JPH06183729A - 複合酸化物の製造方法及び複合酸化物製造装置 - Google Patents

複合酸化物の製造方法及び複合酸化物製造装置

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JPH06183729A
JPH06183729A JP4224612A JP22461292A JPH06183729A JP H06183729 A JPH06183729 A JP H06183729A JP 4224612 A JP4224612 A JP 4224612A JP 22461292 A JP22461292 A JP 22461292A JP H06183729 A JPH06183729 A JP H06183729A
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material powder
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thin tube
soln
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JP4224612A
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English (en)
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Naohiro Tanaka
均洋 田中
Hoste Serge
セルジュ・ホステ
Sachiko Fukushima
幸子 福島
Masayuki Suzuki
真之 鈴木
Masaaki Isobe
雅朗 磯部
Takaaki Ami
隆明 網
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Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
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    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
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    • Y02E40/60Superconducting electric elements or equipment; Power systems integrating superconducting elements or equipment

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  • Superconductors And Manufacturing Methods Therefor (AREA)
  • Compositions Of Oxide Ceramics (AREA)
  • Inorganic Compounds Of Heavy Metals (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【構成】 酸化物複合体の原料粉体を、無機化合物が溶
媒に溶解されてなる溶液を少なくとも沸点以上に加熱し
て細管4の先端より噴出せしめ、これを加熱乾燥するこ
とにより製造する。 【効果】 組成均一性が高く良好な形状を有する原料粉
体が得られる。また、このようにして原料粉体を合成す
る場合、原料粉体の粒径は簡易なパラメータ制御により
調整され、また装置も簡易な構成となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、複合酸化物の製造方法
及び複合酸化物製造装置に関し、特に複合酸化物原料粉
末の合成方法の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】セラミックスの原料粉末としては、従来
より天然鉱物を精製分離したものが使用されているが、
近年注目されているファインセラミックスにおいては、
より優れた耐熱性,機械的強度,電気磁気特性,光学特
性が要求されることから、原料粉体としても化学組成,
微構造,粒子形態が極めて重要となってくる。このた
め、このようなファインセラミックスの原料粉体には、
天然鉱物の精製分離のみではなく、化学的あるいは物理
的処理を施して上記化学組成,微構造,粒子形態を制御
するようにした合成原料粉体が多く使用がされるように
なってきている。
【0003】ここで、上記原料粉体の合成方法として
