JP3796763B2 - 結晶形2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ジブロモプロポキシフェニル)プロパン及びその製造方法 - Google Patents

結晶形2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ジブロモプロポキシフェニル)プロパン及びその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、結晶形状が針状であることにより、熱安定性が優れ、さらに保存安定性及び流動性等が改善された高品質2,2−ビス[3,5−ジブロモ−4− (2,3−ジブロモプロポキシ)フェニル]プロパン(以下、TBA−BPと略記する)及びその製造方法に関するものである。TBA−BPは、ポリオレフィン樹脂等の合成樹脂の難燃剤として有用であり、特にポリプロピレン、ポリスチレン等の難燃剤として極めて有用なものである。
【0002】
【従来の技術】
TBA−BPは、2,2−ビス(4−アリルオキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン(以下、TBA−BAと略記する)を原料とした場合、一般にTBA−BAをハロゲン化炭化水素溶媒に溶解させた後、臭素との反応により製造される。したがって生成したTBA−BPは、TBA−BPを溶解する良溶媒であるハロゲン化炭化水素の溶液として得られる。
【0003】
このTBA−BP溶液からTBA−BPを粉体として分離回収する方法としては、TBA−BP溶液からハロゲン化炭化水素溶媒を蒸発除去した後、ケトン類に溶解して再結晶化する方法(特開昭49−125348号公報)、TBA−BP溶液を、TBA−BPの溶解度の小さい溶媒、すなわち貧溶媒中に再沈殿させる方法(特開昭55−111429号公報)、TBA−BP溶液を非溶媒又は貧溶媒中に滴下し、剪断力のある攪拌を行うことにより再沈殿させる方法(特公昭57−289号公報)、TBA−BP溶液中に良溶媒よりも沸点の高い貧溶媒を滴下し、滴下終了後、直ちに蒸留により良溶媒を留去する二段再沈殿法(特開平4−234337号公報)や、TBA−BP溶液をポリオキシアリキレンソルビタン脂肪酸エステルを含む加熱水中に滴下し、同時に溶媒を留去しながらTBA−BPを粉体として回収する熱水脱溶媒法(特開平4−270236号公報)等が知られている。
【0004】
この従来の分離回収法で得られるTBA−BPの代表的な物性は、平均粒径が50μmより大きく、純度範囲が92〜99%,融点範囲が95〜112℃であり、その粒子構造は白色又は微黄色を帯びる図1の光学顕微鏡写真に示すような非晶形の粉体である。
【0005】
また180℃に於ける耐熱APHA値は100以上の値であり、且つ80℃に於ける保存安定性の加速試験ではブロッキングが生じ、その硬度の測定では2kg以上の数値を示す。さらに、粉体物性の測定では、安息角及び崩潰角が60°以上、スパチュラ角は70°以上の値を有するものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の再結晶化方法や再沈殿方法は、分離回収操作が非常に繁雑になるという問題があり、得られるTBA−BPの物性も満足できるものではなかった。
【0007】
一方、これらの方法を改良した二段再沈殿法及び熱水脱溶媒法においても、得られる結晶の熱安定性が悪く、長期間保存を行った場合ブロッキングが生じる等の問題があり、工業的方法として未だ満足できるものではなかった。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、熱安定性、保存安定性及び粉体の流動性が改善された結晶形を有するTBA−BP及びその工業的な製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、簡便な晶析方法によりTBA−BPを高品質な結晶として分離回収する製造方法について鋭意検討を重ねた結果、良溶媒に溶解したTBA−BP溶液を攪拌下、良溶媒よりも沸点の高い加熱貧溶媒中に滴下し、同時に良溶媒を留去しながら貧溶媒中に分散させると、得られるTBA−BPは結晶形が針状結晶になるばかりでなく、熱安定性、保存安定性及び流動性等の品質も著しく向上していることを見出だし、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち本発明は、結晶形2,2−ビス[3,5−ジブロモ−4−(2,3−ジブロモプロポキシ)フェニル]プロパン、及び2,2−ビス(4−アリルオキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパンの臭素化反応により得られた2,2−ビス[3,5−ジブロモ−4−(2,3−ジブロモプロポキシ)フェニル]プロパンの良溶媒溶液又は2,2−ビス[3,5−ジブロモ−4−(2,3−ジブロモプロポキシ)フェニル]プロパンを良溶媒に溶解した溶液を、良溶媒より沸点の高い加熱貧溶媒中に滴下し、同時に良溶媒を留去しながら、2,2−ビス[3,5−ジブロモ−4−(2,3−ジブロモプロポキシ)フェニル]プロパンを貧溶媒中に分散した白色針状結晶として回収することを特徴とする結晶形2,2−ビス[3,5−ジブロモ−4−(2,3−ジブロモプロポキシ)フェニル]プロパンの製造方法である。
