JP2005306857A - ポリアセン化合物の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 ポリアセン化合物を合成する反応を行った後の反応混合物から、簡単に、短時間で、高収率にポリアセン化合物を分離精製できる、ポリアセン化合物の製造方法を提供すること。
【解決手段】 ジヒドロペンタセン誘導体(13)の不飽和脂肪族環をDDQやクロラニルなどのキノン類で脱水素して芳香族環に変換し、ペンタセン誘導体(14)を合成する。反応後の溶液から合成反応に用いた溶媒を留去したり、沈殿生成に最適化した他の溶媒を添加したりして、ペンタセン誘導体(14)の飽和溶液を調製した後、この飽和溶液に多量の低級アルコール又は低級脂肪族炭化水素溶媒を加えて、ペンタセン誘導体(14)のみを選択的に沈殿させる。ジヒドロペンタセン誘導体(13)は、ジルコノセンを用いた公知の段階的環形成反応によって合成するが、これらの中間生成物の合成反応に、上記の沈殿分離法を適用することもできる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、有機半導体材料などとして用いられるポリアセン化合物の製造方法に関するものであり、より詳しくは、ポリアセン化合物を合成した後の反応混合物から生成物を分離する方法に特徴を有するポリアセン化合物の製造方法に関するものである。
縮合多環化合物であるポリアセン化合物は、ポリアセチレンやポリフェニレンなどと同様にπ電子共役系を有する分子であり、ヨウ素又は臭素等をドープすると導電性を示すようになる。ポリアセン化合物は、ポリアセチレン等に比較して理論的にバンドギャップが小さく、有機半導体材料として優れた機能が期待される化合物である。
例えば、ペンタセンを用いて、下記の性能の有機電界効果トランジスタが試作されている(インターネット<URL:http://www.sony.co.jp/SonyInfo/News/Press/200402/04-010/>参照。)。
半導体層に用いた有機材料:ペンタセンC2214
電子移動度 :1.1cm2/Vs
オンオフ比 :106
S値 :0.3V/decade
ポリアセン化合物の合成法として、Diels-Alder反応を利用して環形成を行い、その後、カーボンに担持したパラジウム触媒を用いて不飽和脂肪族環を脱水素(酸化)して芳香族環に変換する方法(W.J.Baily and M.Modoff, J. Am. Chem. Soc., 75, 5603 (1953))や、ジルコノセンを用いて段階的に環形成を行い、その後、不飽和脂肪族環を脱水素して芳香族環に変換する方法(特開平9−301899号公報、特開平11−263737号公報、特開2000−26339号公報、特開2003−026780号公報、及び Tamotsu Takahashi et al., J. Am. Chem. Soc., 122, 12876 (2000))が開発されている。
これらの方法でポリアセン化合物を合成する場合、目的とするポリアセン化合物の前駆体に含まれる不飽和脂肪族環を、2,3-ジクロロ-5,6-ジイソシアノ-1,4-キノン(DDQ)や2,3,5,6-テトラクロロ-1,4-キノン(クロラニル)などのキノン類、またはカーボンに担持したパラジウム触媒などを用いて脱水素し、芳香族環に変換する工程が存在する。しかし、5個以上の環が縮合した不飽和環を合成した場合、この工程において副反応などが原因と推測される不純物(酸化体や構造不明体)が生成することが確認されている。
従来、上記の反応も含めて、目的とするポリアセン化合物から不純物を分離する工程としては、反応終了後の反応混合物をカラムクロマトグラフィや再結晶法によって精製する方法が用いられてきた。しかし、これらの方法では、不純物を分離除去することが難しく、手間と時間がかかり、収率も例えば33%と低いため(例えば、非特許文献1参照。)、簡単にかつ短時間で高収率にポリアセン化合物を精製できる方法が望まれていた。
Tamotsu Takahashi et al., "Straitforward Method for Synthesis of Highly Alkyl-Substituted Naphthacene and Pentacene Derivatives by Homologation",J. Am. Chem. Soc., 2000年12月,122, 12876-12877 のSupporting Info p.13
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、ポリアセン化合物の製造方法、より詳しくは、ポリアセン化合物を合成する反応を行った後の反応混合物から、簡単に、短時間で、高収率にポリアセン化合物を分離精製することができる、ポリアセン化合物の製造方法を提供することにある。
即ち、本発明は、ポリアセン化合物を合成するに際し、中間ポリアセン生成物又は最終ポリアセン生成物の合成反応後の反応混合物の溶液に低級アルコールを加え、前記中間ポリアセン生成物又は最終ポリアセン生成物を沈殿させる分離工程を有する、ポリアセン化合物の第1の製造方法に係わるものである。
また、ポリアセン化合物を合成するに際し、中間ポリアセン生成物又は最終ポリアセン生成物の合成反応後の反応混合物を第1溶媒に溶解させた溶液に、前記第1溶媒に対する親和性が大きく、かつ、前記中間ポリアセン生成物又は前記最終ポリアセン生成物が溶解しないか又は溶解度が小さい第2溶媒を加えて、前記中間ポリアセン生成物又は前記最終ポリアセン生成物を沈殿させる分離工程を有する、ポリアセン化合物の第2の製造方法に係わるものである。
なお、本発明でいうところの「ポリアセン化合物」とは、ベンゼン環単独の又はベンゼン環が直線的にオルト縮合した化合物であって、縮合した任意のベンゼン環の1つ又は2つ以上が飽和又は不飽和の脂肪族環で置き換わっていてもよいが、飽和環同士は隣接しない、前記化合物をいう。また、前記ベンゼン環及び前記脂肪族環のいずれの環も、置換基を有することができる。また、端部の環においては、置換基同士が環を形成していてもよく、このような化合物もまた、本発明でいうポリアセン化合物に含まれる。また、環の一部に複素環が含まれていてもよい。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究を進めた結果、ポリアセン化合物を合成するに際し、中間ポリアセン生成物又は最終ポリアセン生成物の合成反応後の反応混合物の溶液に低級アルコールを加え、前記中間ポリアセン生成物又は前記最終ポリアセン生成物を沈殿させる分離工程を行うことにより、前記反応混合物から前記中間ポリアセン生成物又は前記最終ポリアセン生成物を簡単容易に分離精製できることを見出し、前記ポリアセン化合物の第1の製造方法を完成させるに至った。
前記ポリアセン化合物の第1の製造方法によれば、前記反応混合物の溶液に低級アルコールを加え、目的とするポリアセン化合物を沈殿させるので、操作が容易であり、作業時間が短縮され、カラムクロマトグラフィや再結晶法などの手間のかかる精製操作が不要になる。しかも、従来、分離が難しかった不純物を簡単に分離できる。また、従来の精製法では、報告されている収率は、例えば33%と低いものであるが、本製造方法では、最高で70%を超える結果が得られている。
上記の前記低級アルコールの効果には、前記低級アルコールが溶媒として有する2つの特質が、効果的に作用していると考えられる。
1つは、ヒドロキシル基−OHを有しているため、酸化物や水酸化物などの極性の大きな基を有する不純物に対してよい溶媒として機能し、これらの不純物を溶かし出して除去する一方、分子の主要部が無極性の環構造であるポリアセン化合物に対しては親和性が小さく、多量に加えてもポリアセン化合物を溶かし出してしまう心配が少ないことである。
他の1つは、無極性のアルキル基部分を有しているため、トルエンなどの無極性の炭化水素系溶媒や、クロロホルムなどの極性の小さい有機溶媒とも混ざり合うことができることである。このため、トルエンやクロロホルムなどの無極性又は極性の小さい溶媒にポリアセン化合物が溶けている溶液に、多量の前記低級アルコールを加えると、前記低級アルコールは前記無極性又は極性の小さい溶媒の溶媒分子と結びつき、前記ポリアセン化合物に溶媒和していた前記溶媒分子を前記ポリアセン化合物から奪い取る働きをする。この結果、溶媒和していた前記溶媒分子を失った前記ポリアセン化合物は溶解できなくなり、ポリアセン化合物同士で集合して沈殿することになる。
