JP6278036B2 - 粒子の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、粒子、特に複数の成分が高度に複合化された微粒子の製造方法に関する。
溶液中から粒子を析出させる従来の技術としては、容器内の溶液を加熱して溶媒を蒸発させて除去することにより粒子を得る方法(以下、「蒸発乾固法」という。)、溶液を熱風中に噴霧して溶媒を気相中で蒸発させて乾燥粉末として粒子を析出させる方法(以下、「スプレードライ法」という。)、及び溶質を良溶媒に溶解した溶液を加熱された貧溶媒に滴下して良溶媒を蒸発させて粒子と貧溶媒のスラリーを得る方法(以下、「良溶媒と貧溶媒を用いる一般的な方法」という。)が挙げられる。
良溶媒と貧溶媒を用いる一般的な方法の具体例としては、特許文献1が挙げられる。特許文献1では、熱安定性及び保存安定性に優れ、さらに粉体の流動性が改善された針状結晶形を有する2,2−ビス[3,5−ジブロモ−4−(2,3−ジブロモプロポキシ)フェニル]プロパン(以下、TBA−BPと略記する)の製造方法が開示されている。
また、特許文献2は、公知の滴下再沈法の原理図を記載している。
特開平7−316087号公報 特開2009−297668号公報
蒸発乾固法、スプレードライ法、及び良溶媒と貧溶媒を用いる一般的な方法のいずれも、粒子を析出させる方法として用いることができる。これらの方法では、溶媒が蒸発する速度が比較的に遅い。そのため、ゆっくりと結晶成長した粒子が析出し、結晶成長の少ない粒子を得ることは難しい。
特に、複数の原料成分が溶解した溶液から粒子を析出させる場合、原料成分は溶解度が低い順に別々の結晶として析出するため、複数の原料成分が高度に複合化されている微粒子を得ることは困難である。このため、複数の原料成分が高度に複合化された微粒子を製造したい場合には、これらの方法は効率が悪い。
本発明者が研究した結果、高温に加熱した貧溶媒に対して、ノズルによって複数の原料成分が溶解した良溶媒溶液を注入することにより、複数の原料成分が高度に複合化されている微粒子を得る方法を見出した。
しかしながら、貧溶媒の温度を高温にすると、注入開始から短時間でノズルが閉塞し、それ以上、良溶媒溶液を注入することができなくなる場合があることを、さらに見出した。
したがって、本発明の目的は、原料成分の結晶成長が少ない微粒子、特に、複数の原料成分が高度に複合化されかつ結晶成長が少ない微粒子を、ノズルが閉塞することなく、効率よく製造する方法を提供することにある。
本発明の課題を解決するための手段は、下記のとおりである:
1.粒子の製造方法であって、良溶媒及び前記良溶媒に溶解している原料成分を含む良溶媒溶液を、前記良溶媒の沸点よりも高い温度に加熱されている析出用貧溶媒に、ノズルを通して注入することにより、前記良溶媒を蒸発させて複数の粒子を析出させること、及び前記良溶媒溶液を前記析出用貧溶媒に注入開始するとき、及び注入終了するときに、洗浄用貧溶媒をノズルに通すこと、を含む、粒子の製造方法。
2.前記良溶媒溶液と前記洗浄用貧溶媒を交互に前記ノズルに通すことをさらに含む、前記1に記載の粒子の製造方法。
3.前記良溶媒溶液と前記洗浄用貧溶媒を混合して前記ノズルに通すことをさらに含む、前記1に記載の粒子の製造方法。
4.前記洗浄用貧溶媒が、前記析出用貧溶媒の加熱温度以上の沸点を有する、前記1〜3のいずれか一項に記載の粒子の製造方法。
5.前記洗浄用貧溶媒と、前記析出用貧溶媒が同じである、前記4に記載の粒子の製造方法。
6.前記析出用貧溶媒の加熱温度が、前記良溶媒の沸点よりも165℃以上高い、前記1〜5のいずれか一項に記載の粒子の製造方法。
7.前記原料成分が複数種である、前記1〜6のいずれか一項に記載の粒子の製造方法。
8.前記複数の原料成分が、硫化リチウム、及びハロゲン化リチウムである、前記7に記載の粒子の製造方法。
9.前記ハロゲン化リチウムが、ヨウ化リチウム及び臭化リチウムである、前記8に記載の粒子の製造方法。
10.前記良溶媒溶液が、前記良溶媒に分散している少なくとも一種の粉末状の原料成分をさらに含有しているスラリーの形態である、前記1〜9のいずれかに記載の粒子の製造方法。
11.前記良溶媒溶液中の複数種の前記原料成分の濃度が、10g/l以上である、請求項に1〜10のいずれか一項に記載の粒子の製造方法。
12.前記良溶媒溶液を前記析出用貧溶媒に注入する際の流量が、5ml/min以上10ml/min以下である、前記1〜11のいずれか一項に記載の粒子の製造方法。
