JP4072667B2 - ウラシルチミンデヒドロゲナーゼ及びその製造方法 - Google Patents

ウラシルチミンデヒドロゲナーゼ及びその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ウラシルチミンデヒドロゲナーゼ及びその製造方法に関する。ウラシルチミンデヒドロゲナーゼは、ウラシル及びチミンの酸化反応を触媒する酵素であり、ヌクレオシドホスホリラーゼやヌクレオシドトランスフェラーゼによる塩基交換反応を利用したプリンヌクレオシド化合物の製造の効率化に有用である。プリンヌクレオシド化合物の製造において、本酵素は、ピリミジンヌクレオシドとプリン塩基との塩基交換により生成されるピリミジン塩基を、塩基交換を触媒する酵素の基質になり得ない化合物に変換する役割を果たす。なお、塩基交換反応による該プリンヌクレオシド化合物の製造方法の詳細は、例えば特開平11−46790に開示されている。また、本酵素はピリミジン化合物の定量に利用することも可能である。
【0002】
【従来の技術】
ウラシルチミンデヒドロゲナーゼは微生物に存在することが知られているが、該酵素に関する記載及び報告は次のようなものがある。▲1▼Hayaishi, O. &; Kornberg, A. : J.Biol. Chem., 197, 717-732(1952)、▲2▼Hayaishi, O. : Meth. Enzymol., 2, 492-493(1955)、▲3▼Wang, T.P. &; Lampen, J.O. : J. Biol. Chem. 194, 785-791(1952)、▲4▼Bharat, N.P. &; West, T.P. : FEMS Microbiol. Lett., 40, 33-36(1987)。しかしながら、これまでウラシルチミンデヒドロゲナーゼは精製困難な酵素の一つとされ、途中まで精製されたことはあっても、単離されたことはなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、特定の理化学的性質を有するウラシルチミンデヒドロゲナーゼを提供すること、及びウラシルチミンデヒドロゲナーゼを生産する能力を有する微生物から該酵素を安定的に製造する方法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上述の課題を解決すべく、ウラシルチミンデヒドロゲナーゼを生産する能力を有する微生物を鋭意探索した結果、微生物から該酵素を安定的に得る方法を見いだし、本発明を完成するに至った。
【0005】
すなわち、本発明の要旨は以下のとおりである。
【0006】
▲1▼.次の理化学的性質を有するウラシルチミンデヒドロゲナーゼ。
(1)作用
ウラシル+電子受容体(酸化型)+水→バルビツール酸+電子受容体(還元型)
(2)基質特異性
ウラシル、チミン、5−アルキルウラシル、5−ハロゲンウラシルに対して作用する。
(3)至適pH及び安定pH
至適pHは8.5付近であり、pH6.5〜12において30℃で30分加熱しても失活しない。
(4)至適温度
至適温度は50℃付近。
(5)熱安定性
pH8において40℃〜50℃で30分加熱しても失活しない。
(6)阻害
SH阻害剤である、ひ酸ナトリウム、p−クロロメルクリベンゾエートによって阻害を受け、電子伝達阻害剤であるKCNによって阻害を受け、重金属イオンであるCu2+、Zn2+、Co2+、Hg2+によって著しい阻害を受ける。
(7)活性化
セリウムによって活性化を受ける。
(8)分子量
ゲルろ過法による分子量は355,000。
(9)サブユニットの分子量
SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法によるサブユニットの分子量は、90,000、35,000及び25,000。
(10)ミカエリス定数
ミカエリス定数(Km)はウラシルに対して0.83mM、チミンに対して0.71mM。
【0007】
▲2▼.以下の部分アミノ酸配列を有する上記▲1▼記載のウラシルチミンデヒドロゲナーゼ。