また、更に研究を進めた結果、ポリアセン化合物を合成するに際し、中間ポリアセン生成物又は最終ポリアセン生成物の合成反応後の反応混合物を第1溶媒に溶解させた溶液に、前記第1溶媒に親和性があり、かつ、前記中間ポリアセン生成物又は前記最終ポリアセン生成物に対する親和性がないか又は小さい第2溶媒を加えて、前記中間ポリアセン生成物又は前記最終ポリアセン生成物を沈殿させる分離工程を行うことにより、前記反応混合物から前記中間ポリアセン生成物又は前記最終ポリアセン生成物を簡単容易に分離精製できることを見出し、前記ポリアセン化合物の第2の製造方法を完成させるに至った。
前記ポリアセン化合物の第2の製造方法によれば、前記反応混合物を第1溶媒に溶解させた溶液に、前記第1溶媒に対する親和性が大きく、かつ、前記中間ポリアセン生成物又は前記最終ポリアセン生成物が溶解しないか又は溶解度が小さい第2溶媒を加えて、目的とするポリアセン化合物を沈殿させるので、操作が容易であり、作業時間が短縮され、カラムクロマトグラフィや再結晶法などの手間のかかる精製操作が不要になる。
上記の前記第2溶媒の効果には、前記第2溶媒が有する2つの特質が、効果的に作用していると考えられる。
1つは、前記中間ポリアセン生成物又は前記最終ポリアセン生成物が、前記第2溶媒に溶解しないか又は前記第2溶媒に対する溶解度が小さいため、前記第2溶媒を多量に加えてもポリアセン化合物を溶かし出してしまう心配が少ないことである。他の1つは、前記第1溶媒に対する親和性が大きいため、前記第1溶媒にポリアセン化合物が溶けている前記溶液に多量の前記第2溶媒を加えると、前記第2溶媒の溶媒分子は前記第1溶媒の溶媒分子と強く結びつき、前記ポリアセン化合物に溶媒和していた前記第1溶媒の溶媒分子を前記ポリアセン化合物から奪い取る働きをする。この結果、溶媒和していた前記第1溶媒の溶媒分子を失った前記ポリアセン化合物は溶解できなくなり、ポリアセン化合物同士で集合して沈殿することになる。
本発明のポリアセン化合物の第1の製造方法において、主骨格をなす縮合環に含まれる脂肪族環を、脱離反応又は酸化反応によって芳香族環に変換する反応を行った後の反応混合物の溶液に、前記分離工程を行うのがよい。また、前記分離工程は、主骨格をなす縮合環を構成する環の数を増加させる環形成反応を行った後の反応混合物の溶液や、主骨格をなす縮合環に結合している置換基を、他の置換基に変換する反応を行った後の反応混合物の溶液に適用することもできる。
また、前記反応混合物が無極性又は極性の小さい溶媒に溶解している前記溶液に、前記アルコールを加えるのがよい。前記ポリアセン化合物を溶解させるには、無極性又は極性の小さい溶媒が必要であるから、これは当然のことである。
また、前記無極性又は極性の小さい溶媒としてトルエン又はクロロホルムを用い、前記低級アルコールとしてメタノール、エタノール又はプロパノールを用いるのがよい。前記溶媒としては、ポリアセン化合物と親和性があることは当然であるが、本発明に基づく沈殿分離法を適用するためには、前記低級アルコールとも親和性を有するものであることが望ましく、前記ポリアセン化合物と親和性の大きいトルエンや、前記低級アルコールと親和性の大きいクロロホルムなどが好適である。また、前記低級アルコールとしては、ポリアセン化合物との親和性が大きくなりすぎないように、小さなアルキル基を有するメタノール、エタノール又はプロパノールが好ましい。
また、前述した作用機構から、前記低級アルコールを前記溶液に対し大過剰に加えるのが望ましい。但し、必要以上に加えても効果は次第に乏しくなる。費用対効果比も考慮して、前記溶液に対し体積比で20倍以上の前記低級アルコールを用いるのがよい。
本発明のポリアセン化合物の第2の製造方法において、前記第2溶媒として、前記中間ポリアセン生成物又は前記最終ポリアセン生成物の溶解度が0.1g/L以下、より好ましくは1.0×10-4g/L以下である溶媒を用いるのがよい。
また、前記溶液を前記ポリアセン化合物の飽和溶液に調製するのがよい。前記飽和溶液とするのは、前記ポリアセン化合物の回収率を向上させるためである。この飽和溶液の溶媒としては、反応に用いた溶媒を用いる場合や、沈殿分離に最適化した他の溶媒を用いる場合などがある。反応後の反応溶液から溶媒を留去したり、新たな溶媒を添加したりして、前記ポリアセン化合物の飽和溶液を調製する。
また、主骨格をなす縮合環に含まれる脂肪族環を、脱離反応又は酸化反応によって芳香族環に変換する反応を行った後の反応混合物の溶液に、前記分離工程を行うのがよい。また、前記分離工程は、主骨格をなす縮合環を構成する環の数を増加させる環形成反応を行った後の反応混合物の溶液や、主骨格をなす縮合環に結合している置換基を、他の置換基に変換する反応を行った後の反応混合物の溶液に適用することもできる。
また、前記第1溶媒としてトルエン又はクロロホルムを用い、前記第2溶媒として低級脂肪族炭化水素溶媒、例えば、ペンタン、ヘキサン、又はヘプタンを用いるのがよい。前記第1溶媒としては、ポリアセン化合物と親和性があることは当然であるが、本発明に基づく沈殿分離法を適用するためには、前記第2溶媒と親和性の大きいものであることが望ましく、例えば、前記第1溶媒としてトルエン又はクロロホルムを用い、前記第2溶媒としてペンタン、ヘキサン、又はヘプタンを用いるのがよい。
また、前述した作用機構から、前記第2溶媒を前記溶液に対し大過剰に加えるのが望ましい。但し、必要以上に加えても効果は次第に乏しくなる。費用対効果比も考慮して、前記溶液に対し体積比で20倍以上の前記第2溶媒を用いるのがよい。
本発明のポリアセン化合物の第1又は第2の製造方法において、下記の一般式(1)で表されるポリアセン化合物を得るのがよい。一般式(1)で表されるポリアセン化合物は、典型的なポリアセン化合物である。
一般式(1):
Figure 2005306857
(この一般式(1)において、R1、R2、R3、R4、R5、R6、A1及びA2は、各々互いに独立した同一又は異なった基であり、nは0〜20の整数である。但し、一般式(1)中において下記の結合
Figure 2005306857

は、単結合又は二重結合を表す。)
また、前記一般式(1)において、3個以上の不飽和環が含まれるポリアセン化合物を合成するのがよい。これは、ポリアセン化合物に含まれる環の数が多いほど、前記低級アルコール又は前記低級脂肪族炭化水素溶媒に対するポリアセン化合物の溶解性が低下し、前記低級アルコールへの溶解によるポリアセン化合物の損失が減少して、本発明を適用しやくなるからである。
また、前記一般式(1)において、nが2以上のとき、前記一般式(1)中に複数個存在するR3同士及びR6同士は、それぞれ、同じでも異なっていてもよい。
前記R1、前記R2、前記R3、前記R4、前記R5及び前記R6は、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20の炭化水素基、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素原子数6〜20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20のチオアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素原子数6〜20のアリールチオ基、アミノ基、ヒドロキシル基、又は水素原子であり、前記R4及び前記R5は、互いに架橋して炭素原子数4〜20の飽和環又は不飽和環を形成していてもよい。また、前記A1及び前記A2は、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20の炭化水素基、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素原子数6〜20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素原子数6〜20のアルキルアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20のアルコキシカルボニル基、置換基を有していてもよい炭素原子数6〜20のアリールオキシカルボニル基、シアノ基、カルバモイル基、ハロホルミル基、ホルミル基、イソシアノ基、イソシアナト基、又はチオシアナト基であり、前記A1及び前記A2は、互いに架橋して環を形成していてもよい。
