JP3845150B2 - 定着装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真法によって画像形成を行うプリンタ等において、記録紙にトナー像等の画像を定着するための定着装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電子写真法を用いて画像形成を行うプリンタ等には、記録紙に転写されたトナー像を定着する定着装置が設けられている。定着装置は、熱源を内蔵するヒートローラと、弾性体でできた表面を持つプレスローラとの間で記録紙を加圧・加熱することによってトナー像を記録紙に定着するものである。
【0003】
一般に、記録紙の搬送路は水平に設けられるため、ヒートローラとプレスローラは、記録紙を上下から挟み込むよう配置される。また、記録紙が停止した状態でヒートローラに接していると記録紙が異常乾燥するため、従来より、プレスローラをヒートローラに対して近接及び離反する方向に移動してヒートローラとプレスローラとの間を開閉する開閉機構を設けている。
【0004】
ここで、近年、消耗部品であるヒートローラ及びプレスローラを、非消耗部品である上記の開閉機構等に対して着脱可能なユニットとした定着装置が提案されている。非消耗部品には、ヒートローラを回転駆動するための回転機構も含まれる。このような定着装置では、着脱ユニットは、記録紙搬送方向(水平方向)にスペースを取らないよう鉛直方向に着脱される。そして、着脱ユニットを上方から装着する際に、ヒートローラに設けられた従動ギアが、この従動ギアの下方に配置された回転機構の駆動ギアに係合するよう構成されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ここで、ヒートローラの加熱を開始すると、ヒートローラ本体がまず加熱され、次いでヒートローラの支軸を保持する軸受が加熱され、続いて軸受を保持するフレームが加熱される。そのため、支軸と軸受との間には、先に加熱される支軸の熱膨張を吸収するためのクリアランスが設けられ、軸受とフレームとの間には、先に加熱される軸受の熱膨張を吸収するためのクリアランスが設けられる。
【0006】
従って、回転機構の駆動ギアが回動すると、駆動ギアと従動ギアとの噛み合いの圧力角の方向に従動ギアが付勢されるため、ヒートローラの従動ギア側の一端が前記のクリアランス分だけ持ち上げられる。即ち、ヒートローラがプレスローラに対して傾斜する。この状態でプレスローラが閉じると、記録紙の幅方向の一端が他端よりも先に挟まれるが、プレスローラは停止しているため先に挾まれた方にブレーキがかかる。即ち、後に閉じた方の一端が、他端(先に閉じた方)よりも先に搬送されるため、記録紙が斜行するという問題点がある。特に、記録紙として連続記録紙を用いた場合には、頁が進むにつれて斜行が蓄積し、やがてはスキューに発展する可能性がある。
【0007】
本発明は、上記の事情に鑑み、ヒートローラの傾斜に起因する記録紙の斜行を防止することが可能な定着装置を提供すること、を目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、本発明の定着装置は、記録紙に像を定着させるための定着装置であって、熱源を内蔵するヒートローラと、該ヒートローラとの間で記録紙を加圧するため、該ヒートローラと平行に設けられたプレスローラと、プレスローラを、ヒートローラとの間で記録紙を加圧する作用位置と、該作用位置から待避した待避位置との間で移動させて、ヒートローラとプレスローラの間を開閉する開閉手段と、ヒートローラの一対の支軸のうちの一方に設けられた従動ギアと、従動ギアに係合する駆動ギアを有し、ヒートローラを回動する回動手段と、を備え、ヒートローラにおける軸方向の従動ギア側は、ヒートローラの回転時に、従動ギアと駆動ギアとの係合により、移動の方向へのプレスローラから離れる方向へ変位する構成を有し、ヒートローラを移動の方向に所定量変位可能に保持すると共に、開閉手段が、プレスローラの従動ギアに近い側の一端を、他端よりも先に、作用位置に位置させることを特徴とするものである。