本発明によれば、原料成分の結晶成長が少ない微粒子、特に、複数の原料成分が高度に複合化されかつ結晶成長が少ない微粒子を、ノズルが閉塞することなく、効率よく製造する方法を提供することができる。
図1は、本発明の方法の一つの実施形態を行うための装置の一例の略図である。 図2は、ノズルを用いて析出用貧溶媒に良溶媒溶液を流し込み、粒子を析出させている略図である。 図3は、ノズルを用いて析出用貧溶媒に良溶媒溶液を流し込んだ際に、ノズルが詰まる仕組みの略図である。 図4は、本発明の方法の他の実施形態を行うための装置の一例の略図である。 図5は、実施例1及び比較例1の方法により得られた粒子のX線回折測定結果を示した図である。
以下、本発明の実施形態について詳述する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるのではなく、発明の本旨の範囲内で種々変形して実施できる。
粒子を製造する本発明の方法は、良溶媒及び良溶媒に溶解している原料成分を含む良溶媒溶液を、良溶媒の沸点よりも高い温度に加熱されている析出用貧溶媒に、ノズルを通して注入することにより、良溶媒を蒸発させて複数の粒子を析出させること、及び良溶媒溶液を析出用貧溶媒に注入開始するとき、及び注入終了するときに、洗浄用貧溶媒をノズルに通すことを含む。
本発明の方法は、例えば図1に記載されるような態様によって実施することができる。
まず、粒子の析出に用いる容器内の析出用貧溶媒(10)を、加熱したオイル(12)が入っているオイルバス(11)によって良溶媒溶液(1)の沸点より高い所定の温度まで加熱する。その後、切替弁(3)を洗浄用貧溶媒(2)が流れるように設定する。そして、ポンプ(4)を起動して、洗浄用貧溶媒(2)を、配管(5)を通してノズル(6)に流し込む。その後、切替弁(3)を良溶媒溶液(1)が流れるように切り替え、良溶媒溶液(1)を、配管(5)を通してノズル(6)に流し込む。ノズル(6)内に流し込まれた洗浄用貧溶媒(2)及び良溶媒溶液(1)は、ポンプ(4)の圧力によってノズル(6)の先端から析出用貧溶媒(10)に注入される。
析出用貧溶媒(10)中に注入された良溶媒溶液(1)の良溶媒は、析出用貧溶媒(10)の熱によって蒸発し、良溶媒の蒸気(9)となる。これと同時に良溶媒溶液(1)中の原料成分の微粒子が析出する。また、良溶媒の蒸気(9)は、常に析出用容器内を流通しているArガス(8)と共に、Arガスと良溶媒の蒸気の混合気体(7)として、粒子の析出に用いる容器から排出される。なお、図1は本発明の実施形態の一つを示すものにすぎず、本発明の方法を限定する趣旨ではない。
原理によって限定されるものではないが、本発明の作用原理は以下のとおりであると考える。
溶液中の溶媒を蒸発させて溶液中の複数の原料成分を粒子として析出させる方法において、溶媒の蒸発速度が遅い場合には、原料成分は溶解度毎に別々の粒子として、かつ欠陥の少ない大きい結晶に成長して析出する。これに対して、このような方法において、溶媒の蒸発速度が十分に早い場合には原料成分は溶解度毎に分かれることなく、高度に複合化された粒子として、かつ結晶成長せずに析出する。
本発明では、良溶媒に複数の原料成分を溶解した良溶媒溶液を、ノズルを通して高温に加熱した貧溶媒に接触させて、貧溶媒中において良溶媒を瞬時に蒸発させている。このため、良溶媒溶液中の良溶媒の蒸発速度が速い。それによって、原料成分は溶解度毎に分かれることなく高度に複合化された微粒子としてかつ結晶成長せずに析出する。また、良溶媒溶液が良溶媒に分散している少なくとも一種の原料粉末をさらに含有しているスラリーの形状である場合にも、原料成分粉末を含む高度に複合化された微粒子を得ることができる。このような場合、原料粉末は良溶媒が蒸発したときに、好ましくは解砕され、良溶媒溶液から析出する原料成分と共に微粒子となる。
なお、良溶媒溶液中に溶解している原料成分の濃度が高いほど原料成分がより高度に複合化された状態で回収できる。これは、溶解している原料成分の濃度が高いほど溶液の粘度がより高くなり、溶液中におけるイオンの動きが阻害され、良溶媒を蒸発させた場合に原料成分が溶液中での配置のまま結晶として析出しやすくなるためである。
これに対して、蒸発乾固法、スプレードライ法、又は良溶媒と貧溶媒を用いる一般的な方法では、以下の理由から高度に複合化された微粒子を効率よく回収できないと考えられる。
蒸発乾固法の場合、溶媒の蒸発速度が遅いため、ゆっくりと結晶成長した大きい粒子が析出する。このため、蒸発乾固法では、複数の原料成分が高度に複合化された微粒子を回収することが困難である。
