JP3871016B2 - 筒内噴射式エンジンの燃料インジェクタ取付構造 - Google Patents
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Description
【０００１】
【産業上の利用分野】
本発明は、シリンダ内に燃料(ガソリン)を直接噴射する筒内噴射式エンジンの燃料インジェク取付構造に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
自動車等に搭載される内燃エンジンにおいて、燃料インジェクタの噴射ノズルを燃焼室内に配置し、吸気ポートからシリンダ内に導入した空気中に、燃料を直接噴射することによって混合気を生成して燃焼させるようにした筒内噴射式エンジンが知られている。筒内噴射式エンジンは、成層燃焼を可能とし、また、燃料噴射量による運転制御等の燃焼制御の自由度を高めることができるので、実用燃費の向上及び排気ガス浄化に有利な内燃エンジンとして注目されている。
【０００３】
一般的に、筒内噴射式エンジンでは、シリンダヘッドに、燃料インジェクタを取付けるためのボス及び燃料インジェクタに燃料を供給する燃料デリバリパイプを取付けるためのボスをそれぞれ形成し、燃料インジェクタ及び燃料デリバリパイプをそれぞれのボスに別々のボルトによって取付けるようにしている。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
このため、シリンダヘッドには、燃料インジェクタ用及び燃料デリバリパイプ用の2種類の取付ボス及びボルトが必要であり、加工工数、部品点数及び組付工数が多くなるという問題があった。
【０００５】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、加工工数、部品点数及び組付工数を低減するようにした筒内噴射式エンジンの燃料インジェクタ取付構造を提供することを目的とする。
【０００６】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、請求項1に係る発明は、シリンダ内に燃料を直接噴射する燃料インジェクタを備え、前記燃料インジェクタに燃料を供給する燃料デリバリパイプと、前記燃料インジェクタを固定するためのインジェクタ取付ブラケットとを共通のボルトによってシリンダヘッドのボス部に共締めする筒内噴射式エンジンの燃料インジェクタ取付構造において、
前記ボス部は、前記シリンダヘッドに設けられたインジェクタ取付穴の両側に配置され、前記燃料デリバリパイプには、前記ボス部に対向させて前記ボルトを挿通させる取付ボス部が設けられ、前記インジェクタ取付ブラケットには、前記燃料インジェクタに設けられたフランジ部に係合する係合部と該係合部から二股状に延びる結合部とが形成されており、
前記ボス部と前記取付ボス部との間に前記結合部を挟持した状態で前記ボルトを締付けることにより、前記インジェクタ取付ブラケットの係合部が前記燃料インジェクタのフランジ部を前記シリンダヘッドの前記インジェクタ取付穴の周囲に形成されたインジェクタボス部に押圧して前記燃料インジェクタを固定することを特徴とする。
このように構成したことにより、燃料インジェクタ及び燃料デリバリパイプは、共通のボルトによってシリンダヘッドに固定される。
【０００７】
請求項２に係る発明は、シリンダ内に燃料を直接噴射する燃料インジェクタを備え、前記燃料インジェクタに燃料を供給する燃料デリバリパイプと、前記燃料インジェクタを固定するためのインジェクタ取付ブラケットとを共通のボルトによってシリンダヘッドのボス部に共締めする筒内噴射式エンジンの燃料インジェクタ取付構造において、
前記燃料デリバリパイプには前記ボルトが挿通される取付ボス部が設けられ、該取付ボス部は、前記燃料インジェクタよりも該燃料インジェクタの軸線方向の高さが高いことを特徴とする。
このように構成したことにより、燃料インジェクタ及び燃料デリバリパイプは、共通のボルトによってシリンダヘッドに固定され、また、燃料デリバリパイプの取付ボスによって燃料インジェクタが保護される。
【０００８】
請求項３に係る発明は、シリンダ内に燃料を直接噴射する燃料インジェクタを備え、前記燃料インジェクタに燃料を供給する燃料デリバリパイプと、前記燃料インジェクタを固定するためのインジェクタ取付ブラケットとを共通のボルトによってシリンダヘッドのボス部に共締めした筒内噴射式エンジンの燃料インジェクタ取付構造において、