【0009】
このように構成することによって、ヒートローラとプレスローラとが平行な状態で記録紙を挟み込むため、記録紙の幅方向の一端が他端に対して先に搬送されることが無い、即ち記録紙の斜行が防止される。また、記録紙として連続記録紙を用いた場合には、斜行が蓄積して大きなスキューに至ることが防止される。
【0010】
上記の開閉手段は、プレスローラの長手方向両端を支持する一対のアーム部材と、各アーム部材と夫々一体的に移動する一対のカムフォロアと、各カムフォロアに夫々係合する一対のカム部材と、一対のカム部材を同期回転するアクチュエータと、を備えており、一対のカム部材は、夫々異なる形状に構成することができる。このように構成することによって、簡単な機構で、プレスローラをヒートローラと平行にすることが可能になる。なお、上記の一対のカム部材は、互いに異なる輪郭を持った一対の板カムとして構成することが可能である。
【0011】
また、ヒートローラの支軸と該支軸を保持する軸受との間、及び軸受と該軸受を保持する保持部材との間には、所定のクリアランスが設けられている。このクリアランスは、ヒートローラの加熱開始時における、支軸と軸受及び保持部材の熱膨張の差を吸収するために設けられたものである。また、ヒートローラ及びプレスローラは、定着装置に対して着脱可能なフレームに取り付けられており、従動ギアと駆動ギアは当該フレームを定着装置に装着することによって係合するものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る定着装置の実施の形態を説明する。実施の形態として示すプリンタ1は、所謂電子写真法を利用して、連続記録紙である記録紙Pに画像を形成するプリンタである。
【0013】
まず、プリンタ1の概略構成について説明する。
図1は、プリンタ1の概略構成を示す側面図である。図1において、プリンタ1は、画像情報に応じて変調されたレーザー光を照射する走査光学装置15と、走査光学装置15からの射出光により潜像を形成される感光体ドラム16と、感光ドラム16を一様に帯電する帯電部17と、潜像をトナーにより現像する現像ユニット18と、トナー像を記録紙に転写する転写部20と、トナー像を記録紙Pに定着させる定着装置30を、ハウジング10内に収容したものである。
【0014】
画像形成は、次のようにして行われる。
画像情報に応じて変調されたレーザー光が走査光学装置15から出射され、感光ドラム16の表面を露光する。感光ドラム16は、帯電部17にてその表面の感光体が一様に帯電され、上記の変調レーザ光により露光されることにより、潜像が形成される。感光ドラム16表面に形成された潜像に、現像ユニット18によりトナーが付着されてトナー像が形成される。感光ドラム16表面のトナー像は、転写部20においてコロナチャージャ19を放電させることによって記録紙Pに転写され、記録紙Pに転写されたトナー像は定着装置30によって加圧・加熱されて記録紙P上に定着される。
感光体ドラム16の表面に残った残留トナーはクリーニング部13で除去され、感光体ドラム表面は除電部14で除電されて次の画像形成の準備が行われる。
【0015】
記録紙Pは、ハウジング10の図中右側に形成された挿入口11から挿入され、前述の転写部20、定着装置30を通って、ハウジング10の図中左側に設けられた排出口12から排出される。記録紙Pは、転写部20と定着装置30の間に設けられたトラクタユニット60によって搬送される。トラクタユニット60は、記録紙Pの幅方向両端に設けられた送り孔に係合する突起を有するトラクタベルト61を一対のプーリ62によって周回移動するよう構成されており、プーリ62はトラクタモータ84により駆動される。
【0016】
なお、トラクタモータ84と、定着装置30を駆動する後述の定着駆動モータ82と、感光ドラム16の回動等を行うメインモータ86とは、制御部80によって制御される。
【0017】
ハウジング10の上部は、揺動開成可能な上部ハウジング10aとなっており、当該上部ハウジング10aには走査光学装置15が収納されている。そのため、ユーザーは、上部ハウジング10aを揺動開成させて、プリンタ1の上方から定着装置30あるいはトラクタユニット60を臨むことができる。