は、ゾル−ゲル法,共沈法,噴霧熱分解法等が知られて
いる。
【0004】まず、上記ゾル−ゲル法は、所定の化学組
成を有する無機化合物溶液に水,酸あるいはアルカリを
添加して加水分解等の化学変化を起こさせることにより
ゾル状態とし、このゾル溶液に溶媒の蒸発,冷却などの
処理を加えることによって原料粉体を合成する方法であ
る。
【0005】上記共沈法は、無機化合物溶液に、溶質と
化学的性質のいくぶん似た担体溶質を添加して共存さ
せ、これにより上記溶質を担体溶質と同時に沈殿させて
原料粉体を合成する方法である。
【0006】また、上記噴霧熱分解法(スプレードライ
法)は、無機化合物溶液を高温雰囲気に噴霧して噴霧液
滴とし、極めて短時間の溶媒の蒸発,熱分解を経て原料
粉体を合成する方法である。
【0007】このうち、ゾル−ゲル法,共沈法では、目
的とする原料粉体の組成によってpH調整操作や担体溶
質が異なるため、プロセスを組成毎に変えなけれななら
ない。したがって、セラミックスの組成を変え、最も高
性能なものを網羅的に探索するといったルーチン実験に
適さないといった問題がある。一方、上記噴霧熱分解法
は、このように組成毎にプロセスを変える必要がないた
め、上記ルーチン実験に適しており、得られる原料粉体
も組成均一性が高く高反応性であることから期待を集め
ている。
【0008】ここで、原料粉体としては、組成均一性と
ともに粒子形状が良好であることも重要である。このよ
うな点において、上記噴霧熱分解法で得られる原料粉体
の形状は、無機化合物溶液を高温雰囲気に噴霧して形成
された噴霧液滴の形状が反映されるため、噴霧液滴が良
好な形状で噴霧されていることが必要である。
【0009】そこで、従来、溶液を噴霧する方法として
は、無機化合物溶液と噴霧用ガスを別々に送り込みネブ
ライザーを用いて噴霧液滴とする方法、高速回転してい
る回転円盤の上面に無機化合物溶液を滴下して遠心力に
より飛散させる方法、あるいは無機化合物溶液に超音波
を印加する方法等,種々の方法が検討されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上述のよう
なネブライザーを用いる方法、回転円盤によって飛散さ
せる方法あるいは超音波を印加する方法によって無機化
合物溶液の噴霧を行って原料粉体を合成する場合には、
原料粉体の形状,粒子径を調整するには多くのパラメー
タを制御しなければならない。たとえばネブライザーを
用いる場合には、噴出空気流量,溶液流量,溶液濃度,
反応管の温度等が原料粉体の形状,粒径に相互に影響し
合い、形状,粒径を調整するにはこれら全てのパラメー
タについて最適化する必要がある。しかも、装置構成も
比較的複雑であり、高価なものとなっている。
【0011】そこで、本発明はこのような従来の実情に
鑑みて提案されたものであり、原料粉体の粒子径,組成
を変更するに際して制御すべきパラメータが少なく、良
好な形状を有し反応性の高い原料粉体が容易に得られ、
また製造装置も簡略化できる複合酸化物の製造方法及び
複合酸化物製造装置に関する。
【0012】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
めに、本発明の複合酸化物の製造方法は、無機化合物が
溶媒に溶解されてなる溶液を少なくとも沸点以上に加熱
して細管の先端より噴出せしめ、これを加熱乾燥するこ
とを特徴とするものである。また、本発明の複合酸化物
製造装置は、無機化合物が溶媒に溶解されてなる溶液を
前記乾燥室中に噴出するための細管と、上記細管を少な
くとも前記溶液の沸点以上に加熱するための加熱手段と
を備えてなるものである。
【0013】さらに、細管に溶媒のみを供給する溶媒供
給手段が設けられていることを特徴とするものである。
また、さらに、乾燥室に加熱された不活性ガスを供給す
るガス流入口が設けられていることを特徴とするもので
ある。また、乾燥室を加熱するための加熱手段を有する
ことを特徴とするものである。
【0014】
【作用】細管の先端において無機化合物溶液を沸点以上
に加熱するといわば突沸状態となって該無機化合物溶液
が先端から噴出される。これを加熱乾燥することによっ
て得られる原料粉体の粒径,形状は、上記細管の内径,
溶液濃度に依存して単純に変化する。したがって、原料
粉体の粒径,形状は、細管の内径,溶液濃度のみを制御
することによって調整される。また、上記細管から噴出
する無機化合物溶液の噴出状態は、溶液の供給量,細管
の温度によって決まる。したがって、無機化合物溶液を
沸点以上に加熱して細管の先端より噴出せしめて噴霧液
滴とし、これを加熱乾燥することによって原料粉体を合
