JP3772544B2 - 光学用樹脂組成物、光学用樹脂及びプラスチックレンズ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はトリチオカーボネート骨格を有するエポキシもしくは/またはチオエポキシ化合物を主成分として含有する光学用樹脂組成物、それから得られる光学用樹脂、その光学用樹脂からなるプラスチックレンズに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
プラスチックレンズ材料は軽量かつ強靭に富み、また染色が容易であることから、各種光学材料、特に眼鏡レンズに近年多用されている。
【0003】
従来技術におけるジエチレングリコールビス(アリルカーボネート)樹脂レンズは、ガラスレンズに比較し、安全性、易加工性、ファッション性などにおいて優れており、さらに反射防止技術、ハードコート技術、ハードコート+反射防止技術の開発により急速に普及してきた。しかし、ジエチレングリコールビス(アリルカーボネート)樹脂の屈折率は1.50とガラスレンズに比べ低いために、近視用メガネレンズでは外周部が、また遠視用レンズでは中心部が、それぞれガラスレンズに比べ厚くなるという欠点を有している。
【0004】
このため眼鏡用プラスチックレンズの分野では、高屈折率プラスチックレンズ材料によって薄型化を図る技術開発が積極的に行われている。光学材料、特に眼鏡レンズに要求される性能は、低比重に加えて光学性能としては高屈折率と高アッべ数であり、物理的性能としては、高耐熱性、高強度である。高屈折率レンズはレンズの色収差を低減し、高耐熱性、高強度は二次加工を容易にするとともに、安全性等の観点から重要である。
【0005】
屈折率1.6あるいはこれ以上とする開発がこれまでになされてきた。既にクロル、ブロム原子を含むメタクリレート化合物の重合体、ブロモ原子を含むヒドロキシ化合物とイソシアネート化合物との反応により得られるウレタン構造を有する熱硬化型光学材料(特開昭58−164615号公報等)が提案されている。しかしながら、クロル、ブロモ原子を含む化合物を用いた場合は比重が大となり、この場合も軽量性が損なわれる結果となった。このため、ポリチオール化合物とポリイソシアネート化合物との反応により得られるチオウレタン構造を有する熱硬化型光学材料が特公平4−58489号公報、特開平5−148340号公報に提案されている。すなわち、特開平5−148340号公報には一分子中に硫黄原子を4個有する分岐型ポリチオール化合物が、特開平2−270859号公報には一分子中に硫黄原子を5個有する分岐型ポリチオール化合物が、特開平6−192250号公報には分子中にジチアン環構造を有するポリチオール化合物が提案されている。これらチオウレタン構造を有する光学材料により屈折率、アッベ数の改良はある程度なされたがいまだ不十分であった。さらには、エポキシ基またはチオエポキシ基を2官能以上の化合物と重合しレンズを得る技術も、特開平1−96815号公報、特開平3−81320号公報に提案されている。これら従来技術のエポキシ、チオエポキシ化合物を硬化重合して得られる光学材料の屈折率は十分ではなくまたアッベ数も低く、屈折率とアッベ数の不満足なものであった。いずれにしても、これら従来技術の含硫黄化合物等により、より薄い肉厚、軽量化の問題はある程度解決されたが、さらに高い屈折率が望ましいことは言うまでもない。一方、光学材料に要求されるもう一方の重要な性能として色収差が少ないことが挙げられる。色収差はアッベ数が高い程良好となるため高アッベ数材料が望まれている。しかしながら、一般にアッベ数は屈折率の上昇に伴い低下する傾向を示し、ジエチレングリコールビスアリルカーボネートおよび、ポリチオール化合物とポリイソシアネート化合物、エポキシ、チオエポキシ化合物に代表される従来技術の化合物を原料とするプラスチック材料では、屈折率1.5から1.55の場合アッベ数は約50から55が、屈折率1.60の場合アッベ数は40、屈折率1.66の場合アッベ数は30程度が限界であり、屈折率1.7を実現しようとした場合、アッベ数30程度以下となり実用に耐えるものではなかった。さらに、従来技術、特にチオウレタン材料等の場合、高屈折率発現のためには原料硫黄化合物の分子量が大となり、このため架橋密度が低下し、耐熱性低下等の支障をきたしている。これらを解決すべく特開平9−71580号公報及び特開平9−110979号公報ではそれぞれ、分岐アルキルスルフィド型エピスルフィド化合物及び直鎖アルキルスルフィド型エピスルフィド化合物が提案されている。しかし、この分岐、直鎖アルキルスルフィド型エピスルフィド化合物は屈折率、アッベ数は向上しているものの耐熱性も不十分であり、脆性破壊し易く、眼鏡レンズへの枠入れ加工時ならびに使用時に破損する欠点を有している。また、特開平9−255781号公報では環状骨格を有するエピスルフィド化合物が開示されているが、環状骨格として芳香族を使用した場合、光学的歪みが発生する。また、前記公報記載の脂環族ではまだ脆性強度が不十分である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、高屈折率、高アッベ数、耐熱性、光学歪みならびに脆性強度等を全てバランスよく得ることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記目的を達成するために鋭意検討を加えた結果、一般式(1)で示されるトリチオカーボネート骨格を有するエポキシもしくは/またはチオエポキシ化合物を主成分とすることによって、本発明の目的が達成されることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
