示す電子ペーパー600は、紙と同様の質感および柔軟性を有するリライタブルシートで構成される本体601と、表示ユニット602とを備えている。
このような電子ペーパー600では、表示ユニット602が、前述したような電気泳動表示装置20で構成されている。
次に、本発明の電子機器をディスプレイに適用した場合の実施形態について説明する。
図9は、本発明の電子機器をディスプレイに適用した場合の実施形態を示す図である。このうち、図9中(a)は断面図、(b)は平面図である。
図9に示すディスプレイ(表示装置)800は、本体部801と、この本体部801に対して着脱自在に設けられた電子ペーパー600とを備えている。なお、この電子ペーパー600は、前述したような構成、すなわち、図8に示す構成と同様のものである。
このようなディスプレイ800では、電子ペーパー600は、本体部801に着脱自在に設置されており、本体部801から取り外した状態で携帯して使用することもできる。
なお、本発明の電子機器は、以上のようなものへの適用に限定されず、例えば、テレビ、ビューファインダ型、モニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、電子新聞、ワードプロセッサ、パーソナルコンピュータ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた機器等を挙げることができ、これらの各種電子機器の表示部に、本発明の電気泳動表示装置20を適用することが可能である。
また、本発明の電気泳動表示装置は、前記各実施形態のうちの、任意の2以上の構成(特徴)を組み合わせたものであってもよい。例えば、第1実施形態と第2実施形態との構成を組み合わせたもの等であってもよい。
また、前記実施形態では、一対の基板が対向して設けられた構成のものについて示したが、本発明は、これに限らず、例えば、単一の基板を有するものに適用することもできる。
1.電気泳動表示シートの製造
以下のようにして電気泳動表示シートを製造した。
[実験例1]
(A1)マイクロカプセルの作製
(A1−1)電気泳動分散液の調製
まず、平均粒径200nmの球形状の白色粒子と、平均粒径60nmの球形状の黒色粒子を用意した。
次に、白色粒子と黒色粒子とを、重量比で6:1となるように液相分散媒に分散して、電気泳動分散液を調製した。
なお、液相分散媒には、IsoparM(ExonMobilChemical社製)を用いた。
500mLビーカーに10wt%アラビアガム水溶液60gを計量し、ディスパー攪拌下に前記工程(A1−1)で得られた電気泳動分散液50gを添加し、懸濁操作を行い、電気泳動分散液の水懸濁液を得た。
100mLの丸底セパラブルフラスコに、メラミン5g、尿素5g、27wt%ホルムアルデヒド水溶液20gおよび25wt%アンモニア水1gを仕込み、撹拌しながら70℃まで昇温させた。昇温途中、65℃付近で全体が透明になった。70℃に昇温後、同温度で1時間保持した後、30℃まで冷却し、メラミンおよび尿素とホルムアルデヒドとの初期縮合化合物を得た。
このマイクロカプセル前躯体の粒子径を測定した結果、平均粒子径42μmであった。
300mLセパラブルフラスコに前工程(A1−3)で得られたマイクロカプセル前躯体全量に脱イオン水を添加し全体量を200gとした。このマイクロカプセル前躯体分散液を攪拌しながら40℃まで昇温し、エポキシ化合物[ナガエケムテック社製、「デナコールEX521(ポリグリセロール ポリグリシギルエステル)」]20gを水50gに分散した分散液を、10分間かけて滴下した。同温度で30分間保持した後、架橋剤として2.5wt%ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム水溶液1gを添加し、2時間反応を行った。ついで50℃まで昇温し、同温度で2時間熟成を行う事により、マイクロカプセル前躯体(第1のカプセル層)の表面に、エポキシ樹脂よりなる第2のカプセル層を形成した。
このマイクロカプセル分散液を、目開き38μmのメッシュ及び目開き32μmのメッシュを用いて湿式分級を行い、体積平均粒子径37.29μm(CV値8.18%)のマイクロカプセルを得た。
粒度分布は、レーザー回析/散乱式粒度分布測定装置(堀場製作所社製、「LA−910」を用いて測定した。
CV値とは、(標準偏差/平均粒子径)×100 を示す。
次に、前記工程(A1)で得られたマイクロカプセルとバインダとを、重量比で10:3となるように混合して、マイクロカプセル分散液を調製した。
