JP3838903B2 - 折り畳みコンテナ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種物品を収納して運搬する折り畳みコンテナに係り、より詳細には、運搬後に容器を折り畳んでトラックやコンテナ等に積載する際の、その積載効率の向上を図った折り畳みコンテナに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、小物品を輸送する場合には、その小物品をコンテナに収納し、これを積み重ねてトラック等に積載して、目的地まで輸送している。そして、輸送し終えると、空になったコンテナを再び積み重ねてトラック等に積載して、返送していた。
【0003】
この場合、空になったコンテナをそのまま積載して返送するのでは、輸送効率が極めて悪いことから、返送時には折り畳むことのできるコンテナが従来より提案されている。
【0004】
この折り畳みコンテナは、図9に示すように、矩形状の上枠体81及び底板82と、これら上枠体81及び底板82の間の対向する各縁部間に設けられた長側板83,83及び短側板84,84とで構成され、各長側板83,83は、上部長側板85と下部長側板86とで構成されている。
【0005】
そして、上枠体81の短辺側の下縁部811,811のそれぞれに短側板84,84の上縁部841,841を支持軸91により枢支して、短側板84,84を内方側に折り込み可能に連結し、上枠体81の長辺側の下縁部812,812のそれぞれに上部長側板85,85の上縁部851,851を第1支持軸92により枢支して、上部長側板85,85を内方側に折り込み可能に連結し、底板82の長辺側の上縁部822,822のそれぞれに下部長側板86,86の下縁部861,861を第2支持軸93により枢支して、下部長側板86,86を内方側に折り込み可能に連結し、上部長側板85,85の下縁部852,852と下部長側板86,86の上縁部862,862とを第3支持軸94により枢支して、内方側に折り込み可能に連結した構造となっている。
【0006】
このような構造の折り畳みコンテナを折り畳む手順は、まず短辺側に設けられた短側板84,84を支持軸91回りに内方側に跳ね上げ、次に長辺側の上部長側板85,85と下部長側板86,86とを連結している第3支持軸94部分を内方に押し込むようにしながら、上部長側板85,85を第1支持軸92回りに、下部長側板86,86を第2支持軸93回りにそれぞれ内方に折り込んで、底板82上に下部長側板86,86と上部長側板85,85とを順次折り重ねる。これにより、折り重ねられた上部長側板85,85の上に、跳ね上げられた短側板84,84が重なり、これら下部長側板86,86、上部長側板85,85及び短側板84,84を内包するように上枠体81が重なって、折り畳みを完了する。
【0007】
一方、このように折り畳まれたコンテナを組み立てる手順は、上記の折り畳み手順と全く逆の手順で行えばよい。すなわち、矩形状の上枠体81を底板82から離すように持ち上げて、折り重ねられていた上部長側板85,85と下部長側板86,86とを起立させ、次に跳ね上げていた両短側板84,84をそれぞれ支持軸91回りに下方かつ外方に折り開き、その下縁部842,842を底板82の短辺側の上縁部821,821に係合して、組み立てを完了する。
【0008】
図10は、折り畳んだ状態のコンテナを短側板側からみた概略断面図である。
【0009】
折り畳まれたコンテナの高さは、外観的には、上枠体81の高さと、底板82の高さの和であるが、より詳細に見てみると、上枠体81は、次に積み重ねられる折り畳みコンテナの底板の脚部が入るスペースt1、跳ね上げられた短側板84,84の厚みt2、及び上部長側板85の厚みt3の和であり、底板82は、下部長側板86の厚みt3、底板82自体の肉厚t4、及びすでに積み重ねられているコンテナの上枠体のスペースに嵌まり込む脚部の厚みt5の和である。ここで、脚部の厚みt5は、コンテナを積み重ねたときには実質的に無視できる厚みであるので、折り畳みコンテナを折り畳んで積載したときの実質的な厚みは、(t1+t2+t3+t3+t4)である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
このように、従来の折り畳みコンテナでは、折り畳んだとき、上枠体81と下枠体82との内部で、短側板84,84と、上部長側板85と、下部長側板86とが折り重なるため、折り畳んだときの厚みが、t1+t2+t3+t3+t4≒70mmとなる。そして、この厚みを如何に小さくするかが、保管スペースの確保と、返送時の輸送費を軽減する上で、大きな課題となっていた。
