JPH11169192A - L−ホモシステインの製造方法 - Google Patents
L−ホモシステインの製造方法Info
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- JPH11169192A JPH11169192A JP25087098A JP25087098A JPH11169192A JP H11169192 A JPH11169192 A JP H11169192A JP 25087098 A JP25087098 A JP 25087098A JP 25087098 A JP25087098 A JP 25087098A JP H11169192 A JPH11169192 A JP H11169192A
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Abstract
製造する。 【解決手段】 ホモシステインチオラクトンに、チオエ
ステルを立体選択的に不斉加水分解する能力を有する微
生物の菌体及び/または該菌体処理物を作用させて、立
体配置がLである光学活性体を加水分解した後、反応液
よりL−ホモシステインを回収する。
Description
ンの製造方法に関し、詳細には医薬、農薬の重要な合成
中間体であるL−ホモシステインを、微生物反応を利用
して製造する方法に関するものである。
モシステインは、医薬、農薬の分野における重要な合成
中間体である。これまでに知られているL−ホモシステ
インの製造方法は、L−メチオニンを原料とする化学的
な合成方法のみであった。しかしながらこの方法は、高
価なL−メチオニンを用いるなど、工業的には不利であ
った。
について検討を重ねた結果、特定の微生物の作用により
ホモシステインチオラクトンを立体選択的に加水分解
し、L−ホモシステインが製造できることを見出し、本
発明を完成するにいたった。即ち、本発明はホモシステ
インチオラクトンに、チオエステルを立体選択的に不斉
加水分解する能力を有する微生物の菌体及び/または該
菌体処理物を作用させて、立体配置がLである光学活性
体を加水分解した後、反応液よりL−ホモシステインを
回収することを特徴とするL−ホモシステインの製造方
法に存する。
本発明においては、原料としてホモシステインチオラク
トンを用い、これに微生物の菌体又は該菌体処理物を作
用させて、L−ホモシステインを製造する。本発明にお
いて使用する微生物は、ホモシステインチオラクトンを
立体選択的に加水分解する能力を有するものであればい
ずれを用いても良いが、好ましい例としては例えばフザ
リウム属を挙げることが出来る。
ウム・オキシスポラム(Fusarium oxysp
orum)、フザリウム・ソラニ(Fusarium
solani)、フザリウム・パリドロセウム(Fus
arium pallidoroseum)またはアグ
ロバクテリウム・ラジオバクター(Agrobacte
rium radiobacter)などを挙げること
が出来る。上記の微生物の具体的な菌株としては、フザ
リウム・オキシスポラム(Fusarium oxys
porum)IFO30701、フザリウム・ソラニ
(Fusarium solani)IFO9955、
フザリウム・パリドロセウム(Fusarium pa
llidoroseum)IFO30200の菌株また
はアグロバクテリウム・ラジオバクター(Agroba
cterium radiobacter)MCI36
24を挙げることが出来る。
細胞融合もしくは遺伝子組換え法などの遺伝学的手法に
より誘導される組換え株などのいずれの株であってもよ
い。また、上記の菌株のうちIFO30701、IFO
9955、IFO30200は公知の菌株であり、
(財)発酵研究所(IFO)から容易に入手することが
出来る。MCI3624株は、本発明者らにより天然土
壌から分離された細菌であり、工業技術院生命工学技術
研究所にFERM P−16939として寄託されてい
る。MCI3624株の菌学的性質は以下の通りであ
る。
後 円形、半レンズ状、うす黄、不透明、光沢のコロニ
ーを形成。コロニー表面は平滑 (2)肉汁液体培養 混濁が見られるが、液面
における膜の形成はない (3)肉汁ゼラチン穿刺培養 ゼラチン液化なし (4)リトマス・ミルク 弱いアルカリ
えない (19)その他の諸性質 アルギニンジヒドロラーゼ 陽性 エスクリンの分解 陽性 β−ガラクトシダーゼ 陽性 有機酸の利用 グルコン酸 陽性 DL−リンゴ酸 陽性 アジピン酸 陰性 n−カプリン酸 陰性
対好気性、3)芽胞を形成しない、4)運動性なし、
