JP4484915B2 - 電気泳動表示シート、電気泳動表示装置および電子機器 - Google Patents
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Description
この電気泳動表示装置は、電圧の印加を停止した状態での表示メモリー性や広視野角性を有することや、低消費電力で高コントラストの表示が可能であること等の特徴を備えている。
従来の電気泳動表示装置として、特許文献1には、基板上に、複数のマイクロカプセルとバインダとを含むマイクロカプセル含有層を形成した後、この上に、基板を配置し、上下から加熱加圧することによって、1対の基板とマイクロカプセル含有層とを接合した電気泳動表示装置が開示されている。
本発明の電気泳動表示シートは、基板と、
前記基板の一方の面側に設けられ、少なくとも1種の電気泳動粒子を含む電気泳動分散液を殻体に内包する複数のマイクロカプセルを含有するマイクロカプセル含有層とを備え、
前記殻体が、それぞれ球殻状をなす、第1の層と、該第1の層よりも外側に配置されている第2の層とを有し、前記第1の層がメラミン系樹脂を主材料として構成され、前記第2の層がエポキシ系樹脂を主材料として構成されることにより、
前記マイクロカプセルは、前記マイクロカプセル含有層を一方の主面側から見た平面視において、Heywood円形度値が1.40以下のものの数をN 1.40 、Heywood円形度値が1.08以下のものの数をN 1.08 としたとき、下記式によって算出される球粒子率が60%以上であり、かつ、前記マイクロカプセル含有層の主面と直交する方向に切った断面において、Heywood円形度値が1.00〜1.10である球状をなして存在していることを特徴とする。
球粒子率(%)=(N 1.08 /N 1.40 )×100
これにより、マイクロカプセルの耐圧性および耐ブリード性を高め、長期間安定に動作する電気泳動表示装置を構築し得る電気泳動表示シートとすることができる。
前記基板の一方の面側に設けられ、少なくとも1種の電気泳動粒子を含む電気泳動分散液を殻体に内包する複数のマイクロカプセルを含有するマイクロカプセル含有層とを備え、
前記殻体が、それぞれ球殻状をなす、第1の層と、該第1の層よりも外側に配置されている第2の層とを有し、前記第2の層が前記第1の層よりも弾性に優れることにより、
前記マイクロカプセルは、前記マイクロカプセル含有層を一方の主面側から見た平面視において、Heywood円形度値が1.40以下のものの数をN 1.40 、Heywood円形度値が1.08以下のものの数をN 1.08 としたとき、下記式によって算出される球粒子率が60%以上であり、かつ、前記マイクロカプセル含有層の主面と直交する方向に切った断面において、Heywood円形度値が1.00〜1.10である球状をなして存在していることを特徴とする。
球粒子率(%)=(N 1.08 /N 1.40 )×100
これにより、マイクロカプセルの耐圧性および耐ブリード性を高め、長期間安定に動作する電気泳動表示装置を構築し得る電気泳動表示シートとすることができる。
これにより、第2の層は、第1の層よりも弾性に富み、第1の層は、第2の層よりも硬さに富むものとなる。そのため、第1の層には、マイクロカプセルの形状を保持(維持)する保持層としての機能を発揮させることができ、第2の層には、マイクロカプセルに内包されている電気泳動分散液の形状が変化するのを吸収する吸収層としての機能を発揮させることができる。
メラミン系樹脂は3次元網目構造を形成することから、かかる樹脂を用いて形成された第1の層は、優れた硬度を有するものとなる。その結果、第1の層が保持層としての機能を好適に発揮することに起因して、殻体の強度および耐ブリード性が向上するため、前述したような球形状をマイクロカプセルに確実に形成させることができる。
これにより、第2の層を適度な硬度と弾性とを併せ持つものとすることができ、吸収層としての機能を確実に発揮させることができる。
これにより、第1の層と第2の層との間で剥離が生じるのを確実に防止することができる。
これにより、マイクロカプセルが均一に配置されるので、かかる電気泳動表示シートを用いて電気泳動表示装置を構築した際には、電気泳動表示装置は、表示ムラの発生が防止または低減され、より優れた表示性能を発揮するものとなる。
本発明の電気泳動表示シートでは、前記マイクロカプセルは、前記白色粒子と、該白色粒子と色調の異なる着色粒子とを内包することが好ましい。
これにより、2色以上の表示を実現することができる。
前記マイクロカプセルが、前記マイクロカプセル含有層の厚さ方向全体に配置され、
前記副カプセルは、前記マイクロカプセル含有層内で前記マイクロカプセル同士の間に形成された隙間を埋めるように配置されていることが好ましい。
これにより、電気泳動表示装置の表示を均一にすることができるので、コントラストを高めることができる。
本発明の電気泳動表示シートでは、前記副カプセルは、前記白色粒子と、該白色粒子と色調の異なる着色粒子とを内包することが好ましい。
これにより、2色以上の表示を実現することができる。
前記基板の一方の面側に設けられ、少なくとも1種の電気泳動粒子を含む電気泳動分散液を殻体に内包する複数のマイクロカプセルを含有するマイクロカプセル含有層と、
前記マイクロカプセル含有層の前記基板と反対側に設けられた対向基板とを備え、
前記殻体が、それぞれ球殻状をなす、第1の層と、該第1の層よりも外側に配置されている第2の層とを有し、前記第1の層がメラミン系樹脂を主材料として構成され、前記第2の層がエポキシ系樹脂を主材料として構成されることにより、
前記マイクロカプセルは、前記マイクロカプセル含有層を一方の主面側から見た平面視において、Heywood円形度値が1.40以下のものの数をN 1.40 、Heywood円形度値が1.08以下のものの数をN 1.08 としたとき、下記式によって算出される球粒子率が60%以上であり、かつ、前記マイクロカプセル含有層の主面と直交する方向に切った断面において、Heywood円形度値が1.00〜1.10である球状をなして存在していることを特徴とする。
球粒子率(%)=(N 1.08 /N 1.40 )×100
これにより、マイクロカプセルの耐圧性および耐ブリード性を高め、長期間安定に動作する電気泳動表示装置とすることができる。
これにより、電気泳動表示シートと回路基板とが固定されるので、安定にかつ品質を一定にすることができる。
本発明の電子機器は、本発明の電気泳動表示装置を備えることを特徴とする。
これにより、信頼性の高い電子機器を得ることができる。
<第1実施形態>
1.電気泳動表示装置