また、ポリアセン化合物の合成法としては、ジルコノセンを用いた環形成反応と、これに続くジルコナシクロペンタジエン又はその誘導体とアルキン又はその誘導体との環形成反応とによって、前記脂肪族環を含むポリアセン化合物を合成するのがよい。
この合成法では、環を次々に増設することができ、環の形成に際して、種々の置換基を側鎖として導入することができる。また、環形成後、必要に応じて脂肪族環を芳香族環に変換したり、官能基を変換したり、新たな置換基を側鎖として導入したりすることもできる。従って、この合成法によれば、目的に応じて、側鎖に適切な置換基が導入されたポリアセン化合物を合成することができる。また、この合成法によって得られるポリアセン化合物は、熱分解などによって作られるポリアセン化合物と異なり、材料としての均一性に優れ、溶媒に溶解させて塗布などの方法で薄膜を形成できるなど、優れた機能性材料となる可能性を有している(特開平9−301899号公報、特開平11−263737号公報、特開2000−26339号公報、特開2003−026780号公報、及び Tamotsu Takahashi et al., J. Am. Chem. Soc., 122, 12876 (2000))。
ジルコノセンは、下記の一般式(2)で表される化合物であり、最も入手が容易なジルコノセンは、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドZr(C55)2Cl2である。この化合物は、本発明に好適に用いられる。
一般式(2):
Figure 2005306857
(この一般式(2)において、Xは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子などのハロゲン原子であり、好ましくは塩素原子、臭素原子であり、とくに好ましくは塩素原子である。R7、R8、R9、R10及びR11は、各々互いに独立した同一又は異なった基であり、炭化水素基、アリール基、及び水素原子である。これらのうち、炭化水素基およびアリール基は、ハロゲン原子又はケイ素を含む置換基を有していてもよく、好ましくは炭化水素基の炭素原子数は1〜20、アリール基の炭素原子数は6〜20であり、互いに結合していてもよい。)
また、他のポリアセン化合物の合成法として、Diels-Alder反応による合成などを用いてもよい。この方法でも、環形成後、必要に応じて脂肪族環を芳香族環に変換する際に、本発明に基づくポリアセン化合物の分離方法を好適に適用することができる。
また、脂肪族環を芳香族環に変換する前記脱離反応又は前記酸化反応としては、脱水素反応を行うのがよい。その際、前記脱水素反応を、2,3-ジクロロ-5,6-ジイソシアノ-1,4-キノン(DDQ)や、2,3,5,6-テトラクロロ-1,4-キノン(クロラニル)などの酸化剤や、或いはカーボンに担持した金属触媒、例えば、パラジウムなどを用いて行うのがよく、モリブデンの酸化物を触媒として用いることもできる。
この際、DDQやクロラニルなどのキノン類を用いると、ヒドロキノン類が副生するので、これを取り除く必要が生じる。本発明の方法では、ヒドロキノン類はメタノールなどの前記低級アルコールに可溶なため、ポリアセン化合物の分離操作の際に、ヒドロキノン類を前記低級アルコールに溶解させて同時に除くことができ、ヒドロキノン類の除去のための工程を別途行う必要がないという利点もある。
次に、本発明の好ましい実施の形態について、図面参照下により詳しく説明する。
図1〜4は、本実施の形態において、前記目的とするポリアセン化合物の一例であるペンタセン誘導体(14)を合成する工程を示す説明図である。但し、図中の化学式において、Cpはシクロペンタジエニル基(C55)を表し、Meはメチル基を表し、Etはエチル基を表すものとする(以下、同様。)。
図1は、本発明に基づくポリアセン化合物の製造方法を最も有効に適用できる工程を示している。即ち、反応(XIV)において、ジヒドロペンタセン誘導体(13)の不飽和脂肪族環をDDQで脱水素して芳香族環に変換し、ペンタセン誘導体(14)を生成させた後、反応後の反応混合物の溶液に低級アルコールを加え、目的とするポリアセン化合物であるペンタセン誘導体(14)のみを選択的に沈殿として分離する。
反応(XIV)では、ジヒドロペンタセン誘導体(13)やペンタセン誘導体(14)を溶解させるために、トルエンなどの無極性又は極性の小さい溶媒が用いられる。そこに、ジヒドロペンタセン誘導体(13)と、脱水素反応試薬としてDDQやクロラニルなどのキノン類が反応物質として加えられ、反応によってペンタセン誘導体(14)とヒドロキノン類が生成する。反応混合物には、この他に、酸化体や構造不明体などの副生物や不純物など、多種多様なものが含まれ、これらを、例えばカラムクロマトグラフィで分離するのは難しい。
本実施の形態では、この反応後の溶液から溶媒を留去したり、新たな溶媒を添加したりして、ペンタセン誘導体(14)の飽和溶液を調製する。飽和溶液とするのは、ペンタセン誘導体(14)の回収率を上げるためで、必須ということではない。この飽和溶液の溶媒としては、反応に用いた溶媒を用いる場合や、沈殿分離に最適化した他の溶媒を用いる場合などがある。
このように調製された飽和溶液に多量の低級アルコールを加えると、ペンタセン誘導体(14)のみを選択的に沈殿させることができる。以下、その理由を説明する。
ペンタセン誘導体(14)は、分子の大部分を炭化水素骨格、とりわけ芳香族環が占めているので、極性に乏しく、極性溶媒である低級アルコールには親和性が小さいため、低級アルコールを多量に加えても、低級アルコールに溶解することはない。トルエンやクロロホルムなどの無極性又は極性の小さい溶媒にペンタセン誘導体(14)が溶けている飽和溶液に、多量の低級アルコールを加えると、低級アルコールは溶媒分子と結びつき、ペンタセン誘導体(14)に溶媒和していた溶媒分子を、ペンタセン誘導体(14)から奪い取る働きをする。この結果、溶媒和していた溶媒分子を失ったペンタセン誘導体(14)は溶解できなくなり、ペンタセン誘導体(14)同士で集合して沈殿する。
反応混合物に含まれるペンタセン誘導体(14)以外の成分のうち、未反応のキノン類や、反応生成物の1つであるヒドロキノン類や、極性の大きな基を有する酸化体などの副生物や不純物などは、極性の大きいヒドロキシル基を有する低級アルコールと親和性が大きく、低級アルコールと溶媒和して、低級アルコールと溶媒分子からなる混合溶媒の中に溶かし込まれる。
一方、反応混合物に含まれるペンタセン誘導体(14)以外の成分のうち、未反応のヒドロペンタセン誘導体(13)や比較的極性の小さな副生物は、低級アルコールと溶媒和することは難しいが、これらの成分はペンタセン誘導体(14)に比べれば量的に少ないので、低級アルコールと溶媒分子からなる混合溶媒においても飽和に達することはなく、このため、沈殿することはない。
このようにして、ペンタセン誘導体(14)のみが飽和に達し、沈殿するので、これを濾別することによってペンタセン誘導体(14)を単離することができる。
図2〜4は、ジルコノセンを用いた公知の段階的環形成反応によって、脂肪族環を有するポリアセン化合物であるジヒドロペンタセン誘導体(13)を、ペンタセン誘導体(14)の前駆体として合成する一例を示す反応フロー図である。
この合成プロセスは、ジルコノセンとブチルリチウムBuLiとの反応によりジルコノセン等価体を生成させ、これとアルキン又はその誘導体とを反応させてジルコナシクロペンタジエン又はその誘導体を生成させる反応と、このジルコナシクロペンタジエン又はその誘導体をトランスメタル化した後に、アルキン又はその誘導体と反応させ、ベンゼン環を形成させる反応とを中核とするものである。
即ち、まず、図2の反応(I)において、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドZrCp2Cl2(以下、ジルコノセンと略記する。)とブチルリチウムとの反応によりジルコノセン等価体ZrCp2が生成し、これと3-ヘキシン2分子とが付加反応によってジルコナシクロペンタジエン誘導体(1)を生成する。
次に、反応(II)において、ジルコナシクロペンタジエン誘導体(1)が、塩化銅(I)Cu2Cl2との反応によってトランスメタル化を起こし、中間体を生成する。この中間体がアセチレンジカルボン酸ジメチルと反応して、ベンゼン環を形成し、フタル酸ジメチル誘導体(2)を生成する。
上記の反応(I)と(II)が、ジルコノセンを用いた段階的環形成反応の中核をなす。次の反応(III)〜(V)では、オルト位置での官能基変換によって、次の環形成反応の準備を行う