(1)分子量35,000のサブユニットのN−末端アミノ酸配列:Met−Lys−Pro−Ser−Pro−Leu−Thr−Tyr−His−Arg−Pro−Ser−Ser−Val−Glu−Asp−Ala
(2)内部アミノ酸配列:
(その1)Ile−Gly−Lys−Pro−Ile−Pro−Arg−Glu−Glu−Asp−Thr−Arg−Leu−Leu−Ser−Gly−Gln−Gly−Arg−Tyr−Leu−Asp−Asp−Leu−Gly−His−Asn−Ala
(その2)Ala−Ala−Thr−Gly−Leu−Thr−Thr−Gln−Gly−Gln−Gly−His−Gln−Thr−Ala−Phe−Ala−Gln−Ile−Val−Ala−Asp−Asp−Leu−Gly−Val−Lys
(その3)Val−Ser−Asp−Val−Glu−Ile−Val−Thr−Gly−Asp−Thr−Arg−Arg−Phe−Gly−Tyr−Ala−Val−Gly−Thr−Phe−Ala−Ser−Arg−Gly−Ala−Val−Met−Ser−Gly−Ser−Ala−Phe−His−Val−Ala
【0008】
▲3▼.上記▲1▼又は▲2▼記載のウラシルチミンデヒドロゲナーゼを生産する能力を有する微生物を培養し、培養物から該酵素を採取することを特徴とするウラシルチミンデヒドロゲナーゼの製造方法。
【0009】
▲4▼.前記微生物がロドコッカス属に属する微生物である上記▲3▼記載のウラシルチミンデヒドロゲナーゼの製造方法。
【0010】
▲5▼.前記微生物がロドコッカス・エリスロポリス JCM 3132又はロドコッカス・エリスロポリス JCM 3191である上記▲3▼記載のウラシルチミンデヒドロゲナーゼの製造方法。
【0011】
▲6▼.ウラシルチミンデヒドロゲナーゼを微生物より採取するとき該酵素の安定剤としてNADH又はNADPHを加えることを特徴とする上記▲3▼〜▲5▼の何れか1記載のウラシルチミンデヒドロゲナーゼの製造方法。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0013】
[ウラシルチミンデヒドロゲナーゼ]
本発明において、ウラシルチミンデヒドロゲナーゼの単離に成功し、該酵素が上述の▲1▼および▲2▼に記載の性質を有することを見出した。
【0014】
本発明の酵素は、ウラシルをバルビツール酸に酸化する反応を触媒する。
ウラシル+電子受容体(酸化型)+水→バルビツール酸+電子受容体(還元型)
また本発明の酵素は、チミン(5−メチルウラシル)を5−メチルバルビツール酸に酸化する反応を触媒する。
チミン+電子受容体(酸化型)+水→5−メチルバルビツール酸+電子受容体(還元型)
ここで電子受容体は、電子を受け取ってそれ自体は還元され、電子供与体(ウラシルもしくはチミン)を酸化するものであれば特に限定されない。
【0015】
本発明のウラシルチミンデヒドロゲナーゼの基質特異性は、ウラシル、チミンのほかに、ピリミジン骨格を有する物質、なかでも5位が置換されたウラシルを挙げることができる。5位が置換されたウラシルとして、5−アルキルウラシル、5−ハロゲンウラシル、5−ニトロウラシルなどが挙げられる。5位が置換されたウラシル以外にピリミジン骨格を有する物質として、4−(3H)−ピリミドンなどが挙げられる。より詳細には、5−アルキルウラシルとして、5−エチルウラシル、5−プロピルウラシルなどが挙げられ、5−ハロゲンウラシルとして、5−フルオロウラシル、5−クロロウラシル、5−ブロモウラシルなどが挙げられる。また、チミンのメチル基、5−アルキルウラシルのアルキル基が更に別の置換基(例えばハロゲン)で置換された物質、例えば5−トリフルオロメチルウラシルなども基質として挙げることができる。
【0016】
本発明のウラシルチミンデヒドロゲナーゼは、SH阻害剤(例えば、ひ酸ナトリウム、p−クロロメルクリベンゾエート)により阻害を受け、更に電子伝達阻害剤(例えば、KCN)により阻害を受ける。また、本発明の酵素は、重金属イオン(例えば、Cu2+、Zn2+、Co2+、Hg2+)により著しい阻害を受ける。なお、本発明においてSH阻害剤とは、酵素のSH基と反応してその活性を阻害する化合物をいい、電子伝達阻害剤とは、電子伝達系で起こる反応を阻害する化合物、とりわけ電子伝達系に関与するシトクロムcオキシダーゼの活性を阻害する化合物をいう。
