JP3864357B2 - プリンヌクレオシド化合物の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、酵素による核酸塩基の交換反応を利用してプリンヌクレオシド化合物を高収率で製造する方法及び該製造に利用しうる酵素を産生する微生物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、酵素による核酸塩基の交換反応を利用してヌクレオシド化合物を製造する方法が提案されているが、原料系と生成系の間に反応の平衡状態が生じ、これが収率の向上しない原因となっていた。この対策として、特開平4−197193号公報に、プリンヌクレオシドであるイノシン又は2’−デオキシイノシン(以下、デオキシイノシンという)とピリミジン塩基とをリン酸塩の水溶液中、プリンヌクレオシドホスホリラーゼ(EC2.4.2.1)及びピリミジンヌクレオシドホスホリラーゼ(EC2.4.2.2)により塩基を交換反応させ、この交換反応により生成したヒポキサンチンをキサンチンオキシダーゼにより尿酸に変化させることにより、反応収率を向上させる方法が開示されている。この場合、尿酸はこれらヌクレオシドホスホリラーゼの基質にはなり得ないので、反応はピリミジンヌクレオシドを生成する方向に一方的に進行する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、該公報に開示された方法は、原料としてイノシン又はデオキシイノシン及びピリミジン塩基を用いて、効率よくピリミジンヌクレオシドを製造する方法であり、より安価で入手しやすいピリミジンヌクレオシド化合物とプリン塩基を原料とするプリンヌクレオシド化合物の製造方法ではない。ピリミジンヌクレオシド化合物を原料とする場合は、塩基交換反応により生成するピリミジン塩基を分解する酵素を反応系に加えることが平衡をずらし反応効率を向上させるために必須であるが、該酵素を天然物から活性の高い状態で製造したり、単離した事例は今まで報告されていなかった。すなわち、ピリミジンヌクレオシド化合物を原料とするプリンヌクレオシド化合物の高収率の製造方法は見い出されていなかった。したがって、安定に高収率でプリンヌクレオシド化合物を製造する方法が強く望まれていた。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上述の問題点を解決すべく、ピリミジンヌクレオシド化合物とプリン塩基との交換反応の際に生じるピリミジン塩基をピリミジンヌクレオシドホスホリラーゼ及びプリンヌクレオシドホスホリラーゼの基質となり得ない化合物へ変換する酵素を産生する微生物を鋭意探索した結果、アルスロバクター属、バチルス属、シュードモナス属、又はロドコッカス属に属する微生物が該酵素を産生しうることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0005】
すなわち、本発明の第一は、ピリミジンヌクレオシド化合物とプリン塩基とを、リン酸イオンを含む水溶液中において、プリンヌクレオシドホスホリラーゼ及びピリミジンヌクレオシドホスホリラーゼにより塩基交換させる反応において、生成するピリミジン塩基を微生物又は該微生物に由来する酵素によりピリミジンヌクレオシドホスホリラーゼ及びプリンヌクレオシドホスホリラーゼの基質になり得ない化合物に変換することを特徴とするプリンヌクレオシド化合物の高収率製造法である。
【0006】
また、本発明の第二は、ウラシルチミンデヒドロゲナーゼ又はジヒドロウラシルデヒドロゲナーゼを産生する微生物であって、アルスロバクター・スピーシーズ YGK 222(FERM BP−5907)、バチルス・メガテリウム YGK 252(FERM BP−5908)及びシュードモナス・スピーシーズ YGK 443 (FERM BP−5909)よりなる群から選択される微生物である。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明を詳細に説明する。
まず、第一の発明について説明する。
第一の発明は、ピリミジンヌクレオシド化合物とプリン塩基とを、リン酸イオンを含む水溶液中において、ピリミジンヌクレオシドホスホリラーゼ及びプリンヌクレオシドホスホリラーゼにより塩基交換させる反応において、生成するピリミジン塩基を微生物又は該微生物に由来する酵素によりピリミジンヌクレオシドホスホリラーゼ及びプリンヌクレオシドホスホリラーゼの基質になり得ない化合物に変換することを特徴とするプリンヌクレオシド化合物の製造方法である。
<原料>