即ち、反応(III)では、フタル酸ジメチル誘導体(2)のエステル結合を還元してメチレン基とヒドロキシル基を生成させ、続く反応(IV)では、ヒドロキシル基を臭素原子で置換し、更に反応(V)では、この臭素原子を1-ヘキシニル基で置換して三重結合C≡Cを導入する。
次に、反応(VI)と(VII)では、反応(I)と(II)と同様にして、ジルコノセンを用いた環形成反応を行い、縮合した不飽和脂肪族環1つとベンゼン環1つを形成する。
次の反応(VIII)は、反応(VI)で形成された不飽和脂肪族環をDDQで酸化(脱水素)して、不飽和脂肪族環を芳香族環(ベンゼン環)に変換する反応である。この反応は前述の反応(XIV)と同様の反応であるから、この工程においても、本実施の形態の特徴である低級アルコールの投入によるポリアセン化合物の沈殿分離法を適用してもよい。但し、従来技術の項において既述したように、不飽和環の数が5個未満の場合にはこの工程での不純物の生成は見出されていないので、必ず上記沈殿分離法を適用することが必要というわけではない。
次の反応(IX)〜(XI)は、反応(III)〜(IV)と同様の、次の環形成反応のための準備工程であり、その次の反応(XII)と(XIII)は、反応(VI)と(VII)と同様のジルコノセンを用いた環形成反応である。
以上に説明したように、本実施の形態の合成方法では、一連の反応(反応(III)〜(VIII)或いは反応(IX)〜(XIV))を繰り返し行うことによって、効率よく確実にオルト位に縮合した環を増設していくことができる。また、図示は省略したが、反応(XIV)の後でも同様の反応を行い、更に多数の環が縮合したポリアセン化合物を合成することもできる。
次に本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。なお、本実施例においては、反応はアルゴンガスまたは窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下にて行った。また、反応に使用した溶媒は、すべて脱気処理したものを使用した。これは酸化体の生成を抑えるためである。なお、実施例1〜6は本発明のポリアセン化合物の第1の製造方法に関わり、実施例7は本発明のポリアセン化合物の第2の製造方法に関わるものである。
実施例1
本実施例では、図2〜4および図1に示した反応フローに従い、ペンタセン誘導体(14)を合成した。そして、ジヒドロペンタセン誘導体(13)がもつ不飽和脂肪族環を脱水素して芳香族環へ変換する反応(XIV)を行った後の反応混合物の溶液に、低級アルコールとしてメタノールを加え、ペンタセン誘導体(14)を沈殿させ、NMRスペクトルによって結果を検討した。
<反応(I)と(II):ジルコノセンを用いた環形成>
まず、ジルコノセンZrCp2Cl2 8.77gをテトラヒドロフラン(THF)100mlに溶かし、−78℃に冷却した後、ブチルリチウムBuLiのヘキサン溶液(1.58mol/l)38.4mlを加え、−78℃で1時間攪拌し、ジルコノセン等価体を生成させた。これに3-ヘキシン6.9mlを加え、室温で3時間攪拌して、ジルコノセン等価体と3-ヘキシンとを反応させ、ジルコナシクロペンタジエン誘導体(1)を合成した。
続いて、塩化銅(I)6gとアセチレンジカルボン酸ジメチル(DMAD)11.1mlとを上記の反応液に加え、室温で3時間攪拌して反応させた。反応液を3N塩酸で処理して反応を終了させ、ヘキサン100mlを用いた抽出操作を3回繰り返して行い、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗い、次に飽和食塩水で洗った後、硫酸マグネシウムで乾燥させた。エバポレーターを用いて溶媒を蒸発させて取り除いた後、カラムクロマトグラフィ(展開溶媒として、酢酸エチルとヘキサンとを質量比1:5で混合した混合溶媒を用いた。)で精製を行い、固体物質としてフタル酸ジメチル誘導体(2)5.61g(収率61%)を得た。
<反応(III):エステル結合の還元>
0℃に冷やしたテトラヒドロフラン(THF)47mlにリチウムアルミニウムハイドライドLiAlH4を1.02g加え、その溶液にフタル酸ジメチル誘導体(2)4.2gを0℃に保ちながら加えた。室温にして3時間攪拌して反応させた後、水を加えて処理した。溶液がわずかに酸性になるまで2N硫酸を加えた後、ジエチルエーテル50mlを用いた抽出操作を3回繰り返して行い、飽和食塩水で洗った後、硫酸マグネシウムで乾燥させた。エバポレーターを用いて溶媒を蒸発させて取り除いた後、ヘキサンを溶媒として再結晶することで、固体結晶として化合物(3)3.0g(収率90%)を得た。
<反応(IV):臭素による置換>
化合物(3)3gをクロロホルム45mlに溶かし、臭化リンPBr3を1.5ml加えた。室温で3時間攪拌したあと、水で処理をし、酢酸エチル50mlを用いた抽出操作を3回繰り返して行い、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗い、次に飽和食塩水で洗った後、硫酸マグネシウムで乾燥させた。エバポレーターを用いて溶媒を蒸発させて取り除いた後、ヘキサンを用いて再結晶することで、白色固体としてジブロモ体(4)4.5g(収率99%)を得た。
<反応(V):C≡C三重結合の導入>
THF100mlに1-ヘキシンを4ml加え、−78℃に冷やした状態で、ブチルリチウムのヘキサン溶液(1.58mol/l)を20ml加え、室温で1時間攪拌した。反応液を−78℃にし、DMPU(1,3-dimethyl-3,4,5,6-tetrahydro-2(1H)-pyrimidinone)を3.66ml加え、続いてTHFに溶かしたジブロモ体(4)3.0gを加え、室温で3時間攪拌した。3N塩酸で処理したあと、ヘキサン100mlを用いた抽出操作を3回繰り返して行い、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗い、次いで飽和食塩水で洗った後、硫酸マグネシウムで乾燥させた。エバポレーターを用いて溶媒を蒸発させて取り除いた後、カラムクロマトグラフィ(展開溶媒として、酢酸エチルとヘキサンとを1:10の質量比で混合した混合溶媒を用いた。)で精製を行い、化合物(5)2.55g(収率83.1%)を得た。
<反応(VI)と(VII):ジルコノセンを用いた環形成>
ジルコノセンZrCp2Cl2 0.293gをTHF5mlに溶かし、−78℃に冷却した後、ブチルリチウムのヘキサン溶液(1.58mol/l)1.28mlを加え、−78℃で1時間攪拌した。これに化合物(5)0.38gをTHFに溶かした溶液を加え、室温で3時間攪拌して、ジルコノセンと化合物(5)とを反応させ、化合物(6)を得た。
続いて、塩化銅(I)6gを上記の反応液に加え、0℃に冷やした後に、アセチレンジカルボン酸ジメチル(DMAD)11.1mlを加え、室温で3時間攪拌して反応させた。反応液を3N塩酸で処理をして反応を終了させ、ヘキサン20mlを用いた抽出操作を3回繰り返して行い、飽和炭酸水素ナトリウム、次いで飽和食塩水で洗った後、硫酸マグネシウムで乾燥させた。エバポレーターを用いて溶媒を蒸発させて取り除いた後、カラムクロマトグラフィ(展開溶媒として、酢酸エチルとヘキサンとを1:10の質量比で混合した混合溶媒を用いた。)で精製を行い、固体物質として化合物(7)0.49g(収率95%)を得た。
<反応(VIII):不飽和脂肪族環の芳香族環への変換>
化合物(7)4.98gとDDQ2.16gをトルエン100mlに溶かし、3時間還流加熱した。続いて、反応液を濾過して固形物を除き、ろ液からエバポレーターを用いて溶媒のトルエンを減圧留去し、得られた固体をカラムクロマトグラフィ(展開溶媒として、酢酸エチルとヘキサンとを1:9の質量比で混合した混合溶媒を用いた。)で精製し、固体物質として化合物(8)4.93g(収率99.4%)を得た。
<反応(IX)と(X):エステル結合の還元と臭素による置換>
0℃に冷やしたTHF150mlにLiAlH4 を0.722g加え、その溶液に化合物(8)4.93gを0℃に保ちながら加えた。室温にして3時間攪拌して反応させた後、水を加えて処理した。溶液がわずかに酸性になるまで2N硫酸を加えた後、ジエチルエーテル100mlを用いた抽出操作を3回繰り返して行い、飽和食塩水で洗った後、硫酸マグネシウムで乾燥させた。その後、エバポレーターを用いて溶媒を蒸発させて留去し、固体状の化合物(9)を得た。