まず、本発明の電気泳動表示シートを適用した電気泳動表示装置(本発明の電気泳動表示装置)について説明する。
図1に示す電気泳動表示装置20は、電気泳動表示シート(フロントプレーン)21と、回路基板(バックプレーン)22と、電気泳動表示シート21と回路基板22とを接合する接着剤層8と、電気泳動表示シート21と回路基板22との間の間隙を気密的に封止する封止部7とを有している。
一方、回路基板22は、平板状の基部1と基部1の上面に設けられた複数の第1の電極3とを備える対向基板11と、この対向基板11(基部1)に設けられた、例えばTFT等のスイッチング素子を含む回路(図示せず)とを有している。
基部1および基部2は、それぞれ、シート状(平板状)の部材で構成され、これらの間に配置される各部材を支持および保護する機能を有する。
各基部1、2は、それぞれ、可撓性を有するもの、硬質なもののいずれであってもよいが、可撓性を有するものであるのが好ましい。可撓性を有する基部1、2を用いることにより、可撓性を有する電気泳動表示装置20、すなわち、例えば電子ペーパーを構築する上で有用な電気泳動表示装置20を得ることができる。
第1の電極3と第2の電極4との間に電圧を印加すると、これらの間に電界が生じ、この電界が電気泳動粒子(表示粒子)5に作用する。
なお、第2の電極4も、第1の電極3と同様に複数に分割するようにしてもよい。
また、第1の電極3がストライプ状に分割され、第2の電極も同様にストライプ状に分割され、これらが交差するように配置された形態であってもよい。
このような電極3、4の平均厚さは、それぞれ、構成材料、用途等により適宜設定され、特に限定されないが、0.05〜10μm程度であるのが好ましく、0.05〜5μm程度であるのがより好ましい。
このマイクロカプセル含有層400は、電気泳動分散液10をカプセル本体(殻体)401内に封入した複数のマイクロカプセル40が、バインダ41で固定(保持)されている。
カプセル本体401内に封入された電気泳動分散液10は、少なくとも1種の電気泳動粒子5(本実施形態では、着色粒子5bと白色粒子5aとの2種)を液相分散媒6に分散(懸濁)してなるものである。
液相分散媒6としては、カプセル本体401に対する溶解性が低く、かつ比較的高い絶縁性を有するものが好適に使用される。
電気泳動粒子5は、荷電を有し、電界が作用することにより、液相分散媒6中を電気泳動し得る粒子である。
かかる電気泳動粒子5には、荷電を有するものであれば、いかなるものをも用いることができ、特に限定はされないが、顔料粒子、樹脂粒子またはこれらの複合粒子のうちの少なくとも1種が好適に使用される。これらの粒子は、製造が容易であるとともに、荷電の制御を比較的容易に行うことができるという利点を有している。
また、複合粒子としては、例えば、顔料粒子の表面を樹脂材料や他の顔料で被覆したもの、樹脂粒子の表面を顔料で被覆したもの、顔料と樹脂材料とを適当な組成比で混合した混合物で構成される粒子等が挙げられる。
また、カーボンブラック粒子またはその表面を被覆した粒子は、着色粒子(黒色粒子)5bとして好適に用いられる。
また、電気泳動粒子5の形状は、特に限定されないが、球形状であるのが好ましい。
具体的には、着色粒子5bの平均粒径を20〜100nm程度、白色粒子5aの平均粒径を150〜300nm程度とするのが好ましい。
バインダ41は、例えば、対向基板11と基板12とを接合する目的、対向基板11および基板12との間にマイクロカプセル40を固定する目的、第1の電極3および第2の電極4間の絶縁性を確保する目的等により供給される。これにより、電気泳動表示装置20の耐久性および信頼性をより向上させることができる。
このようなバインダ41としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ABS樹脂、メタクリル酸エステル樹脂、メタクリル酸メチル樹脂、塩化ビニル樹脂、セルロース系樹脂等の熱可塑性樹脂、シリコーン系樹脂、ウレタン系樹脂等の各種樹脂材料が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
本実施形態では、電気泳動表示シート21と回路基板22とが、接着剤層8を介して接合されている。これにより、電気泳動表示シート21と回路基板22とをより確実に固定することができる。
Iの機能を有することにより、第1の電極3と第2の電極4との間での短絡を確実に防止して、電気泳動粒子5に確実に電界を作用させることができる。
IIの機能を有することにより、回路基板22に設けられた回路(特にスイッチング素子)の特性の低下を防止または抑制することができる。
このような接着剤層8は、ポリウレタンを主材料として構成されているのが好ましい。ポリウレタンは、接着剤層8に、前述したような各種機能を確実に付与することができることから好ましい。
この接着剤層8の平均厚さをA[μm]とし、マイクロカプセル含有層400の平均厚さをB[μm]としたとき、A/Bが0.1〜3なる関係を満足するのが好ましく、0.5〜2なる関係を満足するのがより好ましい。これにより、特に、前記IおよびIIIの機能の向上を図ることができる。なお、接着剤層8の平均厚さの具体的な値は、1〜30μm程度であるのが好ましく、5〜20μm程度であるのがより好ましい。
なお、封止部7は、必要に応じて設ければよく、省略することもできる。
マイクロカプセル40は、図1に示すように、対向基板11と基板12との間に、縦横に並列するように単層で(厚さ方向に重なることなく1個ずつ)、かつ、マイクロカプセル含有層400の厚さ方向全体に配設されている。
マイクロカプセル40がこのように配置されることにより、1つの第1の電極3で、それに重なる2つのマイクロカプセル40内の電気泳動粒子5を作動することができる。その結果、1つのマイクロカプセル40内で異なる色が表示されることとなる。
そして、本発明では、以上のように配置されたマイクロカプセル40は、対向基板11と基板12との間で、第2の電極4と接着剤層8とで挟持されても、上下方向に圧縮(圧迫)されることなく、ほぼ球状(球形状)をなしている。
これらの圧力が回路基板22と電気泳動表示シート21との間に付与されたとしても、本発明では、マイクロカプセル40を、第2の電極4と接着剤層8との間で、球状を維持するような強度を有するものとする。かかる構成とすることにより、マイクロカプセル40の耐圧性および耐ブリード性の双方を高めることができることから、電気泳動表示装置20は、長期間安定的に動作し得るものとなる。
このマイクロカプセル40は、対向基板11と基板12との間で、より球状に近い形状を維持した状態で存在しているのが好ましいが、このようなマイクロカプセル40の球状の度合いは、球形度を指標としてその程度を表すことができ、具体的には、Heywood円形度値Fcが指標として好適に用いられる。