スプレードライ法の場合、蒸発乾固法よりも早く溶媒を蒸発させることができるが、溶媒が蒸発する速度が十分でないため、気相中の粒子が乾燥途中で他の粒子と互いに衝突して凝集し、また、容器底面で析出した粒子が凝集してしまう。このため、複数の原料成分が高度に複合化された微粒子を回収することが困難である。
良溶媒と貧溶媒を用いる一般的な方法の場合、良溶媒溶液が貧溶媒に滴下されると、一度、良溶媒溶液は貧溶媒と混合され、混合溶液となる。その後、貧溶媒の熱によって徐々に良溶媒が蒸発し、この混合溶液から抜けていく。この場合、良溶媒が抜けていく速度が遅いため、原料成分は結晶成長した大きい粒子として析出する。また、原料成分はそれぞれ溶解度の低い順にゆっくり析出するため、お互い別々の粒子として析出し、複合体として析出させにくい。このため、複数の原料成分が高度に複合化された微粒子を回収することが困難である。
ところで、ノズルを用いて良溶媒溶液を析出用貧溶媒に注入する場合に、注入開始から数秒でノズルが閉塞し、それ以上良溶媒溶液を貧溶媒溶液に注入することができなくなる場合がある。この閉塞は、例えば下記のような原理により起こると考えられる。
図2及び3は、ノズルを用いて良溶媒溶液を析出用貧溶媒に注入する際の、ノズル先端周辺の略図である。図2及び3において、ノズルの先端部分は良溶媒の沸点よりも高い温度に加熱された析出用貧溶媒中に入っている。図2及び3において特に示されていないが、ノズルの周辺には析出用貧溶媒が存在していることを理解されたい。
図2は、ノズルが閉塞しない場合のノズル先端周辺の略図である。図2において、良溶媒溶液(20)は、ノズル(25)内を通って析出用貧溶媒に注入される。良溶媒溶液(20)は、ノズル(25)の先端部において、析出用貧溶媒と接触する。析出用貧溶媒の加熱温度が十分に高い場合には、良溶媒溶液中の良溶媒はノズル(25)先端部において瞬時に蒸発し、良溶媒の蒸気(21)となる。これと同時に、良溶媒溶液(20)から原料成分の微粒子(22)が析出用貧溶媒中に析出する。
図3は、ノズル(25)が閉塞する場合のノズル(25)先端周辺の略図である。例えば良溶媒溶液(20)の流量が小さい場合や、析出用貧溶媒の温度が良溶媒の沸点よりも非常に高い場合に、ノズル(25)を利用して良溶媒溶液(20)を析出用貧溶媒に注入すると、この様なノズル(25)の閉塞が起こる場合がある。良溶媒溶液(20)の流量が小さい場合や、析出用貧溶媒の温度が良溶媒(20)の沸点よりも非常に高い場合、図3のように、良溶媒溶液(20)中の良溶媒の蒸発速度が良溶媒溶液(20)の流速を上回り、ノズル(25)内部に析出用貧溶媒が入り込む。この場合、良溶媒溶液(20)はノズル(25)内部において析出用貧溶媒に接触するため、ノズル(25)内部において良溶媒溶液(20)中の原料成分が結晶となって析出する。このノズル内壁に析出した原料成分の結晶(23)により、ノズル内部が閉塞する。
このノズルの閉塞は、例えばノズル内部における良溶媒溶液の流量に対して、良溶媒の蒸発速度が速く、ノズル内部において良溶媒が蒸発する場合に起こると考えられる。このような場合の具体例としては、良溶媒溶液を析出用貧溶媒溶液に注入開始した直後又は注入終了時において、良溶媒溶液の流量が少なくなっている場合が挙げられる。また、良溶媒溶液を析出用貧溶媒に注入したことによって析出用貧溶媒の温度が低下したときに、析出用貧溶媒の温度を維持するために、良溶媒溶液の流量を減少させる場合も挙げられる。
本発明者は、良溶媒溶液をノズルによって析出用貧溶媒に注入する直前、及び注入終了時に、洗浄用貧溶媒をノズルに流し込むことによって、良溶媒溶液の注入時及び注入終了時にノズルが閉塞することを防止することができることを見出した。このような方法を行うことで、ノズル内を流れる液体の流量が安定した後に、良溶媒溶液を析出用貧溶媒に注入することができ、また良溶媒溶液の流量を低下させずに良溶媒溶液の注入を終了することができる。これにより、ノズル内部で良溶媒が蒸発することを防止することができる。
また、本発明者は、さらに良溶媒溶液と洗浄用貧溶媒を交互にノズルに流し込む、又は良溶媒溶液と洗浄用貧溶媒を混合してノズルに流し込むことにより、良溶媒溶液の注入時及び注入終了時にノズルが閉塞することを抑制するのみでなく、良溶媒溶液の流速を減少させた場合にもノズルが閉塞することを抑制することができることを見出した。