次に、化合物(9)をクロロホルム40mlに溶かし、そこにPBr3を0.951ml加え、室温で12時間攪拌した後、水で処理をし、酢酸エチル100mlを用いた抽出操作を3回繰り返して行い、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗い、次いで飽和食塩水で洗った後、硫酸マグネシウムで乾燥させた。エバポレーターを用いて溶媒を蒸発させて取り除いた後、ヘキサンを溶媒とした再結晶による精製を行い、白色固体としてジブロモ体(10)5.61g(収率99.6%)を得た。
<反応(XI):C≡C三重結合の導入>
THF50mlに1-ヘキシンを0.232ml加え、−78℃に冷やした状態で、ブチルリチウムのヘキサン溶液(1.58mol/l)を1.29ml加え、室温で1時間攪拌した。反応液を−78℃にし、DMPUを0.247ml加え、続いてTHFに溶かしたジブロモ体(10)0.2gを加え、室温で3時間攪拌した。3N塩酸で処理した後、ヘキサン100mlを用いた抽出操作を3回繰り返して行い、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗い、次に飽和食塩水で洗った後、硫酸マグネシウムで乾燥させた。エバポレーターを用いて溶媒を蒸発させて取り除いた後、カラムクロマトグラフィ(展開溶媒として、酢酸エチルとヘキサンとを1:50の質量比で混合した混合溶媒を用いた。)で精製を行い、化合物(11)0.1716g(収率85%)を得た。
<反応(XII)と(XIII):ジルコノセンを用いた環形成>
ジルコノセンCp2ZrCl2 0.085gをTHF5mlに溶かせて−78℃に冷却した後、ブチルリチウムのヘキサン溶液(1.58mol/l)0.37mlを加え、−78℃で1時間攪拌した。化合物(11)0.1716gをTHFに溶かした溶液をこの反応溶液に加え、室温で3時間攪拌して、ジルコノセンと化合物(11)とを反応させ、化合物(12)を得た。
続いて、塩化銅(I)0.058gを加え、その後0℃に冷やした後に、アセチレンジカルボン酸ジメチル(DMAD)0.108mlを加え、室温で3時間攪拌して反応させた。反応液を3N塩酸で処理をして反応を終了させ、クロロホルム20mlを用いた抽出操作を3回繰り返して行い、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗い、次いで飽和食塩水で洗った後、硫酸マグネシウムで乾燥させた。エバポレーターを用いて溶媒を蒸発させて取り除いた後、カラムクロマトグラフィ(展開溶媒として、クロロホルムを用いた。)で精製し、固体物質としてジヒドロペンタセン誘導体(13)0.1213g(収率56.8%)を得た。
<反応(XIV):不飽和脂肪族環の芳香族環への変換>
Figure 2005306857
ジヒドロペンタセン誘導体(13)100mgとDDQ31mg(ジヒドロペンタセン誘導体(13)に対し1当量)をトルエン5mlに溶かし、24時間還流加熱してペンタセン誘導体(14)を生成させた。
<反応混合物からのペンタセン誘導体(14)の分離>
続いて、反応溶媒であるトルエンを減圧留去した後、代わる溶媒としてクロロホルム1mlを加え、不純物を含む粗生成物を完全に溶解させて飽和溶液にした後、25mlのメタノールを加え、沈殿を生じさせた。生じた沈殿を濾過後、メタノールで洗浄し、乾燥させることで、目的とするポリアセン化合物であるペンタセン誘導体(14)75.9mg(収率76%)を得た。
1H-NMRスペクトルによる解析>
図5と図6は、実施例1による、精製前と精製後のペンタセン誘導体(14)の1H-NMRスペクトルである。
精製後の図6のスペクトルには各吸収ピークの帰属を示した。1.0ppm〜4.0ppmの吸収ピークは、芳香族環を置換したりエステル結合を形成したりしているエチル基やメチル基の水素原子によるものである。9.1ppm前後の2つのピークが芳香族環に直接結合している水素原子によるもので、これが4個分あることから、これがペンタセン誘導体(14)の1H-NMRスペクトルであることがわかる。
一方、精製前の図5のスペクトルには、図6にはない多くの吸収が含まれ、1.0ppm〜4.0ppmの領域では吸収ピーク間の分離が不明瞭になっており、種々の不純物が含まれていることがわかる。
精製前の図5のスペクトルと、精製後の図6のスペクトルとを比べると、本実施例の精製操作によって効果的に不純物が除かれたことがわかる。
不純物は、酸化体や構造不明体からなると考えられる。図7は、実施例1による酸化体とペンタセン誘導体(14)との混合物のNMRスペクトルである。酸化体の明確な構造は不明であるが、過酸化物の構造を有するものと考えられ、8.0ppm付近の2つのピークが酸化体に特徴的な吸収である。類似の吸収は、精製前の図5のスペクトルには存在するが、精製後の図6のスペクトルには存在せず、本実施例の精製操作によって酸化体が効果的に除かれたことがわかる。図8は、構造不明体のNMRスペクトルである。例えば、1.0ppm弱の吸収に類似する吸収は、精製前の図5のスペクトルには存在するが、精製後の図6のスペクトルには存在せず、本実施例の精製操作によって構造不明体も効果的に除かれたことがわかる。
従来、5つの環を有するポリアセンを合成した場合、ポリアセンがDDQにDiels-Alder反応で付加する副反応が起こるため、反応溶媒としてベンゼンを用いる場合には、脱水素反応試薬(酸化剤)はクロラニルに限定されていた。図9は、ベンゼン溶媒中でジヒドロペンタセン誘導体(13)とクロラニルを反応させて得られた、Diels-Alder体を含むペンタセン誘導体(14)のNMRスペクトルであり、5.5〜6.0ppmにある3つのピークがDiels-Alder体に特徴的な吸収である。本実施例では、類似の吸収は精製前の図5のスペクトルにも存在せず、Diels-Alder体の生成を抑制するのに成功していたことを示している。これは、反応溶媒としてベンゼンの代わりにトルエンを用い、脱水素による芳香族環への変換反応をより高温で行ったためと考えられる。
本実施例の変形例としては、様々な例が考えられる。例えば、脱水素による芳香族環への変換反応の試薬として、DDQの代わりにクロラニルなどの他のキノン類を用いたり、カーボンに担持したパラジウムを触媒として用いたりすることができる。また、溶媒として、トルエンの代わりに、ジクロロメタン、キシレンやベンゼンなどの他の溶媒を用いることができる。また、反応に用いた溶媒を完全に留去した後、クロロホルムに代えて他の溶媒を用いてペンタセン誘導体(14)の飽和溶液を作り、そこにメタノールを加えて沈殿を生じさせることもできる。
実施例2
実施例1では、脱水素による芳香族環への変換反応(XIV)の後に、反応に用いた溶媒のトルエンを完全に留去し、代わりの溶媒としてクロロホルムを用いてペンタセン誘導体(14)の飽和溶液を作り、そこにメタノールを加えてペンタセン誘導体(14)を沈殿させた。本実施例では、反応に用いたトルエンを一部留去するにとどめ、トルエンを用いてペンタセン誘導体(14)の飽和溶液を作り、そこにメタノールを加えて沈殿を生じさせた。その他は、実施例1と同様である。
<反応(XIV):不飽和脂肪族環の芳香族環への変換>
ジヒドロペンタセン誘導体(13)2gとDDQ0.681g(ジヒドロペンタセン誘導体(13)に対して1.1当量)をトルエン100mlに溶かし、24時間還流加熱した。
<反応混合物からのペンタセン誘導体(14)の分離>
続いて、減圧留去により溶媒のトルエンを20mlまで減らして飽和溶液にした後、500mlのメタノールを加え、沈殿を生じさせた。生じた沈殿を濾過後、メタノールで洗浄し、乾燥させることで、ペンタセン誘導体(14)を1.083g(収率54.3%)得た。
実施例3
本実施例では、実施例1と同様の反応プロセスでジヒドロペンタセン誘導体(15)を合成し、下記に示すように、ジヒドロペンタセン誘導体(15)に含まれる不飽和脂肪族環を脱水素して芳香族環に変換し、ペンタセン誘導体(16)を得た。そして、この反応後の反応混合物の溶液に低級アルコールとしてメタノールを加え、ペンタセン誘導体(16)を沈殿させた。
Figure 2005306857
<反応(XV):不飽和脂肪族環の芳香族環への変換>
ジヒドロペンタセン誘導体(15)244mgとDDQ83.1mg(ジヒドロペンタセン誘導体(15)に対して1.1当量)をトルエン10mlに溶かし24時間還流加熱した。
<反応混合物からのペンタセン誘導体(16)の分離>