本発明の原料として用いられるピリミジンヌクレオシド化合物は、ピリミジンヌクレオシドホスホリラーゼの作用を受け、生成したピリミジン塩基が使用する分解酵素の作用を受けるものであれば、天然型、非天然型を問わず、特に制限されない。例えば、ウリジン、デオキシウリジン、5−メチルウリジン、チミジンが挙げられ、その他の非天然型ピリミジンヌクレオシド及び非天然型デオキシピリミジンヌクレオシドも含まれる。
【0008】
本発明に用いられるプリン塩基は、プリンヌクレオシドホスホリラーゼの作用を受けるものであれば特に制限されない。例えば、アデニン、グアニン、ヒポキサンチンなどの天然型プリン塩基、ベンズイミダゾール、2−アミノプリン、2,6−ジアミノプリンなどのアミノ化プリン、2−クロロプリン、6−クロロプリン、2,6−ジクロロプリン、2−アミノ−6−クロロプリンなどのハロゲン化プリン、及び6−メルカプトプリン、6−メチルチオプリンなどのチオ化プリンなどの非天然型プリン塩基が挙げられる。
<微生物及び酵素>
本発明に用いられるプリンヌクレオシドホスホリラーゼ、ピリミジンヌクレオシドホスホリラーゼは、原理的にはいかなる起源のものでも構わない。
【0009】
本発明で用いられる、ピリミジン塩基を分解する微生物由来の酵素としては、塩基交換反応により生成したピリミジン塩基をピリミジンヌクレオシドホスホリラーゼ及びプリンヌクレオシドホスホリラーゼの基質になり得ない化合物に変換する酵素であれば、特に制限されない。例えば、ウラシルチミンデヒドロゲナーゼ(EC1.2.99.1)、ジヒドロウラシルデヒドロゲナーゼ(EC1.3.1.1)などが挙げられる。特に、後述する本発明の微生物により産生される酵素、及びロドコッカス・エリスロポリス JCM 3132、又はロドコッカス・エリスロポリス JCM 3191から産生される酵素が好ましい。
【0010】
本明細書において、微生物又は該微生物に由来する酵素によりとは、微生物を含有する懸濁液(菌体懸濁液)、又は該微生物から産生される酵素を用いてピリミジン塩基の分解反応を行うことを意味する。即ち、本発明は、微生物を含有する菌体懸濁液そのものを用いてピリミジン塩基の分解反応を行ってもよく、また微生物から産生される酵素を取り出して該反応を行ってもよい。
<リボース−1−リン酸の安定剤>
本発明において、ピリミジンヌクレオシドホスホリラーゼとプリンヌクレオシドホスホリラーゼによる塩基交換反応は中間体としてリボース−1−リン酸又はデオキシリボース−1−リン酸の糖誘導体を経由する。これら中間体は本来不安定であり、放置すると経時的にリボース又はデオキシリボースのような糖とリン酸イオンに分解するが、反応系中にホスファターゼが存在すると、中間体の加水分解はさらに加速される。中間体の分解生成物であるリボース又はデオキシリボースのような糖はこれらヌクレオシドホスホリラーゼの基質とはならないため、プリンヌクレオシド又はデオキシプリンヌクレオシドの生成量は減少する。そこで、これらプリンヌクレオシド化合物の生成効率を上げるために、リボース−1−リン酸又はデオキシリボース−1−リン酸のような糖誘導体を安定化し、ホスファターゼの活性を阻害する物質を鋭意探索した。その結果、ある種の錯体形成化合物の組み合わせが有効であることを見い出した。
【0011】
すなわち、グリシン、イミノ二酢酸、ニトリロ三酢酸、エチレンジアミン四酢酸(略称EDTA)、エチレングリコール(2−アミノエチルエーテル)四酢酸(略称EGTA)及びこれらの塩からなる群より選択される少なくとも1種以上の化合物とほう酸又はその塩との組み合わせが有効であることを見い出した。特に、ホウ酸とエチレンジアミン四酢酸の組み合わせが著しい効果を示す。
<反応条件と分離・精製>
次に、反応条件について記す。本発明において、原料のピリミジンヌクレオシド化合物の初期濃度は5〜300mMであり、好ましくは10〜50mMである。プリン塩基は一般に難溶性であるが、初期添加量が全て溶解すると仮定して表記すると、初期濃度は5〜300mMであり、好ましくは10〜50mMである。リン酸イオンの初期濃度は1〜20mMであれば十分である。また、ヌクレオシドとプリン塩基は通常は同一の初期濃度で用いる。一般にリン酸イオンに対するヌクレオシドの濃度比は大きい方が目的物のプリンヌクレオシド化合物の収率は増大する。
【0012】
また、安定剤として使用する錯体形成化合物において、ホウ酸又はその塩の使用量は、5〜200mMであり、好ましくは50〜100mMであり、組み合わせの一方であるEDTA又はその塩などの使用量は2〜12mMであり、好ましくは4〜6mMである。
【0013】