【0011】
本発明は係る問題点を解決すべく創案されたもので、その目的は、折り畳んだときの厚みをさらに小さくする工夫をすることで、保管スペースの確保と、返送時の輸送費の軽減を図った折り畳みコンテナを提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の折り畳みコンテナは、矩形状の上枠体及び底板と、これら上枠体及び底板の間の対向する各縁部間に設けられた長側板及び短側板とからなり、前記上枠体の短辺側の縁部のそれぞれに前記短側板の上縁部を枢支して前記短側板を内方側に折り込み可能に連結し、前記上枠体の長辺側の縁部のそれぞれに上部長側板の上縁部を第1支持軸により枢支して前記上部長側板を内方側に折り込み可能に連結し、前記底板の長辺側の縁部のそれぞれに下部長側板の下縁部を第2支持軸により枢支して前記下部長側板を内方側に折り込み可能に連結し、前記上部長側板の下縁部と前記下部長側板の上縁部とを第3支持軸により枢支して内方側に折り込み可能に連結した構造の折り畳みコンテナにおいて、前記上部長側板が前記下部長側板に、または前記下部長側板が前記上部長側板に嵌まり込む形状に形成されるとともに、前記第3支持軸は、前記上部長側板及び前記下部長側板の厚み方向のほぼ中央部に軸芯が位置するように設けられ、前記第1支持軸と前記第2支持軸とは、前記上部長側板と前記下部長側板とを嵌まり込むように折り畳んだとき、互いに干渉しない位置に設けられていることを特徴とする。
【0013】
このような特徴を有する本発明によれば、折り畳んだとき、上部長側板が下部長側板に嵌まり込むため、実質的に下部長側板の厚みだけとなり、従来に比べて上部長側板の厚み分だけ厚みを小さくすることができる。また、この際、第1支持軸と第2支持軸とは、上部長側板と上部長側板とを嵌まり込むように折り畳んだとき、互いに干渉しない位置に設けられているので、これら支持軸部分を含めて、上部長側板を下部長側板に完全に嵌め込む構造とすることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0015】
図1は、本発明の折り畳みコンテナの全体構成を示しており、図2は長側板側から見た正面図、図3は長側板側から見た概略(短側板部分の断面を簡略化して示している)断面図である。ただし、図2及び図3では、説明の都合上、同じ部材で区別する必要があるものについては、符号の後に小文字のアルファベットを付して区別している。
【0016】
本発明の折り畳みコンテナは、各支持軸の配置位置や構造部分を除く基本的な部材構成については、図9に示した従来の折り畳みコンテナの構成と同様である。
【0017】
すなわち、矩形状の上枠体1及び底板2と、これら上枠体1及び底板2の間の対向する各縁部間に設けられた長側板3,3及び短側板4,4とで構成され、各長側板3,3は、上部長側板5と下部長側板6とで構成されている。
【0018】
そして、上枠体1の短辺側の下縁部11,11のそれぞれに短側板4,4の上縁部12,12を支持軸74により枢支して、短側板4,4を内方側に折り込み可能に連結し、上枠体1の長辺側の下縁部14,14のそれぞれに上部長側板5,5の上縁部15,15を第1支持軸71により枢支して、上部長側板5,5を内方側に折り込み可能に連結し、底板2の長辺側の上縁部17,17のそれぞれに下部長側板6,6の下縁部18,18を第2支持軸72により枢支して、下部長側板6,6を内方側に折り込み可能に連結し、上部長側板5,5の下縁部21,21と下部長側板6,6の上縁部22,22とを第3支持軸73により枢支して、内方側に折り込み可能に連結した構造となっている。
【0019】
ここで、本発明の折り畳みコンテナの特徴は、コンテナを折り畳んだとき、2つ折りした上部長側板5が下部長側板6の外面側に嵌まり込むような形状とすることにより、折り畳んだ後の長側板3の厚み(すなわち、上部長側板5と下部長側板6とが重なり合ったときの厚み)が、折り畳む前の長側板3の厚みと同じ厚みになるように工夫されている点(第1の特徴点)である。また、本発明の折り畳みコンテナの特徴は、上枠体1を有する関係上、上枠体1と上部長側板5とを枢支するための第1支持軸71を備えており、コンテナを折り畳んだとき、この第1支持軸71と第3支持軸73とが干渉しないように工夫されている点(第2の特徴点)である。
