JP3796280B2 - 1−(2−クロロフエニル)−5(4h)−テトラゾリノンの製造方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、農薬の中間体として有用な1−フェニル−5(4H)テトラゾリノン類の製造方法及びその製造中間体に関する。更に詳しくは、本発明は、1−(2−クロロフェニル)−5−クロロテトラゾールを加水分解することを特徴とする1−(2−クロロフェニル)−5(4H)テトラゾリノンの製造方法及びその製造中間体に関する。
【0002】
【従来の技術および技術課題】
1−置換−5(4H)−テトラゾリノン類は、一般に下記反応式Aで表わされる方法により合成されている。
【0003】
【化1】
【0004】
これらの方法は、以下に述べる如き問題を有しており、工業的製法としては有用性に欠ける。
【0005】
▲1▼ 無水系の反応であり、取り扱い、反応の条件の設定が困難である。
【0006】
▲2▼ 塩化アルミニウムを用いる上記(1)の反応では、イソシアネート1モルに対し1モルのアジ化ナトリウムが反応するだけで、残り2モル量のアジ化ナトリウムは分解し捨てられ、しかもアジ化ナトリウムは高価であり、不経済である。
▲3▼ 上記(1)の反応で触媒として使用される塩化アルミニウムは排水処理に難がある。
【0007】
▲4▼ 上記(2)の反応に用いられるアジドトリメチルシランは、アジ化ナトリウムに比べ更に高価であり、しかも反応時間を長くしても収率が低い場合がある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
今回、本発明において、1−(2−クロロフェニル)−5(4H)−テトラゾリノンが、1−(2−クロロフェニル)−5−クロロテトラゾールを加水分解するという、簡単な方法により製造することが見い出された。
【0009】
かくして、本発明によれば、1−(2−クロロフェニル)−5−クロロテトラゾールを塩基の存在下に加水分解することを特徴とする1−(2−クロロフェニル)−5(4H)−テトラゾリノンの製造方法が提供される。
【0010】
本発明の方法は、前記の既知の製法に比較して、取扱い、反応条件の設定が簡単であり、使用する溶媒及び塩基は安価なものである。また、本発明の方法によれば、副生成物はアルカリ塩化物のみであって、高純度の目的化合物が高収率で合成できるので、反応後の精製処理が簡単にできる等の種々の優れた利点が得られ、本発明の方法は工業的スケールでの1−(2−クロロフェニル)−5(4H)−テトラゾリノンの製造に極めて適している。
【0011】
本発明の方法は、高温強アルカリ条件下で分解しやすい1−(2−クロロフェニル)−5(4H)−テトラゾリノンを、該条件下で製造する方法であるにも拘らず、該化合物を高収率で得ることができる。
【0012】
本発明の方法は、塩基として水酸化ナトリウムを用いる場合について反応式で示せば次のとおりである。
【0013】
【化2】
【0014】
本発明の方法は、強アルカリに対して不活性な任意の溶媒中で実施することができ、使用可能な溶媒としては、例えば、下記の溶媒を挙げることができる:
水、エーテル類(例:エチルエ−テル、メチルエチルエ−テル、メチル−t-ブチル−エーテル、イソプロピルエ−テル、ブチルエ−テル、ジオキサン、ジメトキシエタン(DME)、テトラヒドロフラン(THF)、ジエチレングリコ−ルジメチルエ−テル(DGM)等)ケトン類(例:アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン(MIBK)等)、脂肪族、環脂肪族および芳香族炭化水素類(これらは場合によっては塩素化されてもよい)(例:ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、石油エ−テル、リグロイン、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロルベンゼン、ジクロロベンゼン等)。
【0015】
更にこれらの2種又はそれ以上の混合溶媒を使用することもできる。
【0016】
本発明の方法は、塩基の存在下で行われる。その際に使用しうる塩基としては、アルカリ金属及びアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩及び重炭酸塩等(例:炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化マグネシウム等)を例示することができる。
