JP3864998B2 - 新規な分岐アルキルスルフィド型エピスルフィド化合物 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明の分岐アルキルスルフィド型エピスルフィド化合物は、プラスチックレンズ、プリズム、光ファイバー、情報記録基盤、フィルター等の光学材料、中でも、眼鏡用プラスチックレンズの原料として好適に使用される。
【0002】
【従来の技術】
プラスチック材料は軽量かつ靱性に富み、また染色が容易であることから、各種光学材料、特に眼鏡レンズに近年多用されている。光学材料、特に、眼鏡レンズに要求される性能は、低比重に加えるに、光学性能としては高い屈折率と高アッベ数であり、物理的性能としては、高耐熱性、高強度である。高い屈折率はレンズの薄肉化を可能とし、高アッベ数はレンズの色収差を低減し、高耐熱性、高強度は二次加工を容易にするとともに、安全性等の観点から重要である。従来技術における初期の代表的なプラスチック材料は、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート、該ビスアリルカーボネートとジアリルフタレート、各種メタクリレート類等の化合物を重合して得られるものであった。これらは、屈折率が1.5から1.55程度でありこのためレンズの肉厚が厚くなり、結果として軽量性が失われていた。このため、高屈折率を有する材料が望まれ、屈折率を1.6あるいはこれ以上とする種々の努力がこれまでになされてきた。既にクロル、ブロム原子を含むメタクリレート化合物の重合体、ブロム原子を含むヒドロキシ化合物とイソシアネート化合物との反応により得られるウレタン構造を有する熱硬化型光学材料(特開昭58−164615号公報等)が提案されている。しかしながら、クロル、ブロム原子を含む化合物を用いた場合は比重が大となり、この場合も軽量性が損なわれる結果となった。このため、ポリチオール化合物とポリイソシアネート化合物との反応により得られるチオウレタン構造を有する熱硬化型光学材料が特公平4−58489号公報、特開平5−148340号公報に提案されている。またこれらのチオウレタンの原料となる新規なポリチオール化合物も種々提案されている。すなわち、特開平5−148340号公報には一分子中に硫黄原子を4個有する分岐型ポリチオール化合物が、特開平2−270859号公報には一分子中に硫黄原子を5個有する分岐型ポリチオール化合物が、特開平6−192250号公報には分子中にジチアン環構造有するポリチオール化合物が提案されている。さらには、公知のアミン系エポキシ樹脂、フェノール系エポキシ樹脂、アルコール系エポキシ樹脂、不飽和化合物系エポキシ樹脂、グリシジルエステル系エポキシ樹脂、ウレタン系エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂等エポキシ化合物のエポキシ基の一部または全部をエピスルフィド基に変換した化合物を用いたレンズ材料の製造方法が特開平3−81320号公報に提案されている。ポリチオール化合物とポリイソシアネート化合物より得られる、チオウレタン樹脂レンズは、最大1.66程度の屈折率が可能となった。しかしながら、公知のエポキシ樹脂から誘導されるエピスルフィド化合物より得られるエピスルフィド樹脂レンズは屈折率1.6程度が限界であった。いずれにしても、これら従来技術の含硫黄化合物により、より薄い肉厚、軽量化の問題はある程度解決されたが、さらに高い屈折率が望ましいことは言うまでもない。一方、光学材料に要求されるもう一つの重要な性能として色収差が少ないことが挙げられる。色収差はアッベ数が高い程良好となるため高アッベ数材料が望まれる。すなわち、高屈折率と高アッベ数の同時実現も望まれている。しかしながら、一般に、アッベ数は屈折率の上昇に伴い低下する傾向を示し、従来のジエチレングリコールビスアリルカーボネートおよび、公知のエピスルフィド化合物さらにはポリチオール化合物とポリイソシアネート化合物等の従来技術の化合物を原料とするプラスチック材料では、屈折率1.5から1.55の場合アッベ数は約50から55が、屈折率1.60の場合40、屈折率1.66の場合32程度が限界であった。