なお、良溶媒溶液と洗浄用貧溶媒を混合してノズルに流し込む方法は、例えば図4に記載されるような態様によって実施することができる。図4では、図1の切替弁の代わりに、スタティックミキサー(13)を設置している。これにより、ポンプ(4)を起動させて良溶媒溶液(1)及び洗浄用貧溶媒(2)を析出用貧溶媒(10)に流し込む際に、スタティックミキサー(13)によって良溶媒溶液(1)と洗浄用貧溶媒(2)を混合することができる。
なお、図4は本発明の実施形態のうちの一つに過ぎず、本発明の方法を限定する趣旨ではない。したがって、スタティックミキサーの代わりにダイナミックミキサーを用いてもよい。
なお、本発明において、洗浄用貧溶媒の代わりに良溶媒を注入した場合には、本発明の目的を達成することが困難となる。これは、下記のような理由による。
沸点が低い良溶媒を洗浄用貧溶媒の代わりに用いた場合には、良溶媒溶液中の原料成分が、洗浄用貧溶媒の代わりに用いた良溶媒に拡散する。そのため、流量の少ない注入開始直後、及び注入終了時等において、ノズル内部で洗浄用貧溶媒の代わりに用いた良溶媒が蒸発し、原料成分の結晶がノズル内壁に析出しノズルが閉塞する。
なお、沸点が低い良溶媒を洗浄用貧溶媒の代わりに用いた場合でも、ノズル内の液体の流量が非常に早い場合には、ノズルは閉塞しないと考えられる。しかしながら、このような場合には、良溶媒が析出用貧溶媒と接触して蒸発する際の蒸発潜熱による析出用貧溶媒の温度低下が大きくなる。析出用貧溶媒の温度が低下しすぎると、良溶媒の蒸発速度が低下し、原料成分がゆっくりと結晶成長して析出するため、複数の原料成分が高度に複合化された微粒子を得るという、本発明の目的を達成することができなくなる。
これに対しては、析出用貧溶媒の温度を一定以上に維持するために必要な外部からの熱量を増大するという対策も考えられる。しかしながら、このような対策では、微粒子を製造するために必要となるエネルギーコストが増大し、実用性を欠いてしまう。
また、沸点が高い良溶媒を洗浄用貧溶媒の代わりに用いた場合、沸点が高い良溶媒は析出用貧溶媒中においてゆっくり蒸発する。そのため、良溶媒溶液を析出用貧溶媒に注入する際に、沸点が高い良溶媒が析出用貧溶媒中に残存する。このような状態で沸点が低い良溶媒溶液を析出用貧溶媒に注入すると、沸点が低い良溶媒溶液から沸点が高い良溶媒に原料成分が拡散する。その後、沸点の高い良溶媒の蒸発と共に、ゆっくりと結晶成長して析出する。このため、本発明が目的とする微粒子を得ることが困難となる。
<原料成分>
本発明において、原料成分とは、本発明の粒子の製造方法によって製造される粒子の原料となる成分である。原料成分が複数である場合、本発明の方法では、複数の原料成分が高度に複合化された微粒子を得ることができる。したがって、本発明では、原料成分が複数である場合は特に好ましい。本発明では、良溶媒に溶解する原料成分を用いることができるが、さらに、良溶媒に分散する随意の粉末状の原料成分を用いることもできる。
原料成分は特に限定されず、目的に合わせて複数の原料成分を用いることができる。例えば、硫黄、リチウム、ヨウ素、臭素を固溶体の成分として含む固溶体粒子を回収することを目的とする場合、原料成分として、硫化リチウム、ヨウ化リチウム、及び臭化リチウムを用いることができる。
<良溶媒>
本発明における良溶媒とは、本発明における原料成分のうち全部又は一部を溶解することができ、かつ本発明における貧溶媒よりも原料成分の溶解度が高い溶媒である。本発明における良溶媒としては特に限定されないが、例えば、メタノール、水、トルエン等が挙げられる。
特に、原料成分として硫化リチウム、ヨウ化リチウム、及び臭化リチウムを用いて固体電解質材料を得る場合には、メタノールを用いることができる。また、原料成分として水溶性かつ水との反応性が低いものを用いる場合には、良溶媒として水を用いることができる。また、原料成分としては有機物を用いる場合には、良溶媒としてトルエンを用いることができる。
<良溶媒溶液>
本発明における良溶媒溶液は、良溶媒に原料成分を溶解させた溶液である。良溶媒溶液における複数の原料成分の濃度は特に限定されないが、合計で5g/l以上、10g/l以上、20g/l以上、又は50g/l以上が好ましい。これは、良溶媒溶液中の原料成分の濃度が高いほうが、より高度に複合化された粒子を得ることができるためである。なお、本発明において、良溶媒溶液は、良溶媒に分散している少なくとも一種の原料成分粉末をさらに含有しているスラリーの形態であってもよい。
良溶媒溶液を析出用貧溶媒に注入する際の流量は特に限定されないが、3ml/min以上、4ml/min以上、5ml/min以上、又は6ml/min以上であってよく、20ml/min以下、15ml/min以下、10ml/min以下、8ml/min以下、又は7ml/min以下であってよい。