成すると、単純なパラメータを制御によって良好な形状
の原料粉体が得られることとなる。
【0015】
【実施例】本発明の具体的な実施例について図面を参照
しながら説明する。
【0016】噴霧熱分解法でセラミックスを製造するに
は、まず、無機化合物が所定のモル比で溶解された無機
化合物溶液を高温雰囲気に噴霧して噴霧液滴とし、この
噴霧液滴について溶媒の蒸発,熱分解させることにより
原料粉体を合成する。
【0017】本発明においては、このような原料粉体の
合成において、上記無機化合物溶液の噴霧を、該無機化
合物溶液の沸点以上に加熱された細管に溶液を供給し、
この溶液を細管先端より噴出させることにより行うこと
とする。すなわち、無機化合物溶液を沸点以上に加熱さ
れた細管に供給すると、無機化合物が加熱されて突沸状
態となる。そして、突沸状態となった無機化合物溶液は
先端から噴出され噴霧液滴となり、これを乾燥すること
によって上記原料粉体が合成される。
【0018】このように溶液を上記細管から噴出して噴
霧液滴とし、この噴霧液滴を乾燥して原料粉体を合成す
るようにしたスプレードライヤー装置を図1に示す。
【0019】すなわち、上記スプレードライヤー装置
は、無機化合物溶液を貯留するための溶液用高圧タンク
1、溶液流量調整用の高圧窒素ボンベ3、溶液を噴出す
るための細管4、溶液が噴霧されるベルジャー5、粉末
を回収するための粉末回収部6よりなっている。
【0020】上記溶液用高圧タンク1には溶液を輸送す
るための輸送用パイプ7が取付けられている。上記輸送
用パイプ7は、中途部に高圧バルブ8が設けられてお
り、さらに、延長して上記細管4に接続されている。ま
た、上記溶液用高圧タンク1には、高圧窒素ガスボンベ
3からの窒素ガスを導入するための窒素ガス導入用パイ
プ10が取付けられている。この窒素ガス導入用パイプ
10を介して導入される窒素ガスの圧力によって溶液用
高圧タンク1内の無機化合物溶液が押し出され、この圧
力を制御することにより、タンクより輸送され細管4に
供給される溶液流量の調節がなされる。すなわち、図2
に溶液用高圧タンクに導入する窒素ガスの圧力と細管を
通過する溶液流量の関係を示すが、このように窒素ガス
の圧力と細管を通過する溶液流量とは相関関係を有して
いる。したがって、窒素ガスの圧力を制御することによ
り、細管に所望の流量で溶液が供給されることとなる。
【0021】上記輸送用パイプに接続される細管4は、
金属材料よりなり、輸送用パイプ7側と反対側の一端が
乾燥室となるベルジャー5に連結されている。この細管
4は、銅ブロックに埋め込まれ、併設された細管加熱用
ヒータ11,加熱電対,温度コントローラによって温度
制御されるようになっている。なお、上記細管4の内径
は、輸送用パイプ7に対して十分細く、0.020mm
以上、0.25mm以下であることが望ましい。内径が
0.020mm未満の場合には、細管4が詰まり易く、
溶液の噴出に支障を来す。また、内径が0.25mmを
越える場合には、原料粉体の粒径が大きくなり過ぎる。
なお、取扱い易さを考慮すると上記細管4の内径は、1
00μm前後とすることが好ましい。
【0022】また、このような細管4に連結される上記
ベルジャー5には、赤外線ヒータ18が併設されるとと
もに上記細管4の連結部分と近接して乾燥用窒素ガス導
入パイプ12が連結されている。この乾燥用窒素ガス導
入パイプ12の中途部には、窒素ガス加熱用ヒータ13
が挿入されており、この窒素ガス加熱用ヒータ13によ
って通過する窒素ガスが加熱される。したがって、ベル
ジャー5内に噴霧された噴霧液滴は上記赤外線ヒータ1
8より供給される熱と加熱された窒素ガスの流入によっ
て乾燥され原料粉体となる。また、さらにこのベルジャ
ー5には、内壁面に沿って窒素ガスが流れるようになさ
れており、噴霧液滴が内壁面に被着残存するのを防止す
るようになっている。
【0023】そして、さらに上記ベルジャー5の下部に
は、サイクロン14および電気集塵器15よりなる粉末
回収部6が連結されており、合成された原料粉末がこの
粉末回収部6に回収されるようになっている。
【0024】このようなスプレードライヤー装置によっ
て原料粉体を合成するには、細管4の温度を少なくとも
無機化合物溶液の沸点以上の温度にまで上昇させるとと
もに、赤外線ヒータ18をオンとし、ベルジャー5内に
高温窒素ガス,被着防止用窒素ガスを導入する。そし
て、反応条件が安定したところで、バルブ8を開いて細
管4に所定の流量で無機化合物溶液を供給する。供給さ
れた無機化合物溶液は細管4内で急激な圧力降下を受け
るとともに加熱されて過昇温状態となり、細管先端から
ベルジャー5内に噴霧される。
【0025】噴霧されて噴霧液滴となった無機化合物溶
