JP3800437B2 - 苦味が軽減された液剤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は苦味を有する風邪薬を配合した液剤の風味の改善に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、風邪の諸症状の緩和を目的として多数の薬剤が開発されているが、その多くは苦味などの不快な味を持っている。
【0003】
従来より、苦味の軽減方法としては、クエン酸およびクエン酸金属塩を添加する方法(特公平4−58452)、硫酸ナトリウムを添加する方法(特開平2−25428)などが知られている。しかし、エリスリトールが薬剤の苦味軽減効果を有することは知られていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来繁用されてきた固形剤の風邪薬は水や白湯で服用していたが、風邪症状で寝ているときに薬の服用のために起きるのは容易でない。また、錠剤などを飲み下すことを苦手にする人も多い。そこで、本発明者らは風邪薬を液剤とする事を試みたが、風邪薬成分には苦味を有する薬剤が多いため、その服用感の悪さが問題となった。
【0005】
本発明は、苦味を有する風邪薬成分を、液剤としたときの薬剤の苦味を軽減することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、苦味を有する風邪薬成分の苦味を軽減させることを目的として研究した結果、苦味を有する風邪薬成分を配合した液剤にエリスリトールを配合すると、薬剤の苦味が大幅に軽減することを見いだし、本発明を完成した。すなわち、本発明は苦味を有する風邪薬成分およびエリスリトールを配合することを特徴とする液剤である。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明において、苦味を有する風邪薬成分とは、解熱鎮痛剤、抗ヒスタミン剤、抗アレルギー剤、抗炎症剤、消炎酵素剤、気管支拡張剤、鎮咳剤、去痰剤、抗コリン剤、生薬類などである。
【0008】
具体的にあげると、解熱鎮痛剤としては、アセトアミノフェン、アスピリンまたはその塩類、エテンザミド、サザピリン、イソプロピルアンチピリン、イブプロフェン、ケトプロフェン、ナプロキセン、ロキソプロフェンナトリウム、ジフルニサル、フルルビプロフェン、プラノプロフェン、フェンブフェン、フェノプロフェンまたはその塩類、ジクロフェナクナトリウム、アルクロフェナク、アンフェナクナトリウム、フルフェナム酸、トルフェナム酸、メフェナム酸、テノキシカム、ピロキシカムなどがあげられる。
【0009】
抗ヒスタミン剤、抗アレルギー剤としては、ジフェンヒドラミンまたはその塩類、塩酸プロメタジン、塩酸イソチペンジル、フマル酸クレマスチン、塩酸イプロヘプチン、塩酸シプロヘプタジン、ジフェニルピラリンまたはその塩類、マレイン酸ジメチンデン、塩酸トリプロリジン、塩酸ホモクロルシクリジン、塩酸アゼラスチン、イブジラスト、クロモグリク酸ナトリウムまたはその塩類、オキサトミド、アンレキサノクス、マレイン酸カルビノキサミン、マレイン酸クロルフェニラミン(d体,dl体含む)、メキタジン、トラニラスト、レピリナスト、フマル酸エメダスチン、塩酸オザグレル、タザノラスト、ペミロラストまたはその塩類、トシル酸スプラタストなどがあげられる。
【0010】
抗炎症剤、消炎酵素剤としては、塩化リゾチーム、セラペプターゼ、ブロメライン、セミアルカリプロティナーゼ、プロナーゼ、トラネキサム酸、グリチルリチン酸および類縁物質などがあげられる。
【0011】
気管支拡張剤としては、塩酸メチルエフェドリン(d体,dl体含む)、塩酸エフェドリン、塩酸メトキシフェナミン、塩酸トリメトキノール、テオフィリン、アミノフィリン、ジプロフィリン、プロキシフィリン、塩酸オルシプレナリン、塩酸クロルプレナリン、塩酸イソプレナリン、硫酸ヘキソプレナリン、硫酸サルブタモール、フマル酸フォルモテロール、塩酸ツロブテロール、臭化水素酸フェノテロール、塩酸プロカテロール、塩酸クレンブテロール、塩酸プロブテロール、塩酸マブテロール、硫酸テルブタリン、塩酸ピルブテロールなどがあげられる。