【0018】
定着装置30は、熱源を内蔵したヒートローラ40と、弾性体でできた表面を持つプレスローラ50が設けられている。また、定着装置30には、ヒートローラ40とプレスローラ50とを開閉するための開閉機構33が設けられている。開閉機構33は、プレスローラ50を、ヒートローラ40との間で記録紙Pを加圧する作用位置と、当該作用位置から待避した待避位置との間で移動するものである。
【0019】
ここで、転写部20では、コロナチャージャ19が揺動軸21により揺動可能に設けられた揺動ホルダ22に支持され、感光ドラム16の表面に近接した作用位置と、感光ドラム16から離間した待避位置との間で移動可能となっている。この揺動ホルダ22は、開閉機構33により駆動されるスライドアーム23によって揺動する。
【0020】
また、定着装置30と排出口12との間には、記録紙Pを排出するための排出ローラ部70が設けられている。排出ローラ部70は記録紙Pに対し上下に配置された上部ローラ71及び下部ローラ72よりなっている。上部ローラ71は、開閉機構33と連動して、下部ローラ72との間で記録紙Pを挟む作用位置と、当該作用位置から待避した待避位置との間で移動する。
【0021】
プリンタ1は、画像形成が行われた頁をユーザーが切り離したり、目視確認したりできるように、画像形成処理が終了すると、記録紙Pの画像形成済みの頁をプリンタ1の外に一旦排出するよう構成されている。そして、次の画像形成を行う際には、記録紙Pを引き戻して画像形成を再開する。そのため、記録紙Pの引き戻し時又は停止時には、開閉機構33によって、プレスローラ50とコロナチャージャ19及び上部ローラ71が待避位置に移動して、記録紙Pの搬送路を開放する。
【0022】
次に、定着装置30の詳細について説明する。
定着装置30において、消耗部品であるヒートローラ40及びプレスローラ50は、プリンタ1に対し着脱可能な着脱ユニット32に保持されており、この着脱ユニット32は、ユーザーが上部ハウジング10aを開成することによって、上方に取り外すことができるよう構成されている。
【0023】
図2は、着脱ユニット32を示す斜視図である。図2に示すように、着脱ユニット32は、上部フレーム120と下部フレーム130を上下に重ね、各フレームにヒートローラ40及びプレスローラ50を夫々平行に設けたものである。上部フレーム120は、下面が開口した略直方体形状を有している。また、下部フレーム130は、略長方形の底板131と、底板131の長手方向両端に立設された側板132よりなっている。
【0024】
図3は、着脱ユニット32を含む定着装置30を記録紙Pの搬送方向下流側から見た断面図である。ヒートローラ40は、中空のローラ部40aの内部に熱源41を設けたものであり、ローラ部40a長手方向両端には支軸42が突出している。支軸42は上部フレーム120に対してラジアル軸受43によって保持されている。また、支軸42の一端には、ヒートローラ40を回動するためのローラギア44(従動ギア)が固定されている。
なお、ヒートローラ40の熱源を加熱するための構成については、説明及び図示を省略する。
【0025】
プレスローラ50は、ヒートローラ40との間で記録紙Pを加圧した状態で、ヒートローラ40に従動して回転する従動ローラである。プレスローラ50は、固定支軸51と、固定支軸51の回りにラジアル軸受52を介して回転可能に設けられた円筒部53とからなっており、円筒部53はゴム等の弾性部材で構成されている。
【0026】
図2に示すように、上部フレーム120の長手方向両側面には、下端に開口し上方に向けて延びる逆U字型の溝123が形成されている。溝123の幅は軸受43の外径よりも所定量だけ大きく形成されている。また、下部フレーム130の側板132の上端132aは、軸受43の外周に沿った曲面形状を有している。従って、軸受43は、上部フレーム120の溝123と、下部フレーム130の側板132の上端132aとによって保持される。