続いて、上記の反応液にメタノールを大量に加え(200ml以上)、沈殿を生じさせた。生じた沈殿を濾別し、メタノールで洗浄し、乾燥させることで、ペンタセン誘導体(16)73.7mg(収率30.5%)を得た。
実施例4
本実施例では、実施例1と同様の反応プロセスでジヒドロペンタセン誘導体(17)を合成し、下記に示すように、これに含まれる不飽和脂肪族環を脱水素して芳香族環に変換し、ペンタセン誘導体(18)を得た。そして、この反応後の反応混合物の溶液に低級アルコールとしてメタノールを加え、ペンタセン誘導体(18)を沈殿させた。
Figure 2005306857
<反応(XVI):不飽和脂肪族環の芳香族環への変換>
ジヒドロペンタセン誘導体(17)600mgとDDQ221mg(ジヒドロペンタセン誘導体(17)に対して1.1当量)とをトルエン12mlに溶かし24時間還流加熱した。
<反応混合物からのペンタセン誘導体(18)の分離>
上記の反応液から減圧留去により溶媒のトルエンを6mlまで減らし、そこにメタノールを120ml加え、沈殿を生じさせた。生じた沈殿を濾別し、メタノールで洗浄し、乾燥させることで、ペンタセン誘導体(18)207mg(収率34.5%)を得た。
実施例5
実施例1〜4は、ジヒドロペンタセン誘導体がもつ不飽和脂肪族環を脱水素して芳香族環へ変換する反応後の精製に、メタノールの添加による沈殿生成を適用した例である。しかし、メタノールの添加による沈殿生成の適用は、図2〜4および図1に示した一連のポリアセン合成フローにおいて、上記の反応工程のみに限定されるものではない。本実施例では、ブチル基の代わりにエチル基が導入されている場合に、図3または4に示した反応(VIII)、反応(XI)および反応(XIII)に相当する、下記の反応(VIIIb)、反応(XIb)および反応(XIIIb)の反応後の反応液に、メタノールの添加による沈殿生成を適用し、カラムクロマトグラフィによる精製を不要にした例である。
<反応(VIIIb):不飽和脂肪族環の芳香族環への変換によるアントラセン誘導体(8b)の合成>
Figure 2005306857
縮合環を構成する環の数は異なるものの実施例1〜4と同様に、この反応も、主骨格をなす縮合環に含まれる脂肪族環を、脱離反応又は酸化反応によって芳香族環に変換する反応を行った後の反応混合物の溶液に、低級アルコールとしてメタノールを加え、生成物を沈殿させた例である。
ジヒドロアントラセン誘導体(7b)8.33gとDDQ4.07gをトルエン100mlに溶かし、2時間還流加熱してアントラセン誘導体(8b)を合成した。反応後、反応液を濾過して固形物を除き、ろ液からエバポレーターを用いてトルエンを減圧留去した。
得られた粗生成物固体に溶媒としてクロロホルム10mlを加え、完全に溶解させた後、その溶液にメタノールを500ml加えることで、不純物を含まないアントラセン誘導体(8b)の沈殿を得ることができた。桐山ロートと濾紙とを用いて沈殿を濾別し、減圧下で乾燥させ、NMRでアントラセン誘導体(8b)であることを確認した。生成物の収量は、5.15g(収率62.1%)であった。
<反応(XIb):C≡C三重結合の導入によるアルキニル体(11b)の合成>
Figure 2005306857
この反応は、主骨格をなす縮合環に結合している置換基を、他の置換基に変換する反応を行った後の反応混合物の溶液に、低級アルコールとしてメタノールを加え、生成物を沈殿させて分離した例である。
−78℃に冷やしたTHF100mlにブチルリチウムのヘキサン溶液(1.58mol/l)を36.4ml加え、そこに1-ブチンを3.11g加え、完全に1-ブチンを加え終わった後、反応溶液を室温にもどし1時間攪拌した。反応液を再び−78℃に冷やし、DMPUを7.17ml加え、続いてTHF50mlに溶かしたジブロモアントラセン誘導体(10b)5.1gを加えた後、反応溶液を室温にもどして6時間攪拌した。
反応終了後、3N塩酸を50ml加えて、酢酸エチル250mlを用いた抽出操作を行い、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液と飽和食塩水とで順次洗浄した後、硫酸マグネシウムを用いて有機溶媒を乾燥させた。濾過によって硫酸マグネシウムと有機溶媒とを分離し、濾液からエバポレーターを用いて有機溶媒を減圧留去した。得られた固体をクロロホルムに溶かせて飽和溶液とした後、体積比でクロロホルムの50倍のメタノールを加えることで沈殿を生じさせた。得られた固体を濾過で分けとり、減圧下で溶媒を除去し、乾燥させ、アルキニル体(11b)を得た。収量は3.59g(収率78.28%)であった。
<反応(XIIb)と(XIIIb):ジルコノセンを用いた環形成によるジヒドロペンタセン誘導体(13b)の合成>
Figure 2005306857
この反応は、主骨格をなす縮合環を構成する環の数を増加させる環形成反応を行った後の反応混合物の溶液に、低級アルコールとしてメタノールを加え、生成物を沈殿させて分離した例である。
ジルコノセンCp2ZrCl2 2.04gをTHF100mlに溶かせて−78℃に冷やした後、ブチルリチウムのヘキサン溶液(1.58mol/l)を8.94ml加え、−78℃で1時間攪拌した。その後、アルキニル体(11b)3.34gをTHF50mlに溶かせた溶液をこの反応溶液に加え、室温にもどして3時間攪拌して、ジルコノセンと化合物(11b)とを反応させ、化合物(12b)を得た。
た。
続いて、塩化銅(I)1.4gを加え、0℃に冷やしながら徐々にアセチレンジカルボン酸ジメチル(DMAD)2.66mlを加え、室温で6時間攪拌して反応させた。
反応終了後、3N塩酸を50ml加え、酢酸エチル200mlを用いた抽出操作を行い、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液と飽和食塩水とで順次洗浄した後、硫酸マグネシウムで有機溶媒を乾燥させた。濾過によって硫酸マグネシウムと有機溶媒とを分離し、濾液からエバポレーターを用いて有機溶媒を減圧留去した。得られた固体をクロロホルムに溶かせて飽和溶液とした後、体積比でクロロホルムの50倍のメタノールを加えることで沈殿を生じさせ、得られた固体を濾過で分けとり、減圧下で溶媒を除去し、乾燥させ、ジヒドロペンタセン誘導体(13b)を得た。収量は2.38g(収率54.95%)であった。
上記の反応のうち、芳香族化反応(VIIIb)以外の反応(XIb)および反応(XIIIb)は反応終了後、分液抽出に用いた溶媒をエバポレーターで減圧留去した後、得られた固体をクロロホルムに溶解させ、体積比でクロロホルムの約50倍のメタノールを加えることで生成物を選択的に沈殿させることができ、その他の特別な精製操作を行うことなく、この生成物を次の反応の反応物質として用いることが可能であった。
実施例6
本実施例は、ブチル基の代わりにプロピル基が導入されている場合に、図4に示した反応(XIII)に相当する下記の反応(XIIIc)の反応後の反応液に、メタノールの添加による沈殿生成を適用し、カラムクロマトグラフィによる精製を不要にした例である。この例では、主骨格をなす縮合環を構成する環の数を増加させる環形成反応を行った後の反応混合物の溶液に、低級アルコールとしてメタノールを加え、生成物を沈殿させている。
<反応(XIIc)と(XIIIc):ジルコノセンを用いた環形成によるジヒドロペンタセン誘導体(13c)の合成>
Figure 2005306857
ジルコノセンCp2ZrCl2 1.92gをTHF100mlに溶かせて−78℃に冷やした後、ブチルリチウムのヘキサン溶液(1.58mol/l)を8.36ml加え、−78℃で1時間攪拌した。その後、アルキニル体(11c)3.49gをTHF50mlに溶かせた溶液をこの反応溶液に加え、室温にもどして3時間攪拌して、ジルコノセンと化合物(11c)とを反応させ、化合物(12c)を得た。
続いて、塩化銅(I)1.32gを加え、0℃に冷やしながら徐々にアセチレンジカルボン酸ジメチル(DMAD)2.44mlを加え、室温で6時間攪拌して反応させた。
反応終了後、3N塩酸を50ml加え、酢酸エチル200mlを用いた抽出操作を行い、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液と飽和食塩水とで順次洗浄した後、硫酸マグネシウムで有機溶媒を乾燥させた。濾過によって硫酸マグネシウムと有機溶媒とを分離し、濾液からエバポレーターを用いて有機溶媒を減圧留去した。得られた固体をクロロホルムに溶かせて飽和溶液とした後、体積比でクロロホルムの50倍のメタノールを加えることで沈殿を生じさせ、得られた固体を濾過で分けとり、減圧下で溶媒を除去し、乾燥させ、ジヒドロペンタセン誘導体(13c)を得た。収量は3.72g(収率84.3%)であった。