【0011】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0012】
本発明のTBA−BPは針状形の白色結晶である。
【0013】
本発明のTBA−BPの代表的な物性は、以下の通りである。
【0014】
(1)純度及び融点範囲についてはほぼ従来品と同様な値である。
【0015】
(2)平均粒径は、晶析条件にもより、特に限定するものではないが、通常3〜50μmの範囲である。
【0016】
(3)APHA値は、一般的にTBA−BPが難燃剤として添加されるポリプロピレンの軟化点温度付近の180℃で20分間加熱した場合、30〜70の範囲である
(4)40℃で60日間保存した場合、ブロッキングが生じない。
【0017】
(5)80℃で10時間加熱後に生じたブロッキングの硬度が0kgである。
【0018】
なお本発明でいうブロッキングの硬度とは、ブロッキングが観測された場合、このブロッキングを木屋式硬度計(木屋製作所製)を用いて測定した硬度(kg)である。ブロッキングが観測されない場合は、0kgとする。
【0019】
(6)安息角が30〜45°、崩潰角が25〜40°、そしてスパチュラ角は40〜50°の範囲である。
【0020】
次ぎに、この結晶形TBA−BPを得るための方法について説明する。
【0021】
本発明で使用される良溶媒としては、特に限定するものではないが、例えば、四塩化炭素、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、テトラクロロエタン等のハロゲン化炭化水素等が挙げられる。これらを単独もしくは混合して使用しても差支えない。TBA−BP溶液の濃度は特に限定するものではないが、経済性のため5〜50重量%程度が好ましい。
【0022】
本発明が適用されるTBA−BAの臭素化反応により得られたTBA−BPの良溶媒溶液は、TBA−BAをハロゲン化炭化水素等の良溶媒中に溶解させ、これを臭素化することにより得られたTBA−BPの溶液であれば、特に限定するものではない。また、従来の方法により製造したTBA−BPを、再度良溶媒に溶解させて使用しても差支えない。
【0023】
本発明で使用される貧溶媒としては、特に限定するものではないが、例えば、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール等のアルコール類(ただし、メタノールを除く)、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル等のエーテル類、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン等の飽和脂肪族炭化水素類等が挙げられ、これらを単独もしくは混合して使用しても差支えない。水は非溶媒であり、本発明でいう貧溶媒には含まれない。TBA−BPの製造に使用される貧溶媒の量は、特に限定するものではないが、TBA−BP析出後の攪拌の簡便さ及び経済性のため、TBA−BP溶液中の良溶媒に対して体積で1〜20倍量、好ましくは5〜20倍量用いるのが望ましい。
【0024】
TBA−BP溶液の貧溶媒中への滴下時間は、良溶媒の留去速度に比例するが、通常30分以上の時間であれば問題なく、好ましくは、結晶の分散状態等を考慮すると約2〜6時間の範囲が好ましい。また、TBA−BP溶液の滴下後、晶析槽中に残存する良溶媒を留去させるため、30分以上そのままの温度を保つことが好ましい。
【0025】
良溶媒と貧溶媒の組み合わせは、良溶媒の沸点よりも高い沸点を有する貧溶媒であれば、特に限定するものではないが、良溶媒の蒸留分離を簡便に行うため、貧溶媒の沸点が10℃以上高いことが好ましい。例えば、
塩化メチレン(b.p.39.8℃)−メタノール(b.p.64.5℃)、
塩化メチレン−イソプロパノール(b.p.82.4℃)、
塩化メチレン−ジイソプロピルエ−テル(b.p.68.5℃)、
四塩化炭素(b.p.76.8℃)−ヘプタン(b.p.98.4℃)
等の組み合わせが挙げられる。これらのうち、結晶の分散状態が良好な塩化メチレン−イソプロパノールの組み合わせが特に好ましい。
【0026】
TBA−BPを溶解させた良溶媒溶液の滴下時に於いて、激しい攪拌等は必要無く、適度な攪拌が行われていればよい。
【0027】