良溶媒溶液を析出用貧溶媒に注入する際の流量は、5ml/min以上であることが好ましい。これは、良溶媒溶液を析出用貧溶媒に注入する際の流量を一定以上にすることにより、ノズルがさらに閉塞しにくくなるためである。
また、良溶媒溶液を析出用貧溶媒に注入する際の流量は、10ml/min以下であることが好ましい。これは、良溶媒溶液を析出用貧溶媒に注入する際の流量を一定以下にすることにより、良溶媒の蒸発潜熱によって析出用貧溶媒の温度を一定に保つために必要な熱量を減少させ、エネルギーコストを低下させることができるためである。
<析出用貧溶媒>
本発明における析出用貧溶媒は、良溶媒よりも原料成分の溶解度が低い溶媒である。本件における貧溶媒は、良溶媒の沸点よりも高い温度に加熱されている。
本発明の析出用貧溶媒としては特に限定されないが、析出用貧溶媒は良溶媒の沸点よりも高い温度に加熱されるため、良溶媒の沸点よりも高い沸点を有する溶媒が用いられる。特に、析出用貧溶媒としては、良溶媒よりも沸点が165℃以上高い溶媒を用いることが好ましい。析出用貧溶媒の具体例としては、比較的に沸点の高い溶媒として、例えばドデカン(沸点約216℃)、トリデカン(沸点約235℃)などが挙げられる。しかしながら、析出用貧溶媒は本発明に使用される良溶媒の沸点との関係を考慮して選択されることが好ましい。具体的には、良溶媒の沸点よりも165℃以上高い沸点を有する析出用貧溶媒が選択されることが好ましい。例えば、良溶媒としてメタノール(沸点約65℃)を用いる場合には、析出用貧溶媒としてトリデカン(沸点約235℃)を選択することができる。
析出用貧溶媒は、165℃以上高い温度に加熱されていることが好ましい。これは、析出用貧溶媒の温度が良溶媒の沸点よりも高ければ高いほど良溶媒の蒸発速度が速くなるためである。良溶媒の沸点と、析出用貧溶媒が加熱される温度との差は、170℃以上、175℃以上、180℃以上又は190℃以上であってよい。
加熱方法は特に限定されず、目的とする温度にまで析出用貧溶媒を加熱することができる方法であれば、いかなる方法も使用することができる。例えば、析出用貧溶媒はオイルバスによって加熱することができる。
析出用貧溶媒の温度が良溶媒の沸点よりも高ければ高いほど良溶媒の蒸発速度が速くなることから、加熱温度は特に上限はないが、析出用貧溶媒の加熱温度は析出用貧溶媒の沸点以下であることが好ましい。
<ノズル>
本発明では、良溶媒溶液を、ノズルを通して注入することにより、良溶媒を蒸発させて複数の粒子を析出させる。ノズルは、良溶媒溶液を析出用貧溶媒に注入することができる形状であれば特に限定されない。ノズルは、例えば管上の形状を有し、管の内部に液体を流通させることができる構造を有している。ノズルの具体例としては、例えば注入ノズルが挙げられる。
<洗浄用貧溶媒>
本発明において、洗浄用貧溶媒は、良溶媒溶液に用いられる良溶媒よりも、各原料成分の溶解度が低い溶媒である。洗浄用貧溶媒としては、例えばドデカン、トリデカンなどが挙げられる。
洗浄用貧溶媒は、析出用貧溶媒の加熱温度以上の沸点を有していることが好ましい。これは、洗浄用貧溶媒の沸点が析出用貧溶媒の加熱温度よりも高い場合には、洗浄用貧溶媒の蒸発潜熱による析出用貧溶媒の温度の低下などがなく、析出用貧溶媒の温度を維持することが容易であるためである。
また、洗浄用貧溶媒は析出用貧溶媒と同じものを用いることが好ましい。これは、析出用貧溶媒に洗浄用貧溶媒を注入後も、容易に再利用することができるためである。
<<ノズルの閉塞の有無について(参考例1〜4、並びに実施例1〜3)>>
下記のようにして、高温に加熱した析出用貧溶媒にノズルを通して良溶媒溶液を注入し、ノズルの閉塞の有無を観察した。なお、参考例1〜4、並びに実施例1及び2は、図1において示した装置を用いて行った。また、実施例3は、図4において示した装置を用いて行った。
<参考例1>
原料成分としての硫化リチウム、ヨウ化リチウム、及び臭化リチウム(モル比6:1:1)を、良溶媒溶液中の原料成分の濃度が50g/lになるように、良溶媒としてのメタノール(沸点65℃)に溶解して、原料成分を溶解した良溶媒溶液を作製した。
また、析出用貧溶媒溶液としてのトリデカン(沸点約235℃)350mlを500ml丸底フラスコに入れ、230℃に加熱したオイルバスに入れて加熱した。
