JP3822734B2 - 偽造防止用紙 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は偽造防止用紙に関し、特にバーコード等の光学読み取り可能な情報を用いて情報を記録することのできる偽造防止用紙に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、情報の管理を容易に行うために、バーコードが用いられている。
バーコードは、その情報設定及び情報管理が、情報の管理者において容易に行なえる方、一般人が一見しただけでは、その情報内容を理解することができず、秘密性に優れているため、商品の種別処理を行う場合等に利用されている。
【0003】
ここで、例えば、多種類の情報を大量に印字出力しなければならない処理として、パチンコ店における、客の出玉情報処理があげられる。
【0004】
パチンコ店においては、客が遊技の結果として得た出玉は、一定ではなく、その出玉数は常に変動している。そのため客が出玉に基づき景品交換を行う場合は、出玉計数器において、計数を行い、この計数結果を客の出玉情報として出力する必要がある。
【0005】
そこで、この客の出玉情報を出力するために、出玉計数器が出力する記録紙として、上述の感熱記録紙を利用し、上述のバーコードを感熱記録する方式を出玉情報紙に用いることが行われている。この感熱記録紙を用いた出玉情報紙の一例について、図7に示す。
【0006】
図7に示されるように、出玉情報紙31には、バーコードによる情報の他に、出玉数表示や、日時情報等が印刷されている。
【0007】
従って、バーコード等の出玉情報をサーマルヘッドを用い感熱記録層が形成された出玉情報紙31に感熱記録を行うこの方式によれば、客の出玉は、迅速に計数されて印字され、さらに、その出玉情報はバーコードにより形成されているため、客が景品交換を行う際におけるパチンコ店の窓口業務の労を軽減することができる。
【0008】
しかし、上述の出玉情報紙31に形成されたバーコード等の出玉情報は、一般に、白地に黒く発色されていたため、出玉情報紙31を白黒コピーした場合等は、本物の出玉情報紙31と白黒コピーされた複写物とを区別することが困難であり、店の窓口業務において、白黒コピーされた出玉情報紙を用いた悪質な客による景品の多重取りが行われてしまうという問題を有していた。
【0009】
そこで、上述の問題を解決するために、出玉情報紙の一部、若しくは全面にバーコード等の出玉情報の読み取りに影響を与えない波長域の、例えば、赤色系のインクにより図柄を印刷し、白黒コピーを行った際に、赤色系のインクによる図柄が黒色に変色して複写されることを利用して白黒コピー機により偽造を防止した他の出玉情報紙が提案されている。
【0010】
この赤色系の色による図柄が印刷されている他の出玉情報紙によれば、白黒コピー機による出玉情報紙の偽造を容易に防止することができる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記赤色系の色による図柄が印刷されている他の出玉情報紙を用いた場合であっても、現在のカラーコピー機の性能をもってすれば、容易にその色や図柄を複写再現できるため、確実な偽造防止の実効が図れないという問題点を有している。
【0012】
また、パチンコ店においては、出玉情報紙の発券の頻度が非常に高く、そのため、出玉情報紙にバーコード等の出玉情報を形成するサーマルヘッドが感熱記録層を構成する樹脂等の付着により異常に汚れ、この汚れのために、サーマルヘッドの熱が感熱記録層に伝わりにくくなり、バーコード等の出玉情報を光学読み取り可能な精度に感熱印字することができない場合が多発するという問題点を有している。
【0013】
さらに、上記感熱記録層に含まれる樹脂等の付着によるサーマルヘッドの汚れを解消するために、パチンコ店の店員等が綿棒等でサーマルヘッドをクリーニンクすることも考えられるが、そのためには頻繁にサーマルヘッドのクリーニングを行わなければならず、多大な労力を必要とするばかりか、クリーニング中は出玉情報紙の発券が出来ないという問題点を有している。