Fc=P/{2×sqrt(πA)} ・・・ (1)
[式中、FcはHeywood円形度値を表し、Pは、平面視でのマイクロカプセルの外周長を表し、Aは平面視でのマイクロカプセルの面積(横断面積)を表す。]
すなわち、Heywood円形度値Fcとは、上記式(1)から明らかなように、円形度を評価するマイクロカプセル40について、その平面視での面積Aと同じ面積の円を仮定したとき、この円の外周長{2×sqrt(πA)}と、平面視でのマイクロカプセル40の外周長Pとの比率を表すものである。
マイクロカプセル含有層400は、球形度の大きいマイクロカプセルを多く含むことが好ましく、具体的には、その一方の主面側から見た平面視において、Heywood円形度値Fcが1.40以下のマイクロカプセル40の数をN1.40、Heywood円形度値Fcが1.08以下のマイクロカプセル40の数をN1.08としたとき、下記式(2)によって算出される球粒子率が60%以上であるのが好ましい。
この式(2)で求められる球粒子率は、マイクロカプセル40のうち、(マイクロカプセル含有層400に存在するほぼ全てのマイクロカプセル40のHeywood円形度値Fcが1.40以下となっていると仮定すれば、)球形度の高いマイクロカプセル(Heywood円形度値Fcが1.08以下のマイクロカプセル)の割合に相当する。
上記式(2)を用いて求められる、球粒子率が60%以上、好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上である場合、マイクロカプセル含有層400は、球形度の高いマイクロカプセル40、すなわち耐圧性および耐ブリード性に優れたマイクロカプセル40を多く含んでおり、電気泳動表示装置20は長期間安定に動作することができる。
まず、顕微鏡を用い、マイクロカプセル含有層400を、一方の主面側から、例えば、×300の倍率で写真撮影し、マイクロカプセル含有層400の顕微鏡写真を得る。この顕微鏡写真の一例を、図2に示す。
次に、顕微鏡写真の外端に接している円形画像、複数の円形画像が繋がって大きなサイズとなった円形画像、明らかにマイクロカプセルよりもサイズの小さい円形画像を、順次削除することにより、平面画像を得る。このようにして得られた平面画像の一例を、図3に示す。
さらに、Heywood円形度値Fcが1.40以下の円形画像を抽出し、その数N1.40をカウントする。また、Heywood円形度値Fcが1.08以下の円形画像を抽出し、その数N1.08をカウントする。
なお、この平面画像のうち円形画像以外の領域の割合は、20%以下であるのが好ましく、10%以下であるのがより好ましい。円形画像以外の領域は、マイクロカプセル40同士の隙間に相当し、この領域の割合が大きすぎると、表示コントラストが低下するおそれがある。
具体的には、Heywood円形度値Fcの平均値が1.00〜1.10程度であるが好ましく、1.00〜1.06程度であるのがより好ましい。断面におけるHeywood円形度値Fcの平均値が前記範囲のマイクロカプセル40は、球形度が高く、耐圧性および耐ブリード性に優れたものと評価することができる。
かかる構成とすることにより、第2のカプセル層403は、第1のカプセル層402よりも弾性に富み、第1のカプセル層402は、第2のカプセル層403よりも硬さに富むものとなる。
また、第2のカプセル層403には、対向基板11と基板12との間に圧力が付与された際に、カプセル本体401(マイクロカプセル40)の形状が変化するのを吸収する吸収層としての機能を発揮させることができる。
また、引張り伸び率とは、破断時の伸び率を表すものであり、この値が大きいものほど、靭性に優れ、弾性に富むものであると評価することができる。この引張り伸び率は、ISO527−2に規定の条件で測定することができる。
さらに、第2のカプセル層403を吸収層としての機能を発揮させる場合、引張り弾性係数は、1×103〜4×104kg/cm2程度であるのが好ましく、1×104〜2×104kg/cm2程度であるのがより好ましい。また、引張り伸び率は、2〜10%程度であるのが好ましく、3〜6%程度であるのがより好ましい。
以上のことを考慮して、第1のカプセル層402および第2のカプセル層403の構成材料がそれぞれ選択される。
また、第2のカプセル層(吸収層)403の構成材料としては、例えば、エポキシ系樹脂、アラビアゴムなどのゴムを含む材料、アラビアゴムとセラチンとの複合材料、ウレタン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエーテル系樹脂のような各種樹脂材料が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。中でも、第2のカプセル層403は、特に、エポキシ系樹脂を主材料して構成されているのが好ましい。これにより、第2のカプセル層403を前述したような弾性率を有する、適度な硬度と弾性とを併せ持つものとすることができる。
カプセル本体401の粒径としては、体積平均粒子径が30〜60μmであることが好ましく、40〜50μmであることがより好ましい。カプセル本体401の粒径がこのような範囲であることにより、寸法精度よくマイクロカプセル含有層400を形成することができる。
カプセル本体401の粒径が前記下限値よりも小さ過ぎると、マイクロカプセル含有層400の両方の面側がマイクロカプセル40で満たされ、表示のコントラストが低下するおそれがある。
このようなマイクロカプセル40は、その大きさ(粒径)がほぼ均一(同一)に形成されているのが好ましい。具体的には、粒子径の変動係数(CV値)が5〜15%であることが好ましく、変動係数(CV値)が5〜10%であることがより好ましい。これにより、マイクロカプセル40が均一に配置されるので、電気泳動表示装置20では、表示ムラの発生が防止または低減され、より優れた表示性能を発揮することができる。
このような電気泳動表示装置20は、次のようにして作動する。
以下、電気泳動表示装置20の作動(動作)方法について説明する。
図4は、図1に示す電気泳動表示装置の動作方法を説明するための模式図である。なお、以下の説明では、図4中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
例えば、白色粒子5aとして正荷電を有するものを用い、着色粒子(黒色粒子)5bとして負荷電のものを用いた場合、図4(A)に示すように、第1の電極3を正電位とすると、白色粒子5aは、第2の電極4側に移動して、第2の電極4に集まる。一方、着色粒子5bは、第1の電極3側に移動して、第1の電極3に集まる。このため、電気泳動表示装置20を上方(表示面側)から見ると、白色粒子5aの色が見えること、すなわち、白色が見えることになる。