反応液のpHは6.5〜10.5であり、好ましくは7.0〜8.0である。反応温度は35〜60℃であり、好ましくは35〜45℃である。
なお、反応液からの生成物の採取は、晶析やクロマトグラフィーなどにより行うことができる。
【0014】
以下に本発明の製造方法の原理を説明する。
<本発明の原理・理論>
(1)本発明の第一段階では、リン酸イオンの存在下で、ピリミジンヌクレオシドホスホリラーゼにより、ピリミジンヌクレオシド化合物とリン酸イオンから、ピリミジン塩基とリボース−1−リン酸又は2−デオキシリボース−1−リン酸のような糖の1位にリン酸イオンの結合した糖誘導体(以下、単に糖誘導体という。)が生成する。
【0015】
(2)次に、第二段階として、生成した糖誘導体が、プリンヌクレオシドホスホリラーゼにより、プリン塩基と置換反応を行う。これにより、糖誘導体とプリン塩基との反応からプリンヌクレオシド化合物とリン酸イオンが生成する。
【0016】
(1)と(2)の反応を整理すると、ピリミジンヌクレオシドとプリン塩基を用いてプリンヌクレオシドホスホリラーゼ及びピリミジンヌクレオシドホスホリラーゼにより、塩基交換反応を行い、ピリミジン塩基とプリンヌクレオシド化合物が生成する。
【0017】
(3)次に、本発明では、反応系に、ピリミジン塩基をピリミジンヌクレオシドホスホリラーゼ及びプリンヌクレオシドホスホリラーゼの基質となり得ない化合物に変換する酵素又はこれらを産生する微生物を含有する。本発明では、ウラシルチミンデヒドロゲナーゼ、又はジヒドロウラシルデヒドロゲナーゼのような酵素又はこれらを産生する微生物を用いることが好ましいが、これに限定されない。本発明の製造方法では、上記酵素又はこれらを産生する微生物と、電子受容体を共存させることにより、ピリミジ塩基を、ピリミジンヌクレオシドホスホリラーゼ及びプリンヌクレオシドホスホリラーゼの基質となり得ない化合物に変換する。なお、菌体懸濁液を反応系に用いる際は、菌体内に電子受容体が含まれているため、電子受容体を反応系にあえて加えなくてもよい。変換されたピリミジン塩基は、プリンヌクレオシドホスホリラーゼ及びピリミジンヌクレオシドホスホリラーゼの基質にはなり得ないので、基質の交換反応には関与せず反応系から除外される。これにより、反応の平衡を目的物のプリンヌクレオシド化合物が生成する側へ移動させ、目的物が高収率で得られる。
【0018】
(4)さらに、必要な場合には、以下の好ましい態様で具体的に説明するように、変換された化合物を更に分解する酵素が含まれていてもよい。
次に、本発明の製造方法を具体例で説明する。
【0019】
本発明の好ましい態様では、原料のピリミジンヌクレオシド化合物としてウリジン又は2’−デオキシウリジン(以下、デオキシウリジンという)を、核酸塩基としてプリン塩基を、酵素としてプリンヌクレオシドホスホリラーゼ、ピリミジンヌクレオシドホスホリラーゼ及びウラシルチミンデヒドロゲナーゼ(EC1.2.99.1)を用いる。
【0020】
(1)まず、第一段階として、リン酸イオンの存在下で、ピリミジンヌクレオシドホスホリラーゼにより、ウリジン又はデオキシウリジンとリン酸イオンから、ウラシルとリボース−1−リン酸又は2−デオキシリボース−1−リン酸(以下、デオキシリボース−1−リン酸という)が生成する。
【0021】
(2)次に、第二段階として、生成したリボース−1−リン酸又はデオキシリボース−1−リン酸が、プリンヌクレオシドホスホリラーゼにより、プリン塩基と置換反応を行う。これにより、リボース−1−リン酸とプリン塩基との反応からプリンヌクレオシドとリン酸イオンが生成し、デオキシリボース−1−リン酸とプリン塩基との反応からは2’−デオキシプリンヌクレオシド(以下、デオキシプリンヌクレオシドという)とリン酸イオンが生成する。
【0022】
(1)と(2)の反応を整理すると、ウリジン又はデオキシウリジンとプリン塩基を用いてプリンヌクレオシドホスホリラーゼ及びピリミジンヌクレオシドホスホリラーゼにより、塩基交換反応を行い、ウラシルとプリンヌクレオシド又はデオキシプリンヌクレオシドが生成する。
【0023】
(3)反応系にウラシルチミンデヒドロゲナーゼ、又はウラシルチミンデヒドロゲナーゼとNADなどの電子受容体(酸化型)を共存させることにより、ウリジン又はデオキシウリジンの分解で生成したウラシルは不可逆的にバルビツール酸となる。生成したバルビツール酸は、プリンヌクレオシドホスホリラーゼ及びピリミジンヌクレオシドホスホリラーゼの基質にはなり得ないので、基質の交換反応には関与せず反応系から除外される。これにより、反応の平衡を目的物のプリンヌクレオシド化合物が生成する側へ移動させ、目的物が高収率で得られる。