前記燃料デリバリパイプには前記ボルトが挿通される取付ボス部が設けられ、前記燃料インジェクタの電気コネクタは、前記燃料デリバリパイプの前記燃料インジェクタへの接続部及び２つの前記取付ボス部によって囲まれていることを特徴とする。
このように構成したことにより、燃料インジェクタ及び燃料デリバリパイプは、共通のボルトによってシリンダヘッドに固定され、また、燃料デリバリパイプの燃料インジェクタへの接続部及び 2 つの取付ボス部によって、燃料インジェクタの電気コネクタが保護される。
【０００９】
また、請求項４の発明に係る筒内噴射式エンジンの燃料インジェクタ取付構造は、上記請求項１乃至３のいずれかの構成において、前記燃料インジェクタの軸線と、前記ボルトの軸線との間に前記燃料デリバリパイプの燃料通路が配置されていることを特徴とする。
このように構成したことにより、燃料通路が、吸気ポート等の他の部品と干渉しにくくなる。
【００１０】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図１ないし図5は、本実施形態に係る筒内噴射式ガソリンエンジンのシリンダヘッド1を示している。当該エンジンは、直列4気筒ＤＯＨＣ(ダブルオーバーヘッドカムシャフト)形式であり、シリンダヘッド1には、気筒当り各2つの吸気ポート2および排気ポート3(図5参照)が設けられて、ペントルーフ形の燃焼室4が形成されており、その中央部に点火プラグ5(図1参照)を取付けるための点火プラグ取付穴6が配置されている。図中、符号7、8は、それぞれ吸気バルブ(図示せず)及び排気バルブ(図示せず)を案内するバルブガイドを示す。
【００１１】
シリンダヘッド1には、燃焼室4に臨ませて、燃料インジェクタ9を取付けるためのインジェクタ取付穴10が設けられている。インジェクタ取付穴10は、2つの吸気ポート2の間の下方に配置されて、吸気ポート2とほぼ平行に延ばされている。燃料インジェクタ9は、噴射ノズル11を燃焼室4に臨ませ、波形ガスケット12を介装してインジェクタ取付穴10に挿入されており、そのフランジ部13がインジェクタ取付ブラケット14によってシリンダヘッド1のボス部15（インジェクタボス部）に押圧されて固定されている。
【００１２】
シリンダヘッド1に取付けられた4つの燃料インジェクタ9には、燃料デリバリパイプ16の接続部17が接続されており、燃料デリバリパイプ16は、ボルト18によってインジェクタ取付ブラケット14と共にシリンダヘッド１のボス部19に固定されている。図中、符号20は、燃料インジェクタ9の電気コネクタを示す。
【００１３】
図6ないし図10に示すように、インジェクタ取付ブラケット14は、燃料インジェクタ9のフランジ部13に係合する略Ｕ字形の係合部21から、結合部22が二股状に延ばされており、これらの結合部22が、シリンダヘッド１のインジェクタ取付穴10の両側に形成されたボス部19に、それぞれ結合されるようになっている。二股状の結合部22には、それぞれボルト18を挿通させるためのボルト穴23が設けられており、また、一方の結合部22には、一方のボス部19に立設された位置決めピン24を挿通させるピン穴25が設けられている。
【００１４】
図11ないし図16に示すように、燃料デリバリパイプ16は、当該エンジンの4つのシリンダの配列に沿って延びる燃料通路26を有するパイプ本体27の側部の一側に、シリンダヘッド1に装着された燃料インジェクタ9の一端部に設けられた燃料入口28に臨ませて、キャップ状の接続部17が形成されている。そして、接続部17を燃料インジェクタ9の燃料入口28にＯリング30を介して外嵌させることによって、燃料通路26を燃料入口28に連通させるようになっている。
【００１５】
パイプ本体27の他側には、シリンダヘッド1のボス部19に対向させて取付ボス部31が形成され、取付ボス部31は、そのボルト穴32にボルト18を挿通させて、インジェクタ取付ブラケット14と共にシリンダヘッド1のボス部19に結合されるようになっている。
【００１６】
そして、図１に示すように、燃料インジェクタ9の軸線L1とボルトの軸線L2との間に燃料通路26が配置されるようになっている。また、取付ボス部31は、燃料インジェクタ9の一端の燃料入口28に対して、燃料インジェクタ9及びボルト18の軸線L1、L2の方向の高さが高くなっている。