【0017】
本発明の方法は実質的に広い温度範囲内において実施することができるが、一般には、約50℃〜約160℃、好ましくは約80℃〜約140℃の間の反応温度が適当である。また、本願発明の方法は通常常圧下で行うことが望ましいが、場合により加圧または減圧下で操作することもできる。
【0018】
本発明の方法において、反応時間は以上に述べた条件下に、通常、約0.5分〜約60分間、好ましくは約1分〜約10分間とすることができる。
【0019】
本発明の方法によれば、例えば、1−(2−クロロフェニル)−5−クロロテトラゾールを、ほぼ等モル量乃至4倍モル量の塩基(例えば水酸化ナトリウム)の存在下且つ水の存在下で加水分解することによって1−(2−クロロフェニル)−5(4H)−テトラゾリノンを得ることができる。
【0020】
以上に述べた本発明の方法において原料として用いられる1−(2−クロロフェニル)−5−クロロテトラゾールは新規な化合物であり、本発明は1−(2−クロロフェニル)−5−クロロテトラゾール及びその製造方法にも関する。
【0021】
1−(2−クロロフェニル)−5−クロロテトラゾールは、例えば、2−クロロフェニルイソシアニド ジクロライドをアジ化ナトリウムと反応させることにより定量的に製造することができる。該反応は下記の反応式Cで表される。
【0022】
【化3】
【0023】
この反応は、例えば、Journal of the Organic Chemistry,32巻,11号,3580-93頁,1967年に記載されている方法に準じて行うことができる。
【0024】
上記1−(2−クロロフェニル)−5−クロロテトラゾールの製造のための反応は、通常、不活性溶媒中で行われ、使用しうる不活性溶媒としては、例えば、次のものが挙げられる:
水、エーテル類(例:エチルエ−テル、メチルエチルエ−テル、メチル−t-ブチル−エーテル、イソプロピルエ−テル、ブチルエ−テル、ジオキサン、ジメトキシエタン(DME)、テトラヒドロフラン(THF)、ジエチレングリコ−ルジメチルエ−テル(DGM)等)、ケトン類(例:アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン(MIBK)等)、脂肪族、環脂肪族および芳香族炭化水素類(これらは場合によっては塩素化されてもよい)(例:ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、石油エ−テル、リグロイン、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロルベンゼン、ジクロロベンゼン等)、ニトリル類(例:アセトニトリル、プロピオニトリル、アクリロニトリル等)。
【0025】
更にこれらの2種以上の混合溶媒も使用することができる。
【0026】
上記の反応は、実質的に広い温度範囲内において実施することができるが、一般には、約20℃〜約120℃、好ましくは約40℃〜約100℃の間の反応温度が適当である。また、上記反応は通常常圧下で行うことが望ましいが、場合により加圧または減圧下で操作することもできる。
【0027】
上記の反応においては、例えば、2−クロロフェニルイソシアニド ジクロライド1モルに対し、希釈剤、例えば水・アセトンの混合溶媒中で、約1モル量乃至約1.2モル量のアジ化ナトリウムを反応させることによって1−(2−クロロフェニル)−5−クロロテトラゾールを得ることができる。
【0028】
上記反応において原料として用いられる2−クロロフェニルイソシアニド ジクロライドは、Angew. Chem.,74巻,861頁,1962年等に記載されたそれ自体既知化合物であり、該文献に記載の方法により製造することができる。
【0029】
上記の反応で得られる1−(2−クロロフェニル)−5−クロロテトラゾールは、一旦単離してもよいが、本発明によれば、精製単離することなく、そのまま反応液を前述した加水分解に付すことにより、ワンポットで1−(2−クロロフェニル)−5(4H)−テトラゾリノンを製造することもできる(ワンポット合成方法)。
【0030】
かくして、本発明によればさらに、2−クロロフェニルイソシアニド ジクロライドをアジ化ナトリウムと不活性溶媒中で反応させ、次いで、得られる1−(2−クロロフェニル)−5−クロロテトラゾールを精製単離することなしに、反応液中に塩基及び場合によって水を加え加水分解することを特徴とする1−(2−クロロフェニル)−5(4H)−テトラゾリノンのワンポット合成方法が提供される。