【0024】
(4)さらに、反応系にバルビツラーゼ(EC3.5.2.1)を存在させることによりバルビツール酸が尿素とマロン酸に分解される。これにより、ウラシルチミンデヒドロゲナーゼによる変換反応が促進される。
【0025】
例えば、出発原料のピリミジンヌクレオシド化合物としてデオキシウリジンを、プリン塩基としてグアニンを用いて、目的物のプリンヌクレオシド化合物として2’−デオキシグアノシン(以下、デオキシグアノシンという)を得る場合は次のようになる。
【0026】
【化1】
【0027】
但し、PYNPはピリミジンヌクレオシドホスホリラーゼを表し、PUNPはプリンヌクレオシドホスホリラーゼを表し、Piはリン酸イオンを表す。
(1)と(2)から次式が成り立つ。
【0028】
【化2】
但し、PYNP及びPUNPは先に定義したとおりである。
【0029】
【化3】
【0030】
【化4】
【0031】
本発明の他の好ましい態様では、ピリミジンヌクレオシド化合物としてウリジン又はデオキシウリジン、核酸塩基としてプリン塩基を、酵素としてプリンヌクレオシドホスホリラーゼ、ピリミジンヌクレオシドホスホリラーゼ及びジヒドロウラシルデヒドロゲナーゼ(EC1.3.1.1)を用いる。
【0032】
(1)ピリミジンヌクレオシドホスホリラーゼにより、ウリジン又はデオキシウリジンとリン酸イオンから、ウラシルとリボース−1−リン酸又はデオキシリボース−1−リン酸が生成する。
【0033】
(2)次に、生成したリボース−1−リン酸又はデオキシリボース−1−リン酸が、プリンヌクレオシドホスホリラーゼにより、プリン塩基と置換反応を行う。これにより、リボース−1−リン酸とプリン塩基との反応からプリンヌクレオシドとリン酸イオンが生成し、デオキシリボース−1−リン酸とプリン塩基との反応からはデオキシプリンヌクレオシドとリン酸イオンが生成する。
【0034】
(1)と(2)の反応を整理すると、ウリジン又はデオキシウリジンとプリン塩基を用いてプリンヌクレオシドホスホリラーゼ及びピリミジンヌクレオシドホスホリラーゼにより、塩基交換反応を行い、プリンヌクレオシド又はデオキシプリンヌクレオシドとウラシルが生成する。
【0035】
(3)反応系にジヒドロウラシルデヒドロゲナーゼ、又はジヒドロウラシルデヒドロゲナーゼとNADHなどの電子受容体(還元型)とを共存させることにより、ウリジン又はデオキシウリジンの分解で生成したウラシルは不可逆的にジヒドロウラシルとなる。生成したジヒドロウラシルは、プリンヌクレオシドホスホリラーゼ及びピリミジンヌクレオシドホスホリラーゼの基質にはなり得ないので、基質の交換反応には関与せず反応系から除外される。これにより、反応の平衡を目的物のプリンヌクレオシド化合物が生成する側へ移動させ、目的物が定量的に得られる。
【0036】
(4)さらに、反応系にジヒドロピリミジナーゼ(EC3.5.2.2)が存在することによりジヒドロウラシルがN−カルバモイル−β−アラニンに分解される。これにより、ジヒドロウラシルデヒドロゲナーゼの反応が促進される。
【0037】
例えば、出発原料のピリミジンヌクレオシド化合物としてデオキシウリジンを、プリン塩基としてアデニンを用いて、目的物のプリンヌクレオシド化合物として2’−デオキシアデノシン(以下、デオキシアデノシンという)を得る場合は次のようになる。
【0038】
【化5】
但し、PYNP、PUNP及びPiは先に定義したとおりである。
(1)と(2)から次式が成り立つ。
【0039】
【化6】
但し、PYNP及びPUNPは先に定義したとおりである。
【0040】
【化7】
【0041】
【化8】
【0042】
次に、第二の発明について説明する。
第二の発明は、ウラシルチミンデヒドロゲナーゼ又はジヒドロウラシルデヒドロゲナーゼを産生する微生物であって、アルスロバクター・スピーシーズ YGK 222(FERM BP−5907)、バチルス・メガテリウム YGK 252(FERM BP−5908)及びシュードモナス・スピーシーズ YGK 443 (FERM BP−5909)よりなる群から選択される微生物である。
<酵素生産微生物及びその同定>
本発明者はピリミジン塩基をピリミジンヌクレオシドホスホリラーゼ及びプリンヌクレオシドホスホリラーゼの基質になり得ない化合物に変換する一連の酵素の一つ又はそれ以上を、次の微生物が生産することを見出した。
【0043】