【0012】
鎮咳剤としては、リン酸コデイン、リン酸ジヒドロコデイン、臭化水素酸デキストロメトルファン、ノスカピンまたはその塩類、ジメモルファンまたはその塩類、クロペラスチンまたはその塩類、塩酸エプラジノン、塩酸クロブチノール、オキセラジンまたはその塩類、クエン酸イソアミニル、クエン酸ペントキシベリン、ジブナートナトリウム、ヒドロコタルニン、塩酸ホミノベン、塩酸クロフェダノール、リン酸ベンプロペリンなどがあげられる。
【0013】
去痰剤としては、グアヤコールスルホン酸カリウム、塩酸ブロムヘキシン、塩酸アンブロキソール、塩酸L−メチルシステイン、塩酸L−エチルシステイン、カルボシステイン、アセチルシステインなどがあげられる。
【0014】
抗コリン剤としては、ベラドンナ(総)アルカロイド、ヨウ化イソプロパミド、臭化イプラトロピウム、臭化フルトロピウム、臭化オキシトロピウムなどがあげられる。
【0015】
生薬としては、葛根、麻黄、桂皮(枝)、柴胡、桔梗、甘草、けい芥、セネガ、遠志、人参、陳皮、桜皮、五味子、黄ごん、(紫)蘇葉、生姜、半夏、細辛、辛夷、芍薬、連翹、杏仁、桃仁、麦門冬、香附子、附子などの生薬末及びそのエキスなどがあげられる。
【0016】
本発明の液剤で苦味の改善効果が特に顕著に現れる薬剤としてノスカピンもしくはその塩またはブロムヘキシンもしくはその塩をあげることができる。塩としては塩酸、硫酸、硝酸などの酸との塩などがあげられる。
【0017】
本発明の液剤はpH2.8〜4.8に調節すると苦味の軽減の点でさらに好ましい。pHの調節は常法により行うことができる。
【0018】
本発明の液剤に甘味剤としてさらにキシリトールを配合すると、苦味の軽減の点でさらに好ましい。キシリトールの配合量は重量比でエリスリトールの5分の1〜5倍が好ましい。
【0019】
また、本発明の液剤に、シトラス系、紅茶系またはコーヒー系フレーバーを添加すると苦味軽減もしくは風味の向上の点で好ましい。シトラス系フレーバーとはオレンジ、レモン、ライム、グレープフルーツなどの柑橘類の精油またはその精油を蒸留、抽出、分画などの処理をしたものである。
【0020】
紅茶系フレーバーとは紅茶に含まれるアルコール類(リナロール、ゲラニオール、ネロリドール、ネロール、cis−3−ヘキセノールなど)、ケトン類(β−ヨノン、cis−ジャスモンなど)、エステル類(酢酸cis−3−ヘキセノール、カプロン酸cis−3−ヘキセノール、酢酸α−タピノールなど)などを抽出などの常法で得て、それをそのまま、または成分を単離したもの、もしくは単離した成分を2種以上混合したものが主に使われるが、成分を別途合成して使用することも可能である。
【0021】
コーヒー系フレーバーとは、コーヒーに含まれる硫黄化合物(フルフリルメルカプタン、ジメチルサルファイド、メチルメルカプタンなど)、酸類(酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸など)、フェノール類(ガヤコール、4−エチルガヤコールなど)、ピラジン類(ピラジン、ジメチルピラジンなど)、フラン類(フルフラール、メチルフランなど)などを抽出などの常法で得て、それをそのまま、または成分を単離したもの、もしくは単離した成分を2種以上混合したものが主に使われるが、成分を別途合成して使用することも可能である。
【0022】
各フレーバーの配合量は液剤全体の0.01〜0.2%(w/v)が好ましい。また、2種以上のフレーバーを混合して使用することもできる。
【0023】