このような構成において、電気泳動粒子5(白色粒子5a、着色粒子5b)の帯電量や、電極3または4の極性、電極3、4間の電位差等を適宜設定することにより、電気泳動表示装置20の表示面側には、白色粒子5aおよび着色粒子5bの色の組み合わせや、電極3、4に集合する粒子の数等に応じて、所望の情報(画像)が表示される。
このような電気泳動表示装置20は、次のようにして製造することができる。
以下、電気泳動表示装置20の製造方法について説明する。
図5および図6は、それぞれ、図1に示す電気泳動表示装置の製造方法を説明するための模式図である。なお、以下の説明では、図5および図6中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
図5に示す電気泳動表示装置20の製造方法は、マイクロカプセル40を作製するマイクロカプセル作製工程[A1]と、マイクロカプセル40を含むマイクロカプセル分散液を調製するマイクロカプセル分散液調製工程[A2]と、基板12の一方の面側にマイクロカプセル40を含むマイクロカプセル含有層400を形成するマイクロカプセル含有層形成工程[A3]と、マイクロカプセル含有層400の基板12と反対の面側に接着剤層8を形成する接着剤層形成工程[A4]と、接着剤層8のマイクロカプセル含有層400と反対の面側に対向基板11を接触して、接着剤層8と対向基板11とを接合する接合工程[A5]とを有している。
[A1]マイクロカプセルの作製工程
[A1−1]第1のカプセル層の形成
まず、電気泳動分散液10を第1のカプセル層402に内包するマイクロカプセルを得る。なお、以下、説明の便宜上、このマイクロカプセルを「マイクロカプセル前駆体」と言うこととする。
マイクロカプセル化手法(第1のカプセル層402への電気泳動分散液10の封入方法)としては、特に限定されないが、例えば、界面重合法、In−situ重合法、相分離法(または、コアセルベーション法)、界面沈降法、スプレードライ法等の各種マイクロカプセル化手法を用いることができる。このマイクロカプセル化手法は、第1のカプセル層402の構成材料等に応じて、適宜選択するようにすればよい。
<i>芯物質分散液の調製
まず、芯物質となる、電気泳動粒子5と液相分散媒6とで構成される電気泳動分散液10を水系媒体に分散させて、電気泳動分散液10の小滴が分散された芯物質分散液を得る。
この水系媒体としては、例えば、水、または、水と親水性有機溶媒との混合溶媒を用いることができる。
水系媒体は、水や親水性有機溶媒に加えて、さらに他の溶媒を含有していてもよい。
他の溶媒としては、例えば、ヘキサン、シクロペンタン、ペンタン、イソペンタン、オクタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、アミニルスクアレン、石油エーテル、テルペン、ヒマシ油、大豆油、パラフィン、ケロシン等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
他の溶媒を用いる場合、水系媒体における他の溶媒の含有率は、30質量%以下であるのが好ましく、25質量%以下であるのがより好ましく、20質量%以下であるのがさらに好ましい。
水系媒体への分散剤の添加量は、特に限定されないが、第1のカプセル層の形成を阻害しない範囲で適宜調整される。
初期縮合化合物は、アミノ樹脂のモノマーと、ホルムアルデヒドとを縮合反応させることによって得る。
モノマーとしては、メラミンや、尿素およびチオ尿素等の尿素化合物等のアミノ化合物が挙げられ、目的とするカプセル層の構成材料に応じて1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
モノマーとホルムアルデヒドとの反応は、一般に、水を溶媒として行われる。具体的には、ホルムアルデヒド水溶液にモノマーを添加し、もしくは、モノマーにホルムアルデヒド水溶液を添加し、混合する。これにより、モノマーとホルムアルデヒドとが縮合反応し、初期縮合化合物の水溶液が得られる。この縮合反応は、例えば、攪拌装置を用いて、攪拌しながら行うことが好ましい。
この縮合反応における反応温度は、特に限定されないが、55〜85℃であるのが好ましく、60〜80℃であるのがより好ましく、65〜75℃であるのがさらに好ましい。
この縮合反応の停止は、例えば、反応終点が認められた時点で、反応液を常温(例えば、25〜30℃)に冷却する等の操作により行われる。
反応時間は、特に限定されず、仕込み量に応じて、適宜設定することができる。
次に、工程<i>で得た芯物質分散液に、<ii>で得た初期縮合化合物を徐々に添加する。これにより、電気泳動分散液10の小滴の表面に、初期縮合化合物が吸着するとともに、縮合反応する。その結果、電気泳動分散液10の小滴の表面に樹脂層(第1のカプセル層402)が形成され、電気泳動分散液10を内包するマイクロカプセル前駆体が得られる。
また、第1のカプセル層402には、メルカプト(チオール)基を導入するのが好ましい。これにより、このメルカプト基を介して、第1のカプセル層402と、後述する第2のカプセル層403とをその界面で化学的に結合させることができるため、第1のカプセル層402と、第2のカプセル層403との密着性の向上を図ることができる。
第1のカプセル層402を形成する際の反応温度は、特に限定されないが、25〜80℃であるのが好ましく、30〜70℃であるのがより好ましく、35〜60℃であるのがさらに好ましい。反応時間は、特に限定されず、仕込み量に応じて、適宜設定することができる。
また、縮合反応を行った後、反応液を所定の温度で放置する熟成工程を行うようにしてもよい。熟成温度は、特に限定されないが、例えば、縮合反応を行う際の反応温度と同一または少し高い温度であることが好ましい。熟成時間は、特に限定されないが、0.5〜5時間であるのが好ましく、1〜3時間であるのがより好ましい。
次に、マイクロカプセル前駆体を、分級および洗浄する。
マイクロカプセル前駆体の分級方法としては、特に限定されないが、例えば、ふるい式、フィルター式、遠心沈降式、自然沈降式等が挙げられる。このうち、回収するマイクロカプセル前駆体の粒子径が比較的大きい場合には、ふるい式を用いるのが好ましい。
マイクロカプセル前駆体の洗浄方法としては、特に限定されないが、例えば、遠心沈降式、自然沈降式等が挙げられる。このうち、マイクロカプセル前駆体の粒子径が比較的大きい場合には、マイクロカプセル前駆体の損傷・破壊を防止するために、自然沈降式を用いるのが好ましい。なお、洗浄は、1回に限らず、複数回行うようにしてもよい。