【0031】
このワンポット合成方法は、取扱い、反応条件の設定が容易である、高収率で目的とする化合物を合成できる、副生成物はアルカリ塩化物のみであって反応後の処理が簡単に行える、使用した溶媒は再利用できる等の種々の利点を有しており、1−(2−クロロフェニル)−5(4H)−テトラゾリノンの工業的スケールでの製造に非常に適している。
【0032】
上記ワンポット合成方法における各工程の反応は、前述した反応条件下に実施することができる。
【0033】
生成する1−(2−クロロフェニル)−5(4H)−テトラゾリノンはそれ自体既知の方法、例えば、抽出、クロマトグラフイー、再結晶等の方法により精製単離することができる。
【0034】
【実施例】
次に、本発明の方法を実施例によってさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例により限定されるべきものではない。
【0035】
実施例1
【0036】
【化4】
【0037】
1−(2−クロロフェニル)−5−クロロフェニルテトラゾール(12.9g)と水酸化ナトリウム(13g)の水溶液(約45重量%)と水(6.5ml)を混合し110℃に加熱する。反応が始まり温度は115℃に上昇した。反応開始3分後、室温にまで温度を下げ、水(20ml)を加えた。不溶物をトルエン(10ml)で抽出し、水溶液を塩酸でpH1に調整した。固形物をろ取し冷水で洗浄、乾燥すると、薄黄褐色の固体1−(2−クロロフェニル)−5(4H)−テトラゾリン(11.3g)が得られた(収率 96%)。
【0038】
融点123〜125℃
実施例2(実施例1で用いた原料の製造)
【0039】
【化5】
【0040】
2−クロロフェニルイソシアニド ジクロライド(12.9g)のアセトン(50ml)溶液を、アジ化ナトリウム(3.9g)水溶液(20ml)に攪拌しながら加える。反応が進むにつれ温度が上昇し約50℃になった。50℃の温度を保ち15分攪拌した後、30分間加熱還流した。アセトンを減圧下に留去し、残渣に水(20ml)を加え生成物を減圧ろ過で回収した。これを水洗した後、乾燥すると、無色の1−(2−クロロフェニル)−5−クロロテトラゾール(12.9g)が得られた(収率 定量的)。
【0041】
融点 101〜103℃
実施例3 (ワンポット合成)
【0042】
【化6】
【0043】
2−クロロフェニルイソシアニド ジクロライド(2.09g)のアセトン(8ml)溶液をアジ化ナトリウム(0.65g)水溶液(3.5ml)に攪拌しながら加えた。50℃に加温しこの温度を保ちながら15分攪拌した。その後30分間加熱還流した。水酸化ナトリウム水溶液(約40%,2.5g)と水(5ml)を加え5時間加熱還流した。反応終了後、有機溶媒を減圧下に流去し、水層をトルエン(5ml)で1回洗浄した。塩酸でpH1に調整し沈殿物を吸引ろ過で回収した。水で洗浄の後、乾燥し、黄褐色の結晶1−(2−クロロフェニル)−5(4H)−テトラゾリノンを得た(収率94%)。
【0044】
融点 122〜124℃
参考例(実施例2及び実施例3で用いた原料の製造)
【0045】
【化7】
【0046】
チオニルクロライド(150ml)及び塩化スルホニル(67.5g)の混合物に、15〜20℃の温度で、N−(2−クロロフェニル)−ホルムアミド(77.5g)を加えた、混合物を室温で3時間攪拌した後、80℃に加温し30分間攪拌する。反応終了後、チオニルクロライドを減圧下に留去し、減圧蒸留すると、2−クロロフェニルイソシアニド ジクロライドが得られた(収率86.7%)。
【0047】
沸点 104〜106℃/10mmHg
【0048】
【発明の効果】
本発明により、1−(2−クロロフェニル)−5(4H)−テトラゾリノンを収率よく安価に工業的に製造することができる。
【産業上の利用分野】
本発明は、農薬の中間体として有用な1−フェニル−5(4H)テトラゾリノン類の製造方法及びその製造中間体に関する。更に詳しくは、本発明は、1−(2−クロロフェニル)−5−クロロテトラゾールを加水分解することを特徴とする1−(2−クロロフェニル)−5(4H)テトラゾリノンの製造方法及びその製造中間体に関する。
【0002】
【従来の技術および技術課題】
1−置換−5(4H)−テトラゾリノン類は、一般に下記反応式Aで表わされる方法により合成されている。
【0003】
【化1】
【0004】
これらの方法は、以下に述べる如き問題を有しており、工業的製法としては有用性に欠ける。
【0005】