一方、下部フレーム130には、プレスローラ50の支軸51を挿通するため、上端132aに開口し下方に向けて延びるU字型の溝133が形成されている。溝133は、その内側に沿って支軸51が移動し得る幅を有している。
【0027】
図3に示すように、定着装置30には、ヒートローラ40とプレスローラ50の間の開閉を行うための開閉機構33(開閉手段)、及びヒートローラ40の回転駆動を行う回動機構34(回動手段)が設けられている。
開閉機構33及び回動機構34は、上方から着脱ユニット32を装着することができるコの字形状の断面を持つベースフレーム35に取り付けられている。ベースフレーム35は、長方形の底板36と、底板36の長手方向両端に立設された一対の側板37よりなっている。消耗部品であるヒートローラ40及びプレスローラ50に対し、開閉機構33、回動機構34及びベースフレーム35は定着装置30における非消耗部品を構成する。
【0028】
着脱ユニット32は、図3に矢印で示すように、上方からベースフレーム35に装着される。図4に、着脱ユニット32をベースフレーム35に装着した状態を示す。図4に示すように、着脱ユニット32をベースフレーム35に装着すると、ヒートローラ40のローラギア44は、回動機構34に設けられた後述の第3ギア147に上方から係合する。
【0029】
図5は、定着装置30から着脱ユニット32を取り外した状態を示す平面図である。なお記録紙Pの搬送方向を矢印で示す。ベースフレーム35の一方の側板37には、定着駆動モータ82を取り付けるためのモータ取付板39が取り付けられている。
モータ取付板39は側板37と平行に設けられ、定着駆動モータ82は出力軸142を側板37に向けて突出させた状態でモータ取付板39に取り付けられている。出力軸142にはモータギア143が固定されている。モータギア143は、側板37とモータ取付板39との間に設けられた支軸144の回りに回転可能に設けられた第1ギア145に係合している。回転軸144には、第1ギア145と一体となって回動する第2ギア146が設けられている。第2ギア146は、側板37に対し回転可能に設けられた第3ギア147(駆動ギア)に係合し、この第3ギア147がヒートローラ40のローラギア44(図4)に係合する。
【0030】
一方、前記の第2ギア146には、第3ギア147の他に、側板37に回転可能に支持された第4ギア148が係合している。第4ギア148は、同軸に固定された第5ギア149を介して、第6ギア150に係合している。第6ギア149は、クラッチ151を介してカムシャフト152に連結されている。即ち、クラッチ151のオンオフによって、定着駆動モータ82の駆動力を利用してカムシャフト152の回動が行われる。
【0031】
カムシャフト152は、ベースフレーム35の両側板37,37間に亘って延びており、その両端近傍には、プレスローラ50を昇降駆動するための第1ディスクカム153、第2ディスクカム154が固定されている。また、カムシャフト152の長手方向のほぼ中心部には、カムシャフト152の回転角度を検知するためのエンコーダホイール112が固定され、ベースフレーム35の底板36には、エンコーダホイール112を読み取るためのフォトインタラプタ113が形成されている。
【0032】
また、カムシャフト152のほぼ中心部には、転写部20(図1)のコロナチャージャー19を保持する揺動ホルダ22を揺動させるための第3ディスクカム155が固定されている。第3ディスクカム155には、転写部20に向けて延びるスライドアーム23に設けられたカムフォロア104が当接しており、カムシャフト152の回動によって、スライドアーム23が図中上下方向に移動される。この揺動ホルダ22の揺動の詳細については説明を省略する。
【0033】
なお、ベースフレーム35の搬送方向下流側(図中下側)には、記録紙Pを排出するための排紙ローラ部70が設けられている。排紙ローラ部70は、ベースフレーム35の長手方向に延びる上下一対の支軸73、74と、上側の支軸73に固定された一対のローラ部材である上部ローラ71、及び下側の支軸74に固定された一対のローラ部材である下部ローラ72よりなっており、両ローラ71,72が記録紙Pを上下から挟むよう配置されている。