5)O−Fテストは酸化型、6)硝酸塩還元能及び脱窒
素能を有する、7)硫化水素を生成しない、8)主要な
イソプレノイドキノンはユビキノンQ10を有する、
8)DNA中のG+C含量は59.7モル%などの特徴
を持っている。これらの特徴から、本菌株はバージェイ
ズマニュアル・システマティック・バクテリオロジー
[Bergey’s Manual of Syste
matic Bacteriology]第1巻、23
4〜256頁(1984)に記載されているリゾビアシ
ーエ科(Rhizobiaceae)に含まれる、アグ
ロバクテリウム属(Agrobacterium)及び
リゾビウム属(Rhizobium)に帰属することが
示唆された。
ロバクテリウム属とリゾビウム属は属レベルでまとまっ
た菌群であることが判明している。従って本菌株の種を
決定するため、16S rRNAの塩基配列(1446
塩基)を決定した。得られた結果に基づいてデータベー
ス検索を行ったところ、本菌株はアグロバクテリウム
ツメファシエンス(Agrobactrium tum
efaciens)に最も近縁であることが判明した。
システマティック バクテリオロジー[Interna
tional Journal Systematic
Bacteriology]第43巻、694−70
2頁(1993)によると、アグロバクテリウム属には
アグロバクテリウム ツメファシエンス(A.tume
faciens)、アグロバクテリウム ラディオバク
ター(A.radiobacter)、アグロバクテリ
ウム リゾゲネス(A.rhizogenes)、アグ
ロバクテリウム ビティス(A.vitis)及びアグ
ロバクテリウムルビ(A.rubi)の5種が知られて
いるが、アグロバクテリウム ツメファシエンスとアグ
ロバクテリウム ラディオバクターは16S rRNA
の解析から同一種として統合され、アグロバクテリウム
ラディオバクターとなっている。従って本菌株はアグ
ロバクテリウム ラディオバクターと99.6%の相同
値を示し、他種(相同値94.5〜97.8%)より高
い相同性を示した。さらに生理学的性質においても、
1)37℃での生育、2)クエン酸の資化性、3)エリ
スリトール及びアラビトールの資化性、4)硝酸塩の還
元などの点で明らかに他種とは区別された。以上の結果
から、本菌株MCI3624株をアグロバクテリウム
ラディオバクター(Agrobacterium ra
diobacter)と同定した。
の1種あるいは2種以上が菌体及び/または菌体処理物
として用いられる。具体的には、上記微生物を培養して
得られた菌体をそのまま、あるいは培養して得られた菌
体を公知の手法で処理したもの、即ち、アセトン処理し
たもの、凍結乾燥処理したもの、菌体を物理的または酵
素的に破砕したもの等の菌体処理物を用いることができ
る。また、これらの菌体または菌体処理物から、ホモシ
ステインチオラクトンに作用しこれをL−ホモシステイ
ンへ変換する能力を有する酵素画分を粗製物あるいは精
製物として取り出して用いることも可能である。さらに
は、このようにして得られた菌体、菌体処理物、酵素画
分等をポリアクリルアミドゲル、カラギーナンゲル等の
担体に固定化したもの等を用いることも可能である。そ
こで本明細書において、「菌体及び/または該菌体処理
物」の用語は、上述の菌体、菌体処理物、酵素画分、及
びそれらの固定化物全てを含有する概念として用いられ
る。
に説明する。本発明の製造方法において微生物は、通
常、培養して用いられるが、この培養については定法通
り行うことができる。本微生物の培養の為に用いられる
培地には本微生物が資化しうる炭素源、窒素源、及び無
機イオン等が含まれる。炭素源としては、グルコース等
の炭水化物、グリセロール等のアルコール類、有機酸そ
の他が適宜使用される。窒素源としては、肉エキス、N
Zアミン、トリプトース、酵母エキス、ポリペプトン、
コーンスティープリカーその他が適宜使用される。無機
イオンとしては、リン酸イオン、マグネシウムイオン、
鉄イオン、マンガンイオン、モリブデンイオンその他が
必要に応じ適宜使用される。更に、イノシトール、パン
トテン酸、ニコチン酸アミドその他のビタミン類を必要
に応じ添加することは有効である。また、チオラクトン
やラクトン類を添加することも有効である。培養は、好
気的条件下に、pH約3〜8、温度約20〜35℃の適
当な範囲に制御しつつ15〜100時間行う。
を作用させてL−ホモシステインを製造する方法とし
て、本微生物を培養し、得られた菌体懸濁液にホモシス
テインチオラクトンを添加し反応させL−ホモシステイ