▲1▼ 無水系の反応であり、取り扱い、反応の条件の設定が困難である。
【0006】
▲2▼ 塩化アルミニウムを用いる上記(1)の反応では、イソシアネート1モルに対し1モルのアジ化ナトリウムが反応するだけで、残り2モル量のアジ化ナトリウムは分解し捨てられ、しかもアジ化ナトリウムは高価であり、不経済である。
▲3▼ 上記(1)の反応で触媒として使用される塩化アルミニウムは排水処理に難がある。
【0007】
▲4▼ 上記(2)の反応に用いられるアジドトリメチルシランは、アジ化ナトリウムに比べ更に高価であり、しかも反応時間を長くしても収率が低い場合がある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
今回、本発明において、1−(2−クロロフェニル)−5(4H)−テトラゾリノンが、1−(2−クロロフェニル)−5−クロロテトラゾールを加水分解するという、簡単な方法により製造することが見い出された。
【0009】
かくして、本発明によれば、1−(2−クロロフェニル)−5−クロロテトラゾールを塩基の存在下に加水分解することを特徴とする1−(2−クロロフェニル)−5(4H)−テトラゾリノンの製造方法が提供される。
【0010】
本発明の方法は、前記の既知の製法に比較して、取扱い、反応条件の設定が簡単であり、使用する溶媒及び塩基は安価なものである。また、本発明の方法によれば、副生成物はアルカリ塩化物のみであって、高純度の目的化合物が高収率で合成できるので、反応後の精製処理が簡単にできる等の種々の優れた利点が得られ、本発明の方法は工業的スケールでの1−(2−クロロフェニル)−5(4H)−テトラゾリノンの製造に極めて適している。
【0011】
本発明の方法は、高温強アルカリ条件下で分解しやすい1−(2−クロロフェニル)−5(4H)−テトラゾリノンを、該条件下で製造する方法であるにも拘らず、該化合物を高収率で得ることができる。
【0012】
本発明の方法は、塩基として水酸化ナトリウムを用いる場合について反応式で示せば次のとおりである。
【0013】
【化2】
【0014】
本発明の方法は、強アルカリに対して不活性な任意の溶媒中で実施することができ、使用可能な溶媒としては、例えば、下記の溶媒を挙げることができる:
水、エーテル類(例:エチルエ−テル、メチルエチルエ−テル、メチル−t-ブチル−エーテル、イソプロピルエ−テル、ブチルエ−テル、ジオキサン、ジメトキシエタン(DME)、テトラヒドロフラン(THF)、ジエチレングリコ−ルジメチルエ−テル(DGM)等)ケトン類(例:アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン(MIBK)等)、脂肪族、環脂肪族および芳香族炭化水素類(これらは場合によっては塩素化されてもよい)(例:ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、石油エ−テル、リグロイン、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロルベンゼン、ジクロロベンゼン等)。
【0015】
更にこれらの2種又はそれ以上の混合溶媒を使用することもできる。
【0016】
本発明の方法は、塩基の存在下で行われる。その際に使用しうる塩基としては、アルカリ金属及びアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩及び重炭酸塩等(例:炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化マグネシウム等)を例示することができる。
【0017】
本発明の方法は実質的に広い温度範囲内において実施することができるが、一般には、約50℃〜約160℃、好ましくは約80℃〜約140℃の間の反応温度が適当である。また、本願発明の方法は通常常圧下で行うことが望ましいが、場合により加圧または減圧下で操作することもできる。
【0018】
本発明の方法において、反応時間は以上に述べた条件下に、通常、約0.5分〜約60分間、好ましくは約1分〜約10分間とすることができる。
【0019】
本発明の方法によれば、例えば、1−(2−クロロフェニル)−5−クロロテトラゾールを、ほぼ等モル量乃至4倍モル量の塩基(例えば水酸化ナトリウム)の存在下且つ水の存在下で加水分解することによって1−(2−クロロフェニル)−5(4H)−テトラゾリノンを得ることができる。
【0020】