【0034】
ベースフレーム35の長手方向両端近傍には、支軸73,74を支持するための一対の板部材77,77が立設され、支軸73,74の夫々の両端は、板部材77,77に形成された孔に挿通されている。なお、板部材77,77に形成された、支軸73の両端を挿通するための孔77a,77aは、上下方向(紙面に直交する方向)に長く形成され、支軸73が孔77a,77aに沿って上下方向に所定量移動できるようになっている。
【0035】
支軸74の回動機構34側の一端には排出ギア159が固定され、排出ギア159は中間ギア158を介して第3ギア147に連結している。即ち、定着駆動モータ82の駆動によって、ヒートローラ40と同時に下部ローラ72も回転する。
【0036】
次に、開閉機構33について説明する。側板37,37から内側に向けて夫々支軸160が突出形成され、両支軸160には、揺動アーム161が揺動可能に支持されている。そして、揺動アーム161を挟んで図中手前側と奥側に、圧縮バネ94bを介して揺動アーム161と一体的に揺動するプレート対169,162が設けられている。プレート対169,162は、ディスクカム153,154に係合するカムフォロア163が設けられている。プレート162は、底板36に一端を固定された引っ張りばね164によって、カムフォロア163とディスクカム153,154とが常時係合するよう付勢されている。
【0037】
このようにして、ディスクカム153,154の回転によってカムフォロア163と一体となったプレート対169,162が揺動し、この回転運動が圧縮バネ94bを介して揺動アーム161に伝達され、揺動アーム161の揺動によりプレスローラ50が昇降する。
【0038】
図6(a)、(b)は、開閉機構33によるヒートローラ40とプレスローラ50の開閉状態を示す側面図である。ディスクカム153,154の回転に伴って、ディスクカム153,154とカムフォロア163との係合によって揺動アーム161が揺動する。揺動アーム161の先端は、プレスローラ50の支軸51の下側に当接しており、アーム161の上下動に伴い、プレスローラ50が昇降する。
【0039】
ディスクカム153,154の形状は、最大半径(点D)でカムフォロア163に当接した時にヒートローラ40とプレスローラ50との間が記録紙Pを挟んで閉じ(図6(a))、最小半径(点A)でカムフォロア163に当接した時にプレスローラ50がヒートローラ40から最も離間する(図6(b))ように定められている。このように、ディスクカム153,154の回転によって、プレスローラ50が作用位置と待避位置との間で昇降する。
【0040】
なお、揺動アーム161と連動して、定着装置30に導かれる記録紙Pを下方からガイドするガイドプレート90が揺動可能に設けられている。ガイドプレート90は、側板37に設けられた支軸91により支持された揺動部材92に固定されている。揺動部材91には、揺動アーム161の上端に当接する当接片93が設けられ、当接片93と揺動アーム161との間には引っ張りバネ94が設けられている。そのため、ガイドプレート90は揺動アーム161の位置に応じて揺動し、揺動アーム161が待避位置にある時には、記録紙Pをヒートローラ40とプレスローラ50のいずれとも接しないようガイドする(図6(b))。
【0041】
また、揺動アーム161の先端部161aは、排出ローラ部70の上部ローラ71と下部ローラ72とを開閉させるための揺動レバー75に当接する。揺動レバー75は側板37に設けられた支軸76により揺動可能に支持され、揺動レバー75上には上部ローラ71の支軸73が保持されている。従って、揺動アーム161の揺動に伴って、上部ローラ71が昇降し、下部ローラ72との間を開閉する。
【0042】
次に、記録紙Pの斜行防止のための構成について説明する。
本実施の形態のプリンタ1では、記録紙Pが停止した状態でヒートローラ40と接しないよう、ヒートローラ40の回転開始後に、プレスローラ50が上昇し、ヒートローラ40との間で記録紙Pを挟むよう構成されている。