上記の例では、反応(XIIIc)終了後、分液抽出に用いた溶媒をエバポレーターで減圧留去した後、得られた固体をクロロホルムに溶解させ、体積比でクロロホルムの約50倍のメタノールを加えることで生成物を選択的に沈殿させることができ、その他の特別な精製操作を行うことなく、この生成物を次の反応の反応物質として用いることが可能であった。
また、下記の反応の生成物(11c)は、ヘキサンでの再結晶で不純物が十分に除くことができ、反応後の精製にメタノールの添加による沈殿生成を適用できる可能性がある。
Figure 2005306857
以上、述べてきたように、実施例1〜4では、脂肪族環を脱水素反応によって芳香族環に変換し、目的とするポリアセン化合物を合成する反応を行った後の反応混合物から、簡単に、短時間で、高収率にポリアセン化合物を分離精製することができた。とくに、実施例1では、上記脱水素反応も含めた収率が76%の高収率であった。実施例2では、収率は54%に低下したが、これでも従来の方法に比べれば高収率である。収率低下の原因の1つは、メタノールに対する親和性がクロロホルムに比べて小さいトルエンを、沈殿を形成させる際の溶媒として用いたことにあると考えられる。
このことから、ポリアセン化合物の溶液を形成する溶媒の種類、およびそこに加える低級アルコ−ルの種類と量を、沈殿させるポリアセン化合物に対して最適化することにより、収率をもっと改善できる可能性があることがわかる。例えば、実施例3と4の収率は実施例1と2に比べて低いものであったが、上記最適化により実施例1と同程度に改善させ得ると考えられる。
また、実施例5や6のように、図2〜4および図1に示したポリアセンの合成フローのうち、アントラセン誘導体の合成反応(VIII)以降の各反応工程において、反応後の精製にメタノールの添加による沈殿生成を適用できる場合がある。このような場合、カラムクロマトグラフィによる精製を必要とせず、ただちに次の反応工程に移ることができるため、合成に必要な日数の大幅な短縮が可能であった。
例えば、大量に合成する場合、従来は合成1日→精製1日→合成1日→精製1日→…の繰り返しであったが、本発明を適用すると、精製時間が数時間、もしくは再結晶の場合、夜間無人で行うことが可能であるため、合成(と精製)1日→合成(と精製)1日→…となり、合成に要する日数が半減した。
実施例7
本実施例は、本発明のポリアセン化合物の第2の製造方法の有効性を検討するためのものである。
本実施例では、下記のペンタセン誘導体(14b)100mgを前記第1溶媒であるクロロホルム2mlに溶解させ、この溶液に前記第2溶媒であるヘキサン300mlを加え、生じた沈殿を濾過し乾燥して、ペンタセン誘導体(14b)31mgを回収した(回収率31%)。
Figure 2005306857
この実験から、本発明のポリアセン化合物の第2の製造方法によっても、実施例1の<反応(XIV)>と同様にして、ジヒドロペンタセン誘導体(13b)からペンタセン誘導体(14b)を得ることができることが明らかとなった。
すなわち、実施例5で合成したジヒドロペンタセン誘導体(13b)とDDQとをトルエンに溶かし、還流加熱して、下記の反応(XIVb)によってペンタセン誘導体(14b)を生成させる。
<反応(XIVb):不飽和脂肪族環の芳香族環への変換>
Figure 2005306857
続いて、反応溶媒であるトルエンを減圧留去した後、代わる溶媒としてクロロホルムを加え、不純物を含む粗生成物を完全に溶解させて飽和溶液にした後、多量のヘキサンを加えて、ペンタセン誘導体(14b)の沈殿を生じさせ、これを濾別して、ペンタセン誘導体(14b)を得ることができる。
実施例8
本実施例は、本発明のポリアセン化合物の第2の製造方法において、回収されるポリアセン化合物と、回収のために用いられる前記第2溶媒との適不適を、溶解度から判定する際の基準を定めるためのものである。
具体的には、前述したポリアセン化合物(14b)および(14)と、低級アルコールおよび低級脂肪族炭化水素溶媒との組み合わせについて、実施例7と同様の回収操作を行い、回収率と溶解度との関係を調べた。その結果を表1に示す。なお、溶解度は室温における値である。
Figure 2005306857
表1に示す結果から、目標収率を3%以上とすると、この目標収率を達成するには、室温で0.1g/L以下の溶解度を示す溶媒が前記第2溶媒として望ましいことがわかる。また、より望ましい目標収率を25%以上とすると、この目標収率を達成するには、室温で1.0×10-4g/L以下の溶解度を示す溶媒が前記第2溶媒として望ましいことがわかる。
以上のように、室温における溶解度が0.1g/L以下、より望ましくは1.0×10-4g/L以下である溶媒を前記第2溶媒として用いると、本発明のポリアセン化合物の第2の製造方法を高い収率で適用することができる。
以上、本発明を実施の形態および実施例に基づいて説明したが、本発明はこれらの例に何ら限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能であることは言うまでもない。例えば、ここでは溶媒として単独の溶媒を用いる例を説明してきたが、複数の溶媒からなる混合溶媒を用いるのも、有効な1つの手段と考えられる。
本発明のポリアセン化合物の製造方法は、有機電界効果トランジスタ(FET)などの半導体素子を初めとして、発光素子や太陽電池などにも用いることのできる有機エレクトロニクス材料として有用なポリアセン化合物を、容易に能率よく高収率で得ることのできる製造方法であり、有機半導体材料などとしてポリアセン化合物を実用化する道を開くものである。
本発明の実施の形態に基づく、ペンタセン誘導体(14)の生成反応とその分離工程を示す説明図である。 同、ジヒドロペンタセン誘導体(13)の合成反応のフロー図である。 同、ジヒドロペンタセン誘導体(13)の合成反応のフロー図である。 同、ジヒドロペンタセン誘導体(13)の合成反応のフロー図である。 実施例1による精製前のペンタセン誘導体(14)のNMRスペクトルである。 同、精製後のペンタセン誘導体(14)のNMRスペクトルである。 同、酸化体とペンタセン誘導体(14)との混合物のNMRスペクトルである。 同、構造不明体のNMRスペクトルである。 同、Diels-Alder体を含むペンタセン誘導体(14)のNMRスペクトルである。

Claims (32)

  1. ポリアセン化合物を合成するに際し、中間ポリアセン生成物又は最終ポリアセン生成物の合成反応後の反応混合物の溶液に低級アルコールを加え、前記中間ポリアセン生成物又は前記最終ポリアセン生成物を沈殿させる分離工程を有する、ポリアセン化合物の製造方法。
  2. 主骨格をなす縮合環に含まれる脂肪族環を、脱離反応又は酸化反応によって芳香族環に変換する反応を行った後の反応混合物の溶液に、前記分離工程を行う、請求項1に記載したポリアセン化合物の製造方法。
  3. 主骨格をなす縮合環を構成する環の数を増加させる環形成反応を行った後の反応混合物の溶液に、前記分離工程を行う、請求項1に記載したポリアセン化合物の製造方法。
  4. 主骨格をなす縮合環に結合している置換基を、他の置換基に変換する反応を行った後の反応混合物の溶液に、前記分離工程を行う、請求項1に記載したポリアセン化合物の製造方法。
  5. 前記反応混合物が無極性又は極性の小さい溶媒に溶解している前記溶液に、前記低級アルコールを加える、請求項1に記載したポリアセン化合物の製造方法。
  6. 前記溶媒としてトルエン又はクロロホルムを用い、前記低級アルコールとしてメタノール、エタノール又はプロパノールを用いる、請求項5に記載したポリアセン化合物の製造方法。
  7. 前記溶液に対し、体積比で20倍以上の前記低級アルコールを用いる、請求項1に記載したポリアセン化合物の製造方法。
  8. 下記一般式(1)で表されるポリアセン化合物を得る、請求項1に記載したポリアセン化合物の製造方法。
    一般式(1):
    Figure 2005306857
    (この一般式(1)において、R1、R2、R3、R4、R5、R6、A1及びA2は、各々互いに独立した同一又は異なった基であり、nは0〜20の整数である。但し、一般式(1)中において下記の結合
    Figure 2005306857