一方、耐熱性の改良に関しても、多官能化合物、架橋剤の使用による改良が種々試みられてはいるが、一般に、高屈折率発現のためには、原料化合物の分子量が大となりこのため架橋密度が低下し、高アッベ数発現のためには、アルキル基含有量が増加しこのため原料化合物を構成する分子の剛直性が低下し十分な改良効果が得られていないのが現状である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、薄い肉厚および低い色収差さらには高い耐熱性を有する光学材料を可能とする新規な含硫黄化合物を見いだすことにある。従来技術の、エピスルフィド化合物、ポリチオール化合物とイソシアネート化合物より得られる光学材料では、高屈折率化には限界があり、さらに、高屈折率化はアッベ数の低下をもたらし、以上の光学特性の改良は耐熱性の低下を来たし、このため、十分に高い屈折率とアッベ数のバランスさらには耐熱性が得られないことの三点にあった。すなわち本発明の課題は、以上の問題点の解決を可能とする光学材料の原料となる新規な化合物を見い出すことにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明の課題は、(1)式で表される新規な分岐アルキルスルフィド型エピスルフイド化合物により解決された。すなわち、これらを重合硬化して得られる光学材料は従来技術の有する樹脂光学材料の課題を解決することが明かとなった。
【化2】
(1)式により示される化合物は、より具体的に表現し示すならば、以下のようになる。下記の表現で、(x=0、y=4、z=0、u=0)等は、x、y、z、uの各整数が()内の値である時の対応する式(1)の分岐アルキルスルフィド型エピスルフイド化合物の構造を表す。この場合は
【化3】
を表す。
(イ)x=0の場合
(x=0、y=4、z=0、u=0)、(x=0、y=3、z=1、u=0)、
(x=0、y=3、z=0、u=1)、(x=0、y=2、z=2、u=0)、
(x=0、y=2、z=1、u=1)、(x=0、y=1、z=3、u=0)、
(x=0、y=1、z=2、u=1)、(x=0、y=0、z=4、u=0)、
(x=0、y=0、z=3、u=1)
(ロ)x=1、n=0の場合
(x=1、y=3、z=0、u=0)、(x=1、y=2、z=1、u=0)、
(x=1、y=2、z=0、u=1)、(x=1、y=1、z=2、u=0)、
(x=1、y=1、z=1、u=1)、(x=1、y=0、z=3、u=0)、
(x=1、y=1、z=2、u=1)、(x=1、y=0、z=2、u=1)、
(ハ)x=1、n=1の場合
(x=1、y=3、z=0、u=0)、(x=1、y=2、z=1、u=0)、
(x=1、y=2、z=0、u=1)、(x=1、y=1、z=2、u=0)、
(x=1、y=1、z=1、u=1)、(x=1、y=0、z=3、u=0)、
(x=1、y=0、z=2、u=1)
(ニ)x=1、n=2の場合
(x=1、y=3、z=0、u=0)、(x=1、y=2、z=1、u=0)、
(x=1、y=2、z=0、u=1)、(x=1、y=1、z=2、u=0)、
(x=1、y=1、z=1、u=1)、(x=1、y=0、z=3、u=0)、
(x=1、y=0、z=4、u=0)、(x=1、y=0、z=2、u=1)、
(ホ)x=1、n=3の場合
(x=1、y=3、z=0、u=0)、(x=1、y=2、z=1、u=0)、
(x=1、y=2、z=0、u=1)、(x=1、y=1、z=2、u=0)、
(x=1、y=1、z=1、u=1)、(x=1、y=0、z=3、u=0)、
(x=1、y=0、z=2、u=1)
以上の例で好ましものは、(イ)x=0の場合と(ロ)〜(ニ)のx=1、n=0〜2の場合であり、より好ましいものは、(イ)x=0の場合、u=0、y+z=4の以下ものであり、
(x=0、y=4、z=0、u=0)、(x=0、y=3、z=1、u=0)、
(x=0、y=2、z=2、u=0)、(x=0、y=1、z=3、u=0)、
(x=0、y=0、z=4、u=0)
(ロ)のx=1、n=0の場合、u=1、y+z=2の以下のものであり、
(x=1、y=2、z=0、u=1)、(x=1、y=1、z=1、u=1)、
(x=1、y=0、z=2、u=1)
(ハ)、(ニ)のx=1、n=1〜2の場合、u=0、y+z=3の以下のものである。
(x=1、y=3、z=0、u=0)、(x=1、y=2、z=1、u=0)、
(x=1、y=1、z=2、u=0)、(x=1、y=0、z=3、u=0)、
最も好ましいものは、(イ)x=0の場合の、(x=0、y=4、z=0、u=0)であり、(ロ)x=1、n=0の場合の、(x=1、y=2、z=0、u=1)、(x=1、y=1、z=1、u=1)であり(ハ)、(ニ)
x=1、n=1〜2の場合の(x=1、y=3、z=0、u=0)である。
最も好ましい具体例を上記の順で構造式を用い以下に示す。
【化4】
また、XはSまたはOを表すが、このSの個数は三員環を構成するSとOの合計に対して平均でが50%以上であり、好ましくは80〜100%、より好ましくは90〜100%、、特に好ましくは95〜100%である。最も好ましくは100%である。以上、好ましい例、より好ましい例、最も好ましい例等を示したが、これの根拠は、本発明の、新規な分岐アルキルスルフィド型エピスルフイド化合物は、分岐を構成する枝部分の分子量が大きくなりすぎると、耐熱性の発現が十分ではなく、また、硫黄含量が少ない場合、十分に高い屈折率が得られない(特にこの傾向は他の化合物と共に重合硬化するとき特に著しい)ことにある。また、X中のSの個数は三員環を構成するSとOの合計に対して平均で80%以下、特に50%以下の場合、硫黄含有量が低下し高屈折率が達成されず、化合物の反応性低下に伴い高温条件下での重合が必要となるため、材料に着色が生じる。さらに、効果が同一の場合、製造の煩雑さを避けるためには、多種類の枝を有する構造が好ましくないことも根拠の一つである。
【0005】
本発明の、新規な分岐アルキルスルフィド型エピスルフィド化合物は、式(2)で表される分岐アルキルスルフィド構造を有するトリあるいはテトラメルカプタン化合物とエピクロロヒドリンに代表されるエピハロヒドリンをアルカリ存在下で反応させて、
【化5】
(ここに、xは0〜1の、yは0〜4の、zは0〜4の、uは0〜1の、nは0〜3の整数を表し、かつ、x+y+z+u=4の関係を満たす)
式(3)で表される分岐アルキルスルフィド型エポキシ化合物を得、
【化6】
ついで、該エポキシ化合物を、チオシアン酸塩、チオ尿素、トリフェニルホスフィンスルフィド、3−メチルベンゾチアゾール−2−チオン等のチア化剤と、好ましくはチオシアン酸塩、チオ尿素と反応させ製造される。式(3)で表されるエポキシ化合物の製法において、エピハロヒドリン化合物として好ましいものはエピクロロヒドリンである。また、エピハロヒドリン化合物は量論的には式(2)のトリあるいはテトラメルカプタン化合物の3ないし4倍モルを使用するが、生成物の純度、反応速度、経済性等のいずれかを重視するのであれば場合によっては、これ以下でもこれ以上の量を使用してもかまわない。好ましくは量論〜量論の5倍モル使用し反応する。より好ましくは量論〜量論の2.5倍モルを使用し反応する。反応は、無溶媒あるいは溶媒中のいずれでもかまわないが、溶媒を使用するときは、エピハロヒドリあるいは式(2)のジメルカプタン化合物あるいはジメルカプタン化合物の金属塩のいずれかが可溶のものを使用することが望ましい。具体例としては、水、アルコール類、エーテル類、芳香族炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類等があげられる。反応は塩基の存在下において容易に進行する。塩基としては、ピリジン、トリエチルアミン、ジアザビシクロウンデセン等の三級アミン、アルカリまたはアルカリ土類金属の水酸化物等があげられるが、好ましいものは、アルカリまたはアルカリ土類金属の水酸化物であり、より好ましいものは、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等である。反応温度は通常0〜100℃で実施されるが、好ましくは30〜60℃である。反応時間は上記の各種条件下で反応が完結する時間であればかまわないが通常10時間以下が適当である。式(3)で表されるエポキシ化合物より式(1)のエピスルフィド化合物を製造する方法において、チア化剤としてチオシアン酸塩を使用する場合、好ましいチオシアン酸塩は、アルカリまたはアルカリ土類金属の塩であり、より好ましいものは、チオシアン酸カリウム、チオシアン酸ナトリウムである。また、チオシアン酸塩は量論的には式(3)のエポキシ化合物の3ないし4倍モルを使用するが、生成物の純度、反応速度、経済性等のいずれかを重視するのであれば場合によっては、これ以下でもこれ以上の量を使用してもかまわない。好ましくは量論〜量論の5倍モル使用し反応する。