【0043】
ヒートローラ40の加熱を開始すると、ヒートローラ40がまず加熱され、次いでヒートローラ40の支軸42を保持する軸受43が加熱され、続いて軸受43を保持する上部フレーム120が加熱される。そのため、図4に示すように、支軸42と軸受43との間には、先に加熱される支軸42の熱膨張を吸収するためのクリアランスxが設けられ、軸受43と上部フレーム120との間には、先に加熱される軸受の熱膨張を吸収するためのクリアランスyが設けられる。
【0044】
従って、第3ギア147が回動すると、第3ギア147とローラギア44との噛み合いの圧力角の方向(即ち略上方)にローラギア44が付勢され、ヒートローラ40の一端が前記のクリアランス(x+y)分だけ持ち上げられる。即ち、ヒートローラ40がプレスローラ50に対して傾斜する。この状態で、プレスローラ50が閉じると、記録紙Pの幅方向の一端が先にヒートローラ40とプレスローラ50に挟まれるため、搬送方向に対して記録紙Pが斜行する可能性がある。
本実施形態の定着装置は、このようなヒートローラ40の傾斜に起因する記録紙Pの斜行を防止するよう構成されている。以下この点について説明する。
【0045】
図7は、第1及び第2ディスクカム153,154の形状を示す図であり、図8は、ヒートローラ40とプレスローラ50の開閉状態を示す概略図である。
図7において、実線が第1ディスクカム153(ローラギア44側)、一点鎖線が第2ディスクカム154を示す。第1及び第2ディスクカム153,154は図中矢印方向に回転する。カムフォロア163に点Aが当接している時にはプレスローラ50は最下点にある。(図8(a))
【0046】
前述の通り、第3ギア147(図5)によりローラギア44が駆動されると、第3ギア147とローラギア44との噛み合いの圧力角の方向(即ち略上方)にローラギア44が付勢され、ヒートローラ40の一端が前記のクリアランス分(x+y)だけ上昇する。即ち、ヒートローラ40が傾斜する(図8(b))。
【0047】
続いて、プレスローラ50を上昇させるためクラッチ151が作動し、カムシャフト152を介して第1及び第2ディスクカム153,154が回動を開始する。両ディスクカム153,154が点Aから点Bの間でカムフォロア163に当接している状態では、プレスローラ50は水平に上昇する。点Bから点Cの範囲では第1ディスクカム153の径が第2ディスクカム154よりも所定量大きいため、この範囲で両ディスクカム153,154がカムフォロア163に当接している状態では、プレスローラ50は、ギア44に近い側の一端が他端よりも所定量高くなるよう傾斜した状態で上昇する。
そして、両ディスクカム153,154が点Cでカムフォロア163に当接した状態で、プレスローラ50は、既に傾斜しているヒートローラ40に対して平行な状態で、記録紙Pを挟み込む(図8(c))。
【0048】
プレスローラ50とヒートローラ40とが記録紙Pを挟んでから、両ディスクカム153,154が同径となる点Dがカムフォロア163に当接するまでさらに回転する。これによりプレスローラ50はさらに上昇し、プレスローラ50の表面のゴム部分が所定量変形して記録紙Pを所定の圧力で加圧する。この時、ヒートローラ40はプレスローラ50によって押されるため、そのローラギア44と反対側の端部も前記のクリアランスx+yだけ上昇する(図8(d))。即ち、ヒートローラ40とプレスローラ50はいずれも水平となる。
【0049】
このように構成されているため、本実施形態の定着装置によると、ヒートローラ40が傾斜しても、プレスローラ50がヒートローラ40と平行な状態で、ヒートローラ40との間で記録紙Pを挟みこむため、記録紙Pの幅方向のどちらか一端が他端よりも先に挟まれることが防止される。従って、記録紙Pの斜行が防止される。
【0050】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の定着装置によると、プレスローラが閉じる際に、プレスローラとヒートローラとが平行になるため、記録紙の幅方向の一端が他端に対して先に挟まれ、先に搬送されるということが防止され、記録紙の斜行が防止される。また、記録紙として連続記録紙を用いた場合には、斜行が蓄積して大きなスキューに至ることが防止される。