【００１７】
パイプ本体27の側部の他側には、接続ボス部33が突出され、接続ボス部33には、燃料ポンプからの燃料管路(図示せず)が接続される燃料供給口34および燃料圧センサ(図示せず)が取付けられる燃料圧センサ取付口35が設けられている。燃料供給口34及び燃料圧センサ取付口35は、通路36を介して燃料通路26に連通されている。燃料通路26及び通路36の一端部は、それぞれ盲栓37、38によって閉鎖されている。
【００１８】
以上のように構成した本実施形態の作用について次に説明する。
燃料ポンプから管路を介して燃料デリバリパイプ16の燃料供給口34に供給された燃料は、燃料通路26によって各気筒の燃料インジェクタ9に分配され、燃料インジェクタ9のコネクタ20に接続されたエンジン制御ユニット(図示しせず)からの制御信号に応じて燃焼室4内へ直接噴射される。
【００１９】
燃料インジェクタ9のインジェクタ取付ブラケット14及び燃料デリバリパイプ16は、共通のボルト18によってシリンダヘッド1の共通のボス部19に共締めされるので、シリンダヘッド1の加工工数、部品点数及び組付工数を削減することができる。
【００２０】
燃料デリバリパイプ16の燃料通路26は、燃料インジェクタ9の軸線L1とボルト18の軸線L2との間に配置されているため、吸気ポート2等の他部品と干渉しにくいので、スペース効率を高めることができる。
【００２１】
燃料インジェクタ9の外側に、燃料インジェクタ9の燃料入口28よりも高さが高い燃料デリバリパイプ16の取付ボス31が配置されているので、燃料インジェクタの燃料入口28付近に雨水、泥、潤滑油等が直接かかりにくく、燃料入口28付近を保護することができる。
【００２２】
燃料インジェクタ9の電気コネクタ20は、燃料デリバリパイプ16の接続部17を形成するパイプ本体27及び２つの取付ボス部31によって囲まれているので、電気コネクタ20付近に雨水、泥、潤滑油等が直接かかりにくく、電気コネクタ20付近を保護することができる。
【００２３】
【発明の効果】
以上詳述したように、請求項1の発明に係る筒内噴射式エンジンの燃料インジェクタ取付構造によれば、燃料インジェクタ及び燃料デリバリパイプが共通のボルトによってシリンダヘッドに固定されるので、シリンダヘッドの加工工数、部品点数及び組付工数を削減することができる。また、インジェクタ取付穴の両側に配置されたインジェクタボス部に取付けられた燃料デリバリパイプの取付ボス部によって燃料インジェクタを保護することができる。
【００２４】
請求項2の発明に係る筒内噴射式エンジンの燃料インジェクタ取付構造によれば、燃料インジェクタ及び燃料デリバリパイプが共通のボルトによってシリンダヘッドに固定されるので、シリンダヘッドの加工工数、部品点数及び組付工数を削減することができる。また、燃料デリバリパイプの取付ボス部を燃料インジェクタよりも軸線方向に高くしたので、燃料デリバリパイプの取付ボス部によって燃料インジェクタを保護することができる。
【００２５】
請求項3の発明に係る筒内噴射式エンジンの燃料インジェクタ取付構造によれば、燃料インジェクタ及び燃料デリバリパイプが共通のボルトによってシリンダヘッドに固定されるので、シリンダヘッドの加工工数、部品点数及び組付工数を削減することができる。また、燃料インジェクタの電気コネクタが燃料デリバリパイプの燃料インジェクタへの接続部及び2つの取付ボス部によって囲まれているので、燃料デリバリパイプの燃料インジェクタへの接続部及び2つの取付ボス部によって、電気コネクタを保護することができる。
【００２６】
また、請求項4の発明に係る筒内噴射式エンジンの燃料インジェクタ取付構造によれば、燃料インジェクタの軸線と、ボルトの軸線との間に燃料デリバリパイプの燃料通路を配置したことにより、燃料通路が吸気ポート等の他部品と干渉しにくくなり、スペース効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の一実施形態に係る燃料インジェクタ取付構造を適用したシリンダヘッドの要部の縦断面図である。
【図２】図1の装置において、燃料デリバリパイプを一部破断して示すＡ方向矢視図である。
【図３】図1の装置のシリンダヘッドの平面図である。
【図４】図3のシリンダヘッドの吸気ポートの入口側の側面図である。
【図５】図4のＢ−Ｂ線による縦断面図である。