【0014】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、カラーコピー機を用いた出玉情報紙の偽造を効果的に防止すると共に、サーマルヘッドのセルフクリーニング効果も兼ね備えている出玉情報紙等に用いる偽造防止用紙を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、基材上に形成され、加熱によって発色する感熱記録層と、図柄層とからなる偽造防止用紙であって、図柄層が、波長600nmにおいて反射率が0.6以上の蛍光顔料と、白色顔料とを少なくとも含有して、少なくとも前記感熱記録層の表面に設けられており、蛍光顔料と白色顔料との総量を1重量部としたとき、バインダーとなる樹脂を1.0〜4.0重量部とすることによって、該当図柄層の変色効果とセルフクリーニング効果とを兼ね備えたことを特徴とする。
【0016】
従って、この発明によれば、図柄層が、少なくとも波長600nmにおいて反射率が0.6以上の蛍光顔料を含有しているので、この図柄層を構成する図柄をカラーコピーした場合、その複写物の図柄を確実に変色させることができ、偽造の発見を容易に行うことが可能となる。
【0017】
また、この発明によれば、図柄層が、少なくとも屈折率が2.0以上の白色顔料を含有していることから、図柄層をカラーコピーした場合、複写された図柄がより変色して複写される。
【0018】
また、この発明によれば、該図柄層の変色効果とセルフクリーニング効果を兼ね備えさせることができる。
【0019】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、図柄層が、基材の表面にも形成されたことを特徴とする。
【0020】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の発明において、白色顔料の粒径が、5〜30μmであることを特徴とする。
【0021】
従って、この発明によれば、請求項1記載の発明の作用が得られると共に、白色顔料の粒径が、5〜30μmであることから、図柄層表面を凹凸とすることができ、偽造防止用紙にバーコード等の情報の印字時にサーマルヘッドをセルフクリーニングする効果を向上させることができる。
【0022】
請求項4記載の発明は、請求項1から3のいずれか1項記載の発明において、図柄層は、蛍光顔料を1重量部としたとき、バインダーとなる樹脂を1.5〜6.0重量部とすることによって、該図柄層の変色効果を向上させたことを特徴とする。
【0023】
従って、この発明によれば、請求項1から3のいずれか1項記載の発明の作用が得られると共に、蛍光顔料を1重量部としたとき、バインダーとなる樹脂を1.5〜6.0重量部とすることによって、該図柄層の変色効果を向上させることができる。
【0024】
請求項5記載の発明は、請求項1から4のいずれかに記載の発明において、図柄層が、複写機により複写することができない大きさの網点と、白黒及びカラーコピー機により複写することのできる網点とにより構成されていることを特徴とする。
【0025】
従って、この発明によれば、請求項1から4のいずれかに記載の発明の作用が得られると共に、複写機により複写することができる大きさの網点により構成された図柄のみが変色してカラーコピーされるので、図柄の一部が消失した状態となり、偽造の発見を容易に行うことができる。
【0026】
請求項6記載の発明は、請求項1から5のいずれかに記載の発明において、図柄層が、感熱記録層を加熱することにより発色形成された情報と、少なくとも一部において重なる位置に配置されていることを特徴とする。
【0027】
従って、この発明によれば、請求項1から5のいずれかに記載の発明の作用が得られると共に、図柄層が、感熱記録層を加熱することにより発色形成された情報と、少なくとも一部において重なる位置に配置されているので、カラーコピー機により複写された偽造物の情報を読み取りを困難とすることができる。
【0028】
請求項7記載の発明は、請求項1から6のいずれかに記載の発明において、感熱熱記録層に、白色顔料が含有されていることを特徴とする。
【0029】
従って、この発明によれば、請求項1から6のいずれかに記載の発明の作用が得られると共に、感熱記録層に、白色顔料が含有されていることから、発券された偽造防止用紙の白と感熱印字されたバーコード等の黒とのコントラストが白色顔料を添加することによって向上でき、発券された偽造防止用紙に形成される情報を見やすく、また、光学読み取り可能な情報の精度をさらに向上させることができる。
【0030】
【発明の実施の形態】
次に、本発明に係る偽造防止用紙の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。図1に、本発明に係る偽造防止用紙をジャーナル紙に適用した場合の一実施形態の断面図を示す。ここで、図1(a)に、図柄層が単層のジャーナル紙の断面構造の模式図を示し、図1(b)に、図柄層が二層のジャーナル紙の断面構造の模式図を示す。