すなわち、これら微生物は、(1)ウラシルチミンデヒドロゲナーゼ、(2)ジヒドロウラシルデヒドロゲナーゼ、(3)ウラシルチミンデヒドロゲナーゼとバルビツラーゼ(EC3.5.2.1)、及び(4)ジヒドロウラシルデヒドロゲナーゼとジヒドロピリミジナーゼ(EC3.5.2.2)の群より選ばれる少なくとも一種以上の酵素を産生する。
<培養条件と酵素の調製>
これら微生物は通常の細菌用培地によく生育し、該酵素を生産するが、培地にピリミジン塩基を添加することは、酵素活性を高めるうえで有効である。
【0044】
培養した菌体はそのまま粗酵素として利用することが可能であるが、常法により粗酵素を得てこれを用いることもできる。
アルスロバクター・スピーシーズ(Arthrobacter sp.) YGK 222(FERM BP−5907)
バチルス・メガテリウム(Bacillus megaterium) YGK 252(FERM BP−5908)
シュードモナス・スピーシーズ(Pseudomonas sp.) YGK443(FERM BP−5909)
ロドコッカス・エリスロポリス(Rhodococcus erythropolis) JCM 3132
ロドコッカス・エリスロポリス(Rhodococcus erythropolis) JCM 3191
JCMは理化学研究所微生物系統保存施設の保存菌株であることを示す。その他の菌株は、通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所特許微生物寄託センターに寄託されている。これら寄託菌株の菌学的性質を、バージェイス・マニュアル・オブ・デターミナティブ・バクテリオロジー第8版(1975年)、バージェイズ・マニュアル・オブ・システマティック・バクテリオロジー第1巻(1984年)及び第2巻(1986年)に準じて検討した結果は次のようである。なお、実験は主として長谷川武治編著、改訂版「微生物の分類と同定」(学会出版センター、1985年)記載の方法により行った。
【0045】
アルスロバクター・スピーシーズ YGK 222
1.形態的性質
(1)細胞の大きさ: 0.5〜0.7×1.0〜5.0μmの桿菌
(2)グラム染色性: 陽性
(3)細胞の多形性: 生活環に伴う球菌〜桿菌の顕著な多形性が見られる。
(4)運動性:
有り(酵母エキス加肉汁液体培地で5〜24時間培養に運動性が見られる)
(5)鞭毛の着生状態:有り、1〜2本の側毛
(6)胞子の有無: 無し
(7)抗酸性: 無し
2.培養的性質
(1)肉汁寒天平板培養:
30℃、24時間培養で乳白色、半透明、表面がザラザラの円形、波状のコロニ−を形成する。
(2)肉汁寒天斜面培養:
淡黄色、半透明で培地全体に拡がり生育は良好である。
(3)肉汁液体培養:
生育が遅い。酵母エキスを添加した振とう培養で良好な生育が見られる。
(4)肉汁ゼラチン穿刺培養: 表面のみわずかに液化する。
(5)リトマスミルク: 変化しない
3.生理学的性質
4.GC含量(HPLC法による)
G+C(mol%)=69.6
以上の菌学的性質に基づき、本菌株はアルスロバクター属(Arthrobacter Sp.)に属することが判明した。
【0046】
バチルス・メガテリウム YGK 252
1.形態的性質
(1)細胞の大きさ: 1.6×4.0〜9.0μmの桿菌
(2)グラム染色性: 陽性
(3)細胞の多形性: 無し
(4)運動性: 有り
(5)鞭毛の着生状態:有り、周毛
(6)胞子の有無: 有り、胞子嚢は膨らまない、胞子の形は楕円形
(7)抗酸性: 無し
2.培養的性質
(1)肉汁寒天平板培地:
30℃、24時間培養で乳白色、不透明、表面がザラザラな円形波状のコロニ−を形成する。
(2)肉汁寒天斜面培地:
淡黄色、不透明で表面が乾き気味、周辺がギザギザとしてストロ−クに沿って良好に生育する。
(3)肉汁液体培地: 生育が遅く、酵母エキスを加えると生育が良好になる。
(4)肉汁ゼラチン穿刺培養: 表面のみ液化する。
(5)リトマスミルク: やや酸性となり、凝固が見られる。
3.生理学的性質
4.GC含量(HPLC法による)
G+C(mol%)=34.7
以上の菌学的性質に基づき、本菌株はバチルス・メガテリウム(Bacillus megaterium)であることが判明した。
【0047】
シュ−ドモナス・スピ−シ−ズ YGK 443
1.形態的性質
(1)細胞の大きさ: 0.4〜0.6×0.6〜2.4μmの桿菌
(2)グラム染色性: 陰性
(3)細胞の多形性: 無し
(4)運動性: 有り
(5)鞭毛の着生状態:有り、4〜5本の極鞭毛
(6)胞子の有無: 無し
(7)抗酸性: 陰性
2.培養的性質
(1)肉汁寒天平板培養:
30℃、24時間培養で乳白色、半透明、表面が滑らかな円形のコロニ−を形成する。