【図６】図1の装置のインジェクタ取付ブラケットの正面図である。
【図７】図6のインジェクタ取付ブラケットの背面図である。
【図８】図6のインジェクタ取付ブラケットの側面図である。
【図９】図6のＣ−Ｃ線による断面図である。
【図１０】図7のＤ−Ｄによる断面図である。
【図１１】図1の装置の燃料デリバリパイプの正面図である。
【図１２】図11の燃料デリバリパイプの平面図である。
【図１３】図11の燃料デリバリパイプの接続ボス側の端面図である。
【図１４】図13の接続ボスの縦断面図である。
【図１５】図11のＥ−Ｅ線による縦断面図である。
【図１６】図11のＦ−Ｆ線による縦断面図である。
【符号の説明】
1 シリンダヘッド
4 燃焼室
9 燃料インジェクタ
14 インジェクタ取付ブラケット
16 燃料デリバリパイプ
17 接続部
18 ボルト
19 ボス部
20 電気コネクタ
31 取付ボス部
L1 燃料インジェクタの軸線
L2 ボルトの軸線
【産業上の利用分野】
本発明は、シリンダ内に燃料(ガソリン)を直接噴射する筒内噴射式エンジンの燃料インジェク取付構造に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
自動車等に搭載される内燃エンジンにおいて、燃料インジェクタの噴射ノズルを燃焼室内に配置し、吸気ポートからシリンダ内に導入した空気中に、燃料を直接噴射することによって混合気を生成して燃焼させるようにした筒内噴射式エンジンが知られている。筒内噴射式エンジンは、成層燃焼を可能とし、また、燃料噴射量による運転制御等の燃焼制御の自由度を高めることができるので、実用燃費の向上及び排気ガス浄化に有利な内燃エンジンとして注目されている。
【０００３】
一般的に、筒内噴射式エンジンでは、シリンダヘッドに、燃料インジェクタを取付けるためのボス及び燃料インジェクタに燃料を供給する燃料デリバリパイプを取付けるためのボスをそれぞれ形成し、燃料インジェクタ及び燃料デリバリパイプをそれぞれのボスに別々のボルトによって取付けるようにしている。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
このため、シリンダヘッドには、燃料インジェクタ用及び燃料デリバリパイプ用の2種類の取付ボス及びボルトが必要であり、加工工数、部品点数及び組付工数が多くなるという問題があった。
【０００５】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、加工工数、部品点数及び組付工数を低減するようにした筒内噴射式エンジンの燃料インジェクタ取付構造を提供することを目的とする。
【０００６】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、請求項1に係る発明は、シリンダ内に燃料を直接噴射する燃料インジェクタを備え、前記燃料インジェクタに燃料を供給する燃料デリバリパイプと、前記燃料インジェクタを固定するためのインジェクタ取付ブラケットとを共通のボルトによってシリンダヘッドのボス部に共締めする筒内噴射式エンジンの燃料インジェクタ取付構造において、
前記ボス部は、前記シリンダヘッドに設けられたインジェクタ取付穴の両側に配置され、前記燃料デリバリパイプには、前記ボス部に対向させて前記ボルトを挿通させる取付ボス部が設けられ、前記インジェクタ取付ブラケットには、前記燃料インジェクタに設けられたフランジ部に係合する係合部と該係合部から二股状に延びる結合部とが形成されており、
前記ボス部と前記取付ボス部との間に前記結合部を挟持した状態で前記ボルトを締付けることにより、前記インジェクタ取付ブラケットの係合部が前記燃料インジェクタのフランジ部を前記シリンダヘッドの前記インジェクタ取付穴の周囲に形成されたインジェクタボス部に押圧して前記燃料インジェクタを固定することを特徴とする。
このように構成したことにより、燃料インジェクタ及び燃料デリバリパイプは、共通のボルトによってシリンダヘッドに固定される。
【０００７】
請求項２に係る発明は、シリンダ内に燃料を直接噴射する燃料インジェクタを備え、前記燃料インジェクタに燃料を供給する燃料デリバリパイプと、前記燃料インジェクタを固定するためのインジェクタ取付ブラケットとを共通のボルトによってシリンダヘッドのボス部に共締めする筒内噴射式エンジンの燃料インジェクタ取付構造において、