より好ましくは量論〜量論の2.5倍モルを使用し反応する。反応は、無溶媒あるいは溶媒中のいずれでもかまわないが、溶媒を使用するときは、チオシアン酸塩あるいは式(3)のエポキシ化合物いずれかが可溶のものを使用することが望ましい。具体例としては、水、アルコール類、エーテル類、芳香族炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類等があげられる。反応温度は通常0〜100℃で実施されるが、好ましくは20〜70℃である。反応時間は上記の各種条件下で反応が完結する時間であればかまわないが通常20時間以下が適当である。以上とは別の製法として、式(3)のエポキシ化合物を対応する式(4)不飽和化合物の有機過酸、アルキルヒドロペルオキサイド、過酸化水素等による酸化により製造しこれを上述の方法により式(1)のエピスルフィド化合物とする方法もあげられる。
【化7】
(ここに、xは0〜1の、yは0〜4の、zは0〜4の、uは0〜1の、nは0〜3の整数を表し、かつ、x+y+z+u=4の関係を満たし、さらにRはCH2 =CHCH2 −基を表す)
式(4)不飽和化合物は例えば式(2)の分岐メルカプタン化合物と塩化、臭化アリル等のハロゲン化アリル化合物を塩基の存在下縮合して製造可能である。さらに、別法としては式(5)に示されるトリハロトリメルカプタン
【化8】
(ここに、xは0〜1の、yは0〜4の、zは0〜4の、uは0〜1の、nは0〜3の整数を表し、かつ、x+y+z+u=4の関係を満たし、さらにR’はXCH2 CHSHCH2 −基を表し、Xは、塩素あるいは臭素原子を表す)
あるいはテトラハロテトラメルカプタン化合物より脱ハロゲン化水素反応により製造することも有力な方法である。式(5)のハロメルカプタンは、式(4)の不飽和化合物と塩化イオウ類から、容易に合成できることが知られている(例えば、F.Lautenschlaergerら,J.Org.Chem.,34,396(1969))。
【0006】
本発明の新規な分岐アルキルスルフィド型エピスルフィド化合物は、これの1種類以上を硬化触媒の存在下、硬化重合して光学材料を製造することができる。硬化触媒はエポキシ樹脂用として公知のもの等が使用される。具体例としては、(1)エチルアミン、n−プロピルアミン、sec−プロピルアミン、n−ブチルアミン、sec−ブチルアミン、i−ブチルアミン、t−ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ラウリルアミン、ミスチリルアミン、1,2−ジメチルヘキシルアミン、3−ペンチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、アリルアミン、アミノエタノール、1−アミノプロパノール、2−アミノプロパノール、アミノブタノール、アミノペンタノール、アミノヘキサノール、3−エトキシプロピルアミン、3−プロポキシプロピルアミン、3−イソプロポキシプロピルアミン、3−ブトキシプロピルアミン、3−イソブトキシプロピルアミン、3−(2−エチルヘキシロキシ)プロピルアミン、アミノシクロペンタン、アミノシクロヘキサン、アミノノルボルネン、アミノメチルシクロヘキサン、アミノベンゼン、ベンジルアミン、フェネチルアミン、α−フェニルエチルアミン、ナフチルアミン、フルフリルアミン等の1級アミン;エチレンジアミン、1,2−ジアミノプロパン、1,3−ジアミノプロパン、1,2−ジアミノブタン、1,3−ジアミノブタン、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノヘキサン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、ジメチルアミノプロピルアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、ビス−(3−アミノプロピル)エーテル、1,2−ビス−(3−アミノプロポキシ)エタン、1,3−ビス−(3−アミノプロポキシ)−2,2’−ジメチルプロパン、アミノエチルエタノールアミン、1,2−、1,3−あるいは1,4−ビスアミノシクロヘキサン、1,3−あるいは1,4−ビスアミノメチルシクロヘキサン、1,3−あるいは1,4−ビスアミノエチルシクロヘキサン、1,3−あるいは1,