(2)肉汁寒天斜面培養:
乳白色、半透明で光沢があり、生育はストロ−クに沿って良好に生育する。
(3)肉汁液体培養: 振とう培養で良好な生育が見られる。
(4)肉汁ゼラチン穿刺培養: 変化無し
(5)リトマスミルク: アルカリ性、ペプトン化しない。
3.生理学的性質
4.GC含量(HPLC法による)
G+C(mol%)=62.3
以上の菌学的性質に基づき、本菌株はシュードモナス属(Pseudomonas Sp.)に属することが判明した。
【0048】
【実施例】
以下、製造例、実験例、実施例により本発明を更に詳細に説明する。
製造例1 プリンヌクレオシドホスホリラーゼとピリミジンヌクレオシドホスホリラーゼを含む菌体懸濁液の調製
プリンヌクレオシドホスホリラーゼ(以下、PUNPという)とピリミジンヌクレオシドホスホリラーゼ(以下、PYNPという)の生産菌であるバチルス・ステアロサーモフィルス(Bacillus stearothermophilus) JTS 859(FERM BP−6885)を、次の手順で培養した。
【0049】
菌の培養には、バクトトリプトン10g、イーストエキス5g、グルコース3g、食塩3g、イノシン1g及び水1LよりなるpH6.2の培地を用いた。この培地1.5Lにバチルス・ステアロサーモフィルス JTS 859(FERM BP−6885)の胞子3×107個を添加し、撹拌翼(直径70mm、上下各1枚)を有する3L容ジャーファーメンターを用い、撹拌翼を500rpmで回転させつつ、通気量1vvm、培養温度65℃、pH6.0〜6.4で5時間培養した。
【0050】
培養終了後、菌体を遠心分離(10,000G、4℃、15分)により集め、得られた湿菌体20gを10mMリン酸カリウム溶液(pH7)30mlに懸濁したものをプリンヌクレオシドホスホリラーゼとピリミジンヌクレオシドホスホリラーゼを含む菌体懸濁液(以下、PUNP・PYNP酵素液という)とした。
製造例2 ウラシル及びチミン分解活性を有する菌体懸濁液の調製
ウラシル及びチミン分解活性を有するアルスロバクター・スピーシーズ YGK 222(FERM BP−5907)、バチルス・メガテリウム YGK 252(FERM BP−5908)、シュードモナス・スピーシーズ YGK443(FERM BP−5909)、ロドコッカス・エリスロポリス JCM 3132、又はロドコッカス・エリスロポリス JCM 3191の菌体懸濁液を次の手順で調製した。
【0051】
菌の培養には、ウラシル2g、リン酸二水素カリウム1g、リン酸水素二カリウム3g、酵母エキス6g及び水1LよりなるpH7.0の培地を用いた。この培地各500mlを入れた2L容の三角フラスコに上記の微生物の菌体又は胞子をそれぞれ3×107 個づつ接種し、200rpmで回転させつつ、温度35℃で15時間培養した。
【0052】
培養終了後、菌体を遠心分離(10,000G、4℃、15分)により集め、得られた湿菌体を10mMリン酸カリウム緩衝液(pH7)6mlに懸濁したものを、菌体懸濁液(以下、ウラシル・チミン分解酵素液という)とした。
実験例1 微生物によるウラシル及びチミン分解酵素の生産
50mMウラシル又は50mMチミンのいずれか一方、100mMリン酸緩衝液(pH7)及び製造例2で調製した各菌株由来のウラシル・チミン分解酵素液のいずれか一つを0.05ml含む全量1mlの反応液を、35℃で15分間反応させ、反応液中のウラシル及びチミン分解活性を高速液体クロマトグラフィーで定量分析した。その結果を表1に示す。
なお、ここで分解活性Uは、35℃において、1分間当たり1μmolの基質(ウラシル又はチミン)を分解する酵素活性の量である。
【0053】
【表1】
実験例2 ウラシル・チミン分解酵素生産菌の生産酵素
50mMウラシル、100mMリン酸緩衝液(pH7)及び製造例2で調製した各菌株由来のウラシル・チミン分解酵素液のいずれか一つを0.05ml含む全量1mlの反応液を、35℃で15〜30分反応させた。反応液中のウラシルチミンデヒドロゲナーゼ、バルビツラーゼ、ジヒドロウラシルデヒドロゲナーゼ及びジヒドロピリミジナーゼの存在を、バルビツール酸及びジヒドロウラシルの生成と消失を高速液体クロマトグラフィーで追跡することにより検出した。その結果を表2に示す。+は酵素の検出を表し、−は検出できなかったことを表す。
【0054】
この場合、例えば、ジヒドロピリミジナーゼの活性がジヒドロウラシルデヒドロゲナーゼの活性より強ければ、生成物ジヒドロウラシルは検出されない。したがって、表2の−印は必ずしも該酵素の存在を100%否定するものではない。
【0055】