【化2】
【0009】
(X1,X2,X3,X4はSまたはO、m,nは0〜6を示す)
以下、本発明について更に詳しく説明する。
【0010】
X1,X2,X3,X4はSまたはOを示すが、屈折率が1.70以上必要な場合はこのSの個数はSとOとの合計に対して50%以上である。m,nが6を超える場合、重合硬化して得られる光学材料の耐熱性が低下し、また、硫黄含有量が低下し高屈折率が達成されない。
【0011】
本発明の最大の特徴とするところは、基本骨格にトリチオカーボネート骨格を有することにあり、硫黄原子により高屈折率化、カーボネート骨格により脆性強度を保つことが可能となった。
【0012】
本発明のトリチオカーボネート骨格を有するエポキシもしくは/またはチオエポキシ化合物はチオ炭酸、チオ炭酸ナトリウム、チオ炭酸カリウム、チオ炭酸カルシウムを出発原料とし、ハロゲン化アルキルアルコール、ハロゲン化アルキルチオール、ハロゲン化グリコール、ハロゲン化チオグリコールとの反応により構造(2)を得ることができる。
【0013】
【化3】
【0014】
( X3,X4はSまたはO、m,nは0〜6を示す)
次いで、式(2)のジヒドキシ化合物、ジメルカプト化合物とエピハロヒドリンをアルカリ存在下で反応させて、式(3)の構造を得、ついで、
【0015】
【化4】
【0016】
( X3,X4はSまたはO、m,nは0〜6を示す)
該エポキシ化合物を、チオシアン酸塩、チオ尿素、トリフェニルホスフィンスルファイド、3−メチルベンゾチアゾ−ル−2−チオン等のチア化剤と、好ましくはチオシアン酸塩、チオ尿素と反応させ製造される。式(3)で表されるエポキシ化合物の製造において、エピハロヒドリン化合物として好ましいものは、エピクロロヒドリンである。
【0017】
また、エピハロヒドリン化合物は量論的には式(2)のジヒドロキシ化合物、ジメルカプト化合物の2倍モルを使用が、生成物の純度、反応速度、経済性等を重視するのであれば、これ以下でもこれ以上の量を使用してもかまわない。好ましくは2〜30倍モル使用し反応する。反応は、無溶媒あるいは溶媒中のいずれでもかまわないが、溶媒を使用するときは、エピハロヒドリン、式(3)のジヒドロキシ化合物、ジメルカプト化合物、ジヒドロキシ化合物の金属塩、ジメルカプト化合物の金属塩のいずれかが可溶のものを使用することが望ましい。具体例としては、水、アルコール類、エーテル類、芳香族炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類等があげられる。反応は量論以上の塩基の存在において容易に進行する。塩基としては、ピリジン、トリエチルアミン、ジアザビシクロウンデセン等の三級アミン、アルカリまたはアルカリ土類金属の水酸化物があげられるが、好ましいものは、アルカリまたはアルカリ類金属の水酸化物であり、より好ましいものは、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等である。反応温度は通常−10〜100℃で実施されるが、好ましくは−10〜60℃である。反応時間は上記の各種条件下で反応が完結する時間であればかまわないが、通常10時間以下が適当である。式(3)で表されるエポキシ化合物より式(1)エピスルフィド化合物を製造する方法において、チア化剤としてチオシアン酸塩を使用する場合、好ましいチオシアン酸塩は、アミン、アルカリまたはアルカリ土類金属塩であり、より好ましいものは、チオシアン酸カリウム、チオシアン酸ナトリウムである。また、チオシアン酸塩は量論的には式(3)のエポキシ化合物の1もしくは2倍モルを使用するが、生成物の純度、反応速度、経済性等を重視するのであれば、これ以下でもこれ以上の量を使用もかまわない。好ましくは1〜10倍モル使用し反応する。反応は、無溶媒あるいは溶媒中のいずれでもかまわないが、溶媒を使用するときは、チオシアン酸塩あるいはチオ尿素さらには式(3)のエポキシ化合物いずれかが可溶のものを使用することが望ましい。具体例としては、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコ−ル類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;メチルセロソルブ等のヒドロキシエーテエル類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ジクロロエタン、クロロホルム、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類等があげられ、これらの併用使用、例えば、エーテル類、ヒドロキシエーテル類、ハロゲン化炭化水素類、芳香族炭化水素類とアルコール類の組み合わせは効果的である。また、反応液中に酸および酸無水物等を重合抑制剤として添加することは、反応成績を上げる面から有効な手段である。酸および酸無水物の具体例としては、硝酸、塩酸、硫酸、発煙硫酸、ホウ酸、ヒ酸、燐酸、青酸、酢酸、過酢酸、チオ酢酸、シュウ酸、酒石酸、プロピオン酸、酪酸、コハク酸、マレイン酸、安息香酸、無水硝酸、無水硫酸、酸化ホウ素、五酸化ヒ素、五酸化燐、無水クロム酸、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸、無水コハク酸、無水マレイン酸、無水安息香酸、無水フタル酸、シリカゲル、シリカアルミナ、塩化アルミニウム等があげられ、これらのいくつかを併用することも可能である。添加量は通常反応液総量に対して、0.001〜10wt%である。反応温度は通常0〜100℃で実施されるが、好ましくは20〜70℃である。反応生成物は酸性水溶液を用いた洗浄によって、得られる化合物の安定性を向上せしめることが可能である。酸性水溶液に用いる酸の具体例としては、硝酸、塩酸、硫酸、ホウ酸、ヒ酸、燐酸、青酸、酢酸、過酢酸、チオ酢酸、シュウ酸、酒石酸、コハク酸、マレイン酸等があげられる。また、これらは単独でも2種類以上を混合して用いても良い。これらの酸の水溶液は通常pH6以下で効果を現すが、より効果的にはpH3以下である。