前記燃料デリバリパイプには前記ボルトが挿通される取付ボス部が設けられ、該取付ボス部は、前記燃料インジェクタよりも該燃料インジェクタの軸線方向の高さが高いことを特徴とする。
このように構成したことにより、燃料インジェクタ及び燃料デリバリパイプは、共通のボルトによってシリンダヘッドに固定され、また、燃料デリバリパイプの取付ボスによって燃料インジェクタが保護される。
【０００８】
請求項３に係る発明は、シリンダ内に燃料を直接噴射する燃料インジェクタを備え、前記燃料インジェクタに燃料を供給する燃料デリバリパイプと、前記燃料インジェクタを固定するためのインジェクタ取付ブラケットとを共通のボルトによってシリンダヘッドのボス部に共締めした筒内噴射式エンジンの燃料インジェクタ取付構造において、
前記燃料デリバリパイプには前記ボルトが挿通される取付ボス部が設けられ、前記燃料インジェクタの電気コネクタは、前記燃料デリバリパイプの前記燃料インジェクタへの接続部及び２つの前記取付ボス部によって囲まれていることを特徴とする。
このように構成したことにより、燃料インジェクタ及び燃料デリバリパイプは、共通のボルトによってシリンダヘッドに固定され、また、燃料デリバリパイプの燃料インジェクタへの接続部及び 2 つの取付ボス部によって、燃料インジェクタの電気コネクタが保護される。
【０００９】
また、請求項４の発明に係る筒内噴射式エンジンの燃料インジェクタ取付構造は、上記請求項１乃至３のいずれかの構成において、前記燃料インジェクタの軸線と、前記ボルトの軸線との間に前記燃料デリバリパイプの燃料通路が配置されていることを特徴とする。
このように構成したことにより、燃料通路が、吸気ポート等の他の部品と干渉しにくくなる。
【００１０】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図１ないし図5は、本実施形態に係る筒内噴射式ガソリンエンジンのシリンダヘッド1を示している。当該エンジンは、直列4気筒ＤＯＨＣ(ダブルオーバーヘッドカムシャフト)形式であり、シリンダヘッド1には、気筒当り各2つの吸気ポート2および排気ポート3(図5参照)が設けられて、ペントルーフ形の燃焼室4が形成されており、その中央部に点火プラグ5(図1参照)を取付けるための点火プラグ取付穴6が配置されている。図中、符号7、8は、それぞれ吸気バルブ(図示せず)及び排気バルブ(図示せず)を案内するバルブガイドを示す。
【００１１】
シリンダヘッド1には、燃焼室4に臨ませて、燃料インジェクタ9を取付けるためのインジェクタ取付穴10が設けられている。インジェクタ取付穴10は、2つの吸気ポート2の間の下方に配置されて、吸気ポート2とほぼ平行に延ばされている。燃料インジェクタ9は、噴射ノズル11を燃焼室4に臨ませ、波形ガスケット12を介装してインジェクタ取付穴10に挿入されており、そのフランジ部13がインジェクタ取付ブラケット14によってシリンダヘッド1のボス部15（インジェクタボス部）に押圧されて固定されている。
【００１２】
シリンダヘッド1に取付けられた4つの燃料インジェクタ9には、燃料デリバリパイプ16の接続部17が接続されており、燃料デリバリパイプ16は、ボルト18によってインジェクタ取付ブラケット14と共にシリンダヘッド１のボス部19に固定されている。図中、符号20は、燃料インジェクタ9の電気コネクタを示す。
【００１３】
図6ないし図10に示すように、インジェクタ取付ブラケット14は、燃料インジェクタ9のフランジ部13に係合する略Ｕ字形の係合部21から、結合部22が二股状に延ばされており、これらの結合部22が、シリンダヘッド１のインジェクタ取付穴10の両側に形成されたボス部19に、それぞれ結合されるようになっている。二股状の結合部22には、それぞれボルト18を挿通させるためのボルト穴23が設けられており、また、一方の結合部22には、一方のボス部19に立設された位置決めピン24を挿通させるピン穴25が設けられている。
【００１４】
図11ないし図16に示すように、燃料デリバリパイプ16は、当該エンジンの4つのシリンダの配列に沿って延びる燃料通路26を有するパイプ本体27の側部の一側に、シリンダヘッド1に装着された燃料インジェクタ9の一端部に設けられた燃料入口28に臨ませて、キャップ状の接続部17が形成されている。そして、接続部17を燃料インジェクタ9の燃料入口28にＯリング30を介して外嵌させることによって、燃料通路26を燃料入口28に連通させるようになっている。
【００１５】
パイプ本体27の他側には、シリンダヘッド1のボス部19に対向させて取付ボス部31が形成され、取付ボス部31は、そのボルト穴32にボルト18を挿通させて、インジェクタ取付ブラケット14と共にシリンダヘッド1のボス部19に結合されるようになっている。
【００１６】
そして、図１に示すように、燃料インジェクタ9の軸線L1とボルトの軸線L2との間に燃料通路26が配置されるようになっている。また、取付ボス部31は、燃料インジェクタ9の一端の燃料入口28に対して、燃料インジェクタ9及びボルト18の軸線L1、L2の方向の高さが高くなっている。
【００１７】
パイプ本体27の側部の他側には、接続ボス部33が突出され、接続ボス部33には、燃料ポンプからの燃料管路(図示せず)が接続される燃料供給口34および燃料圧センサ(図示せず)が取付けられる燃料圧センサ取付口35が設けられている。燃料供給口34及び燃料圧センサ取付口35は、通路36を介して燃料通路26に連通されている。燃料通路26及び通路36の一端部は、それぞれ盲栓37、38によって閉鎖されている。
【００１８】
以上のように構成した本実施形態の作用について次に説明する。
燃料ポンプから管路を介して燃料デリバリパイプ16の燃料供給口34に供給された燃料は、燃料通路26によって各気筒の燃料インジェクタ9に分配され、燃料インジェクタ9のコネクタ20に接続されたエンジン制御ユニット(図示しせず)からの制御信号に応じて燃焼室4内へ直接噴射される。
【００１９】
燃料インジェクタ9のインジェクタ取付ブラケット14及び燃料デリバリパイプ16は、共通のボルト18によってシリンダヘッド1の共通のボス部19に共締めされるので、シリンダヘッド1の加工工数、部品点数及び組付工数を削減することができる。
【００２０】
燃料デリバリパイプ16の燃料通路26は、燃料インジェクタ9の軸線L1とボルト18の軸線L2との間に配置されているため、吸気ポート2等の他部品と干渉しにくいので、スペース効率を高めることができる。
【００２１】
燃料インジェクタ9の外側に、燃料インジェクタ9の燃料入口28よりも高さが高い燃料デリバリパイプ16の取付ボス31が配置されているので、燃料インジェクタの燃料入口28付近に雨水、泥、潤滑油等が直接かかりにくく、燃料入口28付近を保護することができる。
【００２２】
燃料インジェクタ9の電気コネクタ20は、燃料デリバリパイプ16の接続部17を形成するパイプ本体27及び２つの取付ボス部31によって囲まれているので、電気コネクタ20付近に雨水、泥、潤滑油等が直接かかりにくく、電気コネクタ20付近を保護することができる。
【００２３】
【発明の効果】
以上詳述したように、請求項1の発明に係る筒内噴射式エンジンの燃料インジェクタ取付構造によれば、燃料インジェクタ及び燃料デリバリパイプが共通のボルトによってシリンダヘッドに固定されるので、シリンダヘッドの加工工数、部品点数及び組付工数を削減することができる。また、インジェクタ取付穴の両側に配置されたインジェクタボス部に取付けられた燃料デリバリパイプの取付ボス部によって燃料インジェクタを保護することができる。
【００２４】
請求項2の発明に係る筒内噴射式エンジンの燃料インジェクタ取付構造によれば、燃料インジェクタ及び燃料デリバリパイプが共通のボルトによってシリンダヘッドに固定されるので、シリンダヘッドの加工工数、部品点数及び組付工数を削減することができる。また、燃料デリバリパイプの取付ボス部を燃料インジェクタよりも軸線方向に高くしたので、燃料デリバリパイプの取付ボス部によって燃料インジェクタを保護することができる。
【００２５】
請求項3の発明に係る筒内噴射式エンジンの燃料インジェクタ取付構造によれば、燃料インジェクタ及び燃料デリバリパイプが共通のボルトによってシリンダヘッドに固定されるので、シリンダヘッドの加工工数、部品点数及び組付工数を削減することができる。また、燃料インジェクタの電気コネクタが燃料デリバリパイプの燃料インジェクタへの接続部及び2つの取付ボス部によって囲まれているので、燃料デリバリパイプの燃料インジェクタへの接続部及び2つの取付ボス部によって、電気コネクタを保護することができる。
【００２６】