4−ビスアミノプロピルシクロヘキサン、水添4,4’−ジアミノジフェニルメタン、2−あるいは4−アミノピペリジン、2−あるいは4−アミノメチルピペリジン、2−あるいは4−アミノエチルピペリジン、N−アミノエチルピペリジン、N−アミノプロピルピペリジン、N−アミノエチルモルホリン、N−アミノプロピルモルホリン、イソホロンジアミン、メンタンジアミン、1,4−ビスアミノプロピルピペラジン、o−、m−、あるいはp−フェニレンジアミン、2,4−あるいは2,6−トリレンジアミン、2,4−トルエンジアミン、m−アミノベンジルアミン、4−クロロ−o−フェニレンジアミン、テトラクロロ−p−キシリレンジアミン、4−メトキシ−6−メチル−m−フェニレンジアミン、m−、あるいはp−キシリレンジアミン、1,5−あるいは、2,6−ナフタレンジアミン、ベンジジン、4,4’−ビス(o−トルイジン)、ジアニシジン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2−(4,4’−ジアミノジフェニル)プロパン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−チオジアニリン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジトリルスルホン、メチレンビス(o−クロロアニリン)、3,9−ビス(3−アミノプロピル)2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、ジエチレントリアミン、イミノビスプロピルアミン、メチルイミノビスプロピルアミン、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、N−アミノエチルピペラジン、N−アミノプロピルピペラジン、1,4−ビス(アミノエチルピペラジン)、1,4−ビス(アミノプロピルピペラジン)、2,6−ジアミノピリジン、ビス(3,4−ジアミノフェニル)スルホン等の1級ポリアミン;ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ジ−sec−ブチルアミン、ジイソブチルアミン、ジ−n−ペンチルアミン、ジ−3−ペンチルアミン、ジヘキシルアミン、オクチルアミン、ジ(2−エチルヘキシル)アミン、メチルヘキシルアミン、ジアリルアミン、ピロリジン、ピペリジン、2−、3−、4−ピコリン、2,4−、2,6−、3,5−ルペチジン、ジフェニルアミン、N−メチルアニリン、N−エチルアニリン、ジベンジルアミン、メチルベンジルアミン、ジナフチルアミン、ピロール、インドリン、インドール、モルホリン等の2級アミン;N,N’−ジメチルエチレンジアミン、N,N’−ジメチル−1,2−ジアミノプロパン、N,N’−ジメチル−1,3−ジアミノプロパン、N,N’−ジメチル−1,2−ジアミノブタン、N,N’−ジメチル−1,3−ジアミノブタン、N,N’−ジメチル−1,4−ジアミノブタン、N,N’−ジメチル−1,5−ジアミノペンタン、N,N’−ジメチル−1,6−ジアミノヘキサン、N,N’−ジメチル−1,7−ジアミノヘプタン、N,N’−ジエチルエチレンジアミン、N,N’−ジエチル−1,2−ジアミノプロパン、N,N’−ジエチル−1,3−ジアミノプロパン、N,N’−ジエチル−1,2−ジアミノブタン、N,N’−ジエチル−1,3−ジアミノブタン、N,N’−ジエチル−1,4−ジアミノブタン、N,N’−ジエチル−1,6−ジアミノヘキサン、ピペラジン、2−メチルピペラジン、2,5−あるいは2,6−ジメチルピペラジン、ホモピペラジン、1,1−ジ−(4−ピペリジル)メタン、1,2−ジ−(4−ピペリジル)エタン、1,3−ジ−(4−ピペリジル)プロパン、1,4−ジ−(4−ピペリジル)ブタン、テトラメチルグアニジン等の2級ポリアミン;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−iso−プロピルアミン、トリ−1,2−ジメチルプロピルアミン、トリ−3−メトキシプロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−iso−ブチルアミン、トリ−sec−ブチルアミン、トリ−ペンチルアミン、トリ−3−ペンチルアミン、トリ−n−ヘキシルアミン、トリ−n−オクチルアミン、トリ−2−エチルヘキシルアミン、トリ−ドデシルアミン、トリ−ラウリルアミン、トリ−シクロヘキシルアミン、N,N−ジメチルヘキシルアミン、N−メチルジヘキシルアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、N−メチルジシクロヘキシルアミン、トリエタノールアミン、トリベンジルアミン、N,N−ジメチルベンジルアミン、ジエチルベンジルアミン、トリフェニルアミン、N,N−ジメチルアミノ−p−クレゾール、N,N−ジメチルアミノメチルフェノール、2−(N,N−ジメチルアミノメチル)フェノール、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、ピリジン、キノリン、N−メチルモルホリン、N−メチルピペリジン、2−(2−ジメチルアミノエトキシ)−4−メチル−1,3,2−ジオキサボルナン等の3級アミン;テトラメチルエチレンジアミン、ピラジン、N,N’−ジメチルピペラジン、N,N’−ビス((2−ヒドロキシ)プロピル)ピペラジン、ヘキサメチレンテトラミン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,3−ブタンアミン、2−ジメチルアミノ−2−ヒドロキシプロパン、ジエチルアミノエタノール、N,N,N−トリス(3−ジメチルアミノプロピル)アミン、2,4,6−トリス(N,N−ジメチルアミノメチル)フェノール、ヘプタメチルイソビグアニド等の3級ポリアミン;イミダゾール、N−メチルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、4−メチルイミダゾール、、N−エチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、4−エチルイミダゾール、N−ブチルイミダゾール、2−ブチルイミダゾール、N−ウンデシルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、N−フェニルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、N−ベンジルイミダゾール、2−ベンジルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、N−(2’−シアノエチル)−2−メチルイミダゾール、N−(2’−シアノエチル)−2−ウンデシルイミダゾール、N−(2’−シアノエチル)−2−フェニルイミダゾール、3,3−ビス−(2−エチル−4−メチルイミダゾリル)メタン、アルキルイミダゾールとイソシアヌール酸の付加物、アルキルイミダゾールとホルムアルデヒドの縮合物等の各種イミダゾール類;1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7、1,5−ジアザビシクロ(4,3,0)ノネン−5、6−ジブチルアミノ−1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7等のアミジン類;以上に代表されるアミン系化合物。
(2)(1)のアミン類とハロゲン、鉱酸、ルイス酸、有機酸、ケイ酸、四フッ化ホウ酸等との4級アンモニウム塩。
(3)(1)のアミン類とボランおよび三フッ化ホウ素とのコンプレックス。
(4)トリメチルフォスフィン、トリエチルフォスフィン、トリ−iso−プロピルフォスフィン、トリ−n−ブチルフォスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリフェニルフォスフィン、トリベンジルホスフィン、ジメチルフェニルフォスフィン、ジエチルフェニルフォスフィン、エチルジフェニルフォスフィン、クロロジフェニルフォスフィン等のフォスフィン類。
であり、これらは単独でも2種類以上を混合して用いても良い。
【0007】