【0018】
以上とは別の製法として、式(1)のエポキシ化合物、チオエポキシ化合物に対応する式(4)の不飽和化合物の有機過酸、アルキルペルオキシド、過酸化水素等による酸化により製造し、これを上述の方法により式(1)のエポキシ化合物、チオエポキシ化合物とする方法もあげられる。
【0019】
【化5】
【0020】
( X3,X4はSまたはO、m,nは0〜6を示す)
本発明のトリチオカーボネート骨格を有するエポキシもしくは/またはチオエポキシ化合物は、硬化触媒の存在下あるいは不存在下に加熱重合し樹脂を製造することができる。好ましい方法は硬化触媒を使用する方法であり、硬化触媒はアミン類、ホスフィン類、スルホニウム塩類、鉱酸類、ルイス酸類、有機酸類、ケイ酸類、四フッ化ホウ酸等が使用される。具体例としては、
(1)エチルアミン、n−ブロピルアミン、sec−プロピルアミン、n−ブチルアミン、sec−ブチルアミン、i−ブチルアミン、t−ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ラウリルアミン、ミスチリルアミン、1,2−ジメチルヘキシルアミン、3−ペンチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、アリルアミン、アミノエタノール、アミノヘキサノール、3−エトキシプロピルアミン、3−プロポキシプロピルアミン、3−イソプロポキシプロピルアミン、3−ブトキシプロピルアミン、3−イソブトキシプロピルアミン、3−(2−エチルヘキシロキシ)プロピルアミン、アミノシクロペンタン、アミノシクロヘキサン、アミノノルボルネン、アミノメチルシクロヘキサン、アミノベンゼン、ベンジルアミン、フェネチルアミン、α−フェニルエチルアミン、ナフチルアミン、フルフリルアミン等の1級アミン;エチレンジアミン、1,2−ジアミノプロパン、1,3−ジアミノプロパン、1,2−ジアミノブタン、1,3−ジアミノブタン、1,4−ジアミノブタン、1、5―ジアミノペンタン、1,6−ジアミノヘキサン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、ジメチルアミノプロピルアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、ビス−(3−アミノプロピル)エーテル、1,2−ビス−(3−アミノプロポキシ)エタン、1,3−ビス−(3−アミノプロポキシ)−2,2‘−ジメチルプロパン、アミノエチルエタノールアミン、1,2−、1−3あるいは1,4−ビスアミノシクロヘキサン、1,3−あるいは1,4−ビスアミノメチルシクロヘキサン、1,3−あるいは1,4−ビスアミノエチルシクロヘキサン、1,3−あるいは1,4−ビスアミノプロピルシクロヘキサン、水添4,4’−ジアミノジフェニルメタン、2−あるいは4−アミノピペリジン、2−あるいは4−アミノメチルピペリジン、N−アミノエチルピペリジン、N−アミノプロピルピペリジン、N−アミノエチルモルホリン、 N−アミノプロピルモルホリン、イソホロンジアミン、メタンジアミン、1,4−ビスアミノプロピルピペラジン、o−、m−あるいはp−フェニレンジアミン、2,4−あるいは2,6−トリレンジアミン、2,4−トルエンジアミン、m−アミノベンジルアミン、4−クロロ−o−フェニレンジアミン、テトラクロロ−p−キシレンジアミン、4−メトキシ−6−メチル−m−フェニレンジアミン、m−あるいはp−キシリレンジアミン、1,5−あるいは、2,6−ナフタレンジアミン、ベンジジン、4、4’−ビス(0−トルイジン)、ジアニジン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2−(4,4’−ジアミノジフェニル)プロパン、4,4’−ジアミノジフェニルエ−テル、4,4’−チオジアニン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジトリルスルホン、メチレンビス(0−クロロアニリン)、3,9−ビス(3−アミノプロピル)2,4,8,10−テトラキサスピロ[5,5]ウンデカン、ジエチレントリアミン、イミノビスプロピルアミン、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、N−アミノエチルピペラジン、1,4−ビス(アミノエチルピペラジン)、1,4−ビス(アミノプロピルピペラジン)、2,6−ジアミノピリジン、ビス(3,4−ジアミノフェニル)スルホン等の1級ポリアミン;ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ジ−sec−ブチルアミン、イソブチルアミン、ジ−n−ペンチルアミン、ジ−3−ペンチルアミン、ジヘキシルアミン、オクチルアミン、ジ(2−エチルヘキシル)アミン、メチルヘキシルアミン、ジアリルアミン、ピロリジン、ピペリジン、2−,6−、3,5−ルペジン、ジフェニルアミン、N−メチルアニリン、 N−エチルアニリン、ジベンジルアミン、ジナフチルアミン、ピロ−ル、インドリン、インド−ル、モルホリン等の2級アミン;N,N’−ジメチルエチレンアミン、 N,N’−ジメチル−1,2−ジアミノプロパン、 N,N’−ジメチル−1,3−ジアミノプロパン、 N,N’−ジメチル−1,2−ジアミノブタン、 