液は、赤外線ヒータ18の熱と高温窒素ガス気流によっ
て直ちに乾燥されて原料粉体となり、サイクロン14を
通過して粉末回収部6に回収される。
【0026】ここで、このようにして回収される原料粉
体は良好な形状を有している。また、その粒径は、無機
化合物溶液の濃度,細管の内径によってのみ単純に変化
し、これらパラメータを制御することによって容易に所
望の粒径の原料粉体が得られる。
【0027】なお、上記スプレードライヤー装置では、
溶液流量調整用のガスとして窒素ガスを用いたが、Ar
ガス,空気等を用いても差し支えない。
【0028】また、上記スプレードライヤー装置におい
て、細管は1本に限らず複数備えるようにしてもよい。
複数の細管を上述したようにそれぞれ加熱し、同様に無
機化合物溶液が供給されるようにしておけば、一回の操
作で多量の噴霧液滴を得ることができ、製造効率が向上
する。
【0029】さらに、上記スプレードライヤー装置に
は、溶液用高圧タンク1と並列して洗浄用の溶媒(ここ
では純水)を貯留するための溶媒用高圧タンク2を設
け、原料粉体合成後、これから溶媒を供給して細管4を
洗浄するようにしてもよい。
【0030】すなわち、上記溶媒用高圧タンク2には中
途部に高圧バルブ17を有する輸送用パイプ16が取付
けられる。この輸送用パイプ16は延長して上記溶液用
高圧タンク1に取付けられた輸送用パイプ7と合流す
る。また、この溶媒用高圧タンク2には上記高圧窒素ガ
スボンベ3から窒素ガスを導入する窒素ガス導入用パイ
プ10を取付けられる。したがって、この窒素ガス導入
用パイプ10より導入される窒素ガスの圧力により、溶
媒用高圧タンク2内の溶媒が押し出され、細管4に供給
されることとなる。
【0031】このような溶媒用高圧タンク2が併設され
たスプレードライヤー装置では、バルブ8,17の開閉
を調節することにより、細管4に無機化合物溶液,ある
いは溶媒が供給される。すなわち、原料粉体の合成に際
しては溶液用高圧タンク1側のバルブ8を開き、溶媒用
高圧タンク2側のバルブ17を閉めておき、細管4に無
機化合物溶液を供給する。原料粉体合成後には溶液用高
圧タンク1側のバルブ8を閉じ、溶媒用高圧タンク2の
バルブ17を開く。これにより細管4には溶媒が供給さ
れて、洗浄されることとなる。
【0032】このようになスプレードライヤー装置によ
って合成され、回収された原料粉体はプレス成形,焼成
することにより、酸化物複合体とされる。プレス成形,
焼成方法はセラミックスの製造に際して通常採用されて
いる方法がいずれも採用可能である。この方法で製造さ
れた原料粉体は、組成均一性が高く、良好な粒子形状を
有し、かつ所望の粒径とされているので反応性が高く、
優れた機能を有する酸化物複合体となる。
【0033】次に、実際に上記方法にて原料粉体を合成
し、その粒子形状及び製造された酸化物複合体の特性に
ついて調べた。なお、以下に示す実験において、細管と
しては内径0.25mm、長さ(加熱部分の長さ)35
cmのステンレス(SUS304)製細管を、ベルジャ
ーとしては全長60cmのものを使用した。
【0034】予備実験 先ず、細管からの溶液噴出を良好に行うための細管温
度、溶液供給流量、および原料粉体の回収を効率良く行
うための乾燥用窒素ガスの流量、粉末回収部の温度の最
適化を行った。
【0035】なお、細管温度は、細管に純水を流量3c
c/分で供給し、細管温度を変化させたときの細管から
噴出する純水の様子を観察することによって検討した。
溶液供給量は、細管の温度を195°とし、供給する純
水の流量を変化させたときの細管から噴出する純水の様
子を観察することによって検討した。また、乾燥用窒素
ガスの流量は、乾燥用窒素ガスの温度を再凝結の防止を
考慮して細管温度と等しくし、この乾燥用窒素ガスの流
量を変化させたときの原料粉体の乱流の様子を観察する
ことによって検討した。
【0036】粉末回収部の温度は、サイクロン,電気集
塵器の温度を変化させたときのサイクロンへの原料粉体
の付着の様子を観察することによって検討した。
【0037】予備実験の結果、細管から純水を噴出させ
るためには、細管温度は170°以上、溶液供給流量は
3〜6cc/分とする必要があることがわかった。乾燥
窒素ガスの流量は、70l/分以上とすることにより原
料粉体の乱流の発生が防止され、効率良く粉末回収部に
原料粉体が回収されるようになることがわかった。
【0038】すなわち、乾燥窒素ガスの流量が30l/
分以下の場合には、ベルジャーの上部1/3(細管から
20cm)の辺りで原料粉体の乱流が発生し、50l/
分の場合には、30l/分以下の場合に比べれば乱流の
発生は抑えられているものの細管から45cmの辺りで