【0031】
図1(a)に示されるように、図柄層が単層のジャーナル紙は、基材1上に感熱記録を行うための感熱記録層3が形成され、この感熱記録層3上に図柄層5がオフセット印刷等の通常の印刷方法を用いて形成されている。
【0032】
基材1は、ジャーナル紙に通常に用いられる情報用紙を用いることができる。
【0033】
感熱記録層3を構成する感熱記録材料は、高分子結着剤と感熱発色材料を主成分として構成される。
【0034】
本発明の感熱記録材料に用いる高分子結着剤としては、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニールアルコール、デンプン、スチレン−マレイン酸共重合物、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル等のメタクリル樹脂の単独または共重合物、ポリスチレン、アクリル−スチレン共重合物、ポリエステル樹脂、クマロン樹脂、ABS樹脂、ニトロセルロース等を用いることができる。
【0035】
また、感熱発色材料としては、フェノール性水酸基を有する顕色剤と無色のロイコ染料との組合せであり、顕色剤として4,4’−イソプロピリデンフェノール、ベンジル−p−ヒドロキシベンゾエート、4,4’−ジヒドロキシ−3,5’−ジアリルジフェニルスルフォン、メチルービス(ヒドロキシフェニル)アセテート、没食子酸エステル、p−フェニルフェノール等が挙げられる。ロイコ染料としてはクリスタルバイオレットラクトン、3−インドリノ−3−p−ジメチルアミノフェニル−6−ジメチルアミノフタリド、3−ジエチルアミノ−7−クロロフルオラン、2−(2−クロルフェニルアミン)−ジエチルアミノフルオラン、2−(2−フルオロフェニルアミノ)−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(2−フルオロフェニルアミノ)−6−ジ−n−ブチルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−シクロヘキシルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−5−メチル−7−t−ブチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−p−ブチルアニリノフルオラン、3−シクロヘキシルアミノ−6−クロロフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−エチル−p−トルイジノ)−フルオラン、3−ピロリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ピロリジノ−7−シクロヘキシルアミノフルオラン、3−N−メチルシクロヘキシルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N−エチルペンチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン等を用いることができる。
【0036】
感熱記録層3は、3〜5μmの厚さにロールコータ等でコーティングすることで形成される。
【0037】
図柄層5は、蛍光顔料とバインダーとなる樹脂との重量比は、蛍光顔料1重量部に対してバインダーとなる樹脂を1.5〜6.0重量部とすることによって、該図柄層5が変色したことを目視により容易に確認できるようにすることができる。このとき、蛍光顔料の含有量が1重量部以下となると、変色の度合いが低くいため目視により複写物であるか否かの確認が困難となるので好ましくない。
【0038】
また、図柄層5は、蛍光顔料と白色顔料の総量を1重量部としたとき、バインダーとなる樹脂を1.0〜4.0重量部とすることによって、白色顔料の増白作用により、当該図柄層5の変色の度合いを高めるとともに、サーマルヘッドを感熱記録層3の印字時にクリーニングするセルフクリーニング効果も兼ね備えることができる。
【0039】
上述の白色顔料の粒径を5〜30μmとすると、図柄層5の表面に適当な凹凸が形成されるので、セルフクリーニング効果をさらに向上させることができるので好ましい。このとき、白色顔料の粒径を5μmより小さいものとすると十分なセルフクリーニング効果が得られず、また、粒径を30μmより大きくするとサーマルヘッドを傷つけてしまう可能性があることから好ましくない。