【表2】
実施例1 PUNP・PYNP酵素液とウラシル・チミン分解酵素液によるプリンヌクレオシドの製造
20mMチミジン、20mMグアニン、1.25mMリン酸カリウム、製造例1で調製したPUNP・PYNP酵素液2ml、製造例2で調製したアルスロバクター・スピーシーズ YGK 222由来のウラシル・チミン分解酵素液0.5ml、100mMホウ酸と4mMのエチレンジアミン四酢酸を含む、全量100mlの水溶液(pH7)を、35℃で110時間反応させ、反応液中に含まれる基質及び生成物の濃度を測定した。その結果を図1に示す。
【0056】
また、ウラシル・チミン分解酵素液を添加しないこと以外は、全て上記と同一の条件で反応を行い、反応液中に含まれる基質及び生成物の濃度を測定した。その結果を図2に示す。
【0057】
図1及び図2において、白抜きの四角はチミジン、黒塗りの菱形はデオキシグアノシン、黒塗りの三角はチミン、白抜きの三角は5−メチルバルビツール酸を表す。
【0058】
図1では、5−メチルバルビツール酸の生成が認められ、更にこの酸が分解消失することから、このウラシル・チミン分解酵素液中には少なくともウラシルチミンデヒドロゲナーゼ及びバルビツラーゼが存在することが判明した。この場合(図1)では、原料のグアニンは微かに残存が認められたが、チミジンはほぼ消失した。デオキシグアノシンは14.9mM(収率75%)生成した。ウラシル・チミン分解酵素液が存在しない場合(図2)と比較すると、目的物のデオキシグアノシンの生成量が非常に高いことが分かる。
実施例2〜11 種々の原料ヌクレオシドと種々の原料プリン塩基を用いたプリンヌクレオシドの製造
表3に示すピリミジンヌクレオシド化合物とプリン塩基を用いた以外は、実施例1と同様の条件で35℃で、90時間反応させた。反応液中に含まれる基質及び生成物の濃度を定量した結果を表3に示す。なお、ウラシル・チミン分解酵素液の代わりに蒸留水0.5mlを加えた以外は上記と同様の条件で反応させたものを対照とした。ウラシル・チミン分解酵素液の添加により、プリンヌクレオシド化合物の収率が向上し、特にその効果はグアノシン及びデオキシグアノシンの生成において顕著であった。
【0059】
【表3】
実施例12 各菌株由来ウラシル・チミン分解酵素液のプリンヌクレオシド化合物生成に対する効果
20mMチミジン、20mMグアニン、1.25mMリン酸カリウム、製造例1で調製したPUNP・PYNP酵素液2ml、製造例2で調製した各菌株由来のウラシル・チミン分解酵素液0.5ml、100mMホウ酸と4mMエチレンジアミン四酢酸を含む、全量100mlの溶液(pH7)を調製した。なお、ウラシル・チミン分解酵素液の代わりに蒸留水0.5mlを加えた以外は上記と同様の条件で反応させたものを対照とした。
【0060】
これらの液を35℃で100時間反応させ、反応液中に含まれる基質及び生成物の濃度を測定した。その結果を表4に示す。
いずれの菌株由来のウラシル・チミン分解酵素液もデオキシグアノシン生成の効率を高めることが確認された。
【0061】
【表4】
実施例13 反応中間体(リボース−1−リン酸)の安定化とホスファターゼによる分解の阻害
5mMリボース−1−リン酸、表5に示す安定剤(EDTAは4mM、その他は100mM濃度で使用)、製造例1で調製したPUNP・PYNP酵素液0.02ml、製造例2で調製したアルスロバクター・スピーシーズ YGK 222由来のウラシル・チミン分解酵素液0.01mlを含む、全量1mlの水溶液(pH7)を、35℃で72時間反応させ、反応液中に含まれるリボース−1−リン酸と分解生成物のリボースを薄層クロマトグラフィーにより測定した結果を表5に示す。測定法はIshiiらの方法(Agric. Biol. Chem.,53(12)、3209〜3218(1989))によった。なお、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン塩酸(以下、トリスという)100mMを加え両酵素液を加えない以外は上記と同様に調製した液をトリス(対照)とした。なお、表中の+はリボース−1−リン酸の分解ありを、−は分解なしを表す。
【0062】
酵素液の添加なしのトリス(対照)では、分解はさほど進行しないことから、酵素液の中にはホスファターゼが含まれていることが分かる。ホウ酸とEDTA添加液ではリボース−1−リン酸の分解が認められなかったことから、これら物質が酵素液中のホスファターゼ活性を阻害し、またリボース−1−リン酸の安定化に寄与していることが分かる。
【0063】
【表5】
実施例14 デオキシグアノシンの生成に対する安定剤の効果