原料粉体の乱流が観察される。窒素ガスの流量を70l
/分以上とすることにより原料粉体の乱流の発生は観察
されなくなる。
【0039】さらに、粉末回収部の温度は、加熱を意図
的に行わない場合にはサイクロン,電気集塵器に水分が
凝集し、これに原料粉体が付着するため原料粉体の損失
が大きいが、サイクロン,電気集塵器を250〜300
℃に加熱することによりこのような水分の凝集が抑えら
れ、原料粉体が効率良く回収容器内に回収されることが
わかった。
【0040】このような予備実験結果を踏まえ、以下の
検討を行った。
【0041】原料粉体の粒径の検討 まず、原料粉体を合成し、そのとき用いた無機化合物溶
液の濃度と合成される原料粉体の粒径の関係を調べた。
【0042】Y(NO3 3 ・6H2 O,Ba(N
3 2 ,Cu(NO3 2 ・3H2 Oを表1に示す組
成の酸化物複合体に対応するモル比で秤量して純水に溶
解し、各種濃度の無機化合物溶液を調製した。この無機
化合物溶液を上記スプレードライヤー装置にセットし、
原料粉体を合成した。
【0043】なお、原料粉体の合成条件は、溶液供給量
3〜5cc/分,細管温度195℃,乾燥用窒素ガス温
度195℃,乾燥用窒素ガス流量70l/分,ベルジャ
ーの中心部分温度250℃,回収部温度250〜300
℃,電気集塵器の極板間電圧10kV/cm2 である。
合成された原料粉体の粒径を表1に示す。
【0044】
【表1】
【0045】表1を見てわかるように、原料粉体は、無
機化合物溶液の濃度に依存して粒径が変化している。ま
た、この変化は、細管から細管の内径と同程度の粒径を
持つ噴霧液滴が噴出され、これがそのまま乾燥して原料
粉体となったことを示唆するものである。したがって、
上記スプレードライヤー装置においては、細管の内径お
よび無機化合物溶液の濃度(噴霧液滴一滴に含まれる無
機化合物量)を制御することにより、原料粉体の粒径が
調整できる。
【0046】超伝導体の製造 本実施例では、原料粉体を用いて超伝導体であるYBa
2 Cu4 8 を製造し、その特性を検討した。
【0047】Y(NO3 3 ・3H2 O,Ba(N
3 2 ,Cu(NO3 2 ・3H2 OをYBa2 Cu
4 8 に対応するモル比で秤量して純水に溶解し、4重
量%の無機化合物溶液を調製した。この無機化合物溶液
を上記スプレードライヤー装置にセットし、原料粉体を
合成した。
【0048】なお、原料粉体の合成条件は、溶液供給流
量3〜5cc/分(高圧窒素ボンベの圧力1470N/
cm2 ),細管温度463K,乾燥用窒素ガス温度46
3Kである。
【0049】回収された原料粉体について倍率400倍
で顕微鏡観察を行った。その結果、上記原料粉体はほぼ
球状であり、粒径は約10μmであった。この粒径は、
細管の内径と同程度の粒径を持つ水滴が発生すると仮定
して濃度から見積もった大きさによく一致している。
【0050】次いで、回収した原料粉体を490N/c
2 でプレス成形し、仮焼成した。仮焼成は、酸素気流
中、焼成雰囲気を2K/minの昇温速度で1083K
まで昇温し、この温度で24時間保持した後、冷却する
ことによって行った。仮焼成物を解砕し、再度490N
/cm2 でプレス成形し、本焼成した。本焼成は、酸素
気流中、焼成雰囲気を2K/minの昇温速度で108
3Kまで昇温し、この温度で50時間保持した後、冷却
することによって行った。
【0051】得られた焼成体について、先ずX線回折分
析によって同定を行った。なお、X線回折スペクトルの
観測条件は以下の通りである。 分析装置:理学電機社製,商品名RAD−IIIB 試料:円板状試料 線源:CuKα線(散乱線をグラファイトモノクロメー
タで単色化した) 走査モード:2θ−ω(1°/min)走査モード 上記焼成体のX線回折スペクトルを図3に示す。
【0052】図3のX線回折スペクトルを見ると、上記
焼成物は、若干の不純物を含有するものの主相はYBa
2 Cu4 8 (Y124)であることがわかる。
【0053】次に、上記焼成体の超伝導材料としての特
性を調べるために、上記X線回折分析に用いた試料表面
に厚さ200nmの金膜を蒸着し、直流4端子法にて温
度と電気伝導度の関係を調べた。測定条件は以下の通り
である。 定電流源:Keithley224(商品名) 電圧計:Keithley196DDM(商品名) 温度測定制御装置:SI社製,商品名5500−1(S
iダイオード) 上記焼成体の温度と電気伝導度(LogR)の関係を図
4に示す。
【0054】図4を見てわかるように、上記焼成体は、
温度を降下させると84K近傍から急激に電気抵抗が減
少し、71Kで測定器の測定限界に達する。これは、Y
Ba2 Cu4 8 で見られるのと同様の超伝導性であ