良溶媒の蒸留は、通常常圧下で行われるが、減圧下でも実施できる。
【0028】
良溶媒の留去又は途中に於いて、スラリー濃度調整のため貧溶媒を添加してもよい。
【0029】
得られたTBA−BPのスラリー溶液からTBA−BPを分離する方法は特に限定するものではないが、例えば、遠心分離、吸引濾過、スプレードライ等が挙げられる。
【0030】
以上の方法により得られたTBA−BPは、熱安定性及び保存安定性並びに流動性が優れた白色針状結晶であり、そのまま高品質なTBA−BPとしてポリオレフィン等の難燃剤として使用できる。
【0031】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
【0032】
なお以下の方法により平均粒径の測定試験、熱安定性試験、保存安定性試験及び粉体物性の測定試験を実施した。
【0033】
(1)平均粒径の測定試験は、粒度分析計(マイクロトラック社製:型式:MK−2)を用いて、公知の方法により行った。
【0034】
(2)熱安定性試験は、一般的にTBA−BPが難燃剤として添加されるポリプロピレンの軟化点温度付近の180℃に於いて行った。操作は、TBA−BP5gを100mlガラス製試験管に仕込み、空気雰囲気下、180℃で20分間加熱後、冷却しクロロホルム100mlに溶解してAPHA標準液(JIS K4101に準拠)との比較を行った。
【0035】
(3)保存安定性試験は、加速試験により行った。操作は、TBA−BP20gを60mlSUS製試験管に仕込み、空気雰囲気下、80℃で10時間加熱後、粉体のブロッキングの有無について観測を行った。なお、ブロッキングが観測された場合、木屋式硬度計(木屋製作所製)を用いて、公知の方法により硬度の測定を行った。またTBA−BPを40℃で60日間保存したときのブロッキングの有無についても観測を行った。
【0036】
(4)流動性等の粉体物性の測定試験は、パウダーテスター(ホソカワミクロン社製:型式PT−E)を用いて、公知の方法により粉体の安息角、崩潰角そしてスパチュラ角の測定を行った。
【0037】
合成例
温度計、攪拌翼及び冷却管を有する容量3lのフラスコに、塩化メチレン1750g(1323ml)及びTBA−BA875g(1.40mol)を仕込み、臭素469g(2.93mol)を24〜27℃で1時間かけて滴下し、滴下後、1時間その温度で熟成を行った。
【0038】
反応後、残存臭素を亜硫酸水素ナトリウム水溶液で還元し、さらに水洗を行い、TBA−BP1297g(1.38mol)、塩化メチレン1700g(1280ml)を含む溶液3005g(2004ml)を得た。この溶液について、液体クロマトグラフィーによる分析を行った結果、TBA−BPの収率は98.6%、TBA−BAの転化率は100%であった。以下、この溶液を処理液と呼ぶ。この処理液より、TBA−BP100g(106mmol)、塩化メチレン131g(99ml)を含む溶液232g(155ml)を以下の分離回収で用いた。
【0039】
実施例1
温度計、攪拌翼及び蒸留装置を有する容量1000mlの四ツ口フラスコに、イソプロパノール391g(495ml)を仕込み、70℃に加熱した。この加熱イソプロパノール中に、常圧攪拌下、製造例1で製造した処理液を0.07リットル/時の滴下速度で滴下しながら、塩化メチレンを連続的に留去した。
【0040】
処理液の滴下終了後、さらに内温を80℃まで加熱しながら約30分間蒸留留去を続けた。蒸留終了後、析出したTBA−BPは白色針状結晶となってイソプロパノール中に均一に分散していた。なお、留出した留分について、ガスクロマトグラフィーによる分析を行った結果、塩化メチレン118gを含んでおり、塩化メチレンの回収率は90.0%であった。
【0041】
その後、攪拌下に室温まで冷却し、TBA−BPのスラリー溶液を吸引濾過し、水洗を行った後、乾燥して白色結晶101.8gを得た。この得られたTBA−BP結晶及び濾液について、液体クロマトグラフィーによる分析を行った結果、TBA−BPの純度は98.0%、TBA−BPの回収率は99.8%であった。この得られたTBA−BP結晶について、光学顕微鏡により観察した結果、結晶形状は図2に示すように針状であった。
【0042】
また、この得られたTBA−BP結晶について、以下に示す方法により熱安定性試験を行った。TBA−BP結晶5gを試験管に仕込み、空気雰囲気下、180℃のオイルバスで20分間加熱した。冷却後、100mlのクロロホルムで加熱処理後のTBA−BPを溶解した。この溶解液についてJIS K4101に準拠してAPHA測定を行った結果、APHA値は40であった。
【0043】
この得られたTBA−BP結晶を40℃の温度下、60日間保存した結果、ブロッキングは観測されなかった。また80℃の温度下、10時間加熱した場合も、ブロッキングは観測されなかった。
【0044】