【0017】
本発明の酵素の他の性質(至適pH、至適温度、分子量、サブユニットの分子量、ミカエリス定数、該酵素の活性化剤など)は、上述の▲1▼および▲2▼の記載や後述する実施例の記載のとおりであり、酵素の性質の詳細については、これらの記載を参照されたい。
【0018】
[ウラシルチミンデヒドロゲナーゼの製造方法]
本発明におけるウラシルチミンデヒドロゲナーゼの生産菌は、本発明における理化学的性質を有するウラシルチミンデヒドロゲナーゼを生産する能力を有する微生物であれば特に制限されないが、好ましくは、ロドコッカス属に属する微生物が挙げられる。より具体的に好ましくはロドコッカス・エリスロポリス(Rhodococcus erythropolis)JCM 3132、ロドコッカス・エリスロポリス JCM 3191が挙げられる。JCMは理化学研究所微生物系統保存施設の保存菌株であることを示す。本菌株はJCM菌株カタログ第7版(1999)に掲載されている。
【0019】
本菌株の培養は、ロドコッカス属に属する微生物の通常行われる条件で行えばよい。培地としては炭素源及び窒素源としてトリプトン、酵母エキスを含む培地を用い、培養は振盪培養又は通気撹拌培養で行い、培養温度は28℃で行うことが好ましい。ウラシルチミンデヒドロゲナーゼの生産のために、微生物は例えば、1〜2日間培養する。
【0020】
培養物からウラシルチミンデヒドロゲナーゼを採取するには、通常用いられる方法に従って行えばよい。例えば、遠心分離などによって集菌した菌体を超音波あるいはガラスビーズなどで機械的に破砕した後、遠心分離などにより細胞片などの固形物を除き、粗酵素液を得る。次に、硫安、芒硝などの塩析法、塩化マグネシウム、塩化カルシウムなどによる金属凝集法、プロタミン、エチレンイミンポリマーなどによる凝集法、イオン交換クロマトグラフィー、ゲルろ過クロマトグラフィーなどによるクロマトグラフ法、ゲル電気泳動法などを用いて、本酵素を採取することができる。
【0021】
採取中、酵素の安定化を目的として、酵素を含む溶液にNADH(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)又はNADPH(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸)を加えることが好ましい。使用量は、0.1〜3.0mMであり、好ましくは、0.1〜1.0mMである。
【0022】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明する。本発明はこれらに限定されるものではない。
【0023】
実施例1:ウラシルチミンデヒドロゲナーゼの製造
<本酵素生産菌の培養>
ウラシル2g、リン酸二カリウム3g、リン酸一カリウム1g、酵母エキス0.2g、バクトトリプトン(ディフコ社製)0.2g、シーソルト(日本たばこ産業社製)0.5g及び水1LからなるpH7の培地を用いた。2Lの三角フラスコに培地0.5Lを入れ滅菌した後にロドコッカス・エリスロポリス(Rhodococcus erythropolis) JCM 3132の菌体を添加し、28℃で4日間振とう培養した。培養終了後、湿菌体を遠心分離(10,000g、4℃、10分)により集菌した。
【0024】
<本酵素の採取>
上述で得られた湿菌体を0.1mMのNADPHと0.1mMのジチオスレイトールを含む25mMホウ酸緩衝液(pH11.8)に懸濁し、超音波で菌体を破砕した。菌体破砕液を超遠心分離(30,000g、10分)を行い、上清をDEAE Sephacel(ファルマシア社製)を充填したカラムに添加し活性画分を分取した。限外ろ過で濃縮した後、Phenyl−sepharose(ファルマシア社製)を充填したカラムに添加し活性画分を分取した。限外ろ過で濃縮した後、Superdex S−200(ファルマシア社製)を充填したカラムに添加し活性画分を分取した。限外ろ過で濃縮した後、MonoQ HR5/5(ファルマシア社製)を充填したカラムに添加し活性画分を分取した。限外ろ過で濃縮した後、Superose S−6(ファルマシア社製)を充填したカラムに添加し活性画分を分取した。限外ろ過で濃縮し、ウラシルチミンデヒドロゲナーゼ(以下、本酵素という)0.1mgを得た。