次に、工程[A1−1]で得たマイクロカプセル前駆体(第1のカプセル層402)の外周面に、第2のカプセル層403を形成し、電気泳動分散液10を内包するマイクロカプセル40を得る。
第2のカプセル層403は、例えば、マイクロカプセル前駆体を水系媒体中に分散させたカプセル分散液に、樹脂のプレポリマーを徐々に添加し、マイクロカプセル前駆体の表面に吸着したプレポリマーを、重合反応させることによって形成することができる。これにより、マイクロカプセル前駆体の表面に第2のカプセル層403が形成され、電気泳動分散液10を内包するマイクロカプセル40が得られる。
なお、工程[A1−1]で得られたマイクロカプセル前駆体が水系媒体に分散された状態である場合には、これをそのままでカプセル分散液として用いてもよく、必要に応じて濃縮または希釈した後、カプセル分散液として用いるようにしてもよい。
プレポリマーは、具体的には、第2のカプセル層403の構成材料に応じて適宜選択され、例えば、第2のカプセル層403をエポキシ系樹脂で構成する場合には、エポキシ基を含有する化合物(エポキシ化合物)が用いられる。
具体的には、エポキシ化合物としては、例えば、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ソルビタンポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
カプセル分散液に添加する架橋剤の添加量は、特に限定されないが、エポキシ化合物100質量部に対して、1〜100質量部であるのが好ましく、5〜90質量部であるのがより好ましく、10〜80質量部であるのがさらに好ましい。架橋剤の添加量が少ないと、第2のカプセル層403の強度を高める効果が十分に得られない。また、架橋剤の添加量が多いと、架橋剤がエポキシ化合物のエポキシ基と過剰に反応し、第2のカプセル層403の柔軟性が低下することがある。
この第2のカプセル層403を形成する際の反応温度は、特に限定されないが、25〜80℃であるのが好ましく、30〜70℃であるのがより好ましく、35〜60℃であるのがさらに好ましい。反応時間は、特に限定されず、仕込み量に応じて、適宜設定することができる。
また、得られたマイクロカプセル40は、分級および洗浄するのが好ましい。これにより、粒度分布が狭く、不純物の少ないマイクロカプセル40を得ることができる。
分級方法および洗浄方法は、例えば、前記工程[A1−1]の場合と同様の方法を挙げることができる。
次に、バインダ41を用意し、このバインダ41と、前記工程[A1]で作製されたマイクロカプセル40とを混合してマイクロカプセル分散液を調製する。
マイクロカプセル分散液中におけるマイクロカプセル40の含有量は、30〜60wt%程度であるのが好ましく、40〜60wt%程度であるのがより好ましい。
マイクロカプセル40の含有量を前記範囲に設定すると、マイクロカプセル40が厚さ方向に重ならないように(単層で)、マイクロカプセル含有層400において移動(再配置)させて配設する上で、非常に有利である。
次に、図5(a)に示すように、基板12を用意する。そして、図5(b)に示すように前記工程[A2]で調製したマイクロカプセル分散液を基板12上に供給する。
マイクロカプセル分散液を供給する方法としては、特に限定されないが、例えば、スピンコート法、ディップコート法、スプレーコート法等の各種塗布法を用いることができる。
これは、例えば、図5(c)に示すように、スキージ(平板状の治具)100を基板12上を通過させ、マイクロカプセル40を掃くことにより行うことができる。
これにより、マイクロカプセル含有層400が形成され、図5(d)に示すような電気泳動表示シート21が得られる。
次に、図6(e)に示すように、マイクロカプセル含有層400上に、接着剤層8を形成する。
これは、例えば、シート状の接着剤層8を、転写法等により、マイクロカプセル含有層400上に配置することにより行うことができる。
次に、図6(f)に示すように、接着剤層8上に、別途用意した回路基板22を、第1の電極3が接着剤層8に接触するように重ね合わせる。
これにより、接着剤層8を介して、電気泳動表示シート21と回路基板22とが接合される。
このとき、接着剤層8および回路基板22の自重や、回路基板22と電気泳動表示シート21とを接近するように加圧する(マイクロカプセル含有層400の厚さを減少させる)ことにより、マイクロカプセル含有層400において、マイクロカプセル40の配設密度を均一にすることができる。
次に、図6(g)に示すように、電気泳動表示シート21および回路基板22の縁部に沿って、封止部7を形成する。
これは、電気泳動表示シート21(基部2)と回路基板22(基部1)との間であって、これらの縁部に沿って封止部7を形成するための材料を、例えば、ディスペンサ等により供給し、固化または硬化させることにより形成することができる。
以上の工程を経て、電気泳動表示装置20が得られる。
なお、接着剤層8は、回路基板22側に設けておき、回路基板22と電気泳動表示シート21とを接合するようにしてもよく、回路基板22および電気泳動表示シート21の双方に設けておき、回路基板22と電気泳動表示シート21とを接合するようにしてもよい。
次に、本発明の電気泳動表示シートを適用した電気泳動表示装置の第2実施形態について説明する。
図7は、本発明の電気泳動表示装置の第2実施形態の縦断面を模式的に示す図である。なお、以下では、説明の都合上、図7中の上側を「上」、下側を「下」として説明を行う。
図7に示す電気泳動表示装置20は、マイクロカプセル含有層400内で、マイクロカプセル40同士の間に形成された隙間を埋めるように複数の副カプセル42が配置されていること以外は、第1実施形態の電気泳動表示装置20と同様である。
すなわち、第2実施形態の電気泳動表示装置20では、マイクロカプセル含有層400は、2種類のマイクロカプセル40、42を有している。
このマイクロカプセル40の構成は、前記第1実施形態で説明したマイクロカプセル40の構成と同様である。なお、本実施形態では、隣り合うマイクロカプセル40同士は、接して配置されているが、離れて配置されていてもよい。
すなわち、副カプセル42は、接着剤層8とマイクロカプセル40同士との間に形成された隙間43a(図7中下側の隙間)、および、基板12とマイクロカプセル40同士との間に形成された隙間43b(図7中上側の隙間)に、該隙間43a、bを埋めるように変形して配置し得る機能を有する。