析出用貧溶媒の温度が230℃に安定した後、良溶媒溶液を注入できるように切替弁を設定し、ポンプを起動して、良溶媒溶液を、配管内を通してノズルに流し込み、ノズルを通して良溶媒溶液を析出用貧溶媒に注入した。なお、析出用貧溶媒に良溶媒溶液を注入した際の流量は、10ml/minであった。
注入開始から約8秒後にノズルが閉塞した。
<実施例1>
析出用貧溶媒に良溶媒溶液を注入する前後に、洗浄用貧溶媒としてのトリデカンをノズルに注入したことを除いて、参考例1と同様にして、良溶媒溶液を析出用貧溶媒に注入した。具体的には、下記のようにして注入を行った。
最初に洗浄用貧溶媒を注入できるように切替弁を設定し、ポンプを起動して洗浄用貧溶媒を配管内に流し込み、配管内を洗浄用貧溶媒で満たした。その後、良溶媒溶液を注入できるように切替弁を切替え、良溶媒溶液を配管内に流し込み、ノズルを通して洗浄用貧溶媒及び良溶媒溶液を析出用貧溶媒に注入した。良溶媒溶液を流し終える際に、洗浄用貧溶媒を注入できるように切替弁を切替え、洗浄用貧溶媒をノズルに流し込んだ。
注入開始後、10分間注入を続けたが、ノズルは閉塞しなかった。なお、良溶媒溶液と洗浄用貧溶媒の流量は共に10ml/minであった。
注入終了後、装置を解体してノズルを観察したが、ノズル内に固形分は付着していなかった。
<参考例2>
析出用貧溶媒に良溶媒溶液を注入する際の流量を5ml/minとしたことを除いて、参考例1と同様にして、良溶媒溶液を析出用貧溶媒に注入した。
注入開始から約1秒未満でノズルが閉塞した。
<実施例2>
析出用貧溶媒に対して、良溶媒溶液を注入する前後に洗浄用貧溶媒を注入し、かつ良溶媒溶液と貧溶媒溶液を交互に注入したことを除いて、参考例2と同様にして、良溶媒溶液を析出用貧溶媒に注入した。具体的には、下記のようにして注入を行った。
最初に洗浄用貧溶媒を注入できるように切替弁を設定し、ポンプを起動して洗浄用貧溶媒を配管内に流し込み、配管内を洗浄用貧溶媒で満たした。その後、良溶媒溶液を注入できるように切替弁を切替え、良溶媒溶液を配管内に流し込み、ノズルを通して洗浄用貧溶媒及び良溶媒溶液を析出用貧溶媒に注入した。
その後、約2秒毎に切替弁を切り替えて、良溶媒溶液及び洗浄用貧溶媒を交互に流した。良溶媒溶液を流し終える際に、洗浄用貧溶媒を注入できるように切替弁を切替え、洗浄用貧溶媒をノズルに流し込んだ。なお、良溶媒溶液と洗浄用貧溶媒の流量は共に5ml/minであった。
注入開始後、15分間注入を続けたが、ノズルは閉塞しなかった。注入終了後、装置を解体してノズルを観察したが、ノズル内に固形分は付着していなかった。
<実施例3>
析出用貧溶媒に対して、図4に示される装置を用いて良溶媒溶液と洗浄用貧溶媒をスタティックミキサーによって混合して注入したことを除いて、参考例2と同様にして、良溶媒溶液を析出用貧溶媒に注入した。
具体的には、ポンプを起動して良溶媒溶液と洗浄用貧溶媒をスタティックミキサーに流入させ、良溶媒溶液と洗浄用貧溶媒を混合し、配管内に流し込み、ノズルを通して洗浄用貧溶媒及び良溶媒溶液を析出用貧溶媒に注入した。なお、良溶媒溶液と洗浄用貧溶媒の流量は共に5ml/minであった。また、良溶媒溶液と析出用貧溶媒との混合比は、体積比率で1:1であった。
実施例2と同様に、注入開始後、15分間注入を続けたが、ノズルは閉塞しなかった。注入終了後、装置を解体してノズルを観察したが、ノズル内に固形分は付着していなかった。
<参考例3>
良溶媒であるメタノールを洗浄用貧溶媒の代わりに用いたことを除いて、実施例1と同様にして、良溶媒溶液を析出用貧溶媒に注入した。
注入開始から約11秒後にノズルが閉塞した。
<参考例4>
良溶媒溶液及び洗浄用良溶媒の流量を20ml/minとしたことを除いて、参考例3と同様にして、良溶媒溶液を析出用貧溶媒に注入した。
注入開始後、5分間注入を続けたが、閉塞しなかった。しかしながら、注入開始直後から析出用貧溶媒の温度が低下し、5分後には156℃にまで低下した。
<考察>
参考例1〜4、並びに実施例1〜3の実験条件、及び結果を下記の表1に記載した。なお、表1において、洗浄液とは、洗浄用貧溶媒又は洗浄用貧溶媒の代わりに使用した良溶媒を表している。
Figure 0006278036
1.洗浄用貧溶媒を注入したことによる効果について
良溶媒溶液を析出用貧溶媒に注入する前にノズルに洗浄用貧溶媒を通さなかった参考例1の場合には、注入開始後、8秒後にノズルが閉塞した。
流量の少ない注入開始時では、ノズル内を流れる良溶媒溶液の流速よりも良溶媒溶液の蒸発速度が速い。そのため、ノズル内において良溶媒溶液が加熱された析出用貧溶媒と接触して蒸発し、ノズル内壁に原料成分の結晶が析出して、ノズルが閉塞したと考えられる。