【0040】
従って、上記白色顔料を含有させることにより、図柄層5に適宜な凹凸が付与されるので、感熱記録層3を加熱し、情報を印刷するためのサーマルヘッドの表面に付着、及び粘着している汚れを効果的に落とすことができる。
【0041】
次に、図1(b)に示される構造のジャーナル紙について説明する。図1(b)に示されるように、このジャーナル紙は、基材1上に、第1の図柄層5aが形成され、この第1の図柄層5a上に感熱記録層3が形成され、この感熱記録層3上に第2の図柄層5bが形成されている。
【0042】
図1(b)に示される基材1、及び感熱記録層3の組成については、前述の図1(a)に示されるジャーナル紙における基材1、及び感熱記録層3の組成とそれぞれ同様なのでその説明を省略する。また、第1の図柄層5a、及び第2の図柄層5bは、それぞれ、図1(a)に示される図柄層5と同様の組成、及び赤系若しくはオレンジ系のプロセスインキにより形成されている。
【0043】
図1(b)に示される構造のジャーナル紙によれば、図1(a)に示される構造のジャーナル紙と同様の効果が得られると共に、基材1の表面に第1の図柄層5aが形成され、感熱記録層3の表面に第2の図柄層5bが形成されている。
【0044】
次に、図1に示される図柄層5に形成される図柄の例について、図2を参照して説明する。図2は、図1(a)に示される構造を有するジャーナル紙100の上面図の一例である。
【0045】
図2に示されるように、このジャーナル紙100は、第1の図柄(Kyodo GAME)11と第2の図柄(幾何学図形)12とが規則的に印刷形成されている。この第1の図柄11と第2の図柄12とは、下記のような組成のインキを用いてオフセット印刷により、第1の図柄11及び第2の図柄12とがオレンジ色に印刷される。
【0046】
図柄層5のインキ組成
蛍光顔料 ((株)日本触媒 EPOCOLOR FP115)
15 重量部
白色顔料 (チタンホワイト:粒径10μm) 10 重量部
樹脂 (アクリル系樹脂) 30 重量部
溶剤 (MEK:トルエン=1:1) 45 重量部
【0047】
次に、図2に示される第1の図柄11及び第2の図柄12とがオレンジ色のジャーナル紙100に、バーコード等の出玉情報21は、感熱記録層3をサーマルヘッド(図示しない)により印字した際の一例について図3に示す。
【0048】
このように、出玉情報21が、第1の図柄11若しくは、第2の図柄12の一部と重畳されていることにより、このジャーナル紙100をカラーコピー機により複写した場合、図4に示すように、オレンジ色の第1の図柄11及び第2の図柄12が薄茶色に変色して複写され、変色した第1の図柄11若しくは、第2の図柄12と出玉情報21とが重なっているので、出玉情報21の一部であるバーコードを光学的に読み取れないようにすることができるとともに、目視により容易に複写された複写物であることを確認することができる。
【0049】
図4を参照すると明らかなように、カラーコピーを行った後の第1の図柄11及び第2の図柄12は、蛍光顔料を含有しているので、それぞれが変色しているので、カラーコピーされた、いわゆる複写物であることを容易に目認することができる。
【0050】
従って、図2に示されるジャーナル紙100によれば、このジャーナル紙100をカラーコピーにより偽造しようとしても、蛍光顔料を含有するオレンジ色の第1の図柄11と第2の図柄12が、複写物において、真のジャーナル紙100と異なる薄茶色に変色して複写されているので、目視により偽造の発見を容易に行うことが可能になると共に第1の図柄11及び第2の図柄12を構成するインキに白色顔料が含有されているので、これらの図柄の表面に適切な凹凸が付与され、出玉情報21を印字する際に、サーマルヘッドのセルフクリーニング効果も得ることができる。
【0051】
次に、図1(b)に示される構造のジャーナル紙について、図5を参照して説明する。図5には、図1(b)に示されるジャーナル紙の第1例の一部上面図を示す。ただし、この図5においては、出玉情報21が既に印字されているジャーナル紙101を示す。
【0052】
図5と図3とを比較すると、図柄の構図は同様のものとなっているが、第3の図柄(Kyodo GAME)15と、第4の図柄(幾何学図形)16との何れか一方が、図1の(b)に示される第1の図柄層5aに形成され、他方が第2の図柄層5bに形成されている。
【0053】