以上に述べた本発明の方法において原料として用いられる1−(2−クロロフェニル)−5−クロロテトラゾールは新規な化合物であり、本発明は1−(2−クロロフェニル)−5−クロロテトラゾール及びその製造方法にも関する。
【0021】
1−(2−クロロフェニル)−5−クロロテトラゾールは、例えば、2−クロロフェニルイソシアニド ジクロライドをアジ化ナトリウムと反応させることにより定量的に製造することができる。該反応は下記の反応式Cで表される。
【0022】
【化3】
【0023】
この反応は、例えば、Journal of the Organic Chemistry,32巻,11号,3580-93頁,1967年に記載されている方法に準じて行うことができる。
【0024】
上記1−(2−クロロフェニル)−5−クロロテトラゾールの製造のための反応は、通常、不活性溶媒中で行われ、使用しうる不活性溶媒としては、例えば、次のものが挙げられる:
水、エーテル類(例:エチルエ−テル、メチルエチルエ−テル、メチル−t-ブチル−エーテル、イソプロピルエ−テル、ブチルエ−テル、ジオキサン、ジメトキシエタン(DME)、テトラヒドロフラン(THF)、ジエチレングリコ−ルジメチルエ−テル(DGM)等)、ケトン類(例:アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン(MIBK)等)、脂肪族、環脂肪族および芳香族炭化水素類(これらは場合によっては塩素化されてもよい)(例:ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、石油エ−テル、リグロイン、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロルベンゼン、ジクロロベンゼン等)、ニトリル類(例:アセトニトリル、プロピオニトリル、アクリロニトリル等)。
【0025】
更にこれらの2種以上の混合溶媒も使用することができる。
【0026】
上記の反応は、実質的に広い温度範囲内において実施することができるが、一般には、約20℃〜約120℃、好ましくは約40℃〜約100℃の間の反応温度が適当である。また、上記反応は通常常圧下で行うことが望ましいが、場合により加圧または減圧下で操作することもできる。
【0027】
上記の反応においては、例えば、2−クロロフェニルイソシアニド ジクロライド1モルに対し、希釈剤、例えば水・アセトンの混合溶媒中で、約1モル量乃至約1.2モル量のアジ化ナトリウムを反応させることによって1−(2−クロロフェニル)−5−クロロテトラゾールを得ることができる。
【0028】
上記反応において原料として用いられる2−クロロフェニルイソシアニド ジクロライドは、Angew. Chem.,74巻,861頁,1962年等に記載されたそれ自体既知化合物であり、該文献に記載の方法により製造することができる。
【0029】
上記の反応で得られる1−(2−クロロフェニル)−5−クロロテトラゾールは、一旦単離してもよいが、本発明によれば、精製単離することなく、そのまま反応液を前述した加水分解に付すことにより、ワンポットで1−(2−クロロフェニル)−5(4H)−テトラゾリノンを製造することもできる(ワンポット合成方法)。
【0030】
かくして、本発明によればさらに、2−クロロフェニルイソシアニド ジクロライドをアジ化ナトリウムと不活性溶媒中で反応させ、次いで、得られる1−(2−クロロフェニル)−5−クロロテトラゾールを精製単離することなしに、反応液中に塩基及び場合によって水を加え加水分解することを特徴とする1−(2−クロロフェニル)−5(4H)−テトラゾリノンのワンポット合成方法が提供される。
【0031】
このワンポット合成方法は、取扱い、反応条件の設定が容易である、高収率で目的とする化合物を合成できる、副生成物はアルカリ塩化物のみであって反応後の処理が簡単に行える、使用した溶媒は再利用できる等の種々の利点を有しており、1−(2−クロロフェニル)−5(4H)−テトラゾリノンの工業的スケールでの製造に非常に適している。
【0032】
上記ワンポット合成方法における各工程の反応は、前述した反応条件下に実施することができる。
【0033】
生成する1−(2−クロロフェニル)−5(4H)−テトラゾリノンはそれ自体既知の方法、例えば、抽出、クロマトグラフイー、再結晶等の方法により精製単離することができる。
【0034】
【実施例】
次に、本発明の方法を実施例によってさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例により限定されるべきものではない。