なお、バインダには、アクリル酸ブチルとアクリル酸2−エチルヘキシルとポリエチレングリコール(Mw=2000)とを、重量比で50:47:3となるように混合した混合物を用いた。
次に、PETで構成される母材上にITOの膜が形成されたPET−ITO基板(尾池工業社製、「OTEC220B」)を10枚用意した。
次いで、前記工程(A2)で得られたマイクロカプセル分散液を、PET−ITO基板5枚(サンプルNo.1〜5)についてITO上に供給し、その後ドクタブレード法により、平均厚さ45μmとした。また、別のPET−ITO基板5枚(サンプルNo.6〜10)についてもITO上に供給し、その後平均厚さ50μmとした。
これらの測定結果を、以下の表1に示す。
なお、マイクロカプセル分散液を加圧した際のロールラミネータの条件は以下に示すとおりであった。
・ラミネート圧力 :0.4MPa
・ラミネート温度 :70℃
・シート搬送速度 :5cm/分
また、PET−ITO基板と離型剤層付シートとの間に形成されたマイクロカプセル含有層は、縦30mm×横30mm×平均厚さ50μmのものであった。
そして、PET−ITO基板上に形成されたマイクロカプセル含有層について、それぞれ、デジタルマイクロスコープ(キーエンス社製、「VHX−600」)、レンズ(キーエンス社製、「VH−Z100」)を用いてマイクロカプセル分散液中におけるマイクロカプセルの状態を観察するとともに、ヘイズメーター(日本電色工業社製、「NDH5000」)を用いてマイクロカプセル含有層の全線透過率を測定した。
これらの測定結果を、以下の表1に示す。
また、マイクロカプセル含有層の全線透過率は、マイクロカプセル含有層中においてマイクロカプセルが厚さ方向に重なることなく1列に配列している際に、7.89以上、8.09以下となり、厚さ方向に重なりが認められるようになると6.50以下となることが判った。
以下のようにして電気泳動表示装置を製造した。
[実験例2]
<実施例1>
まず、前記実験例1と同様にすることにより、サンプルNo.1の加圧後のマイクロカプセル含有層を備える電気泳動表示シートを用意し、この電気泳動表示シートのマイクロカプセル含有層に重なるように、PET−ITO基板(尾池工業社製、「OTEC220B」)を配置し、その後、ロールラミネータ(大成ラミネーター社製、「VA−700DFR」)を用いて、PET−ITO基板をマイクロカプセル含有層上に貼り合わせた。
なお、PET−ITO基板をマイクロカプセル含有層に貼り合わせる際のロールラミネータの条件は以下に示すとおりであった。
・ラミネート圧力 :0.2MPa
・ラミネート温度 :50℃
・シート搬送速度 :5cm/分
これにより、実施例1の電気泳動表示装置を得た。
なお、PET−ITO基板同士の間に形成されたマイクロカプセル含有層は、縦30mm×横30mm×平均厚さ50μmのものであった。
前記実験例1で調製したマイクロカプセル分散液中に含まれるバインダを、アクリル酸ブチルとアクリル酸2−エチルヘキシルとポリエチレングリコール(Mw=2000)とメタクリル酸メチルとを、重量比で63:27:3:7となるように混合した混合物に代えて得られたサンプルNo.1の加圧後のマイクロカプセル含有層を備える電気泳動表示シートを用いた以外は、前記実施例1と同様にして、実施例2の電気泳動表示装置を得た。
前記実験例1において、ロールラミネータを用いて、PET−ITO基板の厚さ方向にマイクロカプセル分散液を加圧した後に、さらにPET−ITO基板の面方向に、離型剤層付シートを150μmずらして得られたサンプルNo.1の加圧後のマイクロカプセル含有層を備える電気泳動表示シートを用いた以外は、前記実施例1と同様にして、実施例3の電気泳動表示装置を得た。
前記実験例1において、ロールラミネータを用いたPET−ITO基板の厚さ方向に対するマイクロカプセル分散液の加圧を省略して得られたサンプルNo.1の加圧前のマイクロカプセル含有層を備える電気泳動表示シートを用いた以外は、前記実施例1と同様にして、比較例の電気泳動表示装置を得た。
なお、白および黒の反射率は、極を切り替えて印加することにより別々に測定した。
コントラスト=(白反射率)/(黒反射率) ・・・ (1)
この評価結果を、それぞれ、以下の表2に示す。
特に、PET−ITO基板の厚さ方向に対する加圧の後に、その面方向に離型剤層付シートをずらした実施例3の電気泳動表示装置は、特に優れたコントラストを有していた。
これに対し、比較例では、各実施例に比較して、白反射率が小さく、かつ、黒反射率が大きくなっており、コントラストに劣っていた。
<実施例4>