また、第3の図柄15が、複写機により複写することができない大きさの網点により形成され、第4の図柄16が、複写機により複写することができる大きさの網点により形成されている。このとき、第4の図柄16は、蛍光顔料を含有するインキにより印刷形成されている。
【0054】
ここで、図5に示されるジャーナル紙101をカラーコピーした場合の複写物について図6を参照して説明する。図6に、図5に示されるジャーナル紙をカラーコピーした後の状態の一部上面図示す。
【0055】
図6を参照すると明らかなように、図5に示されるジャーナル紙をカラーコピーした複写物においては、カラーコピー機により複写することができない大きさの網点により形成された第3の図柄15が消失している。さらに、カラーコピー機により複写することができる大きさの網点で、かつ、蛍光顔料を含有している第4の図柄16は、図4に示すように、オレンジ色が薄茶色に変色して複写されている。
【0056】
従って、図1(b)に示される構造のジャーナル紙に、図5に示される図柄を形成した場合は、第3の図柄15の消失及び、第4の図柄16がオレンジ色から薄茶色に変色して複写されることにより、カラーコピー機によりカラーコピーされた複写物であるか否かを容易に判別することができる。
【0057】
以上のように、図1に示される層構成のジャーナル紙について、図2から図6を参照して説明したが、図柄層に形成される図柄は、上記図柄に限定されるものではなく、その他の任意の図柄構成を用いることができる。
【0058】
次に、図1に示される図柄層に使用されるインキ組成の相違による、効果の違いについて以下に示す。使用するインキとしては、(1)従来のOCRインキと(2)蛍光顔料と樹脂からなるインキ(実施の形態で説明した、波長600nmにおいて、反射率が0.6以上の蛍光顔料を含有する)と、(3)蛍光顔料、白色顔料及び樹脂からなるインキ((2)で使用したものに白色顔料を10重量%程度加えたもの)とを用いた。
【0059】
〔カラーコピーを防止する効果〕
(1)従来のOCRインキ
・カラーコピー機により複写された用紙は、図柄の色調に変化がなく、ほぼ同様に複写され、複写物であることの識別が困難であった。
(2)蛍光顔料と樹脂からなるインキ
・カラーコピー機により複写された用紙は、図柄の色調が変色し、絵柄全体に蛍光感がなく、薄黒い色調の絵柄となり、一見して複写物であることを識別することが容易である。
・カラーコピー機の複写濃度を上げることにより、複写物に形成されたバーコード等の情報の読み取りを阻害できた。
(3)蛍光顔料、白色顔料及び樹脂からなるインキ
・カラーコピー機により複写された用紙は、図柄の色調の変色が著しく、絵柄全体に蛍光感がなく、黒ずんだ色調の絵柄となり、一見して複写物であることを識別することが容易である。
・カラーコピー機の複写濃度を上げることにより、複写物に形成されたバーコード等の情報の読み取りを完全に阻害できた。
【0060】
〔サーマルヘッドをセルフクリーニングする効果〕
(1)従来のOCRインキ
・セルフクリーニング効果は全く存在しない。
(2)蛍光顔料と樹脂からなるインキ
・(1)のOCRインキ同様にセルフクリーニング効果は全く存在しない。
(3)蛍光顔料、白色顔料及び樹脂からなるインキ
・白色顔料として、粒径が約10μmのチタンホワイトを10重量%添加することにより、感熱記録層への印字時にサーマルヘッドをセルフクリーニングする効果が得られた。
・なお、チタンホワイト等の白色顔料は、感熱記録層に含有させても、同様のセルフクリーニング効果を発揮することが確認された。
【0061】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、図柄層が、少なくとも感熱記録層の表面に形成されているため、カラーコピー機によりカラーコピーした場合、この図柄層が変色し、偽造の発見を容易に行うことが可能な偽造防止用紙を提供することができる。
【0062】
また、図柄層が、波長600nmにおいて反射率が0.6以上の蛍光顔料を含有していることから、この偽造防止用紙をカラーコピー機によりカラーコピーした場合、図柄層が変色して複写されるので、カラーコピー機を用いた偽造をより確実に防止する効果を発揮することが可能な偽造防止用紙を提供することができる。
【0063】
また、図柄層に、少なくとも屈折率が2.0以上の白色顔料を含有させているので、カラーコピー機によりカラーコピーした場合、絵柄層の変色効果をさらに増大させることが可能になる偽造防止用紙を提供することができる。
【0064】