N,N’−ジメチル−1,3−ジアミノブタン、 N,N’−ジメチル−1,4−ジアミノブタン、 N,N’−ジメチル−1,5−ジアミノペンタン、N,N’−ジメチル−1,6−ジアミノヘキサン、 N,N’−ジメチル−1,7−ジアミノヘプタン、 N,N’−ジエチルエチレンジアミン、 N,N’−ジエチル−1,2−ジアミノプロパン、 N,N’−ジエチル−1,3−ジアミノプロパン、 N,N’−ジエチル−1,2−ジアミノブタン、 N,N’−ジエチル−1,3−ジアミノブタン、 N,N’−ジエチル−1,3−ジアミノブタン、N,N’−ジエチル−1,4−ジアミノブタン、 N,N’−ジエチル−1,6−ジアミノヘキサン、ピペラジン、2−メチルピペラジン、2,5−あるいは2,6−ジメチルピペラジン、ホモピペラジン、1,1−ジ−(4−ピペリジル)メタン、1,2−ジ−(4−ピペリジル)エタン、1,3−ジ−(4−ピペリジル)プロパン、1,4−ジ−(4−ピペリジル)ブタン、テトラメチルグアニジン等の2級ポリアミン;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−iso−プロピルアミン、トリ−1,2−ジメチルプロピルアミン、トリ−3−メトキシプロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−iso−プロピルアミン、トリ−sec−ブチルアミン、トリ−ペンチルアミン、トリ−n−ヘキシルアミン、トリ−ドデシルアミン、トリ−ラウリルアミン、トリ−シクロヘキシルアミン、 N,N−ジメチルヘキシルアミン、N−メチルジヘキシルアミン、 N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、 N−メチルジシクロヘキシルアミン、トリエタノ−ルアミン、トリベンジルアミン、 N,N−ジメチルベンジルアミン、ジエチルベンジルアミン、トリフェニルアミン、 N,N−ジメチルアミノ−p−クレゾ−ル、 N,N−ジメチルアミノメチルフェノール、2―( N,N−ジメチルアミノメチル)フェノール、 N,N−ジメチルアニリン、 N,N−ジエチルアニリン、ピリジン、キノリン、N−メチルモルホリン、N−メチルピペリジン、2−(2−ジメチルアミノエトキシ)−4−メチル−1,3,2−ジオキサボルナン等の3級アミン;テトラメチルエチレンジアミン、ピペラジン、 N,N’−ビス((2−ヒドロキシ)プロピル)ピペラジン、ヘキサメチレンテトラミン、 N,N,N’,N’−テトラメチル−1,3−ブタンアミン、2−ジメチルアミノ−2−ヒドロキシプロパン、ジエチルアミノエタノール、N,N,N−トリス(3−ジメチルアミノプロピル)アミン、2,4,6−トリス(N,N−ジメチルアミノメチル)フェノ−ル、ヘプタメチルイソビグアニド等の3級ポリアミン;イミダゾール、N−メチルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、4−メチルイミダゾール、N−エチルイミダゾール、 2−エチルイミダゾール、4−エチルイミダゾール、 N−ブチルイミダゾール、 2−ブチルイミダゾール、N−ウンデシルイミダゾール、 2−ウンデシルイミダゾール、 N−フェニルイミダゾール、 2−フェニルイミダゾール、 N−ベンジルイミダゾール、 2−ベンジルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、N−(2’−シアノエチル)−2−メチルイミダゾール、N−(2’−シアノエチル)−2−メチルイミダゾール、N−(2’−シアノエチル)−2−ウンデシルイミダゾール、N−(2’−シアノエチル)−2−フェニルイミダゾール、3,3−ビス−(2−エチル−4−メチルイミダゾリル)メタン、アルキルイミダゾールとホルムアルデヒドの縮合物等の各種イミダゾール類;1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7,1,5−ジアザビシクロ(4,3,0)ノネン−5,6−ジブチルアミノ−1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7等のアミジン類;以上に代表されるアミン系化合物。
【0021】
(2)(1)のアミン類とハロゲン、鉱酸、ルイス酸、有機酸、ケイ酸、四フッ化ホウ酸等との4級アンモニウム塩。
【0022】
(3)(1)のアミン類とボランおよび三フッ化ホウ素とのコンプレックス。
【0023】
(4)トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリ−iso−プロピルホスフィン、トリ−n−シクロヘキシルホスフィン、トリ−n−オクチルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリベンジルホスフィン、トリス(2−メチルフェニル)ホスフィン、トリス(3−メチルフェニル)ホスフィン、トリス(ジエチルアミノ)ホスフィン、ジメチルフェニルホスフィン、ジエチルフェニルホスフィン、ジシクロヘキシルフェニルホスフィン、エチルフェニルホスフィン、ジフェニルシクロヘキシルホスフィン、クロロジフェニルホスフィン等のホスフィン類
(5)塩酸、硫酸、硝酸、燐酸、炭酸等の鉱酸物およびこれらの半エステル類
(6)3フッ化ホウ素、3フッ化ホウ素のエーテラート等に代表されるルイス酸類
(7)カルボン酸に代表される有機酸類およびこれらの半エステル類
(8)ケイ酸、四フッ化ホウ酸
等である。
【0024】