まず、前記実験例1と同様にすることにより、サンプルNo.1の加圧後のマイクロカプセル含有層を備える電気泳動表示シートを用意し、この電気泳動表示シートのマイクロカプセル含有層に重なるように、予め用意したLTPS基板(Low-Temperature Polycrystalline Silicon基板)を配置し、その後、ロールラミネータ(大成ラミネーター社製、「VA−700DFR」)を用いて、LTPS基板をマイクロカプセル含有層上に貼り合わせた。
なお、LTPS基板をマイクロカプセル含有層に貼り合わせる際のロールラミネータの条件は以下に示すとおりであった。
・ラミネート圧力 :0.4MPa
・ラミネート温度 :70℃
・シート搬送速度 :5cm/分
これにより、実施例4の電気泳動表示装置を得た。
なお、PET−ITO基板とLTPS基板との間に形成されたマイクロカプセル含有層は、縦30mm×横30mm×平均厚さ50μmのものであった。
その観察断面の電子顕微鏡写真を図8に示す。
図10に示すように、LTPS基板とPET−ITO基板との間に挾持されたマイクロカプセルは、その幅および高さがともに25μmであり、マイクロカプセル40の幅/マイクロカプセル40の高さが1.0となっており、LTPS基板とPET−ITO基板との間でほぼ球状を維持していた。
Claims (15)
- 基板と、
該基板の一方の面側に設けられ、少なくとも1種の電気泳動粒子を含む電気泳動分散液を殻体に内包するマイクロカプセルと、該マイクロカプセルを保持するバインダとを含有するマイクロカプセル含有層とを備える電気泳動表示シートを製造する電気泳動表示シートの製造方法であって、
前記マイクロカプセルと前記バインダとを含有するマイクロカプセル分散液を前記基板上に供給した後、前記マイクロカプセル分散液を前記基板の厚さ方向に向かって加圧することにより、前記マイクロカプセルが前記基板の厚さ方向に対して重なることなく1列に配列されたマイクロカプセル含有層を形成する工程を有することを特徴とする電気泳動表示シートの製造方法。 - 前記マイクロカプセル含有層中において、前記マイクロカプセルは、前記基板の面方向に対して、互いに接触して配列している請求項1に記載の電気泳動表示シートの製造方法。
- 前記マイクロカプセル含有層中において、前記マイクロカプセルは、ほぼ球状をなして存在している請求項1または2に記載の電気泳動表示シートの製造方法。
- 前記マイクロカプセルは、マイクロカプセルの幅とマイクロカプセルの高さとの比である(マイクロカプセルの幅/マイクロカプセルの高さ)が1.0以上、1.2以下である請求項3に記載の電気泳動表示シートの製造方法。
- 前記マイクロカプセル含有層中において、前記マイクロカプセルは、その含有率が50wt%以上、95wt%以下である請求項1ないし4のいずれかに記載の電気泳動表示シートの製造方法。
- 前記バインダは、そのガラス転移温度が−50℃以上、10℃以下である請求項1ないし5のいずれかに記載の電気泳動表示シートの製造方法。
- 前記バインダは、その重量平均分子量が200以上、100000以下のポリアルキレングリコール系樹脂を含有する請求項6に記載の電気泳動表示シートの製造方法。
- 前記マイクロカプセル分散液の前記基板の厚さ方向に対する加圧は、平板状をなす押圧用基板を用意し、該押圧用基板を、前記マイクロカプセル分散液の前記基板と反対側の面に配置し、前記基板と前記押圧用基板とが互いに近づく方向に加圧することにより行われる請求項1ないし7のいずれかに記載の電気泳動表示シートの製造方法。
- 前記基板と前記押圧基板との間に付与する圧力の大きさは、0.4MPa以上、1.5MPa以下である請求項8に記載の電気泳動表示シートの製造方法。
- 前記基板と前記押圧用基板とを互いに近づく方向に加圧した後、前記押圧用基板を前記マイクロカプセル分散液から剥離する請求項8または9に記載の電気泳動表示シートの製造方法。
- 前記押圧基板は、母材の表面に、離型剤層が形成されたものである請求項10に記載の電気泳動表示シートの製造方法。
- 前記離型剤層は、シリコーン系離型剤、フッ素系離型剤、変性シリコーン系離型剤のうちの少なくとも1種を主材料として構成される請求項11に記載の電気泳動表示シートの製造方法。
- 請求項1ないし12のいずれかに記載の電気泳動表示シートの製造方法により製造されたことを特徴とする電気泳動表示シート。
- 請求項13に記載の電気泳動表示シートを備えることを特徴とする電気泳動表示装置。
- 請求項14に記載の電気泳動表示装置を備えることを特徴とする電子機器。
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