また、請求項4の発明に係る筒内噴射式エンジンの燃料インジェクタ取付構造によれば、燃料インジェクタの軸線と、ボルトの軸線との間に燃料デリバリパイプの燃料通路を配置したことにより、燃料通路が吸気ポート等の他部品と干渉しにくくなり、スペース効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の一実施形態に係る燃料インジェクタ取付構造を適用したシリンダヘッドの要部の縦断面図である。
【図２】図1の装置において、燃料デリバリパイプを一部破断して示すＡ方向矢視図である。
【図３】図1の装置のシリンダヘッドの平面図である。
【図４】図3のシリンダヘッドの吸気ポートの入口側の側面図である。
【図５】図4のＢ−Ｂ線による縦断面図である。
【図６】図1の装置のインジェクタ取付ブラケットの正面図である。
【図７】図6のインジェクタ取付ブラケットの背面図である。
【図８】図6のインジェクタ取付ブラケットの側面図である。
【図９】図6のＣ−Ｃ線による断面図である。
【図１０】図7のＤ−Ｄによる断面図である。
【図１１】図1の装置の燃料デリバリパイプの正面図である。
【図１２】図11の燃料デリバリパイプの平面図である。
【図１３】図11の燃料デリバリパイプの接続ボス側の端面図である。
【図１４】図13の接続ボスの縦断面図である。
【図１５】図11のＥ−Ｅ線による縦断面図である。
【図１６】図11のＦ−Ｆ線による縦断面図である。
【符号の説明】
1 シリンダヘッド
4 燃焼室
9 燃料インジェクタ
14 インジェクタ取付ブラケット
16 燃料デリバリパイプ
17 接続部
18 ボルト
19 ボス部
20 電気コネクタ
31 取付ボス部
L1 燃料インジェクタの軸線
L2 ボルトの軸線
Claims (4)
- シリンダ内に燃料を直接噴射する燃料インジェクタを備え、前記燃料インジェクタに燃料を供給する燃料デリバリパイプと、前記燃料インジェクタを固定するためのインジェクタ取付ブラケットとを共通のボルトによってシリンダヘッドのボス部に共締めする筒内噴射式エンジンの燃料インジェクタ取付構造において、
前記ボス部は、前記シリンダヘッドに設けられたインジェクタ取付穴の両側に配置され、前記燃料デリバリパイプには、前記ボス部に対向させて前記ボルトを挿通させる取付ボス部が設けられ、前記インジェクタ取付ブラケットには、前記燃料インジェクタに設けられたフランジ部に係合する係合部と該係合部から二股状に延びる結合部とが形成されており、
前記ボス部と前記取付ボス部との間に前記結合部を挟持した状態で前記ボルトを締付けることにより、前記インジェクタ取付ブラケットの係合部が前記燃料インジェクタのフランジ部を前記シリンダヘッドの前記インジェクタ取付穴の周囲に形成されたインジェクタボス部に押圧して前記燃料インジェクタを固定することを特徴とする筒内噴射式エンジンの燃料インジェクタ取付構造。 - シリンダ内に燃料を直接噴射する燃料インジェクタを備え、前記燃料インジェクタに燃料を供給する燃料デリバリパイプと、前記燃料インジェクタを固定するためのインジェクタ取付ブラケットとを共通のボルトによってシリンダヘッドのボス部に共締めする筒内噴射式エンジンの燃料インジェクタ取付構造において、
前記燃料デリバリパイプには前記ボルトが挿通される取付ボス部が設けられ、該取付ボス部は、前記燃料インジェクタよりも該燃料インジェクタの軸線方向の高さが高いことを特徴とする筒内噴射式エンジンの燃料インジェクタ取付構造。 - シリンダ内に燃料を直接噴射する燃料インジェクタを備え、前記燃料インジェクタに燃料を供給する燃料デリバリパイプと、前記燃料インジェクタを固定するためのインジェクタ取付ブラケットとを共通のボルトによってシリンダヘッドのボス部に共締めした筒内噴射式エンジンの燃料インジェクタ取付構造において、
前記燃料デリバリパイプには前記ボルトが挿通される取付ボス部が設けられ、前記燃料インジェクタの電気コネクタは、前記燃料デリバリパイプの前記燃料インジェクタへの接続部及び２つの前記取付ボス部によって囲まれていることを特徴とする筒内噴射式エンジンの燃料インジェクタ取付構造。 - 前記燃料インジェクタの軸線と、前記ボルトの軸線との間に前記燃料デリバリパイプの燃料通路が配置されていることを特徴とする請求項１乃至３のいずれかに記載の筒内噴射式エンジンの燃料インジェクタ取付構造。
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