これらの中で硬化物の着色が少なく好ましいものは、1級モノアミン、2級モノアミン、3級ポリアミン、イミダゾール類、アミジン類、4級アンモニウム塩、ホスフィン類である。より好ましいものは、エピスルフィド基と反応し得る基を1個以下有する、2級モノアミン、3級モノアミン、3級ポリアミン、イミダゾール類、アミジン類、4級アンモニウム塩、ホスフィン類である。また、これらは単独でも2種類以上を混合して用いても良い。以上の硬化触媒は、エポキシ、チオエポキシ化合物1モルに対して通常0.0001モルから1.0モル使用するが、好ましくは、0.0001モルから0.5モル、より好ましくは、0.0001モルから0.1モル未満、最も好ましくは、0.0001モルから0.05モル使用する。硬化触媒の量がこれより多いと硬化物の屈折率、耐熱性が低下し、また着色する。これより少ないと十分に硬化せず耐熱性が不十分となる。
【0025】
また、本発明のトリチオカーボネート骨格を有するエポキシもしくは/またはチオエポキシ化合物はエポキシ基もしくは/またはチオエポキシ基と反応可能な官能基1個以上有する化合物あるいは、これらの官能基1個以上と他の単独重合可能な官能基を1個以上有する化合物と硬化重合して光学材料を製造することもできる。これらのエポキシ基もしくは/またはチオエポキシ基と反応可能な官能基を有する化合物としては、エポキシ化合物、公知のチオエポキシ化合物、多価カルボン酸、多価カルボン酸無水物、メルカプトカルボン酸、ポリメルカプタン、メルカプトアルコール、メルカプトフェノール、ポリフェノール、アミン類、アミド類等があげられる。一方、エポキシ基もしくは/またはエピスルフィド基と反応可能な官能基1個以上と他の単独重合可能な官能基を1個以上有する化合物としては、ビニル、芳香族ビニル、メタクリル、アクリル、アリル等の不飽和基を有するエポキシ化合物、チオエポキシ化合物、カルボン酸、カルボン酸無水物、メルカプトカルボン酸、メルカプタン類、フェノール類、アミン類、アミド類等があげられる。以下に、エポキシ基もしくは/またはチオエポキシ基と反応可能な官能基を2個以上有する化合物の具体例を示す。
【0026】
エポキシ化合物の具体例としては、ヒドロキノン、カテコール、レゾルシン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールスルフォン、ビスフェノールエーテル、ビスフェノールスルフィド、ハロゲン化ビスフェノールA、ノボラック樹脂等の多価フェノール化合物とエピハロヒドリンの縮合により製造されるフェノール系エポキシ化合物;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトール、1,3−および1,4−シクロヘキサンジオール、1,3−および1,4−シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールA、ビスフェノールA・エチレンオキサイド付加物、ビスフェノールA・プロピレンオキサイド付加物等の多価アルコール化合物とエピハロヒドリンの縮合により製造されるアルコール系エポキシ化合物;アジピン酸、セバチン酸、ドデカンジカルボン酸、ダイマー酸、フタル酸、イソ、テレフタル酸、テトラヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、ヘット酸、ナジック酸、マレイン酸、コハク酸、フマール酸、トリメリット酸、ベンゼンテトラカルボン酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、ナフタリンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸等の多価カルボン酸化合物とエピハロヒドリンの縮合により製造されるグリシジルエステル系エポキシ化合物;エチレンジアミン、1,2−ジアミノプロパン、1,3−ジアミノプロパン、1,2−ジアミノブタン、1,3−ジアミノブタン、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノヘキサン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、ビス−(3−アミノプロピル)エーテル、1,2−ビス−(3−アミノプロポキシ)エタン、1,3−ビス−(3−アミノプロポキシ)−2,2’−ジメチルプロパン、1,2−、1,3−あるいは1,4−ビスアミノシクロヘキサン、1,3−あるいは1,4−ビスアミノメチルシクロヘキサン、1,3−あるいは1,4−ビスアミノエチルシクロヘキサン、1,3−あるいは1,4−ビスアミノプロピルシクロヘキサン、水添4,4’−ジアミノジフェニルメタン、イソホロンジアミン、1,4−ビスアミノプロピルピペラジン、m−、あるいはp−フェニレンジアミン、2,4−あるいは2,6−トリレンジアミン、m−あるいはp−キシリレンジアミン、1,5−あるいは、2,6−ナフタレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、2,2−(4,4’−ジアミノジフェニル)プロパン等の一級ジアミン、N,N’−ジメチルエチレンジアミン、N,N’−ジメチル−1,2−ジアミノプロパン、N,N’−ジメチル−1,3−ジアミノプロパン、N,N’−ジメチル−1,2−ジアミノブタン、N,N’−ジメチル−1,3−ジアミノブタン、N,N’−ジメチル−1,4−ジアミノブタン、N,N’−ジメチル−1,5−ジアミノペンタン、N,N’−ジメチル−1,6−ジアミノヘキサン、N,N’−ジメチル−1,7−ジアミノヘプタン、N,N’−ジエチルエチレンジアミン、N,N’−ジエチル−1,2−ジアミノプロパン、N,N’−ジエチル−1,3−ジアミノプロパン,N,N’−ジエチル−1,2−ジアミノブタン、N,N’−ジエチル−1,3−ジアミノブタン、N,N’−ジエチル−1,4−ジアミノブタン、N,N’−ジエチル−1,6−ジアミノヘキサン、ピペラジン、2−メチルピペラジン、2,5−あるいは2,6−ジメチルピペラジン、ホモピペラジン、1,1−ジ−(4−ピペリジル)−メタン、1,2−ジ−(4−ピペリジル)−エタン、1,3−ジ−(4−ピペリジル)−プロパン、1,4−ジ−(4−ピペリジル)−ブタン等の二級ジアミンとエピハロヒドリンの縮合により製造されるアミン系エポキシ化合物;3,4−エポキシシクロヘキシル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ビニルシクロヘキサンジオキサイド、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)−5,5−スピロ−3,4−エポキシシクロヘキサン−メタ−ジオキサン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペート等の脂環式エポキシ化合物;シクロペンタジエンエポキシド、エポキシ化大豆油、エポキシ化ポリブタジエン、ビニルシクロヘキセンエポキシド等の不飽和化合物のエポキシ化により製造されるエポキシ化合物;上述の多価アルコール、フェノール化合物とジイソシアネートおよびグリシドール等から製造されるウレタン系エポキシ化合物等を挙げることが出来る。
【0027】
公知のチオエポキシ化合物の具体例としては、以上のエポキシ化合物のエポキシ基の一部あるいは全てをチオエポキシ化して得られるチオエポキシ化合物を挙げることができる。
【0028】
多価カルボン酸、多価カルボン酸無水物、ポリフェノール、アミン類等の具体例としては上述のエポキシ化合物のところで説明したエピハロヒドリンと反応させる相手の原料として上述したものを挙げることができる。
【0029】
ポリメルカプタンとしては、具体的には1,2−ジメルカプトエタン、1,3−ジメルカプトプロパン、1,4−ジメルカプトブタン、1,6−ジメルカプトヘキサン、ジ(2−メルカプトエチル)スルフィド、1,2−〔ビス(2−メルカプトエチルチオ)〕エタン等の直鎖状ジメルカプタン化合物;2−メルカプトメチル−1,3−ジメルカプトプロパン、2−メルカプトメチル−1,4−ジメルカプトブタン、2−(2−メルカプトエチルチオ)−1,3−ジメルカプトプロパン、1,2−ビス〔(2−メルカプトエチルチオ)〕−3−メルカプトプロパン、1,1,1−トリス(メルカプトメチル)プロパン、テトラキスメルカプトメチルメタン等の分岐状脂肪族ポリメルカプタン化合物;エチレングリコールジチオグリコレート、エチレングリコールジチオプロピオネート、1,4−ブタンジオールジチオグリコレート、1,4−ブタンジオールジチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリス(β−チオグリコレート)、トリメチロールプロパントリス(β−チオプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(β−チオグリコレート)、ペンタエリスリトールテトラキス、(β−チオプロピオネート)等の含エステル脂肪族ポリメルカプタン化合物;1,4−ジメルカプトシクロヘキサン、1,3−ジメルカプトシクロヘキサン、1,4−ジメルカプトメチルシクロヘキサン、1,3−ジメルカプトメチルシクロヘキサン、2,5−ジメルカプトメチル−1,4−ジチアン、2,5−ジメルカプトエチル−1,4−ジチアン、2,5−ジメルカプトメチル−1−チアン、2,5−ジメルカプトエチル−1−チアン等脂肪族環状ジメルカプタン化合物等をあげることができる。
【0030】
また、以下にエポキシ基もしくは/またはチオエポキシ基と反応可能な官能基1個以上と他の単独重合可能な官能基を1個以上有する化合物の代表的具体例を示す。不飽和基を有するエポキシ化合物としては、ビニルフェニルグリシジルエーテル、ビニルベンジルグリシジルエーテル、グリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレート、アリルグリシジルエーテル等をあげることができる。不飽和基を有するチオエポキシ化合物としては上記の不飽和基を有するエポキシ化合物のエポキシ基をチオエポキシ化した化合物、例えば、ビニルフェニルチオグリシジルエーテル、ビニルベンジルチオグリシジルエーテル、チオグリシジルメタクリレート、チオグリシジルアクリレート、アリルチオグリシジルエーテル等をあげることができる。
【0031】
不飽和基を有するカルボン酸化合物としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸等のα、β−不飽和カルボン酸類をあげることができる。また、不飽和基を有するアミド類としては、以上のα、β−不飽和カルボン酸類のアミドをあげることができる。
【0032】
また、エポキシ基もしくは/またはチオエポキシ基と反応可能でかつ単独重合も可能な官能基を1個有する化合物の好ましい具体例としてはエポキシ基あるいはチオエポキシ基を1個有する化合物をあげることができる。より具体的には、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等のモノエポキシ化合物類、酢酸、プロピオン酸、安息香酸等のモノカルボン酸のグリシジルエステル類、メチルグリシジルエーテル、エチルグリシジルエーテル、プロピルグリシジルエーテル類あるいはエチレンスルフィド、プロピレンスルフィド等のモノエピスルフィド化合物、上述のモノカルボン酸とチオグリシドール(1,2−エピチオ−3−ヒドロキシプロパン)から誘導される構造を有するチオグリシジルエステル類、メチルチオグリシジルエーテル(1,2−エピチオプロピルオキシメタン)、エチルチオグリシジルエーテル、プロピルチオグリシジルエーテル、ブチルチオグリシジルエーテル等のチオグリシジルエーテル類をあげることができる。これらの中で、より好ましいものはチオエポキシ基を1個有する化合物である。
【0033】
本発明のエポキシ基もしくは/またはチオエポキシ基と反応可能な官能基を2個以上有する化合物あるいは、これらの官能基1個以上と他の単独重合可能な官能基を1個以上有する化合物およびチオエポキシ基と反応可能かつ単独重合可能な官能基を1個有する化合物とは、硬化重合触媒の存在下、硬化重合し製造することができる。硬化触媒は、前述のアミン類、ホスフィン類、酸類等が使用される。具体例としては、前述のものがここでも使用される。
【0034】
さらに、不飽和基を有する化合物を使用する際には、重合促進剤として、ラジカル重合開始剤を使用する事が好ましい方法である。ラジカル重合開始剤とは、加熱あるいは紫外線や電子線によってラジカルを生成するものであれば良く、例えば、クミルパーオキシネオデカノエート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジアリルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジミリスチルパーオキシジカーボネート、クミルパーオキシネオヘキサノエート、ter−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、ter−ブチルパーオキシネオデカノエート、ter−ヘキシルパーオキシネオヘキサノエート、ter−ブチルパーオキシネオヘキサノエート、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジ−ter−ブチルパーオキサイド等のパーオキサイド類;クメンヒドロパーオキサイド、ter−ブチルヒドロパーオキサイド等のヒドロパーオキサイド類;2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−シクロプロピルプロピオニトリル),2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、1−〔(1−シアノ−1−メチルエチル)アゾ〕ホルムアミド、2−フェニルアゾ−4−メトキシ−2,4−ジメチル−バレロニトリル2,2’−アゾビス(2−メチルプロパン)、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)等のアゾ系化合物等の公知の熱重合触媒、ベンゾフェノン、ベンゾインベンゾインメチルエーテル等の公知の光重合触媒が挙げられる。これらのなかで好ましいものは、パーオキサイド類、ヒドロパーオキサイド類、アゾ系化合物であり、より好ましいものは、パーオキサイド類、アゾ系化合物であり、最も好ましいものは、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−シクロプロピルプロピオニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、1−〔(1−シアノ−1−メチルエチル)アゾ〕ホルムアミド、2−フェニルアゾ−4−メトキシ−2,4−ジメチル−バレロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルプロパン)2,2’−アゾビス、(2,4,4−トリメチルペンタン)等のアゾ系化合物である。またこれらは、全て混合使用することができる。ラジカル重合開始剤の配合量は、組成物の成分や硬化方法によって変化するので一概には決められないが、通常は組成物総量に対して0.01wt%〜5.0wt%好ましくは0.1wt%〜2.0wt%の範囲である。
【0035】
また、本発明のトリチオカーボネート骨格を有するエポキシもしくは/またはチオエポキシ化合物を重合硬化して光学材料を得るに際して、公知の酸化防止剤、紫外線吸収剤等の添加剤を加えて、得られる材料の実用性をより向上せしめることはもちろん可能である。また公知の外部および/または内部離型剤を使用または添加して、得られる硬化材料の型からの離型性を向上せしめることも可能である。ここに言う内部離型剤とは、フッ素系ノニオン界面活性剤、シリコン系ノニオン界面活性剤、アルキル第4級アンモニウム塩、燐酸エステル、酸性燐酸エステル、酸性燐酸エステルのアルカリ金属塩、高級脂肪酸の金属塩、高級脂肪酸エステル、パラフィン、ワックス、高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸アルコール、ポリシロキサン類、脂肪族アミンエチレンオキシド付加物等があげられる。
【0036】
本発明のトリチオカーボネート骨格を有するエポキシもしくは/またはチオエポキシ化合物を重合硬化して光学材料を得るに際して、原料となる、エポキシもしくは/またはチオエポキシ化合物、さらには所望に応じて前述の硬化触媒、不飽和基を有するチオエポキシ基と反応可能な例えばグリシジルメタクリレート、チオグリシジルメタクリレート(グリシジルメタクリレートのエポキシ基をエピスルフィド化したもの)等を併用する場合、ラジカル重合開始剤、ラジカル重合可能な単量体、さらには離型剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の添加剤混合後、次の様にして重合硬化してレンズ等の光学材料とされる。即ち、混合後の原料をガラスや金属製の型に注入し、加熱によって重合硬化反応を進めた後、型から外し製造される。硬化時間は0.1〜100時間、通常1〜48時間であり、硬化温度は−10〜160℃、通常−10〜140℃である。