【0025】
精製の要約を表1に示す。本酵素の比活性は8.6U/mgタンパク質であった。1Uは1分間に1μmolのウラシルを加水分解する酵素量を表す。
【0026】
本酵素の活性測定は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によりウラシルの分解又はバルビツール酸の生成を定量分析することにより行った。
<HPLCの条件>
カラム:Cosmosil 5C18AR-11(ナカライテスク製)、4.6×250mm
溶媒:150mMリン酸カリウム緩衝液(pH6.4)
送液量:1ml/min
検出器:UV254nm
【0027】
【表1】
Figure 0004072667
【0028】
実施例2:ウラシルチミンデヒドロゲナーゼの安定剤としてのNADH又はNADPHの効果
実施例1で得られた湿菌体(20重量%)を0.5mMのNADH又はNADPHの存在下及び非存在下で、pH7(0.1Mリン酸カリウム緩衝液)、pH10.3(0.1Mホウ酸緩衝液)及びpH11.6(0.1Mホウ酸緩衝液)に懸濁し、4℃で保存した。そこから経時的にサンプリングし、超音波細胞破砕により無細胞抽出液とした後、無細胞抽出液0.01ml、5mMのウラシル及び1mMメチレンブルーを含む100mMトリス塩酸緩衝液(pH8.5)の0.1ml溶液を30℃で10分間反応させ、分解した基質を定量した。
【0029】
その結果、表2に示すように、NADH及びNADPHを添加することによってウラシルチミンデヒドロゲナーゼ活性の安定化が認められた。
【0030】
【表2】
Figure 0004072667
【0031】
実施例3:本酵素の理化学的性質
(1)作用及び基質特異性
本酵素0.1μg、表3に示す5mMの各種基質及び1mMメチレンブルーを含む100mMトリス塩酸緩衝液(pH8.5)の0.1ml溶液を30℃で10分間反応させ、分解した基質を定量した。結果を表3に示す。本酵素はウラシル、チミンの他、ウラシルのアルキル化物、ウラシルのハロゲン化物、5−ニトロウラシル及び4−(3H)−ピリミドンなどに作用した。ウラシルのアルキル化物としては5−エチルウラシル、5−プロピルウラシルが挙げられ、ウラシルのハロゲン化物としては5−フルオロウラシル、5−クロロウラシル、5−ブロモウラシル、5−トリフルオロメチルウラシルなどが挙げられる。
【0032】
【表3】
Figure 0004072667
【0033】
(2)至適pH及び安定pH
本酵素0.1μg、5mMウラシル及び1mMメチレンブルーを含む、50mMトリス−塩酸緩衝液(pH6.7〜8.7)又は50mM炭酸ナトリウム緩衝液(pH8.5〜10.7)の1ml溶液を30℃で10分間反応させ、生成したバルビツール酸を定量した結果、活性の最適pHは8.5であった。
また、本酵素をpH3〜12の間で30℃で30分加熱した後、残存する酵素活性を測定した結果、pH6.5〜12において安定であった。
【0034】
(3)至適温度
本酵素0.1μg、5mMウラシル及び1mMメチレンブルーを含む100mMトリス−塩酸緩衝液(pH8.5)の1ml溶液を20〜70℃の各種温度で10分間反応させ、生成したバルビツール酸を定量した結果、至適温度は50℃であった。
【0035】
(4)熱安定性
本酵素を100mMトリス塩酸緩衝液(pH8)中で各々40、50、60℃においてインキュベートし、30分経過後における残存する酵素活性を測定した。酵素活性は、本酵素0.1μg、5mMウラシル及び1mMメチレンブル−を含む100mMトリス−塩酸緩衝液(pH8.5)の1ml溶液を30℃で10分間反応させ、生成したバルビツール酸を定量して求めた。その結果、40〜50℃において酵素活性の減少は認められなかった。
【0036】
(5)阻害及び活性化