【図面の簡単な説明】
【図1】プリンタの基本構成を示す側面図である。
【図2】定着装置における着脱ユニットを示す斜視図である。
【図3】本発明に係る定着装置の実施の形態を示す正面図である。
【図4】図3の定着装置を示す正面図である。
【図5】図3の定着装置を示す平面図である。
【図6】図3の定着装置におけるヒートローラとプレスローラの開閉状態を示す概略図である。
【図7】図3の定着装置におけるディスクカムの形状を示す図である。
【図8】図3の定着装置におけるヒートローラとプレスローラの開閉状態を示す概略図である。
【符号の説明】
1 プリンタ
10 ハウジング
30 定着装置
32 着脱ユニット
34 回動機構
35 ベースフレーム
40 ヒートローラ
42 支軸
43 軸受
44 ローラギア
50 プレスローラ
51 固定支軸
52 軸受
82 定着駆動モータ
120 上部フレーム
130 下部フレーム
152 カムシャフト
153,154 ディスクカム
161 揺動アーム
162,169 ベースプレート
163 カムフォロア
Claims (7)
- 記録紙に像を定着させるための定着装置であって、
熱源を内蔵するヒートローラと、
該ヒートローラとの間で記録紙を加圧するため、該ヒートローラと平行に設けられたプレスローラと、
前記プレスローラを、前記ヒートローラとの間で前記記録紙を加圧する作用位置と、該作用位置から待避した待避位置との間で移動させて、前記ヒートローラと前記プレスローラの間を開閉する開閉手段と、
前記ヒートローラの軸方向両端に夫々形成された一対の支軸のうちの一方に設けられた従動ギアと、
前記従動ギアに係合する駆動ギアを有し、前記ヒートローラを回動する回動手段と、を備え、
前記ヒートローラにおける軸方向の前記従動ギア側は、前記ヒートローラの回転時に、前記従動ギアと前記駆動ギアとの係合により、前記移動の方向への前記プレスローラから離れる方向へ変位する構成を有し、
前記ヒートローラを前記移動の方向に所定量変位可能に保持すると共に、
前記開閉手段が、前記プレスローラにおいて前記従動ギアに近い側の一端を、他端よりも先に前記作用位置に位置させること、を特徴とする定着装置。 - 前記開閉手段は、
前記プレスローラの長手方向両端を支持する一対のアーム部材と、
前記一対のアーム部材と夫々一体的に移動する一対のカムフォロアと、
前記一対のカムフォロアに夫々係合する一対のカム部材と、
前記一対のカム部材を同期回転するアクチュエータと、を備えており、
前記一対のカム部材は、夫々異なる形状を有すること、を特徴とする請求項1に記載の定着装置。 - 前記一対のカム部材は、互いに異なる輪郭を持った一対の板カムであること、を特徴とする請求項2に記載の定着装置。
- 前記ヒートローラは、前記プレスローラの鉛直方向上方に位置すること、を特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の定着装置。
- 前記ヒートローラの支軸と該支軸を保持する軸受との間、及び前記軸受と該軸受を保持する保持部材との間には、所定のクリアランスが設けられていること、を特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の定着装置。
- 前記クリアランスは、前記ヒートローラの加熱開始時における、前記支軸と前記軸受及び前記保持部材の熱膨張の差を吸収するために設けられたものであること、を特徴とする請求項5に記載の定着装置。
- 前記ヒートローラ及び前記プレスローラは、前記定着装置に対して着脱可能なフレームに取り付けられており、
前記従動ギアと前記駆動ギアは、前記フレームを前記定着装置に装着することによって係合すること、を特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の定着装置。
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