本発明の液剤は通常、成人に対して1日当たり苦味を有する風邪薬成分を5〜1500mg配合し、それを1日あたり1回〜数回に分けて経口投与することができる。また苦味を有する風邪薬成分としてノスカピンもしくはその塩またはブロムヘキシンもしくはその塩を用いる場合は、好ましくは薬剤成分を1日当たり5〜50mg配合する。この投与量は年齢、体重、病状などにより適宜増減することができる。
【0024】
また、エリスリトールの配合量は液剤50mlあたり1〜15g、好ましくは2〜10g配合する。
【0025】
本発明の液剤は、液剤製造の通常の方法により製造することができる。また、本発明の効果を損なわない限り、ショ糖脂肪酸エステル類、ステアリン酸ポリオキシル類、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール類、ポリオキシエチレンモノ脂肪酸エステル類などの界面活性剤、合成ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、ポリビニルピロリドンなどの増粘剤、クエン酸緩衝液、リン酸緩衝液などの有機酸系、無機酸系のpH調整剤、溶解補助剤、緩衝剤、保存剤、香料、色素、甘味剤などを使用することができる。
【0026】
【発明の効果】
本発明により、苦味を有する風邪薬成分の苦味を軽減できたので、液剤の服用感の向上を達成した。そのため、服用時に水を必要としない風邪薬の提供が可能になった。
【0027】
【実施例】
以下、実施例および試験例をあげ本発明をさらに詳しく説明する。
【0028】
実施例1
表1および表2に示す処方例1〜11の処方で、日本薬局方第13改正、液剤の項に記載の方法により液剤を製造した。なお、表中PVPK29/32とはポリビニルピロリドンのことである。
【0029】
試験例1
実施例に示した各処方例の液剤を成人男女20名(男10名、女10名)のパネラーで官能評価した。評点は、苦味を感じない:0点 殆ど感じない:1点 僅かに感じる:2点 感じる:3点とし、パネラーの評価の平均点を各処方の平均苦味度数とした。その結果を表1および表2に示した。
【0030】
【表1】
【0031】
【表2】
【0032】
表1および表2の結果より、塩酸ブロムヘキシンの苦味は、甘味剤として繁用されるソルビトールを用いてもあまり軽減効果を示さないがエリスリトールを用いると明らかに苦味の軽減効果を示すことが判明した。また、pHは2.8〜4.8の範囲が苦味軽減効果を最も顕著に示すことも判明した。また、グレープフルーツフレーバーまたはコーヒーフレーバーを使用することで、苦味軽減効果がさらに向上することも判明した。
【0033】
実施例2
表3および表4に示す処方例1〜11の処方で、日本薬局方第13改正、液剤の項に記載の方法により液剤を製造した。
【0034】
試験例2
実施例2で製造した各処方例の液剤を成人男女20名(男10名、女10名)のパネラーで官能評価した。評点は、苦味を感じない:0点 殆ど感じない:1点 僅かに感じる:2点 感じる:3点とし、パネラーの評価の平均点を各処方の平均苦味度数とした。その結果を表3および表4に示した。
【0035】
【表3】
【0036】
【表4】
【0037】
表3および表4の結果より、塩酸ノスカピンの苦味は、甘味剤として繁用されるソルビトールを用いてもあまり軽減効果を示さないが、エリスリトールを用いると明らかに苦味の軽減効果を示すことが判明した。また、pHは2.8〜4.8の範囲が苦味軽減効果を最も顕著に示すことも判明した。また、グレープフルーツフレーバーまたはコーヒーフレーバーを使用することで、苦味軽減効果がさらに向上することも判明した。
Claims (3)
- ノスカピンもしくはその塩またはブロムヘキシンもしくはその塩およびエリスリトールを配合し、pHが2.8〜4.8であることを特徴とする液剤。
- さらにキシリトールを配合した請求項1に記載の液剤。
- さらにシトラス系フレーバー、紅茶系フレーバーまたはコーヒー系フレーバーを配合した請求項1または2に記載の液剤。
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