本酵素0.1μg、5mMのウラシル及び1mMメチレンブルーを含む100mMトリス−塩酸緩衝液(pH8.5)の0.1ml溶液に、表4に示す2mMの各種阻害剤を添加し30℃で10分間反応させ、分解した基質を定量することにより阻害剤による影響を調べた。結果を表4に示す。SH阻害剤である、ひ酸ナリトウム[NaAsO2]、p−クロロメルクリベンゾエート[pCMB]によって阻害を受け、電子伝達阻害剤であるKCNによって阻害を受け、重金属イオンであるCu2+、Zn2+、Co2+、Hg2+によって著しい阻害を受けた。また、セリウムによって著しく活性化を受けた。
【0037】
【表4】
Figure 0004072667
【0038】
(6)セリウムによる活性化
本酵素0.1μg、2.5mMのウラシル、チミン又は5−フルオロウラシル及び1mM各種電子受容体を含む100mMトリス−塩酸緩衝液(pH8.5)の0.1ml溶液に、硫酸セリウム0.5mMを添加し、30℃で10分間反応させ、分解した基質を定量することによりセリウムによる酵素の活性化を調べた。結果を表5に示す。各反応系でセリウムを添加することにより、添加しなかったものの1.91〜5.39倍の酵素活性の向上が認められた。
【0039】
【表5】
Figure 0004072667
【0040】
(7)分子量
TSK−GEL G−3000SW(東ソー社製)を用いるゲルろ過法で分子量を測定した。標準蛋白質には、Ferritin(分子量440,000)、Lactate Dehydrogenase(分子量140,000)、Bovine Serum Albumin(分子量67,000)、Ovalbumin(分子量43,000)、Soybean Trypsin Inhibitor(分子量20,100)を用いた。その結果、分子量は355,000であった。
【0041】
(8)サブユニットの分子量
SDS−ポリアクリルアミドゲル(PAGE)電気泳動法によりサブユニットの分子量を測定した。標準蛋白質には、Phosphorylase b(分子量94,000)、Bovine Serum Albumin(分子量67,000)、Ovalbumin(分子量43,000)、Carbonic Angydrase(分子量30,000)、Soybean Trypsin Inhibitor(分子量20,100)、α−Lactalbumin(14,400)を用いた。その結果、サブユニットの分子量は90,000と35,000と25,000であった。
【0042】
(9)サブユニット組成
分子量90,000をL、分子量35,000をM、分子量25,000をSとしたとき、L222又はL321である。
【0043】
(10)ミカエリス定数
本酵素0.1μg、0.033〜1.0mMウラシル又はチミン、及び1.0mMメチレンブルーを含む100mMトリス塩酸緩衝液(pH8.5)の0.1ml溶液を30℃で10分間反応させ、生成したバルビツール酸又は5−メチルバルビツール酸を定量した。ウラシルに対するミカエリス定数(Km)は0.83mM、チミンに対するミカエリス定数は0.71mMであった。
【0044】
実施例4:本酵素のアミノ酸配列
本酵素の部分アミノ酸配列を定法により決定した。結果は以下のようであり、これまで知られているCarbon monoxide dehydrogenase、Xanthine dehydrogenase、Nicotine dehydrogenase及びQuinone oxidoreductaseと相同性が認められた。
【0045】
(1)分子量35,000のサブユニットのN−末端アミノ酸配列:Met−Lys−Pro−Ser−Pro−Leu−Thr−Tyr−His−Arg−Pro−Ser−Ser−Val−Glu−Asp−Ala
(2)内部アミノ酸配列:
(その1)Ile−Gly−Lys−Pro−Ile−Pro−Arg−Glu−Glu−Asp−Thr−Arg−Leu−Leu−Ser−Gly−Gln−Gly−Arg−Tyr−Leu−Asp−Asp−Leu−Gly−His−Asn−Ala
(その2)Ala−Ala−Thr−Gly−Leu−Thr−Thr−Gln−Gly−Gln−Gly−His−Gln−Thr−Ala−Phe−Ala−Gln−Ile−Val−Ala−Asp−Asp−Leu−Gly−Val−Lys