る。
【0055】
【発明の効果】以上の説明からも明らかなように、本発
明では、噴霧熱分解法によって原料粉体を合成するの
で、種々の組成の酸化物複合体を網羅的に製造するとい
ったルーチン実験に適している。また、噴霧熱分解法に
おいて、無機化合物が溶媒に溶解されてなる溶液を沸点
以上に加熱して細管の先端より噴出せしめて噴霧液滴と
し、これを加熱乾燥することによって原料粉体を合成す
るので、良好な形状の原料粉体が得られ、また原料粉体
の粒径を、細管の内径,溶液濃度のみを制御することに
よって容易に調整することができる。
【0056】しかも、このようにして無機化合物溶液を
噴出させる場合、装置構成が簡易で済み、装置が安価な
ものとなる。したがって、本発明によれば高性能なファ
インセラミックスを容易に製造することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用したスプレードライヤー装置の一
例を示す模式図である。
【図2】上記スプレードライヤー装置において、溶液用
高圧タンクに導入する窒素ガスの圧力と細管に供給され
る溶液流量の関係を示す特性図である。
【図3】YBa2 Cu4 8 のX線回折スペクトルを示
す特性図である。
【図4】YBa2 Cu4 8 の温度と熱伝導率の関係を
示す特性図である。
【符号の説明】
1・・・溶液用高圧タンク 2・・・溶媒用高圧タンク 3・・・高圧窒素ボンベ 4・・・細管 5・・・ベルジャー 6・・・粉末回収部 11・・・細管加熱用ヒータ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // H01B 12/00 ZAA 7244−5G (72)発明者 田中 均洋 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内 (72)発明者 セルジュ・ホステ ベルギー国,ゲント・クライヒスラーン・ 281・9000,ユニバーシティ・オブ・ゲン ト,ラボラトリー・オブ・ジェネラル・ア ンド・インオーガニック・ケミストリー, スーパーコンダクティング・リサーチ・グ ループ (72)発明者 福島 幸子 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内 (72)発明者 鈴木 真之 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内 (72)発明者 磯部 雅朗 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内 (72)発明者 網 隆明 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 無機化合物が溶媒に溶解されてなる溶液
    を少なくとも沸点以上に加熱して細管の先端より噴出せ
    しめ、これを加熱乾燥することを特徴とする複合酸化物
    の製造方法。
  2. 【請求項2】 排気口を有する乾燥室と、無機化合物が
    溶媒に溶解されてなる溶液を前記乾燥室中に噴出するた
    めの細管と、上記細管を少なくとも前記溶液の沸点以上
    に加熱するための加熱手段とを備えてなる複合酸化物製
    造装置。
  3. 【請求項3】 細管に溶媒のみを供給する溶媒供給手段
    が設けられていることを特徴とする請求項2記載の複合
    酸化物製造装置。
  4. 【請求項4】 乾燥室に加熱された不活性ガスを供給す
    るガス流入口が設けられていることを特徴とする請求項
    2記載の複合酸化物製造装置。
  5. 【請求項5】 乾燥室を加熱するための加熱手段を有す
    ることを特徴とする請求項2または請求項3または請求
    項4記載の複合酸化物製造装置。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2010505605A (ja) * 2006-10-06 2010-02-25 ニューサウス イノベーションズ ピーティーワイ リミテッド 粒子の形成
JP2017100069A (ja) * 2015-11-30 2017-06-08 トヨタ自動車株式会社 粒子の製造方法
JP2019025394A (ja) * 2017-07-27 2019-02-21 太平洋セメント株式会社 微粒子の製造法
JP2019122926A (ja) * 2018-01-17 2019-07-25 太平洋セメント株式会社 噴霧熱分解による微小粒子の製造法

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