20mMチミジン、20mMグアニン、表6に示す安定剤(表中における*は4mM、その他は100mM濃度を表す)、1.25mMリン酸カリウム、製造例1で調製したPUNP・PYNP酵素液、製造例2で調製したアルスロバクター・スピーシーズ YGK 222由来のウラシル・チミン分解酵素液0.5mlを含む、全量100mlの水溶液(pH7)を、35℃で90時間反応させた。反応液中に含まれるデオキシグアノシンの濃度を定量した結果を表6に示す。
これらの結果から、実施例13で見られたホウ酸とEDTA類似の錯体形成化合物との組み合わせが、リボース−1−リン酸の分解阻害と安定化効果をもたらし、プリンヌクレオシド化合物の生成効率を高めることが証明された。
【0064】
【表6】
【0065】
【発明の効果】
本発明の核酸塩基の交換反応を利用したプリンヌクレオシド化合物の製造方法により、安価で入手しやすいピリミジンヌクレオシド化合物とプリン塩基を原料として、プリンヌクレオシド化合物を高収率でかつ安定的に製造することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1におけるウラシル・チミン分解酵素液を添加した反応液中の各成分の濃度の経時変化を示すグラフである。
【図2】実施例1におけるウラシル・チミン分解酵素液を添加しない反応液中の各成分の濃度の経時変化を示すグラフである。
Claims (5)
- ピリミジンヌクレオシド化合物とプリン塩基とを、リン酸イオンを含む水溶液中において、ピリミジンヌクレオシドホスホリラーゼ及びプリンヌクレオシドホスホリラーゼにより塩基交換させる反応工程を含むプリンヌクレオシド化合物の製造方法であって、
(i)生成するピリミジン塩基を、アルスロバクター・スピーシーズ YGK 222(FERM BP−5907)、バチルス・メガテリウム YGK 252(FERM BP−5908)、シュードモナス・スピーシーズ YGK 443(FERM BP−5909)、ロドコッカス・エリスロポリス JCM 3132、およびロドコッカス・エリスロポリス JCM 3191から成る群より選択される微生物または該微生物の菌体懸濁液により分解すること;および
(ii)塩基交換反応の際に生成する反応中間体であるリボース−1−リン酸又はデオキシリボース−1−リン酸の安定剤として、グリシン、イミノ二酢酸、ニトリロ三酢酸、エチレンジアミン四酢酸、エチレングリコール(2−アミノエチルエーテル)四酢酸及びこれらの塩からなる群より選択される少なくとも一種以上の化合物とホウ酸又はその塩とを、塩基交換の反応溶液に加えること
を具備する、プリンヌクレオシド化合物の製造方法。 - ピリミジンヌクレオシド化合物とプリン塩基とを、リン酸イオンを含む水溶液中において、ピリミジンヌクレオシドホスホリラーゼ及びプリンヌクレオシドホスホリラーゼにより塩基交換させる反応工程を含むプリンヌクレオシド化合物の製造方法であって、
(i)生成するピリミジン塩基を、アルスロバクター・スピーシーズ YGK 222(FERM BP−5907)、バチルス・メガテリウム YGK 252(FERM BP−5908)、シュードモナス・スピーシーズ YGK 443(FERM BP−5909)、ロドコッカス・エリスロポリス JCM 3132、およびロドコッカス・エリスロポリス JCM 3191から成る群より選択される微生物または該微生物の菌体懸濁液により分解すること;および
(ii)塩基交換反応の際に生成する反応中間体であるリボース−1−リン酸又はデオキシリボース−1−リン酸の安定剤として、グリシン、イミノ二酢酸、ニトリロ三酢酸、エチレンジアミン四酢酸、エチレングリコール(2−アミノエチルエーテル)四酢酸及びこれらの塩からなる群より選択される少なくとも一種以上の化合物とホウ酸又はその塩とを塩基交換の反応溶液に加えること
を具備する、プリンヌクレオシド化合物の製造方法。 - ピリミジンヌクレオシド化合物が、ウリジン、デオキシウリジン、5−メチルウリジン及びチミジンからなる群より選択される化合物である、請求項1又は2記載のプリンヌクレオシド化合物の製造方法。
- プリン塩基が、アデニン、グアニン、ベンズイミダゾール、ハロゲン化プリン及びアミノ化プリンからなる群より選択される化合物である、請求項1又は2記載のプリンヌクレオシド化合物の製造方法。
- ウラシルチミンデヒドロゲナーゼを産生する、アルスロバクター・スピーシーズ YGK 222(FERM BP−5907)。
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