このような構成とすれば、マイクロカプセル含有層400における隙間43a、bが副カプセル42で満たされるので、電気泳動表示装置20の表示の均一化を図ることができる。その結果、電気泳動表示装置の平面視において、均一に表示できる面積が大きくなり、表示のコントラストを高めることができる。
この副カプセル本体421内に封入された電気泳動分散液10は、前記第1実施形態において、マイクロカプセル40のカプセル本体401内に封入された電気泳動分散液10と同様である。
副カプセル本体(殻体)421の構成材料としては、マイクロカプセル40よりも柔軟性に優れる材料で構成されていれば良く、例えば、アラビアゴムなどのゴムを含む材料、アラビアゴムとゼラチンとの複合材料、ウレタン系樹脂、メラミン系樹脂、尿素樹脂、ポリアミド、ポリエーテルのような各種樹脂材料が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
このような副カプセル42は、その大きさ(粒径)がほぼ均一であることが好ましい。これにより、電気泳動表示装置20では、表示ムラの発生が防止または低減され、より優れた表示性能を発揮することができる。
副カプセル42には、前述した白色粒子5aと着色粒子(黒色粒子)5bとが内包されている。これにより、マイクロカプセル40と副カプセル42とに内包される電気泳動粒子5が後述するように動作するので、表示を均一にすることができる。
この着色粒子5bは、マイクロカプセル40と副カプセル42とで、黒色、茶褐色、紺色、灰色など同系統(暗色)であれば色が異なっていてもよい。これにより、コントラストが向上し、所望の画像を得ることができる。
なお、副カプセルは、接着剤層8または対向基板11を接合しても、変形しない状態でマイクロカプセル40同士の隙間に配置されていてもよい。
また、第2実施形態では、特に、マイクロカプセル含有層400にマイクロカプセル40とともに副カプセル42が含有されていることにより、次のような効果を得ることができる。
このとき、副カプセル42が隙間43a、bを埋めているので、電気泳動表示装置20の表示面はマイクロカプセル40と副カプセル42とで満たされ、画像を均一に表示することができる。その結果、電気泳動装置20の均一に表示できる面積を増大することができ、コントラストを高めることができる。
以上のような電気泳動表示装置20は、各種電子機器に組み込むことができる。以下、電気泳動表示装置20を備える本発明の電子機器について説明する。
<<電子ペーパー>>
まず、本発明の電子機器を電子ペーパーに適用した場合の実施形態について説明する。
図8は、本発明の電子機器を電子ペーパーに適用した場合の実施形態を示す斜視図である。
図8に示す電子ペーパー600は、紙と同様の質感および柔軟性を有するリライタブルシートで構成される本体601と、表示ユニット602とを備えている。
このような電子ペーパー600では、表示ユニット602が、前述したような電気泳動表示装置20で構成されている。
次に、本発明の電子機器をディスプレイに適用した場合の実施形態について説明する。
図9は、本発明の電子機器をディスプレイに適用した場合の実施形態を示す図である。このうち、図9中(a)は断面図、(b)は平面図である。
図9に示すディスプレイ(表示装置)800は、本体部801と、この本体部801に対して着脱自在に設けられた電子ペーパー600とを備えている。なお、この電子ペーパー600は、前述したような構成、すなわち、図9に示す構成と同様のものである。
このようなディスプレイ800では、電子ペーパー600は、本体部801に着脱自在に設置されており、本体部801から取り外した状態で携帯して使用することもできる。
また、このようなディスプレイ800では、電子ペーパー600が、前述したような電気泳動表示装置20で構成されている。
以上、本発明の電気泳動表示シート、電気泳動表示装置および電子機器を、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、本発明に、他の任意の構成物が付加されていてもよい。
また、前記実施形態では、一対の電極が対向して設けられた構成のものについて示したが、本発明は、これに限らず、例えば、一対の電極を同一基板上に設ける構成のものに適用することもできる。
また、前記実施形態では、一対の基板が対向して設けられた構成のものについて示したが、本発明は、これに限らず、例えば、単一の基板を有するものに適用することもできる。
1.電気泳動表示装置の製造
なお、各実施例および各比較例の電気泳動表示装置をそれぞれ5個ずつ製造した。
〔実施例1〕
(A1)マイクロカプセルの作製
(A1−1)電気泳動分散液の調製
まず、平均粒径200nmの球形状の白色粒子と、平均粒径60nmの球形状の黒色粒子を用意した。
なお、白色粒子には、酸化チタン粒子(石原産業社製、「CR−90」)を、黒色粒子には、カーボンブラック粒子を用いた。
次に、白色粒子と黒色粒子とを、重量比で6:1となるように液相分散媒に分散して、電気泳動分散液を調製した。
なお、液相分散媒には、IsoparM(ExonMobilChemical社製)を用いた。
100mLの丸底セパラブルフラスコに、メラミン5g、尿素5g、37wt%ホルムアルデヒド水溶液20gおよび25wt%アンモニア水1gを仕込み、撹拌しながら70℃まで昇温させた。昇温途中、65℃付近で全体が透明になった。70℃に昇温後、同温度で1時間保持した後、30℃まで冷却し、メラミンおよび尿素とホルムアルデヒドとの初期縮合化合物を得た。
その後、1時間かけて70℃まで昇温し、同温度で2時間熟成させた後、常温まで冷却した。以上の工程により、メラミン系樹脂よりなる第1のカプセル層を形成し、電気泳動分散液を内包するマイクロカプセル前駆体を得た。そして、一昼夜撹拌を続けた後、平均粒径42μmのマイクロカプセル前駆体を分級した。
300mlのセパラブルフラスコに、ポリカルボン酸[日本触媒社製、「アクアリックHL−415(ポリアクリル酸MW10000、45%水溶液)」]50g、水50gを仕込み、攪拌しながら、エポキシ化合物[ナガセケムテック社製、「デナコールEX521(ポリグリセロール ポリグリシルジルエステル)」]20gを水50gに分散した分散液を、10分間かけて滴下した。この分散液の滴下に際し、反応液の温度は、25℃以上に保った。
次に、500mlの平底セパラブルフラスコに、前記工程(A1−2)で得たマイクロカプセル前駆体を100g投入し、脱イオン水を加えて全量を200gとすることにより、カプセル分散液を得た。
次に、反応液を、50℃に保って5時間反応を行うことにより、マイクロカプセル前駆体(第1のカプセル層)の表面に、エポキシ系樹脂よりなる第2のカプセル層を形成した。