また、図柄層に含有される白色顔料の粒径が、5〜30μmであることから、感熱記録層に情報を印字するのと同時にサーマルヘッドをセルフクリーニングする効果を発揮することが可能な偽造防止用紙を提供することができる。
【0065】
また、図柄層を構成する図柄として、複写機により複写することができない大きさの網点により形成された図柄と、複写機により複写することができる大きさの網点により形成された図柄とを有しているため、カラーコピー機によりカラーコピーを行った場合、カラーコピー機等により複写することができる大きさの網点により形成された図柄は、その図柄の変色効果により、そして、カラーコピー機等によりカラーコピーすることができない大きさの網点により形成された図柄は、その図柄が消失することにより、さらに確実に複写物であることを発見することが容易な偽造防止用紙を提供することができる。
【0066】
また、図柄層が形成されている位置が、感熱記録層を加熱することにより形成された情報と、少なくとも一部において重複する位置となっているため、この図柄層と共に感熱記録された情報を複写した場合に、その情報の読み取りエラーを誘起することができるので、偽造による被害の防止効果を高めることが可能な偽造防止用紙を提供することができる。
【0067】
また、この偽造防止用紙を構成する感熱記録層には、白色顔料が含有されているため、白色顔料の増白効果により、発券される偽造防止用紙の白と黒とのコントラストを向上させることが可能となり、偽造防止用紙に感熱記録される情報の見やすさをさらに高めることが可能な偽造防止用紙を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る偽造防止用紙をジャーナル紙に適用した場合の一実施形態の断面図であり、(a)が図柄層が単層のジャーナル紙の断面図を示し、(b)が図柄層が2層のジャーナル紙の断面図を示す。
【図2】 図1(a)に示されるジャーナル紙の一部上面図の第1例である。
【図3】 図2に示されるジャーナル紙にバーコードを印刷した場合の一例の一部上面図である。
【図4】 図3に示されるジャーナル紙をカラーコピーした後の状態の一部上面図である。
【図5】 図1(b)に示されるジャーナル紙の一部上面図の第1例である。
【図6】 図5に示されるジャーナル紙をカラーコピーした後の状態の一部上面図である。
【図7】 出玉情報紙の一例を示す図である。
【符号の説明】
1 基材
3 感熱記録層
5 図柄層
5a 第1の図柄層
5b 第2の図柄層
11 第1の図柄
12 第2の図柄
15 第3の図柄
16 第4の図柄
21 出玉情報
31 出玉情報紙
100,101 ジャーナル紙
Claims (7)
- 基材上に形成され、加熱によって発色する感熱記録層と、
図柄層とからなる偽造防止用紙であって、
前記図柄層が、波長600nmにおいて反射率が0.6以上の蛍光顔料と、白色顔料とを少なくとも含有して、少なくとも前記感熱記録層の表面に設けられており、
前記蛍光顔料と前記白色顔料との総量を1重量部としたとき、バインダーとなる樹脂を1.0〜4.0重量部とすることによって、該当図柄層の変色効果とセルフクリーニング効果とを兼ね備えたことを特徴とする偽造防止用紙。 - 前記図柄層が、前記基材の表面にも形成されたことを特徴とする請求項1記載の偽造防止用紙。
- 前記白色顔料の粒径が、
5〜30μmであることを特徴とする請求項1又は2記載の偽造防止用紙。 - 前記図柄層は、前記蛍光顔料を1重量部としたとき、バインダーとなる樹脂を1.5〜6.0重量部とすることによって、該図柄層の変色効果を向上させたことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の偽造防止用紙。
- 前記図柄層が、
複写機により複写することができない大きさの網点と、複写機により複写することのできる網点とにより構成されていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の偽造防止用紙。 - 前記図柄層が、
前記感熱記録層を加熱することにより発色形成された情報と、少なくとも一部において重なる位置に配置されていることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の偽造防止用紙。 - 前記感熱記録層に、
白色顔料が含有されていることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の偽造防止用紙。
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