さらに、この得られたTBA−BP結晶について、パウダーテスター(ホソカワミクロン社製;型式PT−E)による流動性の測定を行った。その結果、安息角が40°、崩潰角が30°そしてスパチュラ角が50°であった。晶析条件を表1に、結果を表2に示す。
【0045】
【表1】
Figure 0003796763
【0046】
【表2】
Figure 0003796763
実施例2〜4
表1に示す再沈殿条件以外は実施例1と同様に晶析を行い、次いで実施例1と同様の後処理を実施し、TBA−BPの白色針状結晶を得た。さらに、得られたTBA−BP結晶について実施例1と同様の方法により熱安定性試験、保存安定性試験及び流動性の測定を行った。晶析条件を表1に、結果を表2に合わせて示す。
【0047】
実施例5
合成例で製造した処理液232g(155ml)を、200mlのナス型フラスコに仕込み、減圧蒸留により塩化メチレンを蒸発除去させた。除去後、クロロホルム148g(99ml)を加え再溶解した。表1に示す再沈殿条件以外は実施例1と同様にこの溶解液の晶析を行い、次いで実施例1と同様の後処理を実施し、TBA−BP結晶を得た。この得られたTBA−BP結晶について、光学顕微鏡により観察した結果、結晶形は針状であった。また、得られたTBA−BP結晶について実施例1と同様の方法により熱安定性試験、保存安定性試験及び流動性の測定を行った。晶析条件を表1に、結果を表2に合わせて示す。
【0048】
実施例6
市販品[Great Lakes社製 PE−68(商標)]のTBA−BP100gを、塩化メチレン131g(99ml)に溶解した。表1に示す再沈殿条件以外は実施例1と同様にこの溶解液の晶析を行い、次いで実施例1と同様の後処理を実施し、TBA−BP結晶を得た。この得られたTBA−BP結晶について、光学顕微鏡により観察した結果、結晶形は針状であった。また、得られたTBA−BP結晶について実施例1と同様の方法により熱安定性試験、保存安定性試験及び流動性の測定を行った。晶析条件を表1に、結果を表2に合わせて示す。
【0049】
比較例1
容量1000mlのビーカーにイソプロパノール391g(495ml)を仕込み、この中に合成例で製造した処理液232g(155ml)を、室温下、攪拌羽根による攪拌を行いながら、0.07リットル/時の滴下速度で滴下した。滴下終了後、TBA−BPは多量の樹脂状物を含むスラリー溶液となっていた。得られた樹脂状物を吸引濾過し、水洗を行った後、乾燥して黄色の樹脂状物97.9gを得た。この得られたTBA−BP樹脂状物について、液体クロマトグラフィーによる分析を行った結果、TBA−BPの純度は97.0%、TBA−BPの回収率は94.0%であった。
【0050】
また、この得られたTBA−BP樹脂状物について、実施例1と同様な方法より熱安定性試験を行いAPHAの測定を行った結果、APHA値は140であった。さらに、この得られたTBA−BP樹脂状物を平均粒径が7〜8μmになるまで粉砕した後、実施例1と同様な方法より保存安定性試験を行った結果、ブロッキングが観測された。このブロッキングしたTBA−BPの硬度を測定した結果、5kgであった。晶析条件を表1に、結果を表2に合わせて示す。表2から明らかなように、得られたTBA−BPは実施例のものに比べ、熱安定性及び保存安定性が著しく劣った。
【0051】
比較例2
容量1000mlのビーカーにイソプロパノール391g(495ml)を仕込み、この中に合成例で製造した処理液232g(155ml)を、室温下、ホモジナイザーによる攪拌を行いながら、0.07リットル/時の滴下速度で滴下した。滴下終了後、比較例1と同様な後処理を行って淡黄色の粉体100.5gを得た。この得られたTBA−BP結晶について、光学顕微鏡により観察した結果,結晶形は非晶体であった。また、得られたTBA−BP粉体について実施例1と同様な方法より熱安定性試験、保存安定性試験及び流動性の測定を行った。晶析条件を表1に、結果を表2に合わせて示す。表2から明らかなように、得られたTBA−BPは実施例のものに比べ、熱安定性、保存安定性及び粉体の流動性が著しく劣った。
【0052】
比較例3
温度計、攪拌翼及び蒸留装置を有する容量1000mlの四ツ口フラスコに、合成例で製造した処理液232g(155ml)を仕込み、室温下、攪拌しながらイソプロパノール235g(297ml)を10分間で滴下し、滴下終了後、常圧下に55〜82℃の温度で塩化メチレンを蒸留留去させた。蒸留終了後、次に、攪拌下に室温まで冷却し、比較例1と同様な後処理を行って白色粉体101.5gを得た。この得られたTBA−BP結晶について、光学顕微鏡により観察した結果、結晶形は非晶体であった。また、得られたTBA−BP粉体について実施例1と同様な方法より熱安定性試験、保存安定性試験及び流動性の測定を行った。晶析条件を表1に、結果を表2に合わせて示す。表2から明らかなように、得られたTBA−BPは実施例のものに比べ、熱安定性、保存安定性及び粉体の流動性が著しく劣った。