以上の工程により、第1のカプセル層と第2のカプセル層とで構成されるカプセル本体内に電気泳動分散液を内包するマイクロカプセルを得た。そして、一昼夜攪拌を続けた後、平均粒径42μmのマイクロカプセルを分級した。
次に、前記工程(A1)で得られたマイクロカプセルとバインダとを、重量比で1:1となるように混合して、マイクロカプセル分散液を調製した。
なお、バインダには、ドデシルメタクリレート(融点:25℃以下)と2−エチルヘキシルメタクリレート(融点:25℃以下)とを、重量比で9:1となるように混合した混合物を用いた。
次に、ITOで構成される第2の電極が形成されたPET-ITO基板(御池工業社製、「OTEC220B」)を用意した。
次いで、前記工程(A2)で得られたマイクロカプセル分散液を、PET−ITO基板のITO上にドクタブレード法により、平均厚さ45μmのマイクロカプセル含有層を形成した。
次に、平均厚さ15μmのシート状の接着剤層を用意し、常温(25℃)下で、マイクロカプセル含有層上に配置した。
なお、形成されたマイクロカプセル含有層の平均厚さは、約60μmであった。
また、接着剤層には、ポリウレタンとEO変性ジシクロペンテニルメタクリレートとを、重量比で19:1の割合で混合した混合物を用いた。
次に、接着剤層上に、常温(25℃)下で、ITOよりなる第1の電極が形成された回路基板を配置し、その後、ロール間圧力を0.5MPaに設定してロールラミネータを用いて接合することにより接合体を得た。
(A6)封止工程
次に、前記工程(A5)で得られた接合体の縁部(外周部)をエポキシ系接着剤で封止した。これにより、図1に示す電気泳動表示装置を得た。
前記実施例1の(A1−3)の工程を省略して、(A1−1)および(A1−2)の工程を経て得られたマイクロカプセル前駆体(電気泳動分散液をメラミン系樹脂よりなる第1のカプセル層内に内包するマイクロカプセル)を、本実施例のマイクロカプセルとして用いた以外は実施例1と同様にして電気泳動表示装置を得た。
マイクロカプセルを、前記工程(A1)に代えて、次に示すような工程(A1’)として作製した以外は、前記実施例1と同様にして電気泳動表示装置を得た。
(A1’)
まず、500mlの平底セパラブルフラスコに、前記実施例1の工程(A1−1)と同様にして得られた電気泳動分散液100gを投入し、脱イオン水を加えて全量を200gとした後、攪拌することにより芯物質分散液を得た。
次に、反応液を、50℃に保って5時間反応を行うことにより、電気泳動分散液をエポキシ系樹脂よりなるカプセル本体内に内包するマイクロカプセルを得た。
マイクロカプセルと副カプセルとを含有するマイクロカプセル分散液を用いた以外は前記実施例1と同様に行い、電気泳動表示装置を得た。なお、副カプセルの作製およびマイクロカプセル分散液の調製は次のようにして行った。
(B1)副カプセルの作製
まず、水180部に、アラビアゴム(和光純薬工業社製)24部およびゼラチン(和光純薬工業社製)8部を溶解させて43℃に調温した。この溶液に、同温度に調温した前記工程(A1−1)で調製した電気泳動分散液316部を、攪拌しながら添加して懸濁液を得た。
得られた懸濁液に、温水799部およびウレタンエマルション(第一工業製薬社製、「スーパーフレックス700」)48部を添加した。
そして、熟成後、アジリジン化合物(日本触媒社製、「ケミタイトPZ−33」)を添加し、50℃まで昇温し、60分間熟成させた。これにより、副マイクロカプセルを得た。
そして、一昼夜撹拌を続けた後、平均粒径12μmの副マイクロカプセルを分級した。
次に、前記工程(A1)で得られたマイクロカプセルと、前記工程(B2)で得られた副カプセルと、前記工程(A2)で用いたのと同様のバインダとを、重量比で7:1:8となるように混合して、マイクロカプセル分散液を調製した。
マイクロカプセルを、前記工程(A1)に代えて、次に示すような工程(A1'’)のようにして作製した以外は、前記実施例1と同様にして電気泳動表示装置を得た。
(A1'')
まず、300mlのセパラブルフラスコ中の水180部に、アラビアゴム(和光純薬工業社製)24部およびゼラチン(和光純薬工業社製)8部を溶解させて43℃に調温した。この溶液に、同温度に調温した前記工程(A1−1)で調製した電気泳動分散液316部を、1000rpmで攪拌しながら添加して懸濁液を得た。
得られた懸濁液に、温水799部およびウレタンエマルション(第一工業製薬社製、「スーパーフレックス700」)48部を添加した。
そして、熟成後、アジリジン化合物(日本触媒社製、「ケミタイトPZ−33」)を添加し、50℃まで昇温し、60分間熟成させた。これにより、電気泳動分散液をアラビアゴムとゼラチンとの複合材料で構成されたカプセル本体内に内包するマイクロカプセルを得た。
そして、一昼夜撹拌を続けた後、平均粒径54μmのマイクロカプセルを分級した。
〔比較例2〕
前記比較例1の(A1'')の工程において、電気液道分散液を攪拌する回転数を600rpmとして、平均粒径75μmのマイクロカプセルを分級した以外は、比較例1と同様にして電気泳動表示装置を得た。
各実施例および各比較例で得られた電気泳動表示装置について、それぞれ5個ずつ、球粒子率、耐圧性(ラミネート耐圧試験)、耐ブリード性、表示コントラストの評価を行った。
また、耐圧性(硬球落下試験)の評価を、各実施例および各比較例において、前記工程(A4)が施される前のPET−ITO基板上にマイクロカプセル含有層が形成されたものを用いて行った。
各実施例および各比較例で得られた電気泳動表示シートについて、前記第1実施形態で説明した方法を用いて、それぞれ、球粒子率を求めた。
(2)耐圧性
各実施例および各比較例で得られた電気泳動表示シートの耐圧性は、ラミネート耐圧試験および硬球落下試験を行うことにより評価した。
各実施例および各比較例の電気泳動表示装置において、顕微鏡(×100または×300)を用いて、潰れずに残ったマイクロカプセルの数を測定し、以下の4段階の基準に従い評価した。
◎:潰れずに残ったマイクロカプセルの数が、全マイクロカプセル数の80%以上であった。
○:潰れずに残ったマイクロカプセルの数が、全マイクロカプセル数の70%以上80%未満であった。
△:潰れずに残ったマイクロカプセルの数が、全マイクロカプセル数の50%以上70%未満であった。
×:潰れずに残ったマイクロカプセルの数が、全マイクロカプセル数の50%未満であった。
各実施例および各比較例において、前記工程(A4)が施される前のPET−ITO基板上にマイクロカプセル含有層が形成されたものを、それぞれ、定盤(約3mm厚の硬質ラバー)上に、マイクロカプセル含有層側を上側にして載置し、硬球(約10mmφ、約5g)を10cmの高さから落下させた。