これに対して、良溶媒溶液を析出用貧溶媒に注入する前にノズルに洗浄用貧溶媒を通した実施例1の場合、ノズルは閉塞しなかった。これは、ノズル内部の流量が安定した後に、ノズル内部に良溶媒溶液が流れたため、良溶媒溶液はノズルから析出用貧溶媒中に流入した後に蒸発し、ノズル内壁には原料成分の結晶が析出せず、ノズルが閉塞しなかったと考えられる。
2.洗浄用貧溶媒の注入方法と効果について
参考例2では、参考例1よりも良溶媒溶液の流量が小さかったため、注入開始から約1秒未満で閉塞した。これに対して、参考例2と同じ流量であるが、良溶媒溶液と洗浄用貧溶媒を交互に注入した実施例2、及び参考例2と同じ流量であるが、良溶媒溶液と洗浄用貧溶媒を混合して注入した実施例3では、ノズルの閉塞が起きなかった。
実施例2及び3では、参考例2と異なり、良溶媒溶液を析出用貧溶媒に注入する前後、及び良溶媒溶液の注入の途中又は同時に洗浄用貧溶媒をノズルに流し込んでいる。このような態様によってノズルの閉塞を防止できる理由は、下記のようであると考えられる。
参考例2のように、良溶媒溶液の流量が小さい場合には、良溶媒溶液の流速よりも良溶媒溶液中の良溶媒の蒸発速度が速いため、ノズル内部に析出用貧溶媒が入り込む場合がある。ノズル内部に析出用貧溶媒が入り込むと、ノズル内部において良溶媒溶液と析出用貧溶媒が接触し、良溶媒が蒸発してノズルの内壁に原料成分の結晶が析出する。
これに対して、実施例2では、良溶媒溶液と洗浄用貧溶媒を交互にノズルに流入させている。これにより、ノズル内部に析出用貧溶媒が入り込んだ場合でも、一定間隔で洗浄用貧溶媒がノズルに流入することによってノズル外に析出用貧溶媒が押し出される。そのため、ノズルの内壁に原料成分が析出することを抑制できる。
また、実施例3では、スタティックミキサーによって良溶媒溶液及び洗浄用貧溶媒が混合されてノズルに注入される。実施例3において、洗浄用貧溶媒は析出用貧溶媒と接触しても蒸発しないため、ノズル内部に析出用貧溶媒が入ることを防止できる。これにより、ノズル内壁に原料成分の結晶が析出することを防止することができる。
3.洗浄液の種類による閉塞の有無
洗浄用貧溶媒としてのトリデカンを使用した実施例1では、良溶媒溶液を析出用貧溶媒に10分間注入を続けたが、閉塞しなかった。これに対して、洗浄用貧溶媒の代わりに良溶媒としてのメタノールを使用した参考例3では、良溶媒溶液を貧溶媒溶液に注入する前に洗浄用良溶媒を流し込んでいるにもかかわらず、注入開始から約11秒後にノズルが閉塞し、ノズルの閉塞を防止することができなかった。
参考例3の方法では、良溶媒溶液をノズルに流し込む際に、良溶媒溶液と洗浄用良溶媒が接触し、良溶媒溶液中の原料成分が洗浄用良溶媒に拡散する。これにより、流量が安定しない注入初期段階において、原料成分が溶解した洗浄用良溶媒がノズル内部において蒸発し、原料成分の結晶がノズル内部に析出する。この状態で良溶媒溶液がノズルに流し込まれることにより、ノズル内壁の原料成分の結晶を核として、原料成分の結晶が徐々に結晶成長する。これにより、ノズルが閉塞する。
洗浄用貧溶媒の代わりに良溶媒を用いた場合であっても、流量が十分に大きい場合ノズルの閉塞を抑制することができると考えられる。例えば参考例4の場合には、ノズルの閉塞を抑制することができた。しかしながら、参考例4の場合には、析出用貧溶媒の温度が156℃まで低下した。本発明では、析出用貧溶媒の加熱温度を高く保つことによって、原料成分の微粒子を得ることを目的としている。そのため、良溶媒溶液をわずか5分間注入しただけで温度が著しく低下する参考例4の方法では、本発明の目的を達成することが困難である。
<<本発明の方法で得られた粒子について(実施例1及び比較例1)>>
<実施例1及び比較例1>
上記実施例1の方法により得られた粒子と、比較例1としての良溶媒と貧溶媒を用いる一般的な方法により得られた粒子について、X線回折(XRD)測定を行って、その結晶構造を比較した。なお、比較例1は、下記のようにして行った。
まず、原料成分としての水硫化リチウム、ヨウ化リチウム、臭化リチウムを1−ペンタノール(沸点:138℃)に溶解して、良溶媒溶液を作製した。この溶液を貧溶媒としてのトリデカンと混合して混合溶液を作製し、丸底フラスコに入れた。なお、良溶媒溶液とトリデカンとの混合比率は、体積比で1:1であった。
その後、混合溶液の入った丸底フラスコをオイルバスに入れて190℃に加熱し、1−ペンタノールを蒸発させ、同時に原料成分の粒子を得た。