【0053】
比較例4
温度計、攪拌翼及び蒸留装置を有する容量1000mlの四ツ口フラスコに、水400gを仕込み、HLB値15.6のポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート0.66gを溶解させ、90℃に加熱した。この加熱水中に、常圧攪拌下、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート1.33gを溶解させた合成例で製造した処理液232g(155ml)を、0.07リットル/時の滴下速度で滴下しながら、塩化メチレンを連続的に留去した。なお、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテートの合計の使用量は、TBA−BP100重量部に対して2重量部に相当する。蒸留時、発泡は殆ど見られずTBA−BPは直ちに析出し粉体となって水中に均一に分散した。処理液の滴下後、比較例1と同様な後処理を行って白色粉体102.5gを得た。この得られたTBA−BP結晶について、光学顕微鏡により観察した結果、結晶形は非晶体であった。また、得られたTBA−BP粉体について実施例1と同様な方法より熱安定性試験、保存安定性試験及び流動性の測定を行った。晶析条件を表1に、結果を表2に合わせて示す。表2から明らかなように、得られたTBA−BPは実施例のものに比べ、熱安定性、保存安定性及び粉体の流動性が著しく劣った。
【0054】
【発明の効果】
以上詳細に説明してきたように、本発明のTBA−BPは、結晶形状が針状であることにより、従来の非晶体のTBA−BPに比べ熱安定性が優れ、保存安定性及び流動性等が著しく改善される。また本発明の方法によれば、TBA−BPの結晶形状が従来の非晶体から針状結晶になり、熱安定性、保存安定性及び粉体の流動性を著しく向上させることができる。さらに本発明の方法は、従来法に比べ簡易的な晶析方法により、高品質なTBA−BP得ることができるので、工業的なTBA−BPの製造方法として極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】非晶形TBA−BPの光学顕微鏡による粒子構造を示す写真である(×200)。
【図2】針状結晶形TBA−BPの光学顕微鏡による結晶構造を示す写真である(×400)。

Claims (4)

  1. 結晶形が針状であって、180℃で20分間加熱し、クロロホルムに再溶解させた時のAPHA値が30〜70であることを特徴とする結晶形2,2−ビス[3,5−ジブロモ−4−(2,3−ジブロモプロポキシ)フェニル]プロパン。
  2. 平均粒径の範囲が3〜50μmであることを特徴とする請求項第1項又は請求項1に記載の結晶形2,2−ビス[3,5−ジブロモ−4−(2,3−ジブロモプロポキシ)フェニル]プロパン。
  3. 以下の物性を示すことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の結晶形2,2−ビス[3,5−ジブロモ−4−(2,3−ジブロモプロポキシ)フェニル]プロパン。
    (1)180℃で20分間加熱し、クロロホルムに再溶解させた時のAPHA値が30〜70である。
    (2)80℃で10時間加熱後に生じたブロッキングの硬度が0kgである。
    (3)安息角が30〜45°、崩潰角が25〜40°及びスパチュラ角が40〜50°である。
  4. 2,2−ビス(4−アリルオキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパンの臭素化反応により得られた2,2−ビス[3,5−ジブロモ−4−(2,3−ジブロモプロポキシ)フェニル]プロパンの良溶媒溶液又は2,2−ビス[3,5−ジブロモ−4−(2,3−ジブロモプロポキシ)フェニル]プロパンを良溶媒に溶解した溶液を、良溶媒より沸点の高い加熱貧溶媒(ただし、メタノールを除く)中に滴下し、同時に良溶媒を留去しながら、2,2−ビス[3,5−ジブロモ−4−(2,3−ジブロモプロポキシ)フェニル]プロパンを貧溶媒中に分散した白色針状結晶として回収することを特徴とする結晶形2,2−ビス[3,5−ジブロモ−4−(2,3−ジブロモプロポキシ)フェニル]プロパンの製造方法。
JP30940494A 1994-04-01 1994-11-21 結晶形2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ジブロモプロポキシフェニル)プロパン及びその製造方法 Expired - Fee Related JP3796763B2 (ja)

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