また、本発明の新規な分岐アルキルスルフィド型エピスルフィド化合物はエピスルフィド基と反応可能な官能基を2個以上有する化合物あるいは、これらの官能基1個以上と他の単独重合可能な官能基を1個以上有する化合物と硬化重合して光学材料を製造することもできる。これらの官能基を2個以上有する化合物としては、エポキシ化合物、含硫黄エポキシ化合物、公知のエピスルフィド化合物、多価カルボン酸、多価カルボン酸無水物、メルカプトカルボン酸、ポリメルカプタン、メルカプトアルコール、メルカプトフェノール、ポリフェノール、アミン類、アミド類等があげられる。これらの官能基1個以上と他の単独重合可能な官能基を1個以上有する化合物としては、ビニル、芳香族ビニル、メタクリル、アクリル、アリル等の不飽和基を有するエポキシ化合物、含硫黄エポキシ化合物、のエピスルフィド化合物、カルボン酸、カルボン酸無水物、メルカプトカルボン酸、メルカプタン類、フェノール類、アミン類、アミド類等があげられる。
【0008】
また、本発明の新規な分岐アルキルスルフィド型エピスルフイド化合物を重合硬化して光学材料を得るに際して、公知の酸化防止剤、紫外線吸収剤等の添加剤を加えて、得られる材料の実用性をより向上せしめることはもちろん可能である。また公知の外部および/または内部離型剤を使用または添加して、得られる硬化材料の型からの離型性を向上せしめることも可能である。ここに言う内部離型剤とは、フッ素系ノニオン界面活性剤、シリコン系ノニオン界面活性剤、アルキル第4級アンモニウム塩、燐酸エステル、酸性燐酸エステル、酸性燐酸エステルのアルカリ金属塩、高級脂肪酸の金属塩、高級脂肪酸エステル、パラフィン、ワックス、高級脂肪族アミド、高級脂肪族アルコール、ポリシロキサン類、脂肪族アミンエチレンオキシド付加物等があげられる。
【0009】
本発明の新規な分岐アルキルスルフィド型エピスルフィド化合物を重合硬化して光学材料を得るに際して、原料となる、エピスルフィド化合物、さらには所望に応じて前述の硬化触媒、不飽和基を有するエピスルフィド基と反応可能な例えばグリシジルメタクリレート等を併用する場合、ラジカル重合開始剤、ラジカル重合可能な単量体、さらには離型剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の添加剤混合後、次の様にして重合硬化してレンズ等の光学材料とされる。即ち、混合後の原料をガラスや金属製の型に注入し、加熱によって重合硬化反応を進めた後、型から外し製造される。硬化時間は0.1〜100時間、通常1〜48時間であり、硬化温度は−10〜160℃、通常−10〜140℃である。また、硬化終了後、材料を50から150℃の温度で10分から5時間程度アニール処理を行う事は、本発明の光学材料の歪を除くために好ましい処理である。さらに必要に応じてハードコート、反射防止、防曇性付与等表面処理を行うことができる。
【0010】
【発明の効果】
本発明の新規な分岐アルキルスルフィド型エピスルフイド化合物により、従来技術の化合物を原料とする限り困難であった十分に高い屈折率と、良好な屈折率とアッベ数のバランスさらには高い耐熱性を有する樹脂光学材料が可能となった。すなわち本発明の新規な化合物により樹脂光学材料の高い耐熱性を保ったまま、軽量化、薄肉化および色収差の低減化が格段に進歩することとなった。また、本発明の新規な分岐アルキルスルフィド型エピスルフイド化合物を重合硬化して得られる光学材料は、各種用途に使用でき、特に眼鏡用レンズ材料として好ましい。
【0011】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、得られた重合物の性能測定は以下の測定法で行った。
屈折率、アッベ数:アッベ屈折計を用い、25℃で測定した。
比重:電子比重計を用いて25℃で測定し、常法により補正した。
耐熱性:ビカット軟化点が120℃以上のものを○、120℃未満80℃以上のものを△、80℃未満のものを×とした。
強度:オートグラフを用いた3点曲げ試験測定において、たわみが10mm以上のものを○、10mm未満5mm以上のものを△、5mm未満のものを×とした。
実施例1〔n=0、(x=1、y=2、z=0、u=1)〕