また、硬化終了後、材料を50から150℃の温度で、10分から5時間程度アニール処理を行う事は、本発明の光学材料の歪を防ぐために好ましい処理である。さらに必要に応じてハードコート、反射防止、防曇性付与等表面処理を行うことができる。本発明の硬化樹脂光学材料の製造方法は、さらに詳しく述べるならば以下の通りである。前述の様に、主原料および副原料を混合後、型に注入硬化して製造されるが、主原料であるトリチオカーボネート骨格を有するエポキシもしくは/またはチオエポキシ化合物と所望により使用されるエポキシ基もしくは/またはエピスルフィド基と反応可能な官能基を2個以上有する化合物あるいは、これらの官能基1個以上と他の単独重合可能な官能基を1個以上有する化合物およびエピスルフィド基と反応可能かつ単独重合可能な官能基を1個有する化合物、さらには所望に応じて使用される、硬化触媒、ラジカル重合開始剤、さらには離型剤、安定剤等は全て同一容器内で同時に撹拌下に混合しても、各原料を段階的に添加混合しても、数成分を別々に混合後さらに同一容器内で再混合しても良い。混合にあたり、設定温度、これに要する時間等は基本的には各成分が十分に混合される条件であればよいが、過剰の温度、時間は各原料、添加剤間の好ましくない反応が起こり、さらには粘度の上昇を来たし注型操作を困難にする等適当ではない。混合温度は−10℃から100℃程度の範囲で行われるべきであり、好ましい温度範囲は−10℃から50℃、さらに好ましいのは、−5℃から30℃である。混合時間は、1分から5時間、好ましくは5分から2時間、さらに好ましくは5分から30分、最も好ましいのは5分から15分程度である。各原料、添加剤の混合前、混合時あるいは混合後に、減圧下に脱ガス操作を行う事は、後の注型重合硬化中の気泡発生を防止する点からは好ましい方法である。この時の減圧度は0.1mmHgから700mmHg程度で行うが、好ましいのは10mmHgから300mmHgである。さらに、型に注入に際して、ミクロフィルター等で不純物を濾過し除去することは本発明の光学材料の品質を高める点からも好ましい。
【0037】
【発明の実施の形態】
以下の実施例、比較例により本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、得られた重合物の性能測定は以下の測定法で行い結果を表2に示した。
【0038】
屈折率、アッベ数(e線):アッベ屈折計を用い、20℃で測定した。
比重:電子比重計を用いて20℃で測定し、常法により補正した。
耐熱性:ビカット軟化点が120℃以上のものを○、120℃未満80℃以上のものを△、80℃未満のものを×とした。
曲げ強度:オートグラフを用いた3点曲げ試験測定において、歪みが0.2以上のものを○、0.2未満0.1以上のものを△、0.1未満のものを×とした。
落球強度:中心厚1.0mmのレンズをFDA規格に準じて評価した。鋼球を127cmの高さから落下させた時のレンズが破壊しない鋼球の最大重量(g)を求めた。
【0039】
実施例1
前記式(1)において、X1,X2がS、m,nが0であるビス(β−エピチオプロピル)トリチオカーボネート100重量部に触媒としてN,N−ジエタノールアミンを0.2重量部、抗酸化剤として2,6−ジ−ter−ブチル−4−メチルフェノ−ル0.1重量部、紫外線吸収剤として2−(2−ヒドロキシ−5−ter−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル0.1重量部を配合後、室温で攪拌し均一液とした。さらに10mmHgの減圧下十分に脱気を行った。ついでガラスモールド中で30℃一定で10時間、30℃から100℃まで10時間かけ昇温し、さらに100℃で2時間かけて重合硬化した。重合後、室温でガラスモールドより離型し、100℃で1時間アニールを行った。得られた材料は無色透明であり、さらに表面状態は良好であり、脈理、面変形もほとんど認められなかった。物性の評価結果を表2に示した。
【0040】
実施例2〜4
X1,X2,X3,X4の原子およびm,nを表1に変更した以外には全て実施例1と同様に行い、その物性の評価結果を表2に示した。
【0041】
【表1】
【0042】
比較例1
主原料をビス−(β−エピチオプロピル)スルフィドに変更以外には全て実施例1と同様に行い、その物性の評価結果を表2に示した。
【0043】
比較例2
主原料を1,4−ビス−(β−エピチオプロピルチオエチル)シクロヘキサンに変更以外には全て実施例1と同様に行い、その物性の評価結果を表2に示した。
【0044】
比較例3
主原料を2,5−ビス(β−エピチオプロピルチオエチル)−1,4−ジチアンに変更以外には全て実施例1と同様に行い、その物性の評価結果を表2に示した。
【0045】
比較例4
主原料を1,2−ビス(β−エピチオプロピルオキシ)エタンに変更以外には全て実施例1と同様に行い、その物性の評価結果を表2に示した。
【0046】
【表2】
【0047】
【発明の効果】
本発明のトリチオカーボネート骨格を有するエポキシもしくは/またはチオエポキシ化合物を重合硬化して得られる硬化樹脂光学材料より、従来技術の化合物を原料とする限り困難であった十分に高い屈折率と、良好な屈折率とアッベ数のバランスを有する樹脂光学材料が可能となった。すなわち本発明の新規な化合物により樹脂光学材料の軽量化、薄肉化および色収差の低減化が格段に進歩することとなった。これにより眼鏡等のレンズ用途として好ましい材料が製造可能となった。また、本発明の新規な樹脂硬化材料は、耐熱性、強度にも優れ各種用途に使用できる。
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