【0020】
上部長側板5及び下部長側板6は、基本的には厚さ数ミリの合成樹脂製の板体によって全体が形成されており、かつ、その強度を持たせるために、外周部を含む各所に補強用リブ片5a,6aが形成されている。また、本実施の形態では、上部長側板5が下部長側板6に嵌まり込む形状となっているため、下部長側板6の左右側縁に形成された補強用リブ片6a1,6a1間に、上部長側板5の左右側縁に形成された補強用リブ片5a1,5a1が嵌まり込んで干渉しないようになっている。また、その他の補強用リブ片5a,6aについても、コンテナを折り畳んだとき、互いに干渉しないように、ずれた位置に形成されている(図1及び図2参照)。
【0021】
一方、コンテナを折り畳んだとき、第1支持軸71と第2支持軸72とが共に底板2の長辺側にくるため、上下方向の同じ位置に設けられている場合には、第1支持軸71と第2支持軸72とが干渉してしまい、上部長側板5の下部長側板6への嵌まり込みが妨害されることになる。そこで、本発明では、第1支持軸71を設ける位置と、第2支持軸72を設ける位置とが、上下方向において同じ位置とならないように、左右方向にずらせて設けている。すなわち、図2において、コンテナを折り畳んだとき、左側の第2支持軸72aは、左側の一対の第1支持軸71a,71a間に嵌まり込むように設けられており、中央の第2支持軸72bは、中央の第1支持軸71aの右側にくるように設けられており、左側の第2支持軸72cは、左側の一対の第1支持軸71c,71c間に嵌まり込むように設けられている。
【0022】
図4及び図5は、折り畳みコンテナの短側板側から見た断面図であり、(a)は折り畳む前の状態、(b)は折り畳んだ後の状態を示している。
【0023】
ここで特に重要なのは、第3支持軸73の位置である。すなわち、上部長側板5が下部長側板6に嵌まり込む構造とするために、第3支持軸73は、上部長側板5及び下部長側板6の厚み方向のほぼ中央部に軸芯が位置するように設けられている。つまり、本実施の形態では、第1支持軸71、第2支持軸72及び第3支持軸73のいずれもが、上部長側板5及び下部長側板6の厚み方向のほぼ中央部に軸芯が位置するように設けられている。このことを、図9に示した従来の折り畳みコンテナと比較して説明する。
【0024】
図6は、支持軸の位置について、本発明の折り畳みコンテナと従来の折り畳みコンテナとを比較した説明図であり、(a)、(b)は本発明の折り畳みコンテナ、(c)、(d)は従来の折り畳みコンテナの説明図である。
【0025】
(c)、(d)に示すように、従来の折り畳みコンテナでは、第3の支持軸94が上部長側板85及び下部長側板86の外面側に位置している。そのため、2つに折り畳んだとき、下部長側板86の上に上部長側板85が重なるように折り畳むことができる。これに対し、(a)、(b)に示すように、本発明の折り畳みコンテナでは、第3の支持軸73が上部長側板5及び下部長側板6の厚み方向のほぼ中央部に位置している。そのため、2つに折り畳んだとき、上部長側板5が下部長側板6に嵌まり込むことが可能となっている。
【0026】
その結果、本実施の形態の折り畳みコンテナでは、折り畳んだときの全体の厚みは、図10に示す寸法を用いて表せば、実質的に、(t1+t2+t3+t4)となり、上部長側板5の厚みt3が約15mmであるので、全体の厚みは70−15≒55mmとなる。
【0027】
図7は、第3支持軸73による上部長側板5と下部長側板6との連結構造を示している。
【0028】
本実施形態では、上部長側板5の下縁部51に、軸挿通穴56を有する断面半円弧形状の軸挿通部57が形成されるとともに、下部長側板6の上縁部61に、軸挿通部67を両側から挟み込むように支持する一対の軸受部67,67が形成されている。そして、この軸受部67,67間に軸挿通部57を嵌め込み、第3支持軸73を一方の軸受部67の軸挿通穴66から軸挿通部57の軸挿通穴56を通して他方の軸受部67の軸挿通穴66まで挿通することにより、上部長側板5と下部長側板6とを回動可能に連結している。なお、下部長側板6上に上部長側板5が垂直に立ち上がっている状態において、一対の軸受部67,67の連接部部の背面671が、軸挿通部57の背面571に当接することで、上部長側板4がそれ以上外側へは回動しないようになっている。
【0029】
図8は、第2支持軸72による長側板3の下部長側板6と底板2との連結構造を示している。
【0030】