2−(2−メルカプトエチルチオ)−1,3−ジメルカプトプロパン1.0mol(200.4g)とエピクロルヒドリン3.0mol(277.5g)を液温を10℃まで冷却し、水酸化ナトリウム15mmol(0.6g)を水6mlに溶かした水溶液を加え、この温度で1時間攪拌した。その後、液温を40−45℃前後に保ちながら2時間攪拌した。室温に戻し、水酸化ナトリウム3mol(120.0g)を水120mlに溶かした水溶液を、液温を40−45℃前後に保ちながら滴下しその後、液温を40−45℃前後に保ちながら3時間攪拌した。反応混合物に水200mlを加え、トルエン300mlで抽出し、トルエン層を水200mlで3回洗浄した。トルエン層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を留去し、無色透明液体の2−(2−グリシジルチオエチルチオ)−1,3−ビス(グリシジルチオ)プロパンを368.1g(理論量の100%)で得た。ついで、ここで得られた、2−(2−グリシジルチオエチルチオ)−1,3−ビス(グリシジルチオ)プロパン0.3mol(110.6g)とエタノール40mlをチオシアン酸カリウム87.5g(0.9mol)を水60mlに溶解させた水溶液に加え、1時間かけて液温を45℃まで上昇させ、この温度で5時間反応させた。反応混合物に水500mlを加え、トルエン500mlで抽出し、トルエン層を水500mlで3回洗浄した。トルエン層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を留去し、2−(2−β−エピチオプロピルチオエチルチオ)−1,3−ビス(β−エピチオプロピルチオ)プロパンを106.6g(理論量の85%)得た。
マススペクトル(EI):M+・416(理論分子量416)
赤外吸収スペクトル:620cm-1(エピスルフィド環の伸縮振動)
さらに、本化合物をにトリブチルアミンを1重量部配合しこれを厚さ2mmに調節した2枚のガラス板からなるモウルド中に注入し、80℃で5時間重合硬化し光学材料を得た得られた材料の屈折率、アッベ数および比重を測定し結果を、表1に示した。
【0012】
実施例2〔n=0(x=1、y=1、z=1、u=1)〕
実施例1において2−(2−メルカプトエチルチオ)−1,3−ジメルカプトプロパンの代わりに1,2−ビス〔(2−メルカプトエチル)チオ〕−3−メルカプトプロパンを使用する以外は実施例1を繰り返し、1,2−ビス〔(2−β−エピチオプロピルチオエチル)チオ〕−3−(β−エピチオプロピルチオ)プロパンを総収率86%で得た。
マススペクトル(EI):M+・476(理論分子量476)
赤外吸収スペクトル:620cm-1(エピスルフィド環の伸縮振動)
重合硬化後、得られた材料の屈折率、アッベ数および比重を測定し結果を、表1に示した。
【0013】
実施例3(x=0、y=4、z=0、u=0)
実施例1において2−(2−メルカプトエチルチオ)−1,3−ジメルカプトプロパンの代わりにテトラキス(メルカプトメチル)メタンを使用する以外は実施例1を繰り返し、テトラキス(β−エピチオプロピルチオメチル)メタンを総収率78%で得た。
マススペクトル(EI):M+・488(理論分子量488)
赤外吸収スペクトル:620cm-1(エピスルフィド環の伸縮振動)
重合硬化後、得られた材料の屈折率、アッベ数および比重を測定し結果を、表1に示した。
【0014】
実施例4〔n=2、(x=1、y=3、z=0、u=0)〕
実施例1において2−(2−メルカプトエチルチオ)−1,3−ジメルカプトプロパンの代わりに1,1,1−トリス(メルカプトメチル)プロパンを使用する以外は実施例1を繰り返し、1,1,1−トリス(β−エピチオプロピルチオメチル)プロパン(式(1)のm=2,n=2)を総収率75%で得た。
マススペクトル(EI):M+・398(理論分子量398)
赤外吸収スペクトル:620cm-1(エピスルフィド環の伸縮振動)
重合硬化後、得られた材料の屈折率、アッベ数および比重を測定し結果を、表1に示した。
【0015】
比較例1
2−(2−メルカプトエチルチオ)−1,3−ジメルカプトプロパン0.2モルとメタキシリレンジイソシアナート0.3モルの混合物を重合硬化した。得られた材料の屈折率、アッベ数および比重を測定し結果を、表1に示した。
比較例2
実施例1において、2−(2−グリシジルチオエチルチオ)−1,3−ビス(グリシジルチオ)プロパン1モルに対してチオシアン酸カリウムを0.8モル使用する以外は実施例1を繰り返した。得られた生成物は、NMRスペクトルより式(1)のn=0、x=1、y=2、z=0、u=1であり、X中のSの個数は三員環を構成するSとOの合計に対して平均で30%であった。重合硬化後、得られた材料の屈折率、アッベ数および比重を測定し結果を、表1に示した。
【0016】
【表1】
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