その後、顕微鏡(×100または×300)を用いて、潰れずに残ったマイクロカプセルの数を測定し、以下の4段階の基準に従い評価した。
○:潰れずに残ったマイクロカプセルの数が、全マイクロカプセル数の70%以上80%未満であった。
△:潰れずに残ったマイクロカプセルの数が、全マイクロカプセル数の50%以上70%未満であった。
×:潰れずに残ったマイクロカプセルの数が、全マイクロカプセル数の50%未満であった。
各実施例および各比較例で得られた電気泳動表示装置を、70℃雰囲気下で100時間放置した。
その後、電気泳動分散液が散逸したり、潰れたりしていないマイクロカプセルの数を測定し、以下の4段階の基準に従い評価した。
○:電気泳動分散液が散逸していないマイクロカプセルの数が、全マイクロカプセル数の70%以上80%未満であった。
△:電気泳動分散液が散逸していないマイクロカプセルの数が、全マイクロカプセル数の50%以上70%未満であった。
×:電気泳動分散液が散逸していないマイクロカプセルの数が、全マイクロカプセル数の50%未満であった。
各実施例および各比較例で得られた電気泳動表示装置の両電極間に20Vの直流電圧を0.4秒間印加したときの白および黒の反射率をそれぞれ、マクベス分光光度濃度計(GretagMacbeth社製、「SpectroEye」)を用いて測定し、下記式(3)によりコントラストを求めた。
なお、白および黒の反射率は、極を切り替えて印加することにより別々に測定し、各反射率は電気泳動表示装置の片面全体について測定した値とした。
コントラスト=(白反射率)/(黒反射率) ・・・ (3)
これらの評価結果を、それぞれ、以下の表1に示す。
これに対し、各比較例では、各実施例に比較して、球粒子率が小さく、耐圧性、耐ブリード性が劣っていた。
Claims (12)
- 基板と、
前記基板の一方の面側に設けられ、少なくとも1種の電気泳動粒子を含む電気泳動分散液を殻体に内包する複数のマイクロカプセルを含有するマイクロカプセル含有層とを備え、
前記殻体が、それぞれ球殻状をなす、第1の層と、該第1の層よりも外側に配置されている第2の層とを有し、前記第1の層がメラミン系樹脂を主材料として構成され、前記第2の層がエポキシ系樹脂を主材料として構成されることにより、
前記マイクロカプセルは、前記マイクロカプセル含有層を一方の主面側から見た平面視において、Heywood円形度値が1.40以下のものの数をN 1.40 、Heywood円形度値が1.08以下のものの数をN 1.08 としたとき、下記式によって算出される球粒子率が60%以上であり、かつ、前記マイクロカプセル含有層の主面と直交する方向に切った断面において、Heywood円形度値が1.00〜1.10である球状をなして存在していることを特徴とする電気泳動表示シート。
球粒子率(%)=(N 1.08 /N 1.40 )×100 - 前記第2の層は、前記第1の層よりも弾性に優れる請求項1に記載の電気泳動表示シート。
- 基板と、
前記基板の一方の面側に設けられ、少なくとも1種の電気泳動粒子を含む電気泳動分散液を殻体に内包する複数のマイクロカプセルを含有するマイクロカプセル含有層とを備え、
前記殻体が、それぞれ球殻状をなす、第1の層と、該第1の層よりも外側に配置されている第2の層とを有し、前記第2の層が前記第1の層よりも弾性に優れることにより、
前記マイクロカプセルは、前記マイクロカプセル含有層を一方の主面側から見た平面視において、Heywood円形度値が1.40以下のものの数をN 1.40 、Heywood円形度値が1.08以下のものの数をN 1.08 としたとき、下記式によって算出される球粒子率が60%以上であり、かつ、前記マイクロカプセル含有層の主面と直交する方向に切った断面において、Heywood円形度値が1.00〜1.10である球状をなして存在していることを特徴とする電気泳動表示シート。
球粒子率(%)=(N 1.08 /N 1.40 )×100 - 前記第1の層がメラミン系樹脂を主材料として構成され、前記第2の層がエポキシ系樹脂を主材料として構成されている請求項3に記載の電気泳動表示シート。
- 前記第1の層と前記第2の層との界面で、これら同士が化学的に結合している請求項1ないし4のいずれかに記載の電気泳動表示シート。
- 各前記マイクロカプセルは、同じ大きさに形成されている請求項1ないし5のいずれかに記載の電気泳動表示シート。
- 前記マイクロカプセルは、前記白色粒子と、該白色粒子と色調の異なる着色粒子とを内包する請求項1ないし6のいずれかに記載の電気泳動表示シート。
- さらに、前記マイクロカプセル含有層は、少なくとも1種の電気泳動粒子を含む電気泳動分散液を殻体に内包し、前記マイクロカプセルよりも柔軟性に優れ、かつ、粒径が小さい複数の副カプセルを含有し、
前記マイクロカプセルが、前記マイクロカプセル含有層の厚さ方向全体に配置され、
前記副カプセルは、前記マイクロカプセル含有層内で前記マイクロカプセル同士の間に形成された隙間を埋めるように配置されている請求項1ないし7のいずれかに記載の電気泳動表示シート。 - 前記副カプセルは、前記白色粒子と、該白色粒子と色調の異なる着色粒子とを内包する請求項8に記載の電気泳動表示シート。
- 基板と、
前記基板の一方の面側に設けられ、少なくとも1種の電気泳動粒子を含む電気泳動分散液を殻体に内包する複数のマイクロカプセルを含有するマイクロカプセル含有層と、
前記マイクロカプセル含有層の前記基板と反対側に設けられた対向基板とを備え、
前記殻体が、それぞれ球殻状をなす、第1の層と、該第1の層よりも外側に配置されている第2の層とを有し、前記第1の層がメラミン系樹脂を主材料として構成され、前記第2の層がエポキシ系樹脂を主材料として構成されることにより、
前記マイクロカプセルは、前記マイクロカプセル含有層を一方の主面側から見た平面視において、Heywood円形度値が1.40以下のものの数をN 1.40 、Heywood円形度値が1.08以下のものの数をN 1.08 としたとき、下記式によって算出される球粒子率が60%以上であり、かつ、前記マイクロカプセル含有層の主面と直交する方向に切った断面において、Heywood円形度値が1.00〜1.10である球状をなして存在していることを特徴とする電気泳動表示装置。
球粒子率(%)=(N 1.08 /N 1.40 )×100 - 前記マイクロカプセル含有層と前記対向基板とを接合する接着剤層を備える請求項10に記載の電気泳動表示装置。
- 請求項10または11に記載の電気泳動表示装置を備えることを特徴とする電子機器。
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