    は、単結合又は二重結合を表す。)
  9. 前記nが2以上のとき、前記一般式(1)中に複数個存在する前記R3同士及び前記R6同士は、それぞれ、同じでも異なっていてもよい、請求項8に記載したポリアセン化合物の製造方法。
  10. 3個以上の不飽和環が含まれるポリアセン化合物を得る、請求項1に記載したポリアセン化合物の製造方法。
  11. 前記R1、前記R2、前記R3、前記R4、前記R5及び前記R6は、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20の炭化水素基、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素原子数6〜20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20のチオアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素原子数6〜20のアリールチオ基、アミノ基、ヒドロキシル基、又は水素原子であり、前記R4及び前記R5は、互いに架橋して炭素原子数4〜20の飽和環又は不飽和環を形成していてもよく、また、前記A1及び前記A2は、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20の炭化水素基、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素原子数6〜20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素原子数6〜20のアルキルアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20のアルコキシカルボニル基、置換基を有していてもよい炭素原子数6〜20のアリールオキシカルボニル基、シアノ基、カルバモイル基、ハロホルミル基、ホルミル基、イソシアノ基、イソシアナト基、又はチオシアナト基であり、前記A1及び前記A2は、互いに架橋して環を形成していてもよい、請求項8に記載したポリアセン化合物の製造方法。
  12. ジルコノセンを用いた環形成反応と、これに続くジルコナシクロペンタジエン又はその誘導体とアルキン又はその誘導体との環形成反応とによって、前記脂肪族環を含むポリアセン化合物を合成する、請求項1に記載したポリアセン化合物の製造方法。
  13. 前記脱離反応又は酸化反応として脱水素反応を行う、請求項2に記載したポリアセン化合物の製造方法。
  14. 前記脱水素反応を、2,3-ジクロロ-5,6-ジイソシアノ-1,4-キノン(DDQ)、2,3,5,6-テトラクロロ-1,4-キノン(クロラニル)、或いはカーボンに担持した金属触媒を用いて行う、請求項13に記載したポリアセン化合物の製造方法。
  15. ポリアセン化合物を合成するに際し、中間ポリアセン生成物又は最終ポリアセン生成物の合成反応後の反応混合物を第1溶媒に溶解させた溶液に、前記第1溶媒に対する親和性が大きく、かつ、前記中間ポリアセン生成物又は前記最終ポリアセン生成物が溶解しないか又は溶解度が小さい第2溶媒を加えて、前記中間ポリアセン生成物又は前記最終ポリアセン生成物を沈殿させる分離工程を有する、ポリアセン化合物の製造方法。
  16. 前記第2溶媒として、前記中間ポリアセン生成物又は前記最終ポリアセン生成物の溶解度が0.1g/L以下である溶媒を用いる、請求項15に記載したポリアセン化合物の製造方法。
  17. 前記第2溶媒として、前記中間ポリアセン生成物又は前記最終ポリアセン生成物の溶解度が1.0×10-4g/L以下である溶媒を用いる、請求項16に記載したポリアセン化合物の製造方法。
  18. 前記溶液を飽和溶液に調製する、請求項15に記載したポリアセン化合物の製造方法。
  19. 主骨格をなす縮合環に含まれる脂肪族環を、脱離反応又は酸化反応によって芳香族環に変換する反応を行った後の反応混合物の溶液に、前記分離工程を行う、請求項15に記載したポリアセン化合物の製造方法。
  20. 主骨格をなす縮合環を構成する環の数を増加させる環形成反応を行った後の反応混合物の溶液に、前記分離工程を行う、請求項15に記載したポリアセン化合物の製造方法。
  21. 主骨格をなす縮合環に結合している置換基を、他の置換基に変換する反応を行った後の反応混合物の溶液に、前記分離工程を行う、請求項15に記載したポリアセン化合物の製造方法。
  22. 前記第1溶媒としてトルエン又はクロロホルムを用いる、請求項15に記載したポリアセン化合物の製造方法。
  23. 前記第2溶媒として低級脂肪族炭化水素溶媒を用いる、請求項20に記載したポリアセン化合物の製造方法。
  24. 前記第2溶媒としてペンタン、ヘキサン、又はヘプタンを用いる、請求項21に記載したポリアセン化合物の製造方法。
  25. 前記溶液に対し、体積比で20倍以上の前記第2溶媒を用いる、請求項15に記載したポリアセン化合物の製造方法。
  26. 下記一般式(1)で表されるポリアセン化合物を得る、請求項15に記載したポリアセン化合物の製造方法。
    一般式(1):
    Figure 2005306857
    (この一般式(1)において、R1、R2、R3、R4、R5、R6、A1及びA2は、各々互いに独立した同一又は異なった基であり、nは0〜20の整数である。但し、一般式(1)中において下記の結合
    Figure 2005306857

    は、単結合又は二重結合を表す。)
  27. 前記nが2以上のとき、前記一般式(1)中に複数個存在する前記R3同士及び前記R6同士は、それぞれ、同じでも異なっていてもよい、請求項24に記載したポリアセン化合物の製造方法。
  28. 3個以上の不飽和環が含まれるポリアセン化合物を得る、請求項15に記載したポリアセン化合物の製造方法。
  29. 前記R1、前記R2、前記R3、前記R4、前記R5及び前記R6は、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20の炭化水素基、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素原子数6〜20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20のチオアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素原子数6〜20のアリールチオ基、アミノ基、ヒドロキシル基、又は水素原子であり、前記R4及び前記R5は、互いに架橋して炭素原子数4〜20の飽和環又は不飽和環を形成していてもよく、また、前記A1及び前記A2は、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20の炭化水素基、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素原子数6〜20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素原子数6〜20のアルキルアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20のアルコキシカルボニル基、置換基を有していてもよい炭素原子数6〜20のアリールオキシカルボニル基、シアノ基、カルバモイル基、ハロホルミル基、ホルミル基、イソシアノ基、イソシアナト基、又はチオシアナト基であり、前記A1及び前記A2は、互いに架橋して環を形成していてもよい、請求項24に記載したポリアセン化合物の製造方法。
  30. ジルコノセンを用いた環形成反応と、これに続くジルコナシクロペンタジエン又はその誘導体とアルキン又はその誘導体との環形成反応とによって、前記脂肪族環を含むポリアセン化合物を合成する、請求項15に記載したポリアセン化合物の製造方法。
  31. 前記脱離反応又は酸化反応として脱水素反応を行う、請求項17に記載したポリアセン化合物の製造方法。
  32. 前記脱水素反応を、2,3-ジクロロ-5,6-ジイソシアノ-1,4-キノン(DDQ)、2,3,5,6-テトラクロロ-1,4-キノン(クロラニル)、或いはカーボンに担持した金属触媒を用いて行う、請求項29に記載したポリアセン化合物の製造方法。
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