(その3)Val−Ser−Asp−Val−Glu−Ile−Val−Thr−Gly−Asp−Thr−Arg−Arg−Phe−Gly−Tyr−Ala−Val−Gly−Thr−Phe−Ala−Ser−Arg−Gly−Ala−Val−Met−Ser−Gly−Ser−Ala−Phe−His−Val−Ala
【0046】
【発明の効果】
本発明によれば、今まで単離することができなかったウラシルチミンデヒドロゲナーゼを微生物から安定的に製造することが可能となった。本酵素の性質を明らかにすることによってその使用方法が提供され、今後、核酸関連分野の反応に広く利用することができる。

Claims (5)

  1. 次の理化学的性質を有するウラシルチミンデヒドロゲナーゼ。
    (1)作用
    ウラシル+電子受容体(酸化型)+水→バルビツール酸+電子受容体(還元型)
    (2)基質特異性
    ウラシル、チミン、5−アルキルウラシル、5−ハロゲンウラシルに対して作用する。
    (3)至適pH及び安定pH
    至適pHは8.5付近であり、pH6.5〜12において30℃で30分加熱しても失活しない。
    (4)至適温度
    至適温度は50℃付近。
    (5)熱安定性
    pH8において40℃〜50℃で30分加熱しても失活しない。
    (6)阻害
    SH阻害剤である、ひ酸ナトリウム、p−クロロメルクリベンゾエートによって阻害を受け、電子伝達阻害剤であるKCNによって阻害を受け、重金属イオンであるCu2+、Zn2+、Co2+、Hg2+によって著しい阻害を受ける。
    (7)活性化
    セリウムによって活性化を受ける。
    (8)分子量
    ゲルろ過法による分子量は355,000。
    (9)サブユニットの分子量
    SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法によるサブユニットの分子量は、90,000、35,000及び25,000。
    (10)ミカエリス定数
    ミカエリス定数(Km)はウラシルに対して0.83mM、チミンに対して0.71mM。
  2. 以下の部分アミノ酸配列を有する請求項1記載のウラシルチミンデヒドロゲナーゼ。
    (1)分子量35,000のサブユニットのN−末端アミノ酸配列:Met−Lys−Pro−Ser−Pro−Leu−Thr−Tyr−His−Arg−Pro−Ser−Ser−Val−Glu−Asp−Ala
    (2)内部アミノ酸配列:
    (その1)Ile−Gly−Lys−Pro−Ile−Pro−Arg−Glu−Glu−Asp−Thr−Arg−Leu−Leu−Ser−Gly−Gln−Gly−Arg−Tyr−Leu−Asp−Asp−Leu−Gly−His−Asn−Ala
    (その2)Ala−Ala−Thr−Gly−Leu−Thr−Thr−Gln−Gly−Gln−Gly−His−Gln−Thr−Ala−Phe−Ala−Gln−Ile−Val−Ala−Asp−Asp−Leu−Gly−Val−Lys
    (その3)Val−Ser−Asp−Val−Glu−Ile−Val−Thr−Gly−Asp−Thr−Arg−Arg−Phe−Gly−Tyr−Ala−Val−Gly−Thr−Phe−Ala−Ser−Arg−Gly−Ala−Val−Met−Ser−Gly−Ser−Ala−Phe−His−Val−Ala
  3. 請求項1又は2記載のウラシルチミンデヒドロゲナーゼを生産する能力を有するロドコッカス属に属する微生物を培養し、培養物から該酵素を採取することを特徴とするウラシルチミンデヒドロゲナーゼの製造方法。
  4. 前記微生物がロドコッカス・エリスロポリス JCM 3132又はロドコッカス・エリスロポリス JCM 3191である請求項3記載のウラシルチミンデヒドロゲナーゼの製造方法。
  5. ウラシルチミンデヒドロゲナーゼを微生物より採取するとき該酵素の安定剤としてNADH又はNADPHを加えることを特徴とする請求項3または4記載のウラシルチミンデヒドロゲナーゼの製造方法。
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