なお、硫化リチウムは1−ペンタノールに対して難溶性である。そのため、比較例1では実施例1と異なり、硫化リチウムの代わりに水硫化リチウムを用いている。水硫化リチウムは晶析時又は晶析後の加熱継続時に脱硫して硫化リチウムに変化する。そのため、比較例1の方法によって得られた粒子は、実質的に硫化リチウムを含んでいる。
<結果>
図5は、実施例1及び比較例1のXRD測定の結果を示すグラフである。図において、上側の曲線が実施例1のXRD測定結果である。また、下側の曲線が比較例1のXRD測定結果である。
実施例1では、2θ=26.17°、26.74°、及び27.70°の位置にそれぞれピークが存在した。これに対して、比較例1では、2θ=26.00°、26.90°、及び28.04°の位置にそれぞれピークが存在した。ここで、図5において、実施例の方法により得られた析出物の各ピークは左から順にヨウ化リチウム、硫化リチウム、臭化リチウムのピークであり、比較例の方法により得られた析出物の場合も同様に、各ピークは左から順にヨウ化リチウム、硫化リチウム、臭化リチウムのピークである。
<考察>
実施例1の方法により得られた析出物は、比較例1の方法により得られた析出物と比較して、ヨウ化リチウムのピークが右にシフトしており、硫化リチウム及び臭化リチウムのピークは左にシフトしていた。これは、ヨウ化リチウム、硫化リチウム、及び臭化リチウムがお互いに固溶して格子定数が近くなったためと考えられる。
また、実施例1の方法により得られた析出物のピーク強度は、比較例1の方法により得られた析出物のピーク強度よりも低く、かつ裾野が広がっていた。これは、粒子を構成する結晶が、比較例1の析出物よりもより微細化されていることを示している。
1 良溶媒溶液
2 洗浄用貧溶媒
3 切替弁
4 ポンプ
5 配管
6 ノズル
7 Arガスと良溶媒の蒸気の混合気体
8 Arガス
9 良溶媒の蒸気
10 析出用貧溶媒
11 オイルバス
12 加熱されたオイル
13 スタティックミキサー
20 良溶媒溶液
21 良溶媒の蒸気
22 原料成分の微粒子
23 原料成分の結晶
25 ノズル

Claims (13)

  1. 粒子の製造方法であって、
    (a)良溶媒及び前記良溶媒に溶解している原料成分を含む良溶媒溶液を、前記良溶媒の沸点よりも高い温度に加熱されている析出用貧溶媒に、ノズルを通して注入することにより、前記良溶媒を蒸発させて複数の粒子を析出させること、及び
    (b)前記良溶媒溶液を前記析出用貧溶媒に注入開始するとき、及び注入終了するときに、洗浄用貧溶媒を前記ノズルに通すこと、
    を含む、粒子の製造方法。
  2. 前記工程(b)において、前記良溶媒溶液を前記析出用貧溶媒中に注入開始するとき、前記洗浄用貧溶媒で前記ノズルを満たした後に、及び前記良溶媒溶液を前記析出用貧溶媒中に注入終了するときに、前記洗浄用貧溶媒を前記ノズルに通すことを含む、請求項1に記載の粒子の製造方法。
  3. 前記良溶媒溶液と前記洗浄用貧溶媒を交互に前記ノズルに通すことをさらに含む、請求項1又は2に記載の粒子の製造方法。
  4. 前記良溶媒溶液と前記洗浄用貧溶媒を混合して前記ノズルに通すことをさらに含む、請求項1又は2に記載の粒子の製造方法。
  5. 前記洗浄用貧溶媒が、前記析出用貧溶媒の加熱温度以上の沸点を有する、請求項1〜のいずれか一項に記載の粒子の製造方法。
  6. 前記洗浄用貧溶媒と、前記析出用貧溶媒が同じである、請求項に記載の粒子の製造方法。
  7. 前記析出用貧溶媒の加熱温度が、前記良溶媒の沸点よりも165℃以上高い、請求項1〜のいずれか一項に記載の粒子の製造方法。
  8. 前記原料成分が複数種である、請求項1〜のいずれか一項に記載の粒子の製造方法。
  9. 前記複数種の原料成分が、硫化リチウム、及びハロゲン化リチウムである、請求項に記載の粒子の製造方法。
  10. 前記ハロゲン化リチウムが、ヨウ化リチウム及び臭化リチウムである、請求項に記載の粒子の製造方法。
  11. 前記良溶媒溶液が、前記良溶媒に分散している少なくとも一種の粉末状の原料成分をさらに含有しているスラリーの形態である、請求項1〜10のいずれか一項に記載の粒子の製造方法。
  12. 前記良溶媒溶液中の前記原料成分の濃度が、10g/l以上である、請求項111のいずれか一項に記載の粒子の製造方法。
  13. 前記良溶媒溶液を前記析出用貧溶媒に注入する際の流量が、5ml/min以上10ml/min以下である、請求項1〜12のいずれか一項に記載の粒子の製造方法。
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