ンを得る方法、培地にホモシステインチオラクトンを添
加し培養と反応を同時に行う方法、あるいは培養終了
後、ホモシステインチオラクトンを添加して更に反応を
行う方法等を用いることができる。反応温度は15〜4
0℃が好ましく、pH4〜10の範囲である。ホモシス
テインチオラクトン濃度は0.1〜50%の範囲が望ま
しく、必要ならばホモシステインチオラクトンは反応の
間、追補添加される。また、必要に応じて金属イオンを
添加することにより反応が促進される場合がある。培養
及び反応で得られたL−ホモシステインの採取方法とし
ては晶析などの通常の分離・精製方法により行うことが
できる。
説明するが、その要旨を越えない限り本発明の技術分野
における通常の変更をすることができる。 実施例1 グルコース 10.0g/L、ポリペプトン 5.0g
/L、酵母エキス 5.0g/L及びコーンスティープ
リカー 5.0g/L(pH6.0)の組成からなる液
体培地50mLに、フザリウム・オキシスポラム(Fu
sariumoxysporum) IFO30701
を接種し、27℃で72時間好気的に培養した。培養終
了後、菌体を集め50mM塩化カリウム水溶液で洗浄し
た。これに10.0g/Lのホモシステインチオラクト
ンを含む100mMMES緩衝液(pH6.0)を加
え、全量を50mLとし30℃で24時間反応させた。
反応終了時のホモシステイン生成蓄積量は6.5g/L
であり、得られたL−ホモシステインの光学純度は60
%e.e.であった。
0.0g/L、ポリペプトン 5.0g/L、酵母エキ
ス 5.0g/L、コーンスティープリカー5.0g/
L(pH6.0)の組成からなる液体培地50mLに接
種し、27℃で72時間好気的に培養した。培養終了
後、菌体を集め50mM塩化カリウム水溶液で洗浄し
た。これに10.0g/Lのホモシステインチオラクト
ンを含む100mMMES緩衝液(pH6.0)を加
え、全量を50mLとし30℃で24時間反応させた。
得られた結果を表1に示す。
ス 5.0g/l、酵母エキス 1.0g/lの組成か
らなる液体培地10mlに、アグロバクテリウム・ラジ
オバクター(Agrobacterium radio
bacter)MCI3624を接種し、28度で24
時間好気的に培養した。培養終了後、菌体を集め、0.
85%塩化ナトリウムで懸濁し菌体懸濁液0.8mlを
得た。この菌体懸濁液0.4mlに250mMのホモシ
ステインチオラクトンを0.4ml、pH7.0の1M
リン酸緩衝液0.2mlを加え、37度で24時間反応
させた。反応終了時のホモシステインの蓄積量は50m
Mであり、得られたL−ホモシステインの光学純度は7
9.6%e.e.であった。
インの製造方法は従来の方法に比べ安価な方法であるこ
とから、L−ホモシステインの工業的な生産を行う際に
非常に有効である。
Claims (3)
- 【請求項1】 ホモシステインチオラクトンに、チオエ
ステルを立体選択的に不斉加水分解する能力を有する微
生物の菌体及び/または該菌体処理物を作用させて、立
体配置がLである光学活性体を加水分解した後、反応液
よりL−ホモシステインを回収することを特徴とするL
−ホモシステインの製造方法。 - 【請求項2】 微生物がフザリウム属に属する微生物で
あることを特徴とする請求項1記載の製造方法。 - 【請求項3】 微生物がアグロバクテリウム属に属する
微生物であることを特徴とする請求項1記載の製造方
法。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
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JP9-274283 | 1997-10-07 | ||
JP25087098A JP3743172B2 (ja) | 1997-10-07 | 1998-09-04 | L−ホモシステインの製造方法 |
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---|---|
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JP25087098A Expired - Fee Related JP3743172B2 (ja) | 1997-10-07 | 1998-09-04 | L−ホモシステインの製造方法 |
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1998
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