本実施形態では、下部長側板6の下縁部62に、軸挿通穴68を有する一対の軸挿通部69,69が形成されるとともに、底板2の縁部22に、軸挿通部69,69によって両側から挟み込まれるように支持される一対の軸受部24,24が形成されている。そして、この軸受部24,24を挟み込むようにして軸挿通部69,69を嵌め込み、第2支持軸72を一方の軸挿通部69の軸挿通穴68から両軸受部24,24の軸挿通穴23,23を通して他方の軸挿通部69の軸挿通穴68まで挿通することにより、底板2に対して下部長側板6を回動(傾倒)可能に連結している。
【0031】
なお、図示は省略しているが、第1支持軸71による上部長側板5と上枠体1との連結構造、及び支持軸74による短側板4と上枠体1との連結構造も、基本的には図8に示す下部長側板6と底板2との連結構造と同じである。
【0032】
また、上記実施の形態では、上部長側板5が下部長側板6に嵌まり込む構造として説明しているが、下部長側板6が上部長側板5に嵌まり込む構造としてもよい。
【0033】
【発明の効果】
本発明の折り畳みコンテナによれば、上部長側板が下部長側板に嵌まり込む形状に形成されるとともに、第3支持軸が、上部長側板及び上部長側板の厚み方向のほぼ中央部に軸芯が位置するように設けられているので、コンテナを折り畳んだとき、上部長側板が下部長側板に嵌まり込むため、実質的に下部長側板の厚みだけとなり、従来に比べて上部長側板の厚み分だけ全体的な厚みを小さくすることができる。また、第1支持軸と第2支持軸とは、上部長側板と上部長側板とを嵌まり込むように折り畳んだとき、互いに干渉しない位置に設けられているので、これら支持軸部分を含めて、上部長側板を下部長側板に完全に嵌め込む構造とすることができる。このように、本発明の折り畳みコンテナによれば、折り畳んだときの全体の厚みを従来のものより、より小さくすることができるので、返送時の輸送効率の向上と輸送費の軽減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の折り畳みコンテナの全体構成を示した斜視図である。
【図2】本発明の折り畳みコンテナを長側板側から見た正面図である。
【図3】本発明の折り畳みコンテナを長側板側から見た概略(短側板部分の断面を簡略化して示している)断面図である。
【図4】折り畳む前の折り畳みコンテナを短側板側から見た断面図である。
【図5】折り畳んだ状態の折り畳みコンテナを短側板側から見た断面図である。
【図6】本発明の折り畳みコンテナと従来の折り畳みコンテナとを比較した説明図であり、(a)、(b)は本発明の折り畳みコンテナ、(c)、(d)は従来の折り畳みコンテナである。
【図7】第3支持軸による上部長側板と下部長側板との連結構造を示す一部拡大斜視図である。
【図8】第2支持軸による長側板の下部長側板と底板との連結構造を示す一部拡大斜視図である。
【図9】従来の折り畳みコンテナの折り畳んでいる途中の状態を示す斜視図である。
【図10】折り畳んだ状態のコンテナを短側板側からみた概略断面図である。
【符号の説明】
1上枠体
2底板
3長側板
4短側板
5上部長側板
6下部長側板
71 第1支持軸
72 第2支持軸
73 第3支持軸
Claims (1)
- 矩形状の上枠体及び底板と、これら上枠体及び底板の間の対向する各縁部間に設けられた長側板及び短側板とからなり、前記上枠体の短辺側の縁部のそれぞれに前記短側板の上縁部を枢支して前記短側板を内方側に折り込み可能に連結し、前記上枠体の長辺側の縁部のそれぞれに上部長側板の上縁部を第1支持軸により枢支して前記上部長側板を内方側に折り込み可能に連結し、前記底板の長辺側の縁部のそれぞれに下部長側板の下縁部を第2支持軸により枢支して前記下部長側板を内方側に折り込み可能に連結し、前記上部長側板の下縁部と前記下部長側板の上縁部とを第3支持軸により枢支して内方側に折り込み可能に連結した構造の折り畳みコンテナにおいて、
前記上部長側板が前記下部長側板に、または前記下部長側板が前記上部長側板に嵌まり込む形状に形成されるとともに、前記第3支持軸は、前記上部長側板及び前記下部長側板の厚み方向のほぼ中央部に軸芯が位置するように設けられ、前記第1支持軸と前記第2支持軸とは、前記上部長側板と前記下部長側板とを嵌まり込むように折り畳んだとき、互いに干渉しない位置に設けられていることを特徴とする折り畳みコンテナ。
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