【0035】
実施例1
【0036】
【化4】
【0037】
1−(2−クロロフェニル)−5−クロロフェニルテトラゾール(12.9g)と水酸化ナトリウム(13g)の水溶液(約45重量%)と水(6.5ml)を混合し110℃に加熱する。反応が始まり温度は115℃に上昇した。反応開始3分後、室温にまで温度を下げ、水(20ml)を加えた。不溶物をトルエン(10ml)で抽出し、水溶液を塩酸でpH1に調整した。固形物をろ取し冷水で洗浄、乾燥すると、薄黄褐色の固体1−(2−クロロフェニル)−5(4H)−テトラゾリン(11.3g)が得られた(収率 96%)。
【0038】
融点123〜125℃
実施例2(実施例1で用いた原料の製造)
【0039】
【化5】
【0040】
2−クロロフェニルイソシアニド ジクロライド(12.9g)のアセトン(50ml)溶液を、アジ化ナトリウム(3.9g)水溶液(20ml)に攪拌しながら加える。反応が進むにつれ温度が上昇し約50℃になった。50℃の温度を保ち15分攪拌した後、30分間加熱還流した。アセトンを減圧下に留去し、残渣に水(20ml)を加え生成物を減圧ろ過で回収した。これを水洗した後、乾燥すると、無色の1−(2−クロロフェニル)−5−クロロテトラゾール(12.9g)が得られた(収率 定量的)。
【0041】
融点 101〜103℃
実施例3 (ワンポット合成)
【0042】
【化6】
【0043】
2−クロロフェニルイソシアニド ジクロライド(2.09g)のアセトン(8ml)溶液をアジ化ナトリウム(0.65g)水溶液(3.5ml)に攪拌しながら加えた。50℃に加温しこの温度を保ちながら15分攪拌した。その後30分間加熱還流した。水酸化ナトリウム水溶液(約40%,2.5g)と水(5ml)を加え5時間加熱還流した。反応終了後、有機溶媒を減圧下に流去し、水層をトルエン(5ml)で1回洗浄した。塩酸でpH1に調整し沈殿物を吸引ろ過で回収した。水で洗浄の後、乾燥し、黄褐色の結晶1−(2−クロロフェニル)−5(4H)−テトラゾリノンを得た(収率94%)。
【0044】
融点 122〜124℃
参考例(実施例2及び実施例3で用いた原料の製造)
【0045】
【化7】
【0046】
チオニルクロライド(150ml)及び塩化スルホニル(67.5g)の混合物に、15〜20℃の温度で、N−(2−クロロフェニル)−ホルムアミド(77.5g)を加えた、混合物を室温で3時間攪拌した後、80℃に加温し30分間攪拌する。反応終了後、チオニルクロライドを減圧下に留去し、減圧蒸留すると、2−クロロフェニルイソシアニド ジクロライドが得られた(収率86.7%)。
【0047】
沸点 104〜106℃/10mmHg
【0048】
【発明の効果】
本発明により、1−(2−クロロフェニル)−5(4H)−テトラゾリノンを収率よく安価に工業的に製造することができる。
Claims (6)
- 1−(2−クロロフェニル)−5−クロロテトラゾールを塩基の存在下に加水分解することを特徴とする1−(2−クロロフェニル)−5(4H)−テトラゾリノンの製造方法。
- 塩基が、アルカリ金属及びアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩及び重炭酸塩よりなる群から選ばれる請求項1記載の方法。
- 加水分解を60℃〜160℃の間の温度で行なう請求項1記載の方法。
- 1−(2−クロロフェニル)−5−クロロテトラゾール。
- 2−クロロフェニルイソシアニド ジクロライドをアジ化ナトリウムと不活性溶媒中で反応させ、次いで、得られる1−(2−クロロフェニル)−5−クロロテトラゾールを精製単離することなしに、反応液中に塩基及び場合によって水を加え加水分解することを特徴とする1−(2−クロロフェニル)−5(4H)−テトラゾリノンの製造方法。
- 2−クロロフェニルイソシアニド ジクロライドをアジ化ナトリウムと不活性溶媒中で20℃〜120℃の間の温度で反応させ、次いで得られる1−(2−クロロフェニル)−5−クロロテトラゾールを精製単離することなしに、該反応液中に、アルカリ金属及びアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩及び重炭酸塩よりなる群から選ばれる塩基及び必要に応じて水を加え、50℃〜160℃の間の温度で加水分解することを特徴とする請求項5記載の方法。
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